| 【発明の名称】 |
耐硫化特性を有する銀粘土組成物及び耐硫化特性を有する銀焼結品の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】宮田 真
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| 【要約】 |
【課題】銀宝飾品、美術工芸品、装飾品等の工芸的要素の大きい貴金属造形物を作成するための素材として好適に用いることができる耐硫化特性を有する銀粘土組成物及び耐硫化特性を有する銀焼結品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の耐硫化特性を有する銀粘土組成物は、不銹銀を構成する銀合金粉末と有機系バインダー水溶液とを混練してなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 不銹銀を構成する銀合金粉末と有機系バインダー水溶液とを混練してなることを特徴とする耐硫化特性を有する銀粘土組成物。 【請求項2】 不銹銀を構成する銀合金粉末と有機系バインダー水溶液とを混練してなる粘土状或いはスラリー状の組成物を所望の形状に造形又は物品に付着させ、乾燥固化させた造形体又は物品付着物を焼結させることを特徴とする耐硫化特性を有する銀焼結品の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、銀宝飾品、美術工芸品、装飾品等の工芸的要素の大きい貴金属造形物を作成するための素材として好適に用いることができる耐硫化特性を有する銀粘土組成物及び耐硫化特性を有する銀焼結品の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】銀は古来からその色調の美しさから、貴金属などの宝飾品として使用されることが多い。尤も、銀は硫化水素を含む雰囲気中などで容易に硫化されて変色(黒変)してしまい、その装飾効果を著しく低減させることが知られている。即ち、銀製品が金製品や白金製品に比べて宝飾価値が低いのは、この銀の硫化のためといっても過言ではなかった。そのため従来より、銀の硫化防止や銀を硬くするなどの目的で種々の金属を合金させた各種の銀合金が知られ、多種の用途に適用されている。例えば、銀錫合金は耐食性に富むので、歯科用インレーなどに使用され、銀銅合金は貨幣、食器類等として使用され、銀白金合金は歯科材料などに使用されている。特に銀亜鉛合金や銀アルミニウム合金、銀カドミニウム合金などは硫化水素により黒変し難い性質を有することが知られており、不銹銀(Stainless silver)として知られている。また、近年提案された特開昭62−20850号公報には、銀にゲルマニウムやガリウムを添加して合金化することにより、耐硫化特性を示すことが開示されている。一方、銀の硫化を防止するもう一つの手法としては、銀製品の表面に透明薄膜のコーティングを施し、このコーティング層により、銀製品の表面と空気中の硫化水素との接触を遮断する方法がある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の方法は、何れも鋳造製品に関するものであって、近年工芸やクラフト等における手法によって簡易にアクセサリー等を作り出す金属粘土の分野にこれらの技術が導入されたことはなかった。特に、コーティング層により硫化水素の接触を遮断する方法は、加工、操作が簡便であることをその特色とする金属粘土の分野では、余計な工程を増やすことになり、到底導入できるものではなかった。また、コーティング層は、本来の銀の発色を損なうことが多いという点でも、主に装飾品を作ることを目的とする金属粘土の分野では容認できない問題であった。そこで、本発明者らは、金属粘土の分野で、余計な加工、操作を増やすことなく、従来通り簡便な操作で銀製の装飾品を作ることができ、作成された装飾品は、耐硫化特性を有して永続的に銀の色調を有するものとなる銀粘土組成物を提案することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は上記に鑑み提案されたもので、不銹銀を構成する銀合金粉末と有機系バインダー水溶液とを混練してなることを特徴とする耐硫化特性を有する銀粘土組成物に関するものである。また、本発明は、不銹銀を構成する銀合金粉末と有機系バインダー水溶液とを混練してなる粘土状或いはスラリー状の組成物を所望の形状に造形又は物品に付着させ、乾燥固化させた造形体又は物品付着物を焼結させることを特徴とする耐硫化特性を有する銀焼結品の製造方法をも提案するものである。 【0005】 【発明の実施の形態】本発明における不銹銀を構成する銀合金粉末としては、銀に亜鉛を添加する銀亜鉛(Ag−Zn)系、銀にアルミニウムを添加する銀アルミニウム(Ag−Al)系、銀にカドミニウムを添加する銀カドミニウム(Ag−Cd)系などがあり、銀にゲルマニウム(Ge)やガリウムを添加しても良く、これらを粉末化した銀合金粉末は、何れも硫化に伴う黒変を抑えることができる。また、Ag−Zn系には少量の銅、ナトリウムを含有させることが望ましく、Ag−Al系には少量の亜鉛を、Ag−Cd系には少量の珪素を含有させることが望ましい。さらに、銀にクロムやベリリウム、バリウム、インジウム等を添加した合金を粉末化し、耐硫化特性を有する合金粉末として使用することができる。尚、各合金において銀に添加する金属元素の割合は、種類によって一定ではないが、おおよそ3〜15%の範囲である。 【0006】また、銀焼結品の色彩や発色に影響を与えない範囲で、他の金属粉末或いは金属合金粉末を併用することもできる。例えば鋳造品の物性改良においては、合金組成を変更する必要があり、しかも数%もの多量の他の元素を添加する必要があるため、銀の発色等にも影響を与えることが多い。しかし、焼結品では、前記銀合金粉末については特に変更することなくそのまま使用することができ、しかも他の金属粉末或いは金属合金粉末を極めて少ない添加範囲で添加することにより、所望の特性改質を行うことができるという利点がある。そのため、銀の発色等にも殆ど影響を与えることがない。 【0007】前記銀合金粉末以外の成分については、通常の銀粘土組成物と同様の組成で良く、例えば前記銀合金粉末に、水溶性セルロース樹脂等のバインダ水溶液にバインダーを添加して粘土状として所望の形状に造形しても良いし、スラリー状として適宜物品に塗り付けるようにしても良い。バインダーも特に限定するものではないが、水溶性セルロース系樹脂0.022〜3.0wt%と、デンプン0.02〜3.0wt%又はフェニルプロパンを骨格とする構成単位体が縮合してなる網状高分子などの粘稠剤0〜0.5wt%とからなるバインダーを用いることが望ましい。 【0008】加工(造形)及び焼結、並びに焼結品の特性を考慮して、より望ましい配合としては、銀−ゲルマニウム合金粉末を80〜95wt%、有機系バインダーとして水溶性セルロース系樹脂を0.02〜5.0wt%、焼結促進剤として四硼酸リチウム0.1〜3.0wt%、硼酸0.1〜4.0wt%、残量水からなる組成物を挙げることができる。上述の配合における水溶性セルロース系樹脂が前記範囲よりも小さい場合は、造形又は付着させた際の強度が不足し、形状維持ができなくなり、前記範囲よりも大きい場合は収縮が大きくなる。また、四硼酸リチウムが前記範囲よりも少ない場合には十分な焼結促進効果が得られず、前記範囲よりも大きい場合にはそれ以上の効果の向上が認められない。さらに、硼酸が前記範囲よりも少ない場合にはその添加効果が認められず、水溶性セルロース系樹脂が四硼酸リチウムの作用により分解し易くなり、加工適性が損なわれ、前記範囲よりも大きい場合にはそれ以上の効果の向上が認められない。尚、銀−ゲルマニウム合金粉末を例にしたが、他の合金粉末を使用しても、その範囲並びに他成分の添加範囲を同様にすることにより、同様の望ましい銀粘土組成物とすることができる。 【0009】また、粘土状にした組成物の造形法、スラリー状にした組成物の塗り付け法についても特に限定するものではなく、さらにその後、例えば50〜100℃で1時間程度乾燥するが、この乾燥条件も一例に過ぎず、何等制限されるものではないし、その後の焼結についても何等制限されるものではない。例えば前記銀−ゲルマニウム合金粉末を用いた粘土組成物は、所望の形状に造形し、600〜900℃で焼結することにより、耐硫化特性に優れた結品とすることができる。 【0010】例えば各地の温泉の中には硫黄泉に属するものがあり、この硫黄泉にはHS-、S2O32-、H2Sなどが含有されることが知られているが、通常の銀粘土を用いて作成した焼結品では、常温にて容易に銀と反応して黒色の硫化銀(Ag2S)等の硫化物の膜が形成されてしまう。しかしながら、本発明より得られる耐硫化特性を有する銀焼結品は、このような硫黄泉に接触しても硫化することがなく、銀特有の美麗な発色が永続的に維持されるものとなる。 【0011】 【実施例】[実施例1]平均粒径20μmの銀(92.5wt%)−ゲルマニウム(7.5wt%)合金粉末90.0wt%、水溶性セルロース系樹脂1.8wt%、四硼酸リチウム0.3wt%、硼酸0.4wt%、水7.5wt%からなる組成物を十分に混練して造形用粘土組成物とし、この造形用粘土組成物を用いて10.0×30.0×3.0mmの所望形状の造形体を造形し、常温放置或いは80℃×20分の条件にて乾燥した。その後、この乾燥造形体を電気炉にて800℃で60分焼成した。得られた銀焼結品をバフ研磨し、同じ大きさの純銀板とともに、0.1%『六十〇ハップ』(武藤鉦製薬株式会社製)液(硫黄含有液)に10分浸漬させた結果、純銀板は硫化して黒く変色したが、銀焼結品は全く変色せず、銀の美麗な発色を維持していた。また、得られた銀焼結品の収縮率は11.25%であり、折り曲げ試験を行った結果、25kg/mm2を示し、強度的にも十分な耐性を有することが確認された。 【0012】以上本発明の実施例を示したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。 【0013】 【発明の効果】以上説明したように本発明は、不銹銀を構成する銀合金を粉末化し、有機系バインダー水溶液とともに混練して粘土状或いはスラリー状の組成物とし、所望の形状に造形又は物品に付着させ、乾燥固化させた造形体又は物品付着物を使用した銀合金粉末の融点以下で焼結させることにより、耐硫化特性を有し、且つ十分な強度をもつ銀製焼結品を提供できるものであり、従来の金属粘土における加工並びに操作は全く変更することがないので、その実用的価値は極めて高いものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】592258133 【氏名又は名称】相田化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年7月13日(2000.7.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082669 【弁理士】 【氏名又は名称】福田 賢三 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−30302(P2002−30302A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月31日(2002.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2000−212426(P2000−212426) |
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