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【発明の名称】 無機繊維製触媒の製造方法
【発明者】 【氏名】平澤 佳朗

【氏名】佐村 健

【要約】 【課題】無機繊維構造体に、均一に触媒活性成分を担持させて触媒活性を十分発揮する無機繊維製触媒の製造方法を提供する。

【解決手段】(A)活性成分元素を有する無機酸塩と(B)界面活性剤および/または(D)水溶性有機溶剤、とを含む活性成分水溶液に、(C)炭化珪素繊維、チラノ繊維、チタン酸カリウム繊維および金属繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の材質からなる無機繊維構造体を浸漬した後、前記構造体を乾燥、焼成することを特徴とする無機繊維製触媒の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)活性成分元素を有する無機酸塩と(B)界面活性剤、とを含む活性成分水溶液に、(C)炭化珪素繊維、チラノ繊維、チタン酸カリウム繊維および金属繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の材質からなる無機繊維構造体を浸漬した後、前記構造体を乾燥、焼成することを特徴とする無機繊維製触媒の製造方法。
【請求項2】 (A)活性成分元素を有する無機酸塩と(D)水溶性有機溶剤、とを含む活性成分水溶液に、(C)炭化珪素繊維、チラノ繊維、チタン酸カリウム繊維および金属繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の材質からなる無機繊維構造体を浸漬した後、前記構造体を乾燥、焼成することを特徴とする無機繊維製触媒の製造方法。
【請求項3】 前記無機酸塩の活性成分元素が、アルカリ金属元素、第VIII族元素、ランタニド元素、銅族元素およびチタン族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴とする、請求項1または2に記載の無機繊維製触媒の製造方法。
【請求項4】 前記水溶液が更に、(E)活性成分元素を有する有機酸塩を含んでおり、前記有機酸塩が、酢酸塩、蟻酸塩、シュウ酸塩、グリコール酸塩およびクエン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記活性成分元素が、アルカリ金属元素、第VIII族元素、ランタニド元素およびチタン族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であるることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の無機繊維製触媒の製造方法。
【請求項5】 界面活性剤の量が、活性成分水溶液全量基準で20volppm〜1vol%であることを特徴とする、請求項1、3または4に記載の無機繊維製触媒の製造方法。
【請求項6】 水溶性有機溶剤の量が、活性成分水溶液全量基準で30〜70質量%であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1つに記載の無機繊維製触媒の製造方法。
【請求項7】 前記無機繊維製触媒が、DPF用無機繊維製触媒であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載の無機繊維製触媒の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジンから排出される排ガス中に含まれる粒子状物質〔Soot(すす)(固体炭素微粒子、固体炭化水素微粒子)、SOF(有機溶剤可溶の炭化水素微粒子)〕を燃焼除去するための触媒;触媒燃焼用触媒;排ガス浄化触媒等として有用な触媒の製造方法に関する。
【0002】特に、ディーゼルエンジンから排出される排ガス中の粒子状物質をDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ/排ガス浄化装置)で捕集し大気中に放出されるのを防止する際、本発明により得られた触媒を用いていれば、その触媒作用により、捕集した粒子状物質をより低温で燃焼除去することができるような触媒製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】炭化珪素繊維等の無機繊維に触媒活性成分が担持した、繊維状の触媒体を、触媒燃焼用の触媒やDPFに利用することが知られている。
【0004】この際に重要となるのが触媒活性成分を炭化珪素繊維へいかに均一に担持させるかという担持技術であり、これまで、炭化珪素繊維が疎水性であると、従来のスプレーコート法やウォッシュコート法では触媒活性成分を均一に担持させかつ触媒活性を十分生かせることができなかった。
【0005】そのため、無機繊維自体を改質する方法が開発されており、特開2000−288352号公報には、微細孔を有する無機繊維構造体に触媒を担持した繊維状の触媒体を利用してガス改質触媒装置に利用することが記載されているが、多孔性材料を使用して改質する手間が必要であり、一般的な方法ではなかった。また、この方法では、金属アルコキシドを使用して触媒を無機繊維構造体に担持させているが、大量のアルコールを使用したり、水と反応しやすく高度な担持技術を必要とするという問題があった。
【0006】また、特開平5−58734号公報においては、炭化珪素表面を水蒸気処理で改質することにより、炭化珪素表面をSiO2 に転化してアルミナ、白金等の触媒成分の水溶性物質の担持を容易にするような工夫が記載されているが、水蒸気処理という特殊な処理を要するため市販の炭化珪素繊維では触媒担体として適用できないという問題があった。
【0007】一方、特開昭61−271034号公報では、シリカ−アルミナ繊維に界面活性剤を使用して、白金、パラジウムを均一に担持させ、触媒バーナーとして利用することが記載されているが、シリカ−アルミナ繊維では価格やDPFフィルタとしての性能に問題があり、シリカ−アルミナ繊維は親水性の表面を有しており、活性金属水溶液の担持が困難な炭化珪素繊維に均一に担持した記載はなく、また白金族元素のみを適用した例でありDPF用の活性金属としては性能が低く、一般的でなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、炭化珪素繊維等のような一般的に活性金属水溶液による触媒活性成分担持が困難であるような無機繊維構造体に、均一に触媒活性成分を担持させて触媒活性を十分発揮する無機繊維製触媒を製造できる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、(A)活性成分元素を有する無機酸塩と(B)界面活性剤、とを含む活性成分水溶液に、(C)炭化珪素繊維、チラノ繊維、チタン酸カリウム繊維および金属繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の材質からなる無機繊維構造体を浸漬した後、前記構造体を乾燥、焼成することを特徴とする無機繊維製触媒の製造方法を提供するものである。
【0010】また、本発明は、(A)活性成分元素を有する無機酸塩と(D)水溶性有機溶剤、とを含む活性成分水溶液に、(C)炭化珪素繊維、チラノ繊維、チタン酸カリウム繊維および金属繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の材質からなる無機繊維構造体を浸漬した後、前記構造体を乾燥、焼成することを特徴とする無機繊維製触媒の製造方法を提供するものである。
【0011】前記無機酸塩の活性成分元素は、アルカリ金属元素、第VIII族元素、ランタニド元素、銅族元素およびチタン族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であってもよい。
【0012】前記水溶液は更に、(E)活性成分元素を有する有機酸塩を含み、前記有機酸塩が、酢酸塩、蟻酸塩、シュウ酸塩、グリコール酸塩およびクエン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記活性成分元素が、アルカリ金属元素、第VIII族元素、ランタニド元素およびチタン族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であってもよい。
【0013】界面活性剤の量は、活性成分水溶液全量基準で20volppm〜1vol%であってもよい。水溶性有機溶剤の量は、活性成分水溶液全量基準で30〜70質量%であってもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】(A)成分として本発明において用いることのできる無機酸塩としては、活性成分元素を有する無機酸塩であれば特に限定されないが、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、塩酸塩および金属酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。その他、活性成分元素を有する錯体塩、例えばアンミン錯体塩等も(A)成分として無機酸塩と併用または単独で使用できる。
【0015】活性成分元素としては、例えばアルカリ金属元素、第VIII族元素、ランタニド元素、銅族元素およびチタン族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素が挙げられる。水溶性の無機酸塩が好ましい。
【0016】本発明で用いる無機酸塩のアルカリ金属元素は、Na、K、CsおよびRbからなる群から選ばれる少なくとも1つのアルカリ金属元素であってもよい。
【0017】本発明で用いる無機酸塩の第VIII族元素としては、Fe、CoおよびNiの卑金属元素並びに、Pt、Pd、Ir、Ru、RhおよびOsの貴金属元素、からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を使用することができる。
【0018】本発明で用いる無機酸塩のランタニド元素としては、Ce、La、Pr、Nd、Sm、PmおよびEuからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を使用することができる。
【0019】本発明で用いる無機酸塩の銅族元素としては、Cu、AgおよびAuからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を使用することができる。
【0020】本発明で用いる無機酸塩のチタン族元素としては、Ti、Zr、HfおよびThからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を使用することができる。
【0021】これら無機酸塩の元素の組み合わせについては特に限定されず、触媒用途により、アルカリ金属元素、第VIII族元素、ランタニド元素、銅族元素およびチタン族元素を適宜組み合わせて使用することができる。例えば、DPF用であれば、アルカリ金属元素と第VIII族元素の組み合わせが好ましい。触媒燃焼暖房用の触媒であれば白金族元素が好ましい。
【0022】(A)成分の活性金属成分を複数組み合わせるときの各成分量については特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜設定することができる。
【0023】例えば、ディーゼル排ガスに含まれる粒子状物質のSOF割合、Soot割合、あるいはそれら成分自体の性質は、エンジンの型式・使用条件などにより大きく変化し、さらには燃料の諸性状(セタン価、芳香族分割合、添加剤の種類など)によっても最適な組み合わせは変化する。
【0024】(B)成分の界面活性剤としてはカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などいかなる物でも使用できる。
【0025】例えばカチオン性界面活性剤としてアルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等があり、アニオン性界面活性剤として脂肪酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等があり、両性界面活性剤ではアルキルベタイン系、アミノカルボン酸類、イミダゾリン等があり、非イオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、多価アルコールの脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンエステル、ポリグリセリン等があり、これらをそれぞれ単独あるいは任意の組み合わせで用いることができる。
【0026】界面活性剤を使用すると、無機繊維の濡れ性が改善でき、疎水性の炭化珪素繊維に対しても、担持を行う際に水溶液を利用できることがある。この効果は水溶性有機溶剤を混合しても得ることが出来る。ただし無機繊維構造体の材質、形状によっては、同等の効果を得るために、無機酸塩を含む活性成分水溶液に、水溶液全量基準で30%以上の有機溶剤を混合する必要がある。実施するスケールが大きい場合、大量の有機溶媒が必要となることや、場合によっては排煙処理、残溶液の処理工程が必要となる場合がある。
【0027】また、界面活性剤は上記の効果だけでなく、触媒活性成分を無機繊維へ均一に担持させることができるという効果がある。活性成分水溶液に分散しにくい元素やその割合が同一条件でも、界面活性剤の添加割合を一定範囲にすることにより、均一な分散担持が可能となる。
【0028】(B)成分は、金属、ハロゲン等の、焼成後に残留する成分等があるときは、触媒活性や無機繊維の寿命に影響を及ぼすことがあるのでこれらの影響を考慮して処方を決定することが好ましい。
【0029】非イオン性界面活性剤は、焼成後に、金属等の残留する物質を有していないので好ましく用いることができる。
【0030】前記非イオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレングリコール(プルロック型)、テトロニック型含窒素非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアマイド、ポリオキシエチレンソルビタン等の脂肪酸エステルを、それぞれ単独あるいは任意の組み合わせで使用できる。
【0031】(B)成分の使用量は特に限定されないが、活性成分水溶液全量基準で20volppm〜1vol%である。
【0032】(C)成分の無機繊維構造体は、触媒の担体として使用できればその形態は特に限定されず、無機繊維自体あるいは無機繊維を焼結したものであってもよく、さらに無機繊維に加工を施して、マット、フェルト、織物、編み物、フィルタ、粉砕物等様々な形態にして用いてもよい。
【0033】前記無機繊維としては、DPF触媒用途の場合、炭化珪素繊維が好ましい。この炭化珪素繊維は、炭化珪素のみで構成された繊維だけでなく、炭化珪素を被覆した炭素繊維、炭化珪素を主体としてチタン等他の成分を含んだ繊維、例えば、チラノ繊維等あるいはこれらの2つ以上の組み合わせでもよい。
【0034】これら炭化珪素繊維は触媒の担体として用いるものであり、これら繊維を更に焼結したものも本発明の炭化珪素繊維の範囲に含まれる。
【0035】また本発明においては、無機繊維としてチタン酸カリウム繊維、金属繊維およびガラス繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することができ、これらと前記炭化珪素繊維とを併用することもできる。
【0036】無機酸塩を用いる本発明の方法によれば、親水性処理等によって特に繊維表面を改質しなくとも、これら無機繊維に触媒活性成分を担持することができる。
【0037】特に表面が平滑で触媒活性成分を担持困難であった繊維、炭化珪素繊維、金属繊維、チタン酸カリウム繊維、チラノ繊維などは、活性金属を含む水溶液との濡れ性がよくないため、従来の製法では繊維が多層に積層した構造体内部にまで触媒活性成分を担持することは困難であったが、本発明による触媒の製造方法(担持方法)はそれを可能にし、このような濡れ性がよくない繊維に触媒活性成分を均一に担持させることに関して有効である。
【0038】無機繊維構造体を使用することにより、閉塞による触媒機能低下を防ぐことができる。例えばDPFとして本発明で得られる触媒を用いる場合、排ガスをフィルタに通過させることにより、フィルタが粒子状物質を捕集するが、無機繊維構造体を使用することにより、フィルタ閉塞を抑制することができる。また、無機繊維構造体を用いることで粒子状物質をフィルタの厚み方向に均一に分散させて捕集できるので、フィルタ再生時にフィルタが局部的に高温となることを防ぐことができる。また、無機繊維構造体は自由度が高いため、これを備えた触媒は熱衝撃および圧衝撃にも柔軟に対応できる。
【0039】本発明は(B)成分の界面活性剤に代えて(D)成分の水溶性有機溶剤、好ましくは水溶性極性有機溶剤を使用することができる。この場合、使用する水溶性有機溶剤は水と相溶性があればよく、通常水1リットルに対して20g以上溶けるものが好ましく、低級アルコール類、ケトン類、グリコール類、セロソルブ類、環状エーテル類等いずれでも良い。これらの中で例えば、エタノール、イソプロパノールは入手しやすく、イソプロパノールは活性成分水溶液全量基準で最大40質量%を混合するだけで済むことができる。
【0040】(D)成分の使用量は、活性成分水溶液全量基準で30〜70質量%である。(B)成分の界面活性剤と(D)成分の水溶性有機溶剤を併用してもよい。この場合、(B)成分:(D)成分の比率は適宜設定することができる。
【0041】本発明は、(A)成分の無機酸塩に加えて更に、(E)活性成分元素を有する有機酸塩を用いてもよく、該有機酸塩としては、酢酸塩、蟻酸塩、シュウ酸塩、グリコール酸塩およびクエン酸塩をそれぞれ単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。水溶性の有機酸塩が好ましい。
【0042】(E)成分で用いる有機酸塩の活性成分元素としては、アルカリ金属元素、第VIII族元素、ランタニド元素およびチタン族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を使用することができ、好ましくはアルカリ金属元素、第VIII族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を使用することができる。
【0043】より具体的には、(E)成分の有機酸塩の活性成分元素としては、例えば、Na、K、Cs、Fe、Co、Ni、Ce、La、Pr、Nd、SmおよびTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を使用することができる。より具体的な使用の例としては、Na、K、Cs、Fe、Co、Niからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を使用することができ、必要に応じてこれに更にCe、Ti、Laから選ばれる1つ以上の元素を組み合わせることができる。
【0044】有機酸塩を使用することの有利な効果は幾つかあるが、例えば有機酸塩は焼成処理によって腐食性ガスを発生しないので、製造環境を良好に保つことができる。また酸の痕が残留することにより触媒活性低下を招いたり、無機繊維構造体の強度低下が現れる可能性が有るのでその使用量を減らすことで影響を小さくすることができる。
【0045】無機酸塩と、界面活性剤および/または水溶性有機溶剤を使用する本発明の触媒活性成分担持方法は、疎水性の炭化珪素繊維にも活性成分を均一に担持させることができるが、更に有機酸塩を組み合わせて使用することで、更に均一に無機繊維に触媒活性成分を担持させることができる。
【0046】また無機酸塩に、活性成分元素を有する有機酸塩を組み合わせることにより、炭酸塩等の、溶解性等の問題で、無機酸塩のみでは製造できないかあるいは製造困難な化合物をも容易に製造することができる。
【0047】上記効果を考えて、これら有機酸塩の使用量を適宜設定することができるが、無機酸塩に対する、有機酸塩のモルベース割合、すなわち(有機酸塩のモル数)/(無機酸塩のモル数)=0.1〜100に設定できる。
【0048】(A)成分を、通常、水等に溶解させて活性成分水溶液として、この水溶液に無機繊維構造体を浸漬し、この構造体を取り出して乾燥して水等の溶剤を除去した後に、空気中で通常、800℃以下、好ましくは400〜600℃、通常、2〜10時間焼成することにより、触媒活性成分が担持した無機繊維製触媒を得ることができる。
【0049】本発明で言う浸漬として、無機繊維構造体を活性成分水溶液に漬け込んだ後、引き上げて水切りを行ってもよいが、無機繊維構造体の飽和吸水量以下の水溶液量で浸積工程を行う必要のあるときは、その水溶液量分の水溶液を無機繊維構造体へ均一に滴下あるいは噴霧しても良い。
【0050】本発明においては、(A)成分の各成分をそれぞれ別個に無機繊維構造体に担持させてもよい。例えば(A)成分のある成分を水等に溶解して活性成分水溶液となし、この水溶液に無機繊維構造体を浸漬した後に、この構造体を取り出して乾燥、焼成し、次に他の(A)成分、界面活性剤および/または水溶性有機溶剤を含む活性成分水溶液に、焼成した前記構造体を浸漬した後、同様に乾燥、焼成することで無機繊維製触媒を製造してもよい。
【0051】上記のようにこれら(A)成分を含む活性成分水溶液の組成や、無機繊維構造体への担持順序は任意とすることができる。
【0052】1度に活性成分を担持した方が、活性成分が多成分で構成されている場合、各金属成分を均一に担持できるので好ましい。また別個に担持する場合、水溶性であるアルカリ金属元素を最後に担持すれば、意図的にアルカリ金属元素を触媒表面に多く分布することが出来る。
【0053】無機繊維構造体への担持量は用途や要求性能により適宜選択することができるが、通常、5g/L〜100g/Lであり、平面状フィルタであれば5〜20mg/cm2 である。
【0054】溶液中の各成分濃度は、各成分が溶解する範囲において任意に設定できるが、焼成後の活性成分担持割合が5〜20mg/cm2 となることが好ましい。
【0055】活性成分水溶液の温度は特に制限されないが、20〜40℃に設定できる。ただし、この範囲での各成分の溶解度が低く、水温を上げることで溶解度を向上できる場合には、上記範囲以上に温度を上昇させてもよい。
【0056】活性成分の担持量は、繰り返し浸漬、乾燥、焼成を行うことで増やすことができる。また本発明の担持方法は、触媒活性成分をスラリー状にして担持するスラリーコート法;スラリー状の触媒活性成分を繊維構造体に吹きかけそして乾燥して担持するスプレーコート法等他の如何なる担持方法とも組み合わせることができる。本発明の方法により得られる触媒は、DPFに用いられる触媒として特に適している。
【0057】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはいうまでもない。
【0058】実施例1(炭化珪素繊維フィルタへの触媒活性成分水溶液担持)
純水500mlに炭酸カリウム(K2 CO3 ・1.5H2 O)7.5g、硝酸コバルト(Co(NO32 ・6H2 O)20.0gを溶解した後、エタノール300mlをこれらに添加して、触媒活性成分水溶液を調製した。
【0059】次に直径14μmのSiC繊維を積層して作製したフィルタ(10cm角、厚さ5mm、目付重量230g/ m2 )を、前記のように調製した水溶液に充分に浸積して水溶液をフィルタに浸透させた。SiC繊維フィルタを引き揚げた後、このフィルタを120℃で2h乾燥し、次にこのフィルタを600℃で5時間焼成して、触媒活性成分担持フィルタ(無機繊維製触媒)を得た。
【0060】実施例2純水500mlに硝酸銅40.0gを溶解した後、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、商品名:エマルゲン109P)(花王(株)製)200ppmをこれらに添加して、触媒活性成分水溶液を調製した。次に繊維径50μm、目付重量1400g/ m2 のSiC繊維フィルタを直径1インチ(2.54cm)の円盤状に切り抜き、前記のように調製した水溶液に充分に浸積した。SiC繊維フィルタを引き揚げた後、このフィルタを120℃で2h乾燥し、次にこのフィルタを600℃で5時間焼成して、触媒活性成分担持フィルタを得た。担持割合は10mg/cm2 であった。
【0061】実施例3純水500mlに炭酸カリウム4.2g、硝酸コバルト12.0g、硝酸銅10.4gを溶解した後、非イオン性界面活性剤エマルゲン109P(花王(株)製)200ppmをこれらに添加して、触媒活性成分水溶液を調製した。次に直径14μmのSiC繊維を積層して作製したフィルタ(10cm角、厚さ5mm、目付重量230g/ m2 )を、前記のように調製した水溶液に充分に浸積して水溶液をフィルタに浸透させた。SiC繊維フィルタを引き揚げた後、このフィルタを120℃で2h乾燥し、次にこのフィルタを600℃で5時間焼成して、触媒活性成分担持フィルタを得た。
【0062】実施例4純水500mlに炭酸カリウム4.2g、硝酸鉄17.5g、硝酸銅10.4gを溶解した後、非イオン性界面活性剤エマルゲン109P(花王(株)製)200ppmをこれらに添加して、触媒活性成分水溶液を調製した。次に直径14μmのSiC繊維を積層して作製したフィルタ(10cm角、厚さ5mm、目付重量230g/ m2 )を、前記のように調製した水溶液に充分に浸積して水溶液をフィルタに浸透させた。SiC繊維フィルタを引き揚げた後、このフィルタを120℃で2h乾燥し、次にこのフィルタを600℃で5時間焼成して、触媒活性成分担持フィルタを得た。
【0063】実施例5純水500mlに炭酸カリウム4.2g、硝酸コバルト12.0g、塩化白金酸0.2gを溶解した後、非イオン性界面活性剤エマルゲン109P(花王(株)製)200ppmをこれらに添加して、触媒活性成分水溶液を調製した。次に直径14μmのSiC繊維を積層して作製したフィルタ(10cm角、厚さ5mm、目付重量230g/ m2 )を、前記のように調製した水溶液に充分に浸積して水溶液をフィルタに浸透させた。SiC繊維フィルタを引き揚げた後、このフィルタを120℃で2h乾燥し、次にこのフィルタを600℃で5時間焼成して、触媒活性成分担持フィルタを得た。
【0064】実施例6純水500mlに硝酸銅20.9gを溶解し、更に酢酸カリウム4.3g、酢酸コバルト10.7gを溶解した後、非イオン性界面活性剤エマルゲン109P(花王(株)製)200ppmをこれらに添加して、触媒活性成分水溶液を調製した。次に直径14μmのSiC繊維を積層して作製したフィルタ(10cm角、厚さ5mm、目付重量230g/ m2 )を、前記のように調製した水溶液に充分に浸積して水溶液をフィルタに浸透させた。SiC繊維フィルタを引き揚げた後、このフィルタを120℃で2h乾燥し、次にこのフィルタを600℃で5時間焼成して、触媒活性成分担持フィルタを得た。
【0065】実施例7純水500mlに硝酸銅20.9gを溶解し、更に酢酸カリウム4.3g、塩基性酢酸鉄8.0gを溶解した後、非イオン性界面活性剤エマルゲン109P(花王(株)製)200ppmをこれらに添加して、触媒活性成分水溶液を調製した。次に直径14μmのSiC繊維を積層して作製したフィルタ(10cm角、厚さ5mm、目付重量230g/ m2 )を、前記のように調製した水溶液に充分に浸積して水溶液をフィルタに浸透させた。SiC繊維フィルタを引き揚げた後、このフィルタを120℃で2h乾燥し、次にこのフィルタを600℃で5時間焼成して、触媒活性成分担持フィルタを得た。
【0066】比較例1炭酸カリウム(K2 CO3 )と酸化コバルト(Co23 )をそれぞれ所定量、エタノール300ml中に加えてスラリーとし、スラリー中のこれら化合物をボールミルにより12時間混合した後、エタノールを加熱蒸発させ、500℃で5時間焼成し、K:Co=1:1(原子比)となる触媒活性成分を得た。次にこの触媒活性成分のエタノール10%スラリーを調製した。次に繊維径50μm、目付重量1400g/ m2 の炭化珪素繊維フィルタを直径1インチの円盤状に切り抜いたものに、スラリー状触媒活性成分を担持し、このフィルタを120℃で2h乾燥し、このフィルタを600℃で5時間焼成して、触媒活性成分担持フィルタを得た。
【0067】比較例2(無触媒による粒子状物質(PM)燃焼)
繊維径50μm、目付重量1400g/ m2 の炭化珪素繊維フィルタを直径1インチの円盤状に切り抜いたものを用意した。
【0068】触媒の活性評価次に発電機ディーゼルエンジンにJIS2号軽油を満たし、触媒活性成分担持フィルタに一定条件でディーゼル排ガスを流通させることによって、一定量(2.5mg/cm2 )の粒子状物質を捕集した。その後、このようにして得た粒子状物質捕集済触媒担持フィルタを、遠赤外線反応装置〔真空理工社製、商品名:RHL−E45P(144V、4.8kW))〕にセットした。10%O2 /N2 流通下、20℃/分で昇温し、粒子状物質を燃焼させた際のCO2 発生推移を調べた。各実施例および比較例1で得られた触媒担持フィルタ並びに比較例2のフィルタについてのCO2 発生ピーク温度を表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】表1の比較例1に関するCO2 発生ピーク温度から判る通り、従来の方法によって製造された触媒担持フィルタによっても一定の粒子状物質燃焼効果が認められる。しかしながら、比較例1の第2ピーク温度は655℃であり、これは無触媒フィルタによるCO2 発生ピーク温度(比較例2:650℃)付近の温度で比較的高温であり、比較例1の触媒担持フィルタは十分な燃焼効果を発揮できるとは言えない。これは、従来の方法によって触媒活性成分の担持を行うと、フィルタ表面に触媒活性成分が多く分布することに起因する。
【0071】一方、実施例1に関するCO2 発生ピーク温度は484℃付近であり、温度分布が触媒による燃焼分布になっており、より低温で粒子状物質を燃焼除去でき、実施例1の触媒担持フィルタは十分な燃焼効果を発揮できることが判る。これは、本実施例の方法によって、フィルタの厚み方向まで(内部まで)均一に触媒活性成分を担持できた効果だと考えられる。実施例2〜7のCO2 発生ピーク温度も触媒による燃焼分布となった。
【0072】このような、厚み方向まで均一に触媒活性成分が担持して排ガス粒子状物質燃焼活性に優れた触媒は、特にDPFに用いられる触媒として適していることが判る。
【0073】このような効果を示す温度帯は活性成分により異なるが、本発明の方法により、触媒活性成分を疎水性のSiC繊維フィルタの表面並びに内部にまで均一に担持できることによる効果は大きい。
【0074】
【発明の効果】活性金属の無機酸塩水溶液に、界面活性剤および/または水溶性有機溶剤を添加することで、無機繊維(炭化珪素繊維等)構造体で構成される触媒担体に対して、触媒活性成分を表面はもちろん内部にまで均一に担持させることができ、結果、燃焼活性等に優れた触媒を製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000004444
【氏名又は名称】新日本石油株式会社
【出願日】 平成13年6月1日(2001.6.1)
【代理人】 【識別番号】100086287
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 哲也
【公開番号】 特開2002−361099(P2002−361099A)
【公開日】 平成14年12月17日(2002.12.17)
【出願番号】 特願2001−166538(P2001−166538)