トップ :: B 処理操作 運輸 :: B22 鋳造;粉末冶金




【発明の名称】 延性に優れた多孔質金属体の製造方法
【発明者】 【氏名】和田 正弘

【氏名】上野 博規

【要約】 【課題】延性に優れた多孔質金属体の製造方法を提供する。

【解決手段】炭素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤:0.5〜10%、界面活性剤:0.05〜5%、水溶性樹脂結合剤:0.5〜20%、金属粉末:30〜80%、多価アルコール、油脂、エーテルおよびエステルのうちの1種または2種以上からなる可塑剤:0.1〜15%、水:残りからなる配合組成を有する混合物を作製し、この混合物を所定形状に成形し、得られた成形体を気泡成形処理し、次いで、脱脂および燒結する多孔質金属体の製造方法において、前記金属粉末は、平均粒径:4〜20μmの金属粉末に、平均粒径:0.05〜3μmの微細粉末を1〜35%混合してなる混合金属粉末を用いることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属粉末に、有機溶剤、界面活性剤、水溶性樹脂結合剤および水を混合して得られた混合物を作製し、得られた混合物を所定形状に成形したのち成形体を気泡成形処理し、次いで、脱脂および燒結する多孔質金属体の製造方法において、前記金属粉末は、平均粒径:4〜20μmの金属粉末に、平均粒径:0.05〜3μmの微細粉末を1〜35%混合してなる混合金属粉末を用いることを特徴とする延性に優れた多孔質金属体の製造方法。
【請求項2】 質量%で、炭素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤:0.5〜10%、界面活性剤:0.05〜5%、水溶性樹脂結合剤:0.5〜20%、金属粉末:30〜80%、水:残りからなる配合組成を有する混合物を作製し、この混合物を所定形状に成形し、得られた成形体を気泡成形処理し、次いで、脱脂および燒結する多孔質金属体の製造方法において、前記金属粉末は、平均粒径:4〜20μmの金属粉末に、平均粒径:0.05〜3μmの微細粉末を1〜35%混合してなる混合金属粉末を用いることを特徴とする延性に優れた多孔質金属体の製造方法。
【請求項3】 金属粉末に、有機溶剤、界面活性剤、水溶性樹脂結合剤、可塑剤および水を混合して得られた混合物を作製し、得られた混合物を所定形状に成形したのち成形体を気泡成形処理し、次いで、脱脂および燒結する多孔質金属体の製造方法において、前記金属粉末は、平均粒径:4〜20μmの金属粉末に、平均粒径:0.05〜3μmの微細粉末を1〜35%混合してなる混合金属粉末を用いることを特徴とする延性に優れた多孔質金属体の製造方法。
【請求項4】 質量%で、炭素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤:0.5〜10%、界面活性剤:0.05〜5%、水溶性樹脂結合剤:0.5〜20%、金属粉末:30〜80%、多価アルコール、油脂、エーテルおよびエステルのうちの1種または2種以上からなる可塑剤:0.1〜15%、水:残りからなる配合組成を有する混合物を作製し、この混合物を所定形状に成形し、得られた成形体を気泡成形処理し、次いで、脱脂および燒結する多孔質金属体の製造方法において、前記金属粉末は、平均粒径:4〜20μmの金属粉末に、平均粒径:0.05〜3μmの微細粉末を1〜35%混合してなる混合金属粉末を用いることを特徴とする延性に優れた多孔質金属体の製造方法。
【請求項5】請求項1,2,3または4記載の製造方法で作られた多孔質金属体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、延性に優れた多孔質金属体の製造方法およびその製造方法で作られた多孔質金属体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、多孔質金属体は、アルカリ2次電電池の電極の活物質保持材、水電解電極、石油暖房機器の灯油噴霧化部材、磁気シールドパッキン、爆薬を使用するエアクッションの気体膨脹緩衝材、吸音材、並びに浄化器の水電解フィルター、空気清浄機の静電フィルター、エンジン排気ガスのオイルミストフィルター、および高温排気集塵フィルターなどの各種フィルターなどとして用いられている。
【0003】この多孔質金属体を製造する方法として、特開平9−143511号公報に記載されているように、質量%で(以下、%は質量%を示す)炭素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤:0.5〜10%、界面活性剤:0.05〜5%、水溶性樹脂結合剤:0.5〜20%、平均粒径:0.5〜200μmの金属粉:30〜80%を含有し、必要に応じて、多価アルコール、油脂、エーテル、およびエステルのうちの1種または2種以上からなる可塑剤:0.1〜15%を含有し、残部:水からなる配合組成の混合物を用い、この混合物から、例えば公知のドクターブレード法やスリップキャスト法などの方法で所定形状の成形体を成形し、この成形体を5℃以上の温度に保持すると、上記非水溶性炭化水素系有機溶剤は水よりも大きい蒸気圧を有するので、これが気化し、ガスとなって成形体から蒸発することから、成形体内には微細にして整寸の気泡が多数発生した多孔質成形体が形成されるようになり、この多孔質成形体は、上記水溶性樹脂結合剤によってハンドリング可能な強度をもち、また上記可塑剤によって可塑性も具備し、この状態の前記多孔質成形体を焼結することにより連続気孔と三次元網目構造を有する骨格とからなる多孔質金属体を得る方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし前記従来の製造方法により作られた多孔質金属体は、延性が劣り特にフィルターを作製するためにU字形に曲げ加工すると曲げ加工部分に割れが発生しそのためにフィルターの歩留まりが低下しコストの高いものとなっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、上述のような観点から、上記の従来多孔質金属体に比してより一層延性に優れた多孔質金属体を製造すべく研究を行った。その結果、金属粉末に、有機溶剤、界面活性剤、水溶性樹脂結合剤および水をを混合し、さらに必要に応じて可塑剤を混合して得られた混合物を作製し、得られた混合物を気泡成形処理し、次いで、脱脂および燒結する多孔質金属体の製造方法において、前記金属粉末の粒径が多孔質金属体の延性に大きく影響を及ぼし、混合する金属粉末を、平均粒径:4〜20μmの金属粉末に、平均粒径:0.05〜3μmの微細粉末を1〜35%混合してなる混合金属粉末を用いることにより従来の多孔質金属体に比べて一層延性に優れた多孔質金属体を得ることができるという研究結果が得られたのである。
【0006】この発明は、上記の研究結果にもとづいてなされたものであって、(1) 金属粉末に、有機溶剤、界面活性剤、水溶性樹脂結合剤および水を添加し、必要に応じて可塑剤を添加し混合して混合物を作製し、得られた混合物を所定形状に成形したのち成形体を気泡成形処理し、次いで、脱脂および燒結する多孔質金属体の製造方法において、前記金属粉末は、平均粒径:4〜20μm(一層好ましくは7〜15%)の金属粉末に、平均粒径:0.05〜3μmの微細粉末を1〜35%混合してなる混合金属粉末を用いる延性に優れた多孔質金属体の製造方法、に特徴を有するものである。
【0007】この発明の多孔質金属体の製造方法において、混合金属粉末に添加する有機溶剤、界面活性剤、水溶性樹脂結合剤および可塑剤はすでに知られているものが使用することができる。有機溶剤として炭素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤を用いることができ、具体的なものとして、ネオペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、ベンゼン、オクタン、トルエンを使用することができ、その添加量は0.5〜10%である。界面活性剤として市販の台所用中性合成洗剤を使用することができ、その添加量は0.05〜5%である。水溶性樹脂結合剤として、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースアンモニウム、エチルセルロース、およびポリビニルアルコールを使用することができ、その添加量は0.5〜20%である。可塑剤として多価アルコール、油脂、エーテルおよびエステルのうちの1種または2種以上を使用することができ、具体的なものとしてポリエチレングリコール、オリーブ油、石油エーテル、フタル酸ジNブチル、グリセリンがあるが、その添加量は0.1〜15%である。
【0008】したがって、この発明は、(2) 質量%で、炭素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤:0.5〜10%、界面活性剤:0.05〜5%、水溶性樹脂結合剤:0.5〜20%、金属粉末:30〜80%を含有し、必要に応じて、多価アルコール、油脂、エーテルおよびエステルのうちの1種または2種以上からなる可塑剤:0.1〜15%を含有し、水:残りからなる配合組成を有する混合物を作製し、この混合物を所定形状に成形し、得られた成形体を気泡成形処理し、次いで、脱脂および燒結する多孔質金属体の製造方法において、前記金属粉末は、平均粒径:4〜20μmの金属粉末に、平均粒径:0.05〜3μmの微細粉末を1〜35%混合してなる混合金属粉末を用いる延性に優れた多孔質金属体の製造方法、に特徴を有するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】表1〜表2に示される平均粒径の異なった金属粉末を配合して表1に示される混合金属粉末を作製した。これら混合金属粉末にヘキサン:65%、中性洗剤:1%、エチルセルロース:3%、グリセリン:1%、残部:水となるように配合し、通常の条件で混合することにより混合物を調製した。
【0010】ついで、この混合物をキャリアーシート上にブレードギャップ:0.5mmでスラリー層を形成し、このスラリー層を高温・高湿度槽に通して40℃、湿度:90%、20分間保持の条件で発泡させた後、温度:80℃、15分間保持の条件の温風乾燥させることによりグリーン板を作製し、このグリーン板を脱脂装置の中を通しながら、水素中温度:500℃、15分間保持の条件で脱脂し、続いて焼成炉の中を通しながら、水素雰囲気中、表1〜2に示される温度および時間保持の条件で焼成することにより本発明法1〜20、比較法1〜4および従来法を実施した。
【0011】つぎに、本発明法1〜20、比較法1〜4および従来法により得られた連通気孔および骨格からなる多孔質金属体について、骨格表面粗さを測定し、さらに常温引張り伸びを測定し、さらに曲げ加工性の評価を行ないその結果を表1〜2に示した。なお、表面粗さの測定、常温引張り伸びの測定、および曲げ加工性の評価は下記のようにして行なった。
【0012】(イ)表面粗さ:多孔質金属体を切断し、その断面の骨格表面に形成されている凹凸を数値化し、JIS B0601に準拠して中心線平均粗さ(Ra)を求めた。
(ロ)常温引張伸び:多孔質金属体ををレーザー加工機により切断してJIS Z2201に記載されている13B形状の試験片を作製した。この試験片を用い、JIS Z2241に準拠し、室温で破断するまでの伸びを測定した。
(ハ)曲げ加工性直径:5mm、7.5mm、10mm、12.5mm、15mmの太さのステンレス製丸棒を準備し、多孔質金属体をこれら丸棒に押し付け曲げ部分が丸棒の曲率半径になるように丸棒に沿って曲げ加工を行ない、曲げ加工による割れが発生しない丸棒の最小直径を示すことにより曲げ加工性を評価した。
【0013】
【表1】

【0014】
【表2】

【0015】
【発明の効果】表1〜2に示される結果から、本発明法に1〜20により得られた多孔質金属体は比較法1〜4および従来法により得られた多孔質金属体に比べて、伸びおよび曲げ加工性に優れていることが分かる。上述のように、この発明によると、一層延性に優れた多孔質金属層を提供することができ、この延性に優れた多孔質金属板を各種フィルターやアルカリ二次電池の電極基板を作製するために曲げ加工しても曲げ加工時に割れが発生することがなく不良品の発生率が少なくなって、フィルター産業、アルカリ二次電池産業などの発展に大いに貢献し得るものである。
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【出願日】 平成13年3月12日(2001.3.12)
【代理人】 【識別番号】100076679
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 和夫 (外1名)
【公開番号】 特開2002−266003(P2002−266003A)
【公開日】 平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願番号】 特願2001−68559(P2001−68559)