| 【発明の名称】 |
固定化タンニン製剤、及びその製造方法、固定化タンニン製剤を用いる金属イオンの除去と回収 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐野 裕之
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| 【要約】 |
【課題】有用な自然天念物である水溶性タンニンまたは広義のタンニン酸をイオン交換樹脂に固定化し水不用性とし実使用に耐える製剤を提供する。
【解決手段】イオン交換樹脂とそれに固定化した水溶性タンニンを含む水不溶性の固定化タンニン製剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 イオン交換樹脂とそれに固定化した水溶性タンニンを含む水不溶性の固定化タンニン製剤。 【請求項2】 イオン交換樹脂に水溶性タンニンを固定化することによる請求項1に記載した製剤の製造方法。 【請求項3】 請求項1記載の固定化タンニン製剤を金属イオンの除去または分取および固定化酵素による酵素処理に用いること。 【請求項4】 請求項1記載の固定化タンニン製剤により金属イオンを除去または分取する方法。 【請求項5】 請求項1記載の固定化タンニン製剤に酵素を固定化することによる酵素処理方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は水溶性であるタンニンを使用して新たに発明した水不溶性の固定化タンニン製剤とその製造方法、並びにその使用に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】自然天然物質であるタンニン又は広義のタンニン酸が水中の重金属やたん白質、コロイド粒子などと強い結合を示すことは従来良く知られている。タンニンの持つこれらの性質を利用して 水中の重金属やたん白質を除去または濃縮、あるいは酵素を固定化する目的でタンニンに水不溶性の性質を付与した幾つかの固定化タンニン製剤が生み出され実際に使用されている。例えば、水や酒、ゼラチン等から鉄を除去し精製することに使用されたり、鉛水銀などの有害な金属の回収除去あるいは濃縮に使用されている。また、固定化タンニン製剤上にアミノアシラーゼやβ-ガラクトシターゼの様な酵素を固定し多糖類に目的に応じた酵素反応を与える為に使用されている。たとえば、1)セルロース粉末にヘキサメチレンジアミンを介して五倍子タンニンを結合させたもの、2)、放射線グラフト重合を使用して高分子化合物やポリマーにタンニンを結合させたもの、3)新たに共重合体を製造する際にタンニンを含ませて固定化タンニン製剤としたものなどがあった。 【0003】これら既存の方法は、製造時に有機溶媒を使用する(1)および3))、製造時に放射線を使用する(2))、製造工程の複雑さに起因する製造コストが生じる(1)、2)、3))、粒径の揃ったものを得る為の特別な工程を必要とする(1)、2)、3))、などの欠点があった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、タンニンの機能を保持した水不溶性であること、有機溶媒を使用しない環境的に安全な方法で製造されていること、粒径の揃った製剤を簡便な方法で生みだすことなどの用件をみたす新たな水不溶性の固定化タンニン製剤とその製造方法並びにその使用に関するものである。 【0005】本発明者はタンニンの機能とその固定化法に関しての実験を鋭意行い、イオン交換樹脂にタンニンを固定し得ることを見出し、更にイオン交換樹脂にタンニンを固定して作成した水不溶性の固定化タンニン製剤はタンニンが本来的に持つ、水中の重金属やたん白質、コロイド粒子などと強い結合を示すなどの性質を保持していることを見出し本発明をするに至った。 【0006】本発明はイオン交換樹脂にタンニンを固定化した水不溶性の固定化タンニン製剤である。即ち、イオン交換樹脂とそれに固定化した水溶性タンニンを含む水不溶性の固定化タンニン製剤である。 【0007】また、本発明はイオン交換樹脂にタンニンを固定化した水不溶性の固定化タンニン製剤の製造方法並びにその使用である。即ち、イオン交換樹脂に水溶性タンニンを固定化することによる請求項1に記載した製剤の製造方法、上記の固定化タンニン製剤を金属イオンの除去または分取および固定化酵素による酵素処理に用いること、上記の固定化タンニン製剤により金属イオンを除去または分取する方法または上記の固定化タンニン製剤に酵素を固定化することによるり酵素処理方法である。 【0008】 【発明の実施の形態】タンニンは広義のタンニン酸と同義語で多数の植物、特にカシワ、なら等の樹皮、ハゼ、ウルシ、などの葉などに存在する。 また、茶などの飲用の植物性抽出物に見られることも多い。タンニンは上記植物界に広く分布する多数のフェノール性ヒドロキシル基を持つ複雑な芳香族化合物の総称で水溶液は収斂味を呈する。狭義のタンニン酸はm-ガロイル没食子酸 分子式C14H10O9 分子量322.23で可溶性タンニンの加水分解により得られる。タンニンおよびタンニン酸は、いずれもそれらの性質は酷似しており、水中の重金属やたん白質、コロイド粒子などと強い結合を示すことは従来良く知られている。また、鉄イオンと黒色の沈殿を生成することでも知られている。 また、皮革材料の改質のためのなめし剤、媒染剤、収斂剤としても使用されている。イオン交換樹脂はスチレン、フェノール、アクリル、尿素などを母体としディヴィニルベンゼンやホルムアルデヒドなどを架橋剤とする共重合体にスルホン酸基や3級または4級のアミン類、カルボン酸基などの官能基をもつ化合物の総称である。イオン交換樹脂は水に良くなじむ親水性を有するがそれ自体が水に溶解することはない水不溶性を有する。 【0009】タンニンが有する特有の性質を利用するには水不溶性とすることが有効であり、イオン交換樹脂に担持させることによって固相とすることができる。 【0010】イオン交換樹脂の種類は特に選ばない。イオン交換樹脂の共重合体とタンニンは高分子体特有の強い疎水結合力で結合しており水中でタンニンが溶出し機能を失うことは無い。 【0011】実際には、イオン交換樹脂をタンニンの水溶液に浸漬し十分に水洗浄した後、70〜80℃で乾燥することにより固定化タンニン製剤とすることが出来る。 【0012】この固定化タンニン製剤をカラムに充填し1ppm程度の薄い鉄の溶液を通液し実際に0.1ppm以下に濃度を低減可能であり、タンニンの持つ機能が保たれている。また、イオン交換樹脂を母体とし粒径の揃った性状を有するのでカラムに充填使用した際に圧損などの問題が生じにくい。 更に、1M程度の強酸を通液することにより鉄を本製剤から脱離することが出来るが、その後更に前述の薄い鉄の溶液を通液する時に鉄濃度を0.1ppm以下に低減することが出来、固定化タンニン製剤はタンニンの有する特有の性質を保持していることが分かる。即ち、本発明による固定化タンニン製剤は再生使用が可能なアフィニティ担体である。 【0013】本発明は、タンニンを、その機能を保持した状態で水不溶性の固定化タンニン製剤とし、これを環境的に安全な方法で粒径の揃った製剤を簡便でかつ廉価な製造手段を提供するものである。 【0014】 【実施例】タンニンを使用して新たに発明した、再生使用が可能な、水不溶性の固定化タンニン製剤とその製造方法並びに使用法に関する本発明の実施例を順次説明する。 【0015】実施例1イオン交換樹脂を担体とする固定化タンニン製剤とその製造法イオン交換樹脂DOWEX 550A-Cl 150mlを10%タンニン溶液 150mlに一晩浸漬後、10倍量の精製水で洗浄し75℃で5時間乾燥し、イオン交換樹脂を担体とする固定化タンニン製剤100mlを調製した。 【0016】実施例2イオン交換樹脂を担体とする固定化タンニン製剤の鉄イオン吸着特性カラムに実施例1において調製した固定化タンニン製剤10mlを分取した。これに原子吸光用標準液(1000ppm)を純水にて1.2ppmに調製した試料の2Lを通液し、その液を50mlごとに採取して原子吸光光度計で液中の全鉄の濃度を測定した。液の流速は10ml/minであった。これを3回繰り返し実施した。 【0017】図1に示される通り本来1.2ppmの鉄イオンを含む水溶液中の鉄イオン濃度が0.1ppm以下の原子吸光光度計の検出限界以下にまで低減され、これが1L程度継続していることが分かる。 タンニン処理しないイオン交換樹脂DOWEX 550A-Clに通液した場合の鉄イオン濃度は1.2ppmのままであった。これにより、当固定化タンニン製剤はタンニン若しくは広義のタンニン酸の有する機能を保持していることが示された。同時に、タンニンがイオン交換樹脂に担持され固定化されていることが示された。 【0018】実施例3酸処理による鉄イオン吸着固定化タンニン製剤からの鉄イオンの回収実施例2に於いて鉄イオン溶液を通液した固定化タンニン製剤各10mlに1M-塩酸100mlを通液し吸着されている鉄イオンの溶離を行った。 1M-塩酸中に溶離された鉄イオンの濃度を原子吸光光度計にて測定した。 【0019】 【表1】
【0020】表1に於いて、溶離された鉄イオン濃度と溶離液量から求められた回収鉄イオン量は、図1に於いて示された鉄イオン濃度変化から計算された吸着量とほぼ同等であった。即ち、固定化タンニン製剤に吸着された鉄は酸処理により回収されることが示された。 【0021】実施例4固定化タンニン製剤の再生使用特性実施例3に於いて、酸処理により鉄イオンの溶離を行った後に、更に1.2ppmの鉄イオンの吸着特性を、実施例2と同様の手法にて測定し、固定化タンニン製剤の再生特性を調べた。 【0022】固定化タンニン製剤10mlに対して1.2ppmの鉄イオン溶液を通液した後、1M-HClにて鉄イオンの溶離を行った後に、更に1.2ppmの鉄イオン溶液を試料として通液し、その液を50mlごとに採取して原子吸光光度計で液中の全鉄の濃度を測定した。これを3回の繰り返して実施した。その結果を図2に示した。 【0023】図2に示された通り、鉄イオンの吸着に使用した後に1M-HClにて鉄イオンを溶離した後に更に鉄イオンを通液した場合でも、本来1.2ppmの鉄イオンを含む水溶液中の鉄イオン濃度が0.1ppm以下の原子吸光光度計の検出限界以下にまで低減され、これが1L近く継続していることが分かる。この結果は、当固定化タンニン製剤はタンニン若しくは広義のタンニン酸の有する機能の再生利用が可能であることを示している。このことは、同時に、タンニンがイオン交換樹脂に十分強力に固定化されていることが示された。 【0024】図3には 実施例2(図1)並びに実施例4(図2)の、それぞれ3試料の平均値をプロットして比較した。 【0025】図3に示される通り、2つの平均値曲線の間にわずかに差(鉄イオン吸着総量にして5.4%)は見られるものの、固定化タンニン製剤を繰り返し使用した場合でも鉄イオンの吸着機能は十分に保持されていることが示されている。すなわち、本製剤に於けるイオン交換樹脂へのタンニンの担持方法は実際の機能に於いて充分に有効であることが示された。
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| 【出願人】 |
【識別番号】398045865 【氏名又は名称】室町ケミカル株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年6月7日(2001.6.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100063897 【弁理士】 【氏名又は名称】古谷 馨 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−361077(P2002−361077A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月17日(2002.12.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−172251(P2001−172251) |
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