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【発明の名称】 ダル仕上げ金属板およびその製造方法
【発明者】 【氏名】清水 寛

【氏名】吉岡 正浩

【要約】 【課題】建築物の内外装パネル、屋根材等として有用な意匠性と防眩性に優れた建材用のダル仕上げ金属板とその製造方法に関する。

【解決手段】ダル仕上げ金属板が、表面側がダル仕上げされてなり、その裏面側に製造工程での通板処理方向を示すマークを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 表面がダル仕上げされてなる建材用のダル仕上げ金属板であって、製造工程での通板処理方向を示すマークを、その裏面に有してなることを特徴とするダル仕上げ金属板。
【請求項2】 前記マークが、凸部または凹部として形成されてなることを特徴とする請求項1に記載のダル仕上げ金属板。
【請求項3】 前記マークが、直接印刷されてなることを特徴とする請求項1に記載のダル仕上げ金属板。
【請求項4】 金属板にダル仕上げ加工を行う仕上げ圧延工程において、該金属板の表面側に当接するロールをダルロールとし、裏面側に当接するロールを、通板処理方向を示すマークを転写するエンボスロールとして仕上げ圧延を行うことを特徴とするダル仕上げ金属板の製造方法。
【請求項5】 製造工程における通板処理方向を示すマークを、金属板の裏面側に印字する工程を有することを特徴とするダル仕上げ金属板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建造物の内外装建材パネル、屋根材等として有用な意匠性と防眩性に優れた建材用ダル仕上げステンレス鋼板等のダル仕上げ金属板とその製造方法に関し、特に、その金属板を建材パネルや屋根材として施工後の色調差を最小限に抑えることを可能とする。
【0002】
【従来の技術】最近、ステンレス鋼板が建材用の素材として多用されるようになってきた。特に、ビルの内外装用建材、建屋の屋根材等として意匠性と防眩性を兼ね備えたものが注目されている。その代表的な例として、ダル仕上げステンレス鋼板(ダル仕上げステンレス鋼帯ともいう。)を挙げることができる。
【0003】ダル仕上げステンレス鋼板の製法としては、例えば、特開昭63−49305号公報に既に開示のように、冷間圧延段階でダルロールを用いて圧延することによりダル加工を行う製法、あるいはまた、調質圧延によってダル圧延を行う製法等をあげることができる。これらの製法では、いずれも鋼帯を一方向に圧延してダル仕上げ加工が行われる。
【0004】このダル仕上げステンレス鋼板が、防眩性と意匠性を兼ね備えた建材として多用されるようになるにつれ、その色調の差異が問題となってきた。とくに、屋外使用の場合に色調の差異が顕著であり、屋根等の大面積となる場所に、多数のダル仕上げステンレス鋼板を使用すると、全体の色調の均一性が損なわれることが明らかとなってきた。
【0005】例えば、特許第 2925421号公報(特開平6-238335号公報)では、ダル圧延時の鋼帯圧延方向から見た場合と、その逆方向から見た場合でダル仕上げステンレス鋼板の色調が大きく異なる点に着目し、圧延したステンレス鋼製品の表面(すなわち、ダル面)側に矢印付きの保護フィルムを貼付し、圧延方向を表示することで、施工時に方向を揃えることを容易とし、色調の均一性保持を可能とすることが示されている。
【0006】すなわち、特許第 2925421号公報では、ダル仕上げステンレス鋼板間の色調差について、マクロ的およびミクロ的に種々調査を行い、色調の違いは製造ロットの違いよりも、むしろ、鋼板表面を圧延進行方向とその逆方向からそれぞれ観察した場合に認められるものであることを見出したのである。ところで、ビル内外装用の建材や建屋の屋根材は、通常、加工や施工時の損傷を防ぐため、その表面に保護フィルムが貼りつけられる。
【0007】特許第 2925421号公報は、この保護フィルムに着目したものであり、圧延方向を示す記号(例えば矢印)を印刷した保護フィルムを金属板にあらかじめ貼り付けておき、その記号の方向を揃えて施工することで、色調差を最小限にすることを可能としたのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の記号付きの保護フィルムを貼付する方式では、施工時に溶接等を行う場合に、その保護フィルムが剥がされてしまうことがあり、また、スリット鋼帯製品等では、もともと保護フィルムを貼らずに建材として製品化される場合もあり、確実な圧延方向の管理を実施することはできなかった。
【0009】本発明は、上記課題を解決し、建材として利用されるダル仕上げステンレス鋼板等のダル仕上げ金属板の圧延方向を確実に管理することを可能とし、施工時に、施工者が確実かつ容易に圧延方向を確認することのできるダル仕上げ金属板とその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下に列記の金属板およびその製造方法によって上記課題を解決した。
(1) 表面がダル仕上げされてなる建材用のダル仕上げ金属板であって、製造工程での通板処理方向を示すマークを、その裏面に有してなることを特徴とするダル仕上げ金属板。
(2) 前記マークが、凸部または凹部として形成されてなることを特徴とする上記(1)に記載のダル仕上げ金属板。
(3) 前記マークが、直接印刷されてなることを特徴とする上記(1)に記載のダル仕上げ金属板。
(4) 金属板にダル仕上げ加工を行う仕上げ圧延工程において、該金属板の表面側に当接するロールをダルロールとし、裏面側に当接するロールを、通板処理方向を示すマークを転写するエンボスロールとして仕上げ圧延を行うことを特徴とするダル仕上げ金属板の製造方法。
(5) 製造工程における通板処理方向を示すマークを、金属板の裏面側に印字する工程を有することを特徴とするダル仕上げ金属板の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の好適な実施の形態を図1に基づき説明する図1は、ステンレス鋼板1のダル仕上げ圧延時に、その表面側をダル仕上げするとともに、同時に、裏面側にマークを転写する工程を説明するものであるダル仕上げ圧延は、図1(a)に示すように、素材となるステンレス鋼板1をアンコイラ3から巻き戻し、1対のロール、すなわち、ダルロール2aとエンボスロール2bでダル仕上げ圧延を行い、再度コイラ4で巻き取る工程によって行われる なお、図1(a)においては、下側をステンレス鋼帯1の表面側、上側を裏面側として通板処理される【0012】本発明においては、図1(b)に示すように、下側のワークロールを通常のダルロール2aとする一方で、上側のワークロールをエンボスロール2bとし、このエンボスロール2bに矢印等の方向を示すマーク転写部5aを転写可能に設けたことを特徴とするマーク転写部5aは、エンボスロール2bのロール表面に凸状、または、凹状に加工して形成する。こうすることで、下側のダルロール2aで被圧延材であるステンレス鋼板1の表面側をダル仕上げすると同時に、ステンレス鋼板1の裏面側に凹状、または、凸状のマーク5bを転写することができるのである。
【0013】その結果 図1(c)に示すように ステンレス鋼板1の裏面側に所定のマーク5bが転写される。このマーク5bは、ダル仕上げ時の圧延方向を明らかにすることを目的とすることから 矢印(例えば 「→」のマーク)とすることを好適とするが これに限定するものではない。例えば図3に示すように、社名の頭文字のアルファベット(ここでは、「K」としている。)を示すマーク5cとしてもよく、また、ロゴマーク等としてもよい。
【0014】なお、マーク5bあるいは5cは、明確に識別可能であれば十分であり 凹部の深さ あるいは、凸部の高さを最小限に止めておき 表側に写らず、また、影響を与えることのないようにしておくことが重要である。ところで、ステンレス鋼板の裏面側にマークをつける方式は 上記のロール転写方式に限定するものではなく 印字機等を用いて所定のマークを印字するようにしても良い【0015】この場合には 印字したマークが消えないようにするため 焼鈍等の工程が完了した後の最終工程、あるいは、精整処理が完了した後の最終工程で印字を行うことを好適とするが、印字が消えない範囲であればこれに限定されず、最初の工程、あるいは、途中の工程としても良いことは言うまでもない但し 通板処理方向より色調に大きな影響を与える製造工程 具体的にはダル圧延時の圧延方向を明らかとするようにマークを印字する必要がある。
【0016】好適には、図2に示すように アンコイラ3で巻き戻したステンレス鋼板1に、焼鈍設備6で焼鈍処理を行い 必要に応じて酸洗設備7で酸洗した後、印字設備8で所定のマークを印字し 再度コイラ4に巻き取るのである なお、図2では ステンレス鋼板1の裏面を下側としている印字設備8としては、例えば ドットプリンタを用いたドット印字方式を採用することを好適とするが これに限定するものではなく ステンシル方式 転写方式等を採用してもよい【0017】また、表側のダル仕上げ面に影響を与えない範囲であれば レーザ焼付け等の焼付けマーキング方式を採用しても良いことは言うまでもない次に、本発明のダル仕上げ金属板を屋根材として用いた施工の具体例について簡単に説明する本発明のダル仕上げ金属板、例えば ダル仕上げステンレス鋼板を用い、屋根用の金属タイルへの加工、あるいは 建物屋根への施工を行うに際し、ダル仕上げステンレス鋼板の裏面にあるマークの方向を揃えるようにして作業を行うようにする。そうすることで、色調の均一性のある屋根に仕上げることができるのである。
【0018】ダル仕上げステンレス鋼板の裏面に転写あるいは印字するマークは、ステンレス鋼板の大きさに応じ その大きさや間隔を任意に決めればよい。なお、印字方式を採用した場合には その色も任意に選定することが可能である。以上 本発明では、ステンレス鋼板の例について述べてきたが、本発明の方法は他の圧延金属板にも同様に適用できることは言うまでもないことである。
【0019】
【発明の効果】本発明によって、ダル仕上げ金属板を屋根材等の建材として用いて施工するに際し 圧延方向を確実に管理することが可能となり、意匠性および防眩性を損なうことなく、ダル仕上げ面の色調差を最小限として施工することが可能となった【0020】その結果 建物の色調の均一性が損なわれる恐れが解消され、建材として屋外での大面積に使用しても金属パネル間の色調差を生じることなく、優れた美観を実現でき、均一で落ち着いた外観を得られるようになった。また、本発明はオーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼を問わずあらゆる鋼種の鋼板に対して、さらには、あらゆる種類の金属板に対して適用可能であり、極めて有用である。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【出願日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【代理人】 【識別番号】100099531
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 英一
【公開番号】 特開2002−321003(P2002−321003A)
【公開日】 平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願番号】 特願2001−130682(P2001−130682)