| 【発明の名称】 |
人工欠陥を有した遮熱層の形成方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】鳥越 泰治
【氏名】青木 素直
【氏名】岡田 郁生
【氏名】高橋 孝二
【氏名】大原 稔
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、TBCの人工欠陥を厚さや形状を変えて製作でき、実機における欠陥検出限界を求めることを課題とする。
【解決手段】母材11上にアンダーコート層12を形成する工程と、このアンダーコート層12上にトップコート層13aを形成する工程と、人工欠陥形成予定部を除く前記トップコート層13a上にマスク材14を形成する工程と、マスク材から露出する前記トップコート層上に人工欠陥形成部材15を形成する工程と、前記マスク材14を除去した後、全面に再度トップコート層13bを形成する工程と、前記人工欠陥形成部材15を消失させてトップコート層13bに人工欠陥16を形成する工程とを具備することを特徴とする人工欠陥を有した遮熱層の形成方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 母材上にアンダーコート層を形成する工程と、このアンダーコート層上にトップコート層を形成する工程と、人工欠陥形成予定部を除く前記トップコート層上にマスク材を形成する工程と、マスク材から露出する前記トップコート層上に人工欠陥形成部材を形成する工程と、前記マスク材を除去した後、全面に再度トップコート層を形成する工程と、前記人工欠陥形成部材を消失させてトップコート層に人工欠陥を形成する工程とを具備することを特徴とする人工欠陥を有した遮熱層の形成方法。 【請求項2】 人工欠陥形成部材としてAlを蒸着又は溶射により堆積し、かつトップコート層の形成後に水酸化ナトリウムで堆積したAlを溶解することにより人工欠陥を形成することを特徴とする請求項1記載の人工欠陥を有した遮熱層の形成方法。 【請求項3】 人工欠陥形成部材としてカーボンを塗布し、かつトップコート層の形成後に大気中で前記カーボンを焼くことにより人工欠陥を形成することを特徴とする請求項1記載の人工欠陥を有した遮熱層の形成方法。 【請求項4】 人工欠陥形成部材として樹脂を塗布又は溶射し、かつトップコート層の形成後に大気中で前記樹脂を焼くことにより人工欠陥を形成することを特徴とする請求項1記載の人工欠陥を有した遮熱層の形成方法。 【請求項5】 前記トップコート層の厚みは10〜50μmであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の人工欠陥を有した遮熱層の形成方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は人工欠陥を有した遮熱層の形成方法に関し、詳しくは産業用ガスタービン、ジェットエンジンなどの高温部品である動翼等に形成される遮熱層の欠陥検出限界を求めるのに適用されるものである。 【0002】 【従来の技術】周知の如く、ガスタービン等に使用される動翼(タービン翼)としては、図2に示す構成のものが知られている。ところで、こうしたタービン翼は高温で長時間使用されるため、その表面には遮熱コーティング(TBC)が施されている。ここで、TBCのトップコート層にはセラミックが使用されているが、その耐久性、信頼性及び健全性の評価が重要である。 【0003】ところで、TBCでは、一般にアンダーコート層に近いトップコート層内で剥離が生じることが知られている。現在、TBCの剥離検出には、赤外線サーモグラフィー法が検討されているが、このTBCのトップコート層の剥離に関して、欠陥を人工的に製作することは難しく、トップコート層の欠陥検出限界を求めることができなかった。 【0004】図3は、図2に示すタービン翼1の剥離部Xの断面図を示す。図3に示すように、トップコート層2は、母材3上にアンダーコート層4を介して形成されている。前記剥離部1は、初期には全く発生しないが、長時間運転するにつれてアンダーコート層2に近いトップコート層2内にき裂5が生じ、これに起因して剥離へと進む。図5は、母材3、アンダーコート層4及びトップコート層2の初期状態の断面を顕微鏡(×100倍)で撮影した金属組織の写真を示す。 【0005】また、図6は、母材3、アンダーコート層4及びトップコート層2の剥離直前の断面を顕微鏡(×100倍)で撮影した金属組織の写真を示す。図4及び図5より、初期では発生しない剥離が、タービン翼の長時間運転につれて発生することが確認された。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情を考慮してなされたもので、母材上にアンダーコート層、薄いトップコート層を順次形成し、人工欠陥形成予定部を除く前記トップコート層上にマスク材を形成し、マスク材から露出する前記トップコート層上に人工欠陥形成部材を形成し、マスク材を除去した後全面に厚い再度トップコート層を形成した後、人工欠陥形成部材を消失させてトップコート層に人工欠陥を形成する構成とすることにより、実機の場合にきわめて近い人工欠陥を厚さや形状を変えて製作でき、実機における欠陥検出限界を求めることができる人工欠陥を有した遮熱層の形成方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、母材上にアンダーコート層を形成する工程と、このアンダーコート層上にトップコート層を形成する工程と、人工欠陥形成予定部を除く前記トップコート層上にマスク材を形成する工程と、マスク材から露出する前記トップコート層上に人工欠陥形成部材を形成する工程と、前記マスク材を除去した後、全面に再度トップコート層を形成する工程と、前記人工欠陥形成部材を消失させてトップコート層に人工欠陥を形成する工程とを具備することを特徴とする人工欠陥を有した遮熱層の形成方法である。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に説明する。本発明において、人工欠陥の形成手段としては、1)人工欠陥形成箇所に人工欠陥形成部材(例えばAl)を選択的に蒸着又は溶射により堆積し、かつトップコート層の形成後に水酸化ナトリウムで堆積したAlを溶解することにより形成方法(実施例1参照)、2)人工欠陥形成箇所に人工欠陥形成部材(例えばカーボン)を選択的に塗布し、かつトップコート層の形成後に大気中で前記カーボンを焼くことにより形成する方法(実施例2参照)、3)人工欠陥形成箇所に人工欠陥形成部材(例えば樹脂)を選択的に塗布又は溶射し、かつトップコート層の形成後に大気中で前記樹脂を焼くことにより形成する方法(実施例3参照)、が挙げられる。 【0009】本発明において、トップコート層の厚みは10〜50μmであることが好ましい。これは、実機におけるき裂などの欠陥が一般に上記範囲で形成されるからである。これにより、より実機の欠陥により近い供試体を得ることができる。 【0010】本発明によれば、例えば図4に示すように、母材11にアンダーコート層12を介して該アンダーコート層12近傍に空洞部(人工欠陥)16を有したトップコート層13を形成された供試体を得ることができる。なお、人工欠陥16の厚さ(高さ)や形状は図示されたものに限らず、人工欠陥形成部材の堆積状況により種々の形状の人工欠陥を形成することができる。 【0011】 【実施例】以下、本発明の実施例に係る人工欠陥を有した遮熱層の形成方法について図面を参照して説明する。なお、下記実施例で述べる各部材の材料、数値等は一例を示すもので、本発明の権利範囲を特定するものではない。 【0012】(実施例1)図1(A)〜(D)を参照する。まず、Ni系合金からなる母材11上に、例えばMCrAlY(Ni又はCoの少なくとも一方を含む合金)からなる極薄いアンダーコート層(厚さ約100μm)12を形成した。次に、前記アンダーコート層12上にZrO2からなるトップコート層(厚さ約10μm程度)13aを形成した。つづいて、人工欠陥形成予定部を除く前記トップコート層13a上に例えば樹脂からなるマスク材14を形成した(図1(A)参照)。次いで、全面に人工欠陥形成部材例えばAlを蒸着し、Al層15を形成した(図1(B))参照)。 【0013】次に、前記マスク材14を除去した後、全面に再度厚いトップコート層(厚さ300μm)13bを形成した(図1(C)参照)。ここで、前記トップコート層13a,13bを総称してトップコート層13と呼ぶ。つづいて、NaOH中に浸漬し化学反応により前記Al層15を溶解して消失させ、アンダーコート層12との近傍のトップコート層13に空洞部(平面形状が円形の人工欠陥)16を形成した(図1(D)参照)。 【0014】このように実施例1では、母材11上にアンダーコート層12、約10μm程度の極薄いトップコート層13aを順次形成し、人工欠陥形成予定部を除く前記トップコート層13a上にマスク材14を形成した後、全面にAlを蒸着してAl層15を形成し、更にマスク材14を除去した後、全面に再度トップコート層13bを形成してトップコート層13とし、NaOH中で前記Al層15を溶解して消失させるため、アンダーコート層12との近傍のトップコート層13に人工欠陥16を形成することができる。従って、TBCの人工欠陥を厚さや形状を変えて製作でき、欠陥検出限界を求めることができる。 【0015】事実、Al蒸着、NaOHによる溶解で試作した供試体の断面ミクロ組織は、図7(顕微鏡写真の模式図、目標欠陥サイズ:φ10mm)に示すようになった。なお、図7中の端部における厚みは、アンダーコート層:20μm(T1)、人工欠陥:125μm(T2)、トップコート層:280μm(T3)であった。 【0016】なお、上記実施例1では、マスク材を介してAlを蒸着する場合について述べたがこれに限らず、溶射してもよい。また、マスク材も樹脂に限らず、ステレンレス等でもよい。 【0017】(実施例2)本実施例2は、実施例1と比べ、Al蒸着の代わりにカーボンを塗布すること、及び再度厚いトップコート層13bを形成した後例えば500℃、大気中でカーボンを焼いて空洞部とすることを除いて、実施例1と同様な工程で人工欠陥を作ることを特徴とする。実施例2によれば、実施例1と同様な効果を有する。 【0018】(実施例3)本実施例3は、実施例1と比べ、Al蒸着の代わりにポリエステル等の樹脂を塗布(又は溶射)すること、及び再度厚いトップコート層13bを形成した後例えば500℃、大気中でカーボンを焼いて空洞部とすることを除いて、実施例1と同様な工程で人工欠陥を作ることを特徴とする。実施例3によれば、実施例1と同様な効果を有する。 【0019】 【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、実機の場合にきわめて近い人工欠陥を厚さや形状を変えて製作でき、実機における欠陥検出限界を求めることができる人工欠陥を有した遮熱層の形成方法を提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006208 【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年6月12日(2001.6.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100058479 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−361166(P2002−361166A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月17日(2002.12.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−177410(P2001−177410) |
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