| 【発明の名称】 |
黒色顔料用分散剤とその分散組成物および黒色被膜 |
| 【発明者】 |
【氏名】林 年治
【氏名】白石 真也
【氏名】影山 謙介
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| 【要約】 |
【課題】被膜の光学濃度(OD値)および膜抵抗が高い黒色被膜を形成することができる黒色顔料用分散剤とその分散組成物を提供する。
【解決手段】一般式[1]または[2](R1は炭素数1以上のアルキル基、R2およびR3は水素、アルキル基またはフェニル基であり、R2とR3は連結していても良い)で表される環状アミド基、または環状エステルを有することを特徴とする黒色顔料用分散剤、およびこの分散剤を添加した分散液。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式[1](R1は炭素数1以上のアルキル基、R2およびR3は水素、アルキル基またはフェニル基であり、R2とR3は連結していても良い)で表される環状アミド基を有することを特徴とする黒色顔料用分散剤。
【請求項2】 一般式[2](式中のR1、R2、R3は式1と同じ)で表される環状エステル基を有し、分散時に20〜200℃未満に加熱することを特徴とする黒色顔料用分散剤。
【請求項3】 黒色顔料と共に請求項1または2の分散剤を含有する黒色顔料組成物。 【請求項4】 黒色顔料と共に分散剤を分散液に分散させた請求項3の黒色顔料組成物。 【請求項5】 分散剤の添加量が黒色顔料100重量部に対して0.1〜100重量部である請求項3または4の黒色顔料組成物。 【請求項6】 黒色顔料の粉体抵抗値が10の5乗Ω・cm以上の絶縁性粉体である請求項3、4または5の黒色顔料組成物。 【請求項7】 黒色顔料が、一般式TiOyNxにおいて、0.6<x<1.2、0.2<y<0.7の組成範囲を有する酸窒化チタンである請求項3〜6の何れかの黒色顔料組成物。 【請求項8】 黒色顔料が、酸窒化チタンと絶縁処理カーボンの混合物であって、50wt%以上の酸窒化チタンを含む請求項3〜7の何れかの黒色顔料組成物。 【請求項9】 黒色顔料が、酸窒化チタンと酸化鉄または酸化マンガンの混合物であって、75wt%以上の酸窒化チタンを含む請求項3〜7の何れかの黒色顔料組成物。 【請求項10】 請求項3〜9の何れかの黒色顔料組成物によって形成された黒色被膜。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、各種のディスプレイ(LCD、PDP、EL等)、カラーフィルター、シール剤等において、樹脂ブラックマトリックスなどの高抵抗黒色被膜を形成する黒色顔料組成物とその分散剤および絶縁性黒色被膜に関する。 【0002】 【従来の技術】液晶表示等において、画素間や駆動回路部分など光の透過を遮断することが望ましい部分には、遮光膜としてブラックマトリックスが設けられる。このブラックマトリックス用遮蔽剤としては、クロム、ニッケル、アルミ等の金属を用いた遮光膜、あるいはカーボン等の黒色顔料を樹脂に分散させた樹脂性遮光膜があり、一般に樹脂性遮光膜は反射率が低く、液晶画面の表示品質が優れるという特徴を有している。 【0003】樹脂性のブラックマトリックス用遮蔽剤としては、一般にカーボンブラックが知られているが、カーボンブラックは電気抵抗が低いため、表示装置の誤動作を引き起こす原因となる。特に、広い視野角が得られるインプレーンスイッチング(IPS)方式の液晶表示装置においては、液晶層面内方向に電界を加えるため、ブラックマトリックスの抵抗値が低いと電界が正常に印加されず、液晶配向に乱れが生じて表示ムラの原因となる。 【0004】そこで、高い電気抵抗を有する遮蔽剤の一つであるチタン酸窒化物(酸窒化チタン)を用いて高抵抗遮蔽膜を形成する例が知られている(特開平11-281804号、特開平10-46042号、特開平10-114836号、特開平9-54431号など)。しかし、これらの実施例に記載されている黒色硬化膜は遮光性が低く、OD値が1μmあたり2.9〜3.0、あるいは1.5μmあたり3.5であり、実用上十分ではない。液晶表示用ブラックマトリックスとして使用するためには、透過光の光学濃度(OD値)が3.0/μm以上であることが望ましく、また膜抵抗も10Ω・cm台、最大でも10の12乗Ω・cm台であることが求められる。IPS用にはさらに高い抵抗値が望まれる。 【0005】さらに、従来の樹脂性遮蔽膜は樹脂中の酸窒化チタンの分散が不十分であるために液晶ディスプレイの動作不良を生じる場合がある。酸窒化チタンの分散性を高めるために、ポリカルボン酸型高分子活性剤やポリスルホン酸型高分子活性剤等のアニオン系分散剤を添加する例(特開平10-114836号)や、ソルビスタン脂肪酸エステル系分散剤を用いる例(特開平9-54431号)などが知られているが、分散性は十分ではない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の樹脂性遮蔽膜における上記問題を解決したものであり、樹脂に添加した黒色顔料の分散性に優れ、従って高い遮光性と膜抵抗値を有し、液晶表示装置などのブラックマトリックスとして好適な絶縁性黒色被膜を形成する黒色顔料組成物とその分散剤および黒色被膜を提供する。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、以下の構成からなる黒色顔料用の分散剤とその組成物および黒色被膜が提供される。 (1) 一般式[1](R1は炭素数1以上のアルキル基、R2およびR3は水素、アルキル基またはフェニル基であり、R2とR3は連結していても良い)で表される環状アミド基を有することを特徴とする黒色顔料用分散剤。
(2) 一般式[2](式中のR1、R2、R3は式1と同じ)で表される環状エステル基を有し、分散時に20〜200℃未満に加熱することを特徴とする黒色顔料用分散剤。
【0008】(3)黒色顔料と共に上記(1)または(2)の分散剤を含有する黒色顔料組成物。 (4)黒色顔料と共に分散剤を分散液に分散させた上記(3)の黒色顔料組成物。 (5)分散剤の添加量が黒色顔料100重量部に対して0.1〜100重量部である上記(3)または(4)の黒色顔料組成物。 (6)黒色顔料の粉体抵抗値が10の5乗Ω・cm以上の絶縁性粉体である上記(3)、(4)または(5)の黒色顔料組成物。 (7)黒色顔料が、一般式TiOyNxにおいて、0.6<x<1.2、0.2<y<0.7の組成範囲を有する酸窒化チタンである上記(3)〜(6)の何れかの黒色顔料組成物。 (8)黒色顔料が、酸窒化チタンと絶縁処理カーボンの混合物であって、50wt%以上の酸窒化チタンを含む上記(3)〜(7)の何れかの黒色顔料組成物。 (9)黒色顔料が、酸窒化チタンと酸化鉄または酸化マンガンの混合物であって、75wt%以上の酸窒化チタンを含む上記(3)〜(7)の何れかの黒色顔料組成物。 (10)上記(3)〜(9)の何れかの黒色顔料組成物によって形成された黒色被膜。 【0009】本発明の黒色顔料用分散剤は、従来用いられていたアニオン系分散剤や脂肪酸エステル系分散剤よりも酸窒化チタン等の分散性が良い。従って、この分散剤を用いた黒色顔料組成物を用いることにより、高抵抗の遮蔽性に優れた黒色被膜を形成することができる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。本発明の黒色顔料用分散剤の第一は、上記一般式[1](R1は炭素数1以上のアルキル基、R2およびR3は水素、アルキル基またはフェニル基であり、R2とR3は連結していても良い)で表される環状アミド基を有する化合物である。具体的には、例えば、ε−カプロラクタムを含有する高分子化合物、または2−ピロリドンを含有する高分子化合物などである。 【0011】また、本発明の黒色顔料用分散剤の第二は、上記一般式[2](式中のR1、R2、R3は一般式[1]と同じ)で表される環状エステル基を有する化合物である。具体的には、例えば、カプロラクトンを含有する高分子化合物、またはブチロラクトンを含有する高分子化合物などである。この環状エステル基を有する分散剤は分散時に20℃〜200℃未満に加熱して用いる。20℃未満ではカプロラクトンなどが反応せず、分散効果が低い。また、加熱温度が200℃より高いと分散媒の沸点より高いため現実的でない。なお、分散時の加熱が不要である点では、環状エステル基を有する化合物よりも環状アミド基を有する化合物のほうが使用しやすい。 【0012】分散剤の添加量は、黒色顔料100重量部に対して0.1〜100重量部が好ましい。この添加量が0.1重量部より少ないと分散効果が乏しく、良好な黒色被膜を得ることができない。一方、この添加量が100重量部より多いと粘度上昇および分散粒子径が大きくなり、黒色被膜を形成したときに透過光の光学濃度(OD値)が低下する。 【0013】黒色顔料としては酸窒化チタンが好ましい。高抵抗の黒色膜を得るには粉体抵抗値が10の5乗Ω・cm以上の絶縁性酸窒化チタンを用いる。粉体抵抗値が10の5乗Ω・cm未満であると黒色膜を形成したときに膜抵抗値が概ね10の12乗Ω・cm未満となり、IPS等に用いるには絶縁性が不十分である。 【0014】このような絶縁性の酸窒化チタンは、一般式TiOyNxにおいて、0.6<x<1.2、0.2<y<0.7の組成範囲を有するものが適当である。ここで、xが1.2より大きいと窒素の割合が多いために粉末抵抗値が10の5乗Ω・cm未満となり、また、xが0.6より小さいと黒色度が低くなり、OD値が3.0未満になるので遮光性が不十分である。さらに、何れの場合も分散液の粒径が大きくなるので適当ではない。窒素の割合(xの値)の好ましい範囲は0.7≦x≦1.0である。 【0015】黒色顔料として、酸窒化チタンと共に、絶縁処理カーボン、酸化鉄、酸化マンガンを用いることができる。絶縁処理カーボンは、炭素粒子表面にシリカ被膜や樹脂被膜を設けて絶縁性を高めたものである。絶縁処理によって粉体抵抗値を10の5乗Ω・cm以上としたものが用いられる。なお、黒色顔料として、酸窒化チタンと絶縁処理カーボンの混合物を用いる場合には50wt%以上の酸窒化チタンを含むものが適当である。また、黒色顔料として酸窒化チタンと酸化鉄または酸化マンガンの混合物を用いる場合には75wt%以上の酸窒化チタンを含むものが適当である。これらの範囲よりも酸窒化チタンの量が少ないと、黒色被膜を形成したときに膜の色純度が不良になる。 【0016】酸窒化チタンやその混合物からなる黒色顔料を分散剤と共に分散媒に分散させて分散液とする。この分散媒としてはアルコール、ケトン、エステルなどを用いることができる。分散媒の種類は限定されない。分散液中の黒色顔料の含有量は5〜80wt%が好ましい。黒色顔料の量が5wt%より少なくと相対的にアルコール等の分散媒の量が多くなり、分散液を樹脂と混合して成膜する際に高抵抗および高遮蔽性の黒色被膜を形成することが難しくなる。一方、黒色顔料の量が80wt%よりも多いと分散媒の量が相対的に少なくなり、黒色顔料の分散性が低下する。 【0017】上記黒色顔料分散液をアクリル樹脂等の樹脂に配合し、基板上に適当な膜厚に塗布して乾燥させUV光もしくは、さらに焼付けることで黒色被膜を得る。この成膜方法は制限されない。 【0018】 【実施例】本発明の実施例を比較例と共に以下に示す。 【0019】〔実施例1〕黒色顔料として酸窒化チタン(TiO0.58N0.8)を用い、これを分散剤と共に酢酸ブチルに分散させた。分散液中の酸窒化チタン量は40wt%である。分散剤の種類および酸窒化チタンに対する分散剤の量を表1に示した。この分散液をアクリル樹脂に加えたもの(分散液1部、樹脂1部)を塗布して黒色被膜(膜厚1.0μm)を形成した。この黒色被膜の光学濃度(OD値)、および膜抵抗値を表1に示した。 【0020】表1に示すように、本発明の好ましい条件下の分散剤を用いた試料は何れも酸窒化チタンの分散が良好であり、黒色被膜のOD値3.0/μm以上および膜抵抗値10の14乗Ω・cmの高絶縁性黒色被膜が得られた。なお、分散剤の添加量が0.05重量部では酸窒化チタンが十分に分散せず、この添加量が110重量部では分散粒子径が大きく、かつ高粘度のため黒色被膜のOD値が低下するので、分散剤の添加量は酸窒化チタン100重量部に対して0.1〜100重量部が適当であることが判る。また、環状エステル系分散剤では加熱温度が15℃では酸窒化チタンの分散が不十分であり、良好な分散状態を得るには分散時に20℃〜200℃未満に加熱する必要がある。 【0021】 【表1】
【0022】〔実施例2〕混合黒色顔料粉末(酸窒化チタン、絶縁処理カーボン、酸化鉄、酸化マンガンを表2の量比に混合したもの)を用い、これを分散剤と共に酢酸ブチルに分散させた。分散液中の混合黒色顔料の量は40wt%である。分散剤はε−カプロラクタムを含有する高分子化合物(分子量1万)を用いた。また、酸窒化チタンは実施例1と同種のTiO0.58N0.8を用いた。この分散液をアクリル樹脂に加えたもの(分散液1部、樹脂1部)を塗布して黒色被膜(膜厚1.0μm)を形成した。この黒色被膜の光学濃度(OD値)、および膜抵抗値を表2に示した。酸窒化チタンの含有量が好ましい範囲内のものは黒色被膜の色純度が良好であった。一方、酸窒化チタンの量が少ないものは黒色被膜の色純度が不良好であった。 【0023】 【表2】
【0024】〔実施例3〕黒色顔料として酸窒化チタンを用い、これを分散剤と共に酢酸ブチルに分散させた。分散液中の酸窒化チタンの量は40wt%である。分散剤はε−カプロラクタムを含有する高分子化合物(分子量1万)を用いた。この分散液をアクリル樹脂に加えたもの(分散液1部、樹脂1部)を塗布して黒色被膜(膜厚1.0μm)を形成した。酸窒化チタンの組成比(TiOyNx)に対応して黒色被膜の光学濃度(OD値)、および膜抵抗値を表3に示した。酸窒化チタンの組成比が好ましい範囲内のものは透過光の光学濃度(OD値)および膜抵抗値が高く、良好な絶縁性黒色被膜が得られた。 【0025】 【表3】
【0026】〔比較例〕分散剤として環状タイプではないアミド化合物を用いた以外は実施例1と同様にして黒色顔料分散液を調製し、これを用いて黒色被膜を形成した。この結果を表4に示した。これらの一部は酸窒化チタンの分散が不良であり、また、酸窒化チタンが分散したものでも黒色被膜のOD値が低く、十分な遮光性が得られなかった。 【0027】 【表4】
【0028】 【発明の効果】本発明の分散剤を用いた黒色顔料の分散液は黒色顔料の分散性が良く、従って、好ましい組成範囲の酸窒化チタンを分散させた分散液を用いることにより、被膜の光学濃度(OD値)および膜抵抗が高い良好な黒色被膜を形成することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006264 【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年6月8日(2001.6.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088719 【弁理士】 【氏名又は名称】千葉 博史
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| 【公開番号】 |
特開2002−361063(P2002−361063A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月17日(2002.12.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−173741(P2001−173741) |
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