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【発明の名称】 放射線治療装置
【発明者】 【氏名】宮野 巌

【要約】 【課題】治療台を移動せずに定位法治療が可能な放射線治療装置を提供する。

【解決手段】架台2に支承された水平回転軸5を中心に回転自在なアーム6、アーム6に取付けられ、かつ水平回転軸5の軸線O3上に設けられたアイソセンタとO1へX線を照射するX線照射ヘッド7と、治療する患者の標的体積がアイソセンタO1と一致するよう患者を載置する治療台10とを備えた放射線治療装置に、アイソセンタO1を通る垂直軸O2を中心に旋回自在に架台2を支承するガイド手段4と、垂直軸O2を中心に架台2を旋回駆動する旋回駆動手段8とを設けたもので、床に固定された治療台10に対し、アイソセンタO1を通る垂直軸O2を中心に架台2が旋回されるため、架台2の旋回中心とアイソセントリック床回転が常に一致し、これによってアイソセントリック床回転における標的体積の位置精度を飛躍的に高めることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 架台に支承された水平回転軸を中心に回転自在なアームと、前記アームに取付けられ、かつ前記水平回転軸の軸線上に設けられたアイソセンタへX線を照射するX線照射ヘッドと、治療する患者の標的体積が前記アイソセンタと一致するよう患者を載置する治療台とを備えた放射線治療装置であって、前記治療台を床に固定すると共に、前記架台と床の間に、前記アイソセンタを通る垂直軸を中心に旋回自在に前記架台を支承するガイド手段と、前記垂直軸を中心に前記架台を旋回駆動する旋回駆動手段とを設けたことを特徴とする放射線治療装置。
【請求項2】 前記ガイド手段を、前記架台を設置する床上に敷設され、かつ前記垂直軸を中心とする円弧状に形成されたガイドレールにより構成してなる請求項1に記載の放射線治療装置。
【請求項3】 前記旋回駆動手段を、前記架台を設置する床上に敷設され、かつ前記垂直軸を中心とする円弧状に形成されラックと、前記架台に設置された回転駆動源により回転駆動され、かつ前記ラックに噛合されたピニオンとより構成してなる請求項1に記載の放射線治療装置。
【請求項4】 前記垂直軸を中心に、前記治療台を旋回方向へ移動調整自在としてなる請求項1ないし3の何れか1項に記載の放射線治療装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアイソセンタを通る垂直軸を中心とする床回転(アイソセントリック床回転)の位置精度を向上させた放射線治療装置に関し、特に定位法治療に有効な放射線治療装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来高エネルギーの放射線(X線)を患者の標的体積(患部)に照射して患者の治療を行う放射線治療装置は、水平回転軸に取付けられて、水平回転軸を中心に回転するアームと、アームの先端に取付けられ、かつ水平回転軸の軸線上に位置するアイソセンタにX線を照射するX線照射ヘッドとを有していて、水平回転軸を回転自在に支承する架台が床に固定されている。
【0003】また患者を載置する治療台は、上下動、前後動、左右動のほか、アイソセンタを通る垂直軸を中心に旋回できるようになっていて、架台に対して治療台を相対移動させることにより、治療台に載置した患者の標的体積をアイソセンタに位置合わせし、X線照射ヘッドより標的体積にX線治療ビームを照射して患者の治療を行うように構成されている。特に放射線治療装置を使用した定位法治療においては、患者の標的体積をアイソセンタに一致させた状態で水平回転軸を中心にX線照射ヘッドを回転させ、同時にアイソセンタを通る垂直軸を中心に治療台を旋回させて、多方向からX線を集中照射することにより治療を行うことから、標的体積に対する高精度の位置決めが不可欠である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし前記従来の放射線治療装置のように、水平回転軸を中心にX線照射ヘッドを回転させ、同時にアイソセンタを通る垂直軸を中心に治療台を旋回させて、多方向からX線を集中照射するようにしたものでは、治療台を上下、前後、左右に駆動する駆動系が有する誤差などにより、治療台全体の位置精度を高めることには限界がある。また水平回転軸を中心にアームが回転した際、アームに取付けられたX線照射ヘッドが治療台と干渉しないよう患者を載置する治療台の天板は、架台側へオーバハングされているため、治療台を旋回させると患者の荷重により天板が上下に撓んで標的体積がアイソセンタよりずれてしまい、治療精度が低下すると共に、治療中は、患者を載置した治療台が絶えず移動されるため、患者に不安感や不快感を与えるなどの問題があった。
【0005】一方治療台を移動せずに定位法治療が行える放射線治療装置が、特開平7−1163669号公報で提案されている。前記公報の放射線治療装置は、水平回転軸の先端にC型アームを取付けて、アイソセンタを中心にC型アームを揺動させることにより、治療台を移動せずに定位法治療が行えるように構成されている。しかし前記公報の放射線治療装置のように、アイソセンタを中心にC型アームを揺動させるようにしたものでは、C型アームを揺動させる機構が複雑になるため、装置が高価になる上、機械的精度にも限界がある。またC型アームに搭載できる直線加速器の大きさに制限を受けるため、使用可能なエネルギーの種類が少なくなり、その結果放射線治療全般に対する汎用性が劣るなどの問題がある。
【0006】本発明はかかる従来の問題点を改善するためになされたもので、治療台を移動せずに定位法治療が可能な放射線治療装置を提供して、アイソセントリック床回転の位置精度を向上させることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため本発明の放射線治療装置は、架台に支承された水平回転軸を中心に回転自在なアームと、アームに取付けられ、かつ水平回転軸の軸線上に設けられたアイソセンタへX線を照射するX線照射ヘッドと、治療する患者の標的体積がアイソセンタと一致するよう患者を載置する治療台とを備えた放射線治療装置であって、治療台を床に固定すると共に、架台と床の間に、アイソセンタを通る垂直軸を中心に旋回自在に架台を支承するガイド手段と、垂直軸を中心に架台を旋回駆動する旋回駆動手段とを設けたものである。
【0008】前記構成により、床に固定された治療台に対し、アイソセンタを通る垂直軸を中心に架台を旋回して、X線照射ヘッドより患者の標的体積へX線を照射することができるため、架台の旋回中心とアイソセントリック床回転が常に一致し、これによってアイソセントリック床回転における標的体積の位置精度を飛躍的に高めることができるため、定位法放射線治療における治療の精度を向上させることができる。また治療中治療台が移動することがないため、治療台の天板がオーバハングしていても、天板が撓んでアイソセンタより標的体積の位置がずれることがなく、これによって精度の高い治療が可能になると共に、治療中患者に不安感や不快感を与える心配もない。さらにC型アームを揺動させる従来の放射線治療装置に比べて、ガイド手段や旋回駆動手段の構成が簡単になるため、放射線治療装置の価格低減が図れると共に、アームに搭載する直線加速器の大きさに制限を受けることが少ないため、使用可能なエネルギーの種類が多くなり、これによって放射線治療全般に対する汎用性が向上する。
【0009】前記目的を達成するため本発明の放射線治療装置は、ガイド手段を、架台を設置する床上に敷設され、かつ垂直軸を中心とする円弧状に形成されたガイドレールにより構成したものである。
【0010】前記構成により、撓みのない床上に敷設されたガイドレールにより架台が支持されて旋回されるため、旋回動作中に振動などが発生することがなく、これによって架台旋回時の位置変動をきわめて小さくすることができると共に、架台の旋回中心がアイソセンタを通る垂直軸と一致するようガイドレールを床上に敷設することにより、架台の旋回中心をアイソセンタに一致させることができるため、放射線治療装置の設置作業が容易かつ高精度で行えるようになる。
【0011】前記目的を達成するため本発明の放射線治療装置は、旋回駆動手段を、架台を設置する床上に敷設され、かつ垂直軸を中心とする円弧状に形成されラックと、架台に設置された回転駆動源により回転駆動され、かつラックに噛合されたピニオンとより構成したものである。
【0012】前記構成により、回転駆動源を架台内の小さなスペースに設置するだけでよいため、治療装置の小型化が図れると共に、旋回精度の高い旋回駆動手段が安価に得られるようになる。
【0013】前記目的を達成するため本発明の放射線治療装置は、垂直軸を中心に治療台を旋回方向へ移動調整自在としたものである。
【0014】前記構成により、アイソセンタに対して標的体積位置を変えることができるため、より効果的な放射線治療が行えるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照して詳述する。図1は放射線治療装置の側面図図2は同平面図である。X線を発生するマイクロトロン1が収容された架台2は床3上に布設されたガイド手段4上に設置されている。ガイド手段4はアイソセンタ0を通る垂直軸0を中心とする円弧状のガイドレール4aが半径方向に間隔を存して複数本例えば2本床3上に布設された構成で垂直軸0を中心に高精度で架台2が旋回できるよう各ガイドレール4aはLMガイドなどにより形成されている。各ガイドレール4a上には複数の支持部材4bが摺動自在に支承されていてこれら支持部材4b上に箱形の架台2がガイドレール4aに沿って往復移動自在に設置されている。
【0016】架台2内には水平回転軸5が回転自在に支承されていて架台2より突出された水平回転軸5の先端部にほぼ逆L字形に形成されたアーム6の垂直部6aが取付けられている。アーム6は水平回転軸5を中心に回転自在となっておりアーム6の水平部6bに、前記マイクロトロン1で発生されたX線を水平回転軸5の中心軸線0上に設けられたアイソセンタ0に照射するX線照射ヘッド7が取付けられている。
【0017】また架台2の底部には垂直軸0を中心に架台2を旋回させる旋回駆動手段8が設けられている。旋回駆動手段8は、電動機よりなる回転駆動源8aと、回転駆動源8aにより回転されるピニオン8bと、前記ガイドレール4aの間に設置されたラック8cとより構成されていてラック8cはガイドレール4aと同様垂直軸0を中心とする円弧状に形成されていると共に、ラック8cにピニオン8bが噛合されている。
【0018】一方アーム6の水平部6bに取付けられたX線照射ヘッド7内には線源7aが設けられていて線源7aより照射されるX線のビーム軸0と水平回転軸5の中心軸線0と交差する点がアイソセンタ0となっていて、治療台10に載置した患者の標的体積がこのアイソセンタ0と高精度で一致するよう床3上に治療台10が設置されている。またビーム軸0の方向は、水平回転軸5の中心軸線0を中心とするアーム6の回転、及び垂直軸0を中心とする架台2の旋回により三次元の多方向にわたって変化し、アーム6の垂直部6aが床面に対して垂直な場合のみビーム軸0は、垂直軸0と一致するようになっている。治療台10は床3上に固定された箱形の支持台10aと、支持台10a上に水平に設置されかつ図示しない駆動系により上下前後及び左右方向に移動調整自在な天板10bより構成されていて水平回転軸5を中心にアーム6が回転した際アーム6に取付けられたX線照射ヘッド7が治療台10と干渉しないよう天板10bの先端は、架台2方向へオーバハングされている。
【0019】次に前記構成された放射線治療装置を使用して患者を定位法治療する際の作用を説明する。床3上に固定された治療台10の天板10b上に患者を寝かせた状態で図1に示すように載置し患者の標的体積がアイソセンタ0と合致するよう駆動系により天板10bを上下前後左右方向へ移動調整して位置決めしたら駆動系をロックし、また旋回駆動手段8により垂直軸0を中心に架台2を所要位置まで旋回させてロックする。次にマイクロトロン1を動作させてX線を発生させた状態で水平回転軸5を中心にアーム6を360度の範囲の所望の範囲内で回転させた後マイクロトロン1を停止してX線の発生を中断した状態で、旋回駆動手段8により垂直軸0を中心に架台2を次の所要位置まで旋回させてロックする。その後マイクロトロン1を動作させてX線を発生させた状態で、水平回転軸5を中心にアーム6を360度の範囲の所望の回転範囲内で回転させると共に、この手順を必要な回数だけ繰り返す。これによってX線照射ヘッド7より照射されたX線治療ビームは三次元の多方向からアイソセンタ0に位置する患者の標的体積へと集中的に照射され高エネルギーの放射線による治療が実施される。
【0020】また治療中治療台10は移動しないので架台2がガイドレール4a上のどの位置にあっても架台2の旋回中心とアイソセントリック床回転(垂直軸0)は常に一致しておりこれによってアイソセントリック床回転における標的体積の位置精度を飛躍的に高めることができるため治療精度の向上が図れるようになる。
【0021】なお前記実施の形態では治療台10を床3上に固定した場合について説明したが図3及び図4に示すように治療台10をアイソセントリック床回転軸を中心に旋回調整できるようにしてもよい。すなわち患者の標的体積の位置によって患者の位置を変えた方がより効果的に治療できる場合がある。そこで図3及び図4に示す変形例では治療台10側にも架台2側と同様なガイド手段4及び旋回駆動手段8を設けて垂直軸0を中心に治療台10を旋回調整できるようにしたもので、調整後はロック手段などで治療台10を床3に固定することにより前記実施の形態と同様にアイソセントリック床回転における標的体積の位置精度を向上させることができる。
【0022】また前記実施の形態では旋回駆動手段8を、ラック8c及びピニオン8bと、ピニオン8bを駆動する回転駆動源8aにより構成したが、回転駆動源8aにより駆動されるスプロケットと、このスプロケットに噛合されたチェーンにより構成したり、アクチュエータにより架台2を直接駆動するようにしてもよい。
【0023】
【発明の効果】本発明は以上詳述したように、患者を載置する治療台を床に固定すると共に、架台と床の間にアイソセンタを通る垂直軸を中心に旋回自在に架台を支承するガイド手段と、垂直軸を中心に架台を旋回駆動する旋回駆動手段とを設けたことから、床に固定された治療台に対し、アイソセンタを通る垂直軸を中心に架台が旋回されて、X線照射ヘッドより患者の標的体積へX線を照射するため、架台の旋回中心とアイソセントリック床回転が常に一致し、これによってアイソセントリック床回転における標的体積の位置精度を飛躍的に高めることができるため、放射線治療の精度を向上させることができる。
【0024】また治療中治療台が移動することがないため、治療台の天板がオーバハングしていても、天板が撓んでアイソセンタより標的体積の位置がずれることがなく、これによって精度の高い治療が可能になる上、治療中患者に不安感や不快感を与える心配もないと共に、C型アームを揺動させる従来の放射線治療装置に比べて、ガイド手段や旋回駆動手段の構成が簡単になるため、放射線治療装置の価格低減が図れる上、アームに搭載する直線加速器の大きさに制限を受けることが少ないため、使用可能なエネルギーの種類が多くなり、これによって放射線治療全般に対する汎用性が向上する。
【0025】さらにガイド手段を、架台を設置する床上に敷設され、かつ垂直軸を中心とする円弧状に形成されたガイドレールにより構成したことから、撓みのない床上に敷設されたガイドレールにより架台が支持されて旋回されるため、旋回動作中に振動などが発生することがなく、これによって架台旋回時の位置変動をきわめて小さくすることができると共に、架台の旋回中心がアイソセンタを通る垂直軸と一致するようガイドレールを床上に敷設することにより、架台の旋回中心をアイソセンタに一致させることができるため、放射線治療装置の設置作業が容易かつ高精度で行えるようになる。
【0026】また旋回駆動手段を、架台を設置する床上に敷設され、かつ垂直軸を中心とする円弧状に形成されラックと、架台に設置された回転駆動源により回転駆動され、かつラックに噛合されたピニオンとより構成したことから、回転駆動源を架台内の小さなスペースに設置するだけでよいため、治療装置の小型化が図れる上、旋回精度の高い旋回駆動手段が安価に得られると共に、垂直軸を中心に治療台を旋回方向へ移動調整自在とすれば、アイソセンタに対して標的体積位置を変えることができるため、より効果的な放射線治療が行えるようになる。
【出願人】 【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
【出願日】 平成13年5月1日(2001.5.1)
【代理人】 【識別番号】100093872
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 芳紘
【公開番号】 特開2002−325854(P2002−325854A)
【公開日】 平成14年11月12日(2002.11.12)
【出願番号】 特願2001−133943(P2001−133943)