トップ :: B 処理操作 運輸 :: B01 物理的または化学的方法または装置一般




【発明の名称】 内燃機関用排気ガス浄化触媒とその製造方法および浄化装置
【発明者】 【氏名】篠塚 教広

【氏名】北原 雄一

【氏名】黒田 修

【氏名】井上 猛

【氏名】土井 良太

【氏名】平塚 俊史

【氏名】奥出 幸二郎

【氏名】飯塚 秀宏

【氏名】山下 寿生

【氏名】金枝 雅人

【要約】 【課題】NOx補足成分にはアルカリ金属,あるいはアルカリ土類金属が用いられるが、これらの成分は高温排気ガスの影響により溶融して触媒層を移動し、コージェラト基体中のシリカと結合しやすくなり、触媒活性特性を低下させる問題がある。本発明は、触媒活性成分の移動を抑制した触媒を提供することにある。

【解決手段】コージェライトハニカムと、前記ハニカム上に活性炭を添加したスラリーをコーティングし、乾燥・焼成して微小空洞(物理的障壁)を生成するとともに触媒活性成分を担持して成る担体層と、から構成した排気浄化装置に特徴がある。また、γアルミナ,硝酸、アルミナ前駆体、精製水からなるアルミナスラリーに活性炭を添加し、前記活性炭を添加したスラリーをコージェライトハニカム上にコーティングして乾燥・焼成し、Na,Kを主成分とするNOx補足成分溶液を含浸させ焼成し、貴金属溶液、例えばジニトロジアンミンPt溶液、ジニトロジアンミンPd溶液、硝酸Rh溶液を含浸・焼成する製造方法に特徴がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】内燃機関から排出される排気ガスを浄化する触媒であって、触媒活性成分を担持するための担体と、前記担体を保持するモノリス構造を有する基体とを備え、前記担体は前記触媒活性成分の基体への移動を抑制するための物理的な障壁を有することを特徴とする内燃機関用排気ガス浄化触媒。
【請求項2】前記請求項1記載において、前記担体の、前記触媒活性成分の移動を抑制するための障壁が、担体中に生成された複数の微小空洞であることを特徴とする内燃機関用排気ガス浄化触媒。
【請求項3】前記請求項2記載において、前記担体の触媒活性成分はNa、K等のアルカリ金属を含むことを特徴とする内燃機関用排気ガス浄化触媒。
【請求項4】内燃機関から排出される排気ガスを浄化する触媒の製造方法において、γアルミナ,硝酸、アルミナ前駆体、精製水からなるアルミナスラリーに活性炭を添加し、前記活性炭を添加したスラリーをコージェライトハニカム上にコーティングして乾燥・焼成し、Na,Kを主成分とするNOx補足成分溶液を含浸させ焼成し、貴金属溶液を含浸・焼成することを特徴とする内燃機関用排気ガス浄化触媒の製造方法。
【請求項5】前記請求項4記載において、前記貴金属溶液は、ジニトロジアミンPt溶液、またはジニトロジアミンPd溶液または硝酸Rh溶液であることを特徴とする内燃機関用排気ガス浄化触媒の製造方法。
【請求項6】内燃機関から排出される排気ガスを浄化する触媒の製造方法において、γアルミナ,硝酸、アルミナ前駆体、精製水からなるアルミナスラリーに活性炭を添加し、前記活性炭を添加したスラリーをコージェライトハニカム上にコーティングして乾燥・焼成し、Na,Kを主成分とするNOx補足成分溶液と貴金属溶液を含浸させ焼成することを特徴とする内燃機関用排気ガス浄化触媒の製造方法。
【請求項7】内燃機関から排出される排気ガスの浄化装置であって、コージェライトハニカムと、前記ハニカム上に活性炭を添加したスラリーをコーティングし乾燥・焼成され触媒活性成分を担持した担体層、とから構成されたことを特徴とする内燃機関用排気ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の内燃機関から排出されるガス中に含まれる一酸化炭素(CO),炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)を浄化する触媒に係り、特に高い浄化性能を保つことができる触媒とそれを使用した排ガス浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】リーンバーンエンジン、希薄燃焼で運転されるDI(Direct-Injection)エンジン、ディーゼルエンジンは燃料より空気の多い状態で運転されるため、排気ガス中には酸素が過剰に含まれる。したがって、自動車用ガソリンエンジンで一般的に排気ガスの浄化に用いられる三元触媒では、リーンバーンエンジン、DIエンジンおよびディーゼルエンジンからの排気ガス中に含まれる、HC及びCOは浄化できるが、NOxを浄化することはできない。
【0003】このため、酸素を含む排ガス中のNOxを効果的に浄化する触媒(リーンNOx触媒)の開発が進められ、NOxを一旦吸着剤等に捕捉した後、捕捉したNOxを還元浄化する触媒の実用化が進んでいる。
【0004】例えば特開2000−342967号公報がある。この公報には、アルミナ担体とTiO2を混合して熱処理し、担体とNOx捕捉成分との反応を抑制することで、貴金属の粒成長を抑制することについて、記載がある。
【0005】また、特開平10−358号公報がある。この公報には、白金、アルカリ土類、3A族元素からなる耐熱性化合物を形成させることで、貴金属の耐熱性の向上を図ることについて記載がある。
【0006】さらに特開平7−108172号公報がある。この公報には、アルカリ土類を担持したアルミナ層(第一担持層)と、貴金属が担持されたアルミナ層(第二担持層)の二重構造にした記載がある。これによって、アルカリ土類金属と貴金属触媒の直接的な接触を回避し、貴金属触媒の活性低下を防止している。その結果、NOx捕捉成分の移動を抑制し、耐熱性向上を図っている。
【0007】しかしいずれの手法においても、その複雑な製法のためコスト高となり、実用性を低下させてしまう欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一般的にリーンNOx触媒や三元触媒といった自動車排ガス浄化用触媒は、主にモノリス構造を有する基体の表面に、担体層を構成し、担体層中に触媒活性成分を分散させている。ここでいう触媒活性成分とは、担体の細孔内に担持されていて、排ガス浄化に関与する成分を指している。
【0009】また、担体は触媒活性成分を分散保持させるためのものであり、各種の金属酸化物か複合酸化物などが用いられるが、アルミナまたはアルミナを主成分とする材料が比較的に多用される。また、モノリス構造体の材料には、コージェライトが用いられる。それはコージェライトが耐熱衝撃性に優れた特性を有しているためである。
【0010】自動車用の排気浄化装置に用いる触媒に要求される重要な特性の一つに、長期間にわたる使用に耐えうるような特性、いわゆる熱耐久性がある。触媒には、高い温度の排気ガスの浄化を、高い浄化率を保ちつつ長期間の使用に耐え得る特性が要求される。リーンNOx触媒中に含まれるNOx捕捉成分はNa,Kといったアルカリ金属及びSr,Baといったアルカリ土類金属を主成分として構成される。しかしながら、これらの成分はその融点の低さから軟化・溶融し、粒成長による表面積の低下や、アルミナ等の担体と反応することでその活性を低下させてしまう問題がある。
【0011】またこれらの成分は、高温排気ガスの影響により溶融して触媒層中を移動し、貴金属等の触媒成分を蔽ってしまうことなどにより、露出面積を減少させ、触媒活性を低下させてしまう。さらにこれらの成分は、コージェライト基体中のシリカと結合しやすく、熱耐久時にはコージェライト基体中への移動が容易になってしてしまうことで、触媒層中の担持量が減少し、触媒活性を大きく低下させてしまう。この傾向は、Na,K等のアルカリ金属で特に大きい。
【0012】本発明は上記従来技術の課題に鑑み、アルカリ成分の移動抑制について、最小限の製造工程の変更により実現した、実用的な触媒を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題は、以下の手段によって解決することができる。触媒活性成分を担持するための担体と、前記担体を保持するモノリス構造を有する基体とを備え、前記担体は前記触媒活性成分の基体への移動を抑制するための物理的な障壁を設けた触媒であることに特徴がある。
【0014】また、前記担体の、前記触媒活性成分の移動を抑制するための障壁が、担体中に生成された複数の微小空洞であること。また、前記担体の触媒活性成分はNa、K等のアルカリ金属を含むことに特徴がある。
【0015】また、γアルミナ,硝酸、アルミナ前駆体、精製水からなるアルミナスラリーに活性炭を添加し、前記活性炭を添加したスラリーをコージェライトハニカム上にコーティングして乾燥・焼成し、Na,Kを主成分とするNOx補足成分溶液を含浸させ焼成し、貴金属溶液を含浸・焼成する製造方法、また、前記貴金属溶液はジニトロジアンミンPt溶液またはジニトロジアンミンPd溶液または硝酸Rh溶液を含浸・焼成する製造方法に特徴がある。
【0016】また、γアルミナ,硝酸、アルミナ前駆体、精製水からなるアルミナスラリーに活性炭を添加し、前記活性炭を添加したスラリーをコージェライトハニカム上にコーティングして乾燥・焼成し、Na,Kを主成分とするNOx補足成分溶液と貴金属溶液を含浸・焼成する製造方法に特徴がある。
【0017】また、コージェライトハニカムと、前記ハニカム上に活性炭を添加したスラリーをコーティングし、乾燥・焼成され触媒活性成分を担持した担体層、とから構成された排気ガス浄化装置に特徴がある。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の具体的な例について説明する。本発明は、担体上に担持された触媒活性成分が、熱耐久時にコージェライト基体中へ移動することによって生じる浄化性能低下を改善するものである。具体的には、排ガス浄化用触媒のアルミナ担体層中に、微小な空洞を多数作成し、担体層の強度を保持しつつアルカリ金属成分の移動経路を制限し、コージェライト基体とアルカリ金属成分との反応を抑制させ、その結果として担体層中のアルカリ金属担持量低下を最小限に抑えることで、高い熱耐久性能を有する触媒及び排気浄化装置を実現するものである。
【0019】本発明は、例えば以下の含浸法による触媒製造方法の特性を生かし実現することができる。アルミナスラリーをコージェライト基体に担持する際、スラリー中に活性炭等の可燃性粒子を混入させる。このスラリーをコーティングし、乾燥・焼成すると、活性炭は焼失し、アルミナ担体層中に多数の微小な空洞を作成できる。この後、アルカリ金属成分、貴金属等の触媒成分を含浸させることで、触媒層中にNOx捕捉成分の移動抑制のための障壁を作ることができる。このように、触媒の担体層中に、前記触媒活性成分の移動を抑制できる物理的な障壁を設けた触媒に特徴がある。担体層の強度を保持したまま活性成分の移動経路を制限するものである。これによって長時間、高い浄化率を保持することができる触媒、またその触媒を使用した浄化装置を実現する。
【0020】図1は前記物理的障壁を設けた場合と、特に障壁を設けていない場合の比較例を示している。(A)は従来方式の場合、(B)は障壁を設けた場合である。この場合は空隙(あるいは空洞)4を設けた例である。基体2としてコージェライト、アルミナ層6はアルミナまたはアルミナを主成分とする材料である。NOx捕捉成分8はNa,Kといったアルカリ金属およびSr、Baのようなアルカリ土類金属を主成分として構成される。(B)の場合は空隙4があるために捕捉成分8は基体2への移動がし難い状態を形成することができる。空隙があるために基体2へ移動するにしても、その距離が長くなる。したがって、長時間にわたって高い浄化率を保持することができる。
【0021】以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。担体がアルミナ、モノリス基体材料がコージェライトである場合を例に、本発明の実施例を説明する。
「実施例」γアルミナ、硝酸、アルミナ前駆体、精製水からなるアルミナスラリー中に、活性炭を10wt%添加させた。この時の活性炭添加量は、5〜30wt%が好ましいことがわかった。活性炭添加量が少ないと生成される空洞の数が減少するため効果が小さくなり、添加量が多いとスラリーコーティングが困難になり、またハニカムの目詰りが増加する傾向がある。これらの特性を図2に示す。Aは活性炭添加量と空洞の数の関係を表わしている。空洞の数が多いほど障壁としての効果はあるが、問題もある。Bはコーティングの容易さを表わし、活性炭の添加率が大きくなるとコーティングそのものが難しくなり、コーティングしたとしても、目詰まりというあらたな問題がおこる。すなわち障壁としての効果は大きくなるものの、製造工程におけるコーティングが難しくなる。
【0022】また、活性炭の粒径は5〜20μmが好ましいことがわかった。この傾向を図3に示す。特性Aは活性炭粒径に対する空洞の大きさの関係を表わしている。空洞が大きいほど障壁としての効果がある。また、活性炭の粒径が揃っていれば、これによってできる空洞の大きさのばらつきも少ない。特性Bとして示すように、粒径が大きくなるにしたがってコーティングが難しくなることを図3は表わしている。粒径が小さいと生成される空洞の大きさが小さくなるため効果は小さくなる。しかしながら、活性炭の粒径が大きいとスラリーコーティングが困難になること、またコーティングができたとしても、ハニカムの目詰りが増加する傾向にあるなど、の問題があり、上記の粒径範囲が好ましい。
【0023】この活性炭を添加したスラリーを、コージェライトハニカム上に、アルミナ担持量が190g/L(カサ容積)となるまでコーティングし、乾燥・焼成をおこなうことで、アルミナ層中に微少な空洞を多数有するアルミナコートハニカムを作成した。こうして作成したハニカムに、Na,Kを主成分とするNOx捕捉成分溶液を含浸・焼成し、さらに貴金属溶液、例えばジニトロジアンミンPt溶液、ジニトロジアンミンPd溶液、硝酸Rh溶液を含浸・焼成を行った。このような製作工程で作成した触媒をここでは実施例触媒ということにする(また、ここで前記NOx捕捉成分溶液、貴金属溶液を同時に含浸・焼成する場合もある)。
【0024】次に、前記実施例触媒と特性比較をおこなった比較例触媒について述べる。γアルミナ、硝酸、アルミナ前駆体、精製水からなるアルミナスラリーを作成し、アルミナ担持量が190g/Lとなるまでコ−ティングし、乾燥・焼成を行うことで、アルミナ層中に空洞を持たないアルミナコートハニカムを作成した。
【0025】こうして作成したハニカムに、前記実施例触媒と同様の方法で、同量の触媒活性成分を含浸し、焼成して比較例触媒を作成した。これらの、概略的な構成比較は前記図1に示した通りである。比較例触媒では、NOx捕捉成分が容易に移動できるが、実施例触媒では空洞の存在によりNOx捕捉成分の移動が抑制されることがわかる。
【0026】次に、これらの比較例触媒、と実施例触媒の特性比較について述べる。ハニカム触媒を、空気雰囲気炉中で830℃×60hrの熱耐久試験を行った。
【0027】熱耐久試験後の触媒をモデルガス試験装置にて、浄化性能の評価を行った。触媒中に実車のストイキ燃焼排ガスを模擬したモデルガスを流通させ、次にリーンバーン燃焼を模擬したモデルガスに切り替えた。ストイキガスからリーンガスへ切替え後、1分後における触媒のNOx浄化率を下式にて算出した。
NOxの浄化率(%)=(1―(触媒出口部におけるNOx濃度/触媒入口部におけるNOx濃度))×100【0028】このときガス温度を300〜500℃の間で変化させ触媒性能の温度依存性について評価した。その評価例を図4に示す。図4から明らかなように、実施例触媒は300〜500℃の全ての温度領域で比較触媒のNOx浄化率が上まわる浄化率特性が得られた。最大で15%程度の浄化率の向上がみられる。これは、アルカリ金属成分の、モノリス基体への移動が抑制された結果である。このように比較的に容易な方法で浄化率性能の優れた触媒を作成することができる。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば比較的容易な方法で触媒活性成分の移動を抑制した触媒を作成することができ、高い浄化率を有する浄化装置が得られる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【識別番号】000232999
【氏名又は名称】株式会社日立カーエンジニアリング
【出願日】 平成13年6月8日(2001.6.8)
【代理人】 【識別番号】100074631
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 幸彦 (外1名)
【公開番号】 特開2002−361083(P2002−361083A)
【公開日】 平成14年12月17日(2002.12.17)
【出願番号】 特願2001−173464(P2001−173464)