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【発明の名称】 圧延機の油圧圧下方法および油圧圧下装置
【発明者】 【氏名】上杉 智治

【要約】 【課題】同調シリンダ方式等による圧延機の油圧圧下装置において、圧延ロール閉動作時のロール両端の位置偏差を比較的簡単で安価な構成により解消し、圧延材との接触時に発生する絞り込みや蛇行を防止と、生産能力の向上を図る。

【解決手段】圧延機のロール3の両端支持部に設けられた一対の油圧圧下シリンダ4a,4bに同調シリンダ11等を介してそれぞれ等量の作動油を供給することにより、ロール3を水平状態で閉動作させる油圧回路Aに、比例電磁式方向流量制御弁31を有する補正油圧回路Bを設け、ロール閉動作中に位置センサー5a,5bによりロールの両端支持部の位置偏差量を常に検出し、この位置偏差量を解消する補正作動油を一対の油圧圧下シリンダ4a,4bに供給し、ロール3の片当たりを解消する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧延機のロールの両端支持部に設けられた一対の油圧圧下機構に同調油圧供給装置を介してそれぞれ等量の作動油を供給することにより、ロールを水平状態で閉動作させる圧延機の油圧圧下方法において、ロール閉動作時のロールの両端支持部の位置偏差量を検出し、この位置偏差量を解消する補正作動油を油圧圧下機構に供給することを特徴とする圧延機の油圧圧下方法。
【請求項2】 圧延機のロールの両端支持部に設けられた一対の油圧圧下機構と、この一対の油圧圧下機構に同調油圧供給装置を介してそれぞれ等量の作動油を供給する油圧回路を有する圧延機の油圧圧下装置において、ロール閉動作時のロールの両端支持部の位置偏差量を解消する作動油を油圧圧下機構に供給可能な補正油圧回路を設けたことを特徴とする圧延機の油圧圧下装置。
【請求項3】 請求項2に記載の油圧圧下装置において、補正油圧回路は、油圧源から一対の油圧圧下機構へ作動油を供給可能な一対の油路に、一対の油圧圧下機構の位置偏差量に基づいて、前記一対の油路を選択し、かつ、油量を調節する制御弁を有することを特徴とする圧延機の油圧圧下装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄鋼業等の製板分野における圧延機の油圧圧下方法および油圧圧下装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】板の圧延機のロール圧下装置は、電動スクリュー方式から応答性の良い油圧シリンダ方式が採用されるようになってきており、上下一対の圧延ロールの間に圧延材を挿入し、下部のロールの両端支持箱(ロールチョック)を一対の油圧圧下シリンダにより押し上げることで、圧延材を圧延している。このような油圧圧下装置の制御方法は、一般に、下記の2通りの方法によって行われている。
(1) 位置制御…ロール閉動作時(圧延材とロールを接触させる動作)のロール平行度を制御する工程(2) 圧力制御…圧延時の圧下力を一定に制御する工程【0003】例えば、先行材の尾端と後続材の先端を接合して操業する連続ラインでは、接合点が圧延機を通過する際、一旦圧延ロールを開放し、接合点が通過した後に前述の位置制御を行いながら圧延ロールを閉じ、圧延ロールと圧延材が接触した後に、再び前述の圧力制御により圧下力を調整して圧延することになる。
【0004】図3に示すのは、圧延ロールの位置制御に同調シリンダを用いた油圧圧下装置の従来例である。圧延機1は上下一対の圧延ロール2,3を有し、下部の圧延ロール3の両端のロールチョックの下にそれぞれ油圧圧下シリンダ4a,4bが組み込まれている。この一対の油圧圧下シリンダ4a,4bに接続される油圧回路Aは、位置制御油圧回路A1 と圧力制御油圧回路A2 に大別され、位置制御油圧回路A1 によりロール閉動作時の位置制御(ロール平行度制御)が行われ、圧力制御油圧回路A2 により圧延時の圧力制御が行われる。
【0005】位置制御油圧回路A1 は、油圧源側から順に、電磁式方向切換弁10と、同調シリンダ11と、一対のロジック弁12a,12bを備えている。油圧源からの2つの油路13と油路14は圧延機側で分岐され、分岐した油路13a,13bがそれぞれ一対の油圧圧下シリンダ4a,4bのヘッド側(ピストン下部室)に接続され、分岐した油路14a,14bがそれぞれ一対の油圧圧下シリンダ4a,4bのロッド側(ピストン上部室)に接続される。
【0006】同調シリンダ11は、2つのピストンを1本のロッドに設けることにより、等量の作動油を放出可能なシリンダであり、その2つの入口ポート及び出口ポートに油路13a,13bが接続されている。ロジック弁12a,12bは、両方向の流れに対して開き、かつ、外部操作により閉じる弁であり、油路13a,13bの圧延機側にそれぞれ設けられている。さらに、電磁式方向切換弁10と同調シリンダ11の間に油路13には、ロール急速開動作用の油路15が接続され、この油路15には電磁式方向切換弁16により開くパイロット操作逆止弁17が設けられている。
【0007】圧力制御油圧回路A2 は、油圧源からの油路20に、油圧源側から順に、比例電磁式リリーフ減圧弁21と、電磁式遮断弁22を備えている。油路20の分岐した油路20a,20bが油路13a,13bにそれぞれ合流するようにされている。比例電磁式リリーフ減圧弁21は、油路20bに設けられた圧力変換器23により制御される。電磁式遮断弁22は、油路13bに設けられた圧力スイッチ24により操作される。
【0008】以上のような構成の油圧回路Aにおいて、先行材P1 と後続材P2 を繋ぎ合わせた溶接点Jが圧延機1を通過して圧延ロール2,3を閉じる場合、電磁式方向切換弁10のソレノイドaを励磁することで、作動油は油路13により同調シリンダ11に供給される。この同調シリンダ11から放出される2系統の油量は等しく、この等量の作動油がロジック弁12a,12bを通って油圧圧下シリンダ4a,4bのヘッド側に供給され、下部の圧延ロール3は水平を保持したまま圧延材に接触することができる。
【0009】次に、圧延ロール3と圧延材Pが接触すると、油圧圧下シリンダ4aのヘッド側の圧力が上昇し、これを圧力スイッチ24が検出し、ロジック弁12a,12bを閉じると共に、閉じていた電磁式遮断弁22を開き、比例電磁式リリーフ減圧弁21が作動することで、圧力制御に移行する。
【0010】次に、先行材P1 と後続材P2 の溶接点Jが圧延機1に近づいて圧延ロール2,3を開く場合、電磁式方向切換弁10のソレノイドbを励磁することで、作動油が油路14により油圧圧下シリンダ4a,4bのロッド側に供給され、圧延ロール3が下降する。油圧圧下シリンダ4a,4bのヘッド側の作動油はロジック弁12a,12bを通過し、同調シリンダ11に排出される。電磁式方向切換弁16のソレノイドaを励磁することでパイロット操作逆止弁17が開いており、同調シリンダ11の作動油が油路15を通って排出されることにより、圧延ロール3が急速オープンする。所定のオープン量を油圧圧下シリンダ4a,4bに設けた位置センサー5a,5bで検出し、電磁式方向切換弁10を無励磁にする(中立位置に戻す)ことで、圧延ロール3を停止させる。
【0011】なお、圧延ロールの位置制御については、以上のような同調シリンダを用いた油圧圧下装置に限らず、サーボ弁を用いた方法も広く採用されているが(特許第2820887号など)、この方法は一般的に知られており、また本発明の適用対象は同調シリンダ等の同調油圧供給装置を用いた油圧圧下装置であるため、ここでの説明は省略する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来の同調シリンダを用いた油圧圧下装置がその機能を発揮するのは、昇降する圧延ロールが常に水平になっていることが必要である。また、この水平状態に調整できるのは、圧延ロールを全開にした状態、即ち、一対の油圧圧下シリンダを共にストロークエンドまで移動させた状態の時のみである。現実には圧延中(圧力制御中)に発生した圧延ロールの傾き(両端位置の偏差)や、同調シリンダ及び圧下シリンダ等油圧回路内でのリークによる作動油の不均等分配によるロールの傾きが蓄積され、圧延ロールは大きく傾いた状態で圧延材に接触し、これによる圧延材の絞り込みや蛇行が生産能力の低下を引き起こしている。また、接合点毎に圧延ロールを全開(油圧圧下シリンダのストロークエンド)にして水平調整することも可能であるが、連続ラインに対しては、生産効率上、極めて不利である。
【0013】一方、サーボ弁を用いた場合には、圧延ロールの閉動作時にロール両端の偏差を無くすように位置制御することは可能である。しかし、連続ラインにおける接合点通過時の圧延ロールの開閉速度は製品歩留り及び生産能力を考える上で無視できない要素であり、同調シリンダ方式と同等レベルのロール開閉速度を実現するには非常に大容量のサーボシステムが必要となり、建設コストの増加につながる。また、一般的にサーボシステムにおける作動油の管理レベルは厳しく、維持管理コストも増加する。
【0014】本発明は、前述のような問題点を解消すべくなされたもので、同調シリンダ等の同調油圧供給装置を用いた圧延機の油圧圧下装置において、圧延ロール閉動作時のロール両端の位置偏差を比較的簡単で安価な構成により解消することができ、圧延材との接触時に発生する絞り込みや蛇行を防止することができ、生産能力の向上を図ることのできる圧延機の油圧圧下方法および油圧圧下装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1は、圧延機のロールの両端支持部(ロールチョック)に設けられた一対の油圧圧下機構(油圧圧下シリンダ等)に同調油圧供給装置(同調シリンダあるいは一対の流量調整弁等)を介してそれぞれ等量の作動油を供給することにより、ロールを水平状態で閉動作させる圧延機の油圧圧下方法において、ロール閉動作時のロールの両端支持部の位置偏差量を検出し、この位置偏差量を解消する補正作動油を油圧圧下機構に供給することを特徴とする圧延機の油圧圧下方法である。例えば、昇降する下部の圧延ロールの閉動作時(上昇時)に油圧圧下機構に設けた位置センサーにより常にロール両端支持部の位置偏差量を検出し、この偏差分に相当する油量を油圧圧下機構に供給してロール閉動作中におけるロール両端支持部の位置偏差量を解消する。
【0016】本発明の請求項2は、圧延機のロールの両端支持部(ロールチョック)に設けられた一対の油圧圧下機構(油圧圧下シリンダ等)と、この一対の油圧圧下機構に同調油圧供給装置(同調シリンダあるいは一対の流量調整弁等)を介してそれぞれ等量の作動油を供給する油圧回路を有する圧延機の油圧圧下装置において、ロール閉動作時のロールの両端支持部の位置偏差量を解消する作動油を油圧圧下機構に供給可能な補正油圧回路を設けたことを特徴とする圧延機の油圧圧下装置である。油圧圧下装置の油圧回路は、同調油圧供給装置を有しロール閉動作時の位置制御(ロール平行度制御)を行う位置制御油圧回路と、圧延時の圧力制御を行う圧力制御油圧回路から構成されており、このような油圧回路に補正油圧回路を付加する。
【0017】本発明の請求項3は、請求項2に記載の油圧圧下装置において、補正油圧回路は、油圧源から一対の油圧圧下機構へ作動油を供給可能な一対の油路に、一対の油圧圧下機構の位置偏差量に基づいて、前記一対の油路を選択し、かつ、油量を調節する制御弁を有することを特徴とする圧延機の油圧圧下装置である。前記制御弁には、例えば比例電磁式方向流量制御弁を用い、一対の油圧圧下機構の位置偏差量に基づいて補正に必要な油量を一対の油圧圧下機構のうちの一方へ供給し、ロール両端支持部の位置偏差量を解消する。
【0018】補正油圧回路には、制御弁の油圧源側に減圧弁を設け、補正油圧回路の圧力を同調油圧供給装置側の回路圧と同じにするのが好ましい。また、制御弁の油圧源側にアキュムレータを設け、補正油圧回路の応答性を高めるのが好ましい。さらに、制御弁の圧延機側には、遮断弁を設け、ロール閉動作が終了すると、遮断弁を閉じることで補正油圧回路を位置制御油圧回路と圧力制御油圧回路から切り離し、圧延時の圧力制御とロール開動作を行えるようにする。
【0019】以上のような本発明の構成において、同調シリンダ等によるロール閉動作中にロール両端の位置偏差が補正油圧回路により常に修正され、ロール両端の位置偏差が解消されるため、ロールを圧延材に対して平行に接触させることができる。これにより、同調シリンダ等を用いた油圧圧下装置においても、圧延材かみ込み時に発生していた片当たり(不均一圧下)を防止し、圧延材の絞り込みや蛇行を防止することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する一実施形態に基づいて説明する。図1,図2は、本発明の圧延機の油圧圧下方法を実施するための油圧圧下装置の1例を示したものであり、図1は同調油圧供給装置に同調シリンダを用いた場合、図2は同調油圧供給装置に一対の流量調整弁を用いた場合である。なお、図1,図2において、従来の図3と同一の部分には同一符号を付している。
【0021】図1において、圧延機1は上下一対の圧延ロール2,3を有し、下部の圧延ロール3の駆動側(DS)と作業側(WS)の両端のロールチョックの下にそれぞれ油圧圧下シリンダ4a,4bが組み込まれている。また、油圧圧下シリンダ4a,4bには、下部の圧延ロール3の昇降位置を検出する位置センサー5a,5bが設けられている。一対の油圧圧下シリンダ4a,4bに接続される油圧回路Aは、従来と同様に、ロール閉動作時の位置制御(ロール平行度制御)を行う位置制御油圧回路A1 と、圧延時の圧力制御を行う圧力制御油圧回路A2 から構成されている。本発明では、このような従来の油圧回路Aに、補正用の作動油を補給することのできる補正油圧回路Bを付加している。
【0022】位置制御油圧回路A1 は、従来の構成と同一であり、一対の油圧圧下シリンダ4a,4bのヘッド側(ピストン下部室)とロッド側(ピストン上部室)にそれぞれ接続される油路13と油路14に、電磁式方向切換弁(3位置切換弁)10が設けられ、一対の油路13a,13bに、同調シリンダ11と、一対のロジック弁12a,12bが設けられ、油路13に接続されるロール急速開動作用の油路15に、電磁式方向切換弁(2位置切換弁)16により開くパイロット操作逆止弁17が設けられている。
【0023】圧力制御油圧回路A2 も、従来の構成と同一であり、油圧源からの油路20に比例電磁式リリーフ減圧弁21と電磁式遮断弁22が設けられている。油路20の分岐した油路20a,20bが油路13a,13bにそれぞれ合流するようにされ、比例電磁式リリーフ減圧弁21は、油路20bに設けられた圧力変換器23により制御され、電磁式遮断弁22は、油路13bに設けられた圧力スイッチ24により操作される。
【0024】補正油圧回路Bは、油路20a,20bに接続される油路30a,30bの途中に比例電磁式方向流量制御弁(3位置切換弁)31を設け、油路30a,30bの圧延機側にそれぞれ電磁式遮断弁32a,32bを設け、油路30bの油圧源側に減圧弁33とアキュムレータ34を設けて構成されている。なお、油路30bは圧力制御油圧回路A2 の油圧源(油路20)に接続され、圧力制御油圧回路A2 の油圧源を利用できるようにしている。
【0025】比例電磁式方向流量制御弁31は、下部の圧延ロール3の上昇時に、圧延ロール3の駆動側と作業側の位置偏差に基づいて、補正用の作動油の分配方向(油圧圧下シリンダ4aか4bの選択)を決定し、かつ、その補正用の作動油の油量を制御するものであり、制御盤35により制御される。この制御盤35には、位置センサー5a,5bからの検出信号が入力され、圧延ロール3の両端の位置偏差が計算され、位置偏差があった場合、それを補正する信号が比例電磁式方向流量制御弁31のソレノイドに出力される。例えば、油圧圧下シリンダ4a側の位置が高ければ、油圧圧下シリンダ4bに作動油を供給し、かつ、油圧圧下シリンダ4aの作動油を排出する方向に弁を切り替えると同時に、その供給量・排出量を調節して、圧延ロール3の駆動側と作業側のレベルを一致させる。
【0026】減圧弁33は、補正油圧回路Bの圧力を同調シリンダ側の油圧回路圧と同一にするために設けられている。アキュムレータ34は、補正油圧回路Bの応答性を高めるために設けられている。
【0027】(1) 圧延ロールの開動作(下降)
従来と同様であり、先行材P1 と後続材P2 の溶接点Jが圧延機1に近づくと、電磁式方向切換弁10のソレノイドbを励磁することで、作動油が油路14により油圧圧下シリンダ4a,4bのロッド側に供給され、下部の圧延ロール3が下降する。油圧圧下シリンダ4a,4bのヘッド側の作動油はロジック弁12a,12bを通過し、同調シリンダ11に排出される。電磁式方向切換弁16を励磁することでパイロット操作逆止弁17が開いており、同調シリンダ11の作動油が油路15を通って排出されることで、圧延ロール3が急速オープンする。所定のオープン量を油圧圧下シリンダ4a,4bに設けた位置センサー5a,5bで検出し、電磁式方向切換弁10を無励磁にする(中立位置に戻す)ことで、圧延ロール3を停止させる。本実施形態においては、例えば、溶接点通過時の通板速度は100mpm、圧延ロール開度は20mm、急速オープン速度は40mm/秒である。
【0028】(2) 圧延ロールの閉動作(上昇)
従来と同様であり、先行材P1 と後続材P2 の溶接点Jが圧延機1を通過すると、電磁式方向切換弁10のソレノイドaを励磁することで、作動油は油路13により同調シリンダ11に供給される。この同調シリンダ11から放出される2系統の油量は等しく、この等量の作動油がロジック弁12a,12bを通って油圧圧下シリンダ4a,4bのヘッド側に供給され、下部の圧延ロール3が上昇する。
【0029】(3) 圧延ロールの閉動作時(上昇時)の補正前述の下部の圧延ロール3の上昇時に、この圧延ロール3の駆動側レベルと作業側レベルを位置センサー5a,5bにより測定し、制御盤35で圧延ロール3の両端の位置偏差を計算する。偏差があった場合、それを補正する信号が制御盤35から比例電磁式方向流量制御弁31に出力され、補正に必要な油量と分配方向が設定される。この時、電磁式遮断弁32a,32bはソレノイドaの励磁により開いているので、補正に必要な作動油が油路30aまたは30bを通って所定の油圧圧下シリンダ4aまたは4bのヘッド側に供給される。前述の偏差計算と補正動作は、フィードバック制御によりロール上昇中、常に実行されている。本実施形態においては、ロール上昇速度は10mm/秒、補正油量は同調シリンダ11による供給量の5%とし、補正油圧回路Bの圧力は減圧弁33によって同調シリンダ側の油圧回路圧と同じに設定した。
【0030】(4) 圧延ロールの圧力制御下部の圧延ロール3と圧延材Pが接触すると、回路圧力が上昇するので、圧力スイッチ24が動作することになる。この信号により、ロジック弁12a,12bを閉じて位置制御油圧回路A1 を遮断し、電磁式遮断弁32a,32bを無励磁により閉じて補正油圧回路Bを遮断し、圧力制御油圧回路A2 の電磁式遮断弁22をソレノイドaの励磁により開くことにより、圧力制御に切り替わる。この圧力制御においては、圧力変換器23からの圧力信号によって電磁式リリーフ減圧弁21が制御される。
【0031】次に、図2においては、同調シリンダの替わりに一対の流量調整弁を用いており、一対の油路13a,13bにそれぞれチェック弁付き圧力補償形流量調整弁18a,18bを設ける。この流量調整弁18a,18bの可変絞りの絞り量を設定しておけば、圧力補償機構により流量が自動的に調整され、等量の油量をそれぞれ油圧圧下シリンダ4a,4bへ供給することができる。なお、その制御精度に関しては、同調シリンダと同等もしくは以下となっている(一般的に最大流量の5%は誤差範囲内としている)。その他の油圧回路構成は図1と同じであり、図1と同様に作動し、図1と同様の効果が得られる。
【0032】なお、以上の実施形態では、同調油圧供給装置に同調シリンダと流量調整弁を用いる場合を例示したが、これに限らず、その他の同調油圧システムを用いることができることは言うまでもない。また、圧延機は圧延ロールが上下一対の2段圧延機について説明したが、これに限らず、4段圧延機などにも本発明を適用できることは言うまでもない。
【0033】
【発明の効果】本発明は、以上のような構成からなるので、次のような効果を奏する。
【0034】(1) 同調シリンダ等を介してロールの開閉動作を行う圧延機の油圧圧下装置にロール両端の位置偏差を解消することができる補正油圧回路を設けることにより、ロールと圧延材の片当たりに起因する圧延材の絞り込みや蛇行を防止することができ、安定した操業が可能となる。特に、連続ラインにおいては溶接点通過時のライン速度を必要以上に落とす必要が無くなり、生産能力の向上を図ることができる。
【0035】(2) 同調シリンダ等による簡易な油圧圧下装置に比較的簡単で安価な補正油圧回路を設けるだけで片当たりを解消することができるため、同様の効果を得るためのサーボ弁による油圧圧下装置を構築する場合に比べて、建設コストや維持管理コストを大幅に低減することができる。
【出願人】 【識別番号】000002118
【氏名又は名称】住友金属工業株式会社
【出願日】 平成13年2月22日(2001.2.22)
【代理人】 【識別番号】100070091
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 知 (外1名)
【公開番号】 特開2002−248511(P2002−248511A)
【公開日】 平成14年9月3日(2002.9.3)
【出願番号】 特願2001−46287(P2001−46287)