| 【発明の名称】 |
可視光励起型酸化チタン光触媒およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】高本 尚祺
【氏名】永井 隆
【氏名】吉田 豊
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| 【要約】 |
【課題】紫外光および可視光の両領域において高い光触媒活性を発現する可視光励起型酸化チタン光触媒を得る。
【解決手段】チタニウム水和物および/またはその乾燥物を原料として、アンモニアガス等の還元性ガスを含む還元雰囲気中で還元焼成して、色相が、黄色度(YI)35以上、白色度(W)60以上である可視光励起型酸化チタン光触媒を製造する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 色相が、黄色度(YI)35以上、白色度(W)60以上であることを特徴とする可視光励起型酸化チタン光触媒。 【請求項2】 チタニウム水和物および/またはその乾燥物を原料として、還元性ガスを含む還元雰囲気中で焼成し酸化チタンを製造するとき、色相が、黄色度(YI)35以上、白色度(W)60以上となるよう還元度を制御することを特徴とする可視光励起型酸化チタン光触媒の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は紫外光領域および可視光領域において高い光触媒機能を有する可視光励起型酸化チタン光触媒およびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】二酸化チタンは、光触媒活性の大きさや安全性などの面から最も優れた光触媒材料として広く使用されている。しかし、現在使用されている二酸化チタン光触媒は主に紫外光領域の光を吸収するものであって、可視光領域の光はほとんど反射し吸収できないため、屋外で使用する場合には、太陽光の全エネルギーに占める3〜5%の紫外光しか利用されていない。また、室内もしくは装置内で使用する際には、水銀ランプ等の特殊光源の設置を必要とし、実用化の面で用途が大きく制約されている。 【0003】このような状況を打開するため、可視光領域(400〜800nm)の光を利用する研究が進められ、可視光励起型光触媒およびその製造方法が種々提案されている。例えば、特開平9−192496号公報には、二酸化チタン等の光触媒にバナジウム、クロム、マンガン等の遷移金属を化学的にドーピングする製造方法が記載されている。また、特開平9−262482号公報には、二酸化チタンへバナジウム、クロム、マンガン等の遷移金属をイオン注入する製造方法が記載されている。 【0004】しかしながら、前述のバナジウム等の遷移金属を化学的にドーピンクした光触媒では、可視光領域における光触媒活性は認められるものの、ドーピング前の光触媒が本来保有していた紫外光領域における光触媒活性の低下が見られる場合が多い。これは、新たに導入した金属イオンが光触媒内部で島状に凝集あるいは表面に偏析することにより新たな不純物エネルギー準位を形成し、これが紫外光照射により電荷分離した正孔と電子の再結合中心となり、光触媒活性の低下をもたらすからだと言われている。 【0005】また、バナジウム等の遷移金属イオンをイオン注入した光触媒では、注入された遷移金属イオンは、二酸化チタン表面の構造を変えることなく内部の適切な深さに均一に注入されるため、注入前に備えていた紫外光領域における固有の光触媒活性を維持しながら、可視光領域においても光触媒活性が発現する。しかし、イオン注入する製造方法では、大規模な製造装置や厳密な製造工程管理等を必要とし、生産性およびコストの両面で実用化にはほど遠い状況である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸化チタン光触媒における上記問題を解決するものであって、紫外光領域および可視光領域において高い光触媒活性を有する可視光励起型酸化チタン光触媒、およびそれを低コストで製造することのできる製造方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明者らは、化粧品用の黒色顔料として使用されている窒化酸化チタン(一般式TiNX OY )や低次酸化チタン(一般式TinO2n-1)の製造方法に着目し、種々の酸化チタン系触媒材料を還元処理することにより、その電子状態を改質する方法について検討し、光触媒活性に及ぼす影響を調べたところ、還元度を制御することにより得られたアナターゼ型酸化チタン粉末が、紫外光領域および可視光領域における光吸収を発現し、現在幅広く使用されている紫外光励起型光触媒に比べて極めて高い光触媒活性を示すこと、ならびに安価に量産化できることを見出した。 【0008】黒色顔料としての窒化酸化チタンや低次酸化チタンの製造方法は、種々知られている。例えば、市販の二酸化チタン顔料を500℃〜1000℃、好ましくは700℃〜900℃の温度で水素ガスおよびアンモニアガスなどの還元性ガスの一種又は二種以上によって、もしくはこれら還元性ガスとヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスとの混合ガスによって加熱還元する方法、あるいは市販の二酸化チタン顔料に還元剤としてアルミニウム化合物を、還元助剤として無機アンモニウム化合物や有機アンモニウム化合物を共存させ500℃〜1000℃の低酸素濃度雰囲気で還元焼成するなどの方法を挙げることができる。 【0009】また、上記の還元焼成において、その還元条件を変えることにより、その処理物の色が黒色以外の例えば、青黒色、青灰色、淡灰色、銀灰色、淡黄色、黄色など還元度に応じた色相を帯びることが知られている。二酸化チタンは化学量論的にはTiとOのモル比率が1:2であるが、還元焼成により酸素が結晶格子から離脱した場合、電気的中性を保つため生成した酸素イオン空孔によりTi4+がTi3+に還元される。Ti4+は無色であるが、酸素欠陥に基づき生成したTi3+は強く分極し外殻電子が歪みをうけ、可視光を吸収して青紫色を呈することから、還元度に応じた色相を呈するようになる。 【0010】一般的に、アナターゼ型二酸化チタンは、バンドギャップ3.2eV以上のエネルギーに相当する波長の光すなわち約387nm以下の紫外光が照射されると、光励起により伝導帯に電子が、価電子帯に正孔が生成し、それぞれが酸化と還元反応を誘起することにより光触媒作用を発現する。また、白色顔料等の用途向けに市販されている二酸化チタンは完全な白色ではなく、僅かに着色している。これは、二酸化チタン結晶格子のTi4+と原料由来の微量の鉄、クロム、バナジウム、銅、マンガンなどの金属イオン間との相互作用により可視光領域の光を吸収することによる。例えば、鉄の場合、Fe3+がTi4+の位置に入ると分極して外殻電子が歪みを生じて正常なFe3+より強い赤色の吸収を起こす。前記のイオン注入法において強制的にバナジウム等の遷移金属をイオン注入することにより可視光領域の光を吸収するのは、この理由によるものと考えられる。 【0011】本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、Ti成分を含む溶液の加水分解生成物であるチタニウム水和物および/またはその乾燥物を原料として、アンモニアガス、水素ガス等の還元性ガスを使用して還元焼成し酸化チタンを製造するとき、還元度を制御することにより得られた、色相が黄色度(YI)35以上、かつ白色度(W)60以上のアナターゼ型酸化チタンが、従来の紫外光励起型光触媒であるアナターゼ型二酸化チタンに比し400nm以上の可視光領域の光をより多く吸収して光励起し、紫外光領域の光吸収による光励起と合わさることにより極めて高い光触媒活性を示すことを見出した。 【0012】本発明はこの知見に基づいてなされたものである。即ち、本発明の可視光励起型酸化チタン光触媒は、チタニウム水和物および/またはその乾燥物を原料として、還元性ガスを含む還元雰囲気中で焼成して得られる酸化チタンであって、色相が、黄色度(YI)35以上、白色度(W)60以上であることを特徴とする。 【0013】ここで言う黄色度(YI)とは、JIS K7103(1977)で「無色または白色から色相が黄味方向に離れる度合いで、+の量として表示される」と定義される用語であり、理想的な白色を黄色度=0として、数値が+方向に大きくなるに従って色相が黄味方向へ移行し、−方向に大きくなるに従って色相が青味方向へ移行することを表す指標である。また、白色度(W)とは、JIS L1015(1992)で「色のついたサンプルの中での白さの値で、数値が大きければより白い」と定義される用語である。 【0014】本発明の可視光励起型酸化チタン光触媒を屋外で使用する場合には、太陽光中の紫外光とともに可視光領域の光を有効に利用できるため従来の二酸化チタン光触媒に比べ極めて高い光触媒活性を発現し、また、屋内で使用する場合にも蛍光灯の低光量下で極めて高い光触媒活性を発現する。さらに、空気清浄機等の装置内で使用する場合にも、高価な水銀ランプ等の特殊光源の設置が不要で安価な蛍光灯の使用が可能となり、装置コストの低減を図ることが可能となる。 【0015】なお、還元度が弱く、色相として黄色度(YI)が35未満であり、かつ白色度(W)が60以上であるアナターゼ型酸化チタンは、400nm以上の可視光領域の吸収能においても光触媒活性においても従来の紫外光励起型光触媒であるアナターゼ型二酸化チタンと同程度であり、本発明の目的には適さない。一方、還元度が強く黒味を呈し、色相として黄色度(YI)が35以上であり、かつ白色度(W)が60未満のもの、および黄色度(YI)が35未満であり、かつ白色度(W)が60未満であるアナターゼ型酸化チタンは、アナタ−ゼ型構造を維持しながらも新たなTi−O系ないしTi−O−N系化合物を一部生成することにより400nm以上の可視光領域の光吸収能は高くなるものの、生成した化合物のバンドギャップエネルギーが小さいため可視光により光励起された正孔―電子対による光触媒作用に寄与するOHラジカル類の生成が難しくなると推測されることから、紫外光領域の光吸収による光励起と合わせた光触媒活性においても従来の紫外光励起型光触媒であるアナターゼ型二酸化チタンと比べて光触媒活性は相当程度低くなるため、本発明の目的には適さない。 【0016】また、本発明の可視光励起型酸化チタン光触媒の製造方法は、チタニウム水和物および/またはその乾燥物を原料として、還元性ガスを含む還元雰囲気中で焼成し酸化チタンを製造するとき、色相が、黄色度(YI)35以上、白色度(W)60以上となるよう還元度を制御することを特徴とする。この製造方法によれば、量産時の設備コストが安価ですみ、製造工程管理も単純化できるため、本発明の光触媒励起型酸化チタン光触媒を安価に提供することが可能となる。 【0017】 【発明の実施の形態】本発明の可視光励起型酸化チタン光触媒は、Ti成分を含む溶液の加水分解生成物であるチタニウム水和物および/またはその乾燥物を原料として、還元性ガスを含む還元雰囲気中で焼成して得られる酸化チタンであって、焼成時に還元度を制御することにより、色相を、黄色度(YI)35以上、白色度(W)60以上としている。 【0018】ここで、Ti源としては、例えば四塩化チタン、三塩化チタン、硫酸チタニル、硫酸チタンなどを単独であるいは混合して使用することができるが、特にこれらに限定されるものではない。Ti成分を含む溶液の加水分解生成物であるチタニウム水和物および/またはその乾燥物を原料とするのは、それらの表面に水酸基を多量に保有していることから、容易に還元度を制御することができるためである。 【0019】還元雰囲気としては、アンモニアガスや水素ガスなどからなる還元性ガスの一種または二種以上の混合ガス、あるいはこれら還元性ガスと窒素ガスなどからなる不活性ガスとの混合ガスを使用する。還元焼成には、静置方式,回転方式および流動層方式等の炉の方式が何れも使用できる。また回分式あるいは連続式等の操業形態が何れも使用できる。 【0020】還元度は、還元焼成条件すなわち焼成温度、焼成時間および還元性ガス流量で規定され、焼成炉の方式や還元性ガスの種類、被焼成物の性状や供給量により最適な範囲が存在するので、製品の色相が黄色度(YI)35以上、かつ白色度(W)60以上になる条件を適宜選択して還元度を制御する。なお、還元反応により焼成物表面ないしその内部に生成した酸素欠陥を安定して保持させるため、回分式炉においては降温時炉内温度が200℃以下に到達するまで、また、連続式炉においては200℃以下の温度ゾーンから排出されるまで還元雰囲気もしくは不活性雰囲気を維持する必要がある。 【0021】還元処理された焼成物は粉砕装置によって粉砕する。粉砕装置は、可能な限り粉砕メディア等からの不純物の混入を回避でき、しかも粉砕後の平均粒子径が1μm以下が確保できるものであれば方式を問わず使用できる。 【0022】 【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 〔実施例1〕顔料用酸化チタン製造工程中から得られたチタニウム水和物を水洗し乾燥したアナターゼ型微粒子粉末60gを入れたボートを静置式焼成炉内に装入し、線速度5cm/secのアンモニアガス通気下で450℃、2時間の還元焼成を行なった。その後アンモニアガス雰囲気下で200℃に冷却した後、空気に置換し150℃までさらに冷却し、焼成物を回収し、粉砕して、可視光励起型酸化チタン光触媒(試料A)を得た。 【0023】〔実施例2〕還元焼成温度を500℃とし、それ以外は、実施例1と同様に処理して、可視光励起型酸化チタン光触媒(試料B)を得た。 〔実施例3〕還元焼成温度を600℃とし、それ以外は、実施例1と同様に処理して、可視光励起型酸化チタン光触媒(試料C)を得た。 【0024】〔比較例1〕焼成時に空気を通気すること以外は、実施例3と同様に処理して、酸化チタン光触媒(比較試料A)を得た。 〔比較例2〕還元焼成温度を600℃、保持時間を5時間とし、それ以外は、実施例1と同様に処理して、酸化チタン光触媒(比較試料B)を得た。 【0025】〔比較例3〕還元焼成温度を600℃、保持時間を15時間とし、それ以外は、実施例1と同様に処理して、酸化チタン光触媒(比較試料C)を得た。 〔比較例4〕古河機械金属(株)製のアナターゼ型光触媒用酸化チタン・DN−1−0(商標名)を比較試料Dとした。 【0026】試料A〜Cおよび比較試料A〜Dの各試料を0.40g秤り取り、各々内径40mmの成形用容器に入れて800kg/cm2 で加圧成形して直径40mm、厚み2mmの成形体とし、これを測定サンプルとして、黄色度(YI)および白色度(W)を測色計(スガ試験機(株)製・SM−4型、積分球方式による反射法、C光源・2°視野)により測定した。その結果を表1に示す。 【0027】 【表1】
【0028】表1から明らかなように、還元焼成して得た試料A〜Cは黄色度(YI)が35以上かつ白色度(W)が60以上を示し、還元焼成温度が高くなるほど、つまり還元度が強い試料ほど黄色度(YI)は大きくなり、白色度(W)は小さくなっている。一方、試料A〜Cより還元度を強めた比較試料Bは黄色度(YI)が35以上かつ白色度(W)が60未満を示し、比較試料Bよりさらに還元度を強めた比較試料Cは黄色度(YI)が35未満かつ白色度(W)が60未満を示している。 【0029】そして、非還元下で焼成した比較試料Aおよび比較試料Dは黄色度(YI)が35未満かつ白色度(W)が60以上を示している。特に、比較試料Cは黄色度(YI)が−の数値を示すとともに白色度(W)が試料A〜Cと比較して約1/3に、つまり黒色化していることがわかる。つぎに、紫外光〜可視光領域の吸収を調べるため分光光度計((株)島津製作所製・UV−2400PC型)により拡散反射吸収スペクトルを一例として試料A〜Cおよび比較試料Dについて測定した。その結果を図1に示す。 【0030】図1から、還元焼成して得た試料A〜Cについては、比較試料Dが可視光領域における吸収を示さないのに対して可視光領域における吸収が明瞭に測定され、その吸収能は還元焼成温度が高くなるほど、つまり還元度が強い試料ほど大きくなることがわかった。また、試料A〜Cおよび比較試料A〜Dの結晶状態を調べるため、X線回折装置((株)島津製作所製・XR600型、Cu−Kα線、40kw/30mA)により測定を行ない、得られたX線回折データからSchellerの式を用いて結晶子径を算出するとともに、比表面積を調べるため、比表面積計(マイクロメトリック社製・Flow Sorb2−2300)により測定した。結晶形、結晶子径および比表面積を表2に示す。 【0031】還元焼成して得た試料A〜Cは、比較試料A〜Dと同様、2θ=25.3°付近にアナターゼ型結晶構造に起因するピークが見られた。試料A〜Cおよび比較試料BおよびCの結晶子径は、還元焼成温度が高くなるほど、また、焼成時間が長くなるほど大きくなり、比表面積は、還元焼成温度が高くなるほど、また、焼成時間が長くなるほど小さくなることがわかった。なお、比較試料BおよびCのX線回折データから2θ=37°付近および43°付近に、窒化酸化チタンに起因すると推測されるピークが僅かに認められた。 【0032】 【表2】
【0033】さらに、試料A〜Cおよび比較試料A〜Dに対する一酸化窒素(NO)の除去性能の評価を行った。試料A〜Cおよび比較試料A〜Dを各0.40g秤り取り、各々内径40mmの成形用容器に入れて800kg/cm2 で加圧成形し直径40mm、厚み2mmの成形体となし評価用サンプルとした。 【0034】評価用サンプルによる一酸化窒素(NO)除去性能を評価するための試験は、図2に示す試験装置を用いて行った。この試験装置は、定量エアーポンプ1、相対湿度調整部2、ガス流量調節弁3、一酸化窒素の標準ガス(NO濃度75ppm)が入ったボンベ4、反応ガス混合器5、反応セル7、反応セル7の入口側と出口側の三方バルブ6a、6b、バイパス配管6c、温湿度計13、反応セル7の入口側と出口側の化学発光式窒素酸化物濃度計14a、14b(モニターラボ社製・ML9841A型)、および光源15(紫外線吸収膜付蛍光ランプ15a(東芝ライテック(株)製・FL20S−N−SDL−NU型[20W])、あるいはブラックライト蛍光ランプ15b(東芝ライテック(株)製・FL20S−BLB型[20W])で構成されている。 【0035】また、反応セル7は、評価用サンプル8を収める上側が開放された容器71と、この容器の蓋となる透明石英ガラス板72と、評価用サンプル8の表面に対する光照射強度を制御するためのステンレス製メッシュ73(73a、73b、73c、73d)で構成され、容器71に気体導入口71aと気体排出口71bとを備えている。バイパス配管6cは、反応ガス混合器5から出た気体を反応セル7を通さないで窒素酸化物濃度計14bに導入するためのものであり、両三方バルブ6a、6bの間に接続されている。光源15は、反応セル7の上部に設置されている。 【0036】なお、評価用サンプル8における表面の光照射強度の測定には、使用光源が紫外線吸収膜付蛍光ランプ15aである場合は、照度計((株)カスタム製・LX−1334型、測定波長範囲400〜700nm)を、ブラックライト蛍光ランプ15bである場合は、紫外線強度計(トプコン社製・UVR−1型[本体]、UVR−36型[受光部]、測定波長範囲310〜400nm)を用いた。 【0037】この試験装置の反応セル7内に評価用サンプル8を装入し、常温常圧下で、以下の方法により一酸化窒素(NO)の除去性能評価を行った。(1)容器71に評価用サンプル8を4個装入し、容器の蓋となる透明石英ガラス板72で覆い、その上をさらに評価用サンプル8表面に対する光照射強度を制御するためのステンレス製メッシュ73a〜73dを光照射強度に応じて設置する。ステンレス製メッシュ73a〜73dを設置した場合の評価用サンプル8表面の光照射強度を表3に示す。 【0038】 【表3】
【0039】(2)定量エアーポンプ1を介して相対湿度調整部2を通した空気と、ボンベ4の一酸化窒素(NO)標準ガスを、各々ガス流量調節弁3を通して反応ガス混合器5に毎分2L導入し、バイパス配管6cを通して相対湿度20%、一酸化窒素濃度1.0ppmに調整する。 (3)反応セル7の入口側と出口側の三方バルブ6a、6bを切替えて(2)において調整したガスを反応セル7内に導入し、光を照射せずに10分間通気して吸着平衡に達した後、光照射を開始する。 (4)反応セル7の入口側と出口側の窒素酸化物濃度計14a、14bにより、入口と出口における通気ガス中の一酸化窒素濃度を30分間測定し、反応セル7内での光触媒作用による一酸化窒素の酸化除去率を求める。 【0040】光源として紫外線吸収膜付蛍光ランプを使用した場合の試料A〜Cおよび比較試料A〜Dの一酸化窒素(NO)除去率測定結果を表4に、試料A〜Cの比較試料Dに対する性能差を表5に示す。また、光源としてブラックライト蛍光ランプを使用した場合の一酸化窒素(NO)除去率測定結果を表6に、試料A〜Cの比較試料Dに対する性能差を表7に示す。 【0041】 【表4】
【0042】 【表5】
【0043】 【表6】
【0044】 【表7】
【0045】表4に示す可視光照射時の光触媒作用による一酸化窒素(NO)酸化除去率の評価結果から明らかなように、全ての試料および比較試料において、程度の差こそあるものの可視光領域における光触媒活性が認められる。還元焼成して得た黄色度(YI)が35以上であり、かつ白色度(W)が60以上である試料A〜Cについては、黄色度(YI)が35未満であり、かつ白色度(W)が60以上である比較試料Aおよび比較試料Dに比しその光触媒活性が強められていることがわかる。 【0046】一方、黄色度(YI)が35以上であり、かつ白色度(W)が60以下である比較試料Bは、試料A〜Cおよび比較試料Dに比べ光触媒活性が低いことがわかり、さらに黄色度(YI)が35未満であり、かつ白色度(W)が60以下である比較試料Cは、光触媒活性が極めて低いことがわかる。表5に示す一酸化窒素(NO)酸化除去率における試料A〜Cと比較試料Dとの性能差の解析結果からみれば、還元焼成して得た試料A〜Cは比較試料Dである従来のアナターゼ型光触媒用酸化チタン(商標名;DN−1−0)の1.17倍〜3.34倍もの高い可視光領域における光触媒性能を示しており、特に低照射強度において性能差が顕著に認められる。 【0047】表6に示す紫外光照射時の光触媒作用による一酸化窒素(NO)酸化除去率の評価結果から明らかなように、全ての試料および比較試料において、紫外光領域において光触媒活性が認められる。黄色度(YI)が35以上であり、かつ白色度(W)が60以上である試料A〜Cについては、黄色度(YI)が35未満であり、かつ白色度(W)が60以上である比較試料Aおよび比較試料Dに比しその光触媒活性が同レベルであることがわかる。 【0048】一方、黄色度(YI)が35以上であり、かつ白色度(W)が60以下である比較試料Bおよび黄色度(YI)が35未満であり、かつ白色度(W)が60以下である比較試料Cは、光触媒活性がそれら以外の試料および比較試料に比べて低いことがわかる。これらの結果は、従来から指摘されてきた可視光領域における光触媒活性の発現にともなう紫外光領域における光触媒活性の著しい低下現象を示しておらず、本発明の還元度を制御する方法が極めて有効であることを裏付けている。 【0049】このことは、表7に示す紫外光照射時の光触媒作用による一酸化窒素(NO)酸化除去率の性能差解析結果からも、還元焼成して得た試料A〜Cは比較試料Dである従来のアナターゼ型光触媒用酸化チタン(商標名;DN−1−0)の0.94倍〜0.98倍と若干の性能低下が認められるもほぼ同等の光触媒活性を維持していることからも明らかである。 【0050】すなわち、還元焼成時に還元度を制御して、色相が、黄色度(YI)35以上、かつ白色度(W)60以上とした可視光励起型酸化チタン光触媒は、従来のアナターゼ型光触媒用酸化チタンに比べ、紫外光領域における光触媒活性を損なうことなく、可視光領域においても極めて高い光触媒活性を持つことがわかる。また、還元焼成時に酸化チタンの色相が、黄色度(YI)35以上、かつ白色度(W)60以上となるよう還元度を制御するこの製造方法によれば、量産時の設備コストが安価ですみ、製造工程管理も単純化できるため、光触媒励起型酸化チタン光触媒を安価に提供することができる。 【0051】さらに、本発明の製造方法により得られる可視光励起型酸化チタン光触媒は、塗料もしくはコーティング剤等に加工したり、ハニカムやフィルター等に加工することにより、従来の紫外光励起型光触媒では用途が制約されていた分野、例えば室内の低光量下における有害有機物質の分解、脱臭、防汚、抗菌等や水処理分野を始めとする広範囲な用途に適用することが可能となる。 【0052】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の可視光励起型酸化チタン光触媒は、従来の紫外光励起型光触媒であるアナターゼ型二酸化チタンには見られない400nm以上の可視光領域における高い光吸収能を発現するとともに、紫外光領域における光吸収による光励起と合わさることにより極めて高い光触媒活性を発現することができる。 【0053】また、本発明の可視光励起型酸化チタン光触媒の製造方法は、量産時の設備コストが安価ですみ、製造工程管理も単純化できるため、可視光励起型酸化チタン光触媒を安価に製造することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000165974 【氏名又は名称】古河機械金属株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年6月12日(2001.6.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066980 【弁理士】 【氏名又は名称】森 哲也 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−361097(P2002−361097A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月17日(2002.12.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−177729(P2001−177729) |
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