| 【発明の名称】 |
血液ろ過方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】福田 達也
【氏名】三浦 司和
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| 【要約】 |
【課題】赤血球、血小板、血漿成分及び白血球を含む全血製剤から、白血球を効率よく除去するための血液ろ過方法の提供。及び、血小板回収率も高めることができる、血液ろ過方法の提供。
【解決手段】全血製剤を貯留する貯留部内において、貯留部下部の血球濃度が高くなるように濃度勾配を形成した後、血液を貯留部下部から順に白血球除去フィルターへ導入しろ過する、血液のろ過方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 全血製剤から白血球を除去するための血液ろ過方法において、全血製剤を貯留する貯留部下部の血液のヘマトクリット値が、貯留部の全血製剤を均質に混和した場合のヘマトクリット値より高くなるように、貯留部に血球濃度勾配を形成した後、血液を貯留部下部から白血球除去フィルターへ導入することを特徴とする方法。 【請求項2】 貯留部下部の血液のヘマトクリット値が、貯留部の全血製剤を均質に混和した場合のヘマトクリット値の1.05倍以上2.50倍未満である請求項1記載の血液のろ過方法。 【請求項3】 貯留部下部のヘマトクリット値が35%以上75%未満である請求項1又は2記載の血液ろ過方法。 【請求項4】 5分以上300分未満の静置によって血球濃度勾配が形成される請求項1〜3のいずれかに記載の血液ろ過方法。 【請求項5】 採血後新鮮な全血製剤から白血球を除去することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の血液ろ過方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、赤血球、血小板、血漿成分及び白血球を含む全血製剤から、白血球を効率良く除去するための血液ろ過方法に関する。また、本発明は、全血製剤から白血球を効率よく除去しつつ、且つ、血小板を高率で回収するための血液ろ過方法に関する。 【0002】 【従来の技術】輸血医学の進歩により、受血者が必要とする成分のみを輸血する、いわゆる成分輸血が今日の輸血医療の主流となっている。成分輸血が普及した理由として、受血者の負荷を軽減できること、治療効果を高めることができること等の利点を挙げることができる。成分輸血に用いられている濃厚赤血球製剤、濃厚血小板製剤、血漿製剤などの血液成分製剤は、献血によって得られた全血製剤を遠心分離することによって調整されている。一方、このようにして調整された血液成分製剤には、多量の白血球が混入しており、この混入白血球が、輸血に伴う頭痛、吐き気、悪寒、非溶血性発熱反応などの比較的軽微な副作用や、受血者に深刻な影響を及ぼすアロ抗原感作、ウィルス感染、輸血後GVHDなどの重篤な副作用を引き起こすことが明らかとなり、繊維素材や連続気孔を有する多孔質体などのろ材を充填した白血球除去フィルターが広く用いられるようになっている。 【0003】白血球除去フィルターを用いた白血球の除去は、全血製剤から除去する場合と、各血液成分製剤を調整した後に除去する場合に大別される。後者は各血液成分製剤毎にフィルターが必要となるのに対し、前者は1つのフィルターで全血製剤から白血球を除去し、その後遠心分離することによって、複数種の白血球を除去した血液成分製剤を調整できるため、より好ましい方法と考えられている。特に最近では、全血製剤用バッグ、フィルター、及び遠心分離後に調整される各血液成分製剤用のバッグ等が一体となり、無菌的に白血球を除去した血液成分製剤が調整できる、いわゆるクローズドシステムが注目され、血液センター等で使用されている(特開平1−320064号公報等)。 【0004】しかしながら、全血製剤からフィルターにより白血球をろ過除去しようとするときには、全血製剤は多量の白血球が混入しているため、各血液成分製剤から白血球を除去した場合と同様の残存白血球数とするには、より容量の大きいフィルターが要求される。しかし、フィルター容量の増加はフィルターに残留する血液量を増やすことになり、この残留血はろ過後にフィルターと共に廃棄されるため、貴重な血液のロス量を増大させるという問題を生じてしまう。 【0005】また、全血製剤は、採血後長くとも3日以内、多くは数時間以内の新鮮な状態のものがろ過対象となるのが一般的であるが、このような新鮮な、特に採血後1時間未満の、非常に新鮮で温度が高い全血製剤をろ過する場合には、フィルターの白血球除去能が低下することが知られている。 【0006】以上のように、全血製剤から白血球を効率良く除去するには課題が残っており、より効率良く、高い白血球除去を達成できる血液のろ過方法の確立が強く望まれている。 【0007】また、近年では、全血製剤から白血球のみを選択的に除去するだけでなく、赤血球、血漿とともに血小板も回収する機能を有するフィルターが開発されつつある(Transfusion Vol.39(1999)、No.10S、Supplement、S541-040K、S542-040K)。このようなフィルターを用いて全血製剤をろ過すると、最終的に白血球を除去した濃厚赤血球製剤、濃厚血小板製剤、血漿製剤の3成分の血液成分製剤を調整することができる。しかしながら、新鮮な全血製剤に含まれている血小板は、採血によるストレス等でやや活性化された状態にあり、フィルターに粘着しやすい性質となっているので、高い血小板回収率を安定して確保できるレベルには至っていないのが現状である。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであって、フィルターの容量を増すことなしに、極めて新鮮な全血製剤からも白血球を高い効率で除去できる血液のろ過方法を提供することにある。本発明のもう一つの課題は、新鮮な全血製剤から白血球のみを選択的に除去しつつ、且つ、高い血小板回収率を安定して達成できる血液のろ過方法を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を達成するための血液のろ過方法を鋭意検討した結果、貯留部において敢えて血球の濃度勾配を形成させることによって、上記課題が解決できることを見出した。 【0010】クローズドシステムも含め、血液製剤からフィルターにより白血球を除去するときには、血液製剤をよく混和し、均質な状態とした直後に1〜2m程度の落差でろ過することが従来から通常に行われている。 【0011】血液に含まれる血球は比重が異なり、赤血球は約1.08、顆粒球及び単球は約1.07、リンパ球は約1.06、血小板及び血漿は約1.03であることが知られている。このような血球を含む血液をそのまま静置しておくと、比重差によって血球の濃度勾配が形成される。 【0012】通常、血液製剤を白血球除去フィルターでろ過する前に、血液の血球濃度が均質になるように混和されるのは、血液中に含まれる微小凝集物等によるフィルターの有効ろ過面積部分の閉塞が、ろ過初期段階で発生することを防止するためである。微小凝集物は血球に比較して大きく、かつ重いため、不均質な状態では貯留部の下部に沈降する。このような状態でろ過を開始すると、沈降した微小凝集物がフィルターと比較的早く接触し、ろ過初期段階でフィルターの有効ろ過部分で閉塞が起こってしまい、片流れによるろ過時間の大幅な延長や、フィルター性能の著しい低下を招く恐れがある。このような現象は、数日間以上保存した血液で特に起こりやすいと考えられ、できるだけ血液を均質な状態にした後にろ過することが好ましいとされてきた。また、血漿含量が少ない濃厚赤血球製剤を不均質な状態でろ過すると、比重の重い赤血球が沈降し、その部分はヘマトクリット値(血液内に占める赤血球の容積比率)が高い、極めて粘度の高い部分となる。この部分をフィルターでろ過しようとしても通液できなかったり、無理にろ過しようと圧力をかけると、赤血球が溶血してしまう等の問題が起こりうる。以上のような現象から、血液製剤をできるだけ均質な状態とした後にろ過する方が血液の流れ性の確保、及びフィルターの白血球除去性能の安定化の観点から好ましい、と考えられていた。 【0013】しかしながら、本発明者らは、新鮮な全血製剤を用いて鋭意検討を行った結果、血球の濃度勾配を故意に形成させて不均質な状態とした後、赤血球や顆粒球等の濃度が高い血液からろ過しても、上述のような不具合を観察しなかったばかりか、驚くべきことに、白血球除去能が格段に向上することを見出した。さらに、血小板回収機能を有するフィルターを用い、かかる不均質化した全血製剤をろ過すると、意外なことに血小板回収率も格段に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。 【0014】本発明は、(1)全血製剤から白血球を除去するための血液ろ過方法において、全血製剤を貯留する貯留部下部の血液のヘマトクリット値が、貯留部の全血製剤を均質に混和した場合のヘマトクリット値より高くなるように、貯留部に血球濃度勾配を形成した後、血液を貯留部下部から白血球除去フィルターへ導入することを特徴とする方法、(2)全血製剤を貯留する貯留部下部の血液のヘマトクリット値が、貯留部の全血製剤を均質に混和した場合のヘマトクリット値の1.05倍以上2.50倍未満である上記(1)記載の血液ろ過方法、(3)貯留部下部のヘマトクリット値が35%以上75%未満である上記(1)又は(2)記載の血液ろ過方法、(4)5分以上300分未満の静置によって血球濃度勾配が形成される上記(1)〜(3)のいずれかに記載の血液ろ過方法、及び(5)採血後新鮮な全血製剤から白血球を除去することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の血液ろ過方法、に関する。 【0015】本発明で、血球濃度勾配を形成しても、思いがけず通液性が確保された理由として、採血後の保存期間が短い新鮮な全血製剤は微小凝集物の含有量が少なく、前述したような微小凝集物に由来する不具合が発生しなかったことが考えられる。また、濃厚赤血球製剤に比較して全血製剤は血漿が多いために著しく粘度が上昇した部分が形成され難く、充分な通液性を確保することができたとも考えられる。しかしながら、白血球除去能と血小板回収率の大幅な向上は予想外の効果であった。全血製剤の不均質化による、かかるろ過特性の変化のメカニズムは不明であるが、以下のような理由であろうと推測している。全血製剤を不均質化し、比重の比較的重い赤血球と白血球が貯留部の下部に沈降した場合、この部分は血漿の割合が少なくなっている。かかる血液からフィルターでろ過した場合、ろ過初期におけるフィルター材料は、アルブミン等の血球粘着を抑制する血漿タンパク質で充分に覆われておらず、その結果、フィルター材料表面に粘着する白血球数が増え、白血球の除去能が向上したと思われる。一方、比重の軽い血小板は不均質化した全血製剤の上層に多く存在することになり、血小板がフィルター材料と接触するときには、フィルター材料の表面がアルブミン等の血漿タンパクで充分に覆われ、その結果、血小板が粘着し難くなって、回収率が向上したものと思われる。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳細に説明する。本発明の血液ろ過方法とは、全血製剤を貯留する、血液バッグに代表される貯留部の内部において、比重の重い赤血球や白血球(顆粒球、単球)を多く含む血液を貯留部下部に沈降させ、その上層に、比重の軽い白血球(リンパ球)や血小板を多く含むような血液、血漿を多く含む血液となるように、貯留部内における血球の濃度が異なるように全血製剤を不均質化して後、比重の重い血球の含有量が減少する方向で血液を貯留部下部から白血球除去フィルターに導入し、ろ過する血液のろ過方法である。 【0017】本発明で言う全血製剤とは、採血された全血に適切量の坑凝固剤を添加する等の、人工的な加工が施された製剤であるが、ろ過される全血製剤の容量に特に限定はない。より具体的には、ACD(アシッドサイトレートデキストローズ)やCPD(サイトレート・フォスフェート・デキストローズ)等の抗凝固剤を含む、採血後3日以内、好ましくは1日以内、さらに好ましくは8時間以内の血液製剤を言う。また、採血して後、フィルターでろ過するまでの間、4℃以上30℃未満、好ましくは15℃以上25℃未満の温度で保存された全血製剤であることが好ましい。採血後3日を超えて保存された全血製剤及び/または、4℃以下で保存された全血製剤は、微小凝集物の量が多くなり、血液を不均質化した場合に、微小凝集物でフィルターが閉塞され、流れ不良を起こす恐れがあるため好ましくない。30℃を超えて保存した場合は、血漿タンパク質の変性等が起こりやすくなるため好ましくない。 【0018】本発明で言う血球濃度勾配を有する全血製剤について、詳細に記述する。本発明の血球濃度勾配を有する全血製剤とは、ヘマトクリット値を測定することによって定義され、具体的には、貯留部下部のヘマトクリット値が、均質に混和した場合のヘマトクリット値の1.05倍以上2.50倍未満であるのが好ましい。貯留部下部のヘマトクリット値が均質に混和した場合の1.05倍未満であると、血球濃度勾配の形成が不十分で、白血球除去能及び血小板回収率の向上が見られない傾向がみられ、2.50倍を超えると、血液粘度増加によるろ過時間の延長や、圧力損失の増加による溶血、あるいは通液性の著しい低下を誘発する恐れがある。より好ましい貯留部下部のヘマトクリット値は、均質に混和した場合のヘマトクリット値の1.05倍以上2.00倍未満であり、さらには1.20倍以上1.70倍未満であることが望ましい。さらに、血球濃度勾配を有する全血製剤の貯留部下部におけるヘマトクリット値は35%以上75%未満であることが望ましい。35%未満であると血球濃度勾配の形成が不十分で、白血球除去能及び血小板回収率の向上が見られない恐れがあり、75%以上であるとろ過時間の延長や、圧力損失の増加による溶血、あるいは通液性の低下を誘発する恐れがあるためである。より好ましくは45%以上65%未満である。 【0019】なお、貯留部下部のヘマトクリット値は、貯留部下部から2ないし3mLの血液を直接サンプリングして測定することが好ましいが、サンプリングが困難である場合には全血製剤をろ過する際に、貯留部に接続した連結管に導入された最初の2ないし3mLの血液をサンプリングして測定しても良い。ヘマトクリット値は、ミクロヘマトクリット法等の遠心法、電導度測定法、パルス波高法、自動血球計数装置による測定法等、公知の方法で測定することができる。 【0020】血球濃度勾配を有する全血製剤にする方法として、貯留部に貯めた血液を静置しておく、いわゆる静置法と、全血製剤が入った貯留部を遠心する、いわゆる遠心法を挙げることができる。 【0021】静置法によって血球濃度勾配を形成させるためには、5分以上300分未満の静置時間が好ましい。5分未満では血球の充分な濃度勾配が形成されない場合があり、300分以上となると、静置しておく時間が長くなりすぎ、大量の血液をろ過することが困難になるため好ましくない。より好ましくは10分以上180分未満、さらには30分以上120分未満であることが望ましい。 【0022】遠心によって血球濃度勾配を形成させる方法として、貯留部下部のヘマトクリット値が前述した好ましい値となるように軽遠心する方法と、強い遠心(重遠心)を行った後にゆるやかな混和を行う等の操作で貯留部下部のヘマトクリット値を好ましい値に調整する方法が挙げられるが、操作が簡便である理由から、軽遠心法であることがより好ましい。軽遠心によって血球濃度勾配を形成させる場合加速時間及び減速時間を除き、おおよそ100×g以上500×g以下の遠心力で、0.3分から10分間、遠心を行うことが好ましい。これより弱い遠心力であると、血球濃度勾配の形成が不十分となるため好ましくなく、これより強い遠心力の場合には、貯留部に沈降した部分のヘマトクリット値が高くなり、このままの状態でろ過を行うと、血液粘度増加によるろ過時間の延長や、一定流速でろ過する場合には圧力損失の増大、それによる赤血球の溶血を招く危険があるため好ましくない。 【0023】本発明の血球濃度勾配を有する全血製剤は、上述した静置法、遠心法の何れでも調整することができるが、操作の簡便性の観点から静置法であることがより好ましい。また、血小板を通過させたい場合、遠心法では遠心によるストレスによって血小板がやや活性化され、血小板回収率の向上効果が静置法に比較するとやや小さくなる傾向にある。この理由からも静置法であることがより好ましい。 【0024】本発明の全血製剤を貯留する貯留部とは、血液を貯留し保存できる容器であって、血液細胞の活性化や血漿タンパク質の著しい吸着や変性等を起こさないものであれば特に限定なく如何なるものも使用できる。より具体的には、血液の採血及び保存に広く一般的に使用されている軟質ポリ塩化ビニル製、ポリオレフィン製の血液バッグや、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン製のシリンジ等を挙げることができる。 【0025】本発明で好適に使用できる白血球除去フィルターは、全血製剤に混入している白血球を捕捉し、除去できるフィルター材料を充填したフィルターであり、公知の白血球除去フィルターがいずれも使用できる。より具体的には、ろ過後の残存白血球濃度をろ過前の白血球濃度で除した値の対数値(−Log(ろ過後の白血球濃度/ろ過前の白血球濃度))を白血球除去能と定義した時に、その値が2.30以上、好ましくは3.00以上となるフィルターを言う。 【0026】フィルター材料としては、繊維状媒体、スポンジ状媒体等を挙げることができる。また、血液に対して悪影響を与えないものであれば、フィルター材料を血液で濡れやすくする等の目的で、親水性のポリマーをコーティングしたり、放射線グラフト重合によって、フィルター材料の表面を改質しても良い。 【0027】白血球除去フィルターに血小板の通過機能を付与する場合、血小板低粘着性材料をフィルター材料の表面に導入しても良い。血小板低粘着性材料としては、特公平6−51060号や特開平1−249063号等に記載されているような、親水性基と、アミノ基またはカルボキシル基等の荷電性基を有するポリマーや、ポリウレタンを好適な材料として挙げることができる。 【0028】本発明は、上記した血球濃度勾配を有する全血製剤を貯留する貯留部と白血球除去フィルターとを、血液が流れる中空管状の連結管で接続して実施することが好ましい。フィルターと連結管との接続は、貯留部において、血球濃度勾配を形成させた後に行っても良いし、予め貯留部とフィルターを連結管で接続し、その後貯留部内において血球濃度勾配を形成させても良い。また、フィルターでろ過された全血製剤を流す連結管をフィルターの下流側に接続し、さらにろ過血を回収する回収部を接続しても良い。連結管の接続は、無菌接続装置(SCD)を使用して行っても良い。また、ここで言う連結管とは、血球にダメージを与えないものであれば特に限定はない。中でも、塩化ビニル、シリコン、ポリスルフォン、ポリアミド、ポリエステル、ウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の有機材料が加工性に優れるため好ましい。回収部には、上述の貯留部と同様の機能を有し、同様の材料からなるものを使用できる。 【0029】本発明の血液ろ過方法は、血球濃度勾配を有する全血製剤を白血球除去フィルターでろ過することに特徴を有する方法であり、ろ過操作自体は特に限定されない。即ち、血液バッグ等を貯留部として、適切な落差を確保した後にろ過を行っても良いし、ポンプ等を用いて一定の流量でろ過を行っても良い。このようにして白血球を除去した全血製剤を得た後、公知の遠心法によって、白血球が除去された血液成分製剤を調整することもできる。 【0030】 【実施例】以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。 【実施例1】(白血球除去フィルター)平均繊維径が1.2μm、目付が40g/m2、厚みが0.2mmのポリエチレンテレフタレート製不織布に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とジメチルアミノエチルメタクリレート(DM)からなるランダムポリマー(HEMAとDMのモル組成比は97:3。以下HM−3と略す)を血小板低粘着性材料としてコーティングした白血球除去フィルターを用いた。 【0031】(ポリマーの合成及びコーティング)HM−3ポリマーは、エタノール中のモノマー濃度を1モル/Lとし、開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、商品名V−65)を0.005モル/Lの存在下、60℃で8時間ランダム重合することによって合成した。合成したHM−3ポリマーを不織布表面にコーティングする場合は以下の操作を行った。まず合成したHM−3ポリマーをエタノールと水の混合溶媒(重量比:エタノール/水=70/30)で溶解させ、濃度を7g/dLとした液を調整した。次に不織布を直径25mmに打ち抜き、このポリマー液に25℃で1分間浸し、ポリカーボネート製のホルダーに充填し、乾燥窒素を4.5分間通気させ、その後60℃で18時間、真空乾燥することによってコーティングした。 【0032】(フィルターの作成)血液をろ過するフィルターは、不織布を直径20mmに打ち抜いて、有効ろ過断面積が1.33cm2で、血液の導入口と導出口を有する容器に16枚充填することによって作製した。HM−3をコーティングした不織布を使用する場合は、ポリカーボネート製のホルダーから乾燥後のHM−3がコートされた不織布を取り出し、さらに直径20mmに打ち抜いて後、16枚重ねて充填した。 【0033】(血液のろ過試験)軟質ポリ塩化ビニル製血液バッグに採血され、室温下(20〜25℃)で2〜3時間保存されたCPD添加全血製剤をよく混和した後、この中から8mLの血液をシリンジ(テルモ社製、商品名テルモシリンジ(登録商標)SS−20ESZ)に採取した。全血製剤を含むシリンジにクランプを備えた内径2.5mmのポリ塩化ビニル製チューブを接続し、チューブの反対側末端を上述したフィルターの血液導入口と接続した。また、フィルターの血液導出口に同じチューブを接続し、この反対側末端から導出する血液を回収するために、ポリエチレン製のスピッツ管を配置した。その後、全血製剤の入ったシリンジとフィルター導入口との間のクランプを閉塞し、シリンジを垂直に立て、60分間静置した後、クランプを解除し、0.9mL/分の一定流速でろ過を行った。 【0034】(白血球除去能および血小板回収率の測定)ろ過前の全血製剤中の白血球濃度は、均質な状態の全血製剤よりサンプリングした血液を用い、チュルク液で白血球を染色後、光学顕微鏡を用いて測定した。ろ過後の全血製剤中の白血球濃度は、ポリエチレン製のスピッツ管に回収した血液をサンプリングし、アクリジンオレンジ液で漏れてきた白血球を染色した後、蛍光顕微鏡を用いて測定した。かくして得られたろ過前及びろ過後の白血球濃度より、次式により、白血球除去能を求めた。 白血球除去能=−Log(ろ過後の白血球濃度/ろ過前の白血球濃度) 【0035】血小板回収率を算出する場合は、白血球濃度を測定した血液と同一の血液を用い、ろ過前及びろ過後の血小板濃度を多項目自動血球計数装置(東亜医用電子株式会社製、Sysmex K−4500)で測定し、次式により求めた。血小板回収率=ろ過後血小板濃度/ろ過前血小板濃度×100(%) 【0036】(ヘマトクリット値の測定)均質な状態でのヘマトクリット値(以下、プレHtと言う)、及びシリンジ下部のヘマトクリット値(以下、ポストHtと言う)の測定は以下の方法により行った。プレHt値は、血液バッグに残った、フィルター未処理の全血製剤をよく混和し、この中から2mLの血液をサンプリングして測定した。血球濃度勾配を有する全血製剤のポストHtは、全血製剤を含む同様のシリンジをもう1本用意し、一定時間静置した後にシリンジ下部の血液を2mL採取し、これをポストHtの測定に用いた。また、下記に示す比較例においては、一定時間静置した後、再び混和し、シリンジ下部の血液を2mL採取し、これをポストHtの測定に用いた。プレ及びポストHtの測定は、サンプリングした血液をポリエチレン製のスピッツ管に入れ、血小板濃度の測定と同様に多項目自動血球計数装置で行った。以上の結果、プレHtは34%、ポストHtは52%(ポストHt/プレHt=1.53)であり、白血球除去能は3.72、血小板回収率は84%であった。 【0037】 【実施例2】静置時間を5分とした以外は実施例1と同じフィルターと全血製剤を用い、ろ過を行った。以上の結果、ポストHtは37%(ポストHt/プレHt=1.08)であり、白血球除去能は3.80、血小板回収率は75%であった。 【0038】 【実施例3】静置時間を10分とした以外は実施例1と同じフィルターと全血製剤を用い、ろ過を行った。以上の結果、ポストHtは41%(ポストHt/プレHt=1.21)であり、白血球除去能は3.89、血小板回収率は81%であった。 【0039】 【実施例4】静置時間を180分とした以外は実施例1と同じフィルターと全血製剤を用い、ろ過を行った。以上の結果、ポストHtは57%(ポストHt/プレHt=1.68)であり、白血球除去能は3.70、血小板回収率は93%であった。 【0040】 【比較例1】実施例1と同じ全血製剤をシリンジに採取し、60分間静置した。その後、再び混和し、血球濃度勾配が実質的にない、均質な全血製剤とした。この全血製剤を、実施例1と同じフィルターを用い、同じ方法でろ過を行った。以上の結果、ポストHtは34%であり、プレHtと同等であった(ポストHt/プレHt=1.00)。また、白血球除去能は3.14、血小板回収率は65%であった。 【0041】 【実施例5】平均繊維径が1.4μm、目付が42g/m2、厚みが0.22mmのポリプロピレンテレフタレート製不織布と、HEMAとジエチルアミノエチルメタクリレート(DE)からなるランダムコポリマー(HEMAとDEのモル組成比は95:5。以下HE−5と略す。)を血小板低粘着性材料として用いて実験を行った。HE−5ポリマーの合成、不織布へのコーティング、及び血液のろ過は実施例1と同様の条件及び方法で行った。以上の結果、白血球除去能は3.65、血小板回収率は85%であった。 【0042】実施例1〜5の結果を比較例1の結果と対比すると、血小板低粘着性ポリマーをコーティングした白血球除去フィルターにおいて、血球濃度勾配を形成することによって、白血球除去能のみでなく血小板回収率が顕著に向上していることが分かる。 【0043】 【実施例6】HM−3をコーティングしていないが、実施例1と同じ不織布を充填したフィルターを作製した。採血後3時間経過したCPD添加全血製剤をシリンジに採取し、60分間静置した後に実施例1と同じ方法でろ過を行った。以上の結果、プレHtは39%、ポストHtは62%(ポストHt/プレHt=1.59)であり、白血球除去能は4.34であった。 【0044】 【比較例2】実施例6と同じ全血製剤をシリンジに採取し、60分間静置した。その後、再び混和し、血球濃度勾配が実質的にない、均質な全血製剤とした。この全血製剤を、実施例6と同じフィルターを用い、同じ方法でろ過を行った。以上の結果、ポストHtは39%であり、プレHtと同等であった(ポストHt/プレH=1.00)。また、白血球除去能は3.51であった。 【0045】実施例6と比較例2との結果を対比すると、血小板低粘着性ポリマーをコーティングしていない白血球除去フィルターにおいては、血球濃度勾配を形成することによって、白血球除去能が顕著に向上することが分かった。 【0046】実施例1〜6、比較例1〜2の結果を表1に示す。 【表1】
【0047】 【実施例7】採血後室温下で3時間保存したCPD添加新鮮全血を含む軟質ポリ塩化ビニル製の血液バッグを遠心分離機(日立工機社製、型式CR7B3)に入れ、300×gの遠心力で0.5分間軽遠心し、血球密度勾配を有する全血製剤(28mL)を調整した。HM−3をコーティングした不織布を、内径25mmのホルダーに16枚重ねて充填したフィルターを作成した。遠心により血球濃度勾配を形成させた全血製剤を含む血液バッグに内径2.5mmのポリ塩化ビニル製チューブを接続し、このチューブの反対側末端にフィルターの血液導入口を接続した。さらに血液導出口とろ過した全血製剤を回収する血液バッグを、同様のチューブを介して接続した。プレHtは、遠心前の均質な状態の全血製剤より血液をサンプリングして測定し、ポストHtは、遠心後の全血製剤が入っている血液バッグの下部よりサンプリングして測定した。この結果、プレHtは32%、ポストHtは63%(ポストHt/プレH=1.97)であった。フィルター接続後の血球濃度勾配を有する全血製剤を入れた血液バッグを吊し、落差40cmでろ過を行った。その結果、白血球除去能は3.48、血小板回収率は76%であった。 【0048】 【比較例3】2600×gの遠心力で7分間遠心を行った以外は、実施例5と同じフィルターを用いて、同じ方法でろ過を試みた。以上の結果、ポストHtは85%(ポストHt/プレHt=2.66)と極めて粘度が高くなり、フィルターでろ過を行うことができなかった。 【0049】 【発明の効果】本発明の血液ろ過方法によると、全血製剤から効率良く白血球を除去することができ、さらに血小板回収率も向上させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000116806 【氏名又は名称】旭メディカル株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年4月26日(2001.4.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090941 【弁理士】 【氏名又は名称】藤野 清也 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−320669(P2002−320669A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月5日(2002.11.5) |
| 【出願番号】 |
特願2001−129177(P2001−129177) |
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