| 【発明の名称】 |
湿式吸収法を用いたガス吸収装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】右田 浩史
【氏名】曽我 康平
【氏名】森 康彦
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| 【要約】 |
【課題】湿式ガス吸収分離に使用する装置の提供。
【解決手段】吸収塔上部に、吸収塔内に供給される吸収液溜めを形成し、上記吸収液溜め底部から複数のワイヤ(線)を等間隔に懸垂した気−液接触部を設け、上記気−液接触部下部には、吸収分離されるガス含有気体導入部と、分離されるガス吸収後の気体吸収液排出部を設け、上記気−液接触部上部には吸収ガス除去後の気体排出部を設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸収塔上部に、吸収塔内に供給される吸収液溜めを形成し、前記吸収液溜め底部から複数のワイヤ(線)を等間隔に懸垂した気−液接触部を設け、前記気−液接触部下部には、吸収分離されるガス含有気体導入部と、分離されるガス吸収後の気体吸収液排出部を設け、かつ前記気−液接触部上部には吸収ガス除去後の気体排出部を設けたことを特徴とする湿式ガス吸収装置。 【請求項2】 ワイヤの外径が、0.4 〜2.0 mmであることを特徴とする請求項1記載の湿式ガス吸収装置。 【請求項3】 吸収液溜め底部に、ワイヤ外径の1.1 〜2.5 倍の内径を持つ気体吸収液供給ノズルを取付け、このノズル穴の中央部分からワイヤを懸垂して構成した気−液接触部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の湿式ガス吸収装置。 【請求項4】 吸収液溜め底部に多孔質層を設け、この多孔質層にワイヤを貫通させて気−液接触部に懸垂したことを特徴とする請求項1又は2記載の湿式ガス吸収装置。 【請求項5】 気−液接触部に懸垂される各ワイヤの水平配置状態が、断面で多数の正三角形頂点位置となっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の湿式ガス吸収装置。 【請求項6】 気体吸収液を水平方向に噴霧する1個又は複数個のノズルを気−液接触部上方に設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の湿式ガス吸収装置。 【請求項7】 気−液接触部内のワイヤ外径寸法を、直線的に太く細く繰り返して変化させたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の湿式ガス吸収装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、気液接触を利用して、特定のガス成分を混合ガスから分離するための湿式ガス吸収に関する。また、本発明は、吸収塔上部に、吸収塔内に供給される吸収液溜めを形成し、上記吸収液溜め底部から複数のワイヤ(線)を等間隔に懸垂した気−液接触部を設け、上記気−液接触部下部には、吸収分離されるガス含有気体導入部と、分離されるガス吸収後の気体吸収液排出部を設け、気−液接触部上部には吸収ガス除去後の気体排出部を設けた湿式ガス吸収分離装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、地球温暖化の抑制対策として、火力発電所等の大規模・固定型排出源からの二酸化炭素(CO2 )を回収することが緊急の課題と考えられており、それには湿式吸収法(特に化学的吸収法)が有効であると言われている。このような一般的なガス吸収装置は、例えば「化学工学便覧 改訂6版」第603 ページに紹介されている。 【0003】従来から、火力発電所、化学工業プラントなどから排出される大量の排気ガスに含まれるCO2 、SO2 又は粉塵などを除去するために色々な技術的提案がなされ、特許出願もされている(例えば特開平6−330号公報、特開平7−232031号公報、特開平8−80421号公報、特開平8−323135号公報、特開平9−308812号公報、特開2000−354728号公報、実開平5−80520号公報参照)が、効率的、経済的に有用な除去装置が開発されているとは言えない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】一方、湿式吸収法によるガス吸収操作の効率は、その操作に使用される気−液接触方式に大きく依存する。また、CO2 ・SO2 回収などの環境対策には過度のエネルギー投入を避ける必要もあり、従来より化学工業プラントに多用されてきた充填塔などとは異なった気−液接触方式の採用が必要と考えられる。 【0005】上記の要請から、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、先に本発明者らの一部が提案した、気−液熱交換操作あるいはガス吸収操作へのワイヤ上数珠状液滴列を適用する技術(「AIChE Journal ;December 1994 Vol.40,N0.12,1983〜1992」、「第36回日本伝熱シンポジウム講演論文集(1999-5;第497 ページ)」及び「AIChE Journal ;May 2000 Vol.46,No.5,937〜945 」参照)が、工業的規模における湿式ガス吸収操作の効率及び経済性向上に極めて有効であることを知見し、これを改良することによって本発明を完成するに至った。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記知見に基づいてなされた本発明は、吸収塔上部に、吸収塔内に供給される吸収液溜めを形成し、上記吸収液溜め底部から複数のワイヤ(線)を等間隔に懸垂した気−液接触部を設け、上記気−液接触部下部には、吸収分離されるガス含有気体導入部と、分離されるガス吸収後の気体吸収液排出部を設け、また、上記気−液接触部上部には吸収ガス除去後の気体排出部を設けたことを特徴とする湿式ガス吸収分離に使用する装置を要旨とするものである。 【0007】また、本発明は、外径が0.4 〜2.0 mmであるワイヤによって上記湿式ガス吸収分離に使用する装置における吸収液溜め底部に、ワイヤ外径の1.1 〜2.5 倍程度の内径を持つ気体吸収液供給ノズルを取付け、このノズル穴の中央部分から複数本のワイヤを懸垂して構成した気−液接触部を設けた上記湿式ガス吸収分離に使用する装置を要旨としている。 【0008】さらに、本発明は、吸収液溜め底部に多孔質層を設け、この多孔質層にワイヤを貫通させて気−液接触部に懸垂した上記湿式ガス吸収分離に使用する装置、気−液接触部に懸垂される各ワイヤの水平配置状態が、断面で多数の正三角形頂点位置となっている上記湿式ガス吸収分離に使用する装置、気体吸収液を水平方向に噴霧する1個又は複数個のノズルを気−液接触部上方に設けた上記湿式ガス吸収分離に使用する装置を要旨とするものである。さらにまた、本発明は、上記湿式ガス吸収分離装置において、気−液接触部内のワイヤ外径寸法を直線方向に太く細くの変化を繰り返して有するワイヤを使用することも要旨とするものである。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明の構成と作用を、図面により説明する。図1は、本発明装置の概要を示す模式断面図であり、図2は、気−液接触部2内のワイヤ表面を液滴、液膜が流下する状態を示す模式図である。 【0010】ガス吸収操作に用いられる気−液接触装置では、気−液の接触面積・時間を十分に確保するとともに気体流の圧力損失を低く抑える工夫が必要とされる。本発明の装置は、工業的規模における実用性が高く、従来使用されてきた吸収法よりも優れた優位性が期待できるものである。 【0011】本発明における吸収塔1は、従来装置に使用されているものと同様の機械的強度と化学的耐蝕性にすぐれた構造用鋼により作成されている。本発明装置の特徴とするところは、従来の気−液接触装置において使用されている気−液接触表面を構成する充填物に換えて、等間隔に複数のワイヤ3を鉛直に配置し、吸収塔上部に設けた吸収液溜め4底部に形成したノズル5穴中央部分又は吸収液溜め4の多孔質層底部に上記ワイヤ3を取付けた構造にある。上記構造により、先に発表した論文では予期されなかった気−液接触によるガス吸収操作効率が向上して、吸収装置の経済性が高くなったことが確認された。本発明の装置で使用するワイヤの外径は、0.2 〜2.3 mm程度、好ましくは0.4〜2.0 mmの範囲のものが適当である。 【0012】本発明装置における吸収液溜め4底部のノズル5穴の内径は、取付けられるワイヤ3の外径より大きくしてあるため、その間隙より、気体吸収液6がワイヤ3表面に液膜5”を形成しながら落下する。このときの上記ノズル5の内径は、取り付けられるワイヤの1.1 〜2.7 倍程度、好ましくは1.1 〜1.5 倍程度が好適である。上記ノズル5穴とワイヤ3との間隙の大きさは、気体吸収液の単位時間当たりの流下量、液の粘性により決定される。 【0013】上記ノズル5に替えて、吸収液溜め4底部に多孔質層を設け、この多孔質層にワイヤ3を貫通させてその表面に浸出する気体吸収液を流下させるようにしてもよい。多孔質層の液体浸出量は、多孔質層の気孔度によって決まるが、上記したノズル5の場合と同様の条件になるような気孔度のものが選定される。 【0014】図3に示すように、ワイヤ3の配置は、上方からみて、正三角形の頂点となる位置が、吸収塔内の配置数や、構造的、強度的にも有利である。ワイヤ3は同一径でなく、途中に複数の膨らみを持たせることにより、流下する液滴の大きさを変化させて、上昇する気体との接触をより多くすることが出来る。 【0015】図4に示すように、吸収塔1上部に設けた吸収液溜め4の代わりに、フラットスプレーノズル14を用いて、ワイヤ3上部に気体吸収液6を噴霧することにより、ワイヤ3表面に気体吸収液6を流下させるようにしてもよい。この方式では吸収塔1上部の構造が簡単になるものの、すべてのワイヤ表面に均等な液膜5”の形成をすることが困難であり、それを防ぐためには、複数のノズル14を等間隔に配備して気−液接触域全体にわたり噴霧が一様に行なわれるようにするとよい。 【0016】気−液接触部2下方には吸収分離されるべきガスを含む混合ガス8供給口7が設けられ、気−液接触部2に供給される気体吸収液量に見合う割合で混合ガスが送入される。ワイヤ表面上に供給された気体吸収液6は、ワイヤをくるむ円筒状の薄い液膜5”と、その上に等間隔に配列された液滴5’となって上昇する混合ガス8と接触しながら流下する。液膜5”に比べより大きな流下速度を持つ液滴5’が次々と液膜5”上を流れることにより、吸収液6の内部は撹拌され、周囲の混合ガス8から所定のガスを効果的に吸収し続けることができる。吸収液6の流下速度と、混合ガス8の上昇速度により、吸収効率、除去効率が影響される。最適の条件は、装置の規模に応じて実験的に決定される。 【0017】 【実施例】実施例に基いて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0018】本発明装置の効果を確認するために実験装置を作成し、従来よりガス吸収に使用されている充填塔との性能比較を行なった。図1にその概要を示すガス吸収塔1の本体は、内径70 mm のアクリル樹脂円筒管である。塔内上部に吸収液溜め4が設けられ、その底板には18-8ステンレス鋼製ノズル5(内径1.12 mm )が6mm間隔で差込まれている。 【0019】各ノズル5に1本の、18-8ステンレス鋼製ワイヤ3(外径0.88 mm )を通し、合計109 本のワイヤ3が塔内に等間隔で配列されているようにした。プランジャーポンプにより吸収液溜め4に送られたモノエタノールアミン(MEA )水溶液よりなる吸収液6は、ワイヤ3とノズル5穴との間隙からワイヤ3表面上に流下する。 【0020】一方、ガス混合装置によって、流量・圧力を調整されたN2/CO2混合ガス8(CO2モル分率0.1)が、塔下部のガス供給口7から流入される。塔内で気−液接触を終ったガス吸収済み液10は、塔下部のサンプリング口9より採取される。各サンプル中のCO2量は、沈澱滴定法により測定した。気流中の圧力損失は塔側面に設けた2箇所の穴に1.6 mm(1/16インチ)の18-8ステンレス鋼チューブを差込み、ディジタル微差圧計12により測定した。 【0021】実験条件を以下に示す。 混合ガス 見かけの流速(VG) 0.065 〜0.217 m/s CO2モル分率 0.1 吸収液 見かけの流速(VL) 0.30〜1.26 mm/s 濃度(CMEA) 15,30 wt % 有効コラム高さ(Z) 0.3 ,0.6 m 全圧力 0.101 MPa 温度 25±1℃【0022】実験結果は、CO2吸収効率E(吸収液が最大限吸収し得るCO2量に対する実際に吸収されたCO2量の比)、CO2除去速度M(単位時間当たりに吸収塔内から除去されるCO2の質量)の2つを指標にして整理した。 E=(CB−CT)/(CSAT−CT) (1) M=(CB−CT)VL (2) ここでCは吸収液中のCO2濃度[Kg/m3 ]、VLは吸収液体積流量[m3/s ]、添字B、T、SATは、それぞれ塔底、塔頂、飽和状態を示す。15 wt %MEA 水溶液を用いた場合の実験結果を図5に、異なる濃度の吸収液による結果を図6に示す。 【0023】実験結果から、吸収効率は吸収液空塔速度の増加に伴い減少している。これは吸収液空塔速度が増すと液滴の降下速度も増し、気−液接触時間が減少したためと考えられる。一方、除去速度は吸収液空塔速度の増加に伴い上昇している。これは、吸収液空塔速度が大きいほど液滴の生成頻度が高く、気−液接触面積及び液膜の更新頻度が増大するためであると考えられる。しかし、吸収液空塔速度の増加にともなう除去速度の上昇は穏やかであり、吸収液空塔速度を比較的低く(0.4 mm/s程度まで)抑えることが操作の経済性の面で好ましいことがわかる。 【0024】吸収効率、除去速度ともに、ガス空塔速度の増加に伴い増大している。これはガス空塔速度が増すことで塔上方に向かってのガス内CO2濃度の低下が抑えられ、塔上部においてもCO2の吸収速度が高く維持されることによると考えられる。 【0025】同一の吸収液空塔速度では、30 wt %MEA 溶液による除去速度が、15 wt %MEA 溶液による除去速度を15〜25%上回っている。これは、吸収液内における溶存CO2とMEA との反応速度が30 wt %MEA 溶液において、より高いことに加え、より高粘度の30 wt %MEA 溶液はワイヤ上でより多数の液滴を形成して、より大きな気−液接触面積を保持することにもよっていると考えられる。 【0026】吸収液空塔速度を2倍にすることと、吸収液濃度を2倍にすることは、使用するMEA量の増大に関しては等価であるが、図6の結果は、除去速度の向上については、吸収液濃度の増大がより効果的であることを示している。 【0027】図5の実験結果より、気・液それぞれの空塔速度VG[m/s ]、VL[mm/s]を変数として次のような相関式を作成した。 E=0.367VG0.35VL -0.9 (3) 式と実験結果との比較を図7に示す。吸収効率はガス空塔速度よりも吸収液空塔速度により強く依存していることがこの相関式において確認できる。 【0028】比較対象の充填塔の充填物には、1.27 cm(1/2 インチ)磁器製ラシヒリングを想定した。充填塔における除去速度は、充填塔の容量係数に関する恩田(Onda)などの実験式により算出し、気流の圧力損失は、レーバ(Leva)の実験式より推算した。 【0029】同一の有効高さ(気−液接触部の高さ)を有する本発明の濡れワイヤ塔のコラム気−液接触部と従来の充填塔におけるCO2 吸収効果及び圧力低下についての比較を図8、図9に示す。除去速度については、両者はほぼ同等の値を示している。しかし、本発明の濡れワイヤ塔におけるコラム気−液接触部内の気流の圧力損失は、充填塔内のそれの1/10〜1/100 と非常に小さいことがわかる。 【0030】以上の結果から、本発明の濡れワイヤ塔のコラム気−液接触部2は、充填塔に匹敵する吸収能力を持つ一方、気流に課せられる圧力損失ははるかに低く、省エネルギー操作に適した吸収装置を提供し得ることが明らかとなった。 【0031】 【発明の効果】本発明は、以上説明したように、従来装置と同等のガス吸収速度を有すると同時に、塔内気流の圧力損失が大幅に減少し、操作エネルギーを節約できることによって、経済性が高く、産業上極めて有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】899000079 【氏名又は名称】学校法人 慶應義塾
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| 【出願日】 |
平成13年4月27日(2001.4.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100105061 【弁理士】 【氏名又は名称】児玉 喜博
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| 【公開番号】 |
特開2002−320815(P2002−320815A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月5日(2002.11.5) |
| 【出願番号】 |
特願2001−131362(P2001−131362) |
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