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【発明の名称】 少量の薬液投与に適した薬液注入器
【発明者】 【氏名】長谷川 満

【要約】 【課題】操作が簡単で、薬液投与の途中で少量の別の薬液を連続的に投与することが出来る薬液注入器を提供する。

【解決手段】筒状体1には、長手軸に関して反対側の側壁に薬液の入口13と出口14が設けられており、2つのガスケット2、3の間は薬液室4になっている。第1のガスケット2は、シール部21、23の間に薬液通路22を有しており、薬液通路22が薬液の入口13と出口14を連通する第1の位置から先端11まで移動可能である。薬液室4に面する第1のガスケット2の基端と第2のガスケット3の先端には、筒状体1の内径より小さな外径を有する円柱状の突起24、32が設けられている。薬液の入口13は出口14より先端側で筒状体1の内腔に開口しており、第1のガスケット2が先端まで移動したときに、円柱状突起24、32部分を介して薬液の入口13と出口14が連通するようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両端が開放された筒状体と、該筒状体の内腔に所定距離隔てて液密かつ内壁に沿って摺動可能に挿着された、先端側の第1のガスケットと基端側の第2のガスケットを含んでなり、前記筒状体には、長手軸に関して反対側の側壁に薬液の入口と出口が設けられており、第1のガスケットと第2のガスケットの間は薬液が充填された薬液室になっており、前記第1のガスケットは、基端側および先端側に夫々シール部を有するとともに該シール部の間に薬液通路が設けられており、該薬液室に面する第1のガスケットの基端と第2のガスケットの先端の少なくとも一方には、前記筒状体の内径より小さな外径を有する円柱状の突起が設けられており、前記第1のガスケットは前記薬液通路が前記薬液の入口と出口を連通する第1の位置から前記筒状体の先端まで移動可能であり、前記薬液の入口は出口より先端側で前記筒状体の内腔に開口しており、前記第1のガスケットを筒状体の先端まで移動させたときに、前記円柱状突起部分を介して薬液の出口と入口が連通するようにされてなる薬液注入器。
【請求項2】 薬液通路がシール部の間に形成された環状溝である請求項1に記載の薬液注入器。
【請求項3】 薬液通路がシール部の間に形成されたガスケットを横断する貫通孔である請求項1に記載の薬液注入器。
【請求項4】 筒状体の基端に第2のガスケットを先端方向に移動させる押し子を設けてなる請求項1〜3のいずれかに記載の薬液注入器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プライミング操作から連続した操作で少量の薬液を投与するのに好適な薬液注入器に関する。本発明の薬液注入記は、薬液投与の途中で別の薬液を投与する場合や、抗癌剤など混注操作に際して操作者が汚染される虞のある薬剤の投与に好適である。
【0002】
【従来の技術】輸液セットやカテーテルを使用して行う薬液投与に際して、薬液投与の途中で別の薬液の投与を必要とすることがよくある。例えば、造影剤や、ホルモン製剤、ペプチド製剤、抗癌剤、ビタミン剤等の場合であり、薬液が予め充填された注射器、所謂プレフィルドシリンジを使用して行われることが多い。従来、このような混注を必要とする場合、三方活栓やY字管を使用して流路を切り換えることにより行っていた。
【0003】しかしながら、このような三方活栓やY字管を使用した混注の場合、プレフィルドシリンジの接続操作やプライミングの際に、中に収容された薬液が外部に漏れる虞があり、特に抗癌剤など発ガン性の高い製剤を混注する場合には、操作者の健康上問題がある。また、高価な薬液を少量投与する場合、操作が煩雑であり、他の薬液と混合して濃度が希薄になり効果的な投与が出来なかったり、残液があるなどの問題もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、如上の事情に鑑みてなされたもので、操作が簡単で、薬液投与の途中で少量の別の薬液を連続的に投与することが出来る薬液注入器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解決するために、鋭意検討の結果、押し子を押し続けるという単一の操作で投薬モードを変更できるプレフィルドシリンジを採用することにより上記課題を解決できることに想到し、本発明を完成した。すなわち本発明は、両端が開放された筒状体と、該筒状体の内腔に所定距離隔てて液密かつ内壁に沿って摺動可能に挿着された、先端側の第1のガスケットと基端側の第2のガスケットを含んでなり、前記筒状体には、長手軸に関して反対側の側壁に薬液の入口と出口が設けられており、第1のガスケットと第2のガスケットの間は薬液が充填された薬液室になっており、前記第1のガスケットは、基端側および先端側に夫々シール部を有するとともに該シール部の間に薬液通路が設けられており、該薬液室に面する第1のガスケットの基端と第2のガスケットの先端の少なくとも一方には、前記筒状体の内径より小さな外径を有する円柱状の突起が設けられており、前記第1のガスケットは前記薬液通路が前記薬液の入口と出口を連通する第1の位置から前記筒状体の先端まで移動可能であり、前記薬液の入口は出口より先端側で前記筒状体の内腔に開口しており、前記第1のガスケットを筒状体の先端まで移動させたときに、前記円柱状突起部分を介して薬液の出口と入口が連通するようにされてなる薬液注入器に関する。
【0006】ここで、薬液通路は、シール部の間に形成された環状溝であっても、ガスケットを横断する貫通孔であってもよい。筒状体の基端には第2のガスケットを先端方向に移動させる押し子を設けてもよい。
【0007】本発明の薬液注入器は、シリンジと接続して、心筋シンチグラフィーのために行う造影剤の血管注入や、腎性貧血の治療のために行う透析回路へのホルモン製剤の混注、骨粗鬆症の治療のためのペプチド製剤の混注、抗癌剤の混注などに使用できるほか、輸液バックやボトルにチューブを介して接続して、メイラード反応を防止するために高カロリー輸液の開始直前にビタミン剤を注入する場合などに使用できる。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施例に係る縦断面図であり、図2〜図4は本発明の薬液注入器の使用状態を説明するための図である。図1に示すように、本発明の薬液注入器は、筒状体1と、この筒状体1に挿着された2つのガスケット2、3を含んでなる。筒状体1には、長手軸に関して反対側の側壁に薬液の入口13と出口14が設けられており、2つのガスケット2、3の間は薬液室4になっている。第1のガスケット2は、シール部21、23の間に薬液通路22を有しており、薬液通路22が薬液の入口13と出口14を連通する第1の位置から先端11まで移動可能である。薬液室4に面する第1のガスケット2の基端と第2のガスケット3の先端には、筒状体1の内径より小さな外径を有する円柱状の突起24、32が設けられている。薬液の入口13は出口14より先端側で筒状体1の内腔に開口しており、第1のガスケット2が先端まで移動したときに、円柱状突起24、32部分を介して薬液の入口13と出口14が連通するようになっている。
【0009】筒状体1は、両端11、12が開放されており、その長手軸に関して反対側の側壁には薬液の入口13と出口14が設けられ、薬液の入口13は出口14より先端11側で筒状体1の内腔に開口している。筒状体1の内腔には所定距離隔てて2つのガスケット2、3が液密かつその内壁に沿って摺動可能に挿着されており、2つののガスケット2、3の間は薬液室4になっている。薬液室4には薬液(省略されている)が充填されている。図中15はガスケット2の移動を停止するための環状突起である。
【0010】先端11側の第1のガスケット2は、先端側および基端側に夫々シール部21、23を有しており、シール部21、23の間には薬液通路22が設けられている。薬液通路22は、シール部21の間に形成された環状溝22であっても、ガスケットを横断する貫通孔(図示していない)であってもよい。第1のガスケット2は、その薬液通路22を介して筒状体1の薬液の入口13と出口14が連通する第1の位置から筒状体1の先端11まで摺動可能である。第1のガスケット2は、これを先端11方向に移動させた時、薬液の出口14から薬液が注出される位置、すなわち薬液室4が薬液の出口14と連通し入口13とは連通しない位置で自動的に停止する。薬液室4に面する第1のガスケット2の基端と基端側の第2のガスケット3の先端には、筒状体1の内径より小さな外径を有する円柱状の突起24、32が設けられている。突起24、32は両方にではなくどちらか一方に設けてもよい。従って、第1のガスケット2に突起24を設けた場合、第2のガスケット3は、従来のもの、または従来のものに突起32を設けたものであってもよい。薬液室4の薬液が無くなると、第1のガスケット2と第2のガスケット3は一緒に移動し、第1のガスケット2が先端11に達したときに停止する。このとき、薬液の入口13と薬液の出口14は円柱状突起24、32部分を介して連通する。
【0011】筒状体1の基端には第2のガスケット3を先端11方向に移動させる押し子5を設けてもよい。押し子5としては、特に限定するものではないが、例えば図1に示すような、筒状体1の外壁と係合し、容易に先端11方向に移動させることが出来るキャップ状のものが好ましく採用される。図中、51は係合部、52は押圧部であり、押し子5は、筒状体1の環状溝16と係合部51の環状リブ511が係合する位置から、筒状体1の段部17と環状リブ511が係合する位置まで移動可能になっている。
【0012】次に、本発明の薬液注入器の使用について図面を用いて説明する。図2〜図4は血管に造影剤を注入する場合の使用例である。先ず、薬液室4に造影剤(図示していない)の充填された薬液注入器Iを用意し、その薬液の出口14に例えば翼状針(図示していない)を接続する。この時、第1のガスケット2は薬液通路22が薬液の入口13と出口14を連通する第1の位置ある。次に、図2に示すように、薬液注入器Iの薬液の入口13に、生理食塩水(図示していない、以下、生食という)を充填したシリンジSのチップ6を挿着し、プランジャ7を押すと、シリンジSの生食は薬液の入口13、薬液通路22、出口14および翼状針を通って流れ、造影剤の流路が洗浄される(プライミングという)。
【0013】プライミングが終了したら、翼状針の針を患者の血管に刺入して血管を確保する。次に、薬液注入器Iの押し子5を押すと、第2のガスケット3と薬液室4および第1のガスケット2が先端方向に移動し、薬液室4が円柱状状突起24部分を介して薬液の出口14と連通する位置で停止する。このとき、薬液室4の造影剤は薬液の出口14から翼状針を介して血管に注入される(図3参照)。薬剤室4の造影剤が空になると、2つのガスケット2、3が接触して、第1のガスケット2が先端11に達する位置まで一体的に移動する。この時、円柱状突起24、32部分を介して薬液の入口13と出口14が連通する。次に、シリンジSのプランジャ7を押すと、生食が薬液の入口13、円柱状突起24、32部分、薬液の出口14および翼状針を通って流れ、このとき、円柱状突起24、32部分、薬液の出口14および翼状針の中に残っている造影剤が血管内に流し込まれる(図4参照)。
【0014】
【発明の効果】以上述べたことから明らかなように、本発明によれば、以下のような効果が期待できる。押し子を押し続けるだけの単純な操作で投薬モードを変更できるので、操作が簡単である。また、投薬の途中で別の薬液を連続して投与できるので、高価な薬液を少量投与する場合に便利であり、この場合、他の薬液と混合するように投与するものではないので濃度が希薄になることも無く、効果的な投与が出来る。高価な薬液の投与後再び安価な薬液を投与することにより、高価な薬液の残液を流し込むことが出来るので、高価な薬液を無駄にしないで済む。
【出願人】 【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
【識別番号】000149837
【氏名又は名称】株式会社第一ラジオアイソトープ研究所
【出願日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−325844(P2002−325844A)
【公開日】 平成14年11月12日(2002.11.12)
【出願番号】 特願2001−131514(P2001−131514)