| 【発明の名称】 |
熱間粗圧延工程における板幅制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】荒木 洋祐
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| 【要約】 |
【課題】熱間にて目標板幅に圧延する熱間粗圧延工程において、プレス装置とエッジャ圧延機によるスラブの圧下量を調整して、スラブ長手方向先後端部の幅落ちを防止する。
【解決手段】本発明は、加熱したスラブをプレス装置により幅圧下した後、垂直及び水平方向の粗圧延を行う熱間粗圧延工程における板幅制御方法において、プレス装置による幅圧下をスラブ長手方向先後端部の少なくとも一方がスラブ長手方向中央部と較べて圧下量差αとなるようにして行い、その後、少なくとも粗圧延機の1パス目でのスラブ長手方向先後端部の少なくとも一方の垂直圧延を圧下量βで行うものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加熱したスラブをプレス装置により幅圧下した後、垂直及び水平方向の粗圧延を行う熱間粗圧延工程における板幅制御方法において、前記プレス装置による幅圧下をスラブ長手方向先後端部の少なくとも一方がスラブ長手方向中央部と較べて圧下量差αとなるようにして行い、その後、少なくとも粗圧延機の1パス目でのスラブ長手方向先後端部の少なくとも一方の垂直圧延を圧下量βで行うことを特徴とする熱間粗圧延工程における板幅制御方法。 【請求項2】 圧下量差αは、スラブ幅、製造目標幅、鋼種、プレス圧下量を考慮して、また、圧下量βは、プレス装置出側幅、製造目標幅、鋼種、前記圧下量差αを考慮して決定することを特徴とする請求項1記載の熱間粗圧延工程における板幅制御方法。 【請求項3】 圧下量差αを0〜40mm、圧下量βを0〜5mm、の範囲とすることを特徴とする請求項1又は2記載の熱間粗圧延工程における板幅制御方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、スラブを熱間にて目標板幅に圧延する熱間粗圧延工程において、プレス装置とエッジャ圧延機による幅圧下量を調整して、スラブ長手方向先後端部の幅落ちを抑制する熱間粗圧延工程における板幅制御方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、経済性を考慮して連続鋳造で幅の広い材料を集約して鋳込み、熱間圧延工程にて幅変更を行う操業を行っている。そのために、熱間圧延工程でスラブの大幅圧下が必要不可欠となり、よって熱間圧延工程では大幅圧下を目的としたプレス装置や大径ロールのエッジャ圧延機が設置されている。 【0003】しかし、熱間粗圧延工程にて大幅圧下を行うと、図5に示すように、その圧下量に応じた板厚方向の盛上がり、つまり断面にいわゆるドッグボーン形状が生じ、その後の水平方向の圧延にて幅方向への幅戻りが生じる。この時の板厚方向の盛上がり量は、圧下量や圧下方式(プレス圧延、エッジャ圧延)によって異なり、また、幅圧下を行うスラブ長手方向位置によっても異なる。 【0004】そのため、スラブ長手方向先後端部では、幅圧下を行った後の水平圧延での幅戻り量がスラブ長手方向中央部に較べて小さく、また、スラブ長手方向に材料が流れる(延びる)ために、幅が狭くなるといった、いわゆる幅落ちが発生していた。この幅落ち部分は、製品として使えないからその分だけクロップとして破棄することとなる。 【0005】この幅落ちを防止するために、例えば特公平6−79721号では、プレス装置によるスラブ長手方向先後端部の少なくとも一方の圧下幅を、後の水平圧延時におけるスラブ長手方向先後端部と中央部との幅戻り量の差に対応して、スラブ長手方向中央部に較べて予め幅が広くなるように幅圧下するスラブの幅圧下方法が提案されている。 【0006】また、特開平10−235402号では、プレス装置とエッジャ圧延機を有した熱間粗圧延工程において、エッジャ圧延機でエッジャ圧延されるスラブ長手方向中央部の圧下量の総和と、プレス装置によるスラブ長手方向中央部の圧下量とに基づいて、スラブ長手方向先後端部と中央部との圧下量の差(0〜40mm)を決定したり、これに代えてエッジャ圧延機による上記圧下量の総和とプレス装置による上記圧下量の比を0.2以上0.5以下とするスラブの幅圧下方法が提案されている。 【0007】また、特開平10−156401号では、極低炭素鋼のスラブを凹型カリバ金型を用いたプレス装置にて幅圧下し、かつ粗圧延機の少なくとも第1スタンドの1パス目は、エッジャ圧延機による幅圧下を行わないようにしたり、粗圧延機の少なくとも第1スタンドのエッジャ圧延機に凹形カリバロールを用いたり、少なくとも粗圧延機の3パス目までのエッジャ圧延機による圧下量を前パスの水平圧延によって生じた幅広がり量以下とした極低炭素鋼の熱間圧延方法が提案されている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公平6−79721号及び特開平10−235402号で提案されたスラブの幅圧下方法は、プレス装置にて幅圧下された後に、次工程の粗圧延機群にてスラブ長手方向中央部に較べて幅を広くしたスラブ長手方向先後端部をスラブ長手方向中央部と同幅に圧下するので、この粗圧延機による圧延で、スラブの幅方向への幅戻り量が計算値ほど戻らない場合が発生し、結果的に幅落ちが発生してしまう場合が多々あるといった問題があった。 【0009】また、特開平10−156401号で提案された極低炭素鋼の熱間圧延方法は、エッジャ圧延機による幅圧下量について規定している(請求項3)ものの、当該方法が極低炭素鋼しか適用できず、しかもエッジシーム疵の対策としてのみ効果を有するものであるうえ、プレス装置に凹型カリバ金型を用いる点で設備費用が増加するといった問題があった。 【0010】すなわち、加熱したスラブをプレス装置により幅圧下した後、粗圧延機群により垂直及び水平方向の圧延を行う熱間粗圧延工程においては、各種圧下方式や圧下量などによって異なる幅戻りと、スラブ長手方向への材料流れとを考慮する必要があるが、従来では、熱間粗圧延工程で一貫して前記事項については考慮されておらず、結果としてスラブ長手方向先後端部の幅落ちを高い確率で防止するものではなかった。 【0011】本発明は、上記の問題を解決するものであり、熱間にて目標板幅に圧延する熱間粗圧延工程において、プレス装置とエッジャ圧延機によるスラブの圧下量を調整して、スラブ長手方向先後端部の幅落ちを防止する熱間粗圧延工程における板幅制御方法を提供することを目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明は、スラブを熱間にて目標板幅に圧延する熱間粗圧延工程において、プレス装置による幅圧下をスラブ長手方向先後端部の少なくとも一方がスラブ長手方向中央部と較べて圧下量差αとなるようにして行い、その後、少なくとも粗圧延機の1パス目でのスラブ長手方向先後端部の少なくとも一方の垂直圧延を圧下量βで行うした。このようにすることで、スラブ長手方向先後端部の幅落ちを防止してクロップが少なく寸法精度の高い製品を製造することができる。 【0013】 【発明の実施の形態】本発明者は、プレス装置にて、スラブ長手方向先後端部の少なくとも一方を長手方向中央部に較べて幅が広くなるように圧下量の差を設けて幅圧下し、その後、エッジャ圧延機に通して長手方向先後端部を幅圧延し、プレス装置以降の粗圧延機第1スタンド1パス目の出側にて各パス圧延後の先後端部の幅を観測した。 【0014】その結果、上記のようにスラブを圧延すると、図3に示すように、粗圧延機第1スタンド1パス目出側にて既にスラブ長手方向先後端部に幅落ちが発生していることが確認できた。このとき、粗圧延機第1スタンド1パス目のエッジャ圧延機の開度は、図4に示すように別段設定することなくプレス装置出側における長手方向中央部の幅に設定していた。 【0015】以上のことから、図4に示すように、プレス装置にてスラブ長手方向中央部よりも幅が広くなるように圧下量の差を設けてスラブ長手方向先後端部を圧下しても、粗圧延機第1スタンド1パス目のエッジャ圧延機の開度がプレス装置におけるスラブ長手方向中央部の幅と同じ(特に何も設定しない)場合は、スラブ長手方向先後端部の幅落ち抑制効果が得られないということが判明した。 【0016】本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、加熱したスラブをプレス装置により幅圧下した後、垂直及び水平方向の粗圧延を行う熱間粗圧延工程における板幅制御方法において、プレス装置による幅圧下をスラブ長手方向先後端部の少なくとも一方がスラブ長手方向中央部と較べて圧下量差αとなるようにして行い、その後、少なくとも粗圧延機の1パス目でのスラブ長手方向先後端部の少なくとも一方の垂直圧延を圧下量βで行うものである。 【0017】すなわち、本発明では、プレス装置の圧下量と共に、粗圧延機群におけるエッジャ圧延機による圧下量をも規定することとしたのである。そして、上記した本発明において、圧下量差αは、スラブ幅、製造目標幅、鋼種、プレス圧下量を考慮して、また、圧下量βは、プレス装置出側幅、製造目標幅、鋼種、圧下量差αを考慮して決定することが望ましい。 【0018】従来では、プレス装置によるスラブ長手方向先後端部の少なくとも一方とその中央部との圧下量差は固定値であったが、上記したようにスラブ長手方向先後端部の幅落ちを効果的に防止するには、各種圧下方式や圧下量などによって異なる幅戻りと、スラブ長手方向への材料流れとを考慮する必要があることから、本発明においては、圧下量差αをスラブ幅、製造目標幅、鋼種、プレス圧下量を考慮して決定するようにしたのである。 【0019】そして、上記した関係に基づいて決定する圧下量差αは、本発明者が行った実機によるテストの結果、0mmより小さくすると、スラブ長手方向中央部より狭くなり、幅落ちを発生させることとなり、一方、40mmより大きくすると、粗圧延機群のエッジャ圧延機の荷重制約をオーバーすることになるという理由から、0〜40mmの範囲で決定すればよいことが判明した。 【0020】また、従来では、粗圧延機第1スタンド1パス目のエッジャ圧延機におけるスラブ長手方向先後端部の少なくとも一方の圧下量は、プレス装置出側におけるスラブ長手方向中央部の幅と同じとされていたのに対し、本発明においては、改めてプレス装置出側幅、製造目標幅、鋼種、圧延量差αを考慮して決定しているのである。 【0021】そして、上記した関係に基づいて決定する圧下量βは、本発明者が行った実機によるテストの結果、0mmより小さくすると、粗圧延機1パス目においてスラブを巻き込まず、スラブ停止の虞があり好ましくなく、一方、5mmより大きくすると、幅落ち改善代の効果が減少して好ましくないという理由から、0〜5mmの範囲で決定すればよいことが判明した。 【0022】圧下量βは、AWC(Automatic Width Contorol:自動幅制御)装置で、例えば粗圧延機第1スタンド1パス目のエッジャ圧延機によってスラブ長手方向先後端部の少なくとも一方を幅圧下する際に、プレス装置出側におけるスラブ長手方向先端部又は後端部幅から減算して、該エッジャ圧延機の開度を算出する際に用いられる。 【0023】 【実施例】以下に本発明の効果を確認するために行った実験結果について図面を参照して説明する。図1は、加熱したスラブをプレス装置により幅圧下した後、垂直及び水平方向の圧延を行い、仕上げ後に巻取るといった圧延ライン示す。図1において、1はプレス装置、2はエッジャ圧延機、3は粗圧延第1スタンド、4は粗圧延機群、5は仕上げ圧延機群、6は巻取機、7は圧延ライン、8はスラブ、を各々示す。 【0024】実験は、幅1700mm〜1900mm×厚み202mm〜206mmの低炭素鋼スラブ8を、加熱炉で加熱し、抽出後、図1に示した設備にて幅1690mm〜1890mm×厚み3.5mm〜4.6mmの熱延コイルを製造するに際して、本発明方法を適用して製造した熱延コイル(実施例1,2)と、本発明方法を適用しないで製造した熱延コイル(従来例)とのそれぞれにおいて、幅偏差最小値及び幅偏差最大値を比較した。この結果を、以下の表1に示す。 【0025】本発明方法を適用して製造した実施例1は、スラブ8の長手方向先後端部の幅をその中央部に較べて(圧下量差α=)20mm広くするようにプレス装置1によって幅圧下し、粗圧延機群4の第1スタンド3における1パス目のエッジャ圧延機2によってスラブ8の長手方向先後端部を(圧延量β=)5mmで幅圧下した。また、実施例2は、圧下量差αを20mm、圧延量βを0mmとした。 【0026】一方、従来例は、スラブ8の長手方向先後端部の幅をその中央部に較べて20mm広くするようにプレス装置1によって幅圧下し、粗圧延機群4の第1スタンド3における1パス目のエッジャ圧延機2によってスラブ8の長手方向先後端部を、プレス装置1によるスラブ8の長手方向中央部の圧下量、すなわち20mmで幅圧下した。つまり従来例では、エッジャ圧延機2による圧延量について何ら設定していないということである。 【0027】 【表1】
【0028】この実験の状況を段階毎に説明すると、図2に示すようになる。なお、図2において、(a)は従来例、(b)は実施例1,2、をそれぞれ示し、また、図2(a)(b)において、■段階はプレス装置1を通過したとき、■段階は粗圧延第1スタンド3の1パス目でエッジャ圧延機2を通過したとき、■段階は粗圧延第1スタンド3の1パス目で水平圧延を行ったとき、■段階は粗圧延機第2スタンド以降若しくは第1スタンド3の2パス目を通過したとき、のスラブ8の状況をそれぞれ示している。 【0029】■段階では、プレス装置1の圧下量が同じであるためスラブ8の形状は、従来例と実施例1,2とも同じである。■段階では、従来例と実施例1,2とでエッジャ圧延機2の圧下量が異なっているから、従来例においてはスラブ8の長手方向先後端部がその中央部と同じ幅とされるものの既に幅落ちが発生し、一方、実施例1,2においてはスラブ8の長手方向に材料流れが生じることを考慮してスラブ8の長手方向先後端部がその中央部より幅広となっている。 【0030】■段階では上記した■段階の、従来例と実施例1,2とを較べたスラブ8の形状差が著しくなり、従来例においては幅落ちが大きく成長し、実施例1,2においては未だスラブ8の長手方向先後端部がその中央部より幅広となっている。■段階では、従来例においてはAWC制御によっても幅落ちを広げることはできず、実施例1,2においてはAWC制御によって■段階までで幅広部分となっていた箇所を目標幅に圧下することができ、幅落ち量が極めて少なくなった。 【0031】図2及び表1から、従来例では、材料長手方向先端部及び後端部の幅偏差最小値は先端部−8mm、後端部−12mmであるのに対し、実施例1,2では、従来例に較べ70%以上の幅落ちの改善が見られ、幅偏差最大値に関しては、圧下量βを0〜5mmとすれば、AWC制御によってスラブ8のスラブ長手方向先後端部を目標幅に圧下するので、従来品以上の寸法精度を確保することができることが確認できた。 【0032】なお、本発明は、上記実施例1,2においてリバース圧延を行う際について説明したが、タンデム圧延を行う際に適用しても、上記実施例と同等の作用効果が得られることは言うまでもない。 【0033】 【発明の効果】以上のように、本発明は、スラブを熱間にて目標板幅に圧延する熱間粗圧延工程において、プレス装置による幅圧下をスラブ長手方向先後端部の少なくとも一方がスラブ長手方向中央部と較べて圧下量差αとなるようにして行い、その後、少なくとも粗圧延機の1パス目でのスラブ長手方向先後端部の少なくとも一方の垂直圧延を圧下量βで行うしたので、粗圧延機第2スタンド以降の制御方法を変更することなく、スラブ長手方向先後端部の幅落ちを防止してクロップが少なく寸法精度の高い製品を製造することができ、歩留まり向上を図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002118 【氏名又は名称】住友金属工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年6月1日(2001.6.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100060829 【弁理士】 【氏名又は名称】溝上 満好 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−361301(P2002−361301A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月17日(2002.12.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−166466(P2001−166466) |
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