| 【発明の名称】 |
被覆粒子の製造方法及び被覆粒子 |
| 【発明者】 |
【氏名】堀内 貴洋
【氏名】石井 洋
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| 【要約】 |
【課題】不定形粒子に対する被膜の被覆性能を改善して、均一、薄膜化及び安定な被膜を形成することができる被覆粒子の製造方法及びこれによって得られた被覆粒子を提供することを目的とする。
【解決手段】不定形粒子を、常温で固体、加熱により気体となる化合物の過飽和蒸気に接触させることにより、前記化合物を前記不定形粒子表面に凝集析出させることを特徴とする被覆粒子の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 不定形粒子を、常温で固体、加熱又は減圧により気体となる化合物の過飽和蒸気に接触させることにより、前記化合物を前記不定形粒子表面に凝集析出させることを特徴とする被覆粒子の製造方法。 【請求項2】 不定形粒子が、B/S≧1.2又は粒径度φ≦0.8(式中、BはBET表面積(m2/g:窒素吸着量による表面積の測定方法)、Sは6/ρ・dpで表される(ρは粒子の真の比重、dpは粒径分布の個数%での平均粒径(μm))、φは(粒子の投影に内接する最大円の直径)/(粒子の投影に外接する最小円の直径)で表される)を満たす粒子である請求項1に記載の方法。 【請求項3】 常温で固体、加熱又は減圧により気体となる化合物が、天然の動植物油、高級アルコール、ワックス類、糖、脂肪酸、脂肪酸エチレングリコール、脂肪酸グリセライド、脂肪酸ソルビタン、リン又は窒素含有リン脂質、ステロール及びカカオ脂からなる群から選択される請求項1又は2に記載の方法。 【請求項4】 不定形粒子を常温で固体、加熱又は減圧により気体となる化合物の飽和蒸気内に導入し、次いで、該化合物の飽和蒸気を減圧又は降温して過飽和蒸気とすることにより、前記不定形粒子を前記化合物の過飽和蒸気に接触させることからなる請求項1又は2に記載の方法。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1つの方法により得られた被覆粒子。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は被覆粒子の製造方法及び被覆粒子に関し、より詳細には、不定形粒子に均一かつ薄膜状で特定の化合物を被覆する被覆粒子の製造方法及び被覆粒子に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来から、微粒子を保護したり、その表面特性を変化させるために、微粒子の表面を脂質等で被覆する方法が用いられている。 【0003】微粒子表面を脂質等で被覆する方法としては、溶解した硬化油、ワックス等に粒子を懸濁させた後、噴霧器又は回転ディスクを使用して噴霧冷却する方法、粒子を風力で浮き上がらせておき、上部から硬化油、ワックス等を噴霧する方法等の種々の方法が用いられている。 【0004】しかし、これらの方法では、被膜の被覆性能が不十分であり、均一な被膜を形成することは困難である。特に、粒子が不定形状の場合には、被膜の不均一化が顕著となる。また、多量の脂質等を必要とするため、被膜の薄膜化を図ることができず、被膜形成の時間が増大し、製造コストの増加を招く。さらに、上記方法は、ある程度高温の雰囲気中で乾燥等を行うため、粒子や脂質等の材料によっては、その品質を変化させるとともに、温度差等に起因する粒子又は被膜のストレスをもたらす。 【0005】別の方法として、粒子に粉末状の脂質等を接触、衝突させて微粒子表面を脂質等で被覆する方法がある。 【0006】しかし、この方法では、被膜の均一性が粒子の形状によって左右されることとなり、必ずしも均一、薄膜でかつ安定した被覆体を得ることができないという課題がある。 【0007】また、上記2種の方法を組み合わせて、芯物質の表面に脂質の二重被覆を施こす方法が、特開平7−87950号公報に記載されている。しかし、このような方法においても、多量の脂質等を必要とするため、被膜の薄膜化を図ることができず、被膜形成の時間が増大し、製造コストの増加を招く。 【0008】本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、不定形粒子に対する被膜の被覆性能を改善して、均一、薄膜化及び安定な被膜を形成することができる被覆粒子の製造方法及びこれによって得られた被覆粒子を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、不定形粒子を、常温で固体、加熱又は減圧により気体となる化合物の過飽和蒸気に接触させることにより、前記化合物を前記不定形粒子表面に凝集析出させる被覆粒子の製造方法が提供される。また、本発明によれば、上記の方法で形成された被覆粒子が提供される。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明は、不定形粒子の表面に、特定の化合物による膜を形成する方法である。この方法は、別の観点からは、不定形粒子の表面を、特定の化合物を用いて改質する方法として捕らえることもできる。 【0011】本発明で使用することができる粒子は、不定形粒子である。不定形粒子とは、B/S≧1.2を満たす粒子を意味する。ここで、BはBET表面積(m2/g:窒素吸着量による表面積の測定方法)、Sは6/ρ・dpで表される(ρは粒子の真の比重、dpは粒径分布の個数%での平均粒径(μm))。また、粒子の形状測定が可能な場合は、上記式とは別に、粒径度φ≦0.8の条件を満たすものを不定形粒子としてもよい。ここでφは(粒子の投影に内接する最大円の直径)/(粒子の投影に外接する最小円の直径)で表される。 【0012】不定形粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、タルク、カオリン、雲母末、パール顔料、マイカ、BN、セリサイト、食塩、金属等の無機粒子;澱粉、樹脂粉末、医薬成分、食品、タンパク、ビタミン、菌類等の有機粒子等が挙げられる。これらの粒子は、化粧用、医薬用、食品用、飼料用、医薬部外品用等の用途に使用することができる粒子であり、通常、加工時の温度上昇や、ストレスを嫌う粒子に対して、特に有効である。粒子の大きさは、特に限定されるものではなく、例えば、数nm〜数μmの直径(長さ)のものもが挙げられる。また、場合によっては、直径が数mm程度の顆粒や錠剤を粒子として使用してもよい。 【0013】常温で固体、加熱又は減圧により気体になる化合物としては、特に限定されるものではないが、化粧用、医薬用、食品用等に使用される場合には、人体に有害でなく、皮膚等に接触することにより悪影響を及ぼさないような化合物が好ましい。具体的には、天然の動植物油(牛脂硬化油、魚油硬化油、大豆硬化油、水素添加ホホバ油等)、高級アルコール(パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等)、ワックス類(カルナバロウ、ライスワックス、ミツロウ等)、糖、脂肪酸(ステアリン酸、パルミチン酸、カプリル酸等)、脂肪酸エチレングリコール(ジステアリン酸エチレングリコール等)、脂肪酸グリセリン(水素添加牛脂脂肪酸トリグリセライド、水素添加パーム油脂肪酸トリグリセライド、モノステアリン酸グリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル等)、脂肪酸ソルビタン(モノステアリン酸ソルビタン等)、リン又は窒素含有リン脂質(リン酸トリパルミチル等)、ステロール、カカオ脂等の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。なお、本発明においては、粒子の種類に応じて、表面改質膜を形成するための原料を適宜選択することができる。 【0014】上記化合物を過飽和蒸気にするためには、まず、密閉容器内で、この化合物を、加圧することなく又は加圧下で任意に加熱し、この化合物を飽和状態まで気化させ、次いで、その飽和蒸気を急激に減圧又は降温する方法が挙げられる。この場合の加圧する圧力の程度や加熱する温度は、使用する化合物の種類等によって適宜設定することができるが、使用する化合物が分解しないような圧力及び/又は温度を設定することが必要である。また、飽和蒸気から過飽和蒸気にするための減圧又は降温は、過飽和の程度、使用する化合物の種類によって適宜設定することができる。この場合も、使用する化合物が分解しないような圧力及び/又は温度を設定することが必要である。 【0015】粒子を過飽和蒸気に接触させる場合の過飽和の程度、接触時間等は、粒子の大きさ、表面積、得ようとする表面改質された粒子の特性、過飽和の程度等により適宜調整することができる。例えば、粒子と固体状の化合物との重量割合は、1:0.01〜106程度、好ましくは1:0.1〜104程度が挙げられる。また、接触時間は、1秒〜60秒間程度、好ましくは1〜30秒間程度が挙げられる。 【0016】上記のような一連の工程は、例えば、特開平9−296128号公報に記載された装置を用いて簡便に行うことができる。 【0017】このような方法によって、不定形粒子であっても、化合物をその表面に凝集析出させることにより、粒子表面に化合物の極薄膜状の均一な被覆膜を形成することができる。また、別の観点から、粒子表面の表面を改質することができる。粒子表面に形成された膜は、通常、膜厚5nm〜100nm程度であるが、上記のような操作を繰り返すことにより、さらに厚膜の被覆膜を形成することができる。 【0018】以下に、本発明の被覆粒子の製造方法及び被覆粒子について実施例に基づいて詳細に説明する。 【0019】本発明の被覆粒子を製造するために、例えば、特開平9−296128号公報に記載されている粒子表面改質装置を用いることができる。この粒子表面改質装置1は、図1に示すように、粒子導入口4、粒子取出口5、加圧減圧口6を備えた凝縮箱2を有する。凝集箱2は、外壁2aとセラミック等の多孔質材料からなる内壁2bとからなり、内部に密閉可能な処理空間3を有している上下方向に延びる円柱形状であり、基台11上に立設されている。粒子導入口4には粒子を空間内に導入するための導入管7が接続され、粒子取出口5には粒子を空間内から排出するための排出管8が接続されている。加圧減圧口6には、処理空間3内を加圧するため及び減圧するための加圧減圧用配管9が接続されている。また、この粒子表面改質装置1には、凝集箱2の内壁2b及び処理空間3を加熱するための加熱手段としてヒータ10が設けられている。 【0020】このような装置を用いて、まず、凝縮箱2の内壁2bに、粒子を被覆するためのコート材であるステアリン酸の460Kの飽和蒸気を導入する。 【0021】次いで、凝集箱2内の処理空間3内に、1モル/リットルの食塩水を420Kに加熱して噴霧することにより得た平均粒径100nm程度(B/Sが約1.2)のNaCl粒子を、1011個/m3、導入管7を通じて、エアロゾルとして粒子導入口4から導入する。 【0022】続いて、処理空間3内に、ステアリン酸の飽和蒸気を発生させるために、凝集箱2内を120kPa程度に加圧するとともに、460Kまで加熱する。なお、加圧は、加圧減圧口6を開き、加圧減圧用配管9を通じて処理空間3内に清浄空気を送り込むことにより行う。その後、ステアリン酸の飽和蒸気が得られるまで、凝集箱2内の圧力及び温度を2〜3分間適当な保持する。 【0023】次に、処理空間3内を300kまで降温し、常圧まで減圧し、ステアリン酸の飽和蒸気を過飽和状態にする。この際、加圧減圧口6を開いて、処理空間3を大気に開放し、処理空間3内におけるステアリン酸の飽和蒸気を断熱膨張させる。これにより、処理空間3内において、ステアリン酸の飽和蒸気が過飽和の状態になり、NaCl粒子表面でステアリン酸の凝縮反応が起こり、NaCl粒子表面にステアリン酸を被膜し、平均粒径180nm程度のステアリン酸被覆のNaCl粒子を形成することができる。 【0024】その後、処理空間3内の被覆粒子を、粒子取出口5から排出管8を通して取り出し、処理を終了する。この際、粒子導入口4及び粒子取出口5を開き、導入管8から処理空間3内へ洗浄空気を導入し、処理空間3内の被覆粒子を含むエアロゾルを清浄空気と置換することにより行う。 【0025】得られた被覆粒子は、それぞれ不均一な形状の一次粒子であったが、粒子の周りには、均一に極薄膜状のステアリン酸の被膜が形成されていた。 【0026】 【発明の効果】本発明によれば、不定形粒子の表面においても、均一に、極薄膜状に安定な被覆膜を確実かつ簡便に形成することが可能となる。しかも、従来の被覆膜の形成方法で問題となっていた被覆膜による粒子のストレスを低減させることができ、処理温度及び処理時間を大幅に低減することができる。特に、タンパクやビタミン等、従来被覆膜の形成が困難であるとされていた粒子に対しても、簡便に被覆膜を形成することができるとともに、被覆膜の形成時の温度上昇やストレスを避ける必要がある場合でも、本発明の方法では、被覆膜形成時の温度上昇を極力抑えることができ、どのような粒子に対しても、所望の特性を有する被覆膜を形成することが可能となる。 【0027】しかも、不定形粒子は、従来から、完全な被覆を行うためには、積層膜を形成したり、不完全な被覆とならないように厚膜の被覆膜を形成することを要していたが、本発明においては、曲率の小さな面ほど凝集析出の成長を早めることができ、安定かつ均一な被覆膜を、効率よく形成することが可能となる。 【0028】また、粒子の表面に被覆される化合物が常温で固体、加熱により気体となる化合物であるため、処理した後の粒子の凝集等を防止することができ、粒子の表面改質効果を長期にわたって維持することが可能となる。また、不定形粒子が、極薄膜で安定して確実に被覆されているため、不定形粒子自体の品質の変化や他の物質との接触による反応を防止することができるため、不定形粒子の長期安定性を図ることが可能となる。 【0029】さらに、液体をコート剤として使用した場合には、長期保存又は脂質、ポリマーなどと混練し、化粧品として完成させる加工の際のストレスにより、コート剤の微粒子同士が結合し、大きな液体粒子に成長し、分散性に支障をきたす場合があるが、本発明のように、固体のコート剤を使用した場合には、欠落により生じた微粒子が大きな粒子に成長することがなく、仮に凝集しても、比較的簡単に再度分散することができる。しかも、液体のコート剤においては長期放置、長期保存した際にコート剤の蒸発により表面改質の効果が劣化することがあるが、固体をコートすることにより、このような現象を防止することが可能となる。 【0030】また、液体のコートの場合には、粒子と接触する面の濡れ性を配慮する必要があり、例えば、濡れ性のよい材料の容器に収納したとき、容器面への付着力はファンデルワールス力のほかに表面張力が働き、非常に除去しにくい状態となるが、固体コートであれば、表面張力は発生しないので、このような問題を回避することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005049 【氏名又は名称】シャープ株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年6月8日(2001.6.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065248 【弁理士】 【氏名又は名称】野河 信太郎
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| 【公開番号】 |
特開2002−361064(P2002−361064A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月17日(2002.12.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−174369(P2001−174369) |
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