| 【発明の名称】 |
アルミニウム合金製真空装置および駆動方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】上村 浩司
【氏名】池田 満昭
【氏名】坪根 嘉房
【氏名】大田 暢彦
【氏名】品部 慎治
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| 【要約】 |
【課題】排気速度の速いアルミニウム合金製真空装置を得る。
【解決手段】本発明のアルミニウム合金製真空装置は、真空容器の真空側表面に形成された陽極酸化皮膜33の微細孔中に充填され電界放射によって電子を放出する陰電極と陽極酸化皮膜の表面に設けた引出し電極とが形成されているアルミニウム合金製真空容器3と、陰電極に電圧を印加するための陰電極用端子41と、引出し電極に電圧を印加する引出し電極用端子42と、陰電極および引出し電極の両極に電圧を印加する駆動電源61と、排気口付近に設けられイオンの排気を促進するイオン電極5と、イオン電極に電圧を印加するイオン電極用電源62とを有し、イオン電極に印加する電圧は周波数が5Hz以下の低周波電圧であり、かつその波形を正弦波またはパルス波としている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】真空容器の真空側表面に形成された陽極酸化皮膜の微細孔中に充填され電界放射によって電子を放出する陰電極と前記陽極酸化皮膜の表面に設けた引出し電極とが形成されているアルミニウム合金製真空容器と、前記陰電極に電圧を印加する陰電極用端子と、前記引出し電極に電圧を印加する引出し電極用端子と、前記陰電極および引出し電極の両極に電圧を印加する駆動電源とを備えたアルミニウム合金製真空装置において、排気口付近に設けられイオンの排気を促進するイオン電極と、前記イオン電極に電圧を印加するイオン電極用電源とを有し、前記イオン電極用電源は周波数が5Hz以下の低周波電圧で、かつその波形が正弦波またはパルス波を発生する機能を有することを特徴とするアルミニウム合金製真空装置。 【請求項2】前記陰電極と陰電極用端子間のバリア層の厚さを10nm以下としたことを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金製真空装置。 【請求項3】前記駆動電源は50ms以内のパルス状の電圧で、かつ300V以上の電圧を発生する機能を有することを特徴とする請求項1または2記載のアルミニウム合金製真空装置。 【請求項4】真空容器の真空側表面に形成された陽極酸化皮膜の微細孔中に充填され電界放射によって電子を放出する陰電極と前記陽極酸化皮膜の表面に設けた引出し電極とが形成されているアルミニウム合金製真空容器と、前記陰電極に電圧を印加するための陰電極用端子と、前記引出し電極に電圧を印加する引出し電極用端子と、前記陰電極および引出し電極の両極に電圧を印加する駆動電源とを備え、前記アルミニウム合金製真空容器内を真空引きし、前記陰電極用端子と引出し電極用端子間に負極性の電圧を印加して真空度を高くするアルミニウム合金製真空装置の駆動方法において、前記陰電極用端子と引出し電極用端子間に印加する電圧は、最初に50ms以内のパルス状の300V以上の電圧を少なくとも1 回印加し、つぎに定常の低電圧を印加することを特徴とするアルミニウム合金製真空装置の駆動方法。 【請求項5】排気口付近にイオンの排気を促進するイオン電極設け、前記イオン電極に5Hz以下の低周波電圧で、かつその波形が正弦波またはパルス波を電圧を印加することを特徴とする請求項4載のアルミニウム合金製真空装置の駆動方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、真空熱処理炉、各種分析装置、加速器、半導体製造装置等に使用される真空装置に関し、特に真空容器全体が真空ポンプとしての機能を有するアルミニウム合金製の真空装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、排気機能の高効率化を目的とした真空装置として、図6に示すようなものが提案されている(特開平10-228880 )。図6は、従来のアルミニウム合金製真空装置を示す断面の斜視図である。図において、1は架台、2は絶縁体、3はアルミニウム合金製真空容器である。アルミニウム合金製真空容器3は、アルミニウム合金製の基体31からなり、内外周面は陽極酸化処理を施し、陽極酸化皮膜33、34を形成している。真空側に施した陽極酸化皮膜33(図6中A部)を拡大したものを図7に示す。陽極酸化皮膜33は、基体31真空側のバリア層32のさらに真空側に形成されている。陽極酸化皮膜33に存在する微細孔35中には、電界放射を行う電極材料として金属鉄を析出させ陰電極36として用いている。さらに、陽極酸化皮膜33の真空側に、導電性の引出し電極37が全面に配設されている。引出し電極37は、陰電極36から放出された電子を引き出す。そして、陰電極36に電圧を印加する陰電極用端子41および引出し電極用端子42を設けている。なお、引出し電極用端子42は、基体31などから絶縁して設けている。陰電極用端子41および引出し電極用端子42は、駆動電源61に接続し電位を加えられるようにしている。さらに、アルミニウム合金製真空容器3内の排気口の近くに、イオン回収用のイオン電極5を配置し、同イオン電極を駆動するイオン電極用電源62を配置している。つぎに、動作について説明する。まず、アルミニウム合金製真空容器3内を、真空引きした後、駆動電源61から図8に示す駆動電圧(直流)を陰電極用端子41および引出し電極用端子42に印加する。そうすると、陰電極36から放出された電子が引出し電極37から引き出され、残存ガスと衝突してこの残存ガスをイオン化する。ほぼ、同時期にイオン電極用電源62から図9に示す直流電圧をイオン電極5に印加する。このイオン化された残存ガスは、電界の力でイオン電極5へ導かれ排気を加速し真空度が上がる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、放出した電子を残留ガスに衝突させてイオン化させる場合、例えば,水素ガスは正,酸素ガスは負イオンとなり、両極性のイオンが存在することになる。そうすると、一方の極性だけでは、一方ののイオンが効率的に排気できず、排気に時間がかかっていた。また、真空容器をセットして真空に排気し、陰電極に電圧を印加しても,電圧印加当初は電子が少ししか出ない。これは陰電極の先端に吸着したガスがなかなか離脱しないためである。電子放出までに時間がかかるために,排気に時間がかかっていた。さらにバリア層が十分厚い場合には、MIM(Metal-Insulator-Metal)構造となるため、極めて微量の電流しか得られず、また十分な電流を得ようとすれば引き出し電圧を極めて高くする必要があり実用性を極めて狭くしていた。そこで、本発明は、陰電極と引出し電極およびイオン電極への電圧印加方法を工夫することにより、また陰電極付近の層構造を工夫することにより排気速度の速いアルミニウム合金製真空装置を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明はつぎの構成にしている。 (1) 真空容器の真空側表面に形成された陽極酸化皮膜の微細孔中に充填され電界放射によって電子を放出する陰電極と前記陽極酸化皮膜の表面に設けた引出し電極とが形成されているアルミニウム合金製真空容器と、前記陰電極に電圧を印加する陰電極用端子と、前記引出し電極に電圧を印加する引出し電極用端子と、前記陰電極および引出し電極の両極に電圧を印加する駆動電源とを備えたアルミニウム合金製真空装置において、排気口付近に設けられイオンの排気を促進するイオン電極と、前記イオン電極に電圧を印加するイオン電極用電源とを有し、前記イオン電極用電源は周波数が5Hz以下の低周波電圧で、かつその波形が正弦波またはパルス波を発生する機能を有するものである。 (2) 前記陰電極と陰電極用端子間のバリア層の厚さを10nm以下としたものである。 (3) 前記駆動電源は50ms以内のパルス状の電圧で、かつ300V以上の電圧を発生する機能を有するものである。 (4) 真空容器の真空側表面に形成された陽極酸化皮膜の微細孔中に充填され電界放射によって電子を放出する陰電極と前記陽極酸化皮膜の表面に設けた引出し電極とが形成されているアルミニウム合金製真空容器と、前記陰電極に電圧を印加するための陰電極用端子と、前記引出し電極に電圧を印加する引出し電極用端子と、前記陰電極および引出し電極の両極に電圧を印加する駆動電源とを備え、前記アルミニウム合金製真空容器内を真空引きし、前記陰電極用端子と引出し電極用端子間に負極性の電圧を印加して真空度を高くするアルミニウム合金製真空装置の駆動方法において、前記陰電極用端子と引出し電極用端子間に印加する電圧は、最初に50ms以内のパルス状の300V以上の電圧を少なくとも1 回印加し、つぎに定常の低電圧を印加するものである。 (5) 排気口付近にイオンの排気を促進するイオン電極設け、前記イオン電極に5Hz以下の低周波電圧で、かつその波形が正弦波またはパルス波を電圧を印加することを特徴とするものである。 本構成によれば、5Hz以下の低周波電圧を印加するにより、正もしくは負の電荷を帯びた排気すべきイオン化ガス分子が排気穴近傍の電極に効率よく集められるようになる。波形より周波数が重要となる。通常、真空ポンプによる吸引力とイオン電極による電界力が加わるが、電極に直流を加えると、相反する電気力をうけるイオンの移動で排気速度が律則する。従って、交流電圧を印加すれば正負いずれに帯電したイオンも排気されることになる。また、初めにパルス状電圧を印加することにより、陰電極に吸着したガスを飛ばす事ができるので、排気初めから所定量の電子が放出される。また、前記陰電極用端子とと接するバリア層を極めて薄くすることにより、放出電子の量が増えるので排気すべきイオン化ガス分子量が増える、また陰電極に吸着したガスをより多く飛ばす事ができるようになり、排気がより早くなる。 【0005】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を実施例に示す図に基づいて詳細に説明する。 (第1実施例)本発明の第1実施例を図1に示す。図1は本発明の第1実施例を示すアルミニウム合金製真空装置の断面から見た斜視図である。図において、31は基体、33は陽極酸化皮膜(真空側)、34は陽極酸化皮膜(大気側)、35は微細孔、36は陰電極、37は引出し電極である。また、41は陰電極用端子、42は引出し電極用端子、5はイオン電極、61は駆動電源、62はイオン電極用電源である。アルミニウム合金製真空容器3は、真空側の陽極酸化皮膜33、大気側の陽極酸化皮膜34からなる。その他の符号は従来技術で述べた部品と同じであるため説明を省略する。アルミニウム合金製真空容器3の基体31は、ジュラルミン製からなり、内外周面はアルマイト処理を施している。内周面に施した陽極酸化皮膜33の微細孔35中には、電界放射を行う電極材料として金属鉄を析出させている。アルマイト層の厚さは10μm、微細孔の直径は300オングストロームであった。次に、内周面の陽極酸化皮膜33の上に、引出し電極37としてアルミニウム皮膜を真空中で線爆溶射により形成した。このようにして作製したアルミニウム合金製真空容器3を架台1の上に設けた絶縁体2の上に配置して、真空排気装置を組み立て、イオン電極5に低周波交流電圧の印加が可能なイオン電極用電源62を接続した。なお、排気用ポンプにはロータリポンプとターボ分子ポンプを使用した。つぎに、本発明のアルミニウム合金製真空装置の動作と効果について説明する。 (1) まず、ロータリポンプで真空容器内を排気した。 (2) つぎに、引出し電極37と陰電極32との間に60V の電位を与え、排気操作を行った。陰電極36に電圧が印加されると、陰電極36から電子が放出し、この時流れる電流によってジュール熱が発生し真空容器が加熱されて、ベーキングが行なわれる。同時に、引出し電極37に電圧が印加されると、陰電極36から放出された電子を引き出すので、電流が流れやすくなり、排気が促進される。 (3) 排気口近くのイオン電極5に図2に示すような5Hz、600Vの低周波の正弦波をイオン電極用電源62から加えた。 比較のため、イオン電極5に上述の交流電圧を加えない従来の場合についても調べた。その結果を図3に示す。目標の圧力に到達する排気時間は、本実施例の方が従来例に比べて数倍速くなっており、優れた効果のあることが分かる。これはイオン電極5に低周波の電圧を印加することにより、発生した電子によってイオン化されたガス分子が回収されやすくなるので、短時間に高真空が得られる。周波数がこの値より大きいと、電極に向かって移動していたイオンが極性が変り電極以外の方向に動いてしまい、イオンを効率的に集められない。 【0006】(第2実施例)本発明の第2実施例について説明する。本実施例のアルミニウム合金製真空装置の構造等の仕様は第1実施例と同じである。本発明のアルミニウム合金製真空装置の動作と効果について説明する。 (1) まず、ロータリポンプで真空容器内を排気した。 (2) つぎに、引出し電極37と陰電極32との間に図4に示すような60V の電位を与え、排気操作を行った。 (3) 排気口近くのイオン電極5に5Hz、600Vの低周波のパルス波をイオン電極に加えた。イオン電極5に印加した電圧の様子を図4に示す。比較のため、イオン電極5に上述の交流電圧を加えない場合を調べた。 その結果、第1実施例と同じく排気速度は従来例に比べて数倍速く良好な結果であることが分かった。 (第3実施例)本発明の第3実施例について説明する。本実施例の真空装置の構造は、概観および断面構造とも第1実施例と同じである。本発明のアルミニウム合金製真空装置の動作と効果について説明する。 (1) まず、ロータリポンプで真空容器内を排気した。 (2) 排気口近くのイオン電極5には600Vをかけた状態とした。 (3) つぎに、使用初めに引出し電極37と陰電極32との間に図5に示すようなパルス状電圧−300Vで30ms維持を2度行った。これにより微細孔35中に吸着しているガス分子に衝撃を与えるので吸着を切り離すことができる。この場合の電圧として、−300V以上、50ms以内のパルス電圧を印加することが必要であるが、電圧の印加時間を長くすると陰電極が溶けて蒸発するので、50ms以内に押さえる。 (4) その後、定常の60V の電位を与え、排気動作を行った。 その結果、第1実施例と同じく排気速度は従来例に比べて数倍速く良好な結果であることが分かった。なお,本実施例では一つの電源に二つの機能を有するようにしているが,別々の機能を有する電源を設けてもよい。 (第4実施例)本発明の第4実施例について説明する。本実施例の真空装置の構造は、概観および断面構造とも第1実施例と同じである。異なる点は、バリア層32の厚さを10nmと極めて薄くしていることである。比較のため従来の厚さ100nmのバリア層を形成したものを準備した。動作は第1の実施例と同様に排気駆動させ、排気特性を比較した。その結果、従来のものよりも本実施例のものは10倍程度排気速度が向上し、良好な結果であることが分かった。 (第5実施例)本発明の第5実施例について説明する。本実施例の真空装置の構造は、概観および断面構造とも第1実施例と同じである。異なる点は、バリア層32の厚さを1nm以下とさらに薄くしていることである。比較のため従来の厚さ100nmのバリア層を形成したものを準備した。動作は第2の実施例と同様に排気駆動させ、排気特性を比較した。その結果、従来のものよりも本発明のものは70倍程度排気速度が向上し、良好な結果であることが分かった。 【0007】 【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、排気口近傍に設けたイオン電極に5Hz 以下の低周波交流電圧を印加するようにしたので、正もしくは負の電荷を帯びた排気すべきイオン化ガス分子が、排気口近傍の電極に効率よく集められるようになる。したがって、真空装置の排気速度を著しく向上できる効果がある。また、引出し電極と陰電極間に使用初めにパルス状の電圧を印加するようにしたので、陰電極に付着したガスを飛ばす事ができる。したがって、排気初めから所定量の電子が放出され、ガスと電子の衝突確率が使用開始時から増えイオン化が促進される。排気口に設けた電極の電界により速やかに排気が行われるため、短時間で超高真空が得られるアルミニウム合金製真空装置を得る効果がある。さらに、陰電極と陰電極に電圧を印加する陰電極用端子間にあるバリア層を10nm以下とすることで陰電極から放出される電子の量が増えるので、排気すべきイオン化ガス分子が増加し、また陰電極に付着したガスを充分飛ばすことができるようになり、真空装置の排気速度をさらに著しく向上できる効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006622 【氏名又は名称】株式会社安川電機
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| 【出願日】 |
平成14年2月12日(2002.2.12) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−361070(P2002−361070A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月17日(2002.12.17) |
| 【出願番号】 |
特願2002−34224(P2002−34224) |
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