| 【発明の名称】 |
多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】戸嶋 直樹
【氏名】白石 幸英
【氏名】平川 和貴
【氏名】福岡 直彦
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| 【要約】 |
【課題】新規な多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法の提供。
【解決手段】(1)1種類のみの金属イオン含有液を還元して得られた金属コロイド液を調製し、(2)前記(1)の方法で得られた、金属の種類が異なった金属コロイド液を、複数種混合することを特徴とする多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (1)1種類のみの金属イオン含有液を還元して得られた金属コロイド液を調製し、(2)前記(1)の方法で得られた、金属の種類が異なった金属コロイド液を、複数種混合することを特徴とする多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法。 【請求項2】 複数種の金属が、いずれも貴金属である請求項1記載の多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法。 【請求項3】 前記金属のうち少なくとも1つが銀である請求項1または2いずれか記載の多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法。 【請求項4】 貴金属の組合せが、Ag−Pd、Ag−RhまたはAg−Ptである請求項3記載の多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法。 【請求項5】 金属コロイド液の調製にあたりコロイド保護剤を用いる請求項1〜4いずれか記載の多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法。 【請求項6】 前記コロイド保護剤が親水性高分子である請求項5記載の多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】本発明者らは、先に一液中に存在する二種の貴金属を同時に還元すると、二元金属ナノクラスター分散液(いいかえれば二元金属粒子コロイド分散液)が得られること、この二元金属ナノクラスターは、一方の金属をコアに他の金属がシェルとなったコア/シェル型構造をもつものであることを発表した〔N.Toshima and T.Yonezawa,New J.chem.,22, 1179(1998)〕。 【0003】前述の技術は、同じ液中で二種の金属が還元されて、二種の原子ができ、これがその場で結合し、固溶体化して合金状になるものや、金属の組合せによっては一方の金属がコア(核)になり他方の金属がシェル(殻)となってコア/シェル型クラスターとなったり、クラスターインクラスター(cluster−in−cluster)構造、いいかえればそれぞれの金属がいくつか集合したものがさらに集ったような構造となっていることがわかってきた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、新規な多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法を提供する点にある。なお、本発明における多元複合系金属粒子コロイド分散液とは、前述のような構造のもののほか例えばコアとなる第一の金属粒子上に第二の金属が斑状、帯状あるいは殻状に被覆したもの、または金属粒子中に他の金属層が喰い込んだ状態のもの、さらには一部合金化したものなどを総称している。 【0005】 【課題を解決するための手段】従来、二元金属コロイドを調製するためには、二種の金属イオンが一液中に共通して存在している系において、二種の金属イオンを同時還元するか、または逐次還元することが不可欠であると考えられていたが、驚くべきことに、本発明者らは、金属毎に別々の液中で還元しておいたものを、ただ単に混合するだけで多元複合系金属粒子コロイド分散液が調製できることを見出し、本発明を完成したものである。 【0006】本発明の第一は、(1)1種類のみの金属イオン含有液を還元して得られた金属コロイド液を調製し、(2)前記(1)の方法で得られた、金属の種類が異なった金属コロイド液を、複数種混合することを特徴とする多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法に関する。 【0007】本発明の第二は、複数種の金属が、いずれも貴金属である請求項1記載の多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法に関する。 【0008】本発明の第三は、前記金属のうち少なくとも1つが銀である請求項1または2いずれか記載の多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法に関する。 【0009】本発明の第四は、貴金属の組合せが、Ag−Pd、Ag−RhまたはAg−Ptである請求項3記載の多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法に関する。 【0010】本発明の第五は、金属コロイド液の調製にあたりコロイド保護剤を用いる請求項1〜4いずれか記載の多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法に関する。 【0011】本発明の第六は、前記コロイド保護剤が親水性高分子である請求項5記載の多元複合系金属粒子コロイド分散液の製造方法に関する。 【0012】本発明における金属イオン供給源としては、とくに制限するものではないが、金属のハロゲン化物、酢酸金属塩、過ハロゲン酸金属塩、硫酸金属塩、硝酸金属塩、炭酸金属塩、修酸金属塩などの各種酸の金属塩などを挙げることができる。 【0013】前記金属としては、Ag、Cu、Auのような貨幣金属のほかRu、Rh、Pd、Os、Ir、Ptよりなる白金族金属が好ましい。 【0014】二元金属コロイドを形成するための金属の組合せは、前項で挙げた金属の組合せが好ましいが、とくにAg−Pd、Ag−Rh、Ag−Ptといった少なくとも1方の金属がAgである場合には、金属コロイド液を高い温度ではなく、室温で混合しただけで、多元複合系金属粒子コロイド分散液を得ることができる。 【0015】混合に供される金属コロイド液の金属粒子は、平均粒径が100nm以下、好ましくは50nm以下、とくに好ましくは10nm以下である。下限はないが、好ましくは0.8nm以上である。 【0016】前記金属イオン含有液を形成するための溶媒としては、水、アルコール類、エチレングリコール類およびエーテル類よりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。 【0017】前記還元剤は、対象金属を還元できる還元剤であれば、とくに制限はなく、化学還元剤のほかに光還元、超音波還元、電気還元、X線還元、γ線還元なども使用することができる。また、化学還元剤としては、一級または二級アルコール類、グリコール類、酸素原子に隣接する炭素原子に水素原子が結合しているエーテル類、エタノールアミン類さらには水素化ホウ素類、ヒドラジンなどを挙げることができる。 【0018】金属イオン供給源としてAgX(Xはハロゲン)を、還元剤として、エタノールを用いたケースでみると、本発明における還元反応は【化1】
であり、還元剤として光を用いたケースでは【化2】
となり、HXなどが系中に残るが溶媒を留去するとき、HXなどは一緒に除去される。式中、Ag(0)は、還元されて0価の金属になっていることを示す。 【0019】還元剤の使用量は、金属1モルに対し、1モル以上存在すればよく、好ましくは1〜100モルである。 【0020】前記コロイド保護剤としては、親水性高分子、金属配位性分子、両親媒性分子および/またはアニオン性化合物を挙げることができる。 【0021】前記コロイド保護剤の使用量は、金属1モルに対し、0.1モル以上存在すればよく、好ましくは1〜50モルである。なお、コロイド保護剤が高分子の場合には、そのモノマー単位当りのモル数に換算したものを適用する。 【0022】前記親水性高分子としては、ポリビニルピロリドン〔たとえばポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)〕、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸塩のように、アミド基、水酸基、カルボキシル基および/またはアミノ基を含有するポリマーあるいはこれら親水性ホモ重合体形成用モノマーの共重合体などのほか、シクロデキストリン、アミノペクチン、メチルセルロース、ゼラチンなどの天然物を挙げることができる。 【0023】前記金属配位性分子としては、アミノ基、チオール基、ジスルフィド基、アミド基、カルボン酸基、ホスフィン基、スルホン酸基など金属に配位することのできる官能基を1つ以上持つ有機分子および一酸化炭素、一酸化窒素をあげることができる。 【0024】前記両親媒性分子としては、各種一官能性または多官能性界面活性剤(アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性いずれでも可)たとえばドデシル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコールモノラウレートなどを挙げることができる。 【0025】前記アニオン性化合物としては、塩化物などのハロゲン化物、過塩素酸塩、各種アルコキシドなどのほか修酸、酒石酸、クエン酸などのカルボン酸の塩を挙げることができ、その塩としてはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などを挙げることができる。 【0026】本発明により得られた多元複合系金属粒子コロイド分散液は、そのまま、あるいはそれを適当な担体に担持させて触媒として使用することができる。本発明の多元複合系金属粒子コロイド分散液中の多元金属粒子は、本発明者らが先に発表した同時還元法で得られた多元複合系金属粒子(同時還元以外の点は同じ方法、条件で得られたもの)より、やや大きい粒子となっているが、それにもかかわらず、同時還元法で得られたものより触媒活性が高い傾向を示すのは全く驚くべき現象である。 【0027】 【実施例】以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。 【0028】実施例1(1)銀粒子コロイド分散液の調製還流冷却器付き100ミリリットルナス型フラスコに過塩素酸銀(小島化学製特級試薬)0.0068g(0.033ミリモル)およびポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)(東京化成工業製特級試薬)0.147g(1.32ミリモル、単量体単位)を入れ、反応器の空気部分を窒素置換した。これに蒸留水5ミリリットルを加え、磁気撹拌機を用いて十分撹拌した後、さらにエタノール45ミリリットルを加え、90〜95℃で2時間加熱還流した。溶液は黄色に変化し、銀粒子コロイド分散液が得られた。銀粒子コロイド分散液のUV−Vis吸収スペクトルの結果、銀特有の表面プラズモン吸収による吸収極大が400nm付近に現れた。この溶液を透過型電子顕微鏡により分析した結果、銀粒子の平均粒径は7.6nmであった。 【0029】(2)ロジウム粒子コロイド分散液の調製前記銀コロイド液の調製における過塩素酸銀に変えて、塩化ロジウム0.0087g(0.033ミリモル)を使用した以外は、銀粒子コロイド分散液の調製と同様に操作し、黒褐色の溶液を得た。ロジウム粒子コロイド分散液のUV−Vis吸収スペクトルは、吸収極大は観察されず、滑らかな右下がりの曲線であった。この溶液を透過型電子顕微鏡により分析した結果、粒子の平均粒径は2.2nmであった。 【0030】(3)パラジウム粒子コロイド分散液の調製前記銀粒子コロイド分散液の調製における過塩素酸銀に変えて、酢酸パラジウム0.0074g(0.033ミリモル)を使用した以外は、銀粒子コロイド分散液の調製と同様に操作し、黒褐色の溶液を得た。パラジウム粒子コロイド分散液のUV−Vis吸収スペクトルは、吸収極大は観察されず、滑らかな右下がりの曲線であった。この溶液を透過型電子顕微鏡により分析した結果、粒子の平均粒径は2.7nmであった。 【0031】(4)銀/ロジウム 複合金属粒子コロイド分散液の調製100ミリリットルナス型フラスコに前記(1)記載の銀粒子コロイド分散液4ミリリットルと、前記(2)記載のロジウム粒子コロイド分散液16ミリリットルとを磁気撹拌機を用いて十分撹拌した。銀/ロジウムコロイドのUV−Vis吸収スペクトルの結果、銀とロジウムの単なる算術平均を示さず、混合後時間が経つと図1に示すような滑らかな右下がりの曲線を示した。この結果は、銀粒子およびロジウム粒子の単独コロイド分散液の混合物ではなく、銀/ロジウム複合金属粒子コロイド分散液の生成を示唆している。透過型電子顕微鏡写真からも、銀およびロジウムの単なる混合ではないことが観察された。 【0032】実施例2(銀/パラジウム複合金属粒子コロイド分散液の調製) 100ミリリットルナス型フラスコに実施例1(1)記載の銀コロイド4ミリリットルと、実施例1(3)記載のパラジウムコロイド16ミリリットルとを磁気撹拌機を用いて十分撹拌した。銀/パラジウムコロイドのUV−Vis吸収スペクトルの結果、銀とパラジウムの単なる算術平均を示さず、滑らかな右下がりの曲線を示した。この結果は、銀およびパラジウムの単独コロイドの単なる混合物ではなく、銀/パラジウム複合金属粒子コロイド分散液の生成を示唆している。透過型電子顕微鏡写真からも、銀およびパラジウムの単なる混合ではないことが観察された。 【0033】実施例3(水素化触媒としての利用) 30ミリリットルナス型フラスコに、実施例1(4)記載の銀/ロジウム複合金属粒子コロイド分散液を0.3ミリリットル(2.0×10−4ミリモル)入れ、溶媒としてエタノール18.7ミリリットルを加え、水素雰囲気下、磁気撹拌機を用いて2時間30℃で十分撹拌した。2時間後、水素化反応の基質としてアクリル酸メチル1ミリリットル(0.5ミリモル)を加え、消費した水素の量をガスビュレットにより読みとった。水素化触媒活性は、水素化初速度を測定することにより評価した。調製した触媒の水素化触媒活性は、4.7モル−H2モル−M−1s−1であった。 【0034】比較例1同様に実施例1(1)記載の銀粒子コロイド分散液の水素化触媒活性を調べたところ、0.1モル−H2モル−M−1s−1であった。 【0035】比較例2同様に実施例1(2)記載のロジウム粒子コロイド分散液の水素化触媒活性を調べたところ、3.1モル−H2モル−M−1s−1であった。 【0036】実施例4(1)銀粒子コロイド分散液の調製100ミリリットル石英製シュリンク管に過塩素酸銀(小島化学製特級試薬)0.0068g(0.033ミリモル)およびポリアクリル酸ナトリウム(Aldrich Chemical製特級試薬)0.124g(1.32ミリモル、単量体単位)を入れ、これに蒸留水25ミリリットルを加え、さらにエタノール25ミリリットルを加え、反応器の空気部分を窒素置換した。磁気撹拌機を用いて十分撹拌した後、500W高圧水銀灯にて1時間紫外線照射した。溶液は黄色に変化し、銀コロイド溶液が得られた。銀粒子コロイド分散液のUV−Vis吸収スペクトルの結果、銀特有の表面プラズモン吸収による吸収極大が400nm付近に現れた。この溶液を透過型電子顕微鏡により分析した結果、銀粒子の平均粒径は3.7nmであった。 【0037】(2)パラジウム粒子コロイド分散液の調製実施例4(1)の過塩素酸銀に変えて、酢酸パラジウム0.0074g(0.033ミリモル)を使用した以外は、実施例4(1)と同様に操作し、黒褐色の溶液を得た。パラジウム粒子コロイド分散液のUV−Vis吸収スペクトルは、吸収極大は観察されず、滑らかな右下がりの曲線であった。この溶液を透過型電子顕微鏡により分析した結果、粒子の平均粒径は3.0nmであった。 【0038】(3)銀/パラジウム複合金属粒子コロイド分散液の調製100ミリリットルナス型フラスコに実施例4(1)記載の銀コロイド18ミリリットルと、実施例4(2)記載のパラジウムコロイド2ミリリットルとを磁気撹拌機を用いて十分撹拌した。銀/パラジウムコロイドのUV−Vis吸収スペクトルの結果、銀とパラジウムの単なる算術平均を示さず、滑らかな右下がりの曲線を示した。この結果は、銀およびパラジウムの単独コロイドの混合物ではなく、銀/パラジウム複合金属粒子コロイド分散液の生成を示唆している。透過型電子顕微鏡写真からも、銀およびパラジウムの単なる混合ではないことが観察された。 【0039】実施例5還流冷却器付き100ミリリットルナス型フラスコに、実施例4(3)記載の銀/パラジウム複合金属粒子コロイド分散液を30ミリリットル入れ、凍結脱気した。エチレン:酸素(2:1)600ミリリットルの雰囲気下に静置し、閉鎖系で磁気撹拌機を用いて十分撹拌した後、3時間、170℃で加熱した。3時間後反応温度を0〜5℃に冷却し、反応を停止した。反応溶液中の生成物をガスクロマトグラフ法(TSG−1カラムにより60℃、FID検出器)により分析定量したところ、調製した触媒のエチレン酸化触媒活性は、4.3モル−EOモル−M−1h−1であった。 【0040】比較例3同様に実施例4(1)記載の銀粒子コロイド分散液のエチレン酸化触媒活性を調べたところ、2.7モル−EOモル−M−1h−1であった。 【0041】比較例4同様に実施例4(2)記載のパラジウム粒子コロイド分散液のエチレン酸化触媒活性を調べたところ、0.46モル−EOモル−M−1h−1であった。 【0042】 【発明の効果】本発明により、予期もできない多元複合系金属粒子コロイド分散液の簡単な製法が提供でき、かつそのコロイド分散液は触媒としても有用であった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】394013644 【氏名又は名称】ケミプロ化成株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年8月24日(2000.8.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094466 【弁理士】 【氏名又は名称】友松 英爾
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| 【公開番号】 |
特開2002−60805(P2002−60805A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月28日(2002.2.28) |
| 【出願番号】 |
特願2000−254468(P2000−254468) |
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