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【発明の名称】 医療用酸素濃縮装置及びセンサー計測装置
【発明者】 【氏名】鈴木 誠一郎

【氏名】山田 章生

【要約】 【課題】酸素濃縮器が持つセンサーの特性不良を顕在化する前に発見し、使用者に警報で知らせて、確実に酸素を使用者に供給する事が可能な酸素濃縮装置を提供する。

【解決手段】センサー素子を内蔵し、空気中の酸素を分離し使用者に酸素濃縮空気を供給する酸素濃縮装置において、該センサー素子の測定入力電圧値又は測定入力電流値と、センサー素子の使用範囲内における別の入力電圧値又は入力電流値を与える入力値変更手段を備え、各々の入力値で計測した出力値を比較する手段を備えたことを特徴とする医療用酸素濃縮装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 センサー素子を内蔵し、空気中の酸素を分離し使用者に酸素濃縮空気を供給する酸素濃縮装置において、該センサー素子の測定入力電圧値又は測定入力電流値と、センサー素子の使用範囲内における別の入力電圧値又は入力電流値を与える入力値変更手段を備え、各々の入力値で計測した出力値を比較する手段を備えたことを特徴とする医療用酸素濃縮装置。
【請求項2】 該センサー素子が、フォトセンサー、ジルコニア式酸素濃度センサー、半導体圧力センサーであることを特徴とする請求項1記載の医療用酸素濃縮装置。
【請求項3】 該比較手段の結果が所定範囲を外れた場合、それを表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求項1、2記載の医療用酸素濃縮装置。
【請求項4】 センサー素子に対して、その使用範囲内における少なくとも2種類の入力電圧値又は入力電流値を与える入力変更手段、各々の入力値で計測した出力値を計測する計測手段、計測結果を比較する比較手段を備えたことを特徴とするセンサー計測装置【請求項5】 該比較手段の結果が所定範囲を外れた場合、それを表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求項4記載のセンサー計測装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気中の酸素を分離し、呼吸器疾患患者等の使用者に酸素濃縮空気を供給する医療用酸素濃縮器に関する。更に詳細には、供給する酸素ガスの性能(濃度、流量など)を保証するために搭載されている各種センサーの異常を顕在化する前に把握可能な酸素濃縮装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、肺結核後遺症や肺高血圧症などの慢性呼吸器疾患患者に対して、酸素を吸入させる酸素吸入療法が行なわれ、空気中から酸素を分離する酸素濃縮装置が開発されている。かかる酸素濃縮装置として、酸素選択透過膜を用いた膜分離型酸素濃縮装置や、窒素又は酸素を選択的に吸着し得る吸着剤を用いた吸着型酸素濃縮装置が知られている。更には、酸素イオンを選択的に透過する固体電解質膜を利用し、電気化学的に酸素を生成する装置なども有る。吸着型酸素濃縮装置としては、コンプレッサーを用いた圧力変動吸着型酸素濃縮装置があり、通常、窒素を選択的に吸着し得る吸着剤を充填した吸着床にコンプレッサーで圧縮空気を導入して加圧状態で窒素を吸着させることにより酸素濃縮気体を得る吸着工程と、吸着床の内圧を減少させて窒素を脱着させ吸着剤の再生を行う脱着工程を交互に行うことにより酸素濃縮気体を得る装置である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これら酸素濃縮装置においては、供給する酸素ガスの性能(濃度、流量など)を保証するために各種センサーが搭載されている。センサー類や電子回路は最近複雑となり、かつ精密な制御がなされている。これらのセンサーは性能が高度化する一方で、外乱(電気ノイズ、静電気、振動、熱等)に対しては弱いという面も併せ持っている。これらの外乱による性能低下は顕在化することなく進行し、あるとき突然、異常となることが多い。
【0004】酸素濃度、流量、圧力異常、温度、異常電流等の酸素濃縮器の性能異常に関して、各種センサーの出力が設定値以内であるということを監視し、規定値を外れる場合には異常として、警報動作がなされるシステムが使われている。設定する値を複数設け、予報的な意味をもたせて予告発信を行うものもある。いわゆる、黄信号、赤信号のレベル表示である。これらは、性能に関する現状値が、予め設定された値と比較するものであり、センサー等の劣化進行を把握するものではない。
【0005】本発明は、装置性能の現状値が全く問題ないものであっても、それを検知するセンサー素子の性能低下の進行を事前に把握することを目的としている。このような酸素濃縮器が持つセンサーの特性不良を顕在化する前に発見し、使用者に警報で知らせて、確実に酸素を使用者に供給する事が可能な酸素濃縮装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる課題に対して、本発明者は鋭意検討した結果、各種センサーの定格電圧範囲内における最低電圧や最高電圧等、通常測定条件と異なる条件でセンサーを駆動させ、両者を比較することによりセンサー特性不良が進行しているが顕在化していないセンサーの選別が可能であることを発見した。
【0007】すなわち本発明は、センサー素子を内蔵し、空気中の酸素を分離し使用者に酸素濃縮空気を供給する酸素濃縮装置において、該センサー素子の測定入力電圧値又は測定入力電流値と、センサー素子の使用範囲内における別の入力電圧値又は入力電流値を与える入力値変更手段を備え、各々の入力値で計測した出力値を比較する手段を備えたことを特徴とする医療用酸素濃縮装置を提供するものである。
【0008】また本発明は、かかるセンサー素子が、フォトセンサー、ジルコニア式酸素濃度センサー、半導体圧力センサーであることを特徴とする医療用酸素濃縮装置であり、また該比較手段の結果が所定範囲を外れた場合、それを表示する表示手段を備えたことを特徴とする医療用酸素濃縮装置を提供するものである。
【0009】また本発明は、センサー素子に対して、その使用範囲内における少なくとも2種類の入力電圧値又は入力電流値を与える入力変更手段、各々の入力値で計測した出力値を計測する計測手段、計測結果を比較する比較手段を備えたことを特徴とするセンサー計測装置を提供するものである。
【0010】また本発明は、かかる比較手段の結果が所定範囲を外れた場合、それを表示する表示手段を備えたことを特徴とするセンサー計測装置を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、個々のセンサーについて使用範囲内の少なくとも2種類の入力電圧もしくは入力電流として与え、その少なくとも2種類の入力値から得られる出力値を比較するものである。
【0012】すなわち、センサー検査モードを例えばCPUからの切り替え信号により行おうとした場合、検査モードに入る直前のデータ(フォトセンサー内トランジスタコレクタ電圧、圧力電圧、濃度電圧)をCPU内のRAMに保存しておく。正常に保存が終了した場合、各種センサーに対して例えば、最低定格電圧を印加する。
【0013】これはCPUからの切り替え信号により定常定格電圧と最低定格電圧の切り替え、或は定常定格電流と最低定格電流の切り替えを、アナログスイッチ、マルチプレクサ等で切り替えることが出来る。すなわち最低定格電圧あるいは最低定格電流で計測した測定値とCPU内RAMに保存している正常定格電圧あるいは正常定格電流で測定した測定値との比較を行う。フォトセンサー、ジルコニア式濃度センサーの場合は電圧を変動させた場合のフォトセンサー内トランジスタコレクター電圧及び濃度電圧とRAM内に保管されている測定値を比較し、あらかじめ設定した規定値以内であればセンサーが正常であると判断、すなわち性能低下が進行していないことを意味し、両者の測定値があらかじめ設定した規定値外であればセンサーそのものの性能が低下していると考えられ、センサー劣化警報を点灯させる。
【0014】更に圧力センサーの場合は、該圧力センサーに駆動される電流値によって出力電圧が異なるので、測定を行う少なくとも2種類の入力電流値の比と、その2種類の入力電流値で測定した出力電圧を比較し、あらかじめ設定した規定値以内であれば、該圧力センサーは正常となり、電流と電圧の比があらかじめ設定した規定値以外であれば、圧力センサーが劣化もしくは劣化傾向にあることを示している。
【0015】電圧値を変動させることにより、センサー性能低下状態を判定する方法においては、最低定格電圧の代わりに最高定格電圧でもセンサー劣化状況を判断することが出来るが、電圧を上げることによりセンサーには過負荷が掛かることになり、寿命を低下させる可能性があるために最低定格電圧の方が望ましい。
【0016】同じように電流値を変動させてセンサー性能低下状態を判定する方法においては、最低定格電流の代わりに最高定格電流でもセンサー劣化状況を判断することが出来るが、電流値を上げることによりセンサーには過負荷が掛かることになり、寿命を低下させる可能性があるため最低定格電流のほうが望ましい。
【0017】通常運転の動作時に、一時的にチェックソフトが動作しアナログスイッチ等によるハードウェアを使用した切り替えを行う機構を用いてもよいし、装置の運転前、運転停止時に自動的にチェックソフトが働き、電圧もしくは電流の切り替えを行うようにすることも可能である。
【0018】これらのチェックシステムはすべてのセンサーに設ける必要は無く、性能を保証する時に、特に重要なセンサーユニットとか、劣化しやすいセンサーユニットに対して設ければよいことはもちろんである。
【0019】あるいは、装置に自動チェック機能を設ける代わりにサービスマンが携帯する装置として、装置本体に切り替えスイッチを設けることにより入力電圧あるいは入力電流を変更させ、センサー性能低下状態を簡単に判断できる簡易チェッカーとして使用する構成にしても良い。
【0020】以下に図面を用いて本発明の医療用酸素濃縮装置の具体的態様について更に詳細に説明する。
【0021】図1は、本発明の医療用酸素濃縮装置の好ましい実施態様を模式的に示した概略フローチャートである。酸素濃縮手段として圧力変動吸着型酸素濃縮手段が備えられており、コンプレッサー1が自動開閉弁2を介して窒素を選択的に吸着する吸着剤として例えば、ゼオライト13Xを充填した吸着塔3に連結され、酸素濃縮空気を一時的に貯蔵するサージタンク9が自動開閉弁4を介して連結されている。サージタンク9には減圧弁等を備えた酸素濃縮空気流路用導管が取付けられており、この導管に該酸素濃度検出手段として酸素濃度センサー12が設けられ、そして流量制御手段としてオリフィス型流量設定器8が設けられており、鼻カニューラなどの酸素濃縮空気供給手段が連結されている。
【0022】酸素濃縮装置内に取り付けられているフォトセンサー14の回路構成を図2に示す。かかるフォトセンサーは、流量設定器8内に設置され、流量表示を司っているセンサーである。具体的には4個のフォトセンサー上部に反射板があり反射有無によってフォトセンサー出力がディジタル出力のH/Lとなり、その4bitの組み合わせにより流量値をデコードする。フォトセンサー14の電源電圧13は通常+5Vで駆動しているが、センサー検査モード時は電源電圧13を例えば、+3Vまで低下させる。定常定格電源電圧でのフォトセンサー14内フォトトランジスタ16のコレクター電圧値をCPU内のRAMに保持させた後、センサー検査モードの切り替えを図示していないCPUの信号で行い電源電圧13を低下させる。フォトセンサー14が劣化を起こしていた場合、電源電圧13を下げるにつれてフォトセンサー14内の発光ダイオード15の照射量が低下し、該フォトセンサー14内フォトトランジスタ16のコレクター電圧が次第に上昇し始める。その結果、電源電圧を低下させた時の該フォトセンサー14内フォトトランジスタ16のコレクター電圧値とRAMに保持されている該定常定格電圧+5V時のフォトセンサー14内フォトトランジスタ16のコレクター電圧との比を取り、それがあらかじめ設定した規定値以内であれば、フォトセンサーの性能が低下していないと判断される。しかし、あらかじめ設定した規定値以外となった場合、フォトセンサーの性能が低下し始めていることを示唆しているので現象が顕在化する前にセンサーの交換が必要となる。
【0023】更に酸素濃縮装置内に取り付けられている圧力センサーの回路構成を図3に示す。定常定格電流値での圧力電圧値をCPU内のRAMに保持させた後、センサー検査モードの切り替えをCPUからの信号19で行い、電流値を低下させる。すなわち、圧力センサーは定電流駆動であるため、センサー検査モード時は、定常定格電流値よりも低い電流を供給させる。そのためにCPUからの信号19により定常定格電圧より低い電圧をオペアンプ25に加えて定常定格電流値よりも低い定電流回路を駆動させる。その時の圧力電圧値とRAMに保持されている定常状態での圧力電圧値を比較し、その電圧比と定常電流値と低下させた電流値の比があらかじめ設定した規定値以内であれば正常であると判断できる。しかし、両者の比があらかじめ設定した規定値以外の場合、何らかの理由により圧力センサーが異常であることを示唆している。
【0024】同様に、酸素濃縮装置内に取り付けられているジルコニア式濃度センサーの回路構成を図4に示す。該濃度センサーは、図5に示す様に経年劣化により肩特性が丸まり電流平坦域が低下し始める。あるいはセンサー電極付近に不純物が蓄積されると図6のような平坦域を持たない電流ー電圧特性を示すことが知られている。従って、測定時のバイアス電圧と異なったバイアス電圧を該濃度センサーに印加させることにより、劣化状態を判断することが可能になる。
【0025】例えば、センサー検査モード時は、該バイアス電圧値を定常バイアス電圧値よりも低下させて印加させる。定常バイアス電圧での濃度電圧値をCPU内のRAMに保持させた後、センサー検査モード切替をCPUからの信号29とアナログスイッチ28で行い、バイアス電圧を低下させる。その時の濃度電圧値とRAM内に保持されている濃度電圧を比較し、両者の比があらかじめ設定した規定値内であれば正常であると判断し、あらかじめ設定した規定値外であれば濃度センサーの性能が低下し始めていることを示唆しているので現象が顕在化する前にセンサーの交換が必要となる。
【0026】
【発明の効果】本発明の医療用酸素濃縮装置を使用することで、かかるチェックは回路に組み込み自動的に行い、センサー性能不良が進みつつあることを使用者に知らせる方法とは別の方法で知らせることができ、予防保全が可能となり、顕在化しないうちに処置が可能となるため、使用者に迷惑をかけないで行えるものである。
【出願人】 【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
【出願日】 平成13年4月25日(2001.4.25)
【代理人】 【識別番号】100077263
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 純博
【公開番号】 特開2002−320676(P2002−320676A)
【公開日】 平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願番号】 特願2001−127247(P2001−127247)