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【発明の名称】 金粉、その製造方法および製造装置
【発明者】 【氏名】神田 勇一

【氏名】佐々木 昭一

【要約】 【課題】金粉の光沢および伸び性を向上する。

【解決手段】厚さ0.05〜0.5μmの金箔を粘性率が50〜500mPa・Sである液体L中に混入し、この混合液に、互いの刃先8A,8Bが2〜20μmの間隙Gを空けて対向状態ですれ違う一対以上の回転刃6A,6Bを浸漬してこれら回転刃6A,6Bを回転することにより粗粉体を粉砕し、長径方向の粒径が5〜25μmで厚さが0.05〜0.5μmである矩形状の偏平金粒子を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 その重量の98%以上が矩形状の偏平金粒子からなる金粉であって、前記偏平金粒子の長径方向の粒径は5〜25μmであり、厚さは0.05〜0.5μmであることを特徴とする金粉。
【請求項2】 厚さ0.05〜0.5μmの金箔を粘性率が50〜500mPa・Sである液体中に混入し、この混合液に、互いの刃先が2〜20μmの間隙を空けて対向状態ですれ違う一対以上の回転刃を浸漬してこれら回転刃を回転することにより前記粗粉体を粉砕し、長径方向の粒径が5〜25μmで厚さが0.05〜0.5μmである矩形状の偏平金粒子を製造することを特徴とする金粉の製造方法。
【請求項3】 容器と、この容器に入れられた粘性率が50〜500mPa・Sである液体と、この液体に浸漬されている一対以上の回転刃と、これら回転刃を回転させる駆動機構とを有し、これら回転刃が回転すると互いの刃先が2〜20μmの間隙を空けて対向状態ですれ違うように構成されていることを特徴とする金粉の製造装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高級工芸品の装飾等に使用される金粉、その製造方法および製造装置に関し、特に、金粉の伸び性と光沢を高めるための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の装飾用金材料としては、従来より一般に、金箔を正方形に切断する際に生じる周縁部分、いわゆる切り回し屑を原料として製造される「金泥」が使用されている。この金泥は、前記切り回し屑を水飴やニカワと混合し、これを長時間混練して製造されるもので、この金泥中の金粒子は偏平な金粒子となっている。そして上記金泥は、水又はお湯で洗浄し、乾燥後工芸品に塗布し、用いられる。
【0003】本発明者らが、従来から製造されている数種の金泥中の偏平金粒子の粒径分布を、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて調べたところ、長径方向粒径の分布範囲は0.05〜25μm程度、粒径のメジアン値は1.9〜3.7μmとなった。メジアン値とは、粒子を粒径の小さい順に細かく分級した場合に、その積算重量が全量の50%に達する粒径のことである(D50値ともいう)。
【0004】しかしながら、金泥に含まれる金粒子の粒径ばらつきは大きいため、金泥によって形成された塗膜中では金粒子間の隙間が大きく、塗布量を比較的多くしないと下地が露出し、単位塗布面積当たりの原料コストがかかるという欠点があった。また、粒径20μm以上の大きい粒子が塗膜中に散在して光る一方、長時間の混練により潰れや変形、カールして反射率が低下する粒子もあり、粒子毎の反射率のばらつきが大きく、きめの粗い光沢となる問題も有する。
【0005】そこで本出願人は、より粒径および形状が揃った金粉を得るため、液体中に粗く粉砕した金箔屑を投入して高速撹拌する方法を編み出した。この方法によれば、撹拌条件および液体の物性(特に粘性)を調整することにより、従来の金泥よりも粒子形状が整い、かつ粒度分布が狭い金粉を製造することができる。
【0006】さらに本出願人は、特開平06−100901号公報に記載されているように、長径方向粒径0.05〜1.5μmかつ厚さ0.05〜0.5μmである小径偏平金粒子を5〜50wt%、長径方向粒径1.5〜8μmかつ厚さ0.05〜0.5μmである中径偏平金粒子を5〜70wt%、長径方向粒径8〜20μmかつ厚さ0.05〜0.5μmである大径偏平金粒子をほぼ残部含有する装飾用金粉を提案した。このような混合金粉によれば、装飾品の表面に漆やカシュー樹脂塗料等の塗料を塗布し、この塗料が乾く前に金粉を散布して塗り広げることにより、良好な遮蔽性を得ることができる。遮蔽性とは、塗布面に均一に行き渡るように金粉を塗布したのち、下地がどの程度遮蔽されるかで判定される尺度である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近は小型の装飾品のみならず、壁面、ふすまなどの大面積を有する物品に金粉を塗布する需要が生じ始めている。このような場合、上記従来の金粉を使用すると、遮蔽性が良好なのであるが、塗布後の光沢がやや鈍く、このような大面積塗布用としては地味であるという問題が指摘されていた。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、伸び性および光沢が優れた金粉、その製造方法および製造装置を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明に係る金粉は、その重量の98%以上が矩形状の偏平金粒子からなる金粉であって、前記偏平金粒子の長径方向の粒径は5〜25μmであり、厚さは0.05〜0.5μmであることを特徴とする。
【0010】本発明に係る金粉製造方法は、厚さ0.05〜0.5μmの金箔を粘性率が50〜500mPa・Sである液体中に混入し、この混合液に、互いの刃先が2〜20μmの間隙を空けて対向状態ですれ違う一対以上の回転刃を浸漬してこれら回転刃を回転することにより前記粗粉体を粉砕し、長径方向の粒径が5〜25μmで厚さが0.05〜0.5μmである矩形状の偏平金粒子を製造することを特徴とする。
【0011】また、本発明に係る金粉製造装置は、容器と、この容器に入れられた粘性率が50〜500mPa・Sである液体と、この液体に浸漬されている一対以上の回転刃と、これら回転刃を回転させる駆動機構とを有し、これら回転刃が回転すると互いの刃先が2〜20μmの間隙を空けて対向状態ですれ違うように構成されていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の金粉は、その重量の98%以上が矩形状の偏平金粒子からなり、偏平金粒子の長径方向の粒径は5〜25μm、厚さは0.05〜0.5μmであることを特徴としている。すなわち、本発明の金粉は、従来の金粒子よりも粒径が大きい金粒子から主構成され、しかも長径方向粒径が5μm未満の小径の金粒子の含有量が極端に少ない点に特徴がある。なお、偏平金粒子は矩形状であるから、長径方向粒径とは金粒子の対角線方向の長さを示すものとする。
【0013】金粉の重量の98%以上が、上述した粒径範囲の偏平金粒子で占められていない場合は、光沢および/または伸び性に問題が生じる。例えば、長径方向の粒径が5μm未満の金粒子が多い場合には、小径粒子が光を散乱する傾向が高まるために光沢が低下するうえ、金粉を塗布する際の伸び性が若干低下する。伸び性とは、物品の表面に金粉を塗り広げる際に、どれだけ容易かつ円滑に金粉が広がるかを示す指標である。一方、長径方向の粒径が25μm以上の大径金粒子が多い場合には、これら大径金粒子が光を正反射しすぎ、光沢にばらつきが生じるおそれがある。
【0014】各偏平金粒子の平面形状は、正方形に近い矩形状とされることが望ましい。その理由の1は、金箔屑を粉砕すると矩形状の金粒子が容易に得られることであり、その理由の2は、金粒子が矩形状であると、刷毛等で塗布された際に金粒子がそれぞれの直線の辺を当接し合って配列する確率が高く、円形など他形状である場合に比して隠蔽率をさらに高めることができるからである。
【0015】偏平金粒子の厚さが0.05〜0.5μmである、すなわち原料として使用する金箔(切り回し屑)の厚さが0.05〜0.5μmであると、後述する高速攪拌方法によって、長径方向の粒径が5〜25μmの偏平金粒子を製造しやすくなる。これに対し、金粒子が0.5μmよりも厚い、すなわち原料となる金箔が0.5μmよりも厚いと、金箔を上記粒径に破砕しにくくなり、粒径が大きい金粒子が混在しやすくなる。また、一般に厚さ0.05μm未満の金箔は製造困難であるうえ、仮に製造できたとしても個々の金粒子が丸まりやすく、塗布後の光沢が低下する。
【0016】遠心沈降式粒度分布測定を行った場合の金粉全体としてのメジアン値は3.5〜12μmであることが好ましく、より好ましくは4.5〜10μmとされ、最適には4.5〜8μmとされる。この範囲であると本発明の効果がいっそう顕著になる。なお、遠心沈降式粒度分布測定を行った場合の金粉全体としてのメジアン値は、金粉を球状粒子として捉えた場合における粒径のメジアン値であるから、扁平方向粒径よりも小さくなる。
【0017】次に、本発明の金粉の製造方法を説明する。この方法では、厚さ0.05〜0.5μmの金箔(切り回し屑)を粗粉砕し、この粗粉体を粘性率が50〜500mPa・Sである液体中に混入し、この混合液に、互いの刃先が2〜20μmの間隙を空けて対向状態ですれ違う一対以上の回転刃を浸漬してこれら回転刃を回転することにより前記粗粉体を粉砕し、長径方向の粒径が5〜25μmで厚さが0.05〜0.5μmである矩形状の偏平金粒子を製造することを特徴としている。
【0018】厚さ0.05〜0.5μmの金箔(切り回し屑)を使用する理由は前述したとおりである。金箔を粗粉砕する理由は、前記液体中に金箔を均一分散させるためであるが、粗粉砕をしないままの金箔を投入したとしても、攪拌時間を延長すれば問題はない。
【0019】液体の粘性率は、回転刃の回転により形成される金粒子の長径方向粒径分布と密接な関連があり、金粒子の長径方向の粒径を5〜25μmにするためには、粘性率が50〜500mPa・Sであることが好ましく、より好ましくは80〜200mPa・Sであり、最適には100〜200mPa・Sである。50mPa・S未満であると液体中での金粒子の動きが自由になりすぎ、大きい金粒子までが回転刃から逃れやすくなるため、攪拌時間が長くかかる。一方、500mPa・Sより大きいと液体中で金粒子が拘束され過ぎ、小さい金粒子までが回転刃によって破砕されやすくなるため、5μm以下の金粒子の割合が多くなりすぎる。
【0020】液体としては、ポリビニルアルコール、グリセリン、水飴、膠(ニカワ)等の水溶性高分子化合物で粘度を調整した水溶液が好ましいが、高分子化合物以外の物質で粘性を調整してもよいし、さらには、水の代わりにアルコール等の揮発性溶媒を使用してもよいし、水と揮発性溶媒の混合液を使用してもよい。液体の温度は破砕効果には直接に影響しないが、粘性が変化して間接的に破砕効果に影響を与える。一般的には15〜50℃程度がよいがこの範囲に限定はされない。
【0021】液体の組成の好ましい例を挙げると、例えば、ポリビニルアルコール水溶液の場合、分子量によって粘性率が変化するので、ポリビニルアルコールの分子量が5万〜20万であれば5〜10wt%程度、分子量が30万〜50万であれば3〜7wt%程度であることが好ましい。
【0022】液体への金箔の投入量は、本発明では限定されないが、3〜15wt%程度であることが好ましく、より好ましくは5〜7wt%である。このような範囲であると、攪拌が円滑に行え、均一な粒径の金粒子を得ることが容易になる。
【0023】図1〜図3は、本発明の装置の一実施形態を示し、この装置は、液体Lを満たした容器1と、容器1の上方に配置された一対の回転駆動機構2A,2Bと、これら回転駆動機構2A,2Bのシャフト4の下端にそれぞれ取り付けられた回転刃6A,6Bとを有している。シャフト4は互いに平行に配置されている。
【0024】回転刃6A,6Bはシャフト4に対して垂直かつ同心に取り付けられ、図2に示すように互いの回転軌跡が一部重なるように、僅かな間隙Gをあけて平行に配置されている。この実施形態の回転刃6A,6Bはそれぞれ、十字状に配置された4枚の刃体を有する。図3に示すように、互いに対向する回転刃6Aの下面と回転刃6Bの上面はそれぞれ平行に形成され、一方、回転刃6Aの上面と回転刃6Bの下面は膨らむように形成されている。この膨らみにより回転刃6A,6Bの強度を確保するとともに、回転によって発生する揚力により液体中の金粒子を効率よく攪拌する。
【0025】回転刃6A,6Bの各刃体の同一回転方向のエッジには、刃先8A,8Bがそれぞれ形成されており、回転駆動機構2A,2Bは、刃先8A,8Bが対向状態ですれ違う向きに回転刃6A,6Bを回転する。これにより、刃先8Aと8Bの間で金粒子が破砕(または切断)される。
【0026】回転刃6A,6B同士の間隙Gは、2〜20μm程度であることが好ましい。この範囲であれば金粒子の長径方向の粒径を5〜25μmまで破砕することでき、しかも、粒径分布が小さくなることを本発明者らは見いだした。従来、同種の作業を行う場合には刃先を持たない攪拌羽根が使用されており、従来、このような回転刃6A,6Bは使用されていない。勿論、回転刃6A,6Bを近接させることによる効果も知られていない。
【0027】回転刃6A,6Bの回転数は、従来の金粉製造時の回転数よりも遅い5000〜12000rpm程度が好ましく、より好ましくは6000〜8000rpm程度である。また、回転刃6A,6Bの各刃先8A,8Bが常にすれ違うように回転刃6A,6Bの回転は同期されることが好ましい。攪拌時間は限定されないが、一般的には5〜30分程度とされる。
【0028】次いで、液体から金粒子を分離し、得られた金粒子を洗浄および乾燥させることにより、本発明の金粉が得られる。必要であれば、この金粉の表面に微量の界面活性剤を付着させてもよい。
【0029】界面活性剤としては、例えば、親油基がフッ化炭素基等のフッ素を含む基であるフッ素系界面活性剤、親油基が有機ケイ素化合物の重合体であるシリコーン系界面活性剤、および親油基が炭化水素基である炭化水素系界面活性剤から選択される1種または2種以上を使用することができ、2種以上使用する場合には、界面活性剤を混合して付着させた場合、または互いに異なる界面活性剤を付着させた2種の金粉粒子を混合した場合のいずれでもよい。また、界面活性剤を付着させた金粉と、界面活性剤を付着させていない金粉を混合してもよいし、何らかの添加物、例えば装飾性を高めるための添加物を混入してもよい。
【0030】界面活性剤の中でも特に、フッ素系界面活性剤は、金粉の伸びが良くて塗布性に優れているだけでなく、塗布性の経時変化が少ないことから、本発明に最も適している。フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム酸、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイト、およびパーフルオロアルキルEO付加物などが例示でき、その中でも特に、平均分子量が400−2000であるものが特性上望ましい。
【0031】但し、本発明で使用可能な界面活性剤の種類は、フッ素系界面活性剤のみに限定されるものではない。例えば、シリコーン系界面活性剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ポリジオルガノシロキサンジオール、フロロシリコーンオイル、シリコーンポリエーテル共重合体、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、およびエポキシ変性シリコーンオイルから選択される1種または2種以上が使用可能である。
【0032】界面活性剤の金粉粒子に対する付着量は、前述したいずれの種類のものであっても、金粉の総重量の0.0001〜0.2wt%であることが好ましく、より好ましくは0.0005〜0.04wt%、さらに好ましくは0.001〜0.02wt%とされる。特に、フッ素系界面活性剤を使用する場合に最適な付着量は0.001〜0.009wt%であり、この値はフッ素量に換算すると約0.005〜0.1mg/gに相当する。金粉1g当たりのフッ素量は、後述するように管状炉で金粉を加熱し、酸化分解したガスを蒸留水に捕集した後、この溶液をイオンクロマトグラフィーにかけることにより容易に定量することができる。
【0033】こうして得られた金粉を塗布するには、装飾すべき物品の表面に接着剤、例えば漆やカシュー樹脂塗料、エポキシ系塗料、アクリル系塗料等を塗布し、半硬化した表面に金粉を振りまき、筆や刷毛で均一に伸ばした後、布を丸めて作ったパレットで均一に広げる。また、他の使用方法としては、金粉を糊剤と均一に混合し、装飾すべき物品の表面に塗布してもよい。糊剤としては、ゼラチン溶液やカゼイン溶液、ニカワなどが使用可能である。糊剤に対する金粉の添加量は限定されないが、具体的には2〜5wt%程度が好ましい。金粉を添加した糊剤を物品へ塗布する手段としては、通常使用されている筆や刷毛を含め、いかなる手段も使用可能である。
【0034】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明の効果を実証する。
(実験1)厚さ0.05〜0.5μmの金箔屑を水に添加して粉砕機により粗粉砕し、長径方向の平均粒径が0.5mm程度の粗粉体を作成した。次いで、この粗粉体をポリビニルアルコール(分子量:20万〜60万)の5vol%溶液(粘性率:60mPa・S)に添加し、図1〜図3に示すような粉砕機で20分間高速粉砕することにより、金粒子を作成した。なお、回転刃6A,6Bの直径は5cm、刃先8A,8Bの間隙Gは10μm、回転刃6A,6Bの回転数は6000rpmとした。図4は得られた実施例の金粉の2000倍電子顕微鏡写真である。
【0035】一方、比較例1として、家庭用ミキサーを使用して従来法の条件で金粉を製造した。実施例と同じ厚さ0.05〜0.5μmの金箔屑を水に添加して粉砕機により粗粉砕し、長径方向の平均粒径が0.5mm程度の粗粉体を作成した。次いで、この粗粉体をポリビニルアルコール(分子量:20万〜60万)の15vol%溶液(粘性率:8000〜10000mPa・S)に添加し、家庭用ミキサー(消費電力1000W)で7時間高速粉砕することにより、金粒子を作成した。なお、ミキサーの回転数は8000〜10000rpmとした。図5は得られた比較例1の金粉の2000倍電子顕微鏡写真である。
【0036】さらに、比較例2として、工業用粉砕機(日本精機製作所製高速ミキサー「UHM−10」)を使用して従来法の条件で金粉を製造した。実施例と同じ厚さ0.05〜0.5μmの金箔屑を水に添加して粉砕機により粗粉砕し、長径方向の平均粒径が0.5mm程度の粗粉体を作成した。次いで、この粗粉体をポリビニルアルコール(分子量:20万〜60万)の15vol%溶液(粘性率:8000〜10000mPa・S)に添加し、家庭用ミキサー(消費電力1500W)で8時間高速粉砕することにより、金粒子を作成した。なお、工業用粉砕機の回転数は9000〜10000rpmとした。図6は得られた比較例2の金粉の2000倍電子顕微鏡写真である。
【0037】図4〜図6を比較して明らかなように、実施例の金粉は比較例1,2の金粉よりも粒径が大きく、また、小さい粒径の金粒子の混入量が少なかった。
【0038】実施例および比較例1、2の粒径分布を遠心沈降式粒度分布測定装置(島津製作所製「SA−CP3L」)で測定した。結果を表1および図7〜図9に示す。表1中の長径方向粒径は、金粉中の98重量%の金粒子の粒径分布を示し、メジアン値は複数回の測定の平均値を示す。これらの結果からも、実施例の金粉は比較例1,2の金粉よりも粒径が大きく、また、小さい粒径の金粒子の混入量が少ないことが明らかである。
【0039】
【表1】

【0040】次いで、各金粉の伸び性を以下の方法で測定した。20×20cmのガラス板上にグリセリンを薄く塗布し、その上に各金粉を蒔き、熟練した作業員がパレットを用いて金粉を均一に薄くのばし、ガラス板が透けて見えない限界まで広げつつ余分な金粉を除去した(この状態で金粉はほぼ単層状に塗布された)。金粉重量をガラス板の面積で割り、伸び性の尺度(g/m2)とした。その結果を表2に示す。
【0041】また、伸び性値を測定した後のガラス板を、日立製作所製分光光度計「U−3410」にセットし、400〜800nmを入射角度5゜で照射し、その反射光度を測定して入射光に対する平均反射率(%)を計算した。その結果を表2および図10に示す。
【0042】
【表2】

【0043】表2および図10のグラフから明らかなように、本発明に係る実施例1の金粉は、比較例1、2の金粉に比べて、伸び性および光沢が良好だった。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の金粉は、光沢および伸び性に富み、大面積を塗布する場合にも、比較的少量の金粉で優れた光沢および緻密な塗布面を得ることができる。また、本発明の金粉製造方法および製造装置によれば、上記効果を奏する金粉を効率よく製造することが可能である。
【出願人】 【識別番号】000176822
【氏名又は名称】三菱伸銅株式会社
【出願日】 平成12年8月24日(2000.8.24)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外6名)
【公開番号】 特開2002−60801(P2002−60801A)
【公開日】 平成14年2月28日(2002.2.28)
【出願番号】 特願2000−254519(P2000−254519)