| 【発明の名称】 |
膜ろ過装置の洗浄方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】峯岸 寅太郎
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| 【要約】 |
【課題】長期間に亘って分離膜の目詰まりが起こらず、安定した膜ろ過を長期間継続することができる膜ろ過装置の洗浄方法を提供すること。
【解決手段】水を電解処理して製造した酸性水とアルカリ性水の何れか又は両方を膜ろ過ユニット12のろ過水側12bへ供給して分離膜を逆圧水洗浄する操作と、膜ろ過ユニット12の被処理水側12aへオゾンを含む空気を吹き込む操作を行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水を電解処理して製造した酸性水とアルカリ性水の何れか又は両方を膜ろ過ユニットのろ過水側へ供給して分離膜を逆圧水洗浄する操作と、膜ろ過ユニットの被処理水側へオゾンを含む空気を吹き込む操作を行うことを特徴とする膜ろ過装置の洗浄方法。 【請求項2】 酸性水で分離膜を逆圧水洗浄する操作、アルカリ性水で分離膜を逆圧水洗浄する操作、膜ろ過ユニットの被処理水側へオゾンを含む空気を吹き込む操作を、予め定めた順序及び時間間隔に従って行うことを特徴とする請求項1に記載の膜ろ過装置の洗浄方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、及び逆浸透膜等の分離膜を備えた膜ろ過装置における分離膜の洗浄方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、膜分離技術の発達により、上水道の浄水処理、産業排水の処理、下水処理などの水処理分野においても、膜ろ過による処理が行われるようになってきた。例えば、上水道の浄水処理においては、河川水や湖沼水の表流水を中空糸膜あるいは平膜などからなる精密ろ過膜あるいは限外ろ過膜を用いてろ過する処理が行われている。この浄水処理の膜ろ過においては、従来から行われている凝集沈殿と砂ろ過による2段階の浄化処理を行った場合と同等あるいはそれ以上の除濁性能が得られるため、ろ過装置全体が非常にコンパクトで、かつ構成が簡素化される。 【0003】ところで、分離膜によるろ過を継続していると、膜の表面や膜の細孔内に汚濁物質が付着して膜が目詰まりし、分離膜の透過抵抗が次第に増加するので、ファウリングにより低下したろ過性能を回復させるために、所定時間間隔で装置を停止して分離膜の洗浄を行う。この際に行われる膜の洗浄法としては、分離膜のろ過水側(二次側)から膜ろ過水をろ過方向と逆の方向に通水して逆流させる逆圧水洗浄、原水による分離膜の被処理水側(一次側)の水洗、分離膜の二次側から加圧空気を吹き込む逆圧空気洗浄等の方法が挙げられる。上記の分離膜洗浄は、例えば、上水道の浄水処理においては、一般に、運転時間10〜120分に1回程度の頻度で行われている。 【0004】上記のような分離膜の洗浄を実施していても、除去できない物質が次第に分離膜に付着し、長時間のろ過を継続していると、分離膜の透過抵抗が膜ろ過装置を効率的に運転することができない程度まで増加する。このため、上記の洗浄法では除去できなかった物質を、薬品を用いて分解させたり、溶解させたりして除去する洗浄を行う。洗浄用の薬品としては、有機物を除去する場合には、苛性ソーダ、次亜塩素酸ナトリウム等が用いられ、また、無機物を除去する場合には、塩酸、硫酸、シュウ酸、クエン酸等が用いられる。 【0005】この薬品洗浄においては、選定された薬品を所定濃度に調製し、この洗浄液を膜ろ過装置へ供給し、長時間循環させる。又は、供給した洗浄液が膜ろ過装置内に満たされた後、洗浄液の供給を停止し、長時間の静置洗浄を行う。薬品洗浄の頻度は、被処理水によって異なるが、上水道の浄水処理においては、1〜数ヶ月に1回程度実施される。 【0006】しかし、薬品洗浄を行った場合には、洗浄後に、装置内に残っている薬品を除去するために、膜ろ過水もしくは被処理水を用いてリンスする後処理を行わなければならない。又、薬品が含まれている洗浄排水を処理するための設備を設けなければならない。 【0007】上記のような問題に対処し、特開平7−148423号公報には、分離膜が目詰まりした際に、塩酸や苛性ソーダ等の洗浄用薬品の代わりに、隔膜式電解装置により製造された電解水(酸性水又はアルカリ性水)を膜ろ過装置の流路内へ供給して分離膜を洗浄する方法が提案されている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平7−148423号公報に記載の技術においては、薬品洗浄を実施する場合の問題点は解消されているが、分離膜が目詰まりした際には、薬品洗浄の場合と同様に、膜ろ過装置を長時間停止し、分離膜を洗浄する処理を行わなければならない。このため、膜ろ過装置の稼働率が低下する。 【0009】本発明は、上記の問題点を解決し、長期間に亘って分離膜の目詰まりが起こらず、安定した膜ろ過を長期間継続することができる膜ろ過装置の洗浄方法を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る膜ろ過装置の洗浄方法は、水を電解処理して製造した酸性水とアルカリ性水の何れか又は両方を膜ろ過ユニットのろ過水側へ供給して分離膜を逆圧水洗浄する操作と、膜ろ過ユニットの被処理水側へオゾンを含む空気を吹き込む操作を行うことを特徴としている。 【0011】請求項2に記載の発明に係る膜ろ過装置の洗浄方法は、請求項1に記載の発明において、酸性水で分離膜を逆圧水洗浄する操作、アルカリ性水で分離膜を逆圧水洗浄する操作、膜ろ過ユニットの被処理水側へオゾンを含む空気を吹き込む操作を、予め定めた順序及び時間間隔に従って行うことを特徴としている。 【0012】本発明においては、分離膜が長期間に亘って清浄に保たれるように、通常の逆圧水洗浄を行う場合と同様の頻度で、電解水(酸性水又はアルカリ性水)による逆圧水洗浄を行う。酸性水は酸化力をも有し、又、アルカリ性水は還元力をも有しているので、これらの電解水により逆圧水洗浄を行うと、従来のろ過水による逆圧水洗浄では除去できなかったスケールやスライムが、逆圧水洗浄の都度、取り除かれる。このため、分離膜の目詰まりが起こらず、長期間に亘って膜ろ過装置の運転を継続することができる。 【0013】さらに、被処理水側へ強力な酸化力を有するオゾンを含む空気を吹き込む操作も併用するので、上記方法による逆圧水洗浄でも除去されなかったファウリング物質も除去され、分離膜は一層清浄な状態に維持される。 【0014】 【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態に係る一例の説明図である。図1に示す膜ろ過装置は上水道の浄水処理で使用するクロスフロー式の装置であって、10は河川水や湖沼水等の原水(被処理水)を受け入れて貯留する原水供給槽、11は原水供給ポンプ、12は膜ろ過ユニット、14は膜ろ過ユニットでろ過されたろ過水を一時貯留するための膜ろ過水槽である。 【0015】又、次に記す機器は膜ろ過ユニットの分離膜を洗浄するための機器であって、20はオゾン発生器、21は膜ろ過ユニットの分離膜を洗浄する膜ろ過水を抜き出すためのろ過水抜き出しポンプ、22は水を電解して酸性水とアルカリ性水を製造する隔膜式電解装置、23は隔膜式電解装置で製造された酸性水を一時貯留する酸性水槽、24はアルカリ性水を一時貯留するアルカリ性水槽、27は分離膜を逆圧水洗浄した際の洗浄排水を受け入れる洗浄排水槽である。28、29、30、31は自動開閉弁である。 【0016】この膜ろ過装置の運転は次のように行われる。原水供給槽10の原水を原水供給ポンプ12により膜ろ過ユニットの被処理水側12aへ供給する。膜ろ過ユニットの被処理水側12aと原水供給槽10の間には循環ライン13が設けられており、供給された原水は膜ろ過ユニットの被処理水側12aと原水供給槽10の間を循環しながらろ過される。分離膜を透過した膜ろ過水は膜ろ過水槽14へ送られ、処理水として排出される。 【0017】上記のようなろ過操作を行った後、予め定めた時間間隔(通常、10分〜120分に1回程度の間隔)で分離膜の洗浄を行う。分離膜の洗浄においては、最初に逆圧水洗浄を行い、次いで、オゾンを含む空気を吹き込んでバブリングを行う。 【0018】分離膜の逆圧水洗浄に際しては、分離膜に付着している物質の性状によって洗浄水の種類が選定される。このため、隔膜式電解装置22で製造された酸性水とアルカリ性水の何れかを供給して逆圧水洗浄を行う場合と、酸性水による逆圧水洗浄とアルカリ性水による逆圧水洗浄を交互に実施する場合とがある。さらに、酸性水とアルカリ性水の2種類を使用する逆圧水洗浄においては、1回の逆圧水洗浄中に酸性水とアルカリ性水を交互に供給する場合と、酸性水で逆圧水洗浄を行った後、次回の逆圧水洗浄でアルカリ性水を使用する場合とがある。 【0019】分離膜の洗浄は次のように行う。膜ろ過装置を停止した後、まず、膜ろ過水槽14へ排出された膜ろ過水をポンプ21により抜き出して隔膜式電解装置22へ導入する。この隔膜式電解装置22では、陽極室22aで酸性水が製造され、陰極室22bでアルカリ性水が製造される。隔膜式電解装置22で製造された酸性水とアルカリ性水は、それぞれ酸性水槽23、アルカリ性水槽24へ貯留される。そして、例えば、最初に酸性水を導入する逆圧水洗浄を行う場合には、酸性水ポンプ25を起動した後、弁28を開、弁29を閉にし、酸性水を膜ろ過ユニットのろ過水側12bへ供給して分離膜を逆圧水洗浄する。洗浄排水は洗浄排水槽27へ排出される。 【0020】この際、アルカリ性水ポンブ26も起動してアルカリ性水を洗浄排水槽27へ排出し、酸性の洗浄排水と合流させる。このため、洗浄排水は中和され、その液性が元の膜ろ過水と同じ状態に戻る。 【0021】分離膜の逆圧水洗浄用に供給する酸性水又はアルカリ性水のpHは、洗浄する分離膜の種類、スケールやスライムの種類によって異なるが、通常、酸性水のpHは2〜4、アルカリ性水のpHは9〜11の範囲内の値である。分離膜の洗浄時には、酸性水又はアルカリ性水のpHが所定値になるように、隔膜式電解装置22へ通電する電流値を調節する。 【0022】次いで、オゾンを含む空気を吹き込む操作を行う。上記の逆圧水洗浄を、例えば、1分程度の短時間行った後、オゾン発生器20へ空気を導入してオゾンを含む空気を生成させ、このオゾンを含む空気を膜ろ過ユニットの被処理水側12aへ吹き込んで、バブリングする。オゾンを含む空気を吹き込むと、オゾンの強力な酸化力によって有機物等のファウリング物質が分解・低分子化されるため、逆圧水洗浄では除去できなかったファウリング物質を分解除去することができる。又、逆圧水洗浄後に、上記のバブリングを行うと、分離膜が揺動されるので、バブリング自体の作用によって、ファウリング物質が剥離して除去されると共に、オゾンの酸化作用や逆圧水洗浄によって付着力が弱められたファウリング物質の付着層が剥離して除去される。 【0023】なお、オゾンを含む空気を吹き込む操作は、逆圧水洗浄の都度、行うものではなく、何回かの逆圧水洗浄を行った後に実施する。オゾン含有空気の吹き込みは、運転条件によっても異なるが、6時間〜48時間に1回程度の頻度で実施する。 【0024】上記の実施の形態においては、上水道の浄水処理における膜ろ過装置の洗浄方法を取り上げたが、本発明は浄水処理用の膜ろ過装置の洗浄に限定されるものではなく、産業排水用の膜ろ過装置、下水処理用の膜ろ過装置、あるいは逆浸透膜を備えた脱塩処理用の膜ろ過装置にも適用することができる。 【0025】又、膜ろ過装置に備えている分離膜の種類についても、特に限定されるものではなく、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜等の分離膜の洗浄に適用することができる。具体的には、精密ろ過膜としては、公称孔径0.01〜0.5μmのもの、限外ろ過膜としては、分画分子量1,000〜20万ダルトンのものを備えた膜ろ過装置の洗浄に適用することができる。 【0026】又、膜ろ過ユニットの型式が加圧型のケーシングタイプのものであれば、膜の形状は、中空糸状、スパイラル状、チューブラ状、又は平膜状であってもよい。 【0027】 【実施例】図1と同様の構成による膜ろ過装置により、河川水の表流水(平均濁度15度)をろ過する処理を行った。この膜ろ過装置に備えた分離膜は中空糸限外ろ過膜(ポリアクリロニトリル製)で、分画分子量が13000ダルトンのものであった。膜ろ過及び洗浄条件は次のごとくにした。そして、分離膜の洗浄パターンは、酸性水とアルカリ性水による逆圧水洗浄を交互に行い、逆圧水洗浄36回に1回の頻度で、逆圧水洗浄後にオゾン含有空気によるバブリングを行った。 【0028】膜ろ過及び洗浄条件膜間差圧:70kPa洗浄間隔及び頻度ろ過時間 :20分逆圧水洗浄:60秒バブリング:60秒洗浄水のpH酸性水pH:4アルカリ性水pH:10上記の条件による運転中の膜透過流束の経時変化は図2の曲線aに示した通りであった。なお、従来の方法により、膜ろ過水による逆圧水洗浄だけを行った場合の膜透過流束の経時変化は曲線bに示した通りであった。 【0029】図2の結果によれば、膜ろ過水のみを用いる従来法による洗浄を行った場合(曲線b)には、40日の運転で、膜透過流束は初期の半分以下に低下している。このため、分離膜の目詰まりが、装置を休止して薬品等による長時間の洗浄を実施しなければならない段階に達している。 【0030】これに対し、本発明の方法による洗浄を行った場合(曲線a )には、40日の運転後においても、膜透過流束は僅かに低下しているだけであり、さらに長期間の運転を継続することができる状態になっている。 【0031】 【発明の効果】本発明によれば、水を隔膜式電解装置へ通水して得た酸性水とアルカリ性水を膜ろ過ユニットのろ過水側へ供給して分離膜を逆圧水洗浄する操作と、膜ろ過ユニットの被処理水側へオゾンを含む空気を吹き込む操作を行うので、従来のろ過水による逆圧水洗浄や空気バブリングでは除去できなかったスケールやスライムが取り除かれる。 【0032】このため、膜ろ過装置を長時間停止しなければならない薬品等による洗浄を行わなくても、分離膜の目詰まりが起こらず、長期間に亘って膜ろ過装置の運転を継続することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004123 【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年6月12日(2001.6.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100116230 【弁理士】 【氏名又は名称】中濱 泰光
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| 【公開番号】 |
特開2002−361054(P2002−361054A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月17日(2002.12.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−176959(P2001−176959) |
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