| 【発明の名称】 |
透析用穿刺シミュレータ |
| 【発明者】 |
【氏名】木 原 一 彦
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| 【要約】 |
【課題】患者が自ら又は患者同士で、人工透析の体外循環系の動脈チューブ及び静脈チューブの注射針をシャントに刺す場合に、針刺に慣れると共に、正しい針刺ができるように訓練する透析用穿刺シミュレータを提供する。
【解決手段】体内循環系を模した循環流路(2)を形成した腕模型(3)と、人工腎臓を模したフィルタ(9)を介装した分岐流路(4)からなり、循環流路(2)には分岐流路(4)の両端に設けた注射針(11in、11out)を刺す穿刺用シャント(8)を形成した。循環流路(2)に老廃物となる添加剤を混入した擬似血液を流し、穿刺用シャント(8)に各注射針(11in、11out)を刺した状態で、循環流路(2)を流れる擬似血液と、分岐流路(4)に流入した擬似血液の添加剤濃度を検出する濃度センサ(7、13)を設けた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】体内循環系を模した循環流路(2)が形成された腕模型(3)と、体外循環系を模した分岐流路(4)とからなり、前記循環流路(2)に、血中老廃物に見立てた添加剤を混入させた擬似血液を循環供給するポンプ(6)と、その擬似血液の添加剤濃度を測定する濃度センサ(7)が設けられると共に、当該循環流路(2)中、腕模型(3)の内腕部表皮(5)下に穿刺用シャント(8)が形成され、前記分岐流路(4)に、擬似血液中の添加剤を除去する人工腎臓を模したフィルタ(9)が介装されると共に、フィルタ(9)の流入側及び流出側に動脈チューブ(10in)及び静脈チューブ(10out)が接続され、当該各チューブ(10in、10out)の先端に取り付けられた注射針(11in、11out)を前記穿刺用シャント(8)に刺した状態で前記循環流路(2)を流れる擬似血液の一部を動脈チューブ(10in)から吸い込み、静脈チューブ(10out)から吐き出させるポンプ(12)と、前記動脈チューブ(10in)を流れる擬似血液の添加剤濃度を測定する濃度センサ(13)が設けられたことを特徴とする透析用穿刺シミュレータ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、患者自身が各家庭で人工透析を行うことができるように穿刺訓練を行う透析用穿刺シミュレータに関する。 【0002】 【従来の技術】現在、日本だけでも約20万人、世界的に見ると約100万人の患者が人工透析による治療を受けている。人工透析は、週3回、1回当り4〜5時間かけて人工腎臓を使用して、体内の水分や電解質のバランスの維持、さらには不要老廃物の体外除去を行うもので、これにより、健常者の10%以下に低下した腎機能を、20〜25%程度にまで回復させることになる。 【0003】しかし、人工透析を受けている間、患者はベッドから離れることができないので、1週間のうちの多くの時間を余儀なくベッドで過ごさなければならず、患者の社会生活に大幅な支障をきたしている。また、週3回、1回に4〜5時間かけて透析を行うと、1回あたりの除水量が体重の5%以上にも達するため、不眠症や透析直後の疲労感など個人差があるものの患者の負担が大きい。 【0004】このため最近では、ヨーロッパを中心にデイリーダイアライシス(Daily Dialysis)が注目され、不眠症や疲労感の解消に有効であるとの報告が出ている。これは、日曜日以外の毎日、即ち週6日間、1回2時間の透析を行うもので、自動透析センター(Auto Dialysis Center)で患者同士で透析を行うことにより、経済的負担を軽減すると共に、不眠症や疲労感の解消させ、さらには、社会生活への支障をも無くそうとするものである。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、人工透析は、人工腎臓の動脈チューブと静脈チューブの注射針を内腕部の血管に形成したシャントに突き刺して、患者の体内循環系を体外循環系に繋ぐ作業が不可避であり、この上手下手により、透析の効率が著しく変動するだけでなく、シャントの寿命に影響を与える。 【0006】すなわち、動脈チューブと静脈チューブの注射針の刺し方が悪いと、人工腎臓から静脈チューブを介して体内循環系に戻された浄化血液を再び動脈チューブから吸い込んでしまう再循環(リサーキュレーション)を起こし、体内の汚れた血液を効果的に体外循環系の人工腎臓に送り込むことができない。 【0007】また、上手く注射針を刺すことのできない原因の第一は、注射針を指すことに対する恐怖心と、失敗してはならないというプレッシャーであり、この恐怖心及びプレッシャーは訓練により徐々に薄らいでいくものである。 【0008】そこで本発明は、患者が自ら又は患者同士で、体外循環系の動脈チューブ及び静脈チューブの注射針をシャントに刺す場合に、リサーキュレーションを起こさないように訓練することができ、また、その訓練を繰り返して注射針を指すことに慣れることにより少しでも恐怖を和らげるようにすることを技術的課題としている。 【0009】 【課題を解決するための手段】この課題を解決するために、本発明は、体内循環系を模した循環流路が形成された腕模型と、体外循環系を模した分岐流路とからなり、前記循環流路に、血中老廃物に見立てた添加剤を混入させた擬似血液を循環供給するポンプと、その擬似血液の添加剤濃度を測定する濃度センサが設けられると共に、当該循環流路中、腕模型の内腕部表皮下に穿刺用シャントが形成され、前記分岐流路に、擬似血液中の添加剤を除去する人工腎臓を模したフィルタが介装されると共に、フィルタの流入側及び流出側に動脈チューブ及び静脈チューブが接続され、当該各チューブの先端に取り付けられた注射針を前記穿刺用シャントに刺した状態で前記循環流路を流れる擬似血液の一部を動脈チューブから吸い込み、静脈チューブから吐き出させるポンプと、前記動脈チューブに流入した擬似血液の添加剤濃度を測定する濃度センサが設けられたことを特徴とする。 【0010】本発明によれば、体内循環系を模した循環流路に、血中老廃物に見立てた添加剤を混入させた擬似血液が循環供給されるので、体外循環系を模した分岐流路の動脈チューブ及び静脈チューブの注射針を循環流路の穿刺用シャントに刺すことにより、体内循環系と体外循環系が接続されることになる。 【0011】腕模型の内腕部表皮下に形成された穿刺用シャントに動脈チューブ及び静脈チューブの注射針を刺すと、人工腎臓を模したフィルタを設けた体外循環模型が、体内循環系を模した循環流路に連結される。 【0012】ここで、注射針が正しく刺されていれば、模擬血液の一部が循環流路から動脈チューブを介して分岐流路に流入し、そのフィルタで添加剤が除去されて浄化され、静脈チューブを介して再び循環流路に戻される。このように、擬似血液は循環流路から動脈チューブに流入するので、循環流路内における添加剤濃度と、動脈チューブ内における添加剤濃度は略等しく、時間の経過と共にフィルタで添加剤が除去されて、添加剤濃度は徐々に低下する。 【0013】また、注射針が正しく刺されずに、リサーキュレーションを起こすと、フィルタで添加物が除去されて浄化された擬似血液が、静脈チューブを介して穿刺用シャントに戻された後、そのほとんどが循環流路に流入せずに穿刺用シャントから再び動脈チューブに流入する。この場合は、循環流路内における擬似血液の添加剤濃度はなかなか下がらず、動脈チューブ内における添加剤濃度のみ低下するので、時間の経過と共に両者間に濃度差が生じる。したがって、これらの添加剤濃度をモニタすることにより、注射針が正しく刺されたか否か判断できる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明に係る透析用穿刺シミュレータの一例を示す説明図、図2は穿刺用シャントに刺した注射針の位置を示す図、図3は他の実施形態を示す説明図である。 【0015】本例の透析用穿刺シミュレータ1は、体内循環系を模した循環流路2が形成された腕模型3と、体外循環系を模した分岐流路4とからなる。腕模型3は、人の前腕部及び手の形状を実寸大に模って形成され、その表皮5に、合成樹脂膜、人工皮膚又は豚などの皮膚が用いられており、その内部を通って人工血管や合成樹脂チューブで形成された循環流路2が形成されている。 【0016】循環流路2には、血中老廃物に見立てた添加剤を混入させた擬似血液を循環供給するポンプ6と、その擬似血液の添加剤濃度を測定する濃度センサ7が設けられると共に、腕模型3の内腕部表皮5下に穿刺用シャント8が形成されている。 【0017】なお、循環流路2は動脈に相当する動脈流路2Aが腕模型3の中心近傍を通って先端側で折り返され、静脈に相当する静脈流路2Bが表皮5の真下を通って形成され、動脈流路2A及び静脈流路2Bがポンプ6の吐出口6out及び流入口6inに接続されている。また、動脈流路2Aは、腕模型3に止血帯などが巻き付けられて圧迫されても液流が滞らないように硬質パイプで形成され、または、腕模型3内に配された硬質パイプ内に挿通されている。 【0018】循環流路2に循環させる擬似血液としては、血液と同程度の粘度を有する赤色の液体を用いるのが望ましい。また、老廃物に見立てられる添加剤としては、擬似血液に分散されて循環流路2内を擬似血液と共に流れ、注射針4inの先端から流入可能で、且つ、後述するフィルタ9で捕捉可能な物質であれば任意のものを採用し得る。 【0019】穿刺用シャント8は、後述する動脈チューブ10in及び静脈チューブ10outに装着された注射針11in,11outを刺しても、抜いたときにはその孔がふさがり、腕模型3に止血帯を巻き付つけて静脈流路2Bの下流側を圧迫したときに膨れるように合成ゴムなど弾性の高い材質で形成されている。 【0020】分岐流路4は、擬似血液中の添加剤を除去する人工腎臓に見立てたフィルタ9が介装され、その流入側及び流出側に動脈チューブ10in及び静脈チューブ10outが接続されると共に、当該各チューブ10in、10outの先端に取り付けられた注射針11in、11outを穿刺用シャント8に刺した状態で、循環流路2を流れる擬似血液の一部を動脈チューブ10inから吸い込み、静脈チューブ10outから吐き出させるポンプ12と、動脈チューブ10inに流入した擬似血液の添加剤濃度を測定する濃度センサ13が設けられている。 【0021】なお、循環流路2を流れる擬似血液の総量は500cc、循環流路2に介装されたポンプ6の流量は300cc/min程度、動脈チューブ10inに介装されたポンプ12の流量は20cc/min程度、に設定されている。また、各濃度センサ7、13は、夫々の濃度を同時に表示する液晶ディスプレイ14A、14Bを備えた測定器15に接続される。 【0022】以上が本発明の構成例であって、次に、その作用を説明する。体内循環系を模した循環流路2に、添加物を5%混入させた擬似血液500ccを充填し、これをポンプ6で約300cc/minの流量で循環させ、各濃度センサ7、13を測定器15に接続すると、濃度センサ7の出力に基づいて循環流路2を流れる擬似血液の添加剤濃度5%が液晶ディスプレイ14Aに表示される。なお、このとき分岐流路4には未だ模擬血液が流れていないので、液晶ディスプレイ14Bの表示は「0%」となっている。 【0023】ここで、止血帯を用いて、穿刺用シャント8より上腕側で腕模型3を締め付けると、循環流路2の動脈流路2Aは腕模型3の中心近傍を通る硬質パイプで形成されているので変形しないが、表皮5の真下を通っている静脈流路2Bがつぶれて塞がるので、穿刺用シャント8が擬似血液で膨らむ。 【0024】この状態で、分岐流路4の動脈チューブ10in及び静脈チューブ10outの注射針11in及び11outを穿刺用シャント8に刺し、ポンプ12を起動させると、循環流路2を流れる擬似血液が20cc/minの流量で人工腎臓を模したフィルタ9に送液開始される。これにより、体内循環系を模した循環流路2を循環する擬似血液の一部が、体外循環系を模した分岐流路4に流入するので、各濃度センサ7、13により測定された擬似血液の添加剤濃度はいずれも5%となり、液晶ディスプレイ14A、14Bの表示はともに「5.00%」となる。 【0025】このとき、図2(a)に示すように、各注射針11in及び11outが正しく刺されていれば、模擬血液の一部が循環流路2から分岐流路4の動脈チューブ10inに流入し、フィルタ9で添加剤が除去されて浄化された擬似血液が静脈チューブ10outを介して再び循環流路2に戻される。 【0026】したがって、時間の経過と共にフィルタ9で添加剤が除去され、各濃度センサ7、13により測定された擬似血液の添加剤濃度は同じように徐々に下がっていき、約30分で「0%」近くまで低下する。 【0027】一方、各注射針11in及び11outが、図2(b)に示すように刺されると、静脈チューブ10outを介して穿刺用シャント8に戻された擬似血液のほとんどが循環流路2へ戻らずに再び動脈チューブ10inに流入するリサーキュレーションを起こす。 【0028】この場合、実質的に、循環流路2と分岐流路4が独立した循環系となり、循環流路2を循環する擬似血液は循環流路2のみで循環し、分岐流路4に流入した擬似血液は分岐流路4のみで循環する。その結果、分岐流路4を循環する擬似血液はフィルタ9を通過するので、その添加剤濃度は「5%」から「0%」近傍まですぐに低下するが、循環流路2を循環する擬似血液はフィルタ9を通過しないので、その添加剤濃度はほとんど低下しないで「4.8%」程度のまま変化がない。 【0029】なお、この場合に、各濃度センサ7、13で測定された濃度が一致した時点から双方の濃度を測定器15で比較してその差が予め設定された値(例えば1%)以上になったときにアラームを鳴らしたり、循環流路2を流れる擬似血液の添加剤濃度の低下速度を算出し、一定の速度で低下しないときにアラームを鳴らせば、液晶ディスプレイ14A、14Bを見るまでもなくリサーキュレーションを起こしていることが判る。 【0030】腕模型3に形成された循環流路2の穿刺用シャント8に、動脈チューブ10in及び静脈チューブ10outの注射針11in及び11outを刺して、循環流路2及び動脈チューブ10inの添加剤濃度をモニタすることにより、正しく刺せたかどうかを知ることができる。したがって、これを繰返し行うことにより、穿刺用シャント8のどこに、どのような方向から、どのような角度で、夫々の注射針11in及び11outを刺せばよいかを経験的に覚えることができ、逆に、リサーキュレーションを起こす穿刺位置、方向及び角度を覚えることもできる。しかも、何回でも繰返して穿刺することにより、不慣れに起因する恐怖心も和らげることができる。 【0031】図3は他の実施形態を示すもので、図1と共通する部分については同一符号を付して詳細説明を省略する。本例の腕模型20は、内腕部に装着可能な湾曲板状に形成されており、背面側には腕模型20を片腕(例えば左腕)内腕部に固定するためのベルト21が設けられている。この腕模型20を片腕に固定して穿刺すれば、腕模型20を固定した側の手を使うことができないので、実際に自分で自分の腕に穿刺するときと全く同様の状態で穿刺訓練を行なうことができる。特に、利き腕(右腕)の内腕部にシャントを形成せざるを得ない場合に、利き腕ではない方の手(左手)で穿刺する訓練を行なう場合に効果的である。 【0032】 【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、腕模型を自分の腕に見立てて、体外循環系を模した分岐流路の各注射針を穿刺用シャントに刺すことにより、リサーキュレーションが起きたか否かを正確に判別することができるので、これを何度も繰り返すことによりリサーキュレーションが起きない正しい刺し方を経験的に身に付けることができるだけでなく穿刺に慣れ、不慣れに起因する恐怖心も和らげることができるという大変優れた効果を奏する |
| 【出願人】 |
【識別番号】593004337 【氏名又は名称】ホスパル株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年5月2日(2001.5.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100084984 【弁理士】 【氏名又は名称】澤野 勝文 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−325839(P2002−325839A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月12日(2002.11.12) |
| 【出願番号】 |
特願2001−135156(P2001−135156) |
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