| 【発明の名称】 |
体外免疫吸着装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】劉 士任
【氏名】謝 世良
【氏名】邱 紫文
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| 【要約】 |
【課題】特定の物質に特異的に吸着する体外免疫吸着装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、遺伝子工学で調製した抱合体と基質との連結を利用した体外免疫吸着装置を開示する。この抱合体は患者体内の特定の物質に対して特異的であるため、実質上、健康を害する特定の物質を除去することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 特異的に特定の物質に吸着する体外免疫吸着装置であって、(a)基質と、(b)前記基質に結合しあるいは前記基質を充填する、前記特定の物質に特異的である抱合体と、を含み、前記抱合体はペプチド、ポリペプチドないしタンパク質の断片、エピトープ、抗体ないし抗体断片、またはその派生物、相同体、類似物、融合物、または機能上の同等物を含むことを特徴とする体外免疫吸着装置。 【請求項2】 前記抱合体はさらに免疫グロブリンの定常部断片(Fc)と融合することができることを特徴とする、請求項1に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項3】 前記抱合体は受容体であることを特徴とする、請求項2に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項4】 前記受容体はさらに免疫グロブリンの定常部の断片(Fc)と融合することを特徴とする、請求項3に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項5】 前記受容体はアセチルコリン受容体を含むことを特徴とする、請求項4に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項6】 前記受容体はアセチルコリン受容体の細胞外ドメインを含むことを特徴とする、請求項5に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項7】 前記受容体はさらに免疫グロブリンの定常部の断片(Fc)と融合できることを特徴とする、請求項6に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項8】 前記特定の物質は、抗体、抗原、または有害物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項9】 前記抗体は自己抗体であることを特徴とする、請求項8に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項10】 前記自己抗体は自己免疫疾患の患者に生じる抗体であることを特徴とする、請求項9に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項11】 前記自己免疫疾患は、重症筋無力症、甲状腺炎、エリテマトーデス、または関節リウマチを含むことを特徴とする、請求項10に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項12】 前記自己免疫疾患は重症筋無力症であることを特徴とする、請求項11に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項13】 前記自己抗体は抗アセチルコリン受容体抗体を含むことを特徴とする、請求項12に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項14】 前記抱合体は中間物または化学反応によって前記基質に連結しあるいは前記基質を充填することを特徴とする、請求項1に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項15】 前記中間物は、アガロース、セファロース、デキストラン、セルロース、キチン、キトサン、及び上述の物質の派生物、有機または無機の多孔性材料、磁気ビーズ、あるいはマイクロビーズを含むことを特徴とする、請求項14に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項16】 前記化学反応は臭化シアンの連結反応を含むことを特徴とする、請求項14に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項17】 前記装置はカラムまたは中空繊維であることを特徴とする、請求項1に記載の体外免疫吸着装置。 【請求項18】 特異的に特定の物質に吸着する体外免疫吸着キットであって、(a)血球及び血漿を血液から分離させる血漿分離器と、(b)(b1)基質と、(b2)前記特定の物質に特異的である抱合体とを含む特異的に特定の物質に吸着する体外免疫吸着装置と(前記抱合体は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質の断片、エピトープ、抗体ないし抗体断片、またはその派生物、相同体、類似物、融合物、あるいは機能上の同等物を含む)、(c)分離した血球及び免疫吸着体で吸着した血漿を混合して体内に送り返す還流装置と、を含むことを特徴とする体外免疫吸着キット。 【請求項19】 前記抱合体はさらに免疫グロブリンの定常部の断片(Fc)と融合できることを特徴とする、請求項18に記載の体外免疫吸着キット。 【請求項20】 前記抱合体は受容体であることを特徴とする、請求項19に記載の体外免疫吸着キット。 【請求項21】 前記受容体はさらに免疫グロブリンの定常部の断片(Fc)と融合できることを特徴とする、請求項20に記載の体外免疫吸着キット。 【請求項22】 前記受容体はアセチルコリン受容体を含むことを特徴とする、請求項21に記載の体外免疫吸着キット。 【請求項23】 前記受容体はアセチルコリン受容体の細胞外ドメインを含むことを特徴とする、請求項22に記載の体外免疫吸着キット。 【請求項24】 前記受容体はさらに免疫グロブリンの定常部の断片と融合できることを特徴とする、請求項22または23に記載の体外免疫吸着キット。 【請求項25】 前記特定の物質は、抗体、抗原、または有害物質を含むことを特徴とする、請求項18に記載の体外免疫吸着キット。 【請求項26】 前記抗体は自己抗体であることを特徴とする、請求項25に記載の体外免疫吸着キット。 【請求項27】 前記自己抗体は自己免疫疾患の患者に生じる抗体であることを特徴とする、請求項26に記載の体外免疫吸着キット。 【請求項28】 前記自己免疫疾患は、重症筋無力症、甲状腺炎、エリテマトーデス、または関節リウマチを含むことを特徴とする、請求項27に記載の体外免疫吸着キット。 【請求項29】 前記自己免疫疾患は重症筋無力症であることを特徴とする、請求項28に記載の体外免疫吸着キット。 【請求項30】 前記自己抗体は抗アセチルコリン受容体抗体を含むことを特徴とする、請求項29に記載の体外免疫吸着キット。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、体外免疫吸着装置に関するものであり、特に、ヒトのアセチルコリン受容体のポリペプチドを用いることにより自己抗体に特異的に吸着する体外免疫吸着装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】アセチルコリン受容体(AChR)は神経筋伝導の主な受容体である。神経終末から放出されたアセチルコリンと筋肉繊維上のAChRとが結合することにより、筋細胞膜の活動電位を誘導し、筋肉の収縮を生じる。重症筋無力症(MG)の主な発生原因は、筋肉繊維上のAChRの数が減少しあるいは機能を果たせなくなることにより患者の筋肉収縮が影響を受けることであり、深刻な場合は呼吸筋に影響して死に至る(Berkowら, 1992, 第16版, Merck & Co., Inc. Rahway, N.J. 1524-1526)。90%の患者の血液中に自己抗体の発生が見られるが、これらの抗体は主にAChRを認識し、その濃度は1〜100nMである(Lindstromら, 1976, Neurology, 26:1054-1059;Lennon, 1994, Serological diagnosis of myasthenia gravisand the Lambert-Eaton myasthenia syndromes. New York: Dekker, p.149-164)。抗体の種類はほとんどが免疫グロブリンIgGである。自己抗体はAChRの筋内膜上での作用を遮断すると同時に、膜上のAChRを破壊する。このことは、抗AChR抗体がこのような疾病を引き起こす主な原因であることを示している。 【0003】臨床上、その治療方法には、(1)薬物でAChRの代謝を抑制して、AChの作用時間を増加させる方法(Aquilioniusら, 1983 J. Neurol. Neurosurg. Psych. 46:929)、(2)高用量のコルチコステロイドまたは免疫抑制剤を用いて、自己抗体の発生を減少させる方法(Pascuzziら, 1984, Ann. Neurol. 43:644-659;Goulonら, 1988, Results of a one-year open trial of cyclosporin in ten patients with severe myasthenia gravis. In: Kahan, BD, ed. Cyclosporin: applications in autoimmune disease. Philadephia: Grune & Stratton, p.211; Perezら, 1981, Neurology 31:32-38)、(3)胸腺切除、及び(4)血液中の自己抗体を除去するプラスマフェレーシスが含まれる。つまり、血液循環中の自己抗体を減少させて治療の目的を達成するためのものである。このため、研究者たちは次々に体外循環システムを開発し、免疫吸着の原理を利用して抗体を除去してきた。現在存在する装置には、Immusorba(商標)及びタンパク質Aセファロースがある。前者は電荷引力(electric charge attraction)の原理(米国特許第4,627,915号、第4,432,871号を参照))を利用して特定のタンパク質を除去するものであるが、抗体に対する特異性がない。後者の作用原理ではタンパク質AがIgGの定常部(constant region)の断片(Fc)に結合できるため、全てのIgGに吸着できる(米国特許第5,753,227号参照)。しかし、MGを引き起こす自己抗体は全てのIgGの1万分の1を占めるのみであり、タンパク質Aを吸着剤とすることは、効果に限りがあるだけでなく、装置が吸着し過ぎて飽和になり易くなるため、剥離(strip)を行う工程が別途必要となり、あるいは装置の交換までも必要となり、コストの上で不利である。 【0004】したがって、自己免疫疾患を有効に治療するとともにコストを大幅に削減できる、自己抗体に特異的に吸着する装置が必要とされている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定の物質に特異的に吸着する体外免疫吸着装置を提供することを課題とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】以上により、本発明は自己抗体が認識するAChRを利用して、遺伝子工学の方法で発現し、大量生産が可能であるほか、自己抗体に対して特異性を有し、血漿中の他のタンパク質成分に影響せず、MGの治療について直接的な効果を有することができる。 【0007】したがって、本発明の局面は、特定の物質に特異的に吸着する体外免疫吸着装置を提供することである。該体外免疫吸着装置は、(a)基質と、(b)前記基質に連結しあるいは前記基質を充填し、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の断片、エピトープ、抗体ないし抗体断片、またはその派生物、相同体、類似物、融合物、ないし機能上の同等物を含む、前記特定の物質に対して特異的である抱合体とを含む。 【0008】本発明の他の局面は、特定の物質に特異的に吸着する体外免疫吸着キットを提供することである。該体外免疫吸着キットは、(a)血球及び血漿を血液から分離する血漿分離器と、(b)(b1)基質、及び(b2)前記基質に連結しあるいは前記基質を充填し、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の断片、エピトープ、抗体ないし抗体断片、またはその派生物、相同体、類似物、融合物、ないし機能上の同等物を含む、前記特定の物質に対して特異的である抱合体を含む、特定の物質に特異的に吸着する体外免疫吸着装置と、(c)分離した血球及び免疫吸着装置で吸着した血漿を混合して体内に送り返す還流装置とを含む。 【0009】本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(1)特異的に特定の物質に吸着する体外免疫吸着装置であって、(a)基質と、(b)前記基質に結合しあるいは前記基質を充填する、前記特定の物質に特異的である抱合体と、を含み、前記抱合体はペプチド、ポリペプチドないしタンパク質の断片、エピトープ、抗体ないし抗体断片、またはその派生物、相同体、類似物、融合物、または機能上の同等物を含むことを特徴とする体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0010】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(2)前記抱合体はさらに免疫グロブリンの定常部断片(Fc)と融合することができることを特徴とする、上記(1)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0011】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(3)前記抱合体は受容体であることを特徴とする、上記(2)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0012】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(4)前記受容体はさらに免疫グロブリンの定常部の断片(Fc)と融合することを特徴とする、上記(3)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0013】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(5)前記受容体はアセチルコリン受容体を含むことを特徴とする、上記(4)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0014】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(6)前記受容体はアセチルコリン受容体の細胞外ドメインを含むことを特徴とする、上記(5)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0015】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(7)前記受容体はさらに免疫グロブリンの定常部の断片(Fc)と融合できることを特徴とする、上記(6)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0016】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(8)前記特定の物質は、抗体、抗原、または有害物質を含むことを特徴とする上記(1)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0017】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(9)前記抗体は自己抗体であることを特徴とする、上記(8)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0018】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(10)前記自己抗体は自己免疫疾患の患者に生じる抗体であることを特徴とする、上記(9)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0019】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(11)前記自己免疫疾患は、重症筋無力症、甲状腺炎、エリテマトーデス、または関節リウマチを含むことを特徴とする、上記(10)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0020】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(12)前記自己免疫疾患は重症筋無力症であることを特徴とする、上記(11)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0021】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(13)前記自己抗体は抗アセチルコリン受容体抗体を含むことを特徴とする、上記(12)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0022】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(14)前記抱合体は中間物または化学反応によって前記基質に連結しあるいは前記基質を充填することを特徴とする、上記(1)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0023】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(15)前記中間物は、アガロース、セファロース、デキストラン、セルロース、キチン、キトサン、及び上述の物質の派生物、有機または無機の多孔性材料、磁気ビーズ、あるいはマイクロビーズを含むことを特徴とする、上記(14)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0024】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(16)前記化学反応は臭化シアンの連結反応を含むことを特徴とする、上記(14)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0025】また、本発明に係る体外免疫吸着装置においては、(17)前記装置はカラムまたは中空繊維であることを特徴とする、上記(1)記載の体外免疫吸着装置であることを特徴とする。 【0026】また、本発明に係る体外免疫吸着キットにおいては、(18)特異的に特定の物質に吸着する体外免疫吸着キットであって、(a)血球及び血漿を血液から分離させる血漿分離器と、(b)(b1)基質と、(b2)前記特定の物質に特異的である抱合体とを含む特異的に特定の物質に吸着する体外免疫吸着装置と(前記抱合体は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質の断片、エピトープ、抗体ないし抗体断片、またはその派生物、相同体、類似物、融合物、あるいは機能上の同等物を含む)、(c)分離した血球及び免疫吸着体で吸着した血漿を混合して体内に送り返す還流装置と、を含むことを特徴とする体外免疫吸着キットであることを特徴とする。 【0027】また、本発明に係る体外免疫吸着キットにおいては、(19)前記抱合体はさらに免疫グロブリンの定常部の断片(Fc)と融合できることを特徴とする、上記(18)記載の体外免疫吸着キットであることを特徴とする。 【0028】また、本発明に係る体外免疫吸着キットにおいては、(20)前記抱合体は受容体であることを特徴とする、上記(19)記載の体外免疫吸着キットであることを特徴とする。 【0029】また、本発明に係る体外免疫吸着キットにおいては、(21)前記受容体はさらに免疫グロブリンの定常部の断片(Fc)と融合できることを特徴とする、上記(20)記載の体外免疫吸着キットであることを特徴とする。 【0030】また、本発明に係る体外免疫吸着キットにおいては、(22)前記受容体はアセチルコリン受容体を含むことを特徴とする、上記(21)記載の体外免疫吸着キットであることを特徴とする。 【0031】また、本発明に係る体外免疫吸着キットにおいては、(23)前記受容体はアセチルコリン受容体の細胞外ドメインを含むことを特徴とする、上記(22)記載の体外免疫吸着キットであることを特徴とする。 【0032】また、本発明に係る体外免疫吸着キットにおいては、(24)前記受容体はさらに免疫グロブリンの定常部の断片と融合できることを特徴とする、上記(22)または(23)に記載の体外免疫吸着キットであることを特徴とする。 【0033】また、本発明に係る体外免疫吸着キットにおいては、(25)前記特定の物質は、抗体、抗原、または有害物質を含むことを特徴とする、上記(18)記載の体外免疫吸着キットであることを特徴とする。 【0034】また、本発明に係る体外免疫吸着キットにおいては、(26)前記抗体は自己抗体であることを特徴とする、上記(25)記載の体外免疫吸着キットであることを特徴とする。 【0035】また、本発明に係る体外免疫吸着キットにおいては、(27)前記自己抗体は自己免疫疾患の患者に生じる抗体であることを特徴とする、上記(26)記載の体外免疫吸着キットであることを特徴とする。 【0036】また、本発明に係る体外免疫吸着キットにおいては、(28)前記自己免疫疾患は、重症筋無力症、甲状腺炎、エリテマトーデス、または関節リウマチを含むことを特徴とする、上記(27)記載の体外免疫吸着キットであることを特徴とする。 【0037】また、本発明に係る体外免疫吸着キットにおいては、(29)前記自己免疫疾患は重症筋無力症であることを特徴とする、上記(28)記載の体外免疫吸着キットであることを特徴とする。 【0038】また、本発明に係る体外免疫吸着キットにおいては、(30)前記自己抗体は抗アセチルコリン受容体抗体を含むことを特徴とする、上記(29)記載の体外免疫吸着キットであることを特徴とする。 【0039】 【発明の実施の形態】本発明の上述と他の目的、特徴、及び長所を一層明瞭にするため、以下に好ましい実施例を挙げ、図を参照にしながら詳しく説明する。 【0040】アセチルコリン受容体(AChR)の構造はα2βγδのサブユニットより形成される膜蛋白複合体(membrane protein complex)であり、2個のαサブユニットはAChまたはα-ブンガロトキシン(蛇毒タンパクの一種)に結合することができる。αサブユニットの細胞外ドメインには合計121個のアミノ酸が存在するが、そのうち67〜76のアミノ酸部位は抗体及び疾病の発生を最も誘発し易く、この部分は主要免疫抗原部(main immuno-genic region;MIR)と称する(Tzartos, S.J.ら, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2899-2903 ; Barkas, T.ら, 1988, J. Biol. Chem. 363:5916-5920)。MG患者の身体が得た抗AChR抗体のうち、60%はこの部分または付近で認識する(Lindstrom, J.ら, 1988, Adv. Immunol. 42:233-284 ;Schonbeck, S.ら, 1990, Int. Rev. Neurobiol. 32:175-200)。抗MIRの単クローン抗体をマウスの体内に注入しても筋無力症の症状を誘発しうる。その上、大多数の抗MIR抗体はMIRの立体配座を認識できるのみであり、変性タンパク質上のMIRを認識できる抗体はごく少数である。しかし、その親和力は自然のAChRよりはるかに低く、αサブユニットのECDはMG治療の重要なカギであることを示している。 【0041】本発明はAChRαサブユニットのECDを遺伝子工学の方法でヒトIgC1のFc部位に融合する。形成された融合タンパク質は可溶性が増加するだけでなく、AChRα-ECDの構造を安定させることもできる。また、Fcの部位にジスルフィド結合の位置を保留するため、(AChR α-ECD-Fc)2のダイマーを形成することができ、自然に存在するα2立体配座に類似するため、自己抗体に認識されやすく、自己抗体に対する結合力を増加することができる。また、(AChR α-ECD-Fc)2の他の長所は、このようなFcを含む融合タンパク質が、タンパク質Aのアフィニティークロマトグラフィーを利用して精製することにより得られた高純度の融合タンパク質であることである。本発明はバキュロウイルスのタンパク質発現システムを選択して、AChRα-ECD-Fcの融合タンパク質を発現する。このシステムは真核細胞ウイルスの発現システムの一種であり、AChR α-ECD-Fc遺伝子を有する組換えバキュロウイルスを昆虫細胞に感染させると、大量のAChR α-ECD-Fc融合タンパク質を製造することができる。このような発現システムには以下の長所がある。(1)大量の外来遺伝子を生産することができる。(2)タンパク質の修飾作用が哺乳動物の細胞と類似している。(3)ウイルスの操作に安全性がある。(4)生成した外来遺伝子タンパク質を培地に放出し、精製し易くすることができる。 【0042】体外循環の免疫吸着装置は、様々な吸着剤を利用して免疫吸着の目的を達成する。初期の頃は、タンパク質Aをセファロース上に固定し(Terman D.S.ら, J. Immunol., 124:795, (1980);New England J. Med., 305:1195(1981))、免疫グロブリンまたは免疫複合体に特異的に吸着できるが、このようなタンパク質Aは黄色ブドウ球菌から来ているため、人体に対して毒性があり、操作の過程で剥離して人体に入った場合、害を引き起こしやすい。その後、日本のKurodaらはポリビニルアルコール上のトリプトファンまたはフェニルアラニン結合を利用した。このような負電荷を帯びた表面は免疫複合体を吸着することができるが、有害な抗体に対して特異性がなく、有用なタンパク質も一緒に除去してしまう。また、血中のアセチルコリン抗体の濃度が約1〜100nMと低く、現在市場で用いられているタンパク質A-アガロースは全ての免疫グロブリン(約10mg/ml)に対して非特異的に吸着を行うため、カラムが吸着飽和に達しやすい。臨床上使用するときには、同時に2個のカラムを取り付ける必要があり、片方のカラムが吸着を行うとき、既に吸着飽和に達したもう一方のカラムを次の吸着のために洗浄することができるが、洗浄と吸着を繰り返して行うことは経済的ではない。 【0043】従来の装置における短所を解決するため,本発明は特定の物質に特異的に吸着する体外免疫吸着装置を提供する。この体外免疫吸着装置は、(a)基質と、(b)前記基質に連結しあるいは前記基質を充填する、前記特定の物質に特異的な抱合体とを含む。 【0044】本発明の体外免疫吸着装置のうち、抱合体とは互いに結合可能な二種類の物質のうちの一つであり、ペプチド、ポリペプチドないしタンパク質の断片、エピトープ、抗体ないし抗体断片、あるいはその派生物、相同体、類似物、融合物、機能上の同等物が含まれる。上述の抱合体は選択的に免疫グロブリンの定常部の断片(Fc)と融合して、大量生産後の精製作業を有利にすることができる。 【0045】本発明の好ましい実施例において、適合するポリペプチドには自己抗体に特異的に認識されるいかなるポリペプチド、ペプチドないしタンパク質の断片、エピトープ、派生物、相同体、類似物、融合物、機能上の同等物も含まれる。このような抗原-抗体の結合、エピトープの選択などは、当業者が熟知するものである。本発明の好ましい実施例において、ポリペプチドにはアセチルコリン受容体が含まれ、特にアセチルコリン受容体の細胞外ドメイン(ECD)が好ましい。同様に、上述のポリペプチドは、免疫グロブリンの定常部の断片(Fc)と選択的に融合することができ、ポリペプチドの溶解度を増加できる一方、立体配座を安定させる効果を有する。 【0046】本発明によると、この装置を用いて吸着、除去する特定の物質には、抗体(自己抗体が好ましい)、抗原または有害物質が含まれる。そのうち、有害物質とは、一般にヒトの健康にとって有害である物質を指す。例えば、毒性分子、低密度リポタンパク質(LDL)、超低密度リポタンパク質(VLDL)、フリーラジカル、ウイルス、がん細胞、リポ多糖(LPS)、細菌等が挙げられるが、これらは本発明に限定するものではない。 【0047】本発明の体外免疫吸着装置は、実際の必要に応じて自己抗体に特異的に認識されるポリペプチドを用いることにより患者の体内の自己抗体を除去することができる。ここでいう患者とは、一般に自己免疫疾患の患者を指す。自己免疫疾患には重症筋無力症、甲状腺炎、エリテマトーデス、関節リウマチなどが含まれるが、これらは本発明に限定するものではない。その他の疾病(菌血病など)については、自己免疫疾患のように抗体により疾病を引き起こす徴候を有していれば、本発明の体外免疫吸着装置を使用することができ、対応するポリペプチドを用いることは、疾病を治療したり和らげたりする目的に有効である。 【0048】重症筋無力症を例に挙げると、患者の体内に抗アセチルコリン受容体抗体(anti-AchR-Ab)などの自己抗体が生じる。本発明の体外免疫吸着装置をアセチルコリン受容体(特にアセチルコリン受容体の細胞外ドメインが好ましい)に連結し、患者の血液をこの吸着体に通過させれば、病気を引き起こす自己抗体を有効的に吸着することができる。 【0049】本発明の体外免疫吸着装置によると、抱合体は中間物または化学反応によって基質に連結しあるいは基質を充填することができる。適合する中間物にはセルロース、アガロース、セファロース、デキストラン、キチン、キトサン、および上述の物質の派生物、有機または無機の多孔性材料、磁気ビーズ、マイクロビーズ等が含まれるが、これらは本発明に限定するものではない。ポリペプチド、抗体、またはタンパク質の結合に用いる他の公知の中間物には商用化された製品が含まれ、本発明の連結の目的に用いることができる。一方、公知の臭化シアン(CNBr)反応を含む化学反応の方法を用いて本発明の抱合体及び基質を結合することもできる。また、一般のカラムのほか、本発明の装置は中空繊維などを含むこともできる。 【0050】本発明の体外免疫吸着装置は他の組み合わせ部品を結合して体外免疫吸着キットを形成することができる。図1は本発明の体外免疫吸着キットの原理及び応用を示す略図である。図によると、患者の血液がaから流出し、血漿分離器を通過して血漿bと血球cの二つの部分に分かれる。それから、血漿bはAChRα-Fc-セファロースカラムを経て、患者の血漿中の抗AChR抗体が装置に吸着する。血漿中の他の抗体及びタンパク質はdの管路から流出し、血球c部分と合流してe管路に至り、患者の体内に戻る。これにより、非特異的な吸着による血漿成分の異常流失を防ぐことができる。 【0051】以下、具体的な実施例によって本発明についてさらに説明するが、これらの実施例は例を挙げて説明するためのものであって、本発明の目的を限定するものではない。 【0052】 【実施例】実施例1:AChRα-ECD-Fc融合タンパク質遺伝子の構築図2を参照する。アセチルコリン受容体を大量に発現できるヒトの横紋筋肉腫細胞株(CCRC 60113)を10%の熱失活したウシ胎児血清(FBS)、L-グルタミン2mmol/l、ペニシリン100単位/ml、プロマイシン100μg/mlを含むDMEM培養液で培養し、37℃で5%の二酸化炭素を含む湿気のある培養箱内で培養した。Sf21昆虫細胞を10%の熱失活したウシ胎児血清のTNM-FH培養液(Gibco社製)中で培養し、27℃の培養箱で培養した。 【0053】Ultraspec(商標)RNA(Biotec Lab社製)1mlを35mmの培養皿に直接加えて、既に形成した単層のRD細胞を溶解し、ピペットで細胞溶解液を充分混合した。均質化した後、クロロホルム0.2mlを加え、15秒間激しく振ってから氷の上に置いた。遠心分離した後、慎重に水溶液層を清潔なチューブに移し、イソプロパノールとRNATack(商標)ビーズを加えてRNAを沈殿させた。最後にDEPC水を用いて精製したRNAを析出した。 【0054】10μgの総RNAを取り出して、総体積が38μlのDEPC水中に溶かし、DNAプライマー(100μg/μl)3μlを加えて均一に混ぜた。この混合物を65℃で5分間培養した後、温度をゆっくりと室温に下げてプライマーをRNA上に付着し易くした。Strata Script RNase H-逆転写酵素1μl及びその他操作マニュアルで取り上げられた薬品を、総体積が50μlになるまで加えた。この混合物を37℃で1時間培養し、それから90℃で5分間培養して、第1DNA鎖を形成した。そして、第1DNA鎖5μgを鋳型として用い、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)でAChRα細胞外ドメインのDNAを拡大した。この拡大反応したプライマーには、フォーワードプライマー5'-CTCGAGACCACCATGGAGCCCTGGCCTCTC-3'及びリバースプライマー5'-GGATCCCAGGCGCTGCATGACGAAG-3'が含まれる。PCR条件は以下の通りであった。第1回、94℃で5分間;54℃で30秒;72℃で2分間、その後2〜30回行い、条件は94℃で30秒、54℃で30秒、及び72℃で2分間であった。最後の反応は72℃で10分間行った。PCR断片をPCRIIベクターに挿入し、BamHI酵素で切断することにより正確なクローンを厳選し、PCRII/AChRα-ECDと命名した。 【0055】AChRα断片をPCRII/AChRα-ECDよりBamHI制限酵素で切断した後、AChRα-ECD断片をゲル精製して、ヒト免疫グロブリンIgG1Fc部を有する改良した昆虫ウイルス発現ベクターpBachIgG1Fc中に挿入し、AChRα-ECDの3'-端とIgC1Fcの5'-端を接合して本発明のpBac-AChRα-ECD-hIgC1Fc(Ana-P3)ベクターを生成した。このベクターは中華民国89年(2000年)6月14日に中華民国食品工業発展研究所菌種中心(寄託番号:CCRC 940305)に、及び2001年5月18日に米国のATCC(PTA-3382)に寄託した。 【0056】実施例2:バキュロウイルスシステムを利用した組換えタンパク質の発現(1)組換えウイルスの製造ガ類幼虫細胞株Sf21細胞106個を35mm培養皿で一晩培養した。まず、標的遺伝子を含むpBac-AChRα-ECD-hIg1Fcベクター0.5μgとBacPAK6ウイルスDNA100ngを軽く混合してから、Bacfectinを加え、均一に混合した後、室温で15分間静置した。一晩培養した細胞上の血清を含むTNM-FH培養液を吸い取った後、ウシ胎児血清を含まない培養液2mlを加えて2回洗浄し、ウシ胎児血清を含まない培養液を1.5ml加えた。混合したBacfectin試剤及びDBA混合液をゆっくりたらして軽く混ぜ、27℃の培養箱内で5時間反応させた後、ウシ胎児血清を含む培地1.5mlを加えてから27℃の培養箱内に72時間放置した。 【0057】(2)組換えウイルスの有無の確定組換えウイルス原液1μlを取り出し、10倍の洗浄剤バッファーA(detergentbuffer A:成分はKCl50mM、Tween20、Tris-HCl 0.45%、pH8.4 10mM、グリシン0.1mg/ml、及びNP-40 0.45%)及びプロテアーゼK(Sigma社製)を加えて、総体積が100μlになるまで脱イオン水を加えた。全ての試剤を均一に混合した後、60℃で1時間ウイルスタンパク変性作用を行い、切断してから、100℃で10分間ウイルスDNA変性作用を行った。ウイルスDNAは20℃で保存しあるいは5μl取り出してPCR分析に用いることができる。 【0058】(3)プラークアッセイ法6穴培養プレートの各穴にガ類幼虫細胞株Sf21細胞106個を置き、一晩培養した。TNM-FH培養液を吸い取った後、慎重に培養プレートの中央から培養液で希釈したウイルス液(10-4〜10-8)200μlをゆっくりとたらし、細胞を完全な単層構造に維持し、室温で1時間培養した。10〜15分毎に培養プレートを振り、細胞が均一且つ完全にウイルス液に覆われるようにした。感染期間に、まず滅菌した低融点のアガロースゲル溶液2%及びウシ胎児血清10%を含む培養液を37℃で等体積ずつ混合し、ウイルス液のウイルスが作用し終わってから、慎重にウイルス液を吸い取り、培養プレート壁にそってアガロースゲル混合液を2ml加えた。室温下で凝固させた後、FCS10%を含む培養液1mlを加え、培養プレートを27℃の培養箱内に置いてプラークが現れるまで5日間培養した。はっきりしたプラークを観察しようとする場合、アガロースゲル層にリン酸緩衝食塩水(PBS)で調製した0.25%(w/v)のニュートラルレッド溶液1mlを加えて、27℃で光を避けて2〜4時間培養した後、上澄み液を吸い取り、培養プレートを逆さにして陰で一晩乾燥させる。このとき単層の活細胞が赤色に染まっており、簡単に肉眼でプラークを観察しその数を計算することができる。 【0059】(4)ウイルス力価及び濃度の拡大(A)低濃度ウイルス液の調製25cm2の細胞培養フラスコに1×106のSf21細胞株を一晩培養し、培養液を吸い取った後、培養液で希釈したウイルス液0.5mlをゆっくりたらし(ウイルスと細胞の比率は1より小さい)、室温下で1時間放置し、10〜15分毎に培養プレートを振った。ウイルス液を吸い取った後、培養液5mlを加え、培養フラスコを27℃の培養箱内に放置して5〜7日間培養した。細胞が完全にウイルスに感染し細胞変性の溶解現象が生じてから培養液を収集し、分けて4℃及び-70℃で保存し、プラークアッセイ法でウイルス定量を行った。 【0060】(B)中濃度ウイルス液の調製75cm2の細胞培養フラスコに5×106のSf21細胞株を入れて一晩培養した。培養液を吸い取った後、低濃度に希釈したウイルス液1mlをゆっくりたらし(ウイルスと細胞の比率は1より小さい)、室温下で1時間培養し、10〜15分毎に培養プレートを数回振った。ウイルス液を吸い取った後、培養液10mlを加え、培養フラスコを27℃の培養箱に放置して5〜7日間培養した。細胞が完全にウイルスに感染し細胞変性の溶解現象が生じてから培養液を収集し、分けて4℃及び-70℃で保存し、プラークアッセイ法でウイルス定量を行った。 【0061】実施例3:AChR α-ECD-Fc融合タンパク質の発現及び精製Sf21細胞株を回転フラスコで細胞密度1〜2×105/mlから培養を開始した。約3〜4日後、細胞密度は1〜2×106/mlであり、タンパク質発現量が最高であるウイルス感染細胞(ウイルスと細胞の比率は5〜10)一株を加え、28℃の培養箱内に放置して3〜5日間培養した。細胞が完全にウイルス感染し細胞変性の溶解減少が生じてから培養液を収集し、タンパク質Aのアフィニティークロマトグラフィーによりタンパク質を精製した。 【0062】バキュロウイルスシステムによるヒトの可溶性AChR α-Fc融合タンパク質の製造については、ヒトG1型免疫グロブリンFc部分を有しているため、タンパク質Aファルマシアのカラムを用いて精製を行う。まず、タンパク質Aファルマシアカラムを調製し、ペリスタルティックポンプを用いて4℃で精製しようとするタンパク液を導入し、完全に結合させてから、10〜20倍のタンパク質Aアガロースゲルカラム体積のTris-HC1バッファーpH7.0 50mlで洗浄した。最後に、5倍のカラム体積のGlycine-HClバッファーpH3.0 0.1Mでタンパクを析出した。1mlずつ1MのTris-HClバッファー(pH9.0)0.1mlを含む各マイクロ遠心チューブ内に収集した。得たタンパク精製液を透析バッグに注入して、1倍のPBSバッファーで塩類を析出し、電気泳動でタンパク純度を確定し、タンパク質分析キット(Bio-Rad社製)でタンパク質濃度を定量した。最後に0.22μmの繊維ろ過膜に通せば、無菌使用が可能である。 【0063】実施例4:電気泳動分離及び免疫ブロッティングアッセイ法精製後のタンパク質を、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む10%のポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動分離を行った。サンプルを0.15Mのβ-メルカプトエタノールを含む(還元群)及び含まない(非還元群)溶液に入れ、ゲルを加える前に沸騰温度で5分間煮沸した。電気泳動の完了後、クーマシーブリリアントブルーを用いて染色した。免疫ブロッティングアッセイ法は、上述のSDS-PAGE方法により精製したタンパク質を分離してから、タンパク質をニトロセルロース膜上に転染することである。膜をTris-HCl 50M、脱脂乳5%を含むNaCl 0.15Mで処理した。マウス抗ヒトAChR α抗体(Serotec社製)1μg/mlをプローブとして4℃で一晩反応させ、脱脂乳1%を含むバッファーで4回洗浄した後、ヤギ抗マウス免疫グロブリンを西洋わさびペルオキシダーゼに結合させることにより膜を反応させた。ECLシステム(Amersham社製)を用いて結合した抗体を検出した。その結果を図4に示す。 【0064】実施例5:AChRα-ECD-Fcの認識(1)抗体によるAChRα-ECD-Fcの認識精製したAChRα-ECD-Fcまたはヒト免疫グロブリン(10μg/ml)を4℃で一晩反応させて、96穴マイクロタイタープレート上に吸着させた。0.05%のTween20を含むPBS(PBST)で反応プレートを2回洗浄し、それから各穴に10%のウシ胎児血清を含むPBSを加えて温室で2時間反応させた。1列目のマイクロタイタープレートに100倍希釈のマウス抗ヒトAChRα抗体(Serotec社製)を加え、10%のウシ胎児血清を含むPBSを用いて1:3の希釈倍率で希釈した。各穴における総体積を100μlとし、室温で2時間培養した。西洋わさびペルオキシダーゼに結合したヤギ抗マウス免疫グロブリン(Sigma社製)を用いて結合したマウス抗ヒトAChR α抗体を検出し、37℃で1時間作用させた。PBSTで6回洗浄し、ABTS溶液100μlを基質として加え、色が現れてから20分後にELISA判読機で405nmの吸光値を読み取った。ABTS溶液は、ABTS 0.548μg/mlにクエン酸バッファーを溶かして、0.002%のH2O2を加えたものである。クエン酸バッファーは1.05%のクエン酸、1.42%の重リン酸ナトリウム(Na2HPO4)を含むpH4.0のバッファーである。結果を図5(A)に示す。 【0065】(2)血清によるAChR α-EC-Fcの認識マイクロタイタープレートに吸着したAChR α-ECD-Fc10μg/mlまたは対照群の融合タンパク質を、使用前に10%のFBSを含むPBSで2時間処理し、PBSTで2回洗浄した。マイクロタイタープレート上にMG患者と正常なヒトの血清をそれぞれ加えて、10%のFBS/PBSで希釈し、室温で2時間反応させ、PBSTで4回洗浄した。それから、1:1000の10%のFBSを含むPBSの西洋わさびペルオキシダーゼが結合したヤギ抗ヒトκ軽鎖50μl加えた。続けてマイクロタイタープレートを室温で1時間反応させた後、PBSTで洗浄した。各穴にABTS基質100μl加えた。色が現れた後、ELISA判読機内に置いて405nmの吸光値を読み取った。結果を図5(B)に示す。 【0066】実施例6:AChR α-ECD-Fcの固定化実施例3で調製したAChR α-ECD-Fc 10mgを透析バッグに入れ、カップリングバッファー(coupling buffer;NaCL 0.5M、NaHCO3 0.1M、pH9.0)を加えて一晩透析した。透析液を3回置換した後、CNBr活性化セファロース(4B Fast flow,Pharmacia)4mlと回転プレート上で2時間反応させた。反応し終わったゲルを数分間静置して沈殿させ、上澄み液の一部を取ってOD280を測定した。OD280が0に近づくとき、反応が完了したことを示す。それから、カップリングバッファー20mlでゲルを洗浄してから1Mのエタノールアミン15mlを加え、室温で2時間反応させた。未反応群を封鎖し、ろ過器でエタノールアミンをゆっくり除去してから、NaCl0.5M、酢酸ナトリウムバッファー0.1M、pH4.0及びカップリングバッファーをそれぞれゲル体積の各10倍の量を用いて、交代してゲルを3回洗浄した。毎回の洗浄において、ゲルと溶液とを約5〜10分間接触させた。このようにして、非共有結合のAChR α-ECD-Fcを放出し、完璧なAChRα-ECD-Fc-セファロースを調製し、20%のアルコール中において4℃で保存することができる。 【0067】実施例7:AChRα-ECD-Fc-セファロース及び抗体の結合力(1)抗AChRα抗体の結合力についての試験抗AChRα単クローン抗体を細胞の培養によって大量生産した後、タンパク質Aを精製してから、タンパク質定量化キット(Bio-Rad)で定量化した。AChRα-ECD-Fc-セファロース100μlを1.5mlの遠心チューブ内に入れ、PBSで10回洗浄した。それから、抗AChR α抗体200μgを加えて室温下で回転プレート上で30分間反応させた。セファロースが沈殿してから、上澄み液を取り、再びPBSを用いて10回洗浄した。最後にクエン酸(pH2.3)0.1Mを用いて結合した抗AChRα抗体を洗い、各部分の抗AChRα抗体含量を定量化して、AChRα-ECD-Fc-セファロースの結合力を評価した。 【0068】(2)血清中の抗AChR α抗体の結合力について本実施例では、模擬体内の自己抗体の環境下で本発明の吸着装置が抗体を除去する能力について評価した。抗AChR α抗体240/300μgをそれぞれ20mlのウシ胎児血清(実験群)及びTrisバッファー(対照群)と混合した後、0.45μmのろ過膜でろ過し、ペリスタルティックポンプでAChRα-ECD-Fc-セファロースカラム(流速1ml/分)を導入し、10倍の体積のPBSですすぎ、クエン酸(pH2.3)0.1Mで結合した抗AChR α抗体を洗浄し、各部分のタンパク質と抗AChRα抗体の濃度をそれぞれ検出し、血清が流れたときにおけるAChRα-ECD-Fc-セファロースの実際の結合能力を測定した。結果を表1に示す。 【0069】 【表1】 血清及びバッファー中における抗体の吸着力の比較 注:FBS:ウシ胎児血清;Tris:トリス〈ヒドロキシメチル〉アミノメタンバッファー【0070】結果:RDはヒト横紋筋腫細胞であり、アセチルコリン受容体を発現することができる。遺伝子バンクより得た情報によりPCRのプライマーを設計し、AChRαの細胞外ドメインをTAクローニング法(Invitrogen社)でクローニングしてPCRIIベクターを導入した。AChRα-ECDの遺伝子は735bpであり、PCRII/AChRα-ECDの遺伝子配列から分析して、2種類の異なる配列のAChRα-ECDを得た。一つは43個目のアミノ酸が(バリン)がないものであり(図3)、もう一つは59個目のアミノ酸の位置に一段25個のアミノ酸配列を挿入したものである。AChRαの立体配座の保持を考慮するため、第一種の配列を選択して以後の実験の基礎とした。それからAChRα-ECDをクローニングしてpBachIgG1Fcに供給し、pBac-AChRα-ECD-hIgG1Fcのプラスチドを生成した。このプラスチドはBac6線形ウイルスDNAと相同組換え作用を行うことにより組換えウイルスを製造することができる。 【0071】線形のウイルスDNAとpBac-AChRα-ECD-hIgG1Fcとをtransfectinの存在下で同時に昆虫細胞を移入した。3日後、細胞がウイルスに感染して変性を生じたことが見られた。上澄み液を収集した後、タンパク質A-アガロースを免疫沈澱物として、SDS-PAGEにより分析した。分子量53kDaの位置にタンパク質バンドが見られ、AChRα-ECD-Fcであると推定した。ウイルスの上澄み液で重ねて感染させてウイルス濃度を拡大することにより、プラークアッセイ法でウイルス力価を測定するとともに、単一プラークを取り出し、PCRで組換えウイルスを確認することができた。 【0072】大量のAChRα-ECD-Fcを得るために、本発明は容積1Lの回転フラスコを用いてAChRα-ECD-Fcを生成した。ウイルス感染量は約5〜10(M.O.2:5〜10)である。感染3日後の生成量は約1〜2μg/mlであった。上澄み液を収集した後、ろ過し、流速1ml/分でタンパク質A-アガロースカラムを供給し、PBSでカラムを洗浄した後、グリシン(pH2.3)0.1MでAChRα-ECD-Fcを析出した。PBSによる透析の後、濃縮ろ過し、-20℃で保存した。精製後のAChRα-ECD-Fcをウェスタンブロットで確認し、還元及び非還元の状態で、市販の抗AChR抗体を用いて検出した。その結果、還元状態では53kDaであり、非還元状態では100kDaであった(図4参照)。このことは、本発明が発現するAChRα-ECD-Fcがダイマーを形成したことを示す。このような構造はアセチルコリン受容体の自然構造(α2βγδ)に似ており、抗AChR抗体の結合に有利である。 【0073】AChRα-ECD-FcとCTLA-Fc(細胞表面抗原の一種)を96穴培養プレートでそれぞれ結合させ、抗ヒトAChR抗体で検出した。図5(A)では、抗ヒトAChR抗体がAChRα-ECD-Fcを特異的に認識できるのみであって、関連しないCTLA4-Fcタンパク質を認識することができないことを示している。このことは、本発明が発現するAChRα-ECD-Fcが依然として自然構造を有することを示している。同様に、重症筋無力症患者と正常なヒトの血清を用いて検査を行ったところ、患者の血清には顕著な結合能力があり、正常なヒトの血清は背景値が低いだけであった。 【0074】以上により、本発明が発現するAChRα-ECD-Fcにより、自己免疫疾患患者の体内の抗AChR抗体に有効に結合することができる。 【0075】AChRα-ECD-Fc10mg及びCNBr活性化セファロース4mgを用いてカップリング反応を行い、AChRα-ECD-Fc-セファロースを製造した。未カップリングのAChRα-ECD-Fcの量により、カップリング率が約85%であることを推算した。カップリング後のAChRα-ECD-Fcの抗体に対する吸着効率を評価するため、AChRα-ECD-Fcセファロース1mlを取り出し、抗AChRα抗体300μgと混合した後、抗AChRα抗体に対する結合力について試験を行った。分析後、未結合の抗体が50μgであったことから、AChRα-ECD-Fc-セファロース1mlの結合力は250μgであることが示された。 【0076】AChRα-ECD-Fc-セファロースが血液中の抗AChRα抗体に対して吸着作用があるかどうかを検出するため、固定量の抗AChRα抗体をウシ胎児血清中に加えて、この装置の実際の応用における実行可能性について模擬試験を行った。抗AChRα抗体のウシ胎児血清20mlを混合して、ポンプでAChRα-ECD-Fc-セファロースカラムを供給した。それからELISA法を用いて、装置に導入する前後の抗AChRα抗体量をそれぞれ検出した。表1により、導入前後を比較して、約65%の抗体が装置に吸収されたことが示された。このことは、血液中の抗AChRα抗体の除去にこの装置を応用することができることを示している。同時に、抗AChRα抗体の一般のバッファー中での結合能力を比較すると、約87%の抗体が吸着されていた。このことは、血清の存在下においても、AChRα-ECD-Fc-セファロースの抗AChRα抗体に対する吸着力がほとんど変わらず、依然として約75%の吸着能力を有していることを示している。したがって、重症筋無力症患者に応用して治療の効果を達成することができる。 【0077】本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。 【0078】 【発明の効果】本発明は、遺伝子工学で調製した抱合体と基質との連結を利用した体外免疫吸着装置を開示する。この抱合体は患者体内の特定の物質に対して特異的であるため、実質上、健康を害する特定の物質を除去することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】501261377 【氏名又は名称】アナラータ バイオテック コーポレイション リミテッド
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| 【出願日】 |
平成13年6月29日(2001.6.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100102978 【弁理士】 【氏名又は名称】清水 初志 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−320671(P2002−320671A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月5日(2002.11.5) |
| 【出願番号】 |
特願2001−199339(P2001−199339) |
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