| 【発明の名称】 |
超臨界反応による分解生成物の分離・回収システム |
| 【発明者】 |
【氏名】五十嵐 登
【氏名】松村 哲
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| 【要約】 |
【課題】超臨界流体中での燃料物質の酸化分解反応で発生する分解生成物を、有害物質を環境に排出することなく分離・回収することができるシステムを提供する。
【解決手段】本発明の分離・回収システムは、有機燃料物質を超臨界状態の流体中で酸化剤により酸化分解する超臨界分解反応装置を有し、さらに、この反応装置で生成された液状または固体の生成物を密閉系で回収する固液回収装置と、前記反応装置で生成された気体生成物を減圧してエンタルピーを回収するエンタルピー回収装置、および前記気体生成物を分離し、該気体中の二酸化炭素を密閉系において回収する気体分離回収装置のうちで、少なくとも2つの装置を備えている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 有機燃料物質を超臨界状態の流体中で酸化剤により酸化分解する超臨界分解反応装置と、この反応装置で生成された液状または固体の生成物を、密閉系において回収する固液回収装置と、前記固液回収装置で回収された液状または固体の生成物を、密閉系において分離し回収する残渣分離回収装置とを備えたことを特徴とする超臨界反応による分解生成物の分離・回収システム。 【請求項2】 有機燃料物質を超臨界状態の流体中で酸化剤により酸化分解する超臨界分解反応装置と、この反応装置で生成された気体生成物を減圧してエンタルピーを回収するエンタルピー回収装置とを備えたことを特徴とする超臨界反応による分解生成物の分離・回収システム。 【請求項3】 有機燃料物質を超臨界状態の流体中で酸化剤により酸化分解する超臨界分解反応装置と、この反応装置で生成された気体生成物を分離し、該気体中の二酸化炭素を密閉系において回収する気体分離回収装置とを備えたことを特徴とする超臨界反応による分解生成物の分離・回収システム。 【請求項4】 有機燃料物質を超臨界状態の流体中で酸化剤により酸化分解する超臨界分解反応装置を有し、さらに、前記反応装置で生成された液状または固体の生成物を、密閉系において回収する固液回収装置と、前記反応装置で生成された気体生成物を減圧してエンタルピーを回収するエンタルピー回収装置、および前記気体生成物を分離し、該気体中の二酸化炭素を密閉系において回収する気体分離回収装置のうちで、少なくとも2つの装置を備えていることを特徴とする超臨界反応による分解生成物の分離・回収システム。 【請求項5】 前記超臨界分解反応装置が、前記燃料物質を超臨界状態の水中で酸化分解する装置であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の超臨界反応による分解生成物の分離・回収システム。 【請求項6】 前記残渣分離回収装置が、前記固液回収装置で回収された液状または固体の生成物を比重差を利用して分離し回収する装置であることを特徴とする請求項1記載の超臨界反応による分解生成物の分離・回収システム。 【請求項7】 前記気体分離回収装置が、気体成分を膜分離法を用いて分離する機構を有することを特徴とする請求項3記載の超臨界反応による分解生成物の分離・回収システム。 【請求項8】 前記超臨界分解反応装置において、前記酸化剤として純酸素が使用されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の超臨界反応による分解生成物の分離・回収システム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、超臨界分解反応による分解生成物の分離・回収システムに係わり、さらに詳しくは、化石燃料や可燃性廃棄物などの有機燃料物質を、超臨界流体反応技術を利用して酸化分解した後の物質を、そのまま環境に排出することなく分離し回収するシステムに関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、石炭や石油などの化石燃料を燃焼させて発生する熱エネルギーを利用する火力発電プラントや、可燃性廃棄物を焼却炉で焼却する廃棄物焼却処理プラントなどにおいては、環境汚染を防止するための対策として、燃料や廃棄物の燃焼に伴って発生する排ガス中に含まれる物質(硫黄酸化物SOx、窒素酸化物NOx、煤塵など)を除去するための設備が付設されている。 【0003】図2は、このような排ガス処理システムの一例を概略的に示したものであり、ボイラまたは焼却炉201で発生した排ガスは、窒素酸化物を除去するための脱硝装置202、煤塵を除去するための集塵器203、硫黄酸化物を除去するための空気予熱器204と脱硫装置205を順に経て、排気塔206から排出されるようになっている。 【0004】しかしながら、このような排ガス処理システムにおいては、建設に要する費用が高い、消費エネルギーが大きい(例えば火力発電プラントの場合、自ら生産する電力の7〜8%に相当するエネルギーを消費する)、燃料が低品位になると必ずしも十分な処理効果を期待できないなどの問題があった。 【0005】このような中で、近年、超臨界状態の水中で燃料を燃焼(酸化分解)する、あるいは有機物を酸化分解する技術が考案され、環境負荷の少ない発電システムあるいは廃棄物処理システムを実現するものとして期待されている。 【0006】図3は、このような超臨界水を利用した酸化分解処理システムの構成の一例を概略的に示したものである。 【0007】この処理システムでは、超臨界反応装置301に、反応溶媒である水とともに、石炭などの燃料物質を、燃料供給系302より供給する。また、酸化剤(例えば、酸素ガス)を酸化剤供給系303より供給し、外部から熱エネルギーを加えて反応装置301内の水を超臨界状態として、燃料物質を燃焼(酸化分解)させる。 【0008】このような超臨界水中での反応(酸化分解)により、燃料物質中の有機物は二酸化炭素と水に、無機物は酸化物になる。燃料物質中にハロゲン類が含まれている場合には、ハロゲン化合物として反応装置301内に残留する。酸化分解反応が終了した後、反応装置301内に残留する液状または固体の副生成物を、残渣回収貯留装置304に導く。そして、圧力調整弁305により圧力を調整した後、スラリー状の残渣を残渣排出弁306を介して系外に排出する。なお、液状または固体の副生成物は、硫黄酸化物(SOx)と重金属等の無機物が含まれた水溶液である。 【0009】一方、分解反応による気体生成物は、反応装置301内において高温・高圧の気体となっているので、これを止め弁307により減圧した後、排出ガス凝縮分離装置308に送る。ここで、水蒸気のような凝縮性の気体は、凝縮水回収(ドレン)系309に導かれて回収または排出される。また、非凝縮性の気体は排気塔310に送られ、大気中に排出される。 【0010】超臨界水中での燃焼(酸化分解)は、反応が均一相で行われ、反応温度が低いため、窒素の酸化によるNOxは発生しない。したがって、非凝縮性の気体は、二酸化炭素が主成分であり、これに酸化分解反応において余剰となった酸素や、燃料物質に予め含有されていた窒素などが含まれる。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】最近、超臨界水中での燃焼(酸化分解)処理技術は、低品位の石炭、重質油などの化石燃料の燃焼処理、可燃性廃棄物の燃焼処理および有害物質無害化処理において、環境への有害物質の放出が少ない燃焼方式として用いられているが、さらに、このような超臨界反応による分解生成物を、環境に直接排出することなく回収・処理するためのシステムの開発も望まれている。 【0012】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、超臨界流体中での燃料物質の酸化分解反応で発生する分解生成物を、有害物質を環境に排出することなく、分離し回収することができるシステムを提供することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の超臨界反応による分解生成物の分離・回収システムは、請求項1に記載するように、有機燃料物質を超臨界状態の流体中で酸化剤により酸化分解する超臨界分解反応装置と、この反応装置で生成された液状または固体の生成物を、密閉系において回収する固液回収装置と、この固液回収装置で回収された液状または固体の生成物を、密閉系において分離し回収する残渣分離回収装置とを備えたことを特徴としている。 【0014】また、本発明の超臨界反応による分解生成物の分離・回収システムは、請求項2に記載するように、有機燃料物質を超臨界状態の流体中で酸化剤により酸化分解する超臨界分解反応装置と、この反応装置で生成された気体生成物を減圧してエンタルピーを回収するエンタルピー回収装置とを備えたことを特徴としている。 【0015】さらに、請求項3に記載するように、有機燃料物質を超臨界状態の流体中で酸化剤により酸化分解する超臨界分解反応装置と、この反応装置で生成された気体生成物を分離し、該気体中の二酸化炭素を密閉系において回収する気体分離回収装置とを備えたことを特徴としている。 【0016】またさらに、請求項4に記載するように、有機燃料物質を超臨界状態の流体中で酸化剤により酸化分解する超臨界分解反応装置を有し、さらに、前記反応装置で生成された液状または固体の生成物を、密閉系において回収する固液回収装置と、前記反応装置で生成された気体生成物を減圧してエンタルピーを回収するエンタルピー回収装置、および前記気体生成物を分離し、該気体中の二酸化炭素を密閉系において回収する気体分離回収装置のうちで、少なくとも2つの装置を備えていることを特徴としている。 【0017】このような超臨界反応による分解生成物の分離・回収システムにおいて、請求項5に記載するように、前記超臨界分解反応装置は、前記燃料物質を超臨界状態の水中で酸化分解する装置であることができる。また、請求項6に記載するように、前記残渣分離回収装置は、前記固液回収装置で回収された液状または固体の生成物を比重差を利用して分離し回収する装置であることができる。 【0018】さらに、請求項7に記載するように、前記気体分離回収装置は、前記気体成分を膜分離法を用いて分離する機構を有することができる。さらに、請求項8に記載するように、前記超臨界分解反応装置において、前記酸化剤として純酸素を使用することができる。 【0019】本発明の超臨界反応による分解生成物の分離・回収システムによれば、超臨界流体中での燃焼(酸化分解)により生ずる分解生成物を、有害物質を環境に放出することなく分離して回収することができる。さらに、従来は廃棄処理されていた副生成物を精製・分離することにより、有用資源として再利用することができる。特に、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の大気への拡散を防止し、資源としての有効利用を図ることができる。 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施し得る。 【0020】図1は、本発明に係わる超臨界反応分解生成物の分離・回収システムの実施例の概要を系統的に示す図である。 【0021】実施例の分離・回収システムは、図に示すように、臨界温度および臨界圧力を越えた状態(超臨界状態)の流体(例えば水)中で有機燃料物質を酸化剤により酸化分解する超臨界分解反応装置1と、この反応装置1に燃料物質を供給する燃料供給系2と、反応装置1に酸化分解反応に必要な酸化剤を供給する酸化剤供給系3と、反応装置1内の気体以外(液状または固体)の生成物を密閉系において回収する固液回収貯留装置4と、この固液回収貯留装置4で回収された液状または固体の生成物を、密閉系で分離し回収する残渣分離回収装置5と、反応装置1内に生成された高温・高圧の気体を減圧しそのエンタルピーを回収するエンタルピー回収減圧装置6と、減圧されエンタルピーが回収された気体中の凝縮性の気体(例えば水蒸気)を凝縮して分離するガス凝縮分離装置7と、このガス凝縮分離装置7により凝縮された水を回収する凝縮水回収(ドレン)系8と、非凝縮性の気体を成分ごとに分離する混合ガス分離装置9と、この分離装置9により分離された気体のうちで、二酸化炭素を回収するCO2回収系10、および残りの気体成分である窒素ガスと酸素ガスを分離して大気中に排出するN2ガスおよびO2ガス分離排出系11とを備えている。 【0022】なお、図中符号12は圧力調整弁、13は止め弁、14は残渣排出弁、15は回収残渣移送ポンプをそれぞれ示している。 【0023】このような実施例の分離・回収システムにおいては、超臨界分解反応装置1に、反応溶媒である水を収容し、さらに有機燃料物質を燃料供給系2より、酸化剤を酸化剤供給系3よりそれぞれ供給する。そして、外部から熱エネルギーを加え、反応装置1内を400〜700℃、22〜50MPa、好ましくは550〜650℃、22〜30MPaに保つことにより、反応装置1内の水を超臨界状態とし、この超臨界状態の水中で有機燃料物質を燃焼(酸化分解)させる。 【0024】このような水の臨界温度(約374℃)、臨界圧力(約22MPa)を越えた条件下での酸化反応により、燃料物質中の有機物は二酸化炭素と水になり、無機物は酸化物になる。ここで、有機燃料物質としては、例えば石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料の他、可燃性廃棄物などが用いられる。また酸化剤としては、純酸素ガス、液化酸素、空気、酸素富化空気、過酸化水素などを用いることができる。 【0025】このような酸化分解反応が終了した後、超臨界分解反応装置1内に残留する気体以外の生成物、すなわち液状または固体の副生成物を、密閉式の固液回収貯留装置4に導く。なお、液状または固体の副生成物としては、硫黄酸化物(SOx)および重金属等の無機物が含まれた水溶液などがある。 【0026】この固液回収貯留装置4で回収された液状または固体の副生成物のうちで、スラリー状の残渣を、中和により無機塩の形態にした後、残渣排出弁14を介して排出し、回収残渣移送ポンプ15により、残渣分離回収装置5に送る。そして、残渣分離回収装置5では、残渣の性状、比重の差等を利用し、重力・ろ過・乾燥の固液分離技術を用いて分離・回収する。 【0027】また、固液回収貯留装置4で回収された上相の成分は、圧力調整弁12により圧力を調整された後、エンタルピー回収減圧装置6からの気体成分とともに、ガス凝縮分離装置7に送られる。 【0028】一方、超臨界分解反応装置1での分解反応による気体の生成物は、反応装置1内において高温・高圧の気体となっているので、止め弁13を開いて反応装置1外に排出した後、エンタルピー回収減圧装置6により、高温・高圧の気体の有する高いエンタルピーを回収する。そして、このエンタルピー回収減圧装置6により減圧された気体を、ガス凝縮分離装置7に送り、水蒸気のような凝縮性の気体を凝縮して回収する。 【0029】ガス凝縮分離装置7により凝縮された水は、凝縮水回収系8に導かれて循環・再利用され、非凝縮性の気体は、混合ガス分離装置9に送られる。非凝縮性の気体は、二酸化炭素を主成分とするが、酸化分解反応において余剰となった酸素ガスや、被分解物質である燃料物質に予め含有されていた窒素ガスなどが含まれている。これらの混合気体を、混合ガス分離装置9により気体分子分離膜などを利用して、成分ごとに分離する。そして、二酸化炭素は、CO2回収系10により例えば液化して分離・回収され、再利用される。また、窒素および酸素は、N2ガスおよびO2ガス分離排出系11によりそれぞれ排出処理される。 【0030】このように、実施例のシステムにおいては、低品位の石炭や重質油などの化石燃料、可燃性廃棄物などの燃料物質を、超臨界水中で燃焼(酸化分解)することにより、環境へ有害物質を排出することなく燃焼処理することができ、しかもこのような超臨界水中での酸化分解により生ずる分解生成物を、有害物質を環境に放出することなく分離して回収することができる。特に、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の大気中への拡散を防止することができ、さらに、従来は廃棄処理されていた副生成物を精製・分離することにより、有用資源として再利用することができる。 【0031】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の分離・回収システムによれば、超臨界流体中での酸化分解反応で発生する分解生成物を、環境に有害物質を排出することなく分離・回収することができ、さらに有用物質の再利用を図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝
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| 【出願日】 |
平成13年6月4日(2001.6.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077849 【弁理士】 【氏名又は名称】須山 佐一
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| 【公開番号】 |
特開2002−361068(P2002−361068A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月17日(2002.12.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−168394(P2001−168394) |
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