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【発明の名称】 地震安全器
【発明者】 【氏名】後閑 始

【要約】 【課題】地震発生時電気器具の電源を遮断して火災等の2次災害を防止する地震安全器を提供する。

【解決手段】電源側のコンセントに差し込まれるプラグ刃12を有するケーシング11内に、引張りコイルばねとしての上部及び下部ばね21、22により、導電材質の重錘23を弾性的、かつ垂直方向及び水平方向に変位可能に吊設し、一方、この重錘23を包囲するようにして、断面L字形で導電材質の集電体24を配設し、重錘23には電源側のコンセントの陽極電圧を印加すると共に、集電体24を接地し、地震発生時ケーシング11内で振動する重錘23が集電体24に接触したとき、この接触を屋内に既設されている漏電ブレーカーにより検知して、漏電ブレーカーの機能により電気器具の電源を遮断する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 建物の内壁に設置された電源側のコンセントに差し込まれるプラグ刃をケーシングの一端に突設し、このプラグ刃により建物の内壁に装着される縦長の筒状のケーシングと、このケーシングの内側において、上部及び下部弾性条帯を介してケーシングの上端及び下端に接続され、弾性的に、かつ垂直方向及び水平方向に変位可能に吊設された導電材質の重錘と、この重錘とケーシングを電気的に接続する導線と、上記重錘と所定の間隔を保ってこれを包囲する導電材質で筒状の集電筒、及びこの集電筒の上端または下端に、重錘との間に所定の間隙を保って一体に結合され、中央に重錘の弾性条帯が遊動できる開口を形成した導電材質の集電板よりなる集電体とを有し、上記重錘には電源側のコンセントの陽極電圧を印加すると共に、集電体を接地したことを特徴とする地震安全器。
【請求項2】 上記ケーシング内の上端及び/又は下端の弾性条帯との接続部を上下方向に移動可能にしたことを特徴とする請求項1記載の地震安全器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、地震安全器に係り、特に、大地震の発生時に地震の振動を利用して漏電ブレーカーを作動させ、以て負荷に掛かる電源を遮断して火災の発生等を防止する地震安全器に関する。
【0002】
【従来の技術】最近における度重なる地震災害の発生に伴い、電気ストーブ等の大型の家庭電化製品では、その機器自体にカムやレバー機構を応用した電路遮断装置が付設されており、地震による火災の発生防止措置が講じられている。
【0003】また、ある種の電路遮断装置は、室内のコンセントと電気器具との間に挿設され、例えば振動によって落下する重錘の動きを利用して内蔵されたスイッチを閉成するように構成されている。
【0004】更にまた、ブレーカーに、地震の振動で傾動する短絡棒により作動し、個々のブレーカーを作動させる対震スイッチ遮断器も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、家庭電化製品の内でも、例えばトースター等小型のものや、ヘアードライヤー等手で振り回して使用するものは組込むためのスペースが無いので、機器自体に電路自動遮断装置を付設することはできず、地震に対する火災の発生防止措置は講じられていない。
【0006】また、上記室内のコンセントと電気器具との間に挿設される電路遮断装置は、電気器具毎に、或いはコンセント毎に電路遮断装置を設ける必要が有り、費用が掛かるばかりでなく、例えばその感度の設定や管理等が面倒である、という不都合がある。
【0007】更にまた、ブレーカーの前記した短絡棒による対震スイッチ遮断器は、資格のある電気工事士に取付工事を依頼しなければならず、簡単に設置することができない、という恨みが残る。
【0008】この発明は、家庭においていわゆる素人でも簡単に設置でき、地震時その振動を利用して漏洩電流を発生させ、電気回路元の漏電ブレーカーを作動させることにより同時に多数の電気器具の電源を遮断する地震安全器を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、建物の内壁に設置された電源側のコンセントに差し込まれるプラグ刃をケーシングの一端に突設し、このプラグ刃により建物の内壁に装着される縦長の筒状のケーシングと、このケーシングの内側において、上部及び下部弾性条帯を介してケーシングの上端及び下端に接続され、弾性的に、かつ垂直方向及び水平方向に変位可能に吊設された導電材質の重錘と、この重錘とケーシングを電気的に接続する導線と、上記重錘と所定の間隔を保ってこれを包囲する導電材質で筒状の集電筒、及びこの集電筒の上端または下端に、重錘との間に所定の間隙を保って一体に結合され、中央に重錘の弾性条帯が遊動できる開口を形成した導電材質の集電板よりなる集電体とを有し、上記重錘には電源側のコンセントの陽極電圧を印加すると共に、集電体を接地したことを特徴とする。
【0010】また、請求項2に記載の発明は、上記ケーシング内の上端及び/又は下端の弾性条帯との接続部を上下方向に移動可能にしたことを特徴とする。
【0011】
【実施例】以下、図面に示す実施例に基いて、この発明について説明する。図1及び図2において、地震安全器10はプラスチック等、電気絶縁材からなる略中空円筒状の縦長のケーシング11を有し、ケーシング11の上部には同じ横断面形状の突起部11aが一体に接続されている。
【0012】この突起部11aには水平方向に延伸するプラグ刃12が電気的に絶縁された状態で装着され、このプラグ刃12は平行な一対の刃体12a、12bから構成されている。このプラグ刃は後述するように電源側のコンセントに差し込まれる。
【0013】なお、これはこの発明の必須の構成要件ではないが、上記プラグ刃12は水平軸12c(図2参照)の回りを90度回動できるように構成されており、例えば壁面に固定されたコンセントにプラグ刃12を差込むときには、図1及び図2に実線で示すように、プラグ刃12を水平にする。
【0014】また、コンセントが適当な箇所にない壁面にこの地震安全器10を装着するときには、例えば図1及び図2に鎖線で示すようにプラグ刃12を上方に向け、一端に他のプラグ刃を、他端にコンセントを夫々装着した延長コードを介して遠方のコンセントに接続する(図示せず)。
【0015】この場合、地震安全器10自体が延長コードの下端でブラブラして不安定になるから、複数の取付け用のブラケット11d、11dを使用して小ねじ等により内壁70に固定すると良い。なお、プラグ刃を回動できるプラグは市販されているから、それを利用することもできる。
【0016】一方、ケーシング11の上端面11bの内面にはばね取付部材13が固定されており、下端面11cの内面にはナット14が固定されている。
【0017】そして、上記ナット14には調整ねじ16が上下動可能に螺合されており、調整ねじの頭部はケーシングの下端面11cから下方に突出している。
【0018】また、調整ねじ16の内端には、ばね取付部材15が回動可能に取付けられていて、このばね取付部材15は、上記調整ねじ16の回転を後述の下部ばね22に伝えないように遮断する捩れ止めとしての機能を有している。
【0019】一方、上記したばね取付部材13とナット14との間には、夫々引張りコイルばねとしての上部及び下部ばね21、22を介して、導電材質で例えば外形がパンケーキ形の重錘23が弾性的に吊設されている。
【0020】すなわち、ばね取付部材13には上部ばね21の上端が固定され、ばね取付部材15には下部ばね22の下端が固定されており、上部ばね21の下端と下部ばね22の上端との間には重錘23が垂直方向及び水平方向に変位可能に連結されている。
【0021】上記上部及び下部ばね21、22は、ばね鋼或いは隣青銅等、導電性で弾性のある材料から作られており、従って、上部ばね21の上端と重錘23とは電気的に通じている。
【0022】図示の実施例では、上記したように、重錘23をばねで吊るものとしたが、重錘23は必ずしも金属製のばねで吊る必要はなく、例えばゴム紐等の弾力性に富む紐や細い帯(以下単に弾性条帯と総称する)で吊っても良い。
【0023】但し、この場合、重錘23とケーシング11とを電気的に接続する導線(図示せず)を必要とする。上記した上部及び下部ばね21、22は弾性条帯と導線とを兼ね備えた構成部材である。
【0024】一方、ケーシング11の内面のほぼ中央部には、導電材質の集電体24が重錘23を包囲するようにして配設されている。
【0025】上記集電体24は、重錘23と所定の間隔26を保ってこれを包囲する筒状の集電筒24bと、この集電筒24bの上端及び/又は下端(図示の実施例では上端)に、重錘23との間に所定の間隔25を保って一体に結合された集電板24aよりなる。
【0026】上記集電板24aの中央には円形の開口が形成されていて、この開口内を上部ばね21が遊動できる状態で挿通されている。
【0027】なお、図示の実施例では集電板24aは集電筒24bの上端に結合されているものとしたが、これは集電筒24bの下端に結合してもよい。
【0028】上記した構造により、この発明による地震安全器において、重錘23、上部ばね21及び下部ばね22から成る振動系を構成し、ケーシング11が外力により変位されたとき、重錘は変位の方向により垂直、水平、或いは斜め方向に振動をおこす。
【0029】ケーシング11の変位量を一定とした場合、重錘23の振幅は上部ばね及び下部ばねのばね常数により決定され、調整ねじ16を下方に下げて上部ばね及び下部ばねを伸長させると、ばね常数は大きくなって重錘の振幅は小さくなり、逆に調整ねじ16を上方に上げると、ばね常数は小さくなって重錘の振幅は大きくなる。
【0030】しかして、ケーシング11が地震による振動を受けたとき、重錘が振動して重錘と集電体24とが接触する、すなわち上記した隙間25或いは隙間26がゼロとなるように設定されており、かつ、調整ねじ16の操作により、この接触状態となる地震の震度を変えることができ、調整ねじの上下方向の移動量と震度との関係は予めキャリブレーションされている。
【0031】なお、図示の実施例ではケーシング11の下方に調整ねじを設けるものとしたが、これは上方に設けても、また、上方及び下方の双方に設けてもよく、双方に設けた場合には、この発明による地震安全器の検知震度の調整の幅を大きくすることができる、という別の利点が生じる。
【0032】又、垂直方向の隙間25及び水平方向の隙間26を設定したことにより、縦揺れの地震及び横揺れの地震にも対応可能である。
【0033】他方、図1及び図2に示すように、ケーシング11の側面を貫通するようにしてアース端子50が接続され、このアース端子50は集電体24に電気的に接続されている。
【0034】更にケーシング11の外側面にはパイロットランプ30及び切替スイッチ40がプラグ刃12に近接した位置に取付けられ、後述するようにプラグ刃12に電気的に接続されている。
【0035】また、図1において、符号70は建物の内壁を示し、この内壁70にはプラグ刃を受入れるコンセント80が装着されている。
【0036】そして、コンセント80には地震安全器10のプラグ刃12が差し込まれて機械的に固定され、かつ電気的に接続される。
【0037】又、ケーシング11に複数の取付け用のブラケット11d、11dを形成し、これらのブラケットを使用して小ねじ等により内壁70に固定しても良い。
【0038】この発明の一実施例による地震安全器10は以上のように構成されているから、地震が発生したとき、地震の振動はブラケット11d及びプラグ刃12を介してケーシング11に伝達される。
【0039】一方、この地震安全器10の電気回路は以下に述べるように構成されている。すなわち、図3の電気回路図において、説明の都合上、プラグ刃12をコンセント80に差し込んだとき、刃体12aは電源の陽極に、刃体12bは電源の負極に接続されるものとする。
【0040】刃体12a及び刃体12bは夫々切替スイッチ40の切替接点40a及び接点40bに接続され、切替スイッチの出力側の端子40cは電路61、63を通して重錘23に通じている。
【0041】また、切替スイッチ40の出力側の端子40cは、電路61、62を介してパイロットランプ30の入力端子ににも接続されている。
【0042】更にまた、パイロットランプ30の出力端子は、大きな抵抗器31を介して電路64、66を通り、アース端子50に到ってアース60に通じている。すなわち接地されている。
【0043】また、集電体24は、電路65、66を通ってアース端子50に到り、接地されている。
【0044】そして、図3に示すように切替スイッチ40を実線の位置にして端子40cをプラグ刃12aに接続すると、パイロットランプ30には陽極電圧が印加されてパイロットランプは点灯される。
【0045】一方、切替スイッチ40を鎖線の位置にすると、切替スイッチの端子40cはアース極に通じた刃体12bに接続される。よって、パイロットランプは点灯しない。
【0046】上記した操作により、パイロットランプ30が点灯されれば切替スイッチの端子40cに陽極電圧が印加されたことを確認できる。
【0047】なお、刃体12aが負極に、刃体12bが陽極に接続されている場合には切替スイッチ40を図3の鎖線位置に切替えることにより切替スイッチの端子40cに陽極電圧を印加することができる。
【0048】一方、重錘23には陽極電圧が印加されているが、アースに通じている円筒との間には隙間25、26が形成されているために通常の状態では電流は流れない。
【0049】他方、大地震が発生し、重錘23が振動により変位して隙間25或いは隙間26がゼロになると、電路63及び電路65を介して重錘23が接地され、その結果、後述するように漏洩電流が発生して漏電ブレーカーが作動する。
【0050】なお、パイロットランプ30は非常に小さな電流で点灯可能なネオンランプ等を使用することにより、ネオンランプ点灯による漏電ブレーカーの作動を防止するように回路設計がなされている。
【0051】一方、図4において符号90は電力供給者と電力受給者との間の管理限界を示し、管理限界90の向って左側には電力供給者のブレーカー100が設置され、このブレーカー100の容量は電力契約量に応じた容量に設定されている。
【0052】管理限界90の向って右側には電力受給者の漏電ブレーカー110が接続され、漏電ブレーカー110の出力側には配線容量に応じた容量の複数のノンフューズブレーカー120が接続され、更に各ブレーカーの出力側には複数のコンセントや電気器具が接続されている。
【0053】漏電ブレーカー110は漏電ブレーカーの出力側において漏洩電流が発生すると、漏電ブレーカーが作動して電源を遮断し、火災の発生等を防止する構成となっていることは周知の通りである。
【0054】漏洩電流は電源の陽極が建物の一端に接触すること等により発生するのが普通であるが、この発明では、複数のコンセント80のうちの任意のコンセントに地震安全器10を取付けて前述した重錘23の変位を利用して集電体24に接触させて接地させ、電路の遮断に利用する。
【0055】通常の状態では地震安全器の重錘23は集電体24から離間しており、地震により重錘23が集電体24に接触すると陽極が接地されて漏洩電流を発生する。
【0056】この漏洩電流を検出した漏電ブレーカー110は、その本来の機能により作動して室内の全電気器具の電源を遮断し、電気機器により発生の可能性のある火災を防止することができる。
【0057】上記のように構成されたこの発明の一実施例による地震安全器は、漏電ブレーカー110の出力側に接続されたコンセント80のうちの任意のコンセントにプラグ刃12を差し込み、要すればブラケット11d、11dを利用してケーシング11を内壁70に固定する。
【0058】この場合、漏電ブレーカーとコンセントとの間のブレーカー120の有無は関係無い。また、プラグ刃が差し込まれるコンセントは成可く住居人の動きの邪魔にならない位置にあるものを選択することが望ましい。
【0059】次いで、アース端子50にアース線を接続する。なお、パイロットランプ30が点灯すれば切替スイッチ40はそのままとし、パイロットランプが点灯しなければ切替スイッチを反対側に切替え、パイロットランプの点灯を確認する。
【0060】そして、調整ねじ16を操作して、予めキャリブレーションされている任意の震度位置に設定する。以上で取付けが完了し、地震が発生したときには上記したように作動する。
【0061】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、この発明は、建物に固定された電源側コンセントとアース線との間に介在させるだけで、地震が発生した場合に漏洩電流を発生させて漏電ブレーカーを作動させることができ、火災の発生を未然に防止できるという防災上絶大な効果を奏する。
【0062】また、この地震安全器は取付に際し電気工事士に頼る必要が無く、各家庭で簡単に設置することができる。
【0063】更にまた、電源を遮断する機能は既に設置されている漏電ブレーカーの機能を利用しているので、この地震安全器自体は小型かつ安価であり、設置しても邪魔にならず、また、電力消費も殆どなく、加えて信頼性も高い、等種々の効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】597107504
【氏名又は名称】後閑 始
【出願日】 平成13年4月26日(2001.4.26)
【代理人】 【識別番号】100078097
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 岳雄
【公開番号】 特開2002−320685(P2002−320685A)
【公開日】 平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願番号】 特願2001−130112(P2001−130112)