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【発明の名称】 排ガス脱硝用触媒スラリ、脱硝用触媒およびそれらの製造方法
【発明者】 【氏名】加藤 泰良

【氏名】今田 尚美

【氏名】宮本 英治

【氏名】引野 哲郎

【氏名】横山 公一

【氏名】山田 晃広

【要約】 【課題】高活性でかつ強度が高い排ガス脱硝触媒が得られるコーティング用脱硝触媒スラリおよびその製造法を提供し、これにより高性能な触媒体を得るとともに製造コストを低減する。

【解決手段】バナジウムとモリブデンの原子比V/Moが実質的に3/2である、示性式(NH4 3 Mo2 3 15 で表わされる化合物の水性溶液に酸化チタンを分散させたことを特徴とする排ガス脱硝用触媒スラリ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バナジウムとモリブデンの原子比V/Moが実質的に3/2である、示性式(NH4 3 Mo2 3 15 で表わされる化合物の水性溶液に酸化チタンを分散させたことを特徴とする排ガス脱硝用触媒スラリ。
【請求項2】 コロイダルシリカおよび/または無機繊維をさらに含有することを特徴とする請求項1記載の脱硝用触媒スラリ。
【請求項3】 酸化モリブデン(MoO3 )とメタバナジン酸アンモン(NH4 VO3 )とを、バナジウムとモリブデンの原子比V/Moが実質的に3/2になるように水性溶媒の共存下で反応させ、示性式(NH4 3 Mo2 3 15で表わされる化合物の水性溶液を得る工程と、該水性溶液に酸化チタンを分散させる工程とを含むことを特徴とする排ガス脱硝用触媒スラリの製法。
【請求項4】 金属製またはガラスもしくはセラミック製の触媒基材に、請求項1または2記載のスラリをコーティングしたことを特徴とする排ガス脱硝用触媒。
【請求項5】 触媒基材が貫通孔を有する網状物であり、かつその網目を埋めるように前記触媒がコーティングされていることを特徴とする請求項4記載の脱硝用触媒。
【請求項6】 触媒基材が貫通孔を有する網状基材であり、かつその網目が貫通孔を有する状態で前記触媒がコーティングされていることを特徴とする請求項4記載の排ガス脱硝用触媒。
【請求項7】 触媒基材が平板状であり、該平板に波形、凹凸形、階段状の突起が形成されたものであることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の排ガス脱硝用触媒。
【請求項8】 請求項7記載の平板状の脱硝触媒を積層させ、該脱硝触媒間にガスの通過流路が形成されるようにした脱硝触媒構造体。
【請求項9】 請求項1または2記載のスラリ中に板状の触媒を浸漬することにより、触媒をコーティングすることを特徴とする請求項3記載の脱硝触媒スラリの製法。
【請求項10】 平板状の基材表面に波形、凹凸形、階段状の突起が形成された触媒基材をあらかじめ積層して一体化した後、請求項1または2記載の触媒スラリ中に浸漬して触媒をコーティングすることを特徴とする排ガス脱硝用触媒構造体の製造方法。
【請求項11】 バナジウムとモリブデンの原子比V/Moが実質的に3/2である、示性式(NH4 3 Mo2 3 15 で表わされる化合物を酸化チタン粒子に担持したことを特徴とする排ガス脱硝用触媒。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は排ガス脱硝用触媒スラリおよびその製法に係り、特に板厚の薄い、高活性な脱硝用触媒を簡単な工程で得るための新規な方法と、それにより得られる触媒構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】発電所、各種工場、自動車などから排出される排煙中の窒素酸化物(NOx)は、光化学スモッグや酸性雨の原因物質であり、その効果的な除去方法として、アンモニア(NH3 )等を還元剤とした選択的接触還元による排煙脱硝法が火力発電所を中心に幅広く用いられている。触媒には、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)を活性成分にした酸化チタン(TiO2 )系触媒が使用されており、特に活性成分の1つとしてバナジウムを含むものは活性が高いだけでなく、排ガス中に含まれている不純物による劣化が小さいこと、より低温から使用できることなどから、現在の脱硝触媒の主流になっている(特開昭50−128681号公報等)。触媒は通常ハニカム状、板状に成形されて用いられている。
【0003】上記触媒の調製法としては、酸化チタンとV、Mo、Wなどの触媒活性成分の塩類とを水とともに混練後、成形、焼成する方法(混練法)と、酸化チタンの成形−焼成体に触媒活性成分塩類の混合溶液を含浸する方法(含浸法)、あらかじめ調製した触媒成分粉末をスラリ化したものを金属やセラミック基材にコーティングする方法(特開昭50−128681号、特公昭53−34195号、特開昭63−234224)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これら従来技術の中、金属基板に触媒スラリをコーティングする方法は、製造工程数が少なく、高活性な触媒が得易い方法であるが、基材と触媒成分との接触強度が低く、触媒が剥離し易いという難点があった。このため触媒成分を予備焼成したり、微粉砕して粒径を調整して密度が高い触媒コーティング層を形成する試みがなされているが、充分な強度が得られているとはいいがたい。特に性能を向上する目的で、触媒担持量を増大すると触媒コーティング層にクラックが発生し、それが起点になって振動や熱衝撃で剥離し易くなる。このため比較的低い触媒成分の担持量で用いざるを得ず、高い性能の触媒体を得ることができなかった。また、コーティング層の強度が低く、ダストを含む排ガス中では摩耗して強度が低下するという問題もあった。
【0005】本発明の課題は、高活性でかつ強度が高い排ガス脱硝触媒が得られるコーティング用脱硝触媒スラリおよびその製造法を提供し、これにより高性能な触媒体を得るとともに製造コストを低減することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するために、本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
(1)バナジウムとモリブデンの原子比V/Moが実質的に3/2である、示性式(NH4 3 Mo2 3 15 で表わされる化合物の水性溶液に酸化チタンを分散させたことを特徴とする排ガス脱硝用触媒スラリ。
(2)コロイダルシリカおよび/または無機繊維をさらに含有することを特徴とする(1)記載の脱硝用触媒スラリ。
【0007】(3)酸化モリブデン(MoO3 )とメタバナジン酸アンモン(NH4 VO3)とを、バナジウムとモリブデンの原子比V/Moが実質的に3/2になるように水性溶媒の共存下で反応させ、示性式(NH4 3 Mo2 3 15 で表わされる化合物の水性溶液を得る工程と、該水性溶液に酸化チタンを分散させる工程とを含むことを特徴とする排ガス脱硝用触媒スラリの製法。
(4)金属製またはガラスもしくはセラミック製の触媒基材に、(1)または(2)記載のスラリをコーティングしたことを特徴とする排ガス脱硝用触媒。
(5)触媒基材が貫通孔を有する網状物であり、かつその網目を埋めるように前記触媒がコーティングされていることを特徴とする(4)記載の脱硝用触媒。
【0008】(6)触媒基材が貫通孔を有する網状基材であり、かつその網目が貫通孔を有する状態で前記触媒がコーティングされていることを特徴とする(4)記載の排ガス脱硝用触媒。
(7)触媒基材が平板状であり、該平板に波形、凹凸形、階段状の突起が形成されたものであることを特徴とする(4)ないし(6)のいずれかに記載の排ガス脱硝用触媒。
(8)(7)記載の平板状の脱硝触媒を積層させ、該脱硝触媒間にガスの通過流路が形成されるようにした脱硝触媒構造体。
(9)(1)または(2)記載のスラリ中に板状の触媒を浸漬することにより、触媒をコーティングすることを特徴とする(3)記載の脱硝触媒スラリの製法。
【0009】(10)平板状の基材表面に波形、凹凸形、階段状の突起が形成された触媒基材をあらかじめ積層して一体化した後、(1)または(2)記載の触媒スラリ中に浸漬して触媒をコーティングすることを特徴とする排ガス脱硝用触媒構造体の製造方法。
(11)バナジウムとモリブデンの原子比V/Moが実質的に3/2である、示性式(NH4 3 Mo2 3 15 で表わされる化合物を酸化チタン粒子に担持したことを特徴とする排ガス脱硝用触媒。
【0010】以下、本発明を図面により詳細に説明する。図1(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ本発明において触媒基材として用いる種々の網状物の断面図、図2は上記網状物を積層して触媒構造体とした場合の斜視図である。
【0011】本発明の触媒スラリに用いる可溶性Mo−V化合物は、本発明者らが上記従来技術の解決のため鋭意研究した結果見出したものであり、メタバナジン酸アンモニウム(NH4 Vo3 )と三酸化モリブデン(MoO3 )とをV/Mo原子比で3/2(実用的には3/1.7〜3/2.3)で水に添加後、撹拌して得られる赤褐色の物質であり、溶解度は常温で170g/リットルと大きいことを特徴とする化合物である。この化合物の溶液に酸化チタン、必要に応じて結合剤であるコロイダルシリカや無機繊維を添加してスラリ状にし、これを前記基材に吹きつけるか、該スラリ中に基材を浸漬することにより、基材に触媒成分層が形成される。
【0012】本発明のスラリに用いるMo−V化合物と酸化チタンの重量比率は0を超えて50/100以下、好ましくは5/100〜25/100である。また、必要に応じて添加されるコロイダルシリカの添加量は、酸化チタンに対するSiO2 量として0を超えて50wt%以下、好ましくは5〜30wt%である。また、無機繊維としては、アルミノシリケート繊維などのセラミック繊維、石英硝子、E硝子など、アルカリ分が少ない材質の繊維を数十μm以下に切断したものを用いることができる。無機繊維の添加量は酸化チタンに対し0〜70wt%、好ましくは10〜50wt%の範囲である。
【0013】上記触媒成分の担持に用いる網状物としては、ステンレス、軟鋼、アルミニウム製メタルラス、金網、無機繊維製網状織布を無機バインダで固めたもの、板状のセラミック多孔体などが用いられる。これらの基材はあらかじめ図1に示すように、波状、凹凸状などの突起を形成され、図2に示した種々の積層法で積層されてガス流路が形成されるようになっている。
【0014】本発明の触媒は、特定の可溶性Mo−V化合物の溶液と酸化チタン粉末とを混合してなるスラリを触媒基材に担持していればよく、例えば上記コロイダルシリカを他の無機ゾルに変更したり、上記以外の無機繊維を用いるようにしてもよい。また、スラリのコーティングされ易さをコントロールするため、有機または無機の添加剤を添加することも可能である。
【0015】触媒基材に対する触媒の担持量は、基材の厚さと必要性能により自由に選定できるが、厚さ0.5mmの基材の場合、100〜400g/m2 担持すると高性能な触媒を得易い。
【0016】次に、図3(a)は、本発明の触媒スラリを、メタルラス基材の網目状の貫通孔を埋めるようにコーティング法によりメタルラス基材に塗布し、乾燥、焼成して得られた触媒体の外観を示す図である。比較として図3(b)に酸化チタン、メタバナジン酸アンモンおよびモリブデン酸アンモンを含む従来の触媒スラリを用いて同様にコーティングした触媒の外観を示した。図3(b)の従来のコーティング触媒では網状担体の網目に保持されたスラリ中の水分の蒸発と焼成時のシンタリングにより触媒層が収縮し、大きな亀裂を生じていることがわかる。そして、この亀裂が起点になって基材から触媒が脱落し易く、強度の高い触媒が得られず、また水分蒸発やシンタリングにより触媒層が収縮して細孔容積を低下させるため、高い脱硝性能が得られない。
【0017】これに対し、図3(a)の本発明の触媒は、可溶性Mo−V化合物と酸化チタンとを主成分とする特定のスラリを用いたことにより、クラックを全く生じないコーティング層を形成することができる。この可溶性Mo−V化合物は示性式が(NH4 3 Mo2 3 15で示されるヘテロポリ酸であると推定される。一般にヘテロポリ酸は無機ポリマーと称され、無機バインダとして用いる試みがなされているものであり、このポリマー構造が酸化チタン粒子間の結合を高めるとともに、収縮を阻害してクラックの発生に寄与するものと推定される。また、従来の方法の場合、コロイダルシリカなどのゾル状物をバインダに用いて強度を高めようとすると、触媒成分中からMoやVのオキソ酸イオンが溶け出て無機ゾルをゲル化させ、バインダ効果を得にくい。ところが、本発明の方法では活性成分であるMoとVのポリ酸と推定される特定化合物は、シリカゾルなどの無機ゾルをゲル化させることがなく、長期間安定な混合状態を維持し、バインダ効果を損ねないため、強度の高い触媒を得ることができる。
【0018】さらに、本発明ではスラリの担持後の乾燥過程における収縮が少なく、水分の飛散した部分が細孔を形成し、触媒内へのガス拡散を促進する。これにより従来のコーティング方法に較べ飛躍的に活性を増大することが可能となる。本発明の触媒は、以上のような作用により高強度かつ高活性が実現されるだけでなく、触媒製造上も次のような大きな効果がある。
【0019】従来のスラリコーティング用スラリでは、スラリ状態が無機金属イオンの影響を受ける。このため金属性基材を積層したユニットの浸漬などを連続して製造しようとすると、溶け出た金属イオンによりスラリの粘度が徐々に増大して担持することが難しくなる。これに対し、本発明のスラリに金属基板を浸漬してもスラリの粘度が上昇することがないため、連続して触媒スラリコーティングすることが可能となり、量産に適した製造法が可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的実施例を述べる。
実施例1水900gに90gの三酸化モリブデン(MoO3 )と100gのメタバナジン酸アンモン(NH4 VO3 )を添加したスラリを常温で20時間緩やかに撹拌し、両者を反応させて完全溶解させ、示性式(NH4 3 Mo2 3 15で示される化合物を含む褐色の透明溶液を得た。得られた反応液の固形分は17.5wt%である。得られたMo−V化合物溶液にコロイダルシリカ(日産化学社製、商品名OSゾル、SiO2 分20%)を重量比で7:3に混合添加し、混合溶液を調製した。この混合溶液を106g分取し、これにE硝子製繊維(セントラル硝子社製、商品名ミルドファイバEFH−100、長さ100μm)を10g(酸化チタンの20%)、酸化チタン粉末(ミレニアム社製、G5)を50gを添加後、撹拌して本発明のコーティング用スラリを得た。
【0021】これとは別に幅500mm−板厚0.2mmのSUS430製帯鋼をメタルラス加工して目開きが約2mmの網状基材を作成し、これから100mm角の試験片を切り出した。本試験片を先に調製したコーティングスラリに浸漬後、引き上げてメタルラスの網目を埋めるように触媒スラリを担持し、風乾後500℃で2時間焼成して触媒担持量350g/m2 の本発明の触媒を得た。
比較例1比表面積約230m2 /gの酸化チタン1.5kgとメタバナジン酸アンモン86.7g、モリブデン酸アンモン88.3gおよび蓚酸75gとをニーダに投入後、水を粘土状になるまで加えながら混練し、酸化チタンにモリブデンおよびバナジウム化合物が均一担持されるようにした。得られた粘土状物を押出し造粒機を用いて3mmφ円筒状に押出した後、流動層乾燥、500℃で2時間焼成、しかる後に粉機を用いて1μm以下が50%以上の触媒微粉を得た。
【0022】上記触媒粉40g、前記ミルドファイバ8gおよび水60gを混合してスラリを調製し、これを実施例1と同様の方法でSUS430メタルラスに担持して担持量380g/m2 の触媒を得た。
比較例2比較例1におけるスラリ調製時の水に代えて、実施例1に用いたコロイダルシリカと水との3/7重量比の溶液を用いてスラリを調製した。しかしながら、本スラリの場合にはコロイダルシリカのゲル化に起因すると考えられる粘度の急激な増大が見られ、良好なコーティング触媒が得られなかった。
実施例2〜5実施例1におけるMo−V化合物とシリカゾルの混合比7/3を100/0、85/15、50/50および30/70にそれぞれ変更し、他は同様にして本発明の触媒を得た。
実施例6〜10実施例1の酸化チタンに対するミルドファイバの添加量(20%)を0、10、30、50および70wt%にそれぞれ変更し、他は同様にして本発明の触媒を調製した。
【0023】実施例1〜10および比較例1で得られた触媒から10mm×100mmの短冊状のテストピースを切り出し、表1に示す条件で脱硝性能を測定した。また、実施例1〜9および比較例で得られた触媒の耐剥離性を評価するため、作成した100mm×100mm角の触媒板を高さ1mから鋼板上に10回落としたときの触媒の剥離量を測定した。これら試験により得られた結果を触媒組成とともに表2に示した。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】実施例になる触媒は、いずれも比較例1の触媒に較べ脱硝性能が高く、剥離試験による触媒剥離量が少ない。このことから本発明の方法が性能ならびに強度の高い触媒を得るに好適な方法であることは明白である。
【0027】また、実施例1〜5の性能と剥離量を比較すると、シリカゾルの添加量の増大により剥離量は低減できるが、脱硝性能は低下する傾向が見られ、TiO2 に対するSiO2 の添加量を実施例で示した範囲である30wt%以下にすると活性とともに、強度も高く維持することができる。
【0028】また、実施例1および6〜10の触媒の性能を比較すると、無機繊維である前記ミルドファイバの添加量の増大は、活性の向上と剥離量の低減に効果があることがわかる。しかし、添加量の増大に伴ってスラリの粘性が増大して、薄いコーティング層の形成が困難になる傾向が見られた。したがって、無機繊維は酸化チタンに対し70wt%以下、好ましくは50wt%以下に抑えると、良好なコーティング層を得易いことがわかった。
実施例11実施例1において、メタルラスを触媒スラリ中に浸漬後、引き上げ、さらに圧縮空気を吹きつけてメタルラスの目を埋めていたスラリを除去した。得られた触媒体を実施例1と同様にして乾燥および焼成してメタルラス表面を触媒が薄く覆った本発明の網状触媒体を得た。
【0029】比較例3比較例1の触媒スラリを用い、実施例11と同様の方法で網状触媒体を得た。
実施例12実施例1に用いたミルドファイバに代えて、アルミノシリケート繊維(東芝モノフラックス社製、ファイバフラックス)を長さ約0.1mmに粉砕したものを用い、他は同様にして本発明の触媒を得た。
比較例4比較例1に用いたミルドファイバに代えて、アルミノシリケート繊維(東芝モノフラックス社製、ファイバフラックス)を長さ約0.1mmに粉砕したものを用い、他は同様にして触媒を得た。
【0030】実施例13繊維径9μmのEガラス性繊維1400本の捻糸を10本/インチの粗さで平織りした網状物にチタニア40%、シリカゾル20%、ポリビニールアルコール1%のスラリを含浸し、150℃で乾燥して剛性を持たせ触媒基材を得た。本基材を100mm×100mm角に切り出し、実施例1のメタルラス担体に代えて用い、他は同様にして本発明の触媒を調製した。
比較例5実施例13に用いたセラミックス製触媒基材をメタルラスに代えて用い、他は比較例1と同様にして触媒を調製した。実施例11〜13および比較例3〜5の触媒の脱硝性能と剥離試験による剥離量とを測定し、結果を表3に示した。
【0031】
【表3】

【0032】実施例11および比較例3の結果の比較から、網状素材の編目の開いた、触媒担持量の少ない場合でも、本発明の触媒は高活性と低剥離量を維持できることがわかる。また、実施例12と比較例4、実施例13と比較例5の結果の比較から、無機繊維が他のものであっても、または網状担体がメタルラス以外のセラミック担体であっても同様に優れた触媒が得られることがわかる。
【0033】このように特定組成の可溶性Mo−V化合物を利用することにより、きわめて少ない工程で高い脱硝性能と剥離強度を有する触媒を得ることができる。
実施例14金属製網状基板を多数積層して形成した触媒ユニットに本発明の触媒スラリを含浸して触媒をコーティングした。すなわち、実施例1で用いたと同様のSUS430製のメタルラス基材に高さ2mmの波形を線条に形成し、図4のような触媒基材を複数枚作成した。これを軟鋼製の触媒枠に46枚積層して150mm角、長さ250mmの触媒担体ユニットを作成した。
【0034】これとは別に実施例1と同組成のスラリを20kg調製し、上記ユニットを浸漬し、ユニットを揺り動かしながら10分間経過後、スラリから引き上げて液切りした。ファンで室温の空気を当てながら風乾後、500℃で2時間焼成して本発明のユニット状触媒を調製した。
比較例6実施例14と同じ金属製の触媒ユニットと比較例1で用いた触媒スラリとを用いて同様のコーティング触媒を得た。
【0035】実施例14と比較例6の試験後のスラリを比較すると、前者は含浸試験前後で性状の差異は見られなかったが、後者のスラリは黒色に変色して粘度が著しく上昇する現象が見られた。これは金属基材および金属枠からFeイオンが溶出して触媒を変質させるとともに、粘度を上昇させたものと考えられる。このように従来のコーティング法では、金属基材を用いた場合にはスラリの変質による粘度の変化が均一な触媒製造を阻んでいたが、本発明によるコーティング方法では可溶性Mo−V化合物がきわめて安定なため、金属イオン等による変質がなく安定にコーティング操作を続けることが可能である。したがって、本発明は触媒製造の点からも有用であることがわかる。
【0036】実施例14と比較例6で得られた触媒ユニットをそのまま充填できる排ガス脱硝装置を用い、表4の条件で脱硝性能を測定した。本発明の触媒を用いた場合には脱硝率が99%と高かったが、比較例6の触媒では94%と低かった。ユニット状でスラリをコーティングして触媒ユニットを構成した場合も高い性能が得られる。
【0037】
【表4】

【0038】
【発明の効果】本発明によれば、活性が高く剥離の少ない排ガス脱硝用触媒が得られ、脱硝装置の高性能化が図ることができる。また、本発明の排ガス脱硝触媒スラリは、予備焼成や粉砕などの複雑な製造工程を必要としない上、得られるコーティング用スラリの性状が安定であり、金属基板製担体のように無機イオンの溶出し易い担体であっても性状が変化することがないので、均一な触媒を安価に大量に製造することが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000005441
【氏名又は名称】バブコック日立株式会社
【出願日】 平成13年6月6日(2001.6.6)
【代理人】 【識別番号】100076587
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 武長
【公開番号】 特開2002−361092(P2002−361092A)
【公開日】 平成14年12月17日(2002.12.17)
【出願番号】 特願2001−171583(P2001−171583)