| 【発明の名称】 |
眼内埋め込み型視覚刺激装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】太田 淳
【氏名】西村 茂
【氏名】井手上 公太郎
【氏名】吉田 典巧
【氏名】香川 景一郎
|
| 【要約】 |
【課題】簡単な構成で両極性のパルスを発生でき、高感度かつ小型で低消費電力の眼内埋め込み型視覚刺激装置を提供する。
【解決手段】視覚ないし視覚の一部を人工的に生成する眼内埋め込み型の視覚刺激装置において、入射光を光電変換して網膜部位に刺激信号を与える画素回路と、該画素回路に電力を供給する電力供給回路とを具備し、前記画素回路は、入射光を電気信号に変換する受光素子と、該受光素子からの出力電気信号を電圧又は電流のパルス信号に変換すると共に,前記出力電気信号の大きさに応じた周波数を持つパルス信号に変換して出力するパルス変換回路と、該パルス変換回路からの出力パルス信号を更に両極性のパルス信号に変換する波形整形回路とを備え、網膜部位に電極を介してパルス信号を与えることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 視覚ないし視覚の一部を人工的に生成する眼内埋め込み型の視覚刺激装置において、入射光を光電変換して網膜部位に刺激信号を与える画素回路と、該画素回路に電力を供給する電力供給回路とを具備し、前記画素回路は、入射光を電気信号に変換する受光素子と、該受光素子からの出力電気信号を電圧又は電流のパルス信号に変換すると共に,前記出力電気信号の大きさに応じた周波数を持つパルス信号に変換して出力するパルス変換回路と、該パルス変換回路からの出力パルス信号を更に両極性のパルス信号に変換する波形整形回路とを備え、網膜部位に電極を介してパルス信号を与えることを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項2】 請求項1の眼内埋め込み型視覚刺激装置において、前記画素回路の眼内埋め込み位置は、網膜下であることを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項3】 請求項1の眼内埋め込み型視覚刺激装置において、前記パルス変換回路は、前記受光素子へのバイアス電圧を制御する電圧制御回路と、前記受光素子からの出力電気信号を電圧又は電流のパルス信号に変換するパルス回路と、該パルス回路からの出力パルス信号を前記電圧制御回路に結合する結合回路と、を備えることを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項4】 請求項3の眼内埋め込み型視覚刺激装置において、前記パルス回路は前記受光素子の電圧を入力電圧としたインバータ又はシュミットトリガを有し、前記結合回路は前記パルス回路の最終段出力を前記電圧制御回路へフィードバックすることを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項5】 請求項4の眼内埋め込み型視覚刺激装置において、前記パルス回路が有するインバータ又はシュミットトリガは奇数個直列配置されていることを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項6】 請求項3の電圧制御回路はスイッチング用のトランジスタを持ち、該トランジスタは前記電力供給回路のバイアス電圧源、前記受光素子、及び前記パルス回路の最終段出力に接続されていることを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項7】 請求項4の電圧制御回路は、抵抗とコンデンサよりなり、前記抵抗はパルス信号の最終段出力と前記受光素子の間に直列に挿入され、前記コンデンサは前記受光素子と並列に挿入されていることを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項8】 請求項7の眼内埋め込み型視覚刺激装置において、前記抵抗をトランジスタとし、その抵抗値を可変としたことを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項9】 請求項1の波形整形回路は、前記パルス変換回路からの出力パルス信号を微分波形として出力させる微分回路を持つことを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項10】 請求項9の微分回路は、抵抗とコンデンサからなることを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項11】 請求項10の眼内埋め込み型視覚刺激装置において、前記抵抗をトランジスタとし、その抵抗値を可変としたことを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項12】 請求項1の電力供給回路は、外部と物理的に接続された配線から電力を供給する構成、あるいは外部からの電磁波ないしは人体の熱からの発電により電力を供給する構成としたことを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項13】 請求項1のパルス変換回路は、前記受光素子からの出力電気信号の大きさが第1基準値以下の領域とその第1基準値より大きな第2基準値以上の領域ではそれぞれ一定の周波数に制限すると共に、両者の間の領域ではその出力電気信号の大きさに応じた周波数のパルス信号に変換する周波数制限回路を持つことを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項14】 請求項13のパルス変換回路は、さらに、前記受光素子からの出力電気信号の大きさが第1基準値以下の領域と第2基準値以上の領域ではその出力電気信号の大きさに対応してパルス振幅を変化させ、両者の間の領域では出力パルス信号の振幅をほぼ一定に保つ振幅変調回路を持つことを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項15】 請求項13の周波数制限回路は、前記受光素子へのバイアス電圧を制御する電圧制御回路と、前記受光素子の電圧を入力電圧とした奇数個のインバータ又はシュミットトリガと、該インバータ又はシュミットトリガからの出力パルス信号を前記電圧制御回路に結合する結合回路とを備え、前記受光素子に対する充電用リーク源と放電用リーク源の調整により下限の周波数を設定し、前記インバータ又はシュミットトリガの前後に周波数フィルタを設けることにより上限の周波数を設定する構成としたことを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項16】 請求項1の眼内埋め込み型視覚刺激装置において、さらに予め定められた電気刺激波形を記憶する波形メモリと、前記パルス変換回路からのパルス信号の出力を得て前記波形メモリから電気刺激波形を読み出すタイミング制御回路と、を備えることを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項17】 請求項16の波形メモリは、任意の電気刺激波形を記憶可能に構成されていることを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項18】 視覚ないし視覚の一部を人工的に生成する眼内埋め込み型の視覚刺激装置において、入射光を光電変換して網膜部位に刺激信号を与える画素回路と、該画素回路に電力を供給する電力供給回路とを具備し、前記画素回路は、入射光を電気信号に変換する受光素子と、該受光素子からの出力電気信号をその大きさに応じた電圧又は電流のパルス信号に整形するパルス整形回路とを備え、網膜部位に電極を介してパルス信号を与えることを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項19】 請求項18のパルス整形回路は、予め与えられた周波数のパルス信号の振幅を前記受光素子からの出力電気信号の大きさに応じた振幅に変える回路と、出力するパルス信号を振幅の絶対値が同じで極性が逆の両極性のパルス信号に変調する回路を含むことを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 【請求項20】 請求項18のパルス整形回路は、予め与えられた周波数のパルス信号を出力すると共に、前記受光素子からの出力電気信号の大きさに応じて所定時間内に含まれるパルス信号数を変える回路を含むことを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、視覚を人工的に生成する眼内埋め込み型の視覚刺激装置に関するものである。 【0002】 【従来技術】従来の眼内埋め込み型視覚刺激装置は、光電変換のみを行う受光素子を2次元アレイ状に配置して網膜下部に埋め込み、眼外からの入射光を光電変換後電気信号で網膜部位を刺激し、人工的に視覚を得ようとするものでる。 【0003】図5は、特表平11−506662号公報記載のマイクロフォトダイオードを等価回路で示したものである。図5において、pinフォトダイオード101,104は、P側は可視光に、N側は近赤外光に応答するようフィルターがそれぞれ入っている。また、入射光107に対してN側が受光面となるpinフォトダイオード101と、P側が受光面になるpinフォトダイオード104がペアになっている。 【0004】上記のように構成された従来の眼内埋め込み型視覚刺激装置においては、まず、入射光107はpinフォトダイオード101,104で光電変換され、電子・正孔対が発生することで光電流となる。光電流の方向はP側より流れ出る方向のためpinフォトダイオード101のN側電極103からは負電流、pinフォトダイオード104のP側電極106からは正電流という正負両極(以下では、両極を双極ともいう)の電流刺激がこのペアダイオードで得られる。従って、電極103と106をペアで網膜部位に配置することで双極性の刺激を与えることが可能となる。実際には、この従来例では外部で発生させた近赤外光を適当なタイミングで網膜面に入射させ、画像情報からの可視光入力107と組み合わせることで、正負両極性電流を発生させ、生体組織の劣化を防止するようにしている。そのため、pinフォトダイオード101に近赤外線用フィルターが装着してある。そしてこのような構造のフォトダイオードペアを2次元上に配置することで外界の画像情報を網膜面への刺激パターンとするものである。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】図5に示した従来例において、入射光強度をPとし、pinフォトダイオード101のP側電極102とN側電極103との間に流れる光電流Iphとし、この眼内埋め込みのフォトダイオードの通常の室内光下(照度Eo=1,000ルクス程度)での特性を考える。眼球をレンズと考えた場合、焦点距離F=6mm、有効口径D=8mmとすると、F値は、F=f/D=2.0となる。この時網膜面での照度Eは、物体の反射率R=1.0、眼球の透過率T=1.0とすると、【0006】 【数1】
【0007】よりE=60ルクス程度となる。従って、フォトダイオードの受光面積を先の公報の場合の20 x 20μm2としたとき、フォトダイオードに入射する光量Pは、1ルクスが波長550nmの光に対しては0.14μW/cm2であることから、P=30pW程度となる。フォトダイオードの受光感度S=0.1A/Wとすると、光電流はIph=PS=3pA程度となり極めて微小な電流しか発生しないことが分かる。刺激に必要な電荷量は100 nC/cm2以上といわれているので、必要な刺激時間は0.1秒となり現実的ではない。また、正負両極の電流出力を得るために2つのフォトダイオードを必要とし、できるだけ小型化が要求される埋め込み型装置にとっては不利である。 【0008】また、この従来例では眼内に埋め込んだ回路だけではパルス信号を発生することができず、パルス信号の発生とその変調のためには、外部で発生させた赤外光を眼内に入射させる装置が必要であるという欠点があった。 【0009】本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、高感度かつ小型で低消費電力の眼内埋め込み型視覚刺激装置を提供することを技術課題としている。また、簡単な構成で両極性のパルスを発生できる眼内埋め込み型視覚刺激装置を提供することを技術課題としている。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。 【0011】(1) 視覚ないし視覚の一部を人工的に生成する眼内埋め込み型の視覚刺激装置において、入射光を光電変換して網膜部位に刺激信号を与える画素回路と、該画素回路に電力を供給する電力供給回路とを具備し、前記画素回路は、入射光を電気信号に変換する受光素子と、該受光素子からの出力電気信号を電圧又は電流のパルス信号に変換すると共に,前記出力電気信号の大きさに応じた周波数を持つパルス信号に変換して出力するパルス変換回路と、該パルス変換回路からの出力パルス信号を更に両極性のパルス信号に変換する波形整形回路とを備え、網膜部位に電極を介してパルス信号を与えることを特徴とする。 (2) (1)の眼内埋め込み型視覚刺激装置において、前記画素回路の眼内埋め込み位置は、網膜下であることを特徴とする眼内埋め込み型視覚刺激装置。 (3) (1)の眼内埋め込み型視覚刺激装置において、前記パルス変換回路は、前記受光素子へのバイアス電圧を制御する電圧制御回路と、前記受光素子からの出力電気信号を電圧又は電流のパルス信号に変換するパルス回路と、該パルス回路からの出力パルス信号を前記電圧制御回路に結合する結合回路と、を備えることを特徴とする。 (4) (3)の眼内埋め込み型視覚刺激装置において、前記パルス回路は前記受光素子の電圧を入力電圧としたインバータ又はシュミットトリガを有し、前記結合回路は前記パルス回路の最終段出力を前記電圧制御回路へフィードバックすることを特徴とする。 (5) (4)の眼内埋め込み型視覚刺激装置において、前記パルス回路が有するインバータ又はシュミットトリガは奇数個直列配置されていることを特徴とする。 (6) (3)の電圧制御回路はスイッチング用のトランジスタを持ち、該トランジスタは前記電力供給回路のバイアス電圧源、前記受光素子、及び前記パルス回路の最終段出力に接続されていることを特徴とする。 (7) (4)の電圧制御回路は、抵抗とコンデンサよりなり、前記抵抗はパルス信号の最終段出力と前記受光素子の間に直列に挿入され、前記コンデンサは前記受光素子と並列に挿入されていることを特徴とする。 (8) (7)の眼内埋め込み型視覚刺激装置において、前記抵抗をトランジスタとし、その抵抗値を可変としたことを特徴とする。 (9) (1)の波形整形回路は、前記パルス変換回路からの出力パルス信号を微分波形として出力させる微分回路を持つことを特徴とする。 (10) (9)の微分回路は、抵抗とコンデンサからなることを特徴とする。 (11) (10)の眼内埋め込み型視覚刺激装置において、前記抵抗をトランジスタとし、その抵抗値を可変としたことを特徴とする。 【0012】(12) (1)の電力供給回路は、外部と物理的に接続された配線から電力を供給する構成、あるいは外部からの電磁波ないしは人体の熱からの発電により電力を供給する構成としたことを特徴とする。 (13) (1)のパルス変換回路は、前記受光素子からの出力電気信号の大きさが第1基準値以下の領域とその第1基準値より大きな第2基準値以上の領域ではそれぞれ一定の周波数に制限すると共に、両者の間の領域ではその出力電気信号の大きさに応じた周波数のパルス信号に変換する周波数制限回路を持つことを特徴とする。 (14) (13)のパルス変換回路は、さらに、前記受光素子からの出力電気信号の大きさが第1基準値以下の領域と第2基準値以上の領域ではその出力電気信号の大きさに対応してパルス振幅を変化させ、両者の間の領域では出力パルス信号の振幅をほぼ一定に保つ振幅変調回路を持つことを特徴とする。 (15) (13)の周波数制限回路は、前記受光素子へのバイアス電圧を制御する電圧制御回路と、前記受光素子の電圧を入力電圧とした奇数個のインバータ又はシュミットトリガと、該インバータ又はシュミットトリガからの出力パルス信号を前記電圧制御回路に結合する結合回路とを備え、前記受光素子に対する充電用リーク源と放電用リーク源の調整により下限の周波数を設定し、前記インバータ又はシュミットトリガの前後に周波数フィルタを設けることにより上限の周波数を設定する構成としたことを特徴とする。 (16) (1)の眼内埋め込み型視覚刺激装置において、さらに予め定められた電気刺激波形を記憶する波形メモリと、前記パルス変換回路からのパルス信号の出力を得て前記波形メモリから電気刺激波形を読み出すタイミング制御回路と、を備えることを特徴とする。 (17) (16)の波形メモリは、任意の電気刺激波形を記憶可能に構成されていることを特徴とする。 (18) 視覚ないし視覚の一部を人工的に生成する眼内埋め込み型の視覚刺激装置において、入射光を光電変換して網膜部位に刺激信号を与える画素回路と、該画素回路に電力を供給する電力供給回路とを具備し、前記画素回路は、入射光を電気信号に変換する受光素子と、該受光素子からの出力電気信号をその大きさに応じた電圧又は電流のパルス信号に整形するパルス整形回路とを備え、網膜部位に電極を介してパルス信号を与えることを特徴とする。 (19) (18)のパルス整形回路は、予め与えられた周波数のパルス信号の振幅を前記受光素子からの出力電気信号の大きさに応じた振幅に変える回路と、出力するパルス信号を振幅の絶対値が同じで極性が逆の両極性のパルス信号に変調する回路を含むことを特徴とする。 (20) (18)のパルス整形回路は、予め与えられた周波数のパルス信号を出力すると共に、前記受光素子からの出力電気信号の大きさに応じて所定時間内に含まれるパルス信号数を変える回路を含むことを特徴とする。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図に基づいて説明する。 (実施例1)図1は実施例1の視覚刺激装置を説明するための回路構成を示したものである。1は受光した光を電気信号に変換するフォトダイオード、2はフォトダイオードの寄生容量、4はフォトダイオードN側、5はフォトダイオード1へのバイアス電圧を制御するためのリセットトランジスタ、6はリセットトランジスタ用のバイアス電源、7はフォトダイオードP側電源を示す。8はフォトダイオード1の電圧を入力としたインバータ列であり、本実施例では3個のインバータ8a,8b,8cを奇数個直列接続している。11は出力段のインバータ8cとリセットトランジスタ5とを結ぶフィードバック経路、12はインバータ列用正電源、13はインバータ列用負電源である。14は微分回路用コンデンサ、15は微分回路用抵抗、16は微分回路用負電源である。画素回路50は、電源6,7,12,13,16を除いた要素で構成され、好ましくは集積回路構成とする。17は網膜部位に接触するパルス出力端子(電極)である。 【0014】次に、実施例1の回路構成における刺激信号の出力について説明する。初期状態はフォトダイオード1のN側電位4が接地電位にあるものとする。従って、初段目インバータ8aの入力はLOレベルであるため、その出力はHIレベルとなる。インバータは8a,8b及び8cの3段であるので、インバータ8cの出力(電圧又は電流)はHIとなる。従って、このインバータ列8の遅延時間後にリセットトランジスタ5はONとなる。この時、フォトダイオード1の寄生容量2は電源6によりリセットトランジスタ5を通じて充電が始まる。フォトダイオード1の電位がインバータ8aのしきい値Vinvに達すると、インバータ8aはHIからLOに反転し、結局インバータ列8の遅延時間後インバータ8cの出力もHIからLOに反転し、リセットトランジスタ5はOFFとなり充電が止まる。この充電電圧は入射光3によりフォトダイオード1内に発生する光電流により放電していき、インバータ8aのしきい値に達した電圧Vinvでインバータ8aの出力はLOからHIに反転することで、フィードバック経路11からの信号がHIになり、リセットトランジスタ5はONとなり、再び寄生容量2に充電が始まる。 【0015】以上の動作を繰り返すことでインバータ列8の出力11はHIとLOを繰り返す。すなわちパルス列を出力する。この時のパルス列の頻度(周波数)fは近似的に次式で表される。 【0016】 【数2】
【0017】ここでCPDはフォトダイオード1の寄生容量2の容量値、Vdd1は電源6の電圧、Vthはリセットトランジスタ5のしきい値電圧、Vinvはインバータ8aのしきい値電圧、Iphはフォトダイオード1の光電流を表す。このパルス列はコンデンサー14と抵抗15とからなる微分回路により微分され、両極性のパルスとなって出力端子17から出力される。ここでコンデンサー14の容量値をCd、抵抗15の抵抗値をRdとすると、インバータ列8からの出力パルスのパルス幅tdがtd>Rd Cdであれば微分波形を得ることができる。なお、パルス幅tdは基本的にはインバータの遅延時間程度である。 【0018】図2は、上記のようにして得られるパルス信号出力を摸式的に示した図であり、図2(a)はフォトダイオードN側4の電位変化、図2(b)はインバータ列8の最終段出力信号、図2(c)は微分回路で変換される正負の両極パルス信号を示している。図2(a)におけるΔtはインバータ列8による遅延時間を示し、インバータ8aのしきい値電圧Vinvを基準として、その遅延時間Δt後にインバータ列8の最終出力信号が反転する。この遅延時間Δtは奇数個直列接続するインバータの数に依存する。また、図2(a)におけるN側電位の低下の傾きは、フォトダイオード1からの出力電気信号の大きさに依存する。すなわち、入射光3が強く、フォトダイオード1の受光量が多ければ、N側電位の低下の傾きは急になり、パルス周期は短くなる。 【0019】上記実施例ではリセットトランジスタ5としてNMOSFETを用いているが、スイッチング機能がある素子乃至は回路であれば良く、例えばPMOSFETでも良い。また、これらの組み合わせ、例えばトランスミッションゲートでも良い。また、バイポーラトランジスタやその他のトランジスタでも良い。また、各インバータ8a,8b,8cに代えてシュミットトリガを使用しても良い。 【0020】図3は、上記のような画素回路50を含む視覚刺激装置の眼内への埋め込み配置図である。画素回路50は、患者眼Eの網膜下(色素上皮層と視細胞層の間、あるいは視神経節細胞層と視細胞層との間等)に2次元アレイ状に多数個埋め込まれる。51は各画素回路50に電力を供給する電力供給回路で、電源6,7,12,13,16を含む。電力供給回路51は、外部と物理的に接続された配線から各画素回路50に電力を供給する方式の他、外部からの電磁波を利用した方式でも良い。例えば、眼球外で装着するメガネのコイルから、各画素回路50に取付けたコイルに電磁波を送信して電圧を発生させる。 【0021】また、電力供給回路51として人体の熱からの発電による方式を用いることもできる。熱発電は、温度差を与えると電圧が生じる「ベーゼック効果」を利用したもの、例えば、p型ビスマス・テルルとn型ビスマス・テルルとをPN接合したユニットで構成することができる。このPN接合の組み合わせを直列に幾つか繋げることにより、出力電圧の調整が可能となる。こうした熱発電ユニットを体内に埋め込む場合は、血流で熱を逃す部分に配置する。人体の熱による発電は、人体変への電磁波の影響(発熱など)を回避できる。 【0022】このように電力を供給する回路を、外部と物理的に接続された配線から電力を供給する方式あるいは外部からの電磁波ないしは人体の熱からの発電を用いる構成とすることにより、一次電池を人体内に埋め込む必要がなくなり、一次電池の取り替えによる人体への影響を回避することが可能となる。また、回路駆動の安定性を図るために、二次電池を埋植し電力供給回路51に接続することも可能となる。 【0023】以上のような構成の回路においては、入射光3の光量に応じた頻度でパルス列を出力するというデジタル的な出力形態で、光電変換が可能となると共に、1V以下の低電圧かつ微弱な光量下でも、正負の両極の電気刺激パルスを出力可能となる。従って、網膜下の狭い領域内での微小フォトダイオードでも、網膜内細胞を刺激可能となる。また、画素回路50の埋め込み位置を網膜下とすれば、パルス出力を効率良く網膜内細胞への刺激とすることが可能となり、外界画像情報と視覚情報との齟齬が生じにくい。 【0024】また、画素回路50が持つ各回路の電源電圧を電力供給回路51において制御することにより、電気刺激パルスのパルス周期、パルス幅、双極パルス形状、双極パルス間隔等のパルス特性パラメータを可変にすることが可能となる。また、上記の回路構成においては、構成が標準的な回路で構成でき、回路構成も単純である。また、受動部品のみで構成することが可能である。また、出力パルス信号を正負の両極のパルス信号に変換する微分回路を、インバータ列8の最終出力段に挿入したので、1個のフォトダイオードと小規模な回路で双極性パルスを発生することが可能となる。 【0025】なお、信号の増幅方法として電荷蓄積型のCCDがあるが、この方式は蓄積した後に出力させるためのタイミングシグナル(クロック)が必要であり、このためにそれぞれの素子に一つ一つタイミング回路からの配線が必要となる。これに対して、上記の画素回路ではタイミングを取る必要がないため、回路配線、回路構成が非常に簡単になる。 (実施例2)図4は実施例2の画素回路を説明するための構成を示したものである。ここでは実施例1とは異なり、フォトダイオード1と並列にコンデンサー18を挿入している。また、フィードバック経路11に抵抗19を挿入している。フォトダイオード1へのバイアス電源はインバータ8cの出力が兼用している。コンデンサー18と抵抗19により積分回路が形成される。更にフォトダイオード1がコンデンサー18に並列にあることでフォトダイオード1からの光電流がこの積分回路の時定数に影響を与える。すなわち、入射光3が強ければコンデンサはより早く放電し、その分時定数は短くなるためパルス周期は短くなる。この実施例の場合、実施例1におけるリセットトランジスタがないため、リセットトランジスタの駆動能力に依存せずパルスが発生する。駆動能力が低いとフォトダイオード1の充電と放電が拮抗する状況となりパルス幅が広くなり、パルス周波数の上限が低くなってしまい、ダイナミックレンジが減少する(逆に、ダイナミックレンジを変更可能な利点がある)。実施例2の回路にはその制約はない。また、実施例2の回路においても、受動部品のみで構成することが可能となる。 【0026】なお、抵抗19をトランジスタとしても良い。トランジスタを用いる場合、特別な抵抗作成プログラムを要せず、通常のロジックプロセスを適用可能なため、最新微細化プロセスを使うことで集積密度を上げ、小型化・低消費電力化が可能となる。あるいは、汎用的なプロセスを用いれば、低コスト化が可能となる。 【0027】また、実施例2の画素回路を持つ視覚刺激装置においては、抵抗19とするトランジスタのゲート電位を、電力供給回路51より制御し抵抗値を可変とすることで、パルス周期や幅を可変にすることが可能となるため、網膜の状態に柔軟に対応した刺激を行うことができる。 【0028】なお、上記実施例1と2では、フォトダイオード1について特に記載しないが、pn接合型フォトダイオードなどの光電変換を効率よく行える構造であれば良い。また、フォトダイオードに限らず効率よく光電変換をする構造であれば良く、シリコンやシリコンゲルマニュウムなどのIV族単体やIV族混晶、III-V族単体やIII-V族混晶、II-V単体やII-V族混晶、及びこれらの組み合わせでも同様の効果を発揮することは言うまでもない。フォトダイオードでない場合は寄生容量を意図的に並列に挿入すれば良い。 【0029】また、コンデンサー14と抵抗15からな微分回路はパルス波形を立ち上がり立ち下がりのみを出力できるものであれば良く、例えば抵抗15をトランジスタにしても良い。また、他の微分回路、例えばオペアンプとの組合せであっても良い。抵抗15をトランジスタとしその抵抗を可変とすることで、双極パルスのパルス間隔やパルス振幅などのパルス特性パラメータを制御することが可能となり、網膜状態に応じたパルス刺激を与えることが可能となる。これにより、より効果的な視覚刺激が可能となる。また、トランジスタで形成するため、汎用的なロジックプロセスが適用可能となる。 (実施例3)実施例3の画素回路は、実施例1,2に対して、出力するパルス列の周波数の上限、下限を制限するパルス周波数変調方式回路を追加したものである。人の視覚において、一般に、30Hz以下の刺激では光源の点滅を知覚する。また、1〜10kHzを超える周波数の電気刺激に対しては、神経細胞が適切に刺激されない可能性がある(イオン電流が高周波信号を伝達できない可能性や、網膜の神経細胞が興奮状態にならない、もしくは興奮状態から元に戻らないなどの現象)。 【0030】そこで、実施例3では出力周波数の上限(fmax)、下限(fmin)を設定できるようにする(図7(a)参照)。また、下限以上、上限以下の領域では出力パルス振幅をほぼ一定に保ち、下限以下、上限以上の領域では入射光量に対応してパルス振幅を増加させる(図7(b)参照)。これらの機構により、広い光量範囲に対して適合する刺激パルスを生成することができる。 【0031】図6は、実施例3の回路ブロック図を示す。なお、実施例1と同一要素には、同じ符号を付している。リセット時にフォトダイオード1に充電された電荷を、放電用リーグ源20により強制的に放電させることにより、フォトダイオード1のカソード電位を下げ、パルスを出力させる。この原理により入射光が弱い場合(基準値Imin以下の場合)にも、下限周波数でパルスを出力させることができる。フォトダイオード1には暗電流が流れる。そのため、光が入射していない場合にもフォトダイオード1のカソード電位が下がり、パルスが出力される。なお、暗電流が大きい場合、入力光が無い場合でも、下限または上限周波数を上回る可能性がある。この現象を防ぐため、暗電流を補償する目的で充電用リーク源21を設けている。 【0032】周波数の上限を制限するために、インバータ列8中に周波数フィルタ23を設ける。周波数フィルタ23の位置は何れかのインバータの前後にあれば良い。図6では、インバータ8aと8bとの間に設けている。入射光量が強く(基準値Imax以上の場合)、フォトダイオード1のカソード電位が急速に落ちても、遮断周波数以上の変化は遮られるため、出力パルス周波数の上限は周波数フィルタ23の遮断周波数となる。 【0033】出力パルスの振幅を一定とした場合、周波数の下限以下、上限以上では刺激強度は一定となり、入射光量が刺激強度に反映されなくなる。周波数の下限以下、上限以上で、出力パルスに入射光量を反映させるために、これらの領域では出力パルスの光電流検出回路25により光電流を検出し、その量に応じて出力パルスの振幅を変調する振幅変調回路26をインバータ列8の後に設ける。 【0034】振幅変調回路26は、図7(a)、(b)に示すように、下限周波数(fmin)と上限周波数(fmax)の間では、出力パルスの電圧又は電流は一定量とする。下限周波数(fmin)以下、上限周波数(fmax)以上では、入射光量に応じて出力パルス振幅を単調に増加させる。これを実現するために、フォトダイオード1の片側に電流検出回路25を設け、その電流量に応じて振幅変調回路26により出力パルス振幅を変調する。 【0035】図8は、出力周波数帯を制限する周波数変調回路の構成例を示す。なお、この図では、入射光量に対する出力パルス振幅の変調回路は含んでいない。この例では、充電用リーク源としてPMOSトランジスタ31を、放電用リーグ源としてNMOSトランジスタ30を用いている。また、周波数フィルタ23として、2つのトランスミッションゲート33,34と2つのコンデンサ35,36からなるスイッチトキャパシタフィルタ37を用いている。トランスミッションゲート33,34を、図9に示すタイミングで開閉することにより、ローパスフィルタを構成する。トランスミッションゲート33,34のクロックφ1,φ2は、画素回路内に設けた発振器により生成しても良いし、画素回路外に設けた複数画素回路共通の発振器により生成しても良い。 【0036】ここで、コンデンサ35に蓄積される電荷をC1、コンデンサ36に蓄積される電荷をC2、トランスミッションゲート33,34に与えられるクロックφ1,φ2の周期をTとしたとき、遮断周波数は、(C2/C1)/Tで表され、出力パルスの上限周波数(fmax)となる。リーク用のトランジスタ30,31にそれぞれ印加する電位Vpleak、Vnleakを調整することにより、リーク電流を調整し、下限周波数(fmin)を設定する。出力パルスの振幅は、下限周波数において網膜細胞が刺激される閾値より少し低めに設定する。 (実施例4)実施例4はプログラム可能な刺激波形整形方式回路を追加したものである。実施例1等のパルス周波数変調回路の後段に、任意形状の電気刺激波形を生成する回路を付加し、細胞刺激に最適な波形を出力する。図10は任意波形生成回路のブロック図を示す。 【0037】神経細胞刺激波形の形状には、単極、双極、のこぎり波、双極ののこぎり波などの様々な形態があるが、双極性のものが好ましい。波形データは波形メモリ61に格納される。波形メモリ61はアナログメモリでもデジタルメモリでも良いが、図10ではデジタルメモリの場合を示している。この回路は、パルス周波数変調回路62からパルスが出力されると、波形メモリ読出しのタイミング制御回路60の制御により、波形メモリ61に格納されている波形を1回出力する。出力波形は、D/Aコンバータ64、アンプ65を経て刺激電極へと出力される。 【0038】図11は、波形メモリ61からの出力波形を示す図である。ここでは双極のこぎり波を出力している様子を示している。パルス周波数変調回路62からのパルス出力が1回あると、タイミング制御回路60からの波形読出し期間だけ、発振器からのクロックのタイミングにより、双極のこぎり波が出力される。 【0039】図12に、このプログラム可能な刺激波形整形方式回路における波形メモリ61、波形メモリ読出しのタイミング制御回路60の回路構成例を示す。 【0040】メモリ200は3行×8列のDフリップフロップ202からなり、Dフリップフロップ202に波形を格納している。メモリ200はシフトレジスタを構成しており、シフトレジスタの出力は入力側のセレクタ回路204にフィードバックされる。メモリ200は8ワード(1ワード3ビット)の容量を持っており、刺激パルスの振幅は7段階で設定可能である。メモリ200への波形入力は、書き込み可能端子205をHighにしたあと、3つの入力端子(d0,d1,d2)206よりデジタル信号を入力することより、クロック端子210に入力されたクロック信号と同期した入力が可能である。書き込み可能端子205をLowにした後、パルス周波数変調回路62からの出力パルスが入力されると、クロック信号と同期した任意の波形のパルスが出力端子208から出力されることになる。この出力されたデジタル値がD/Aコンバータ64によりアナログ値に変換され、刺激電圧として出力される。タイミング制御回路60は2つのDフリップフロップとAND回路等からなり、クロック信号とパルス周波数変調回路62から端子212に入力される出力パルスとを同期させるためにある。 【0041】全ての0データはシフトレジスタの停止IDとなっており、データの末尾に付加する。シフトレジスタの全ての出力ワードが全て0になった時点で、シフトを停止し、パルス周波数変調回路62の次のパルスを待つ状態となる。停止IDを必ず1つ含む必要があるため、図12の回路は実質7ワードのメモリとなっている。 (実施例5)実施例5は、パルス振幅変調方式で網膜細胞を刺激する眼内埋め込み型刺激装置の例である。この装置では、一定周波数のパルス列の振幅を入力光量に応じて変調する。パルスは、単極叉は双極であっても良いが、好ましくは双極(両極)である。単極の場合、入力光量に応じた振幅の電気パルスで網膜細胞を刺激する。双極の場合、入力に応じた振幅のパルスに続き、振幅の絶対値は同じで振幅の極性が逆のパルスで網膜を刺激する。パルス周波数は、網膜細胞が刺激を受ける程度の適当な周波数とする。この装置の入力は、CMOSイメージセンサに利用されているアクティブピクセルセンサ、またはフォトトランジスタなどを用いた光電変換回路の出力電圧または電流である。 【0042】図13は実施例5のパルス変調方式を説明する図である。光電変換回路により、電圧または電流に変換された光電変換波形が図13(a)のように入力されると、図13(b)のサンプリングパルスでサンプリングし、図13(c)又は図13(d)のような振幅変調したパルス列を出力する。図13(c)は単極の場合、図13(d)は双極の場合の出力例を示す。 【0043】図14にこのパルス振幅変調方式のパルス生成回路の例を示す。コンデンサ222と7つのMOSスイッチ224a〜224gにより双極パルスを生成する。スイッチ(φ1)224a,224b,224cを閉じるタイミングで光電変換回路220の出力をコンデンサ222に蓄積する。光電変換回路220の出力は電圧信号とする。コンデンサ222に蓄積される電位差は、光電変換回路220の出力電位Vと端子225からの電位Vbの差(V−Vb)となる。端子225からのVbは、光電変換回路220からの出力電圧の増加と入射光量の増加が同符号の場合は0とし、逆符号の場合は電源レベルにする。Vbを0にすると、光電変換回路220の出力をそのまま記憶し、Vbを電源レベルにすると、光電変換回路220の出力を反転した値を記憶する。初めにスイッチ(φ1)224a,224b,224c、スイッチ(φ2)224d,224e、スイッチ(φ3)224f,224gが開いた状態で、スイッチ(φ1)224a,224b,224cを閉じると、ソースフォロア226の入力電位V' はVbaseとなる。 【0044】次に、スイッチ(φ1)224a,224b,224cを開いた後に、スイッチ(φ2)224d,224eを閉じると、V' =Vbase+V−Vbとなる。スイッチ(φ2)224d,224eを開いた後に、続いてスイッチ(φ3)224f,224gを閉じると、V' =Vbase−(V−Vb) となる。このような手順により、光電変換回路220の出力に応じた振幅を持つ双極パルスが出力用端子230から出力される。図15にスイッチ(φ1),(φ2),(φ3)の開閉によるサンプリングパルスと、光電変換回路220の出力、パルス振幅変調出力の関係を示す。この回路では、双極パルスのベースレベルは、画素回路を構成する電子回路のグランドレベルより高くなる。このため、電位Vbaseをソースフォロア227を介して出力し、これを生体側のグラウンドとし、生体に正極と負極に振れる双極パルスを生成する。なお、端子228へのVbiasはトランジスタ229に抵抗と同じ動作をさせるために、任意の電圧を入力するものとする。 【0045】このパルス振幅変調方式では、刺激パルスは一定周波数で出力されるため、特定の細胞を安定して刺激できる。また、アナログ的緩和を示す視細胞に近い網膜細胞をアナログ信号で刺激できる。(実施例6)実施例6はパルス数変調方式を用いる。ここで、パルス数変調とは、パルス周波数は固定で、ある一定時間に含まれるパルス数で刺激強度を変える方式のことをいう。例えば、信号のONを「1」、OFFを「0」とすると、弱い光 :101000000000中間的な光:101010100000強い光 :101010101010というふうに変調する。網膜刺激にこの方式を用いる場合、「1」の個所で刺激波形(単極・双極等)を出力する。 【0046】この方式を用いる利点として、■網膜刺激の電気刺激周波数による発火閾値の変化の影響を低減できる、■電子回路構成がシンプル、■刺激波形(波高値の異なる双極等)を制御する回路を設計しやすい、などがある。 【0047】図16にパルス数変調方式の回路例を、図17にその動作タイミングを示す。図16において、フォトダイオード251はリセット時に電源電圧に充電される。このとき、インバータ253の出力電位はLowとなる。入力光により光電荷が発生し、フォトダイオード251のカソード電位が低下する。カソード電位がインバータ253の閾値電位を下回ったところで、インバータ253の出力電位はHighに転じる。光強度とリセット時から出力電位が転じるまでの時間は比例する。出力波形を整数単位で出力するために(1周期の波形が途中で切れて出力されないような状況を防ぐために)、インバータ出力はclk端子254からのクロック信号に同期して一旦フリップフロップ255に格納される。フリップフロップ255の出力がHighの場合、刺激波形を出力する。図ではインバータ256のアナログスイッチ(トランスミッションゲート等)257を用いた波形整形回路を利用している。インバータ256の電源電位は、他の素子に与える電源電位とは分離した任意に変更できる電源258からの電位Vdd'を用いる。 【0048】この回路は、単極、双極パルスを生成でき、パルス幅・パルス高さ(双極の場合は正・負それぞれの幅、高さ)を制御できる。端子259からの基準電位としてVbを与え、それから相対的な変化として双極パルスを実現する。Vbは生体グランドと一致させる。単極の場合Vbは基板電位と一致させ、双極の場合は電源電位と基板電位の中間に設定する。clk端子254、φ1端子260、φ2端子261、stimulus端子262にクロックパルスを入力する。クロック信号φ1、φ2は相補的に動作させる。また、双極パルスを出力する場合、負側の振幅はVb、正側の振幅はVdd'−Vbとなる。単極の場合には、振幅はVdd'となる。 【0049】このパルス数変調方式では、パルスは一定周波数で出力されるため、特定の細胞を安定して刺激できる。また、振幅を一定にして、パルス数で入射光量を表現するため、刺激強度を調整することにより、アナログ的緩和を示す細胞からデジタル的緩和を示す細胞まで、幅広く対応できる。光電変換部分の出力はデジタル値であるため(インバータ出力が光電変換部出力)、デジタルまたはデジタル・アナログ混載方式のパルス整形が容易となる。 【0050】また、実施例6の回路ではインバータを用いて双極パルスを生成するため、電荷の注入・吸出しの両方を効果的に実行できる。なお、本回路はパルス周波数変調方式にも利用できる。 【0051】以上の実施例では1つの画素回路のみ示したが、これらを複数個同一の基板に搭載した形式でも個別でも同様の効果を発揮することは言うまでもない。また、基板として半導体以外に高分子などの有機材料でも良いし、金属でも良い。またSOI(Silicon ON Insulator)やSOS(Silicon On Sapphire)などの絶縁物を介したものでも良い。 【0052】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、入力光量に対応するパルス列を出力するというデジタル的な出力形態で光電変換が可能となるとともに、低電圧かつ微弱な光量下でも双極性の電気刺激パルスを出力可能となる。このため、網膜下の狭い領域内での微小フォトダイオードでも網膜内細胞を刺激できる高性能な装置を提供できる。また、各回路の電源電圧を制御することにより、パルス周期、パルス幅、双極性パルス形状、双極性パルス間隔などのパルス特性パラメータを可変にすることができるため、網膜の状態に応じて柔軟に刺激パターンを変化させることができ、より効果的な刺激をより長い時間持続して与えることが可能な装置を提供できる。また、生体埋め込み位置を網膜下とすることにより、パルス出力を効率よく網膜内細胞への刺激とすることが可能となり、外界画像情報と視覚情報との齟齬が生じにくい性能の高い装置を提供することができる。また、構成が標準的な回路構成となるため、汎用の集積回路作製プロセスが適用でき集積密度をあげ、小型で低消費電力な装置を提供することができる。また、受光素子へのバイアス電圧制御する回路に、スイッチング機能を持つトランジスタを使用し、そのゲートをインバータ列の最終出力段に接続したので、構成が単純な装置を提供することができる。また、受動部品のみで構成することができるため、消費電力を抑えた装置を提供することができる。また、特別な抵抗作製プロセスを要せず、通常のロジックプロセスを適用可能なため最新微細化プロセスを使うことで集積密度を上げ、小型化・低消費電力化が可能となる。あるいは、汎用的なプロセスを用いれば低コスト化が可能となる。また、パルス周期や幅を可変にすることが可能となるため、網膜の状態に柔軟に対応した刺激を行うことが可能となる、高性能な装置を提供することができる。また、1個のフォトダイオードと小規模な回路で双極性パルスを発生することが可能となるため、装置を小型化することができる。また、タイミング発生クロックが不要であるので、グローバルな配線が不要となり、構成が簡単な装置を提供することができる。また、微分回路の抵抗をトランジスタとしてその抵抗値を可変としたため、双極性パルスのパルス間隔やパルス振幅などのパルス特性パラメータを制御することが可能となり、網膜状態に応じたパルス刺激を与えることが可能となるためより効果的な視覚刺激が可能となる。また、トランジスタで形成するため汎用的なロジックプロセスが適用できるために、集積密度を上げることができるため小型化で低コスト化な装置を提供することができる。また、出力するパルス列の周波数の上限、下限を制限するパルス周波数変調方式においては、広い光量範囲に対して適合する刺激パルスを生成することができる。また、プログラム可能な刺激波形整形方式においては、細胞刺激に最適な波形を出力することができる。また、パルス振幅変調方式では、刺激パルスは一定周波数で出力されるため、特定の細胞を安定して刺激できる。さらに、アナログ的緩和を示す視細胞に近い網膜細胞をアナログ信号で刺激できる。また、パルス数変調方式では、パルスは一定周波数で出力されるため、特定の細胞を安定して刺激できる。また、振幅を一定にして、パルス数で入射光量を表現するため、刺激強度を調整することにより、アナログ的緩和を示す細胞からデジタル的緩和を示す細胞まで、幅広く対応できる。光電変換部分の出力はデジタル値であるため、デジタルまたはデジタル・アナログ混載方式のパルス整形が容易となる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000135184 【氏名又は名称】株式会社ニデック
|
| 【出願日】 |
平成13年9月4日(2001.9.4) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2002−325851(P2002−325851A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月12日(2002.11.12) |
| 【出願番号】 |
特願2001−268074(P2001−268074) |
|