| 【発明の名称】 |
アルミニウム合金製真空装置および真空容器 |
| 【発明者】 |
【氏名】大田 暢彦
【氏名】池田 満昭
【氏名】上村 浩司
【氏名】品部 慎治
【氏名】坪根 嘉房
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| 【要約】 |
【課題】ベーキング時間が短かく、短時間で超高真空が得られる寿命の真空装置を得る。
【解決手段】本発明のアルミニウム合金製真空装置は、真空側表面に形成された陽極酸化皮膜33の微細孔中に充填された陰電極と、陽極酸化皮膜の表面に被覆され導電性物質からなる引出し電極37とを有するアルミニウム合金製真空容器3と、陰電極に通電する陰電極用端子41と、引出し電極に通電する引出し電極用端子42と、両電極に電圧を印加する電源6とからなるもので、引出し電極は、直列または並列に接続された少なくとも2個の領域を有するグループを少なくとも2つ備え、このグループはそれぞれ個別の引出し電極用端子に接続している。また、陰電極および引出し電極を形成後,封孔処理によって形成される微細孔内の封孔処理部の内径をb、微細孔の底部付近の内径をaとしたとき微細孔内径aに対する封孔処理部の内径bの比が0.05〜0.9としたものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】真空側表面に形成された陽極酸化皮膜の微細孔中に充填された電界放射によって電子を放出する陰電極と、前記陽極酸化皮膜の表面に被覆され導電性物質からなる引出し電極とを有するアルミニウム合金製真空容器と、前記陰電極に通電する陰電極用端子と、前記引出し電極に通電する引出し電極用端子と、前記両電極に電圧を印加する電源とからなるアルミニウム合金製真空装置において、前記引出し電極は、直列または並列に接続された少なくとも2個の領域を有するグループを少なくとも2つ備え、前記グループはそれぞれ個別の前記引出し電極用端子に接続されたことを特徴とするアルミニウム合金製真空装置。 【請求項2】真空側表面に形成された陽極酸化皮膜の微細孔中に充填された電界放射によって電子を放出する陰電極と、前記陽極酸化皮膜の表面に被覆された導電性物質からなる引出し電極とが形成されているアルミニウム合金製真空容器において、前記陰電極および前記引出し電極を形成後,封孔処理によって形成される前記微細孔内の封孔処理部の内径をb、前記微細孔の底部付近の内径をaとしたとき、微細孔内径aに対する封孔処理部の内径bの比が0.05〜0.9であることを特徴とするアルミニウム合金製真空容器。 【請求項3】前記陰電極と陰電極用端子間のバリア層が10nm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のアルミニウム合金製真空容器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、真空熱処理炉、各種分析装置、加速器、半導体製造装置等に使用される真空装置に関し、特に真空容器全体が真空ポンプとしての機能を有するアルミニウム合金製の真空装置に関する。 【0002】 【従来の技術】小型軽量化を目的としてアルミニウム合金が真空容器に使用されるようになった。真空容器として使用する場合、排気中にベーキングと呼ばれる加熱脱ガス処理が施される。ベーキングを行う理由は、真空容器をポンプで排気するだけでは、高真空に到達するまでに長時間を要するためである。圧力は真空容器中の残存ガス量によって決まるが、その残存ガスのほとんどは、真空容器表面に吸着した水分などのガスの放出が主な原因である。真空容器表面の吸着ガスは、真空容器を加熱することにより、ガス分子のエネルギーを容器との結合エネルギーより大きくして脱離させ、短時間で高真空に到達させることが可能となる。アルミニウム合金製真空容器の場合、ベーキング温度が高すぎると変形が生じるため、通常リボンヒータを真空容器に巻いて約150 ℃以下に加熱される。リボンヒータを装着してベーキングする方法は、装着に手間がかかる上、温度分布が悪いという問題が有った。この対策として、リボンヒータの装着が不要な真空容器が提案された(特開平10-228880 )。図7は、このアルミニウム合金製真空装置を示す断面図、図8は図7の真空容器の断面を拡大した断面の構造を示す模式図である。図において、1はアルミニウム合金製真空容器3を搭載する架台、2は絶縁体、31は基体、32はバリヤ層、33は陽極酸化皮膜(真空側)、34は陽極酸化皮膜(大気側)、35は微細孔、36は陰電極、37は引出し電極である。また、41は陰電極用端子、42は引出し電極用端子、5はイオン電極、6は電源、7は熱電対である。アルミニウム合金製真空容器3は、真空側の陽極酸化皮膜33、大気側の陽極酸化皮膜34からなる。真空側表面に形成された陽極酸化皮膜33の中の微細孔35中に金属を針状に含浸させ、この針状の陰電極36を形成している。陰電極用端子41に電源6から電圧を印加すると、陰電極36から電子が放出する。この時流れる電流によってジュール熱が発生し真空容器が加熱されて、ベーキングが行なわれる。さらに、引出し電極用端子42に電圧を印加することにより、陰電極36から放出された電子を引き出すので、電流が流れやすくなる。また、イオン電極5に電圧を印加することにより、発生した電子によってイオン化されたガス分子を回収するので、短時間に高真空が得られる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のアルミニウム合金製真空装置においては、発生したジュール熱は熱伝導度の低い陽極酸化皮膜を通して真空容器の真空側表面に伝わるために、真空側表面の温度上昇は遅くなる。その結果、真空容器の真空側表面に吸着しているガスが逃げ難く排気時間が長くなる。また、ベーキング中は陰電極である針状金属に大電流を流すために長期間使用すると、針状金属の劣化による排気能力が低下するといった問題もある。また、陰電極である針状金属と微細孔の間に隙間が有るので、この部分にガスが吸着する。このために,電圧印加によるベーキングを行なってもガスが逃げ難く、長時間のベーキングが必要となる。その結果、短時間で超高真空が得られないといった問題があった。さらにバリア層が十分厚い場合には、MIM(Metal-Insulator-Metal)構造となるため、極めて微量の電流しか得られず、また十分な電流を得ようとすれば引き出し電圧を極めて高くする必要があり実用性を極めて狭くしていた。そこで、本発明はベーキング時間が短かく、短時間で超高真空が得られる高寿命の真空装置を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため、本発明は真空側表面に形成された陽極酸化皮膜の微細孔中に充填された電界放射によって電子を放出する陰電極と、前記陽極酸化皮膜の表面に被覆され導電性物質からなる引出し電極とを有するアルミニウム合金製真空容器と、前記陰電極に通電する陰電極用端子と、前記引出し電極に通電する引出し電極用端子と、前記両電極に電圧を印加する電源とからなるアルミニウム合金製真空装置において、前記引出し電極は、直列または並列に接続された少なくとも2個の領域を有するグループを少なくとも2つ備え、前記グループはそれぞれ個別の前記引出し電極用端子に接続された構成にしている。この構成により、直接、引出し電極を加熱できるので、真空容器真空側の表面温度がすぐに高くなりベーキング時間の短縮の高効率化がはかれる。また,陰電極の針状金属に電流を流すことなくベーキングできるので針状金属の劣化が起こらずに排気能力も向上する。また、真空側表面に形成された陽極酸化皮膜の微細孔中に充填された電界放射によって電子を放出する陰電極と、前記陽極酸化皮膜の表面に被覆された導電性物質からなる引出し電極とが形成されているアルミニウム合金製真空容器において、前記陰電極および前記引出し電極を形成後,封孔処理によって形成される前記微細孔内の封孔処理部の内径をb、前記微細孔の底部付近の内径をaとしたとき、微細孔内径aに対する封孔処理部の内径bの比を0.05〜0.9としている。この構成により、微細孔中の陰電極と基体若しくは引出し電極との隙間が無くなるので、微細孔部へのガスの吸着も無くなり、排気能力が向上する。さらに、前記陰電極用端子と接するバリア層を極めて薄くすることにより、放出電子の量が増えるので排気すべきイオン化ガス分子量が増え、前述の効果をより良くし、排気がより速くなる。 【0005】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を実施例に示す図に基づいて詳細に説明する。 (第1実施例)本発明の第1実施例を図1〜図2に示す。図1は本発明のアルミニウム合金製真空装置を示す断面図、図2は、図1のアルミニウム合金製真空容器の断面Xの部分を拡大した模式図である。図において、61は陰電極に電圧を印加するためのスイッチ、62は引出し電極に電流を流すためのスイッチである。他の符号は従来技術で述べた部品と同じであるため説明を省略する。基体31はA5052のアルミニウム合金からなり、その内外周面に陽極酸化処理を施している。陽極酸化層の厚さは10μmで、微細孔35の直径は500オングストロームである。陰電極36は、真空側の陽極酸化皮膜33の微細孔35の中に金属鉄を析出させて形成した。引出し電極37は、陽極酸化皮膜33の上にアルミニウム皮膜を真空中で線爆溶射して形成した。鉄の条でマスクして10個の領域に分割し、5個を1グループとしそれぞれ直列になるように接続している。アルミニウム合金製真空容器3を架台1の上に設けた絶縁体2の上に配置して、真空排気装置を組み立てた。引出し電極用端子42は、基体31などから絶縁して設けている。さらに、真空排気装置内の排気口の近くに、イオン回収用のイオン電極5を配置し、排気用ポンプにはロータリポンプとターボ分子ポンプを使用した。このようにして作製したアルミニウム合金製真空装置の効果を調べた。比較のため、従来と同じく分割していないアルミニウム合金製真空容器を加えた。先ず、本実施例のアルミニウム合金製真空装置を作動して1時間排気した後、引出し電極37に印加するスイッチ62を閉じて引出し電極37に5Aの電流を流し、陰電極用端子41に−500Vの電圧を印加して真空容器内周面の温度を測定した。真空表面の温度および昇温速度を測定した。その結果を図3に示す。図3から分かるように、本実施例のアルミニウム合金製真空装置は、従来例に比べて150°Cまでの昇温時間が著しく短く、優れた効果を有することが分かる。つぎに、スイッチ62を開放し、スイッチ61を閉じて引出し電極37と陰電極36間の電位差を60V 、排気口近くのイオン電極5に600Vを印加した状態に切替えた。真空容器全体が真空ポンプとしての機能を発揮し、短時間に超高真空を得る事ができた。なお、本実施例では10個に分割した引出し電極のグループ内の各領域を直列に接続し、ベーキング時に電流を流すための電極用端子を2個としたが、これに限らずグループ内の引出し電極の各領域を並列に接続してもよいし、3個以上のグループにして電極用端子を3個以上設けてもよい。 【0006】(第2実施例)本発明の第2実施例を図4〜図5に示す。図4は本発明のアルミニウム合金製真空装置を示す断面図、図5は、図4のアルミニウム合金製真空容器の断面Yの部分を拡大した模式図である。図において、38は封孔処理形成物質である。基体31および陰電極36の材質、陽極酸化皮膜33の厚さおよび微細孔35の内径は、第1実施例と同じである。引出し電極37はニッケル皮膜を真空中で線爆溶射により形成した。封孔処理は、沸騰水中に浸漬する時間を種々変えることにより封孔処理形成物質38の皮膜厚さを変えた。処理後の皮膜断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、微細孔35中に封孔処理形成物質38であるアルミニウム酸化物の成長が確認された。TEM断面写真から封孔処理後の微細孔35の底部の孔径aに対する封孔処理部の内径の比(b/a)を測定したところ、3個の各試料についてそれぞれ0.05,0.3 ,0.9であった。封孔処理の方法は、沸騰水封孔だけでなく、蒸気封孔でもよい。作製したアルミニウム合金製真空容器3を第1実施例と同様にして真空排気装置を組み立てて効果を調べた。なお、比較のため、従来と同じ封孔処理を施していないアルミニウム合金製真空容器も加えた。先ず、本実施例の陰電極用端子41に−60V を印加し、排気口近くのイオン電極5に+600Vを印加した状態で排気時間に対する真空容器内の圧力変化を測定した。その結果、図6に示すように、ベーキング前の圧力変化は、本実施例のほうが短時間で圧力が減少しており、封孔処理の効果があることがわかった。つぎに、電源6 により−500Vの電圧を印加し、約150 ℃でベーキングを実施した。ベーキングを約5 時間実施後の圧力変化を見ても、本実施例の方が優れていることが分かる。すなわち、本実施例のものは、従来例に比べ短時間で超高真空が得られることが分かった。 (第3実施例)本発明の第3実施例について説明する。本実施例の真空装置の構造は、概観および断面構造とも第1実施例と同じである。異なる点は、バリア層32の厚さを10nmとしていることである。比較のため従来の厚さ100nmのバリア層を形成したものを準備した。第1の実施例と同様に排気駆動させ、排気特性を比較した。その結果、従来のものよりも本実施例のものは10倍程度排気速度が向上し、良好な結果であることが分かった。 (第4実施例)本発明の第4実施例について説明する。本実施例の真空装置の構造は、概観および断面構造とも第2実施例と同じである。異なる点は、バリア層32の厚さを1nm以下としていることである。比較のため従来の厚さ100nmのバリア層を形成したものを準備した。第2の実施例と同様に排気駆動させ、排気特性を比較した。その結果、従来のものよりも本実施例のものは70倍程度排気速度が向上し、良好な結果であることが分かった。 【0007】 【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、引出し電極を直列または並列に接続した少なくとも2個の領域を有するグループを少なくとも2つ備え、各グループはそれぞれ個別の引出し電極用端子に接続したので、2個以上の引出し電極用端子から直接各領域に電流を流すことができる。したがって、ベーキングのための加熱時間を短縮でき、短時間で超高真空を得ることができる。また、針状金属からなる陰電極に大電流を流さなくてベーキングできるために、陰電極の寿命も伸びる。また、陰電極および引出し電極を形成後,封孔処理によって形成される微細孔内の封孔処理部の内径をb、微細孔の底部付近の内径をaとしたとき微細孔内径aに対する封孔処理部の内径bの比を0.05〜0.9としたので、封孔処理により微細孔部に隙間がなくなる。したがって、微細孔中のガス吸着量が殆どないうえに、吸着ガスが少なく電子の放出効率も大きくなる。その結果、排気効率が向上する。さらに、陰電極と陰電極に電圧を印加する陰電極用端子間にあるバリア層を10nm以下とすることで陰電極から放出される電子の量が増えるので、排気すべきイオン化ガス分子が増加し、また陰電極に付着したガスを充分飛ばすことができるようになり、真空装置の排気速度をさらに著しく向上できる効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006622 【氏名又は名称】株式会社安川電機
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| 【出願日】 |
平成14年2月15日(2002.2.15) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−361072(P2002−361072A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月17日(2002.12.17) |
| 【出願番号】 |
特願2002−37940(P2002−37940) |
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