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【発明の名称】 医療機器の遠隔監視方法
【発明者】 【氏名】峠 真一

【要約】 【課題】陽圧式人工呼吸補助装置の使用時における患者の状態または陽圧式人工呼吸補助装置の状態の遠隔監視を可能とする。

【解決手段】陽圧式人工呼吸補助装置2は,該装置を使用する患者の治療データを求め,求められた治療データを通信ネットワーク1を介して中継装置3に送信する。中継装置3は,陽圧式人工呼吸補助装置2から送信された治療データを受信し,受信された治療データの全部または一部を医師側コンピュータ4または携帯端末5に通信ネットワーク1を介して送信する。医師側コンピュータ4または携帯端末5は,中継装置3から送信された治療データの全部または一部を受信する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 陽圧の空気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者に送気して患者の呼吸を補助する陽圧式人工呼吸補助装置と,中継装置と,医師側端末装置とが無線または有線の通信ネットワークに接続され,該通信ネットワークを介して前記陽圧式人工呼吸補助装置の遠隔監視を行う遠隔監視方法であって,前記陽圧式人工呼吸補助装置は,該陽圧式人工呼吸補助装置を使用する患者の治療データを求め,前記求められた治療データを前記通信ネットワークを介して前記中継装置に送信し,前記中継装置は,前記陽圧式人工呼吸補助装置から送信された前記治療データを受信し,前記受信された治療データの全部または一部を前記医師側端末装置に前記通信ネットワークを介して送信し,前記医師側端末装置は,前記中継装置から送信された前記治療データの全部または一部を受信する,遠隔監視方法。
【請求項2】 陽圧の空気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者に送気して患者の呼吸を補助する陽圧式人工呼吸補助装置において,該陽圧式人工呼吸補助装置を使用する患者の治療データを求める治療データ算出手段と,前記治療データ算出手段により求められた治療データを記憶する記憶手段と,無線または有線の通信ネットワークに接続され,前記記憶手段に記憶された治療データを該通信ネットワークを介して送信する送信手段と,を備えていることを特徴とする陽圧式人工呼吸補助装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,遠隔で陽圧式人工呼吸補助装置または該装置を使用する患者の状態を監視する遠隔監視方法に関する。また,本発明は,陽圧式人工呼吸補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】在宅で治療ないし療養を受ける在宅患者に対して,在宅医療機器が提供されることがある。たとえば,患者の鼻部に取り付けられた鼻マスクに陽圧の空気を送気し,在宅患者の呼吸を補助する陽圧式人工呼吸補助装置もその1つである。
【0003】従来,この陽圧式人工呼吸補助装置を使用している在宅患者は,通常,外来受診時にのみ医師とコミュニケーションをとり,体調,陽圧式人工呼吸補助装置の使用状況,陽圧式人工呼吸補助装置の不具合等を医師に知らせていた。
【0004】このため,医師は,在宅での詳細な治療状況,特に実際に使用している時の患者の状態や陽圧式人工呼吸補助装置の状況を十分に知り得ないことが多かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,このような状況に鑑みなされたものであり,その目的は,陽圧式人工呼吸補助装置の使用時における患者の状態または陽圧式人工呼吸補助装置の状態の遠隔監視を可能とすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために,本発明による遠隔監視方法は,陽圧の空気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者に送気して患者の呼吸を補助する陽圧式人工呼吸補助装置と,中継装置と,医師側端末装置とが無線または有線の通信ネットワークに接続され,該通信ネットワークを介して前記陽圧式人工呼吸補助装置の遠隔監視を行う遠隔監視方法であって,前記陽圧式人工呼吸補助装置は,該陽圧式人工呼吸補助装置を使用する患者の治療データを求め,前記求められた治療データを前記通信ネットワークを介して前記中継装置に送信し,前記中継装置は,前記陽圧式人工呼吸補助装置から送信された前記治療データを受信し,前記受信された治療データの全部または一部を前記医師側端末装置に前記通信ネットワークを介して送信し,前記医師側端末装置は,前記中継装置から送信された前記治療データの全部または一部を受信するものである。
【0007】また,本発明による陽圧式人工呼吸補助装置は,陽圧の空気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者に送気して患者の呼吸を補助する陽圧式人工呼吸補助装置において,該陽圧式人工呼吸補助装置を使用する患者の治療データを求める治療データ算出手段と,前記治療データ算出手段により求められた治療データを記憶する記憶手段と,無線または有線の通信ネットワークに接続され,前記記憶手段に記憶された治療データを該通信ネットワークを介して送信する送信手段と,を備えていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】1.遠隔医療システムの構成図1は,本発明による遠隔医療(テレメディスン)システムの全体構成を示すブロック図である。この遠隔医療システムは,通信ネットワーク1に接続された陽圧式人工呼吸補助装置2,中継装置3,ならびに医師側端末装置としての医師側コンピュータ4および携帯端末5を備えている。
【0009】通信ネットワーク1は,公衆電話回線ネットワーク,インターネット,移動通信ネットワーク,または専用回線ネットワークのいずれであってもよいし,これらのネットワークが組み合わされた通信ネットワークであってもよい。
【0010】陽圧式人工呼吸補助装置2は,在宅医療機器の1つであり,在宅患者(以下,単に「患者」という。)の鼻マスクに陽圧の空気を送気して,患者の呼吸を補助するものである。このため,陽圧式人工呼吸補助装置2は,在宅医療を受けている患者の近く(たとえば患者宅等)に設置される。
【0011】患者に送気される「空気」は,患者の状態に応じて,大気そのものである場合もあるし,酸素濃縮器との併用により,酸素含有量が大気よりも高い空気(酸素を大気より多く含む酸素濃縮器からの空気を大気と混合したもの)である場合もある。以下では,両者を合わせて単に「空気」と呼ぶ。
【0012】この陽圧式人工呼吸補助装置2には,2相圧式のものと,持続陽圧式のものとが含まれる。
【0013】2相圧式のものは,患者の吸気時には相対的に高い陽圧(吸気圧:IPAP)の空気を,呼気時には相対的に低い陽圧(呼気圧:EPAP)の空気を,それぞれ患者に送気するものである。持続陽圧式(CPAPモード)のものは,常に一定の陽圧の空気を患者に送気するものである。IPAP,EPAPおよびCPAPの各圧力は,医師により処方された圧力(処方圧)に設定される。
【0014】2相圧式のものには,さらにS(Spontaneous)モード,T(Timed)モード,およびST(Spontaneous/Timed)モードの3つ動作モードを設定することができる。Sモードは,患者の自発呼吸に同調して,呼気圧および吸気圧を送気するモードであり,Tモードは,あらかじめ設定された分時呼吸数と吸気時間に従い吸気圧および呼気圧を繰り返すモードである。STモードは,患者の自発呼吸に同調したSモード運転に加え,自発呼吸を検出しない場合には,Tモードでバックアップし,さらにその後自発呼吸を検出すると,再びSモードに切り換えるモードである。
【0015】2相圧式のものは,主として,自発呼吸能力が弱まった患者に提供されるものであり,持続陽圧式のものは,主として,睡眠時無呼吸症候群の患者のように,自発呼吸能力はあるものの,睡眠時に呼吸が一時的に停止するおそれのある患者に提供されるものである。本発明は,2相圧式および持続陽圧式のいずれにも適用可能であり,図1に示す陽圧式人工呼吸補助装置2は,2相圧式および持続陽圧式の両者を兼ね備えたものである。
【0016】中継装置3は,陽圧式人工呼吸補助装置を提供する企業内,訪問看護ステーション等に設置され,陽圧式人工呼吸補助装置2から送信されたデータ(後述)を受信し,その全部または一部を医師側コンピュータ4に送信するものである。
【0017】医師側コンピュータ4は,医療機関(病院,医院,診療所,クリニック等)に設置されたコンピュータであり,中継装置3からのデータ(すなわち,陽圧式人工呼吸補助装置2から中継装置3に送信されたデータの全部または一部)を受信する。
【0018】医師,看護婦等の医療機関関係者は,医師側コンピュータ4を使用して,この送信されたデータを参照することができる。また,医療機関関係者は,医師側コンピュータ4を操作して,データのダウンロード要求を中継装置3に送信し,医師側コンピュータ4に必要なデータをダウンロードすることもできる。さらに,医療機関関係者は,医師側コンピュータ4を操作して,陽圧式人工呼吸補助装置2に必要なデータ(後述)を設定することもできる。
【0019】携帯端末5は,医師または看護婦が所持するものであり,緊急時に医師側コンピュータ4,中継装置3,または病院関係者が所持する他の携帯端末から呼び出すこともできるようになっている。また,医療機関関係者は,携帯端末5を操作して,陽圧式人工呼吸補助装置2に必要なデータ(後述)を設定することもできる。なお,携帯端末5は,携帯電話,PHS,PDA,ポケットベル(登録商標)等が含まれる。
【0020】2.陽圧式人工呼吸補助装置の構成および動作図2は,陽圧式人工呼吸補助装置2の詳細な構成を示すブロック図である。図3は,陽圧式人工呼吸補助装置2の制御装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【0021】陽圧式人工呼吸補助装置2は,本体装置20,患者の鼻部に取り付けられる鼻マスク21,および,本体装置20と鼻マスク21とに接続され,本体装置20から鼻マスク21に空気を送り込むエアチューブ22を備えている。
【0022】本体装置20からは,エアチューブ22を介して常に陽圧の空気が,鼻マスク21に送気される。鼻マスク21には,患者の呼気を鼻マスク21の外部に排出するための呼気排出孔210が設けられている。
【0023】本体装置20は,圧力計23,流量計24,制御装置25,流路26,ブロア27,および入力装置28を備えている。また,制御装置25は,制御部250,送受信部251,および駆動部252を備えている。また,図示は省略するが,必要に応じて,患者の血中の酸素飽和度を測定するための酸素飽和度測定器(たとえばパルスオキシメータ)が本体装置20に設けられるか,あるいは,本体装置20に接続される。
【0024】流路26は,鼻マスク21に送気される空気をブロア27からエアチューブ22に案内するガイド用空気路である。
【0025】ブロア27は,回転することにより,空気を流路26に送気するものである。ブロア27の回転数によって,送気される空気の圧力が調整される。ブロア27は,制御装置25の駆動部252により駆動される。駆動部252の駆動は,制御装置28の制御部250により制御され,その結果,ブロア27の回転が制御される。
【0026】入力装置28は,患者または医師が操作する,たとえば操作パネル,入力ボタン,本体装置28から分離可能な入力端末(たとえば換気条件設定器)等により構成される。入力装置28により,電源のオン/オフ,モード(Sモード,Tモード,STモード,CPAPモード)の設定,処方圧の設定,TモードまたはSTモードにおける分時呼吸数の設定等が行われる。設定された値またはモードは,制御装置28の制御部250に与えられ,その内部メモリ(RAM,ディスクメモリ等)に記憶される。
【0027】処方圧および分時呼吸数(ならびにモードの設定)の値(処方値)は,医師または医師の指示を受けた看護婦により入力装置28を使用して設定されるが,患者が誤った値(モード)に設定しないように,パスワードの入力後でなければ設定できない構成とされる。あるいは,医師が所持する,本体装置20と分離可能な入力端末によって設定することもできるし,また,前述したように,医師側コンピュータ4または携帯端末5により通信ネットワーク1を介して設定することもできる。
【0028】圧力計23は,流路26内の空気圧を検出/測定するものである。測定された空気圧は,制御装置25の制御部250に与えられる。流量計24は,たとえば差圧式流量計により構成され,流路20内を流れる空気の流量,すなわち本体装置20から鼻マスク21に送気される空気の流量を検出/測定するものである。測定された流量は,制御装置25の制御部250に与えられる。
【0029】酸素飽和度測定器が設けられた場合には,酸素飽和度測定器により測定された酸素飽和度データは,制御装置25の制御部250に与えられる。
【0030】制御装置25の送受信部251は,制御部250の制御の下,通信ネットワーク1と通信を行い,制御部250から与えられるデータ(送信データ)の中継装置3への送信と,医師側コンピュータ4または携帯端末5からのデータ(受信データ)の受信とを行う。送信は,リアルタイムに行われてもよいし,一定時間間隔(たとえば1時間おきごと)に行われてもよい。また,患者が入力装置28を操作して送信を指示した場合に,送信が行われてもよい。
【0031】送信データには,患者の治療データとして,患者の換気量Fp,この陽圧式人工呼吸補助装置2の稼働時間T,鼻マスク21からの空気漏れ量Fb(呼気排出孔210以外の部分からの漏れ量),鼻マスク21の内圧P,分時呼吸数N,吸入酸素濃度FiO2,およびこの陽圧式人工呼吸補助装置2の運転状況(鼻マスクが外れた場合のアラーム等)が含まれる。また,酸素飽和度測定器が設けられた場合には,この酸素飽和度測定器により測定された酸素飽和度が送信データに含まれる。受信データには,前述したように,処方圧,TモードまたはSTモードにおける分時呼吸数,およびモードの設定値が含まれる。受信データは,送受信部251から制御部250に与えられる。
【0032】制御部250は,設定されたモードおよび処方圧,ならびに入力された圧力計23の圧力値に基づいて駆動部252を制御する。駆動部252は,制御部250により制御された回転数でブロア27を駆動する。たとえば,Sモードに設定されている場合には,吸気時には設定されたIPAPに,呼気時には設定されたEPAPに,それぞれなるように,ブロア27の回転数が制御される。
【0033】一方で,制御部250は,送信データを作成する。送信データのうち,患者の換気量Fpは,鼻マスク21における患者の鼻近傍に流量計(図示せず)が設けられた場合には,この流量計により測定された値が用いられる。この場合には,この流量計の測定値が制御部250に入力されることとなる。
【0034】この流量計が設けられない場合には,換気量Fpは,以下の式(1)により求められる。
【0035】Fp=Ft−Fa−Fb …(1)
ここで,Ftは,流量計24に測定される流量である。Faは,呼気排出孔210から外部へ流出される空気の流量(以下「呼気排出孔流量」という。)である。Fbは,前述した鼻マスク21からの空気漏れ量である。
【0036】呼気排出孔流量Faは,呼気排出孔210の空気の通過面積(一定値)および鼻マスク21の内圧Pから定まる値であり,これらの値を所定の計算式に代入することにより求められる。これらの通過面積および計算式は,制御部250にあらかじめ設定/記憶されている。また,内圧Pは,圧力計23により測定される圧力値とほぼ同じであるので,この圧力値が用いられる。制御部250は,これらのあらかじめ設定された計算式および通過面積と,圧力計23の圧力値に基づいて呼気排出孔流量Faを求める。
【0037】一方,鼻マスク21からの空気漏れ量Fbは,流量計24の流量値Ftから呼気排出孔流量Faを引いた値を,1回の呼吸に亘って,または,数回の呼吸に亘って積分することにより求められる。
【0038】制御部250は,これら求められたFt,Fa,およびFbを上記式(1)に代入し,換気量Fpを算出する。なお,呼気量と吸気量は同じ量であるので,換気量は,通常,呼気量または吸気量のいずれかの値が用いられるのは言うまでもない。また,換気量には,1回の呼吸ごとの換気量と,1分間ごとの分時換気量とがあり,制御部250は,設定により,これらの双方またはいずれか一方を算出する。
【0039】この換気量Faがほぼリアルタイムまたは一定時間間隔(たとえば1時間)ごとに送信されることにより,医師は,患者が陽圧式人工呼吸補助装置2の使用時における様態を遠隔の病院等で知ることができる。また,換気量Faが減少傾向にある場合には,遠隔の医師側コンピュータ4または携帯端末5から処方圧を高く設定し直す等の緊急処置をとることもできる。
【0040】また,鼻マスク21からの空気漏れ量Fbがほぼリアルタイムまたは一定時間間隔ごとに送信されることにより,医師は,陽圧式人工呼吸補助装置2が実際に使用されている時の空気漏れ量を知ることができる。これにより,医師は,鼻マスク21のフィットの程度および不快感(漏れ量があまり多いと不快感により眠れない等の影響を患者に与える)の程度を知ることもできる。
【0041】鼻マスク21の内圧Pがほぼリアルタイムまたは一定時間間隔ごとに送信されることにより,医師は,処方圧の空気が患者に送気されているかどうかを知ることができる。
【0042】稼動時間Tは,制御部250がその内部タイマ(内部時計)により電源オンから電源オフまでの時間を計時することによって求められる。この稼動時間を分析することにより,医師は,患者が陽圧式人工呼吸補助装置2を使用しているかどうかや,治療(患者)のコンプライアンスを知ることができる。
【0043】分時呼吸数Nは,Sモード作動時,または,STモードにおけるSモード作動時には,自発呼吸に同調した吸気圧および呼気圧が交互に繰り返されるので,この繰り返し回数を1分間に亘ってカウントすることにより求められる。また,CPAPモードにおいても,患者の吸気時には,圧力計23の圧力値が一時的に小さくなり,呼気時には,一時的に大きくなるので,この繰り返し回数を1分間に亘ってカウントすることにより,分時呼吸数Nを求めることができる。Tモード作動時には,Tモード用に設定された分時呼吸数を用いることもできるし,CPAPモードと同様にして求めることもできる。
【0044】分時呼吸数Nがほぼリアルタイムまたは一定時間間隔ごとに送信されることによっても,医師は,患者のリアルタイムまたは一定時間間隔ごとの様態を知ることができる。
【0045】吸入酸素濃度(FiO2)は,本体装置20または鼻マスク21に供給される酸素供給量を測定することにより,この酸素供給量に近似して求められる。この場合に,酸素濃縮装置が陽圧式人工呼吸補助装置2に接続され,この酸素濃縮装置の酸素供給量が制御部250に入力されることとなる。
【0046】運転状況,特に鼻マスクが患者から外れた状況は,鼻マスク21の内圧P(すなわち圧力計24の圧力値)が,ブロア27の回転数を上昇させても上昇しないことを制御部250が検知することにより検出される。運転状況がリアルタイムに送信されることにより,医師は,患者の緊急事態の対処することができる。
【0047】酸素飽和度測定器により測定された酸素飽和度が,ほぼリアルタイムまたは一定時間間隔ごとに送信されることにより,医師は,患者の酸素飽和度をほぼリアルタイムまたは一定時間間隔ごとに知ることができる。そして,酸素飽和度がたとえば90%を下回る場合に,医師は,遠隔の医師側コンピュータ4または携帯端末5から,処方圧を高く設定し直したり,陽圧式人工呼吸補助装置2と酸素濃縮器とが併用されるように操作する,あるいは,併用されている酸素濃縮器からの流量多くする等の緊急処置をとることもできる。
【0048】なお,制御部250は,これまで説明した制御部250の処理を記述したプログラムと,このプログラムを実行するCPUまたはマイクロコンピュータ(および周辺回路)とにより構成することもできるし,上記処理を実行するハードウェア回路により構成することもできる。また,このプログラムは,記録媒体(フロッピディスク,ハードディスク,半導体メモリ等)に記録(記憶)されて提供されてもよい。
【0049】3.中継装置の構成および動作中継装置3は,コンピュータ,サーバ装置等によって構成することができる。中継装置3は,前述した陽圧式人工呼吸補助装置2からの送信データを受信する。
【0050】この中継装置3には,これら受信された送信データのすべてまたは一部についての閾値が,医師,医師の指示を受けた看護婦等によってあらかじめ設定されている。設定は,医師側コンピュータ4または携帯端末5を用いて行うこともできるし,中継装置3の入力装置(キーボード,マウス等)を用いて直接行うこともできる。
【0051】たとえば,患者の換気量の上限閾値および下限閾値の双方またはいずれか一方が設けられる。そして,陽圧式人工呼吸補助装置2から中継装置3に送信される換気量のうち,上限閾値を上回る換気量および下限閾値を下回る換気量の双方またはいずれか一方のみが中継装置3から医師側コンピュータ4に送信されるようにすることもできる。
【0052】分時呼吸数Nについても,同様に上限閾値または下限閾値の少なくとも一方が設けられ,これら閾値を下回る値または上回る値の少なくとも一方のみが中継装置3から医師側コンピュータ4に送信されるようにすることもできる。
【0053】稼働時間T,空気漏れ量Fb,吸入酸素濃度FiO2,および酸素飽和度についても,同様にして閾値を設け,閾値を上回る/下回る場合にのみ,そのデータが中継装置3から医師側コンピュータ4に送信されるようにすることもできる。
【0054】このように閾値を設けて,医師側コンピュータ4または携帯端末5に送信されるデータを選別することにより,医師に必要または重要なデータのみを送信することが可能となる。
【0055】また,下限閾値または上限閾値を複数個設けることもできる。たとえば,換気量Fpについて,下限閾値を2つ設けて,換気量Fpが小さい方の下限閾値を下回った場合に,中継装置3は,患者の呼吸が極端に弱まった緊急事態とみなして,医師側コンピュータ4および携帯端末5の双方またはいずれか一方に,患者に緊急事態が発生したことを告げる警報を送信するように構成することができる。
【0056】また,分時呼吸数Nについても同様に,下限閾値を2つ設けて,分時呼吸数Nが小さい方の下限閾値を下回った場合には,中継装置3は,患者の呼吸が極端に減った緊急事態の発生とみなして,医師側コンピュータ4および携帯端末5の双方またはいずれか一方に,患者に緊急事態が発生したことを告げる警報を送信するように構成することができる。
【0057】酸素飽和度についても,閾値(たとえば90%)を設け,酸素飽和度がこの閾値を下回った場合に,中継装置2は,医師側コンピュータ4および携帯端末5の双方またはいずれか一方に,患者に緊急事態が発生したことを告げる警報を送信するように構成することができる。
【0058】なお,陽圧式人工呼吸補助装置2が複数の患者のそれぞれ対して1つずつ設けられる場合には,このような閾値は,各陽圧式人工呼吸補助装置2(すなわち患者)ごとに設定されることとなる。また,中継装置3から医師側コンピュータ4または携帯端末5への送信は,電子メールにより行われてもよい。
【0059】また,中継装置3は,医師側コンピュータ4または携帯端末5からのダウンロード要求に応じて,陽圧式人工呼吸補助装置2から受信したデータのすべてまたは指定されたものを医師側コンピュータまたは携帯端末5にダウンロードすることもできる。
【0060】なお,このような中継装置3の機能は,陽圧式人工呼吸補助装置2(制御装置25の制御部250)に組み込み,陽圧式人工呼吸補助装置2と一体の装置として構成することもできる。
【0061】この場合には,図1において,中継装置3が省略される。そして,陽圧式人工呼吸補助装置2は,医師側コンピュータ4または携帯端末5に通信ネットワーク1を介して直接治療データの全部または一部を送信し,医師側コンピュータ4または携帯端末5は,陽圧式人工呼吸補助装置2に閾値を直接設定し,ダウンロード要求を送信することとなる。また,陽圧式人工呼吸補助装置2が電源オフにされていても,医師側コンピュータ4または携帯端末5からのダウンロード要求等を受信できるように,制御装置25の部分は,バックアップ電源等により常時稼動状態に置かれるのが好ましい。
【0062】また,中継装置3のこれまで説明した処理は,この処理を記述したプログラムと,このプログラムを実行するCPUまたはマイクロコンピュータ(および周辺回路)とにより実現することもできるし,上記処理を実行するハードウェア回路により実現することもできる。また,このプログラムは,記録媒体(フロッピディスク,ハードディスク,半導体メモリ等)に記録(記憶)されて提供されてもよい。
【0063】4.付記(付記1) 陽圧の空気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者に送気して患者の呼吸を補助する陽圧式人工呼吸補助装置と,中継装置と,医師側端末装置とが無線または有線の通信ネットワークに接続され,該通信ネットワークを介して前記陽圧式人工呼吸補助装置の遠隔監視を行う遠隔監視方法であって,前記陽圧式人工呼吸補助装置は,該陽圧式人工呼吸補助装置を使用する患者の治療データを求め,前記求められた治療データを前記通信ネットワークを介して前記中継装置に送信し,前記中継装置は,前記陽圧式人工呼吸補助装置から送信された前記治療データを受信し,前記受信された治療データの全部または一部を前記医師側端末装置に前記通信ネットワークを介して送信し,前記医師側端末装置は,前記中継装置から送信された前記治療データの全部または一部を受信する,遠隔監視方法。
【0064】(付記2) 付記1において,前記治療データは,患者の換気量,該陽圧式人工呼吸補助装置の稼働時間,該陽圧式人工呼吸補助装置の鼻マスクからの空気漏れ量,鼻マスクの内圧,患者の分時呼吸数,吸入酸素濃度,運転状況,および酸素飽和度の少なくとも1つを含む,遠隔監視方法。
【0065】(付記3) 付記1または2において,前記中継装置は,前記受信された治療データの閾値を有し,該閾値を上回るまたは下回る治療データを前記医師側端末装置に送信する,遠隔監視方法。
【0066】(付記4) 付記3において,前記中継装置が有する前記治療データの前記閾値は,前記医師側端末装置により前記通信ネットワークを介して設定される,遠隔監視方法。
【0067】(付記5) 付記1から4のいずれか1つにおいて,前記中継装置は,前記医師側端末からの前記治療データのダウンロード要求に応じて,前記治療データを前記医師側端末に前記通信ネットワークを介してダウンロードする,遠隔監視方法。
【0068】(付記6) 付記1から5のいずれか1つにおいて,前記陽圧式人工呼吸装置が,少なくとも陽圧の処方圧および単位時間当たりの呼吸数を含む処方値を設定可能に構成され,前記医師側端末装置は,前記通信ネットワークを介して前記前記陽圧式人工呼吸装置に前記処方値を設定する,遠隔監視方法。
【0069】(付記7) 付記1から6のいずれか1つにおいて,前記陽圧式人工呼吸補助装置が,患者の吸気時には相対的に高い陽圧,患者の呼気時には相対的に低い陽圧を送気する2相圧式のものである,遠隔監視方法。
【0070】(付記8) 陽圧の空気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者に送気して患者の呼吸を補助する陽圧式人工呼吸補助装置と,医師側端末装置とが無線または有線の通信ネットワークに接続され,該通信ネットワークを介して前記陽圧式人工呼吸補助装置の遠隔監視を行う遠隔監視方法であって,前記陽圧式人工呼吸補助装置は,該陽圧式人工呼吸補助装置を使用する患者の治療データを求め,前記求められた治療データの全部または一部を前記通信ネットワークを介して前記医師側端末装置に送信し,前記医師側端末装置は,前記医師側端末装置から送信された前記治療データの全部または一部を受信する,遠隔監視方法。
【0071】(付記9) 付記8において,前記治療データは,患者の換気量,該陽圧式人工呼吸補助装置の稼働時間,該陽圧式人工呼吸補助装置の鼻マスクからの空気漏れ量,鼻マスクの内圧,患者の分時呼吸数,吸入酸素濃度,運転状況,および酸素飽和度の少なくとも1つを含む,遠隔監視方法。
【0072】(付記10) 付記8または9において,前記陽圧式人工呼吸補助装置は,前記治療データの閾値を有し,該閾値を上回るまたは下回る治療データを前記医師側端末装置に送信する,遠隔監視方法。
【0073】(付記11) 付記10において,前記閾値は,前記医師側端末装置により前記通信ネットワークを介して設定される,遠隔監視方法。
【0074】(付記12) 付記8から11のいずれか1つにおいて,前記陽圧式人工呼吸補助装置は,前記医師側端末からの前記治療データのダウンロード要求に応じて,前記治療データを前記医師側端末に前記通信ネットワークを介してダウンロードする,遠隔監視方法。
【0075】(付記13) 付記8から12のいずれか1つにおいて,前記陽圧式人工呼吸装置が,少なくとも陽圧の処方圧および単位時間当たりの呼吸数を含む処方値を設定可能に構成され,前記医師側端末装置は,前記通信ネットワークを介して前記前記陽圧式人工呼吸装置に前記処方値を設定する,遠隔監視方法。
【0076】(付記14) 付記8から13のいずれか1つにおいて,前記陽圧式人工呼吸補助装置が,患者の吸気時には相対的に高い陽圧,患者の呼気時には相対的に低い陽圧を送気する2相圧式のものである,遠隔監視方法。
【0077】(付記15) 陽圧の空気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者に送気して患者の呼吸を補助する陽圧式人工呼吸補助装置の治療データ送信方法であって,該陽圧式人工呼吸補助装置を使用する患者の治療データを求め,前記求められた治療データを,該陽圧式人工呼吸補助装置に接続された通信ネットワークを介して送信する,治療データ送信方法。
【0078】(付記16) 陽圧の空気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者に送気して患者の呼吸を補助する陽圧式人工呼吸補助装置において,該陽圧式人工呼吸補助装置を使用する患者の治療データを求める治療データ算出手段と,前記治療データ算出手段により求められた治療データを記憶する記憶手段と,無線または有線の通信ネットワークに接続され,前記記憶手段に記憶された治療データを該通信ネットワークを介して送信する送信手段と,を備えていることを特徴とする陽圧式人工呼吸補助装置。
【0079】(付記17) コンピュータに,陽圧の空気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者に送気して患者の呼吸を補助する陽圧式人工呼吸補助装置を使用する患者の治療データを求める手順と,前記求められた治療データを,接続された通信ネットワークを介して送信する手順と,を実行させるためのプログラム。
【0080】(付記18) 患者に取り付けられ,陽圧の空気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者に送気して患者の呼吸を補助する陽圧式人工呼吸補助装置と,中継装置と,医師側端末装置とが無線または有線の通信ネットワークに接続された遠隔医療システムであって,前記陽圧式人工呼吸補助装置は,該陽圧式人工呼吸補助装置を使用する患者の治療データを求める治療データ算出手段と,前記治療データ算出手段により求められた治療データを記憶する第1の記憶手段と,前記治療データ算出手段により求められた治療データを前記通信ネットワークを介して前記中継装置に送信する第1の送信手段と,を備え,前記中継装置は,前記陽圧式人工呼吸補助装置から送信された前記治療データを前記通信ネットワークを介して受信する第1の受信手段と,前記第1の受信手段により受信された治療データを記憶する第2の記憶手段と,前記第1の受憶手段により受信された治療データの全部または一部を前記医師側端末装置に前記通信ネットワークを介して送信する第2の送信手段と,を備え,前記医師側端末装置は,前記中継装置から送信された前記治療データの全部または一部を受信する第2の受信手段を備えている,遠隔医療システム。
【0081】(付記19) 陽圧の空気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者に送気して患者の呼吸を補助する陽圧式人工呼吸補助装置と,医師側端末装置とが無線または有線の通信ネットワークに接続された遠隔医療システムであって,前記陽圧式人工呼吸補助装置は,該陽圧式人工呼吸補助装置を使用する患者の治療データを求める治療データ算出手段と,前記治療データ算出手段により求められた治療データを記憶する記憶手段と,前記治療データ算出手段により求められた治療データの全部または一部を前記通信ネットワークを介して前記医師側端末装置に送信する送信手段と,を備え,前記医師側端末装置は,前記陽圧式人工呼吸補助装置から送信された前記治療データの全部または一部を受信する受信手段を備えている,遠隔医療システム。
【0082】(付記20) 通信ネットワークに接続された中継装置であって,陽圧の空気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者に送気して患者の呼吸を補助する陽圧式人工呼吸補助装置から前記通信ネットワークを介して送信される治療データを受信する受信手段と,前記治療データの閾値を記憶する記憶手段と,前記受信手段により受信された治療データと,前記記憶手段に記憶された閾値とを比較し,該閾値を上回るまたは下回る治療データを,前記通信ネットワークに接続された医師側端末装置に送信する送信手段と,を備えている中継装置。
【0083】(付記21) 通信ネットワークに接続された中継装置が実行する治療データ中継方法であって,陽圧の空気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者に送気して患者の呼吸を補助する陽圧式人工呼吸補助装置から前記通信ネットワークを介して送信される治療データを受信し,前記受信された治療データと,該中継装置の記憶手段に記憶された閾値とを比較し,該閾値を上回るまたは下回る治療データを,前記通信ネットワークに接続された医師側端末装置に送信する,治療データ中継方法。
【0084】(付記22) 通信ネットワークに接続されたコンピュータに,陽圧の空気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者に送気して患者の呼吸を補助する陽圧式人工呼吸補助装置から前記通信ネットワークを介して送信される治療データを受信する手順と,前記受信された治療データと,該コンピュータの記憶手段に記憶された閾値とを比較し,該閾値を上回るまたは下回る治療データを,前記通信ネットワークに接続された医師側端末装置に送信する手順と,を実行させるためのプログラム。
【0085】
【発明の効果】本発明によると,陽圧式人工呼吸補助装置の使用時における患者の状態または陽圧式人工呼吸補助装置の状態を遠隔監視することができる。
【出願人】 【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
【出願日】 平成13年3月29日(2001.3.29)
【代理人】 【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳 (外1名)
【公開番号】 特開2002−291889(P2002−291889A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−96730(P2001−96730)