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【発明の名称】 硬質材料用炭窒化チタン粉末とその製造方法
【発明者】 【氏名】山本 良治

【氏名】林 武彦

【氏名】後藤 裕明

【氏名】大谷 斉

【要約】 【課題】チタンをベースとした4a,5aおよび6a族元素からなるサーメットや超硬合金,セラミックス等の硬質材料に供せられる炭窒化チタン粉末において、焼結体中にボアが発生しにくい硬質材料用炭窒化チタン粉末およびその製造方法を提供すること。

【解決手段】硬質材料に使用される炭窒化チタン粉末において、CuKαX線回折による(2,0,0)面ピーク半価幅が0.15degree以上、(2,2,0)面ピーク半価幅が0.19degree以上または(2,2,2)面ピーク半価幅が0.23degree以上のいずれかを満たし,且つ主成分であるチタン炭窒化物に,組成がタングステン純分にて0.8重量%以上となるタングステンまたは炭化タングステン,組成0.1〜1重量%からなるコバルト,これらのいずれかまたは両者を固溶化させてなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 硬質材料に使用される炭窒化チタン粉末において、CuKαX線回折による(2,0,0)面ピーク半価幅が0.15degree以上、(2,2,0)面ピーク半価幅が0.19degree以上または(2,2,2)面ピーク半価幅が0.23degree以上のいずれかを満たし,且つ主成分であるチタン炭窒化物に、組成がタングステン純分にて0.8重量%以上となるタングステンまたは炭化タングステン,組成0.1〜1重量%からなるコバルト,これらのいずれかまたは両者を固溶化させてなることを特徴とする硬質材料用炭窒化チタン粉末。
【請求項2】 請求項1記載の硬質材料に使用されるチタン系炭窒化粉末を製造する方法であって、前記半価幅とする為に、熱処理温度を1550〜1700℃とし、熱処理粉末にタングステン、炭化タングステンおよびコバルトを添加することを特徴とする硬質材料用炭窒化チタン粉末の製造方法。
【請求項3】 請求項2記載の硬質材料用炭窒化チタン粉末の製造方法において、原料となるチタン、水素化チタンまたは酸化チタンの内のいずれか一種とカーボンとを混合する工程を備え、前記混合工程は固溶化を目的とし、主成分であるチタン系炭窒化物に,組成がタングステン純分にて0.8重量%以上となるタングステンまたは炭化タングステン,組成0.1〜1重量%からなるコバルト,これらのいずれかまたは両者を固溶化させることを含むことを特徴とする硬質材料用炭窒化チタン粉末の製造方法。
【請求項4】 硬質材料に使用される炭窒化チタン粉末において、CuKαX線回折による(2,0,0)面ピーク半価幅が0.15degree以上(2,2,0)面ピーク半価幅が0.19degree以上または(2,2,2)面ピーク半価幅が0.23degree以上のいずれかを満たし、3μm以下の平均粒径を有し、全炭素量が9.0〜10.5重量%,全窒素量が9.5〜11.0重量%,不可避不純分が0.5重量%以下であることを特徴とする硬質材料用の炭窒化チタン粉末。
【請求項5】 請求項4記載の硬質材料用の炭窒化チタンを製造する方法であって、前記半価幅とする為に炭窒化チタン粉末の全窒素量が9.5〜11.0重量%になるように窒素気流中又は1〜40体積%の水素を含む窒素気流中で前段を1400℃以下で後段を1400〜1700℃の温度において、連続式又はバッチ式の熱処理炉で炭窒化し、3μm以下の平均粒径に粉砕する工程を有することを特徴とする硬質材料用の炭窒化チタン粉末の製造方法。
【請求項6】 請求項5に記載の硬質材料用の炭窒化チタン粉末の製造方法において、炭窒化チタン粉末の全炭素量が9.0〜10.5重量%になるように、原料となる水素化チタンと炭素粉が粉砕および混合されるボールミルによる混合工程を備えることを特徴とする硬質材料用の炭窒化チタン粉末の製造方法。
【請求項7】 請求項4に記載の硬質材料用の炭窒化チタン粉末において、W、Mo、Ta,Nb,Zr,CrおよびVの炭化物又は炭窒化物のうちの1種又は2種以上を0.5〜15重量%添加し、固溶処理し、且つCoおよびNiのうち1種又は2種を0.1〜1.0重量%添加されて熱処理されていることを特徴とする硬質材料用の炭窒化チタン粉末の製造方法。
【請求項8】 請求項7記載の硬質材料用の複合炭窒化チタンを製造する方法であって、前記半価幅とする為に複合炭窒化チタン粉末の全窒素量が8.9〜12.0重量%になるように窒素気流中又は1〜40体積%の水素を含む窒素気流中で前段を1400℃以下で後段を1400〜1700℃の温度において、連続式又バッチ式の熱処理炉で炭窒化し、3μm以下の平均粒径に粉砕する工程を有することを特徴とする硬質材料用の複合炭窒化チタン粉末の製造方法。
【請求項9】 請求項8に記載の硬質材料用の複合炭窒化チタン粉末の製造方法において、複合炭窒素チタン粉末の全炭素量が8.3〜11.0重量%になるように原料となる水素化チタンと炭素粉、W、Mo、Nb、Zr,CrおよびVの金属粉末又はこれらの酸化物のうちのl種又は2種以上を複合炭窒化チタンのベースで0.5〜1.5重量%を添加し且つCoおよびNiの金属粉末又はこれらの酸化物のうち1種又は2種を複合炭窒素化チタンのベースで0.1〜1.0重量%を添加し、これらをボールミルにより粉砕および混合する工程を備えることを特徴とする硬質材料用の複合炭窒化チタン粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切削工具等として製造されるサーメットや超硬合金の他、セラミックス等の硬質材料の原料である炭窒化チタン粉末とその製造方法に関し、詳しくは高強度の切削用途の炭窒化チタン系サーメットの原料となる炭窒化チタン粉末とその製造方法に閔する。
【0002】
【従来の技術】切削用チップとして供せられる、従来のチタンをベースとした4a,5aおよび6a族元素からなる炭窒化チタン系サーメット焼結体はチタンおよび4a,5aおよび6a族元素の炭化物粉末、窒化物粉末又は複合炭化物、窒化物をFe、Co,Niなどの結合金属粉末を目的の組成に混合した後、高温で焼結することにより製造されている。
【0003】一般に、硬質材料用の炭窒化チタン粉末の従来の製造方法は、大きく次の2種類が挙げられる。
【0004】第一の方法は、チタンおよび酸化チタンのいずれかを原料として用い、炭素粉末を所定量混合し、窒素雰囲気において還元・窒化炭化処理後粉砕する方法である。
【0005】第二の方法は、窒素含有雰囲気下にてチタンおよび酸化チタンのいずれかを原料にして熱処理して得られた窒化チタンと前記原料と炭素粉末を用い窒素を含まない還元雰囲気下にて熱処理して得られた炭化チタンまたは、特公昭54−134140号公報に記載されているように粗チタン炭化物をアルミニウムおよび鉄族元素の共存下且つ酸化窒化反応を起こさない雰囲気下にて加熱処理を行い、次いで酸による溶解処理にて得られた炭化チタンとを所定量にて配合し、窒化チタンと炭化チタンを固溶化熱処理後粉砕する方法である。
【0006】これら従来の方法によって得られた炭窒化チタン粉末はCuKαX線回折による(2,0,0)面ピーク半価幅が0.15degree以下、(2,2,0)面ピーク半価幅が0.19degree以下または(2,2,2)面ピーク半価幅が0.23degree以下を有し、チタンをベースとした4a,5aおよび6a族元素からなる硬質材料を製造する上で焼結性が悪いことに起因するポアが発生して強度が低下する欠点がある。これは炭窒化チタンのシャープな結晶なためにサーメットの焼桔最終段階の高温まで、TiCN系サーメットに添加される4a,5aおよび6a族元素の炭化物、窒化物又は複合炭窒化物などの固溶反応や脱窒素の反応が起こるためで、結果としてサーメット焼結体中にポアが残存し、強度が低下する欠点をもたらす。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように用いられるチタンをベースとした4a,5aおよび6a族元素からなる炭窒化チタン系サーメットや超硬合金、セラミックス等の硬質材料を焼結する場合、焼結体中にポアが残存し易く、焼結体の強度が低下する問題があり、焼結時の温度、窒素分圧などの細心の制御が必要であることが知られている。
【0008】そこで、本発明の技術的課題は、チタンをベースとした4a、5aおよび6a族元素からなる炭窒化チタン系サーメットや超硬合金,セラミックス等の硬質材料に供せられる炭窒化チタン粉末において、高強度の炭窒化チタン系サーメットの特性をもたらす炭窒化チタン粉末およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、硬質材料に使用される炭窒化チタン粉末において、CuKαX線回折による(2,0,0)面ピーク半価幅が0.15degree以上、(2,2,0)面ピーク半価幅が0.19degree以上または(2,2,2)面ピーク半価幅が0.23degree以上のいずれかを満たし,且つ主成分であるチタン炭窒化物に、組成がタングステン純分にて0.8重量%以上となるタングステンまたは炭化タングステン,組成0.1〜1重量%からなるコバルト,これらのいずれかまたは両者を固溶化させてなることを特徴とする硬質材料用炭窒化チタン粉末が得られる。
【0010】また、本発明によれば、前記硬質材料に使用されるチタン系炭窒化粉末を製造する方法であって、前記半価幅とする為に、熱処理温度を1550〜1700℃とし、熱処理粉末にタングステン、炭化タングステンおよびコバルトを添加することを特徴とする硬質材料用炭窒化チタン粉末の製造方法が得られる。
【0011】また、本発明によれば、前記硬質材料用炭窒化チタン粉末の製造方法において、原料となるチタン、水素化チタンまたは酸化チタンの内のいずれか一種とカーボンとを混合する工程を備え、前記混合工程は固溶化を目的とし、主成分であるチタン系炭窒化物に,組成がタングステン純分にて0.8重量%以上となるタングステンまたは炭化タングステン,組成0.1〜1重量%からなるコバルト,これらのいずれかまたは両者を固溶化させることを含むことを特徴とする硬質材料用炭窒化チタン粉末の製造方法が得られる。
【0012】また、本発明によれば、硬質材料に使用される炭窒化チタン粉末において、CuKαX線回折による(2,0,0)面ピーク半価幅が0.15degree以上(2,2,0)面ピーク半価幅が0.19degree以上または(2,2,2)面ピーク半価幅が0.23degree以上のいずれかを満たし、3μm以下の平均粒径を有し、全炭素量が9.0〜10.5重量%,全窒素量が9.5〜11.0重量%,不可避不純分が0.5重量%以下であることを特徴とする硬質材料用の炭窒化チタン粉末が得られる。
【0013】また、本発明によれば、前記硬質材料用の炭窒化チタンを製造する方法であって、前記半価幅とする為に炭窒化チタン粉末の全窒素量が9.5〜11.0重量%になるように窒素気流中又は1〜40体積%の水素を含む窒素気流中で前段を1400℃以下で後段を1400〜1700℃の温度において、連続式又はバッチ式の熱処理炉で炭窒化し、3μm以下の平均粒径に粉砕する工程を有することを特徴とする硬質材料用の炭窒化チタン粉末の製造方法が得られる。
【0014】また、本発明によれば、前記硬質材料用の炭窒化チタン粉末の製造方法において、炭窒化チタン粉末の全炭素量が9.0〜10.5重量%になるように、原料となる水素化チタンと炭素粉が粉砕および混合されるボールミルによる混合工程を備えることを特徴とする硬質材料用の炭窒化チタン粉末の製造方法が得られる。
【0015】また、本発明によれば、前記硬質材料用の炭窒化チタン粉末において、W、Mo、Ta,Nb,Zr,CrおよびVの炭化物又は炭窒化物のうちの1種又は2種以上を0.5〜15重量%添加し、固溶処理し、且つCoおよびNiのうち1種又は2種を0.1〜1.0重量%添加されて熱処理されていることを特徴とする硬質材料用の炭窒化チタン粉末の製造方法が得られる。
【0016】また、本発明によれば、前記硬質材料用の複合炭窒化チタンを製造する方法であって、前記半価幅とする為に複合炭窒化チタン粉末の全窒素量が8.9〜12.0重量%になるように窒素気流中又は1〜40体積%の水素を含む窒素気流中で前段を1400℃以下で後段を1400〜1700℃の温度において、連続式又バッチ式の熱処理炉で炭窒化し、3μm以下の平均粒径に粉砕する工程を有することを特徴とする硬質材科用の複合炭窒化チタン粉末の製造方法が得られる。
【0017】さらに、本発明によれば、前記硬質材料用の複合炭窒化チタン粉末の製造方法において、複合炭窒素チタン粉末の全炭素量が8.3〜11.0重量%になるように原料となる水素化チタンと炭素粉、W、Mo、Nb、Zr,CrおよびVの金属粉末又はこれらの酸化物のうちのl種又は2種以上を複合炭窒化チタンのベースで0.5〜1.5重量%を添加し且つCoおよびNiの金属粉末又はこれらの酸化物のうち1種又は2種を複合炭窒素化チタンのベースで0.1〜1.0重量%を添加し、これらをボールミルにより粉砕および混合する工程を備えることを特徴とする硬質材料用の複合炭窒化チタン粉末の製造方法が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】まず、本発明の実施の形態を説明する前に、本発明について、さらに、具体的に説明する。
【0019】本発明者らは、硬質材料の主成分となる炭窒化チタン粉末の製造工程において、熱処理温度を制御する方法、および、タングステンまたは炭化タングステン,もしくはコバルトの1種類以上を所定量固溶化させる方法により、炭窒化チタン粉末のX線回折による半価幅を制御し、これを用いた焼結体に発生するポアを抑制できることを見出し、本発明を為すに至ったものである。
【0020】前述したように、一般に、硬質材料用炭窒化チタン粉末の製造方法は、大きく次の2種類が挙げられる。
【0021】第一の方法は、チタン、水素化チタンおよび酸化チタンのいずれかを原料として用い、カーボンを所定量配合し、窒素含有雰囲気において還元・窒化・炭化処理後粉砕する方法である。
【0022】第二の方法は、窒素含有雰囲気下にてチタン、水素化チタンおよび酸化チタンのいずれかを原料として熱処理して得られた窒化チタンと、前記原料とカーボンを用い窒素を含まない還元雰囲気下にて熱処理して得られた炭化チタンまたは、特公昭54−134440号公報に記載されているように、粗チタン炭化物をアルミニウムおよび鉄族元素の共存下且つ酸化,窒化反応を起こさない雰囲気下にて加熱処理を行い,次いで酸による溶解処理にて得られた炭化チタンとを所定量にて配合し、窒化チタンと炭化チタンを固溶化熱処理後粉砕する方法である。
【0023】本発明者らは、前述した2種の方法にて得られた炭窒化チタン粉末を主成分として得られるチタンをベースとした4a,5aおよび6a族元素からなる硬質材料を製造する上で,焼結時に発生するポアは、主に主成分たるチタン炭窒化物中の窒素が焼結時に脱窒素することに起因するものと考えた。実際に,上記方法にて得られたTiC0.50.5粉末の温度上昇に伴う脱窒素量をアルゴンガス雰囲気下にて調査した結果、約1200℃にて脱窒素が起こり、その後脱窒素量が少なくなるが、約1500℃から急激に脱窒素量が増加することが分かった。この状況は、上記2種類の方法にて得られた炭窒化チタン粉末共に同様な結果となっていた。
【0024】この脱窒素現象の抑制を行う為,硬質材料作製を目的とした炭窒化物焼結に際して配合されるタングステンまたは炭化タングステン,もしくはコバルトを予め主成分たる炭窒化チタン粉末熱処理時に所定量固溶化させる効果を調査した。
【0025】例として、チタン炭窒化物としてTiC0.50.5を用い,タングステン,炭化タングステン,コバルトを固溶化処理させた場合の効果について以下に記す。
【0026】固溶させる成分がタングステン,炭化タングステンの場合,TiC0.5.5内の組成がタングステン純分にて0.7, 0.8, 3重量%, コバルトの場合純分0.07, 0.1, 0.3重量%となるように水素化チタンおよびカーボンからなる原料に配合する。ここで、タングステン純分0.7重量%およびコバルト純分0.07重量%は,TiC0.50.5に意図的に添加せずとも,熱処理後超硬ボールにて粉砕する為,不可避的に混入する量である。なお,タングステンを添加する場合、熱処理により炭化タングステンとなるようにカーボン値を配合する必要がある。この配合粉末をカーボン製ボートに挿入し窒素含有雰囲気にて熱処理し、TiC0.50.5中に固溶化させた。熱処理温度は、コバルトを添加する場合、約1300℃にて液相となると考えられ、十分なチタンの炭窒化とコバルト液相化による粉末の凝集化抑制の双方を考慮し,1550〜1700℃が好ましい。
【0027】得られた粉末をFisher社Sub−Sieve Sizerにて、粒度1.5μmになるように粉砕処理した。この粉末はX線回折処理にて充分に固溶化したことが確認された。
【0028】得られたTiC0.50.5粉末を主成分とし,炭化チタン,炭化タングステン,炭化タンタル,コバルト,ニッケルを所定量混合,成形し,この成形体を窒素含有雰囲気にて真空度約1.3×10−3MPa,温度1500℃にて2時間焼結した。その結果,タングステン,炭化タングステン,コバルトを固溶させない場合,即ちタングステン純分0.7重量%,コバルト純分0.07重量%の場合に比較し,固溶させた場合,即ちタングステン純分0.8重量%以上、コバルト純分0.1重量%以上固溶させた場合、焼結体中のポア発生が抑制されていることを確認できた。その効果の機構は、いまだ詳細には解明できないが,炭化タングステンやコバルトとチタン炭窒化物の固溶により,窒素原子が格子中から抜けにくくなることを表していると考えられる。また、これらを固溶させることは炭窒化チタン粉末の特性として、X線回折により得られるピークの半価幅を大きくすることになる。
【0029】固溶の有無と半価幅の調査の結果、これらの元素を添加することにより、結晶子、歪みは大きくなり結果として半価幅は広くなることが分かった。
【0030】一例として,水素化チタンとカーボンを原料とし、1700℃で熱処理後、1.2μmまで粉砕したTiC0.50.5にて,粉砕後タングステン純分3重量%,コバルト純分0.3重量%となるよう,炭化タングステン、コバルトを添加し、熱処理時に固溶させた場合と、意図的に添加しない、即ち、固溶させない場合をX線回折で比較すると、固溶させない場合、結晶子545Å、歪み0.041%、格子定数4.2801Å、(2,0,0)面ピーク半価幅0.1088degree、(2,2,0)面ピーク半価幅0.1091degree,(2,2,2)面ピーク半価幅0.1245degreeに対し、固溶させた場合、結晶子586Å、歪み0.082%、格子定数4.2794Å、(2,0,0)面ピーク半価幅0.1196degree、(2,2,0)面ピーク半価幅0.1307degree、(2,2,2)面ピーク半価幅0.1611degreeであった。これより、固溶させることにより格子定数は殆ど変らないが、結晶子や歪みが大きくなり結果として半価幅が広くなるものと考えられた。
【0031】焼結時のポア発生抑制に有効に作用するタングステンまたは炭化タングステンの量は、タングステン純分にて0.8重量%以上が好ましく,またコバルトの量は0.1〜1重量%が好ましい。タングステンまたは炭化タングステンの場合,タングステン純分が0.8重量%に満たない場合,焼結体中のポア発生抑制効果を多く期待できない。但し、チタン炭窒化物を作製する場合、窒素源となる窒素ガスとの接触性がチタン炭窒化物の均一な品質に影響を及ぼすことからタングステン純分にて10重量%以下がより好ましい。一方,コバルトの場合、添加量は0.1重量%以下ではポア抑制効果を多く期待できない。コバルトは前述のように約1300℃にて液相となるためより高温にて作製するチタン系炭窒化物熱処理時,固溶化すると同時に粉末同士の強固な凝集を引き起こし,熱処理粉末の取出や粉砕等の後工程に支障を引き起こす可能性があるため,好ましくは、1重量%以下の添加量がよい。
【0032】また、焼結する際、焼結する粉末に歪みが多く存在する方がより焼結において歪みが開放される為焼結が促進されるものと考え、本発明者らは、水素化チタンとカーボンから作製されるTiC0.50.5粉末にて、焼結温度と結晶子、歪み、格子定数、半価幅との関係を調査した。意図的な固溶はさせずに熱処理後1.2μmまで粉砕した結果、1600℃〜2000℃まで熱処理温度を変化により、結晶子は425〜586Å、歪みは0.391〜0.068%、(2,0,0)面ピーク半価幅は0.3693〜0.1096degree、(2,2,0)面ピーク半価幅0.5231〜0.1222degree、(2,2,2)面ピーク半価幅0.5476〜0.1442degreeにて変化する傾向、即ち、熱処理温度の上昇と共に結晶子は大きくなり、歪みは少なくなり、半価幅は小さくなる傾向が見られ、格子定数は4.2794〜4.2882Åの間で特に傾向は見られなかった。これらの粉末を上述のようにTiC0.50.5粉末を主成分とし,炭化チタン,炭化タングステン,炭化タンタル,コバルト,ニッケルを所定量混合,成形し,この成形体を窒素含有雰囲気にて、真空度約1.3×10−3MPa,温度1500℃にて2時間焼結した.その結果、1800℃では比較的ポアが少ないが1600℃や2000℃ではポアが多く表れる結果となった。この原因として2000℃のような高温での粉末作製は歪みが少ない為、焼結が促進されず、逆に1600℃のような低温では歪みは大きいが粉末中の窒素が十分に結合されない為ポア発生となったものと考える。一方、このような1600℃で熱処理する粉末は予め前述のようにタングステン、炭化タングステンまたはコバルトを添加し、固溶させると焼結体中にポアは発生しない結果となった。これは前述のように固溶により脱窒素が起こりにくくなるためと考えられる。
【0033】以上のことから、チタンをベースとした4a,5aおよび6a族元素からなるサーメットや超硬合金,セラミックス等の硬質材料に供せられる炭窒化チタン粉末において、炭窒化チタン粉末は、経済的に製造する為には低温で行うことが好ましいことも考慮し、1550〜1700℃にて熱処理し、熱処理・粉砕後にも歪みを残すことにより焼結を促進する効果を狙い、更にタングステン、炭化タングステンまたはコバルトを所定量固溶させることにより脱窒素を妨げることが期待できる結果が得られた。また,熱処理、粉砕後の粉末の歪みおよび固溶状態を示す指標としてX線回折結果が挙げられ、その範囲は、(2,0,0)面ピーク半価幅が0.15degree以上、(2,2,0)面ピーク半価幅が0.19degree以上または(2,2,2)面ピーク半価幅が0.23degree以上のいずれかを満たすチタン系炭窒化物粉末が有用であることを見出した。
【0034】本第1発明は、チタンをベースとした4a,5aおよび6a族元素からなるサーメットや超硬合金,セラミックス等の硬質材料に供せられる炭窒化チタン粉末において、不良原因となる焼結体中のポアの抑制に貢献するものであり,その粉末およびその製造方法を提案するものである。
【0035】また、本発明者らは、硬質材料の主成分となる炭窒化チタン粉末の製造工程において、原料の水素化チタン粉末と炭素粉末の混合、この混合粉末の熱処理温度を制御することにより、チタン炭窒化粉末のX線回折による半価幅を従来の方法より広く制御してサーメットにおいて焼結性を改善する研究を行った結果、高強度のサーメット焼結体が提供できる炭窒化チタン粉末およびその製造方法の第2発明を為すに至ったものである。
【0036】本第2発明では、上記の研究結果に基づき、原料粉末として、炭窒化チタン粉末の全炭素量が9.0〜10.5重量%になるように原料となる水素化チタンに8.5〜9.5重量%の炭素粉をボールミル等の混合機を用いて粉砕および混合した後、この混合粉末に炭窒化チタン粉末の全窒素量が9.5〜10.0重量%になるように窒素気流中又はl〜40体積%の水素を含む窒素気流中て前段を1400℃以下で後段を1400〜1700℃の濃度において、連続式又はバッチ式の熱処理炉で熱処理を施した後、3μm以下の平均粒径にボールミル等の粉砕機で粉砕することにより、CuKαX線回折による(2,0,0)面ピーク半価幅が0.15degree以上、(2,2,0)面ヒーク半価幅が0.19degree以上または(2,2,2)面ピーク半価幅が0.23degree以上のいずれかを満たした全炭素量が9.0〜10.5重温%,全窒素量が9.5〜11.0重量%,不可避不純分が0.5重量%以下である炭窒化チタン系サーメット用の炭窒化物チタン粉末の製造方法である。
【0037】次に、本発明の方法において、製造条件を上記に限定した理由を説明する。
【0038】一般的に、窒化チタン系サーメットは4a,5aおよび6a族元素の炭化物又は窒化物が添加され、その焼結過程でこれらの添加物と炭窒化チタンの複雑な固溶反応が起こる。X線回折の半価幅値を左右する要因として、結晶粒子の大きさ,残留応力即ち粒子の内部応力などがある。炭窒化チタン粉末のX線回折による半価幅即ち粒子の内部応力はサーメット焼結過程における固溶反応および焼結性に影響する。内部応力を多く持っている炭窒化チタン粉末はその内部応力がサーメット焼結中の固溶および焼結反応の活性化エネルギーを下げることができる。この考えに基づき、焼結過程における緻密化のより早い段階で固溶、脱窒、および焼結反応を進行させ、ポアの少ないサーメット焼結体を得るために、炭窒化チタン粉末の、CuKαX線回折による(2,0,0)面ピーク半価幅を0.15degree以上,(2,2,0)面ピーク半価幅を0.19degree以上、または(2,2,0)面ピーク半価幅を0.23degree以上のいずれかを満たす大きな半価幅とし、しかも、その平均粒径は従来の方法で製造される炭窒化チタン粉末と同等の3μm以下とした。
【0039】サーメット焼結体において、微細な有芯構造硬質相を生成するために全炭素量を9.0〜l0.5重量%,全窒素量を9.5〜11.0重量%に限定した。
【0040】上記炭窒化チタン粉末を製造する方法として、炭窒化チタン粉末の全炭素量が9.0〜10.5重量%になるように原料となる水素化チタンと炭素粉をボールミルで粉砕および混合する工程とした。酸化チタン又は金属チタンも原料として考えられるが、前者は2段階で長時間の炭窒化の処理が必要で半価幅の大きな炭窒化チタン粉末を得ることが困難なこと、後者は炭素粉末との瞬間的発熱反応で制御が困難なこと、また、四塩化チタンを炭化水素および窒素雰囲気中の気相反応で合成する方法があるが、著しく微細で炭窒化チタン系サーメット原料として適さないことから、後述する方法により反応の制御が可能な水素化チタンを原料とし、これに炭素粉を混合する製造方法とした。
【0041】前述したように、得られた混合粉末を前述したように、定めた半価幅を有する炭窒化チタン粉末に炭窒化するために、全窒素量が9.5〜11.0重量%になるように窒素気流中又は1〜40体積%の水素を含む窒素気流中に定め、前段を1400℃以下で後段を1400〜1700℃の温度において、連続式又はバッチ式の熱処理炉で炭窒化することに定めた。l400℃以下に定めたのは、前段で気相からの窒素による水素化チタンへの窒化反応を優先させるためである。後段を1400〜1700℃に定めたのは、制御された炭窒化反応で十分反応した炭窒化物とすることができること、速く複雑に進行するこれらの反応により発生する応力が内部応力として炭窒化チタン粒子に残留させ、これがX線回路により大きな半価幅として測定され、1700℃以上の高温に加熱することにより炭窒化チタン粒子内の内部応力が解放されるのを回避するためである。
【0042】さらに、本発明者らは、硬質材料の主成分となる炭窒化チタン粉末の製造工程において、原料の水素化チタン粉末と炭素粉、W,Mo,Ta、Nb,Zr,CrおよびVの金属粉末又はこれらの酸化物のうちの1種又は2種以上を複合炭窒化チタンのベースで0.5〜15重量%添加し、且つCoおよびNiの金属粉末又はこれらの酸化物のうちl種又は2種を複合炭窒化チタンのベースで0.1〜1.0重量%添加し、これらの混合粉末の熱処理濃度を制御することにより、チタン炭窒化粉末粉末のX線回折による半価幅を従来の方法より広く制御してサーメットにおいて焼結性を改善する研究を行った結果、高強度のサーメット焼結体が提供でき、複合炭窒化チタン粉末およびその製造方法の以下の発明をするに至ったものである。
【0043】本第3発明は上記の研究結果に基ついたものであり、原料粉末として、複合炭窒化チタン粉末の全炭素量が8.3〜11.0重量%になるように原料となる水素化チクンと炭素粉、W,Mo,Ta,Nb,Zr,CrおよびVの金属粉末又はこれらの酸化物のうちの1種又は2種以上を複合炭窒化チタンのベースで0.5〜15重量%添加し、且つCoおよびNiの金属粉末又はこれらの酸化物のうち1種又は2種を複合炭窒化チタンのベースで、0.1〜1.0重量%添加し、これらをボールミル等の混合機を用いて混合した後、この混合粉末に、複合炭窒化チタン粉末の全窒素量が8.9〜12.0重量%になるように窒素気流中又は1〜40体積%の水素を含む窒素気流中で前段を1400℃以下で後段を1400〜1700℃の温度において連続式又はバッチ式の熱処理炉で熱処理を施した後,3μm以下の平均粒径にボールミル等の粉砕機で粉砕することにより、CuKαX線回折による(2,0,0)面ピーク半価幅が0.15degree以上,(2,2,0)面ピーク半価幅が、0.19degree以上または(2,2,2)面ピーク半価幅が0.23degree以上のいずれかを満たした全炭素量が8.3〜11.0重量%,全窒素量が8.9〜12.0重量%,不可避不純分が0.5重量%以下であることを特徴とする炭窒化チタン系サーメット用の複合炭窒化チタン粉末の製造方法である。
【0044】次に本第3発明の方法において製造条件を上記に限定した理由を説明する。
【0045】一般的に、炭窒化チタン系サーメットは、4a,5aおよび6a族元素の炭窒化物又は窒化物がサーメットの組織の微細化や強度改善のために添加される。この炭窒化チタン系サーメットの焼結過程でこれらの添加物と炭窒化チタンの複雑な固溶反応が起こり、固溶相のばらつきや固溶および結合相金属のCoやNiによる液相焼結反応の際に発生するガスの影響でポアが発生する問題がある。これらの炭窒化チタン系サーメットに添加される4a,5aおよび6a族元素のW,Mo,Ta,Nb,Zr,CrおよびVなどの元素をサーメットの前段の工程で添加し、熱処理により固溶化した複合炭窒化物とすることにより炭窒化チタン系サーメットの焼結過程で起こる固溶反応に起因したサーメット焼結体の強度低下を回避でき、その添加量をサーメット焼結工程での固溶反応を軽減してポア減少の効果が得られる0.5〜l5重量%とした。
【0046】また、X線回折の半価幅値を左右する要因として、結晶粒子の大きさ,残留応力、即ち粒子の内部応力などがある。炭窒化チタン粉末のX線回折による半価幅即ち粒子の内部応力はサーメット焼結過程における固溶反応および焼結性に影響する。内部応力を多く持っている炭窒化チタン粉末はその内部応力がサーメット焼結巾の固溶および焼結反応の活性化エネルギーを下げることができる。この考えに基づき、焼結過程における緻密化のより早い段階で固溶,脱窒および焼結反応が進行し、ポアの少ないサーメット焼結体を得るために、炭窒化チタン粉末CuKαX線回折による(2,0,0)面ピーク半価幅を0.15degree以上、(2,2,0)面ピーク半価幅を0.19degree以上または(2,2,2)面ピーク半価幅を0.23degree以上のいずれかを満たす大きな半価幅とした。
【0047】次に、CoやNiなどのサーメットの結合相金属元素を炭窒化チタン粉末の製造工程でその一部を添加し熱処理することによりこれらの給合金属元素で濡らされた複合炭窒化チタン粉末として炭窒化チタン系サーメットの焼結性の改善ができて焼結体の強度が改善できる。
【0048】これらの金属元素を多く含有した場合は焼結現象により生成物の複合炭窒化チタンが著しく固くなるため、強度改善の効果が得られる0.1〜1重量%とした。
【0049】しかも、その平均粒径は、従来の方法で製造される炭窒化チタン粉末と同等の3μm以下とした。
【0050】サーメット焼結体において、微細な有芯構造硬質相を生成するために全炭素量を8.3〜11.0重量%全窒素量を8.9〜12.0重量%に限定した。
【0051】上記複合炭窒化チタン粉末を製造する方法として、複合炭窒化チタン粉末の全炭素量が8.3〜11.0重量%になるように原料となる水素化チタンと炭素粉、W,Mo,Ta,Nb,Zr,CrおよびVの金属粉末又はこれらの酸化物のうちの1種又は2種以上を複合炭窒化チタンのベースで0.5〜l5重量%添加し、且つCoおよびNiの金属粉末又はこれらの酸化物のうち1種又は2種を複合炭窒化チタンのベースで0.1〜1.0重量%添加し、これらをボールミルにより粉砕および混合する工程とした。酸化チタン又は金属チタンも原料として考えられるが前者は2段階で長時間の炭窒化の処理が必要で半価幅の大きな炭窒化チタン粉末を得るのが困難なこと、後者は炭素粉末との瞬間的発熱反応で制御が困難なこと、また、四塩化チタンを炭化水素および窒素雰囲気中の気相反応で合成する方法があるが著しく微細で炭窒化チタン系サーメット原料として適さないことから、後述する方法により反応の制御が可能な水素化チタンを原料とし、これに炭素粉を混合する製造方法とした。
【0052】前述した例に基づく混合粉末を所定の半価幅を有する複合炭窒化チタン粉末に炭窒化するために、全窒素量が9.5〜11.0重量%になるように窒素気流中又は1〜40体積%の水素を含む窒素気流中に定め、前段を1400℃以下で、後段を1400〜1700℃の温度において連続式又はバッチ式の熱処理炉で炭窒化することに定めた。1400℃以下の前段に定めたのは、前段で気相からの窒素による水素化チタンの窒化反応を優先させるためであり、後段をl400〜1700℃としたのは、制御された炭窒化反応で十分反応した炭窒化物とすることができること、速く複雑に進行するこれらの反応により発生する応力が内部応力として炭窒化チタン粒子に残留させ、これがX線回折により大きな半価幅として測定され、1700℃以上の高温に加熱することで、炭窒素化チタン粒子内の内部応力が解放されるのを回避するためである。
【0053】次に本発明の第1の実施の形態による硬質材料用炭窒化チタン粉末の製造例について説明する。
【0054】(例1)以下に示す本発明および比較例による粉末の作製法と得られた粉末のX線回折による半価幅測定値および,硬質材料焼結時におけるポア発生状況の一覧を下記表1に示した。
【0055】水素化チタンとカーボンを原料とし,TiC0.50.5粉末としたときのタングステン純分がTiC0.50.5ベースにて0.8重量%になるようにタングステンを添加した。このとき,熱処理にてタングステンが炭化タングステンとなるように予めカーボン量を調整した。これらの混合粉末を窒素含有雰囲気にて1600℃で熱処理し、1.2μmまで粉砕処理した。得られた炭化タングステン固溶TiC0.50.5に炭化タングステン、炭化タンタル、コバルト、ニッケルを配合し、混合・成形後、窒素含有雰囲気,真空度1.3×10−3MPa,1500℃にて2時間焼結した。得られた焼結体断面のポア発生状況を確認した結果,その度合いは超硬工具協会規格(CIS)の分類でA02レベルであった。
【0056】(例2)上記例1と同様にTiC0.50.5粉末としたときのタングステン純分がTiC0.50.5べ一スにて3重量%になるようにタングステンを添加した。例1と同様の処理を行い,ポアのレベルを確認した結果,CIS規格A02レベルであった。
【0057】(例3,4)上記例1と同様に添加固溶成分として炭化タングステンを用い,TiC0.50.5粉末としたときのタングステン純分がTiC0.50.5ベースにて0.8重量%,3重量%になるように炭化タングステンにて調整した。例1と同様の処理を行い,TiC0.50.5を主成分とした焼結体のポアのレベルを確認した結果,各々CIS規格A02レベルであった。
【0058】(例5,6)上記例1と同様に添加固溶成分としてコバルトを用い,TiC0.50.5粉末としたときのコバルト純分がTiC0.50.5ベースにて0.1重量%,1重量%になるようにコバルトを添加した。例1と同様の処理を行い,TiC0.50.5を主成分とした焼結体のポアのレベルを確認した結果,各々CIS規格A02レベルであった。
【0059】(例7)上記例1と同様に添加固溶成分として炭化タングステン,コバルトを用い,TiC0.50.5粉末としたときのタングステン純分,コバルト成分がTiC0.50.5ベースにて各々0.8重量%,0.3重量%になるように炭化タングステン,コバルトを添加した。例1と同様の処理を行い,TiC0.5.5を主成分とした固溶体のポアのレベルを確認した結果,CIS規格A02レベルであった。
【0060】(例8)窒化チタンおよび炭化チタンにTC0.50.5粉末としたときのタングステン純分が,TiC0.50.5ベースで0.8重量%となるように炭化タングステンを配合し,1700℃にて固溶化処理後,粉砕した。これを例1と同様に炭化タングステン,炭化タンタル,コバルト、ニッケルを配合し,混合・成形後,窒素含有雰囲気,真空度1.3×10−3MPa,1500℃にて2時間焼結した。得られた焼結体断面のポア発生状況を確認した結果,その度合いはCIS規格A02レベルであった。
【0061】(比較例1,2)水素化チタンとカーボンを原料とし,窒素ガス含有雰囲気にて1600,2000℃にて各々熱処理しTiC0.50.5化した。1.2μmまで粉砕した場合のタングステン純分は各々0.7重量%,0.75重量%であり,コバルト純分は各々0.07重量%,0.08重量%であつた.これに炭化タングステン,炭化タンタル,コバルト,ニッケルを配合し,例1と同様に焼結した。得られた焼結体断面のポア発生状況を確認した結果,共にポアが発生しており各々CIS規格A04レベルであった。
【0062】(比較例3)窒化チタンおよび炭化チタンを混合し,1900℃にてTiC0.50.5となるように固溶化処理した.1.2μmまで粉砕した場合のタングステン純分は0.75重量%,コバル卜純分は0.08重量%であった。これを例1と同様に焼結した。得られた焼結体断面のポア発生状況を確認した結果,ポアが発生しており,その度合いはCIS規格A04レベルであった。
【0063】
【表1】

【0064】つぎに、本発明の第2の実施の形態について、具体的に説明する。下記表2に示したそれぞれの原料を用い所定量の炭素粉末およびW、Mo,Ta,Nb,Zr,CrおよびVの金属粉末又はこれらの酸化物のうちの1種又は2種以上を複合炭窒化チタンのベースで0.5〜15重量%添加し且つCoおよびNiの金属粉末又はこれらの酸化物のうち1種又は2種を複合炭窒化チタンのベースで0.1〜1.0重量%添加し、これらを混合後、表4に示したそれぞれの雰囲気、温度で熱処理して炭窒化チタンを合成した。得られた生成物に所定のボールミル処理を施し表1の特性の複合炭窒素化チタン粉末を得た。本発明の条件で作製したNo.1〜9の粉末は、W、Mo,Ta,Nb,Zr,Cr,VおよびCoおよびNiの添加を添加した複合炭窒化粉末で残留内部応力の影響で大きいX線回折半価幅を有し、CuKαX線回折による(2,0,0)面ピーク半価幅が0.15degree以上、(2,2,0)面ピーク半価幅が0.19degree以上、また(2,2,2)面ピーク半価幅が、0.23degree以上を満たしているのに対し、より高温の条件である従来の方法で作製したNo.l0〜13の炭窒化チタン粉末は小さい半価幅を示している。
【0065】
【表2】

【0066】ついで、上記表2のそれぞれ複合炭窒化チタン粉末に、一般的組成のサーメットとなるようにNb,Cr、V,Zrについては、表2に示した量を付加的な添加物として、W、Mo,Taについては一定の組成になるようにWC,MoC,TaCをコバルトおよびニッケル粉末と配合し、湿式混合し、プレス成形し、窒素含有雰囲気真空度1.3×10−3Pa、1500℃にて2時間焼結した。得られた焼結体について硬度および抗折力を測定した。その結果を下記表3に示す。
【0067】本発明による複合炭窒化チタン粉末から作製したサーメットは、従来の方法により作製したそれに比較して、同等の硬度にもかかわらず高い抗折力を有し、本発明による複合炭窒化チタン粉末は、W、Mo,Nb、Zr,Crの添加の効果、CoおよびNiの添加効果およびX線回折による半価幅即ち粒子の内部応力が焼結に影響し、即ち内部応力を多く持っている本発明の炭窒化チタン粉末がその内部応力がサーメット焼結中の固溶および焼結反応の活性化エネルギーを下げることで、焼結過程における緻密化のより早い段階から固溶、脱窒、および焼結反応が進み、ポアの少ない高強度のサーメット焼結体をもたらし、工業的に有用な効果をもたらしている。
【0068】
【表3】

【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって得られるチタン炭窒化物は,切削工具として使用されるチタンを主成分とした4a,5aおよび6a族元素からなるサーメットや超硬合金,セラミックス等の硬質材料焼結において有用であり,不良原因となるポアの抑制に貢献するものである。
【出願人】 【識別番号】000220103
【氏名又は名称】株式会社アライドマテリアル
【出願日】 平成13年6月5日(2001.6.5)
【代理人】 【識別番号】100071272
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 洋介 (外1名)
【公開番号】 特開2002−60802(P2002−60802A)
【公開日】 平成14年2月28日(2002.2.28)
【出願番号】 特願2001−169555(P2001−169555)