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【発明の名称】 一酸化炭素吸着剤およびその製造方法
【発明者】 【氏名】正岡 弘光

【氏名】加藤 勝博

【氏名】宗像 浩

【氏名】熊谷 仁志

【要約】 【課題】CO−PSAプロセス(プレッシャー・スイング・アドソープションによる一酸化炭素吸着分離法)に使用する、担体に銅化合物を担持させた吸着剤において、担体の比表面積が広く、銅化合物の分散性が高くて、多量に担持させた場合も有効に利用できるとともに、吸着剤から銅化合物が離脱することのないような吸着剤と、その製造方法を提供すること。

【解決手段】アルミニウム・ホウ素複合酸化物を含有するアルミナ−ボリア担体に、一酸化炭素吸着活性を有する銅化合物、とくにCu(I)を担持してなる吸着剤。担体中のボリアは1〜25質量%、残りがアルミナで構成されたものが好適であり、銅化合物の担持する量は、担体の表面積1m2当たり、Cu金属換算で2.0×10−6〜8.0×10−6グラム原子が適切である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルミニウム・ホウ素複合酸化物を含有するアルミナ−ボリア担体に、一酸化炭素吸着活性を有する銅化合物を担持させてなることを特徴とする一酸化炭素吸着剤。
【請求項2】 吸着剤の比表面積が150〜350m/gである請求項1の一酸化炭素吸着剤。
【請求項3】 アルミナ−ボリア担体が担持する銅化合物の量が、担体の表面積1m当たり、Cu金属換算で、2.0×10−6〜8.0×10−6グラム原子である請求項1または2の一酸化炭素吸着剤。
【請求項4】 請求項1〜3に記載の一酸化炭素吸着剤を製造する方法であって、アルミニウム・ホウ素複合酸化物を含有するアルミナ−ボリア担体として、ボリアを1〜25質量%含有し、残りをアルミナが占め、250〜500m/gの比表面積を有するものを用い、これに銅化合物を担持させることを特徴とする一酸化炭素吸着剤の製造方法。
【請求項5】 アルミナ−ボリア担体に、銅化合物を混合するか、または銅化合物を溶解もしくは分散させた溶液を含浸させることによって銅化合物を担体に担持させた後、還元性ガスまたは不活性ガスの雰囲気下に熱処理するか、または還元性物質の溶液に接触させてから溶液の溶媒を除去処理することによって活性化処理を行なうことからなる請求項4の一酸化炭素吸着剤の製造方法。
【請求項6】 還元性ガスの雰囲気下の熱処理を温度100〜300℃で行なうか、または不活性ガス雰囲気下の熱処理を温度150〜400℃で行なう請求項5の一酸化炭素吸着剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆる「CO−PSAプロセス」に使用する一酸化炭素吸着剤に関し、担体に一酸化炭素吸着活性を有する銅化合物を担持させた吸着剤において、高い吸着性能を有する吸着剤と、その製造方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】CO−PSAプロセスは、メタノール分解ガスや転炉ガスに代表される、H,CO,CO,CH,Nなどの混合ガスから、高純度のCOを、圧力変動式吸着分離法(Pressure Swing Adsorption:PSA)によって分離回収する方法の一つである。COは他の共存成分と、分子径、分子量においてあまり差がないため、分子間の物理吸着力の差ではなく、化学吸着力の差を利用して分離回収される。
【0003】加圧条件下でCOを選択的に吸着した後、減圧条件下で吸着したCOを容易に脱着させ回収するためには、ある程度弱い化学吸着によってCOと可逆吸着する、Cu(I)が最も有効な吸着活性種であることが知られている。したがって、COを効率的に、かつ高純度で回収するためには、CO吸着に関与するCu(I)量を増やし、COをより多量に、かつ選択的に吸着させることが必要である。そのためには、高比表面積の担体にCu(I)種を高度に分散させることが、最も有効な方法である。
【0004】この観点から、高比表面積の担体にCu(I)化合物を担持させ、またはCu(II)化合物を担持させたのちこれをCu(I)に還元し、加熱による活性化処理を行なうことによってCO吸着量を増大させた吸着剤がすでに提案されており、たとえば銅担持シリカ、銅担持アルミナまたは銅担持シリカ−アルミナ系(代表的には、特許第1623870号)、銅担持活性炭系(たとえば特許第1696677号)、銅担持ゼオライト系(たとえば特許第1531878号)がある。
【0005】しかしながら、シリカまたはシリカ−アルミナ担体を用いたものは、シリカ表面と銅化合物の親和性が低いため、銅化合物を多量に担持することはできてもその分散性が低く、CO吸着量をそれ以上改善することは難しい。そのため、CO−PSA装置の吸着・脱着の工程の切り替え頻度が高くなることが多い。また、銅の分散性が低いため、過剰に担持された銅化合物の一部が、吸着剤から粉体となって離脱することがある。
【0006】ゼオライトまたは活性炭を担体に用いた吸着剤においては、一般に、CO,N,CHなど非極性の共存成分が吸着される比率が増える結果、回収ガス中のCO純度は低く、一段で高純度のCOを回収することは困難な場合が多い。したがって、CO−PSA装置の前段でCOなどの不純物を除去する操作を行なう必要がある。回収ガスのCO純度を高めようとしてCOパージ量を多くすると、CO回収率は低下する。また、ゼオライトの成型には通常バインダーが用いられるため、その分吸着剤の量が減って、CO吸着量は低いものになる。こうした問題は、CO−PSA吸着剤にとって重要である。
【0007】アルミナ担体(アルミナは一般に、γ−またはη−)は、上に挙げたような問題が他の担体に比べて小さいため、使い勝手にすぐれている。その反面、市販されている工業製品の比表面積は、一般に100〜300m/g、最大でも約350m/gと、他の担体に比べて低いため、ある限度を超えて銅化合物の担持量を増大させても、銅化合物の分散状態を悪化させるだけで、逆にCO吸着量は低下することになる。したがって、CO吸着に有効な銅化合物の担持量を増大させ、CO吸着量を向上させるためには、吸着剤またはその担体の比表面積を増大させることや、Cu(I)種の高度の分散化を達成することが必要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、CO−PSAプロセスに使用する、担体に銅化合物を担持させた吸着剤において、担体の比表面積が広く、銅化合物の分散性が高くて、多量に担持させた場合も有効に利用できるとともに、銅化合物が吸着剤から離脱することのないような吸着剤と、その製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本発明の一酸化炭素吸着剤は、アルミニウム・ホウ素複合酸化物を含有するアルミナ−ボリア担体に、一酸化炭素吸着活性を有する銅化合物を担持してなることを特徴とする。
【0010】この発明は、アルミニウムとホウ素との複合酸化物を含有するアルミナ−ボリア担体(以下、単に「アルミナ−ボリア」という)が、担体としてはアルミナと同様の利点を有する上に、同じアルミナ原料から製造したアルミナ担体に比べて比表面積が大きくなるため、同じ量の銅化合物であればより分散性よく担持でき、さらには、より多くの銅化合物を良好な分散状態で担持することができ、その結果、従来の銅担持アルミナ系吸着剤に比べて、著しくCO吸着量の高いCO−PSA吸着剤となることを見出して完成したものである。
【0011】
【発明の実施形態】<アルミナ−ボリアの製造>本発明の吸着剤の原料とするアルミナ−ボリアの製造方法は、要するに所望の高い比表面積をもったものが得られるのであれば、とくに制限はない。既知の手段としては、湿式混練法、乾式混練法、共沈法、均一沈殿法、ゾルゲル法などが挙げられ、工業的な製造が可能な方法が好ましい。具体的にいえば、アルミナおよびボリア、または、それらのゾルまたはゲルを混練−成型−乾燥−焼成する工程や、アルミナまたはアルミナ前駆体とホウ素化合物とを混合し、混練−成型−乾燥−焼成する工程などである。ホウ素化合物としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、ホウ酸アンモニウム、硼砂、三塩化ホウ素などが使用できる。
【0012】アルミナとボリアとの配合比は、アルミナAlおよびボリアBとして、担体基準で、1〜25質量%をボリアが占め、残りがアルミナである割合が好ましい。ボリアが1質量%より少なくては、複合酸化物を使用する効果が十分に得られない。一方、25質量%より多いと、混練物にひび割れが発生しやすくなって成形操作に困難が生じたり、比表面積が低くなったりする。とくに好適な範囲は、ボリア5〜20質量%である。
【0013】アルミナ−ボリアの焼成温度は、800℃以下が好ましい。800℃より高い温度で焼成すると、焼結が起こって表面積の減少や細孔径の縮小を招くことがある。低温度の側はとくに限定はないが、焼成によって複合酸化物の構造を安定させるとともに、銅化合物の担持に当たっても、また使用中も安定な状態が維持できるように、担持操作や吸着剤の活性化処理操作、およびCO−PSA運転時において吸着剤がさらされる最も高い温度と、同等か、またはそれ以上の温度とすることが好ましい。実際には、おおよそ400℃以上とすべきことになる。
【0014】上述した製造方法により得られるアルミナ−ボリアの比表面積は、250〜500m/gであることが好ましい。250m/g未満では、一般の市販アルミナと異ならず、十分な量の銅化合物を担持させることができないため、高い吸着性能をもったCO吸着剤を得ることができない。一方、500m/gを超える広い表面積の担体は、その細孔径が小さすぎて、細孔内に取り込まれた共存成分が脱着しにくくなる結果、回収ガスのCO純度が低くなる。
【0015】得られる担体の比表面積が250m2/gを下回らないのであれば、アルミナおよびボリアだけでなく、カオリンのようなバインダーを少量添加しても構わない。それにより、成形性を改善するとともに、担体および製品吸着剤の破壊強度を向上させることができる。
【0016】<銅化合物の担持>このようにして製造してアルミナ−ボリアに銅化合物を担持させる方法もまた、所望する量の銅化合物を担持させることができる限り、とくに制約はない。既知の方法には、含浸法、イオン交換法、混練法などがある。銅化合物が担体粒子の内部まで均一に分布した、いわゆる「ユニフォーム」型の担持ができ、工業的生産に適する方法が好適である。
【0017】銅化合物は、所定量の担持ができるものであれば、任意の化合物が使用できる。たとえば、酸化物、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、さらには酢酸塩などの有機酸塩などから選択すればよい。とくに塩化物および硝酸塩が好ましい。これらの銅化合物を溶液の形でアルミナ−ボリアに混練または含浸させる場合、溶媒は、使用する銅化合物を溶解できるものであれば任意である。水、塩酸等の酸、アルコール、ケトンなどが溶媒として挙げられる。
【0018】担持の操作の回数は、所定量を担持させる上で必要であれば、2回または3回以上行なってもよいが、製造コストを考慮すると、できるだけ少ないことが好ましく、1回が最良である。複数回の担持操作を行なう場合、異なった操作を組み合わせても構わないことはもちろんである。
【0019】銅化合物の担持量は、Cu金属換算で、担体の表面積1m当たり、2.0×10−6〜8.0×10−6グラム原子の範囲が好ましい。この値は、比表面積がたとえば、比表面積が350m/gのアルミナ−ボリア担体に塩化銅(II)を担持させるのであれば、担持量は16.5〜44.5質量%に相当する。上記の下限値より少なければ、吸着活性点となるCu(I)種の絶対量が少ないため吸着可能なCO量が低い。上限値を超えると、銅化合物の分散度が低下して、かえって吸着性能が劣るだけでなく、過剰に担持された銅化合物の一部が、粉体として離脱してくる。
【0020】吸着剤製品の形状は、任意の成形体の形状をとることができるが、CO−PSA装置で使用するにあたって、吸着剤をその内部まで有効に活用することができるとともに、十分な破壊強度を有し、かつ圧力損失を最小限に止める形状が望ましい。サイズは、粒径0.5〜6mm、とくに1〜4mmが好ましい。
【0021】<吸着剤の活性化処理>以上のようにして製造された吸着剤は、活性化処理をへて使用可能なものとなる。活性化は、担持された銅化合物のイオン価に応じて、下記の方法から選ぶ。
【0022】Cu(I)を担持した吸着剤に対しては、Cu(I)の酸化を防ぐために、乾燥処理は窒素やヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で行ない、加熱による活性化処理は、水素や一酸化炭素等の還元性ガス、それらを窒素で希釈したガス、または窒素やヘリウム等の不活性ガスの雰囲気下に行なうことが好ましい。不活性ガス雰囲気下での、加熱による活性化処理の温度は、150〜400℃が好ましい。
【0023】Cu(II)を担持した吸着剤は、Cu(II)をCu(I)に還元処理する必要がある。還元方法はとりたてて限定されるものではないが、工業的製造を考慮すると、水素や一酸化炭素のような還元性ガス、またはそれらを窒素やヘリウムで希釈したガスによる乾式還元、さもなければ、ヒドラジン、シュウ酸等による湿式還元が好ましい。還元操作は、Cu(II)が部分的に還元されてCu(I)となる条件であれば、これも制限はないが、価数ゼロのCu金属まで還元されることは防ぐ必要があるから、乾式還元の場合は100〜300℃、好ましくは150〜250℃で実施するのが望ましい。不活性ガス雰囲気下での、加熱による活性化処理の温度は、この場合も、150〜400℃が好ましい。
【0024】<吸着剤の表面積>本発明の吸着剤は、比表面積が150〜350m/gの範囲にあることが好ましい。このような吸着剤は、上述の製造方法に従って、比表面積が250〜500m/gの範囲にあるアルミナ−ボリア担体を用意して吸着剤の製造に進むことにより、容易に得られる。吸着剤の比表面積が150m/gに達しないものは、担体自体の比表面積が低いにもかかわらず、そこに多量の銅化合物が担持されている状態であるから、CO吸着に有効に作用する銅化合物の量は少ない。吸着剤の比表面積が350m/gより大きいものは、担体について述べたように、吸着剤の細孔径は小さくて、細孔内に取り込まれた共存成分が脱着しにくいから、回収ガスのCO純度が低下して好ましくない。
【0025】
【実施例】以下の実施例において、各種の測定は、それぞれ下記の方法により行なった。
(担体および吸着剤の組成) ICP分析(比表面積および細孔容積) 窒素吸着法で測定し、BET式で算出(担体の破壊強度) 木屋式破壊強度測定装置を用いた。25個の平均(CO平衡吸着量) 活性化処理を行なった吸着剤の20℃、760TorrにおけるCO平衡吸着量。全自動ガス吸着装置「BELSORP-HP」(日本ベル製)を用いて測定した。
(脱着ガスのCO純度測定) 図1に概要を示す、実装置を模擬した固定床流通式実験装置で行なった。
【0026】実験は、銅の酸化段階に応じて、上記の平衡吸着量測定に先立つ活性化処理の方法と同じ方法で活性化させた吸着剤を、内径10mmφ、長さ20cmの吸着管に充填し、CO−PSAの実プロセス4工程(吸着→洗浄→脱気→昇圧)に相当する操作を、この順に行なった。各工程は、次のとおりである。
【0027】(吸着工程) 系内を窒素雰囲気にした吸着管に、下記の組成をもつメタノール分解ガス相当の混合ガスを、H:66.63容量% CO:32.86容量%、CO:0.29容量% CH:0.22容量%0.5MPaG、50℃、線速度19cm/s(標準状態)で、3分間通気した。
(洗浄工程) パージ比=1/2相当量のCOガス(純度99.95容量%以上)を1.5分間で流した。ここで「パージ比」とは、(洗浄工程で使用したCOガス量)/(充填した吸着剤から脱気工程で得られるCO脱着量)の比である。
(脱気工程) 真空ポンプで10Torrまでに減圧して、吸着COを脱着させた。
(昇圧工程) 系内を上記の混合ガスで置換し、0MPaGに昇圧した。
【0028】上記の4工程を1回目のPSA運転とした。続けて、同じ条件で、吸着工程から始まる同じ操作を繰り返し、この2回目の脱気工程で得られた回収ガスをガスクロマトグラフィで定量分析して、脱着ガスのCO純度を測定することにより、吸着剤の性能を評価した。
【0029】
【実施例1】アルミナゾルにオルトホウ酸(以下、単に「ホウ酸」という)の水溶液を混合して押出成形し、乾燥−焼成をへて、外径1/16インチのシリンダー形状をもつアルミナ−ボリアを製造した。このときの焼成温度は600℃であった。このアルミナ−ボリアを「AB−1」とする。AB−1は、ボリア含有量14.8質量%、比表面積は349m2/gであり、破壊強度は88.2N/個であった。
【0030】AB−1のX線回折分析を行なった。得られたチャートを、図2に示す。このチャートには、AlやBのピーク以外のピークが検出されることから、ホウ素とアルミニウムとの間に化学結合が生じ、Al−BやAl−O−Bの結合を含むAlで表される複合酸化物が生成していることがうかがわれる。ここで、x,yおよびzは定数であって、zはほぼ1.5(x+y)である。
【0031】このAB−1を担体として、以下のようにして吸着剤を製造した。まず濃度38質量%の塩化銅(II)水溶液を、AB−1が吸収する限界の量まで滴下しながら加えた後、液に浸し、4時間撹拌して含浸させた。次に、10〜20Torrに減圧した雰囲気下に50℃で2時間、さらに110℃で一晩乾燥させ、塩化銅(II)を、Cu金属換算で、AB−1の表面積1m当たり4.3×10−6グラム原子担持させた。つづいて、窒素気流下に350℃で乾燥した後、水素気流下に230℃で還元処理を行ない、再び窒素気流下で350℃に熱処理して、水素による乾式還元処理を行なった。
【0032】このようにして得られた吸着剤は、比表面積が251m2/g、CO平衡吸着量は31.8cm3/gであった。これを、「COA−1」とする。脱着ガスのCO純度測定を行ったところ、回収ガスのCO純度は99.84容量%であった。
【0033】
【実施例2】実施例1と同じアルミナゾルおよびホウ酸水溶液を使用し、実施例1と同じ方法で、ただしホウ酸の割合を減らして、アルミナ−ボリアを製造した。このアルミナ−ボリアを「AB−2」とする。AB−2のボリア含有量は5.0質量%、比表面積は314m2/gであった。
【0034】このAB−2を担体とし、濃度40質量%の塩化銅(II)水溶液を用い、実施例1と同じ方法で、塩化銅(II)をCu金属換算でAB−2の表面積1m2当たり4.8×10−6グラム原子担持させ、実施例1と同じ還元処理を行なって、吸着剤「COA−2」を得た。COA−2の比表面積は233m2/g、CO平衡吸着量は27.1cm3/gであった。
【0035】
【実施例3】実施例1と同じアルミナゾルおよびホウ酸水溶液を使用し、実施例1と同じ方法で、ただしホウ酸の割合を増して、アルミナ−ボリアを製造した。このアルミナ−ボリアを「AB−3」とする。AB−3のボリア含有量は19.2質量%、比表面積は350m2/gであった。
【0036】このAB−3を担体として、濃度39質量%の塩化銅(II)水溶液を用い、実施例1と同じ方法で、塩化銅(II)をCu金属換算でAB−3の表面積1m2当たり4.3×10−6グラム原子担持させ、実施例1と同じ還元処理を行なって、吸着剤「COA−3」を得た。COA−2の比表面積は245m2/g、CO平衡吸着量は32.8cm3/gであった。
【0037】
【実施例4】アルミナ水和物とホウ酸水溶液とを混合し、焼成温度を450℃としたほかは実施例1と同じ操作を行なって、外径1/16インチのシリンダー形状のアルミナ−ボリアを製造した。このアルミナ−ボリアを「AB−4」とする。AB−4のボリア混合量は9.8質量%、比表面積は420m2/g、破壊強度は88.2N/個であった。
【0038】AB−4を、過剰量の濃度35質量%の塩化銅(II)水溶液に浸漬し、4時間撹拌した。過剰な塩化銅(II)水溶液を濾過分離し、10〜20Torrの減圧下に、50℃で2時間おいた後、110℃で一晩乾燥させ、塩化銅(II)を、Cu金属換算でAB−4の表面積1m2当たり4.5×10−6グラム原子担持させ、実施例1と同じ還元処理を行なって、吸着剤「COA−4」を得た。COA−4の比表面積は256m2/g、CO平衡吸着量は40.4cm3/gであった。
【0039】
【実施例5】AB−4への銅化合物の担持量を、実施例4より減少させた。濃度24質量%の塩化銅(II)水溶液を用い、AB−4に対し、実施例4と同じ方法で、塩化銅(II)を、Cu金属換算で表面積1m2当たり2.1×10−6グラム原子担持させ、実施例1と同じ還元処理を行なって、吸着剤「COA−5」を得た。COA−5の比表面積は304m2/g、CO平衡吸着量は34.0cm3/gであった。
【0040】
【実施例6】AB−4への銅化合物の担持量を、実施例4より増大させた。濃度42質量%の塩化銅(II)水溶液を用い、AB−4に対し、実施例4と同じ方法で、塩化銅(II)を、Cu金属換算で表面積1m2当たり6.8×10−6グラム原子担持させ、実施例1と同じ還元処理を行なって、吸着剤「COA−6」を得た。COA−6の比表面積は224m2/g、CO平衡吸着量は36.5cm3/gであった。
【0041】
【実施例7】アルミナ−ボリアに担持させる銅化合物を、塩化銅(II)から硝酸銅に替えた。濃度51質量%の硝酸銅水溶液を用い、AB−4に、実施例1と同じ方法で、硝酸銅をCu金属換算で表面積1m2当たり3.2×10−6グラム原子担持させた。これを、窒素気流下に350℃で乾燥させた後、一酸化炭素気流下に250℃で還元処理を行ない、再び窒素気流下に350℃で熱処理することにより一酸化炭素による乾式還元処理を行なって、「COA−7」を得た。COA−7の比表面積は298m2/g、CO平衡吸着量は26.4cm3/gであった。
【0042】
【実施例8】アルミナ−ボリアに担持させる銅化合物として、塩化銅(II)に代えて塩化銅(I)を使用した。AB−4を担体として、過剰量の、濃度6質量%の塩化銅(I)の希塩酸水溶液を用い、実施例1と同じ方法で処理して、Cu金属換算で、AB−4の表面積1m2当たり2.6×10−6グラム原子の塩化銅(I)を担持させた。これを、窒素ガス雰囲気下に300℃で活性化処理し、吸着剤「COA−8」を得た。COA−8の比表面積は302m2/g、CO平衡吸着量は27.0cm3/gであった。
【0043】
【比較例1】AB−1の製造に使用したアルミナゾルを単独で使用し、AB−1と同じ方法で成形・焼成を行なって、アルミナ担体を製造した。これを、「Al−1」とする。Al−1のアルミナ純度は99.7質量%であり、ボリアは検出されない。比表面積は214m2/g、破壊強度は22.5N/個であった。
【0044】このAl−1を担体として使用し、実施例1と同じ方法で塩化銅(II)を、Cu金属換算でAl−1の表面積1m2当たり7.0×10−6グラム原子担持させ、実施例1と同じ還元処理を行ない、吸着剤「COA−9」を得た。COA−9の比表面積は145m2/gに過ぎず、CO平衡吸着量は17.1cm3/gに止まった。脱着ガスを分析したところ、回収ガスのCO純度は99.59容量%であった。
【0045】
【比較例2】AB−4の製造に使用したアルミナ水和物を単独で使用し、AB−4と同じ方法で成形・焼成を行なって、アルミナ担体を製造した。これを、「Al−2」とする。Al−2のアルミナ純度は99.8質量%であり、ボリアは検出されない。比表面積は254m2/gであった。
【0046】このAl−2を担体として使用し、濃度35質量%の塩化銅(II)水溶液を用い、実施例1と同じ方法で塩化銅(II)を、Cu金属換算でAl−1の表面積1m2当たり5.9×10−6グラム原子担持させ、実施例1と同じ還元処理を行ない、吸着剤「COA−10」を得た。COA−10の比表面積は172m2/gであり、CO平衡吸着量は24.3cm3/gであった。
【0047】実施例1〜7と比較例1および2との対比から、同一のアルミナ前駆体を使用し、同一の方法で担体を製造しても、アルミナ−ボリア担体はアルミナ担体よりも、かなり大きい比表面積をもつことがわかる。その結果、銅化合物の担持量、および吸着剤の製造方法が同様であっても、アルミナ−ボリア担体を使用した本発明の吸着剤の方が、アルミナ担体の吸着剤よりもCO平衡吸着量が顕著に大きく、かつ、脱着ガスのCO純度も高い。吸着剤の実用性能として重要な担体の破壊強度も、本発明によれば88.2N/個と、アルミナ担体の22.5N/個に比べて、明確に向上している。
【0048】
【比較例3】市販の直径2〜4mmの球状アルミナを、担体「Al−3」として使用した。Al−3のアルミナ純度は99.7質量%であって、ボリアは含有しない。比表面積は352m2/gであって、この値はAB−1やAB−3のそれとほぼ同じである。このAl−3を担体として、濃度39質量%の塩化銅(II)水溶液を用い、実施例1と同じ方法で塩化銅(II)を、Cu金属換算でAl−3の表面積1m2当たり4.3×10−6グラム原子担持させ、実施例1と同じ還元処理を行ない、吸着剤「COA−11」を得た。COA−11の比表面積は216m2/gに達していたが、CO平衡吸着量は25.1cm3/gであった。
【0049】比較例3は、比表面積がほぼ同じアルミナ担体を使用して、銅化合物の担持量および吸着剤の製造方法を同様にした場合でも、CO平衡吸着量はアルミナ−ボリア担体の方がアルミナ担体よりも大きいことを示している。これは、銅化合物の分散性が、アルミナ−ボリア担体においてすぐれているためと考えられる。
【0050】
【比較例4】アルミナ−ボリア担体AB−1を対象に、実施例1と同じ方法で、同じ量(表面積1m当たり4.3×10−6グラム原子)の塩化銅(II)を担持させた。つづいて次の処理を行なって、■窒素気流下に350℃に加熱する乾燥、■水素気流下に室温で行なう還元、および■再び窒素気流下に350℃に加熱する処理吸着剤「COA−12」を得た。COA−12の比表面積は253m2/gに達していたが、CO平衡吸着量はわずか6.6cm3/gであった。
【0051】
【比較例5】比較例4で用意したAB−1に、実施例1と同じ量(表面積1m当たり4.3×10−6グラム原子)の塩化銅(II)を担持させたものを対象に、次の処理を行なって、■窒素気流下に350℃に加熱する乾燥、■水素気流下に350℃で行なう還元、および■再び窒素気流下に350℃に加熱する処理吸着剤「COA−13」を得た。COA−13の比表面積は250m2/gに達していたが、CO平衡吸着量は7.5cm3/gしかなかった。
【0052】
【比較例6】比較例4で用意したAB−1に、実施例1と同じ量(表面積1m当たり4.3×10−6グラム原子)の塩化銅(II)を担持させたものを対象にする点は、比較例5と同じであるが、これに次の処理を加えて、■空気気流下に350℃に加熱する乾燥、■水素気流下に230℃で行なう還元、および■窒素気流下に350℃に加熱する処理、吸着剤「COA−14」を得た。COA−14の比表面積は251m2/gに達していたが、CO平衡吸着量は、この場合も10.4cm3/gでしかなかった。
【0053】実施例1〜7と比較例4〜6との対比から、本発明で見出した条件で吸着剤の活性化処理を行なわなければ、得られる吸着剤のCO平衡吸着量は著しく小さいものであることがわかる。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明で採用したアルミナ−ボリア担体は、同じアルミナ前駆体からのアルミナ担体に比べて、担体の比表面積が明確に増大し、その結果、アルミナ担体より多量の銅化合物を効率的に担持することができ、同一の担持量においても、より高度に分散した状態で担持することができる。このため、アルミナ−ボリア担体から製造した本発明の吸着剤は、高いCO吸着平衡量が示すように、CO吸着性能が顕著に改善されている。
【0055】担持された銅化合物が高度に分散した状態であるということは、銅化合物が吸着剤から離脱して、機器の閉塞などのトラブルを引き起こす恐れがないことをも意味する。アルミナ−ボリア担体はまた、すぐれた破壊強度を示し、工業装置に充填使用したときにつぶれる心配がなく、したがって圧力損失の増大を招くことがない。
【出願人】 【識別番号】000105567
【氏名又は名称】コスモ石油株式会社
【出願日】 平成13年6月1日(2001.6.1)
【代理人】 【識別番号】100070161
【弁理士】
【氏名又は名称】須賀 総夫
【公開番号】 特開2002−361075(P2002−361075A)
【公開日】 平成14年12月17日(2002.12.17)
【出願番号】 特願2001−167152(P2001−167152)