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【発明の名称】 塗布処理装置及びその方法
【発明者】 【氏名】出口 雅敏

【氏名】稲田 博一

【氏名】福田 雄二

【要約】 【課題】基板を鉛直軸まわりに回転させながら、当該基板表面のほぼ回転中心に塗布液を供給して塗布膜を形成するにあたり、基板の周囲に設けたカップ専用の洗浄工程を不要とすること。

【解決手段】ウエハWを略水平に保持するスピンチャック31と、ウエハ表面にレジスト液を供給する供給ノズル62と、ウエハWの外端縁の近傍領域を囲むように、前記基板の外端縁に対向する開口部が形成された内カップ5と、この内カップ5の周囲に設けられ、吸引手段42により吸引される排気管43が接続された外カップ4と、を備え、前記レジスト液が供給されたウエハWを回転させて、この回転の遠心力により前記レジスト液の液体成分を内カップ5の内部に飛散させ、前記外カップ4を吸引することにより、前記塗布液の気体成分を外カップ4に吸引し、こうして塗布液の液体成分と気体成分とを分離して回収する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板を略水平に保持し、かつ基板を鉛直軸まわりに回転させる基板保持部と、この基板保持部に保持された基板の表面に塗布液を供給するための供給ノズルと、基板保持部に保持された基板の外端縁の近傍領域を囲むように、前記基板の外端縁に対向する開口部が形成された第1のカップと、を備え、表面に前記塗布液が供給された基板を回転させて、この回転の遠心力により前記塗布液の液体成分を基板の側方側の前記第1のカップの内部に飛散させ、これにより塗布液の液体成分を気体成分と分離して回収することを特徴とする塗布処理装置。
【請求項2】 前記基板保持部に保持された基板の側方を囲むように、前記第1のカップの周囲に設けられた第2のカップと、この第2のカップに接続されると共に、吸引手段により吸引される排気路と、を備え、表面に塗布液が供給された基板を回転させて、前記第2のカップを排気路を介して吸引手段により吸引することにより、前記塗布液の気体成分を第2のカップに吸引し、これにより塗布液の気体成分を液体成分と分離して回収することを特徴とする請求項1記載の塗布処理装置。
【請求項3】 前記基板保持部に保持された基板の表面に塗布液の溶剤を供給するための溶剤供給ノズルをさらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載の塗布処理装置。
【請求項4】 前記基板保持部に保持された基板の裏面側周縁部に洗浄液を供給するための洗浄液ノズルをさらに備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の塗布処理装置。
【請求項5】 前記第1のカップ及び/又は第2のカップには、上面に基板が通過可能な開口部が形成されており、この開口部を介して前記基板保持部に対して基板の受け渡しが行われることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の塗布処理装置。
【請求項6】 前記基板保持部は基板の裏面側中央部を保持し、前記第1のカップは、前記基板保持部に保持された基板の裏面側の外端縁よりも内方側を覆うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の塗布処理装置。
【請求項7】 基板の外端縁の近傍領域を囲む第1のカップと、この第1のカップの周囲に設けられ、吸引排気路を備えた第2のカップとを含む塗布処理装置において、基板の表面に塗布液を供給し、基板を鉛直軸まわりに回転させ、この回転の遠心力により基板表面に前記塗布液を拡散させて塗布する塗布処理方法において、基板表面に塗布液の溶剤を塗布する工程と、次いで基板表面に塗布液を塗布する工程と、続いて基板の裏面側に洗浄液を供給する工程と、を含み、塗布液、塗布液の溶剤、洗浄液の少なくとも1つが供給された基板を回転させて、前記塗布液及び塗布液の溶剤並びに洗浄液のいずれかの液体成分を回転の遠心力により基板の側方側の第1のカップの内部に飛散させ、前記塗布液及び塗布液の溶剤並びに洗浄液の気体成分のいずれかを第2のカップの内部に吸引排気することにより、塗布液の液体成分と気体成分とを分離して回収することを特徴とする塗布処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば半導体ウエハやLCD基板(液晶ディスプレイ用ガラス基板)等の基板に塗布液例えばレジスト液を塗布するための塗布処理装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体ウエハ(以下ウエハという)や液晶ディスプレイのガラス基板(LCD基板)の表面に所望のパターンを形成するためのマスクは、ウエハ等の基板表面にレジストを塗布した後、光、電子線あるいはイオン線等をレジスト面に照射し、現像することによって得られる。
【0003】例えばレジストを塗布する塗布ユニットを図10に示すと、図中110はウエハWをほぼ水平に吸着保持するための回転自在、昇降自在に構成されたスピンチャックであり、このスピンチャック110に保持されたウエハWの表面にはノズル111からレジスト液が供給されるようになっている。スピンチャック110に保持されたウエハWの周囲には、ウエハWの側方を囲むようにしてカップ112が設けられており、このようなウエハWの下部側には、スピンチャック110を囲むように底板113が設けられている。
【0004】前記底板113の周縁側には、ウエハWの裏面側周縁領域に接近するように外側に向けて上方側に傾斜し、続いて外側に向けて下方側に傾斜して、外端側では下方側に向けて略鉛直に伸び出している断面山型のリング体114が設けられている。このように形成されたリング体114と前記カップ112との間には、スピンチャック110に吸着保持されたウエハWの側方に、外側に向けて下方側に傾斜し、続いて下方側に略鉛直に伸びる排気液路115が形成されている。前記カップ112の下方側には、この排気液路115に連続して液受けカップ116が設けられており、またこの液受けカップ116の内側には当該液受けカップ116に隣接して排気カップ117が設けられている。
【0005】液受けカップ116と排気カップ117との間は上部が開放する壁部118にて仕切られており、前記リング体114の外端側は前記液受けカップ116内に前記壁部118の下方側まで略鉛直に伸び出している。これにより前記排気液路115から液受けカップ116、排気カップ117に連続する流路が形成される。前記液受けカップ116及び排気カップ117には夫々底部に接続されたドレイン管120と排気管121とを介して、図示しない吸引手段により夫々吸引されている。
【0006】このような塗布ユニットでは、スピンチャック110に吸着保持されたウエハWのほぼ中心にノズル111からレジスト液を滴下し、ウエハWを回転させることによって、レジスト液が遠心力で拡散していき、これによりウエハW表面全体にレジスト液を塗布することができる。
【0007】こうしてレジスト液をウエハW表面に塗布すると、余分なレジスト液はウエハWの外端縁の側部周辺方向に飛散していくが、前記液受けカップ116と排気カップ117とを夫々吸引することにより、塗布液であるレジストの液体成分であるレジスト液や溶剤、これらのミスト、及び気体成分である溶剤の揮発分や空気は共に排気液路15を通り、先ず液体成分が液受けカップ116を介してドレイン管120より排液され、次いで気体成分がリング体114の外縁部と壁部118との間の流路を通って排気カップ117に至り、排気管121を介して排気され、これにより気液が分離された状態で夫々塗布ユニットの外部に排出されるようになっている。
【0008】しかしながらカップ112の内壁面やリング体114の外壁面に付着するレジスト液もあり、この付着したレジスト液層を放置しておくと、次第にレジストが積層、乾燥し、衝撃などによってカップ112等から剥離して、レジスト液を塗布しようとするウエハWを汚染するおそれがある。このため定期的にカップ112やリング体114に洗浄液を供給して付着したレジスト液層を除去することが行われている。
【0009】ところがこの手法では、洗浄液は一度流れた道筋を流れやすいことから、カップ112やリング体114の外面全体に洗浄液が拡がって流れていかず、洗浄ムラが発生しやすいという問題があり、特に図11に示すように、リング体114の外面に付着したレジスト122は除去しにくい傾向にある。このためカップ112やリング体114に付着したレジストを完全に除去するために洗浄液が多量に必要であった。
【0010】この問題を解決するために、例えばスピンチャック110上に図12に示すような洗浄治具130を搭載して、洗浄液供給ノズル131から洗浄治具130内に導入口132を介して洗浄液例えばシンナー液を供給すると共に、スピンチャック110を回転させることによりレジストを除去する手法が提案されている。この手法では、洗浄液は回転による遠心力により貯留部133に集まり、ここに形成された吐出孔134により噴射されるので、洗浄液はカップ112及びリング体114の外面全体に飛散していき、これにより均一な洗浄を行うことができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述の手法では、専用の洗浄治具130が必要であり、塗布ユニットの洗浄を行う毎に、洗浄治具130を載置したり、取り外ししなくてはならないので洗浄に手間がかかり、結果としてスループットが低下してしまう。また上述の塗布ユニットでは、レジスト液のミストはウエハWの外端縁の側方に向けて飛散していくが、このユニットの気液分離構造では、ドレイン管120,排気管121を共に吸引しており、また液受けカップ116と排気カップ117とが排気カップ117が内側になるように径方向に隣接して設けられていることから、空気などのレジスト液の気体成分と共に排気カップ117や排気管121にもレジスト液のミストが入り込んでしまう。
【0012】このように排気管121にレジスト液のミストが入り込むと、レジスト液は気体と触れて乾燥しやすいので、こうしてレジストが排気管121の内壁面に固着してしまい、この領域は洗浄できないことから、固着したレジスト膜が成長して排気管121の管径が細くなって排気管121が詰まった状態となる。こうなると成膜プロセスの排気条件値のバランスが崩れ、塗布ムラ等が発生して塗布膜の面内均一性が悪化するという問題がある。
【0013】本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、基板保持部の周囲に設けたカップ内の塗布液の付着物を除去するための専用の洗浄工程が不要であり、洗浄液も省量化される技術を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板を略水平に保持し、かつ基板を鉛直軸まわりに回転させる基板保持部と、この基板保持部に保持された基板の表面に塗布液を供給するための供給ノズルと、基板保持部に保持された基板の外端縁の近傍領域を囲むように、前記基板の外端縁に対向する開口部が形成された第1のカップと、を備え、表面に前記塗布液が供給された基板を回転させて、この回転の遠心力により前記塗布液の液体成分を基板の側方側の第1のカップの内部に飛散させ、これにより塗布液の液体成分を気体成分と分離して回収することを特徴とする。
【0015】このような発明では、塗布液や塗布液の溶剤よりなる塗布液の液体成分は第1のカップに気体成分と分離して回収され、第1のカップでは塗布液の溶剤が多いので塗布液の付着が抑えられる。これによりカップへ付着した塗布膜の除去が目的のカップの洗浄工程は不要となるので、スループットが向上すると共に、洗浄液の削減を図ることができる。
【0016】ここで前記塗布処理装置は、前記基板保持部に保持された基板の側方を囲むように、前記第1のカップの周囲に設けられた第2のカップと、この第2のカップに接続されると共に、吸引手段により吸引される排気路と、を備え、表面に塗布液が供給された基板を回転させて、前記第2のカップを排気路を介して吸引手段により吸引することにより、前記塗布液の気体成分を第2のカップに吸引し、これにより塗布液の気体成分を液体成分と分離して回収することが望ましい。
【0017】このような塗布処理装置では、例えば基板の外端縁の近傍領域を囲む第1のカップと、この第1のカップの周囲に設けられ、吸引排気路を備えた第2のカップとを含む塗布処理装置において、基板の表面に塗布液を供給し、基板を鉛直軸まわりに回転させ、この回転の遠心力により基板表面に前記塗布液を拡散させて塗布する塗布処理方法において、基板表面に塗布液の溶剤を塗布する工程と、次いで基板表面に塗布液を塗布する工程と、続いて基板の裏面側に洗浄液を供給する工程と、を含み、塗布液、塗布液の溶剤、洗浄液の少なくとも1つが供給された基板を回転させて、前記塗布液及び塗布液の溶剤並びに洗浄液の液体成分を回転の遠心力により基板の側方側の第1のカップの内部に飛散させ、前記塗布液及び塗布液の溶剤並びに洗浄液の気体成分を第2のカップの内部に吸引排気することにより、塗布液の液体成分と気体成分とを分離して回収することを特徴とする塗布処理方法が実施され、このような発明では吸引排気路が接続されている第2のカップには塗布液の液体成分が入り込まないので、前記排気管43への塗布液の付着も抑えられ、均一性の高い塗布処理を行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明の塗布処理装置を備えた塗布現像装置の実施の形態について説明する。図1及び図2は、夫々塗布現像装置200を露光装置210に接続したレジストパタ−ン形成装置の全体構成を示す平面図及び概観図である。図中21は例えば25枚の基板である半導体ウエハ(以下ウエハという)Wが収納されたキャリアCを搬入出するためのキャリアステーションであり、このキャリアステーション21は、前記キャリアCを載置するキャリア載置部22と受け渡し手段23とを備えている。受け渡し手段23はキャリアCから基板であるウエハWを取り出し、取り出したウエハWをキャリアステーション21の奥側に設けられている処理部S1へと受け渡すように、左右、前後に移動自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
【0019】処理部S1の中央には主搬送手段24が設けられており、これを取り囲むように例えばキャリアステーション21から奥を見て例えば右側には塗布処理装置をなす塗布ユニット3及び現像ユニット25が、左側、手前側、奥側には加熱・冷却系のユニット等を多段に積み重ねた棚ユニットU1,U2,U3が夫々配置されている。
【0020】前記棚ユニットU1,U2,U3は、複数のユニットが積み上げられて構成され、例えば加熱ユニットや冷却ユニットのほか、ウエハの受け渡しユニット26等が上下に割り当てられている。前記主搬送手段24は、昇降自在、進退自在及び鉛直軸まわりに回転自在に構成され、棚ユニットU1,U2,U3及び塗布ユニット3びに現像ユニット25の間でウエハWを搬送する役割を持っている。但し図2では便宜上受け渡し手段23及び主搬送手段24は描いていない。
【0021】前記処理部S1はインタ−フェイス部S2を介して露光装置210と接続されている。インタ−フェイス部S2は受け渡し手段27と、バッファカセット28とを備えており、受け渡し手段27は、例えば昇降自在、左右、前後に移動自在かつ鉛直軸まわりに回転自在に構成され、前記処理部S1と露光装置210とバッファカセット28との間でウエハWの受け渡しを行うようになっている。
【0022】次に上述のレジストパターン形成装置でのウエハWの流れについて簡単に説明する。先ず自動搬送ロボット(あるいは作業者)により例えば25枚のウエハWを収納したキャリアCが外部からキャリア載置部22に搬入され、受け渡し手段23によりこのキャリアC内からウエハWが取り出される。ウエハWは、受け渡し手段23から棚ユニットU2の受け渡しユニット26(図2参照)を介して主搬送手段24に受け渡される。
【0023】続いてウエハWは棚ユニットU2(あるいはU1、U3)の各部に順次搬送されて、所定の処理例えば加熱処理、冷却処理などが行われた後、塗布ユニット3にて塗布液であるレジストが塗布され、加熱ユニットにて加熱処理が行われてレジストの溶剤が揮発される。続いてウエハWは、棚ユニットU3の図では見えない受け渡しユニットからインターフェイス部S2を経て露光装置210に送られ、所定の露光処理が行われる。
【0024】露光後のウエハWは、逆の経路で棚ユニットU3の受け渡しユニット(図示せず)を介して処理部S1に戻され、所定の加熱処理及び冷却処理が行われる。この後ウエハWは主搬送手段24により現像ユニット25に搬送されて現像処理され、現像後のウエハWは加熱処理及び冷却処理が行われた後、上述と逆の経路で受け渡し手段23に受け渡され、例えば元のキャリアC内に戻される。
【0025】続いて本発明の塗布処理装置をなす前記塗布ユニット3の一例について図3を参照しながら説明すると、31は基板保持部であるスピンチャックであり、真空吸着によりウエハWを略水平に保持するように構成されている。このスピンチャック31はモータ及び昇降部を含む駆動部32により鉛直軸周りに回転でき、かつ昇降できるようになっている。前記スピンチャック31の周囲にはウエハWがスピンチャック31に吸着保持された状態において、ウエハWからスピンチャック31に跨る側方部分を囲い、且つ下方側全周に亘って凹部41が形成された横断面形状が円形の第2のカップをなす外カップ4が設けられ、当該外カップ4の凹部41の底面には開閉バルブV1を介して吸引手段42に接続された排気路をなす排気管43が接続されている。なお吸引手段42,排気管43とにより吸引排気路が形成されている。
【0026】この外カップ41の上部側中央領域には、ウエハWが通過可能な開口部44が形成されており、この開口部44の内端は例えば図4に示すように、スピンチャック31に保持されているウエハWの外端縁よりも外側の近傍領域に位置するようになっている。またスピンチャック31の下方側はスピンチャック31の周囲を囲む底板33が設けられており、この底板33はウエハWの周縁領域に対応する領域において、外カップ4の凹部41と接続されている。
【0027】さらに外カップ4の内部には、スピンチャック31に保持されたウエハWの外端縁の側方の近傍領域を僅かな隙間を介してほぼ囲うように、横断面形状が円形の第1のカップをなす内カップ5が設けられている。この内カップ5は、スピンチャック31に保持されたウエハWの外端縁に対向して、この外端縁の全周に亘って当該外端縁の近傍領域に開口しており、この開口部51を形成する上壁部52と下壁部53はウエハWから外方に向かうにつれて下側に緩やかに傾斜し、例えば外カップ4のほぼ中央領域にて凹部41と対応して下方側にほぼ鉛直に伸びる凹部形状の液受け部54を構成している。この液受け部54の底面にはバルブV2を介してドレイン管55が接続されている。
【0028】前記内カップ5は、当該カップ5の内側をウエハWが通過できるように、この内カップ5の上壁部52の内端は例えば図4に示すように、スピンチャック31に保持されているウエハWの外端縁よりも僅かに外側であって上方側の近傍領域に位置するようになっている。一方内カップ5の下壁部53の内端は例えば図4に示すように、スピンチャック31に保持されているウエハWの裏面側の外端縁よりも内方側の領域に入り込むようになっており、これにより内カップ5がウエハWの外端縁の側方部分を僅かな隙間を介してほぼ囲うようになっている。この例ではスピンチャック31を外カップ4及び内カップ5よりも上方側に上昇させ、この位置にて主搬送手段24によりスピンチャック31に対してウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
【0029】また前記底板33の、スピンチャック31に保持されたウエハWの裏面側と対向する面には、ウエハWと同心円であって、ウエハWよりも半径が小さいリング状の立壁部34が設けられている。この立壁部34は、例えば前記ウエハWの外端縁よりも内方側であって、前記下壁部53の内端よりも僅かに内側の近傍位置に対応するように設けられている。この立壁部34には例えば周方向の複数箇所に通気孔35が形成されている。
【0030】さらに前記底板33の立壁部34よりも中央寄りの位置には、例えば外方に向かって上側に傾斜するように、レジストを溶解可能な洗浄液例えばレジストの溶剤であるシンナー液をウエハの裏面側周縁領域に供給するための洗浄ノズル61が設けられている。例えばこのノズル61は先端の吐出孔からウエハWと内カップ5の下壁部53との間の僅かな隙間に向かって洗浄液を噴出させるようになっている。
【0031】外カップ41の上方側には、ウエハ表面に塗布液である例えばレジスト液を供給するための塗布液供給ノズルをなす供給ノズル62が設けられており、このノズル62は図5に示すように第1の移動機構63によりウエハWの中央部上方と前記外カップの外側との間で移動できるように構成されている。またこの塗布ユニットは、ウエハ表面に塗布液の溶剤である例えばシンナー液を供給するための溶剤供給ノズル64が設けられており、このノズル64も図5に示すように第2の移動機構65によりウエハWの中央部上方と前記外カップの外側との間でレジスト液供給ノズルと干渉しないように移動できるように構成されている。
【0032】これまで述べてきた駆動部32、第1の移動機構63及び第2の移動機構65や供給ノズル62,洗浄ノズル61,溶剤供給ノズル63への夫々の供給系の各部は夫々制御部66と接続されており、例えば駆動部32によるスピンチャック31の昇降に応じてウエハWの受け渡しを行い、第1の移動機構63及び第2の移動機構65による塗布液の溶剤や塗布液の供給を行うように、各部を連動させたコントロールを可能としている。
【0033】続いてこのような塗布ユニット3の作用について説明する。先ず図6(a)に示すように、スピンチャック31を外カップ4よりも上方側に位置させて前記主搬送手段24によりスピンチャック31に対してウエハWを受け渡した後、このスピンチャック31を所定位置まで下降させ、図6(b)に示すようにプリウェット工程を行う。つまり吸引手段42により排気管43を介して外カップ4を吸引した状態で、溶剤供給ノズル64をウエハWの中央部の上方に位置させて、ウエハW表面のほぼ中心位置に塗布液の溶剤であるシンナー液71を供給すると共に、予め設定された回転数でスピンチャック31を回転させる。これによりシンナ−液71はその遠心力によってウエハWの径方向に広がって、ウエハW表面にシンナー液の液膜が形成される。
【0034】続いてレジスト液の塗布工程を行う。このレジスト液の塗布は、ウエハ表面にプリウェット工程により塗布されたシンナー液が存在しているうちに、図7(a)に示すように、吸引手段42により排気管43を介して外カップ4を吸引した状態で、供給ノズル62をウエハWの中央部の上方側に位置させて、ウエハW表面のほぼ中心位置に塗布液であるレジスト液72を供給すると共に、予め設定された回転数でスピンチャック31を回転させることにより行う。
【0035】これによりレジスト液72はその遠心力によってウエハWの径方向に広がってウエハW表面にレジスト液72の液膜が形成される。この際ウエハW表面にはプリウェット工程により塗布液の溶剤例えばシンナー液71が存在しているので、レジスト液72がシンナー液71と混ざり合ってより進展しやすい状態になる。こうしてレジスト液が均一に拡散するので、レジスト液を均一に塗布することができる。
【0036】次いでバックリンス工程を行う。この工程は、図7(b)に示すように、吸引手段42により排気管43を介して外カップ4を吸引した状態で、洗浄ノズル61によりウエハWの裏面側周縁領域の内カップ4とウエハWとの間の隙間に向けてレジストが溶解する洗浄液例えばシンナー液73を噴出させる。これによりウエハWの裏面側では周縁領域にシンナー液73が供給されるので、ウエハWの表面側から回り込んだレジスト液がシンナー液73に溶解して除去される。
【0037】このようなプリウェット工程や塗布工程では、排気管42を吸引しながら、ウエハW上にシンナー液やレジスト液を供給しているが、このシンナー液やレジスト液等の流れについて塗布工程を参考にして図8のウエハ外端縁付近の概略図により説明する。
【0038】先ずウエハWに供給されたレジスト液72は、ウエハWの回転による遠心力によってウエハW表面を進展していき、余分な量はそのまま遠心力によりウエハWの側方側に飛散していく。このとき塗布液は例えばレジスト液と溶剤等の液体成分74と、例えば溶剤の揮発分や空気等の気体成分75とになって飛散するが、前記塗布液の液体成分74は、気体成分75に比べてウエハ表面に対する濡れ性が極めて大きい。このためウエハWの回転による遠心力が伝わって、この遠心力によりウエハWの板面に沿った状態でウエハWの外端縁の真横(側方側)に向けて飛散していく。また液体成分74のミストも液体成分と共に、ウエハWの外端縁の真横方向に飛散していく。
【0039】一方前記塗布液の気体成分75は、液体成分74に比べてウエハ表面に対する濡れ性が極めて小さい。このためウエハWの回転による遠心力はほとんど伝わらず、揮発による拡散により、ウエハWの板面全体から拡がりながら飛散していく。
【0040】このように塗布液の液体成分74(この液体成分のミストも含む)はウエハWの真横に向けて飛散していくが、ウエハWの外端縁の近傍には、当該外端縁の側方をほぼ囲むように内カップ5が設けられているので、前記液体成分74は内カップ5の内部に向けて飛散していき、当該内カップ5内に回収される。そして内カップ5では、下方側に徐々に傾斜し、次いでほぼ垂直に下降する流路が形成されているので、内カップ5内の液体成分74は前記流路に沿って流れ、内カップ5の底部に溜まる。こうして回収された液体成分74は所定のタイミングでドレイン管55のバルブV2を開き、外部へ排出される。
【0041】一方気体成分75は、液体成分74よりも広い領域に拡散しながら飛散していき、内カップ5の外側の外カップ4では吸引しているので、ここに吸い込まれるように流れていく。この際内カップ5の上壁部52の内端とウエハWの外端縁との間の隙間は1.5mm〜2mm程度とかなり狭く、内カップ5内は吸引していないので、この僅かな隙間には入り込みにくい。こうして内カップ5には液体成分74のみ、外カップ5には気体成分75のみが夫々飛散していくことになり、これによりレジスト液の気液分離が行われる。
【0042】前記プリウェット工程でも同様に、溶剤の液体成分が内カップ5に、気体成分(溶剤が揮発したもの)が外カップ4に夫々回収される。またバックリンス工程では、内カップ5の下部とウエハWとの隙間を介してウエハWの周縁部に到達するように噴射された溶剤はウエハWの裏面側周縁部と接触して、当該領域を洗浄して当該領域に付着したレジスト液を溶解して除去した後、内カップ5に飛散していき、溶剤が揮発した気体成分は、外カップ4の吸引により立壁部34の孔部35を通過して外カップ5に飛散していく。これによりバックリンス工程でも液体成分(溶剤と、レジスト液が溶解した溶剤)とが内カップ5に、気体成分(溶剤が揮発したもの)が外カップ4に夫々回収される。
【0043】このような塗布ユニットでは、外カップ4や内カップ5に付着したレジストを除去するための洗浄工程が不要となるという利点がある。つまりレジスト液が付着している部位に気体が流れると、溶剤の揮発が促進されて付着しているレジストが固化してしまい除去しにくい状態となるが、本発明では既述のように、ウエハWの外端縁近傍で気液分離が行われて、液体成分は内カップ5に回収され、気体成分は外カップ4に回収されるので、レジストが固化する状態が発生しない。
【0044】つまり内カップ5では、プリウエット工程にて既に溶剤が流れているので、当該カップ5の内壁面が溶剤で濡れている状態で塗布工程にてレジスト液と溶剤とが流れる。従って塗布工程のときには内カップ5壁面にはもともとレジスト液が付着しにくくなっている上に、同時に飛散する溶剤でレジスト液が流される。またバックリンス工程でさらにレジストが溶解可能な溶剤を流しているので、内カップ5壁面のレジストがこの溶剤により洗い流される。
【0045】このように内カップ5にはレジスト液が回収されるといっても、プリウェット工程、塗布工程、バックリンス工程とにより溶剤が多量に存在するので、極めてレジストが固化しにくい状態となっており、このようにこれらの工程によりレジスト液が溶剤によって洗い流され、新たに内カップ5を洗浄する必要はない。また外カップ4には溶剤の揮発分や空気が飛散していくので、外カップ4の内壁面や排気管43内にレジストが付着することが抑えられ、外カップ4も洗浄する必要はない。
【0046】このように内カップ5、外カップ共4に、専用の洗浄工程を設ける必要がなく、カップを洗浄するための洗浄治具を用意し、これをスピンチャック31に搭載して洗浄を行う必要がないので、専用の洗浄工程を設ける場合に比べて手間や時間がかからず、スループットの向上を図ることができる。また洗浄工程が不要であることから、カップ洗浄用の洗浄液例えばシンナー液が不要となり、塗布ユニットのトータルの処理で用いられるシンナー液を削減することができ、処理コストの低減を図ることができる。
【0047】さらにウエハWのレジスト液やレジスト液のミストがウエハWの回転による遠心力によってウエハWの外端縁の真横に飛散していく現象を利用して、ウエハWの外端縁の真横をほぼ囲むように内カップ5を設けているので、レジスト液やレジスト液のミストは内カップ5内に飛散していき、外カップ4にはレジスト液やこれのミストが入り込むことがない。このため外カップ4を排気管43を介して吸引しても、カップ4や排気管43にレジスト液やこれのミストが付着することが抑えられ、カップ4や排気管43の汚れを防止できる。またこのように外カップ4にレジスト液のミストが入り込まないので、ミストをトラップして汚れを防止するためのトラップタンクを設ける必要がなく、排気管43の構造の複雑化を抑えることができる。
【0048】また上述の例では、外カップ4と内カップ5にはウエハWの通過領域が形成されており、スピンチャック31に保持されたウエハWの外端縁よりもわずかに外方側に外カップ4の開口部44の内端縁、内カップ5の開口部51の内端縁が位置するようになっているので、スピンチャック31を外カップ4よりも上方側に位置させることにより、主搬送手段24との間のウエハWの受け渡しを簡単に行うことができる。
【0049】さらに上述の例では、内カップ5の下壁部53の内端部はウエハWの外端縁よりも内方側に入り込むようになっているので、レジスト液やレジスト液のミストをほぼ完全に内カップ5内に回収することができる。さらにまた本発明では、内カップ5はウエハWの外端部の側方部分をほぼ囲うように形成されればよく、内カップ5の開口部51は小さいので、当該カップ5の径を小さくできる。このようにカップ5の径が小さいと内表面積が小さくなるので、レジストの付着面積が小さくなり、レジスト液がプリウェット時やバックリンス時のシンナー液により洗い流されやすい。ここで従来のカップでは、液体の流路と気体の流路とが横に並んで設けられており、気体の流路が内側であるので、カップ径を小さくしようとすると、気体流路の外端位置が内側によることとなり、排気管の径を大きくとれず排気力が小さくなるので、気液分離を十分に行うことができない。
【0050】以上において本発明では、内カップ5の構造は、基板の外端縁の側方部と対向し、かつ基板の側方部の近傍領域を囲う開口部が形成されて、基板表面から基板の回転による遠心力で側方に飛散する液体成分が回収できる構造であればよい。また例えば図9に示すように、ウエハWの処理時には内カップ8をウエハWの外端縁とオーバーラップするように設けると共に、例えば内カップ8を複数個に分割可能に設け、ウエハWの受け渡し時に内カップ8を例えば移動機構81によりウエハWから離れる方向に後退するように移動させて、当該カップ8の上面にウエハWよりも大きい開口を形成し、こうしてスピンチャック31にウエハWを受け渡すようにしてもよいし、例えば図9(a)に点線の矢印で示す方向に上壁部を開閉自在に設ける等、他の手法によりウエハの受け渡し用の開口を当該カップ8の上面に形成するようにしてもよい。また外カップ4についてもウエハWの処理時には当該ウエハWの外端縁とオーバーラップするように設け、ウエハの受け渡し時にはウエハWが通過可能な開口を当該カップ4の上面に形成するようにしてもよい。
【0051】また上述の例では、内カップ5内を排気しない例について説明したが、ドレイン管55の他端側に吸引手段を設け、内カップ5内を排気するようにしてもよい。さらに上述の例では洗浄工程を設けない構成について説明したが、例えば溶媒供給ノズル64と兼用する洗浄ノズルを設け、バックリンス時に洗浄用ウエハ表面のほぼ回転中心位置にレジスト液の溶剤例えばシンナー液を供給するようにしてもよい。この場合、液体成分であるシンナー液とレジスト液を溶解したものは、内カップ5に回収され、シンナー液の揮発成分と空気とは外カップ4に回収される。この場合必ずしもプリウェット工程やバックリンス工程を行う必要はない。
【0052】また本発明は例えば現像処理装置、枚葉洗浄装置等のレジスト液以外の塗布液を用いる塗布処理についても適用でき、この場合プリウェット工程に用いられる塗布液の溶剤としては現像処置装置の場合は純水、洗浄工程に用いられる塗布液の溶剤としては純水やシンナー液等が挙げられる。さらにまた本発明で用いられる基板はLCD基板やフォトマスク処理装置に用いられる基板であってもよい。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、塗布液や塗布液の溶剤よりなる塗布液の液体成分は第1のカップに気体成分と分離して回収され、第1のカップでは塗布液の溶剤が多いので塗布液の付着が抑えられる。これによりカップへ付着した塗布膜の除去が目的のカップの洗浄工程は不要となってスループットが向上し、洗浄液の削減を図ることができる。また吸引排気路が接続されている第2のカップには塗布液の液体成分が入り込まないので、前記排気管43への塗布液の付着も抑えられ、均一性の高い塗布処理を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
【出願日】 平成13年6月1日(2001.6.1)
【代理人】 【識別番号】100091513
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 俊夫 (外1名)
【公開番号】 特開2002−361155(P2002−361155A)
【公開日】 平成14年12月17日(2002.12.17)
【出願番号】 特願2001−166938(P2001−166938)