| 【発明の名称】 |
薬液散布作業車の薬液散布制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】黒岩 二三男
【氏名】水津 清明
【氏名】矢野 典弘
【氏名】長井 博
【氏名】上島 徳弘
【氏名】泉谷 隆徳
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| 【要約】 |
【課題】トラクタなどの作業車に設置する薬液散布装置の散布薬液の濃度を均一化し、散布開始時の散布遅れを無くし、また薬液散布流量を適切に行うための薬液散布制御装置をすること。
【解決手段】散布ブーム19から散布する薬液の散布量の調整は、作業者が薬液量設定スイッチ94により薬液量設定値をCPU105に入力すると車速センサ93と圧力センサ86の検出値も算入して得られる薬液散布圧力値になるように可変流量制御弁59により流量制御する。また、薬液の散布制御を開始した後、防除ポンプ20の吐出圧がエンジンの回転数の増加により高くなる時、戻りライン60に設けられた安全弁89で入液ライン52b内の内圧を一定以下に保つことができる。さらに、エンジン回転数の増加により防除ポンプ20の吐出圧が高くなったときに第二戻りライン61内に薬液が循環して入液ライン52b内の内圧を一定以下に保つことができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体1上に設置された薬液を溜めた薬液タンク18と、車体1に設置された薬液を散布する一以上の薬液散布ブーム19と、前記薬液タンク18から薬液散布ブーム19に薬液を供給する薬液ライン52a、52b、52cと、該薬液ライン52a、52b、52cに薬液タンク18側から薬液散布ブーム19に向けて順に配置された薬液圧送用の防除ポンプ20と、薬液流量を調節する可変流量制御弁59と、可変流量制御弁設置部と薬液散布ブーム設置部の間の薬液ライン52c中の圧送薬液の圧力を検出する圧力センサ86と、防除ポンプ設置部と可変流量制御弁設置部の間の薬液ライン52bから分岐して設けられた薬液を薬液タンク18に戻す第一戻りライン60と、該第一戻りライン60に設けられた、薬液ライン52b中の圧送薬液の圧力を所定圧以下に保つ安全弁89と、車体1の走行速を検出する車速センサ93と、散布ブーム19から散布する薬液量を作業者が設定するための薬液量設定手段94と、前記車速センサ93と前記圧力センサ86の検出値に基づき、可変流量制御弁設置部と薬液散布ブーム設置部の間の薬液ライン52c内の圧送薬液の圧力値が所定範囲内に入るように可変流量制御弁59による流量制御をする制御装置105とを備えたことを特徴とする薬液散布作業車の薬液散布制御装置。 【請求項2】 防除ポンプ設置部と可変流量制御弁設置部の間の薬液ライン52bから分岐して設けられた薬液を薬液タンク18に戻す第二戻りライン61を、前記安全弁89が設置された第一戻りライン60とは別に設けたことを特徴とする請求項1記載の薬液散布作業車の薬液散布制御装置。 【請求項3】 可変流量制御弁設置部と薬液散布ブーム設置部の間の薬液ライン52c中の薬液供給量を検出する薬液流量センサ87を設け、防除ポンプ20が駆動された状態で車速センサ93の検出値が所定値以上の走行速を検出した時であって、前記薬液流量センサ87の流量検出が所定流量に達しない場合に、制御装置105は可変流量制御弁59の開閉動作の変更を行わない制御をすることを特徴とした請求項1または2記載の薬液散布作業車の薬液散布制御装置。 【請求項4】 薬液散布の制御を自動で行うことを選択するための自動モードスイッチ91を設け、制御装置105は、薬液散布制御開始後に自動モードスイッチ91からの入力があると、作業者が設定した薬液量設定手段94からの散布の設定値に応じて、可変流量制御弁59の弁開度を予め設定した開度に作動させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の薬液散布作業車の薬液散布制御装置。 【請求項5】 制御装置105は、車速センサ93の検出値が所定の値に達しない場合には可変流量制御弁59の開閉動作の変更を行わない制御をすることを特徴とする請求項1ないし4記載のいずれかに記載の薬液散布作業車の薬液散布制御装置。 【請求項6】 各薬液散布ブーム19の先端には着脱自在の薬液噴霧ノズルを設け、該薬液噴霧ノズルの複数種の噴出口の形状のそれぞれに対応したノズル形状選択手段(106)を設け、また前記ノズル形状選択手段(106)で選択できない形状の非選定薬液噴霧ノズルを薬液散布ブームの先端に取り付けた場合に対応できるように非選定薬液噴霧ノズル用噴霧量設定手段(91、109、117、118)を設け、制御装置105は、前記ノズル形状選択手段(106)が選択した薬液噴霧ノズルの形状に応じた薬液噴霧量を設定することができ、また前記非選定薬液噴霧ノズル用噴霧量設定手段(91、109、117、118)で設定された薬液噴霧量を設定できることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の薬液散布作業車の薬液散布制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、薬液散布装置を備えた作業車の薬液散布制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】本発明では作業車としてトラクタを例にして以下説明する。トラクタの車体の前部に、平行リンク形態のリフトリンクを装着し、この前部のヒッチブラケットとロワリンクとの間にリフトシリンダを設けて、このリフトシリンダの伸縮によってリフトリンクを昇降させる構成からなるヒッチブラケットに薬液散布の散布ブームを取り付けた薬液散布装置が知られている。そして、前記薬液散布装置は、トラクタの走行中に薬液散布のタイミングを制御する制御装置を備えている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】前記した薬液散布装置の制御装置はトラクタの各種走行モードに合わせてタイミング良く薬液を散布するためにいろいろ工夫が成されている。しかし、トラクタは起伏の多い圃場内で使用されるため、トラクタの圃場内での姿勢、走行速度、旋回方向などの変動が多く、それに合わせて薬液の散布量、散布様態、散布タイミングなどが適切になるように制御することが必要である。 【0004】本発明の課題は、トラクタなどの作業車に設置する薬液散布装置の散布薬液の薬液タンク内での濃度を均一化し、散布開始時の散布遅れを無くし、また薬液散布流量を適切に行って、圃場表面への散布密度を一定化するための薬液散布制御装置を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の課題は次の構成で解決される。すなわち、車体1上に設置された薬液を溜めた薬液タンク18と、車体1に設置された薬液を散布する一以上の薬液散布ブーム19と、前記薬液タンク18から薬液散布ブーム19に薬液を供給する薬液ライン52a、52b、52cと、該薬液ライン52a、52b、52cに薬液タンク18側から薬液散布ブーム19に向けて順に配置された薬液圧送用の防除ポンプ20と、薬液流量を調節する可変流量制御弁59と、可変流量制御弁設置部と薬液散布ブーム設置部の間の薬液ライン52c中の圧送薬液の圧力を検出する圧力センサ86と、防除ポンプ設置部と可変流量制御弁設置部の間の薬液ライン52bから分岐して設けられた薬液を薬液タンク18に戻す第一戻りライン60と、該第一戻りライン60に設けられた薬液ライン52b中の圧送薬液の圧力を所定圧以下に保つ安全弁89と、車体1の走行速を検出する車速センサ93と、散布ブーム19から散布する薬液量を作業者が設定するための薬液量設定手段94と、前記車速センサ93と前記圧力センサ86の検出値に基づき、可変流量制御弁設置部と薬液散布ブーム設置部の間の薬液ライン52c内の圧送薬液の圧力値が所定範囲内に入るように可変流量制御弁59による流量制御をする制御装置105とを備えた薬液散布作業車の薬液散布制御装置である。 【0006】本発明の薬液散布制御装置は防除ポンプ設置部と可変流量制御弁設置部の間の薬液ライン52bから分岐して設けられた薬液を薬液タンク18に戻す第二戻りライン61を、前記安全弁89が設置された第一戻りライン60とは別に設けることができる。 【0007】また、本発明の薬液散布制御装置では、可変流量制御弁設置部と薬液散布ブーム設置部の間の薬液ライン52c中の薬液供給量を検出する薬液流量センサ87を設け、防除ポンプ20が駆動された状態で車速センサ93の検出値が所定値以上(例えば0.2m/秒)の走行速を検出した時であって、前記薬液流量センサ87の流量検出が所定流量に達しない場合に、制御装置105は可変流量制御弁59の開閉動作の変更を行わない制御をする構成にしても良い。 【0008】本発明の薬液散布制御装置では、薬液散布の制御を自動で行うことを選択するための自動モードスイッチ91を設け、制御装置105は薬液散布制御開始後に自動モードスイッチ91からの入力があると、作業者が設定した薬液量設定手段94からの散布の設定値に応じて、可変流量制御弁59の弁開度を予め設定した開度に作動させる構成にしても良い。 【0009】さらに本発明の薬液散布制御装置では、制御装置105は、車速センサ93の検出値が所定の値(例えば0.2m/秒)に達しない場合には可変流量制御弁59の開閉動作の変更を行わない制御をする構成にしても良い。 【0010】本発明の薬液散布制御装置では、各薬液散布ブーム19の先端には着脱自在の薬液噴霧ノズルを設け、該薬液噴霧ノズルの複数種の噴出口の形状のそれぞれに対応したノズル形状選択手段(操作パネルの散布設定スイッチ106)を設け、また前記ノズル形状選択手段(散布設定スイッチ106)で選択できない形状の非選定薬液噴霧ノズルを薬液散布ブームの先端に取り付けた場合に対応できるように非選定薬液噴霧ノズル用噴霧量設定手段(90、91、109、117、118)を設け、制御装置105は、前記ノズル形状選択手段(散布設定スイッチ106)が選択した薬液噴霧ノズルの形状に応じた薬液噴霧量を設定することができ、また前記非選定薬液噴霧ノズル用噴霧量設定手段(90、91、109、117、118)で設定された薬液噴霧量を設定できる構成にしても良い。 【0011】 【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、散布ブーム19(43、44)から散布する薬液の散布量の調整は、作業者が薬液量設定手段94により薬液量設定値をCPU105に入力すると車速センサ93と圧力センサ86の検出値も算入して得られる薬液散布圧力値になるように可変流量制御弁59により流量制御する。また、薬液の散布制御を開始した後、防除ポンプ20の吐出圧がエンジン16の回転数の増加により高くなる時、安全弁89で薬液ライン(入液ライン)52b内の内圧を一定以下に保つことができ、可変流量制御弁59の弁開閉操作による薬液ライン(入液ライン)52bの内圧変動が安全弁89の無いものに比べて少なくなる。 【0012】請求項2記載の発明によれば、前記請求項1記載の発明の効果の他に、エンジン16の回転が脈動して安全弁89が開かない内圧で防除ポンプ20が駆動回転変動を起こすとき、この第二戻りライン61から薬液の一部が薬液タンク18に逃げるので入液ライン52b内の内圧変動が第二戻りラインが無いものに比べて小さくなる。 【0013】さらに第二戻りライン61があるため、通常の薬液散布時には、薬液タンク18内の収納薬液を第二戻りライン61からの循環薬液による水流で攪拌することができ、水溶液内の添加薬液がムラになるのを防止し、水と薬液の混合を充分行うとともに、散布する水溶液の薬液濃度を均一に保つことができる。 【0014】請求項3記載の発明によれば、防除ポンプ20が駆動された状態で車速センサ93が所定値以上(例えば0.2m/秒)の走行速度を検出しているときに流量センサ87の流量検出が所定流量に達しない場合には、可変流量制御弁59の開閉動作の変更を行わない機構を設けてある。従って、薬液散布をしながら走行中に、例えば圃場の端にトラクタが行った時に、走行速度を落とさないままに運転者が散布ブーム19側のコック50、51の全てを閉鎖した場合には、流量センサ87の流量検出が無いので可変流量制御弁59の弁位置は流量センサ87による流量検出が再び始まった時にも、以前と同じ状態であるので(直前の制御散布状態に対して変更していないので)、次の薬液散布開始時の散布遅れが生じにくく、圃場内の無散布領域が発生しなくなる。 【0015】請求項4記載の発明によれば、薬液散布制御開始後に、自動モードスイッチ91を入り操作すると、作業者が設定した薬液散布の設定値に応じて、可変流量制御弁59の弁開度をあらかじめ適所に作動させることができる。このように自動モードスイッチ91を入り操作すると同時に、トラクタが停止状態で散布していない時であっても可変流量制御弁59の弁位置が先行して移動待機しており、散布制御開始時の散布遅れを少なくすることができる。 【0016】請求項5記載の発明によれば、車速センサ93が所定の走行速に達しないこと(例えば0.2m/秒)を検出した場合には可変流量制御弁59の開閉動作の変更を行わないで、ある程度制御弁59を開いた状態を保つ制御をおこなう。こうして可変流量制御弁59の下流側の入液ライン52c内の薬液流量を自動的に減らしてしまうことがなく、一度トラクタが停車した後に所定速度での走行を再開しても、可変流量制御弁59下流側の入液ライン52c内の内圧がある程度高くなる可変流量制御弁59の開度を保っており、可変流量制御弁59の開閉調節が少ないので制御が遅れず、散布流量不足による無散布部分が生じることはない。また、この制御により、可変流量制御弁59下流側の入液ライン52c内の薬液量が内圧を保てない流量まで減らさた場合に生じるブーム19の散布ノズルの開口部から薬液がたれ流し(ボタ落ち)が発生する事態を防止することができる。 【0017】請求項6記載の発明によれば、ノズル形状選択手段で選択できないノズルの噴出口の形状の非選定薬液噴霧ノズルを薬液散布ブームの先端に取り付けた場合にも、前記ノズル形状選択手段が選択した薬液噴霧ノズルの噴出口の形状に応じた薬液噴霧量を設定することができ、また前記非選定薬液噴霧ノズル用噴霧量設定手段で設定された薬液噴霧量を設定できる。 【0018】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1に薬液散布装置を前部に取り付けたトラクタの側面図を示し、図2にリフトリンク部の側面図を示し、図3にリフトリンク部の一部斜視図を示し、図4には薬液散布機部分の平面図を示し、図5には薬液散布装置の薬液供給機構図を示し、図6にはトラクタの概略駆動機構の構成図を示す。 【0019】トラクタ車体1は、高床形態として前車輪12及び後車輪13が、アクスルハウジングの左右両側部に高く軸装され、ステアリングハンドル14によって操行可能に設けられると共にボンネット15下のエンジン16によって伝動走行される。この車体1には運転席17の後部から左右両側にわたって囲うように形成された薬液タンク18を搭載し、この薬液タンク18内の薬液を前側に設けられる散布ブーム19へ圧送する防除ポンプ20が、車体1後端の薬液タンク18下部に設けられる。 【0020】前記車体1の前部には、ボンネット15の左右両側部に位置して左右一対のリンクブラケット2がボルト21による締めで取付けられる。リフトリンク3は、アッパリンク24とロワリンク25を平行状にして、この前端部間をヒッチブラケット4で連結し、後端部間を連結リンク8で連結して平行リンク形態に構成される。このような平行リンク機構は、囲桁状のヒッチブラケット4の左右両側部に設けられる。このヒッチブラケット4の左右間隔部には上方に突出したマスト26が設けられ、左右のロワリンク25の前部間にわたって連結されたシリンダ軸27と該マスト26との間には、電気的に作動するギヤードモータ28(図2)によって伸縮されるリフトシリンダ5が設けられている。このヒッチブラケット4の前側下部には散布ブーム19やその他の作業器を装着できる。 【0021】このリフトシリンダ5の伸縮によって、ヒッチブラケット4に対してアッパリンク24やロワリンク25の後端側の連結リンク8を上下に回動することができ、また、相対的には、この連結リンク8側を固定する場合はヒッチブラケット4側を昇降することができる。 【0022】このようなリフトリンク3を車体1側のリンクブラケット2に着脱するため、左右の連結リンク8の上部のリンクピン29を外側へ突出させ、下部のリンクピン30には、前記連結ピン10を挿通しうるピン穴31を形成している。又、この連結リンク8は断面コ字状形態に構成されて、前記リンクブラケット2の内側の溝部に沿って嵌合させることができる。 【0023】リフトリンク3を支持するリンクスタンド6はヒッチブラケット4の左右両側に一対設けられ、ヒッチブラケット4に固定されたソケット33に棒状のリンクスタンド6が上下動自在に嵌挿される。リンクスタンド6を上下動させた位置では、これらソケット33とリンクスタンド6との間に形成されるピン穴にセットピン38を挿入して通すことにより、リンクスタンド6を支持姿勢A(図2)と収納姿勢B(図3)に切り替えて保持することができる。 【0024】また、補助スタンド7は左右ロワリンク25の外側に沿って設けられ、前端部をヒッチブラケット4に対するロワリンク25の連結ヒンジであるリンクピン34の回りに枢着して、後端部を下動させて接地させることができる。この下動の支持姿勢A位置で、ロワリンク25の上下のブラケット35、36と補助スタンド7のブラケット42との間にわたって、ピン穴にセットピン37を挿通させて、この補助スタンド7を支持姿勢A及び収納姿勢Bに切り替え保持させることができる。補助スタンド7はリフトリンク3の左右いずれかの位置にのみ設けてもよく、左右幅の中央部にのみ設けても良い。 【0025】前記散布ブーム19は、ヒッチブラケット4に直接取付けられるセンタブーム43と、このセンタブーム43の外側に折畳可能に連結されるサイドブーム44とから構成され、各々噴霧ノズル45を一定間隔に配置して、前記リフトリンク3の上昇位置では、このノズル45から噴霧させて作物Cに散布させることができる。サイドブーム44の連結ヒンジ46は、図4に示すように横水平状の張出姿勢Dと後方に回動させて車体1の横側に沿わせた収納姿勢Eとに切り替えることができる。 【0026】これらセンターブーム43及びサイドブーム44は、図4に示すようにそれぞれブームホルダ47、48を有しており、前記ヒッチブラケット4に支持される。このブームホルダ47はヒッチブラケット4に対して固定されるが、サイドブーム44を有するブームホルダ48がブームホルダ47の先端部に対して連結ヒンジ46の回りに回動させて、出入切替回動できる。 【0027】また、図6にトラクタの概略駆動機構の構成図を示すように、車体1上のエンジン16からの動力はVベルト70を介して前部カウンターケース71内の歯車装置に伝達され、該歯車装置からエンジン16の回転数に比例する回転数での回転が行われるPTO軸72と走行用主変速機ケース73内の主変速機に動力がそれぞれ伝達される。PTO軸72への動力伝達軸77からは防除ポンプ20にVベルト78と電磁クラッチ79を経由して薬液タンク18(図1)内の薬液をブーム19(散布ブーム43、44)に供給する動力が伝達される。 【0028】また、走行用主変速機ケース73内の主変速機からの動力はドライブ軸83を介して後輪13を駆動させ、また後部作業機(ロータリなど)の変速装置付きのPTO軸74の駆動源となる。 【0029】前記散布ブーム19に対する薬液タンク18からの薬液供給は、図5に示す薬液供給制御系統図に従って行われる。 【0030】薬液タンク18からは防除ポンプ20により入液ライン52(52a〜52c)を経由して散布ブーム19に供給される。入液ライン52には制御モータ58で弁の流路の開放度を可変できるニードル弁からなる可変流量制御弁59と安全弁89と圧力センサ86と流量センサ87が設けられる。 【0031】入液ライン52は薬液タンク18と防除ポンプ20の間と防除ポンプ20と可変流量制御弁59の間、可変流量制御弁59とブーム19の間に三分割され、上流側から順にそれぞれ入液ライン52a、入液ライン52b及び入液ライン52cとすると、圧力センサ86が流量制御弁59と散布ブーム19間の入液ライン52c内に設けられ、該入液ライン52c内の圧力を検出する。 【0032】可変流量制御弁59は制御モータ58で入液ライン52c内の流路の開放度を可変できるニードル弁からなり、また自動モードスイッチ91をCPU105に接続しておくことにより、手動でなく、自動で薬液散布をすることもできる。 【0033】また防除ポンプ20と可変流量制御弁59の間の入液ライン52bには第一戻りライン60と第二戻りライン61が設けられ、これらの戻りライン60、61を経由して薬液が薬液タンク18に戻る構成になっている。第一戻りライン60には安全弁89が設けられており、安全弁89は入液ライン52bの内圧を30kg/cm2に保つように、薬液の余剰圧力分を薬液タンク18に戻している。 【0034】また、入液ライン52cからデバイダ49により中央部の出液ライン53を介してセンタブーム43へ、さらに出液ライン54、54を介して左右夫々のサイドブーム44、44へ薬液を供給する。 【0035】防除ポンプ20は前述のようにエンジン16の駆動力で駆動回転することにより、防除ポンプ20内の薬液をデバイダ49に圧送している。薬液タンク18へのエンジン動力は電磁クラッチ79を介して伝達される。また、出液ライン53、54にはそれぞれ開閉コック50、51が独立して取り付けられており、これらのコック50、51は手動又自動で開閉できる構成にする。 【0036】このとき自動的に薬剤散布を行う場合は操作パネル56上の自動モードスイッチ91をオンにして自動的に薬剤散布を行うことができ、また手動で薬液散布を行うときは自動モードスイッチ91をオフして手動による操作を行うかを選択することが可能な構成として、薬剤散布作業性を向上させている。 【0037】また図5に示す薬液供給制御系統図にはトラクタ1の車速を含めて制御するCPU105からの信号により作動制御がなされる。 【0038】トラクタの車速センサ93は主変速機の出力用ドライブ軸83の回転数を検出する構成である。CPU105は回転センサsを介してドライブ軸1回転あたり20パルス程度の信号により走行中か否かを検出する。図示しないが操舵角センサの操舵量と車速に基づいて、別のCPU(図示せず)からの信号に基づき作動するトラクタの4WS、FWS、RWS用のバルブスイッチ57(図4)がステアリングハンドル14の側方に設けられている。 【0039】前記防除ポンプ20はエンジン16の回転数に比例した常時回転のPTO軸72への動力伝達軸77に電磁クラッチ79を介して取り付けられている。また、散布ブーム43、44から散布する薬液の散布量の調整は、作業者がパネル56部の散布設定スイッチ106の操作により、工場出荷時に複数種設定されている内の一つの薬液量設定値をCPU105に入力すると車速センサ93と圧力センサ86の検出値も算入して薬液散布圧力値「P1」を算出し、CPU105は可変流量制御弁59と散布ブーム43、44間の入液ライン52c内の圧力検出値を薬液散布圧力値「P1」に近づくように可変流量制御弁59により流量制御する。 【0040】こうして、薬液の散布制御を開始した後、防除ポンプ20の吐出圧がエンジン16の回転数の増加により高くなる時、安全弁89で防除ポンプ20と可変流量制御弁59の間の入液ライン52b内の内圧を一定以下(例えば30kg/cm2)に保つことができ、可変流量制御弁59の弁開閉操作による入液ライン52bの内圧変動が安全弁89の無いものに比べて少なくなる。 【0041】また、防除ポンプ20と可変流量制御弁59の間の入液ライン52bと薬液を内部に収納する薬液タンク18の底部又はその近傍を第二戻りライン61で連結し、入液ライン52b内の薬液の一部を薬液タンク18内に戻しているが、このため、薬液の散布制御を開始した後、エンジン回転数の増加により防除ポンプ20の吐出圧が高くなったときに第二戻りライン61内に薬液が循環して防除ポンプ18と可変流量制御弁59間の入液ライン52b内の内圧を一定以下に保つことができ、可変流量制御弁59の弁開閉操作による入液ライン52cの内圧変動が第二戻りライン61の無いものに比べて少なくなる。 【0042】また、エンジン16の回転が脈動して安全弁89が開かない内圧で防除ポンプ20が駆動回転変動を起こすとき、この第二戻りライン61から薬液の一部が薬液タンク18に逃げるので入液ライン52b内の内圧変動が小さくなる。 【0043】さらに第二戻りライン61があるため、通常の薬液散布時には、薬液タンク18内の収納薬液を第二戻りライン61からの循環薬液による水流で攪拌することができ、水溶液内の添加薬液がムラになるのを防止し、水と薬液の混合を充分行うとともに、散布する水溶液の薬液濃度を均一に保つことができる。 【0044】また、防除ポンプ20が駆動された状態で車速センサ93が所定値以上(例えば0.2m/秒以上)の走行速度を検出しているときに流量センサ87の流量検出が無い場合には、可変流量制御弁59の開閉動作の変更を行わない機構を設けておく。 【0045】前記可変流量制御弁59の開閉動作の変更を行わない機構を設けていないものは、次のような不具合があるので、それを避けるに前記構成を採用する。 【0046】すなわち、薬液散布をしながら走行中に圃場の端にトラクタが行った時に、走行速度を落とさない状態で運転者が散布ブーム43、44側のコック50、51(手動又は自動の電磁開閉弁)を全てを閉鎖すると、可変流量制御弁59より下流側の入液ライン52c内の内圧が急激に上昇してしまい、前記可変流量制御弁59の開閉動作制御をするものでは、可変流量制御弁59が弁閉鎖側に制御される。次に、トラクタを旋回させた後にコック50、51を開けると、可変流量制御弁59の下流側の入液ライン52c内の内圧を上げるために可変流量制御弁59を開くが、弁59が開くまでは(例えば10秒程度の間)、散布流量が不足し圃場内に無散布領域が生じる。 【0047】しかし、前述の防除ポンプ20が駆動された状態で車速センサ93が前記所定値以上の走行速度を検出しているとき(例えば、圃場の端にきても走行速度を落とさないで走行しているとき)に流量センサ87の流量検出が無い場合(コック50、51が閉じているとき)には、可変流量制御弁59の開閉動作の変更を行わない機構を設けてあると、可変流量制御弁59の弁位置は流量センサ87による流量検出が再び始まった時(コック50、51が開いたとき)に直ちに以前と同じ状態に内圧が上昇するので(直前の制御散布状態に対して変更していないので)、次の薬液散布開始時の散布遅れが生じにくく、圃場内の無散布領域が少なくなる。 【0048】また、車体1を始動後に、可変流量制御弁59を予め60〜70%の弁開度固定値に作動させることができる。このように自動モードスイッチ91を入り操作すると同時に、可変流量制御弁59の弁開度をを適所方向に移動し待機するから、トラクタが停止状態で散布していない時であっても可変流量制御弁59の弁位置が移動しており、電磁クラッチ79を入れるだけで散布制御開始時の散布遅れを少なくしている。 【0049】また、車速センサ93が所定の走行速に達しないこと(例えば0.2m/秒)を検出した場合、可変流量制御弁59の開閉動作の変更を行わないようにすると共に電磁クラッチ79を切ることもできる。これは、次のような不具合を防ぐためである。 【0050】すなわち、走行中のトラクタが停車のため、あるいはアクセル戻し等で車速が遅くなると、その車速に薬液散布密度を正比例させている場合には薬液の散布に必要な薬液量も減り、可変流量制御弁59の下流側の入液ライン52c内の薬液流量を自動的に減らしてしまう。この散布減量を続けたまま、一度トラクタが停車した後、次に所定速度での走行を再開すると、可変流量制御弁59下流側の入液ライン52c内の内圧を上げるために制御弁59は開くが、開くまでは散布流量が不足し、無散布部分が生じ易くなる。 【0051】これを防止するために、上記したように、所定の走行速(例えば、0.2m/秒)に達しない場合、可変流量制御弁59の開閉動作の変更を行わないで、ある程度制御弁59を開いた状態を保ち、電磁クラッチ79を切る制御を行う。また、この制御により、可変流量制御弁59下流側の入液ライン52c内の薬液量が内圧を保てない流量まで減らされた場合に生じるブーム19の散布ノズルの開口部から薬液がたれ流し(ボタ落ち)が発生する事態を防止することができる。 【0052】また、各薬液散布ブーム43、44の先端には着脱自在の薬液噴霧ノズルが取付け可能になっており、該薬液噴霧ノズルの複数種のノズル噴出口の形状のそれぞれに対応したノズル形状選択スイッチを薬剤タンク18座席右横の上面近くにある操作パネル56に設けている。 【0053】図7には操作パネル56の平面図を示す。工場出荷時に設定されているノズル(噴出量100リットル、75リットル、50リットル、25リットル/10アール)である選定ノズルを使用する場合は次のように操作する。すなわち、エンジン16の始動があると自動スイッチ91を押して、自動散布制御開始ランプ119を点灯させ、表示切換ボタン109を押し操作する。ついで、散布設定111の下方に三角マーク115を点灯させ、散布設定スイッチ106を押して、ローリング表示のうち取り付けたノズルズームと一致するとノズル選択を終了する。その後、その状態で2秒放置でメモリ書込をして制御を開始する。 【0054】また、薬液噴霧ノズル形状が予め選択可能なノズル形状選択スイッチ(「散布設定ボタンスイッチ」106)にない工場出荷時に選定されていない非選定ノズルを用いる場合には、次の操作が必要となる。 【0055】エンジン16始動前に操作パネル56の下方中央に設けた「散布設定ボタンスイッチ」106を左手で押したまま、右手でトラクタの「主キースイッチ」90(図1、図6)をオフからオン(始動はしないが全回路が通電する)位置へ操作する。次いで左手を「散布設定ボタンスイッチ」106から離し、さらに右手もオンしたままで「主キースイッチ」から離す。 【0056】すると、操作パネル56上部中央に設けた液晶表示部107に4桁の数字が表れるが、無視して、液晶表示部107の向かって右側の「表示切換ボタンスイッチ」109を何回か押して液晶表示部107の枠内の左方にある「散布設定」111、「圧力」112、「流量」113及び「累計」114からなる4個所をそれぞれ指定する「三角マーク点灯部」115の中で、「散布設定」111位置に点灯するように切換操作する。 【0057】「三角マーク点灯部」115が「散布設定」111の位置に点灯後、再度操作パネル56の下方中央に設けた「散布設定ボタンスイッチ」106を押すと、100リットル、75リットル、50リットル、25リットルの4つの「反当(10アール当たり)散布量」の何れかが表示される。 【0058】この表示は、「散布設定ボタンスイッチ」106を押す毎に一つずつ表示が変わり、繰り返す、ローリング表示としている。ここで、増ボタン117が減ボタン118の何れかを押すと、選定ノズルの10kg/cm2時の噴出量の表示に換わる。 【0059】非選定ノズルを用いるブーム43、44内の液圧が10kg/cm2時のノズル噴出量を、カタログ又は取扱説明書などで調べる(例えば、0.33リットル/分、等)。この調べた数値を「液晶表示部」107に表示された選定ノズルの設定値に対し増減ボタン117、118で非選定のノズル用に設定を変更することで、適切な量の薬液を非選択ノズルから噴出させる自動散布制御がホールドできる。 【0060】次に、操作パネル56下部左方の「自動モードスイッチ」91を、1秒間以上押し続けることで、表示ホールドされた「非選定ノズルブームの液圧10kg/cm2時のノズル噴出量」に記憶値を変更設定することができる。この「自動モードスイッチ」91のオンはその隣のLEDランプ119が点灯していることで確認ができる。 【0061】このように、本実施の形態では散布設定ボタンスイッチ106で選択できない噴出口形状の非選定薬液噴霧ノズルを薬液散布ブームの先端に取り付けた場合にも対応できるように非選定薬液噴霧ノズル用噴霧量設定手段が設けられている。 【0062】図8、図9には本発明の実施の形態の薬液散布装置の操作手順をフローチャートで示す。スタート時にはメインスイッチ90をオンさせて、始動器(図示せず)を回してエンジン16を始動し、操作を開始する。ステップ1で制御モータ58を始動させて可変流量制御弁59の開度を50〜70%の固定値にして待機させる。またステップ4の車速の所定値は例えば0.2m/secとする。そして車速が例えば0.2m/sec未満であると、制御モータ58と防除ポンプ20の駆動を停止させる。ステップ5で防除ポンプ20と防除ポンプ20を駆動させると、ステップ6では防除ポンプ20の図示しない表示ランプ(操作パネル56の近傍に配置されている)をオンさせる。 【0063】この表示ランプは、モーメンタリー型スイッチのスイッチ部が点灯するものとしており、自動モードスイッチ91をオンした状態で防除ポンプ20の電磁クラッチ79がオンしている時は連続した点灯、電磁クラッチ79がオフしている時は点滅点灯、手動操作でモーメンタリー型スイッチを押した時は常時点灯で電磁クラッチ79は常時オンとなる。 【0064】また、ステップ11で入液ライン52cの薬液流量が1リットル/min以下であれば実質的に入液ライン52c中には薬液が流れて無いものとして制御モータ88の回転を中止して、流量制御弁59の作動を停止する。このとき入液ライン52bには安全弁89があるので、第一戻りライン60を介して過剰な薬液は薬液タンク18に回収することができる。 【0065】こうしてCPU105は、散布設定ボタンスイッチ106が選択した薬液噴霧ノズルの形状に応じた薬液噴霧量を設定することができ、また前記非選定薬液噴霧ノズル用噴霧量設定手段で設定された薬液噴霧を設定できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000125 【氏名又は名称】井関農機株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年2月22日(2001.2.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096541 【弁理士】 【氏名又は名称】松永 孝義
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| 【公開番号】 |
特開2002−248392(P2002−248392A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月3日(2002.9.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−46679(P2001−46679) |
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