| 【発明の名称】 |
医療用吸引容器 |
| 【発明者】 |
【氏名】吉岡 常己
【氏名】熊本 幹男
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| 【要約】 |
【課題】圧縮操作によって大きな吸引力を発生させることが出来かつこれをより長時間に渡って持続させることが出来、一層多くの量の体液を吸引し得る医療用吸引容器を提供する。
【解決手段】医療用吸引容器は、圧縮変形させた際の復元力によって創腔から体液を吸引するための医療用吸引容器であり、ゴム弾性を有する合成樹脂によって変形可能に構成された容器本体(1)と、内部の空気を排気するための開閉可能な排気口(3)と、吸引用のチューブを接続するための接続口(4)とから主として構成される。そして、容器本体(1)は、略球形に形成されると共に、上部から底部に亙って螺旋状に伸長された複数のリブ(5)を備えている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮変形させた際の復元力によって創腔から体液を吸引するための医療用吸引容器であって、ゴム弾性を有する合成樹脂によって変形可能に構成された容器本体(1)と、内部の空気を排気するために容器本体(1)の上部に設けられた開閉可能な排気口(3)と、吸引用のチューブを接続するために容器本体(1)の上部に設けられた接続口(4)とから主として構成され、容器本体(1)は、略球形に形成されると共に、上部から底部に亙って螺旋状に伸長された複数のリブ(5)を備えていることを特徴とする医療用吸引容器。 【請求項2】 容器本体(1)は、押圧荷重を1〜10kgfに設定され且つ厚さを1.5〜4.0mmに設定され、リブ(5)は、突出高さを容器本体(1)の厚さの10〜150%に設定され且つ幅を容器本体(1)の肉厚の10〜200%に設定され、そして、リブ(5)は、5〜16本設けられている請求項1に記載の医療用吸引容器。 【請求項3】 各リブ(5)は、平面視した場合、30〜180°の角度範囲で形成されている請求項1又は2に記載の医療用吸引容器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、医療用吸引容器に関するものであり、詳しくは、手術後などに血液、浸出液などの体液を創腔から排除するための医療用吸引容器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】医療用吸引容器は、手術後などに血液、浸出液などの体液を創腔から排除するための容器であり、吸引用のチューブ(カテーテル)を介して創腔に接続される。斯かる医療用吸引容器は、圧縮変形させた際(潰した際)の復元力によって内部を負圧に保持することにより、原形に復元するまでの間、上記の様な体液を徐々に吸引するものである。 【0003】特開2000−202021号公報には、ゴム弾性を有する材料から成る医療用吸引容器であって、チューブが接続される集液ポートと、内部の空気を排出する排気口(収容した体液の排液口)とを備え、かつ、胴部の例えば前面および背面にこれよりも硬質の部材を積層した容器が「体液吸引集液器」として記載されている。斯かる容器において、胴部における硬質部材の積層構造は、大きな吸引量を確保するため、圧縮時の変形量を大きくし、また、長時間に渡って吸引力を持続させるため、復元時の内圧の上昇率(負圧からの回復率)を緩やかにすることを目的としたものである。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の様な医療用吸引容器は、携行することを前提としているため、ある程度限られた大きさにおいてより多くの量の体液を吸引し得る性能が求められる。そして、斯かる性能を満足するには、前述の公報に記載の容器において企図されている様に、圧縮時の変形量を大きくし、復元時の内圧の上昇率を緩やかにすることが必要であるが、特に重要な点は、より大きな負圧(吸引力)を発生させ且つこれを長時間に渡って持続させることである。 【0005】本発明は、上記の様な実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧縮操作によってより大きな吸引力を発生させることが出来かつこれをより長時間に渡って持続させることが出来、一層多くの量の体液を吸引し得る様に改良された医療用吸引容器を提供することにある。また、本発明の目的は、より簡単な構造を備え、一層低コストで製造し得る医療用吸引容器を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、本発明の医療用吸引容器は、圧縮変形させた際の復元力によって創腔から体液を吸引するための医療用吸引容器であって、ゴム弾性を有する合成樹脂によって変形可能に構成された容器本体と、内部の空気を排気するために前記容器本体の上部に設けられた開閉可能な排気口と、吸引用のチューブを接続するために前記容器本体の上部に設けられた接続口とから主として構成され、前記容器本体は、略球形に形成されると共に、上部から底部に亙って螺旋状に伸長された複数のリブを備えていることを特徴とする。 【0007】すなわち、本発明の医療用吸引容器においては、容器本体を圧縮変形させた場合、容器本体の球形構造は、その肉厚に比べて大きな復元力を発揮し、更に、容器本体に備えられてこれに伴って変形した螺旋状のリブは、その復元力を容器本体に対して縦と横の両方向に作用させ、容器本体の復元力を補強する。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明に係る医療用吸引容器の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る医療用吸引容器の一例を示す図であり、分図(a)、(b)はそれぞれ側面図および底面図である。図2は本発明に係る医療用吸引容器の他の例を示す図であり、分図(a)、(b)はそれぞれ側面図および底面図である。図3は本発明に係る医療用吸引容器の上部の構造を示す斜視図である。図4は、本発明に係る医療用吸引容器における吸引特性を示すグラフである。なお、以下の実施形態および実施例の説明においては、医療用吸引容器を「容器」と略記する。 【0009】本発明の容器は、圧縮変形させた際(潰した際)の復元力によって創腔から血液、浸出液などの体液を吸引するための容器であり、図1(a)及び図2(a)に示す様に、ゴム弾性を有する合成樹脂によって変形可能に構成された容器本体(1)と、内部の空気を排気するために容器本体(1)の上部に設けられた開閉可能な排気口(3)と、吸引用のチューブ(図示省略)を接続するために容器本体(1)の上部に設けられた接続口(4)とから主として構成される。 【0010】容器本体(1)を構成する合成樹脂としては、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム、熱可塑性ゴム等、成形性を有する各種の合成ゴムが挙げられる。代表的には、ジエン系ゴムとしては、ブタジエン(BR)、スチレン−ブタジエン(SBR)、クロロプレン(CR)、ブタジエン−アクリロニトリル(NBR)が挙げられる。非ジエン系ゴムとしては、イソブチレン−イソプレン(IIR)、エチレン−プロピレン(EPM,EPDM)、クロルスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンの他、エピクロルヒドリン系、有機ケイ素化合物系、含フッ素化合物系、ウレタン系、ビニル系などのゴムが挙げられる。また、熱可塑性ゴムとしては、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系の各種エラストマーが挙げられる。 【0011】更に、例えば、ポリオレフィン系エラストマーとしては、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用した気相法、液相法または溶液法によって得られる樹脂、好ましくは密度0.860〜0.910のポリエチレン(メタロセンポリエチレン)又は当該メタロセンポリエチレンを50重量%以上含む混合ポリエチレンが挙げられる。斯かる樹脂は、非常にシャープな分子量分布(例えばMw/Mn=2〜3.5)及び非常にシャープな組成分布を有する極めて均質なポリマーであり、柔軟性と耐薬品性に優れている。また、容器本体(1)を構成する合成樹脂としては、シリコーンゴムを使用することも出来る。 【0012】容器本体(1)は、圧縮操作した際に容易に潰れ且つ復元する際に十分な負圧を発生し得る様に、上記の様な樹脂の成分の調製および厚さの調整により、所定の押潰し荷重(押圧荷重;部材表面に徐々に加圧した際に変形を生じるときの表面に垂直な加圧力)に設定される。換言すれば、容器本体(1)は、押圧荷重を1〜10kgfに設定され、しかも、厚さを1.5〜4mmに設定される。なお、上記の押圧荷重の値は、例えば、加圧部の先端直径が20mmに設計された日本電産シンポ社製の商品名「デジタルフォースゲージ」と称する荷重測定器によって測定された値である。 【0013】容器本体(1)の内容積は、携行時の利便性や収容量を考慮し、通常は100〜400cm3程度に設計される。容器本体(1)の水平方向の最大直径は、5〜12cm程度である。また、自立性を確保するため、図1(b)及び図2(b)に示す様に、容器本体(1)の底部には、脚に相当する支持座(6)が一体的に設けられる。 【0014】排気口(3)及び接続口(4)は、図1(a)、図2(a)及び図3に示す様に、容器本体(1)の上部に取り付けられた台座状の扁平な首部(2)に一体的に設けられる。排気口(3)及び接続口(4)を含む首部(2)は、通常、容器本体(1)と同様の合成樹脂、または、容器本体(1)よりも剛性の高い各種の熱可塑性樹脂によって形成される。 【0015】排気口(3)は、容器本体(1)の内部の空気を排気するため及び吸引した体液を廃棄するために使用される口であり、斯かる排気口(3)は、不使用時に閉止するため、ゴム又は合成ゴムによって形成された蓋(31)が取り付けられることにより開閉可能になされている。 【0016】接続口(4)は、創腔に挿入されたチューブ(カテーテル)の一端を接続するポートであり、複数のチューブを同時に接続し得る様に、首部(2)において複数箇所、例えば2箇所に設けられる。接続口(4)は必要な数だけ使用するため、接続口(4)の先端は、製造の当初は封止された状態に形成される。また、本発明の好ましい態様においては、容器本体(1)を変形させる際、空気の逆流を防止し、かつ、既に収容された体液の逆流を防止するため、接続口(4)には、容器本体(1)から流出する方向の流れを規制する逆止弁が設けられる。 【0017】本発明においては、圧縮変形させた場合により大きな復元力、すなわち、容器本体(1)の内部により大きな負圧を発生させ且つこれをより長時間に渡って持続させるため、図1及び図2に示す様に、容器本体(1)は、略球形に形成されると共に、上部(首部(2)の略基部)から底部に向けて螺旋状に伸長された複数のリブ(5)を備えていることが重要である。 【0018】リブ(5)は、容器全体の構造を一層簡素化するため、後述する成形法によって容器本体(1)を成形する際に当該容器本体に一体に形成される。すなわち、リブ(5)は、容器本体(1)の外側表面もしくは内側表面または内外両表面が部分的に膨出した状態となる様に、容器本体(1)の厚さを部分的厚くすることによって形成される。リブ(5)の長さ方向に直交する断面形状は、凡そ、円形、楕円形、矩形、三角形などの種々の形状に設定できる。 【0019】リブ(5)は、容器本体(1)の復元力を補強するものであり、容器本体(1)の本来の肉厚部分よりも高い剛性を必要とされるが、リブ(5)の剛性は、容器本体(1)を圧縮操作する際に容易に変形させることが出来る様に調整されていることが重要である。斯かる観点から、リブ(5)の突出高さ(容器本体(1)の肉厚を含まない突出量)は、前述の容器本体(1)の厚さの10〜150%、具体的には0.2〜6.0mmに設定される。更に、容器本体(1)を圧縮操作した際に全体が均等に変形する様に、リブ(5)の突出高さは、上記の範囲内において、容器本体(1)の略最大直径部近傍が高く、容器本体(1)の上部および底部に向うに従い漸次低くなされているが好ましい。 【0020】また、リブ(5)の幅(長手方向に直交する幅)は、容器本体(1)の肉厚の10〜200%、具体的には0.2〜8mmに設定される。更に、上記と同様の理由、すなわち、容器本体(1)を圧縮操作した際に全体を均等に変形させるため、リブ(5)の幅は、上記の範囲内において、容器本体(1)の略最大直径部近傍が最も大きく、容器本体(1)の上部および底部に向うに従い漸次小さくなされているが好ましい(図1(b)参照)。そして、上記リブ(5)は、5〜16本設けられる。 【0021】リブ(5)は、容器本体(1)を圧縮変形させた際にこれに伴って変形するが、容器本体(1)が球形に復元し易い様に螺旋状の配置される必要がある。そして、リブ(5)の復元力を容器本体(1)に対して縦と横の両方向に有効に作用させ、円滑に容器本体(1)を復元させるため、各リブ(5)は、平面視した場合、30〜180°の角度範囲で形成されるのが好ましい。 【0022】リブ(5)の配置形態は、図1に示す様に、首部(2)の基部から容器本体(1)底部の中央の支持座(6)に亙って設けられた形態でもよいし、あるいは、図2及び図3に示す様に、首部(2)の基部近傍から容器本体(1)底部の外側の支持座(6)の近傍に亙って設けられた形態でもよい。 【0023】本発明の容器は、排気口(3)、接続口(4)を含む首部(2)と、容器本体(1)とを別個に制作した後、容器本体(1)の上部に首部(2)を溶着または勘合接続して製造される。首部(2)は、通常、インジェクション成形法によって一体的に成形される。また、容器本体(1)は、インジェクション成形法、インジェクションブロー成形法またはダイレクトブロー成形法によって成形される。 【0024】容器本体(1)の成形法は、使用する樹脂の成形時における流動特性や容器本体(1)の表面形状に基づいて決定されるが、インジェクション成形法による場合、容器本体(1)は、その上半部と下半部とを別個に成形した後、これらを溶着して一体化することにより製造される。インジェクションブロー成形法およびダイレクトブロー成形法による場合は、容器本体(1)を一体として成形できる。 【0025】本発明の容器を使用する場合は、先ず、予め先端を切除して開口した接続口(4)に対し、先端が創腔に挿入されたチューブの基端を接続する。次いで、クランプによって挟み付ける等してチューブを閉止状態とした後、排気口(3)を開放する。続いて、容器本体(1)を押し潰す様に変形させることにより、容器本体(1)の内部の空気を排気口(3)から排出した後、その状態で蓋(31)によって排気口(3)を閉止する。斯かる操作により、容器本体(1)の復元力によって当該容器本体を負圧にする。そして、先に挟み付けたクランプを取り外すことにより、チューブの先端に容器本体(1)の負圧を作用させ、チューブを通じて血液、浸出液などを吸引する。 【0026】本発明の容器においては、上記の様に容器本体(1)を圧縮変形させた場合、容器本体(1)の球形構造は、その肉厚に比べて大きな復元力を発揮し、更に、容器本体(1)に備えられてこれに伴って変形した螺旋状のリブ(5)は、その復元力を容器本体(1)に対して縦と横の両方向に作用させ、容器本体(1)の復元力を補強する。その結果、本発明の容器においては、容器本体(1)が原形に復元するまでの間、大きな復元力を発揮し、十分な吸引力を保持することが出来る。 【0027】換言すれば、本発明の容器は、容器本体(1)が球形に形成されているため、無駄なく潰すことが出来かつ復元性に優れ、更に、容器本体(1)に特定のリブ(5)を備えているため、一層大きな復元力、すなわち、吸引力を発生させることが出来かつこれをより長時間に渡って持続させることが出来、そして、一層多くの量の体液を吸引することが出来る。しかも、本発明の容器は、容器本体(1)と一体に且つ容器本体(1)と同一素材でリブ(5)が形成されているため、構造が簡単であり、一層低コストで製造できる。 【0028】 【実施例】図1に示す様な構造の容器を製造し、その吸引特性を確認した。容器を製造するにあたり、容器本体(1)はポリスチレン系エラストマーによって構成した。容器本体(1)の厚さは2mm、容器本体(1)の水平方向の最大直径は8cmとし、内容積は約250cm3に設計した。リブ(5)は平面視した場合に180°の角度範囲で形成した。リブ(5)の突出高さは、最大で1.0mm、容器本体(1)の上部および底部においては漸次0mmに近づく様に設定し、また、リブ(5)の幅は、最大で3mm、最小で0.5mmに設定した。首部(2)は、ポリプロピレンによって形成し、接続口(4)は図3に示す様に2つ設けた。 【0029】吸引特性を確認するにあたり、一方の接続口(4)にチューブを接続し、また、他方の接続口(4)に連成圧力計を接続した。次いで、容器本体(1)を押し潰す様に変形させ、排気口(3)から容器本体(1)内部の空気を排出して負圧にした。そして、予め準備した25℃の水道水をチューブから吸引しつつ、容器本体(1)の重量を連続的に計量することにより吸引量を測定し、また、連成圧力計により容器本体(1)内部の圧力変化を測定した。その結果、図4に示す様な容器本体(1)の吸引圧と吸引量の関係が得られた。 【0030】 【発明の効果】本発明の医療用吸引容器によれば、容器本体の球形構造が肉厚に比べて大きな復元力を発揮し、更に、容器本体に伴って変形した螺旋状のリブがその復元力を容器本体に対して縦と横の両方向に作用させ、容器本体の復元力を補強するため、一層大きな吸引力を発生させることが出来かつこれをより長時間に渡って持続させることが出来、その結果、一層多くの量の体液を吸引することが出来る。しかも、容器本体と一体に且つ容器本体と同一素材でリブが形成されているため、構造が簡単であり、一層低コストで製造できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391013025 【氏名又は名称】阪神化成工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年4月27日(2001.4.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097928 【弁理士】 【氏名又は名称】岡田 数彦
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| 【公開番号】 |
特開2002−325849(P2002−325849A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月12日(2002.11.12) |
| 【出願番号】 |
特願2001−132140(P2001−132140) |
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