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【発明の名称】 プランジャ
【発明者】 【氏名】八木 秀樹

【氏名】貴志 正洋

【氏名】五十嵐 悟

【氏名】高橋 雅之

【氏名】道明 誠

【氏名】佐藤 久志

【要約】 【課題】注射器の先端からの液垂れを防止する機能を有するプランジャを提供する。

【解決手段】本発明のプランジャは、ガスケット1と、このガスケット1の基端に取り付けられたプランジャロッド2を有している。ガスケット1の基端には係合窩12が設けられており、この係合窩12にはこれと相補的な形状に形成されたプランジャロッド2の先端部21が挿着されている。挿着されたプランジャロッドの基端部先端221とガスケット2の基端13の間には隙間3が生じている。ガスケット1の先端11は平面状に形成されており、少なくともこの平面状先端11と係合窩12の間の部分は、プランジャロッドで押圧されて変形可能な肉厚に形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 先端と基端を有し該先端から注射筒内に摺動自在に挿着されるガスケットと、該ガスケットの基端に取り付けられたプランジャロッドを有してなり、前記ガスケットは、基端に前記プランジャロッドの先端部と係合する係合窩が設けられるとともに、先端が平面状に形成され、かつ少なくとも該平面状先端と係合窩の間の部分が、プランジャロッドで押圧されて変形可能な肉厚に形成されており、プランジャロッドの先端部は、ガスケットの係合窩と略相補的な形状を有しており、プランジャロッドの先端部を該係合窩に挿着したときに、プランジャロッドの基端部先端とガスケットの基端の間に隙間が生じるようにされてなるプランジャ。
【請求項2】 プランジャロッドの先端部が円錐台状の頭部と首部とからなる請求項1に記載のプランジャ。
【請求項3】 平面状先端と係合窩の間の部分が、容易に変形可能な薄肉に形成されてなる請求項1または2に記載のプランジャ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、注射器のプランジャに関する。より詳しくは、本発明は、注射器による薬液の注入に際して、プランジャの押圧を中断した直後に発生する、注射器の先端からの液垂れを防止する機能を有する注射器のプランジャに関する。本発明のプランジャは、高粘度の薬液を注入する場合や、薬液の注出口が小さい場合、高価な薬液を一度に注入せず数回に分けて注入する場合などに有効である。
【0002】
【従来の技術】薬液、特に高粘度の薬液を注射器の先端から押し出す場合、プランジャの押圧を中断した直後に、注射器の先端から薬液が突出する現象(液垂れという)が発生することが知られている。この現象は、注射筒から薬液を押し出した後も、注射筒内の圧力によって薬液が押し出されるために生じるもので、液垂れした薬液はこれを注射筒内に戻すことができない。従って、例えば歯科用粘性材料のような高価な薬液の場合には、薬液が無駄になるため不経済であった。
【0003】そこで、このような液垂れの問題を解決するものとして、特開2001−57987号公報の押出し部構造が提案されている。このものは、プランジャの先端部が、注射筒内面の直径より小さい部分と、この部分に連続して設けられたOリング装着溝を有しており、Oリング装着溝は、幅がOリングの無負荷状態での横断面の直径の1.5倍以上2.5倍以下であって、かつその底部と注射筒の内壁との間隔が一様または基端方向に連続的または段階的に狭くなっており、基端から先端側へOリングの無負荷状態での横断面の直径の0.5倍隔てた位置における底部と注射筒の内壁との間隔が、Oリングの無負荷状態での横断面の直径の0.85倍以上であることを特徴としている。この構成により、プランジャを押したときにOリングが基端方向に移動して捩れを生じ、Oリングがこのときに生じた捩れた状態から元の状態に復元しようとするときに、プランジャが基端方向に移動して注射筒内が減圧され、液垂れが防止される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このものは、Oリング装着溝とOリングの無負荷状態での横断面の直径との関係が微妙であり、また、摺動抵抗が小さい場合、OリングがOリング装着溝の中でよじれを生じない虞がある。本発明は、如上の事情に鑑みてなされたもので、プランジャの押圧を中断した直後に発生する、注射器の先端からの液垂れを防止する機能を有するプランジャを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意検討の結果、プランジャロッドを押圧したときにガスケットの先端が変形して盛り上がるようにすれば、プランジャロッドの押圧を止めたときにガスケットが元の形状に復するので、この形状復元により注射筒の内圧を吸収することができることに想到し、本発明に到達した。すなわち本発明は、先端と基端を有し先端から注射筒内に摺動自在に挿着されるガスケットと、このガスケットの基端に取り付けられたプランジャロッドを有してなり、ガスケットは、基端にプランジャロッドの先端部と係合する係合窩が設けられるとともに、先端が平面状に形成され、かつ少なくともこの平面状先端と係合窩の間の部分が、プランジャロッドで押圧されて変形可能な肉厚に形成されており、プランジャロッドの先端部は、ガスケットの係合窩と略相補的な形状を有しており、プランジャロッドの先端部を係合窩に挿着したときに、プランジャロッドの基端部先端とガスケットの基端の間に隙間が生じるようにされてなるプランジャに関する。ここで、プランジャロッドの先端部は、円錐台状の頭部と首部とからなるものが好ましく採用される。また、平面状先端と係合窩の間の部分は、容易に変形可能な薄肉に形成するのがよい。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施例の縦断面図である。また、図2〜図4は図1に示すプランジャを採用した歯科用注射器を示す縦断面図であり、図2は使用前の状態、図3はプランジャを押圧したときの状態、図4は押圧を中断した状態を示す。図1に示すように、本発明のプランジャは、ガスケット1と、このガスケット1の基端に取り付けられたプランジャロッド2を有している。ガスケット1の基端には係合窩12が設けられており、この係合窩12にはこれと相補的な形状に形成されたプランジャロッド2の先端部21が挿着されている。挿着されたプランジャロッドの基端部先端221とガスケット2の基端13の間には隙間3が生じている。ガスケット1の先端11は平面状に形成されており、少なくともこの平面状先端11と係合窩12の間の部分は、プランジャロッドで押圧されて変形可能な肉厚に形成されている。
【0007】ガスケット1は、ブチルゴムや天然ゴム、イソプレンゴム、エラストマー等のゴム弾性材料で形成された栓部材であり、先端11と基端13を有しており、先端11から注射筒(図2の4)内に摺動自在に挿着される。ガスケット1の基端11にはプランジャロッド2の先端部21と係合する後述の係合窩12が設けられている。ガスケット1の先端11は平面状に形成されており、少なくともこの平面状先端11と係合窩12の先端との間の部分は、プランジャロッド2で押圧されて変形可能な肉厚に形成されている。先端11と係合窩12の間は薄肉に形成するのが好ましい。
【0008】ガスケット1の係合窩12にはプランジャロッド2の先端部21が挿着されている。プランジャロッド2は、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の可撓性樹脂で形成された棹状の部材であり、先端部21と基端部22からなる。先端部21は、ガスケット1の係合窩12と略相補的な形状に形成されており、先端部21の形状としては、図1に示すような、円錐台状の頭部211と首部212とからなるものが好ましく採用される。ガスケット1の係合窩12に挿着されたプランジャロッド2の基端部先端221とガスケット1の基端13の間には、隙間3が生じるようになっている。この隙間3は、プランジャPを押圧した時にガスケット1の先端11が変形しても無くならない程度の大きさに形成されるのがよい。
【0009】次に、本発明のプランジャの液垂れ防止機序について、図2〜4を用いて説明する。図中、Pはプランジャ、Sは歯科用注射器、4は注射筒、5はノズルチップである。図2は歯科用注射器Sの使用前の状態を示しており、ガスケット1の基端13とプランジャロッド2の基端部先端221の間には隙間3が生じている。プランジャPを押すと、歯科用注射器Sの注射筒4内に収容された薬液(図示していない)はノズルチップ5から押し出されるが、このとき、プランジャロッド2の先端部21と衝合するガスケット1の平面状先端11部分が変形するので、プランジャロッド2はガスケット1内を隙間3が無くなる位置まで相対的に前進し、ガスケット1の先端11が盛り上がる(図3参照)。プランジャPを押す操作を止めると、先端11部分がゴム弾性により元の形状に戻るので、プランジャロッド2はガスケット1内を元の位置まで相対的に後退し、再び隙間3が生じる(図4参照)。このときの先端11部分の復元により、ガスケット1より先端側の部分の容積が増え注射筒4内が減圧されるので、液垂れを防ぐことができる。
【0010】〔実施例1〕 ポリプロピレン製の注射筒と本発明のプランジャを備えた、図2に示すような容量1mLの歯科用注射器を5本用意し、夫々注射筒内に水1mLを充填した後、注射筒の先端にノズルチップを装着し、プランジャを0.5mm押して押圧を中断し、そのときの注射筒先端からの液垂れの様子を観察したところ、表1のような結果が得られた。
【0011】〔比較例1〕 実施例1と同様のポリプロピレン製の注射筒と従来のプランジャを備えた、従来の容量1mLの歯科用注射器を5本用意し、夫々注射筒内に水1mLを充填した後、注射筒の先端にノズルチップを装着し、プランジャを0.5mm押して押圧を中断し、そのときの注射筒先端からの液垂れの様子を観察したところ、表1のような結果が得られた。表1から、従来の注射器と違い、液垂れが全く発生していないことが分かる。
【0012】
【表1】

【0013】
【発明の効果】以上述べたことから明らかなように、本発明によれば、液垂れを確実に防止することが出来るので、薬液を無駄にすることがなく経済的である。
【出願人】 【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
【識別番号】000181217
【氏名又は名称】株式会社ジーシー
【出願日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−320673(P2002−320673A)
【公開日】 平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願番号】 特願2001−130654(P2001−130654)