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【発明の名称】 コマ玩具用転がり軸受ユニット
【発明者】 【氏名】武村 浩道

【氏名】大滝 亮一

【氏名】山下 勝義

【氏名】西脇 直哉

【氏名】田中 毅

【氏名】安藤 均

【氏名】村田 珠美

【要約】 【課題】コマ玩具本体をスムーズに回転させ、且つ回転軸を静止させることにより、より長時間に回転運動を持続させるコマ玩具用転がり軸受ユニットを提供することである。

【解決手段】コマ玩具本体1と回転軸3とから構成されると共に、該コマ玩具本体1と回転軸3とが独立して回転可能に構成され、回転軸3は深溝玉軸受5により支持されると共に、回転軸外径3cと内輪内径7aとの嵌め合い公差を回転軸外径3cの±10%以内とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】回転操作具を介して回転力が与えられ、コマ玩具本体と回転軸とから構成されると共に、該コマ玩具本体と回転軸とが独立して回転可能に構成されているコマ玩具であって、回転軸は深溝玉軸受により支持されると共に、回転軸と軸受内径との嵌め合い公差を回転軸外径の±10%以内としたことを特徴とするコマ玩具用転がり軸受ユニット。
【請求項2】深溝玉軸受は少なくとも一個を設置し、該軸受はシール機構を介してグリースを封入していることを特徴とする請求項1に記載のコマ玩具用転がり軸受ユニット。
【請求項3】深溝玉軸受の軌道輪をステンレス製としたことを特徴とする請求項1若しくは2のいずれかに記載のコマ玩具用転がり軸受ユニット。
【請求項4】軸受にテンパー処理をおこない、軸受端面および外径またはシール面に色をつけたことを特徴とする請求項1若しくは2のいずれかに記載のコマ玩具用転がり軸受ユニット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転操作具を介して起動させることのできるコマ玩具において、良好な回転を継続させるコマ玩具用転がり軸受ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】一般的なコマ玩具は、軸に紐を巻きつけ、巻きつけた紐を巻き戻す勢いで回転力を与えなければならないうえ、回転軸(シャフトともいう)と一緒に本体も回転してしまう問題があった。従って、接地面とコマ玩具との間において、大きな抵抗が発生するため、短時間にて停止してしまうものであった。これでは、面白味に欠け昨今の児童たちには受け容れられ難いものである。
【0003】そこで、回転軸の接地面を選ばない回転特性を備えた新規なコマ玩具が提供されている。このコマ玩具は、コマ玩具本体と回転軸とから構成され、ピニオン・ラック機構を備えたシュータという回転操作具を使用してコマ玩具本体に回転力を与え、該回転力を与えると共に操作具から外れたコマ玩具が回転するものである。このコマ玩具は、回転軸の接地面が、砂や小石の多い道路、畳、絨毯やカーペットなどの上であっても、接地面とコマ玩具との間に大きな抵抗を発生させず長時間回転し続けることを可能としている。すなわち、コマ玩具本体と回転軸とを独立に回転させるものとし、そのために、ベアリングを介する機構が採用されている。具体的には、上記回転軸の先端部上側は深溝玉軸受により支持され、最上部は合成樹脂製のすべり軸受機構により支持されている。一般に、玩具用軸受ユニットとしては、プラスチックなどによるすべり軸受機構を有したものが回転軸を支持する機構として良く使用されている。これは、回転軸が高速回転しない場合、すべり機構とすることにより安価に製造することができるため一般に広く普及しているものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従来技術には次のような課題が残されていた。すなわち、回転軸と軸受との嵌め合いに関して、明確に設定していなかったため、コマ玩具本体の回転と共に、回転軸も遅れて回転し大きなロスを生じていた。これは、軸受内径と回転軸とによる一種のすべり機構になり、回転トルクの影響が作用していたためである。更に、シール機構については特に検討されていないため、砂地などの場所にてコマ玩具を使用する際は、異物(硬い砂)が軌道面に圧痕を生じ、異音を発生したり、早期にはくりを生じる場合がある。
【0005】本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みなされたもので、コマ玩具本体をスムーズに回転させ、且つ回転軸を静止させることにより、より長時間に回転運動を持続させるコマ玩具用転がり軸受ユニットを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するために本発明がなした技術的手段は、回転操作具を介して回転力が与えられ、コマ玩具本体と回転軸とから構成されると共に、該コマ玩具本体と回転軸とが独立して回転可能に構成されているコマ玩具であって、回転軸は深溝玉軸受により支持されると共に、回転軸と軸受内径との嵌め合い公差を回転軸外径の±10%以内としたことである。上記深溝玉軸受は、少なくとも一個を設置し、該軸受はシール機構を介して最適なグリースおよびグリース量を選定し封入している。また、深溝玉軸受の軌道輪をステンレス製としたことである。軸受にテンパー処理をおこない、軸受端面および外径面またはシール面に色をつけたことである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面によって本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態は本発明コマ玩具用転がり軸受ユニットを説明するための一実施形態にすぎず、何等これに限定解釈されるものではなく本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0008】図1はコマ玩具の中央縦断概略図を示す。コマ玩具は、コマ玩具本体1と回転軸3とで構成され、コマ玩具本体1と回転軸3とは独立に回転する構成とする。すなわち、コマ玩具本体1内に設けたハウジング2と、回転軸3と、ハウジング2と回転軸3との間に配される深溝玉軸受5とによって軸受ユニット9が構成され、該深溝玉軸受5によってコマ玩具本体1と回転軸3とが独立して回転可能としている。従って、コマ玩具が回転している時は、たとえ回転軸3が回転を停止してもコマ玩具本体1は回転軸3とは無関係に回転を継続することができる。コマ玩具本体1は、本発明においてその形状や材料などの具体的構造の説明を省略するが、特に限定解釈されるものではなく、前述のシュータを使用するこの種のコマ玩具において周知のコマ玩具本体構造が適宜選択可能で、本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0009】回転軸3の先端(接地方向下端)には、円錐形のコマ回転中心ローラ(接地部)4が固定されている。なお特に限定解釈される構成ではないが、回転軸外径3cとローラ4の内径との間に転がり軸受を配し、上記ローラ4が回転軸3とは独立に回転可能な構成とすることも可能で本発明の範囲内である。なお、本発明において、回転軸3の先端に取り付けてあるコマ回転中心ローラ(接地部)4は、通常プラスチックを用いているが、これをゴム材料とすることも可能である。このようにすることで、競技盤とコマ回転中心ローラ4の抵抗が大きくなるが、本発明においてコマ玩具本体1と回転軸3の間は深溝玉軸受5の抵抗のみで周り続けることになるため、コマ回転中心ローラ4が固定され、従来と比較して長時間連続して周ることになる。
【0010】深溝玉軸受5は、構成的には周知のものを採用するため図ではその概略のみ示し、具体的な構造について図示省略するが、軌道輪(外輪6と内輪7)と、該軌道輪間に複数個組み込まれる玉8とで構成され、必要に応じて保持器を配したり、シール機構を介してグリースを封入している。深溝玉軸受5は、少なくとも一つ配されており、外輪外径6aをハウジング内面2aに、内輪内径7aを回転軸外径3cに夫々嵌合固定している。本実施形態では、回転軸3の先端部3aの上側に一個、そして回転軸3の最上部3bに一個の計2個を配している。また、最上部3bの深溝玉軸受5をすべり軸受機構に代えてもよい。深溝玉軸受5の配設数は特に限定解釈されない。なお、ハウジング2は、その外観形状など特に限定解釈されないが、コマ玩具本体1内に着脱不能に固着される構成であっても良く、また着脱可能にコマ玩具本体1内に固定される構成としてもよい。回転軸3と深溝玉軸受5の内輪内径7aとの嵌め合い公差は、回転軸外径3cの±10%以内とする。
公差比=(内輪内径−回転軸外径)/内輪内径シール機構は、低トルクのため非接触シール・シールドが好ましいが、必要に応じて接触シールを採用することも可能である。特にそのシール機構に限定解釈されず、本発明の範囲内で周知の構成が適用可能である。グリースを軸受内にシール機構を介して封入する場合、好ましいグリース量としては、軸受空間容積の5〜25%が好ましく、30%を超えるとトルクが大きくなり、短時間にて停止することが考えられる。
【0011】また、競技において屋外が想定される場合は、深溝玉軸受5の材料をステンレス製にすることにより軌道面への錆の発生を防止することができ、長時間回転することができる。
【0012】更に、深溝玉軸受5の錆を防止する安価な手段として、軸受5を空気中にて150〜300℃で加熱することにより、軸受(外輪6と内輪7の夫々の軸受端面・外径面・シール面など)5にFeの酸化膜を生成することが可能となる。表1に、テンパー処理温度の違いと軸受外観の色との関係を示す。
【0013】
【表1】

【0014】また、シール機構やグリース無しの仕様とすることも本発明の範囲内で可能であり、このような仕様とした場合、長期仕様に関しては軌道面に摩耗が発生して問題となるが、競技用等の短時間仕様とする場合に関しては、抵抗が最も小さくなるため好ましい仕様と考える。
【0015】
【実施例】この種のコマ玩具に使用されている一般的なシュータ(回転操作具)を用いて回転力を与え、直径φ50mmのプラスチック製競技盤上で、どの位の時間連続回転するかの耐久試験を行なった。その結果を表2に示す。試験に用いたコマ玩具は、各実施例では、実用新案登録第3068612号に開示されているコマ玩具をベースとし、回転軸を支持する軸受機構としては、径がφ2mmの回転軸(シャフト)3と、φ5mmのハウジング内面2aとの間に、深溝玉軸受5,5を回転軸3の先端部3a側と最上部3b側に夫々一つずつ計2個配して構成したコマ玩具とした。一方各比較例は、実用新案登録第3068612号に開示されているコマ玩具を用いた。各実施例および各比較例では、回転軸3の外径3cをそれぞれ違えて軸受を作成した。軸受内には、ENSグリースを空間容積に15%と封入した。また競技において室内で行なったため、水の浸入の可能性は認められなかったので、使用軸受材料は通常の軸受鋼2種にて試験した。
【0016】
【表2】

【0017】実施例1は、組み立て性が非常に楽であり、連続回転時間は、従来仕様(比較例1)と比較して二倍の延長効果となった。これは、回転軸3と内輪7の嵌め合い交差がルーズであったが、ガタが小さいため振動が抑制された効果による。実施例2に関しては、回転軸3と内輪7の内径7aをタイトで作成したため、回転軸3と内輪7とのガタはなく、振動が低くなり、比較例1と比較して3倍長くなった。実施例3に関しては、回転軸3の材質が軟鋼であったため、軸受5のしまりばめとなり、且つ、軸受すきまが0μmとなっていたため、軸受トルクが最も低く、連続回転時間は比較例1と比較して4倍長寿命となった。比較例1(従来例1)は、内輪7と回転軸3の嵌め合い公差がルーズで25%であったため、内輪7の回転とともに回転軸3も回転し、内輪7と回転軸3が一種のすべり軸受のような仕様され方となっていたため、3分間の回転であった。比較例2(従来例2)に関しては、回転軸径を2.4mmと大きく設定したため組み付け性がもっとも悪く、かつ組み付け時において、内輪軌道面に圧痕を生じたため、振動が大きくなり、比較例1(従来例1)と比較して半分の時間の1分30秒にて停止した。一般にグリースやシール機構を持つと、コマ玩具用軸受としては、抵抗が大きくなり、長時間の回転運動に対し、不利に作用すると考えられているが、上述の結果からも明確に判るように、本発明の構成とした軸受ユニット9であれば、グリースやシール機構を設けた各実施例軸受であっても従来例と比して長時間の回転時間が得られている。また、グリースやシール機構を持つことにより、砂地や水辺(例えば溜池付近)などの環境下においても、転がり軸受の回転をスムーズに行い、長時間回転運動を持続させることが可能となる。
【0018】
【発明の効果】本発明は、上述の通りの構成とし、コマ玩具本体をスムーズに回転させ、且つ回転軸を静止させることにより、より長時間に回転運動を持続させるコマ玩具用転がり軸受ユニットの提供が図れた。
【出願人】 【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
【出願日】 平成13年4月24日(2001.4.24)
【代理人】 【識別番号】100089381
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 謙二
【公開番号】 特開2002−320781(P2002−320781A)
【公開日】 平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願番号】 特願2001−126761(P2001−126761)