トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 医療用チューブ
【発明者】 【氏名】垣本 義和

【氏名】白濱 憲昭

【氏名】川野 幸博

【要約】 【課題】原材料の使用量を大幅に削減でき柔軟性および耐キンク性に優れ、血液回路、輸血・輸液セット、輸液バッグ、血液バッグ等の医療用具の構成部材として医療現場で好適に使用することができる医療用チューブを提供すること。

【解決手段】チューブ部2の外周に複数のリブ状補強部3を配置した医療用チューブ1。前記リブ状補強部3はチューブ部2の外周上に均等な間隔Dで配置し、また前記リブ状補強部3はチューブ部2の外周面積OS2に対して外周面積OS3の占有率を25%以上に形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】チューブ部2の外周に複数のリブ状補強部3を配置したことを特徴とする医療用チューブ1。
【請求項2】前記リブ状補強部3をチューブ部2の外周上に均等な間隔Dで配置したことを特徴とする請求項1に記載の医療用チューブ1。
【請求項3】チューブ部2の外周面積OS2に対して、前記リブ状補強部3の外周面積OS3の占有率を25%以上に形成したことを特徴とする請求項1から2に記載の医療用チューブ1。
【請求項4】前記リブ状補強部3の配置間隔D3を該リブ状補強部3の幅W3の100%から300%に形成した、ことを特徴とする請求項1から3に記載の医療用チューブ1。
【請求項5】前記リブ状補強部3の高さH3を、チューブ部2の厚みT2の120%以下に形成した、ことを特徴とする請求項1から4に記載の医療用チューブ1。
【請求項6】前記リブ状補強部3の幅W3を、チューブ部2の厚みT2の80%から200%に形成した、ことを特徴とする請求項1から5に記載の医療用チューブ1。
【請求項7】医療用チューブ1の断面積Sに対して、前記リブ状補強部3の断面積S3の占有率を、10%から30%に形成した、ことを特徴とする請求項1から6に記載の医療用チューブ1。
【請求項8】前記リブ状補強部3を前記チューブ部2の外周に8本から16本形成した、ことを特徴とする請求項1から7に記載の医療用チューブ1。
【請求項9】前記チューブ部2をリブ状補強部3を含まない内層4とリブ状補強部3を含む外層5より形成し、前記内層4と外層5をそれぞれ硬度の異なる材料により形成した、ことを特徴とする請求項1から8に記載の医療用チューブ1。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原材料の使用量を大幅に削減でき柔軟性および耐キンク性に優れた医療用チューブの改良に関する。本発明の医療用チューブとは、血液回路、輸血・輸液セット、輸液バッグ、血液バッグ等の医療用具の構成部材として使用される。
【0002】
【従来技術および発明が解決しようとする課題】現在医療現場ではさまざまな規格のチューブが使用されており、これらのチューブを含む医療用具は安全面の観点より基本的に1度使用限りのの使い捨てである。これらの製品は一般に使用後回収し焼却処分される。例えば血液回路では軟質塩ビが使用されているがこの塩ビは焼却によりダイオキシンが発生することが指摘されている。したがって環境保全や資源の有効利用を図るため材料使用量の削減することが推奨されている。また近年脱塩ビの観点よりポリ塩化ビニルを含まない材料からなる医療用チューブに関わる発明が各社より行われている。ポリ塩化ビニルの代替材料としてポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブタジエン等の材料が使用されているが、これらの材料は一般にポリ塩化ビニルと比較して材料コストが高く、さらにこれらの材料で作ったチューブは柔軟性はあるがキンクしやすいという問題を抱えている。そこで本発明は材料使用量を従来の30%から50%まで削減し、なおかつ従来製品と同等の耐キンク性を示す医療用チューブについて鋭意検討を重ねた結果、次の発明に到達した。
【0003】
【課題を解決するための手段】[1]本発明は、チューブ部2の外周に複数のリブ状補強部3を配置した医療用チューブ1を提供する。
[2]本発明は、前記リブ状補強部3をチューブ部2の外周上に均等な間隔Dで配置した[1]に記載の医療用チューブ1を提供する。
[3]本発明は、チューブ部2の外周面積OS2に対して、前記リブ状補強部3の外周面積OS3の占有率を25%以上に形成した[1]から[2]に記載の医療用チューブ1を提供する。
[4]本発明は、前記リブ状補強部3の配置間隔D3を該リブ状補強部3の幅W3の100%から300%に形成した[1]から[3]に記載の医療用チューブ1を提供する。
[5]本発明は、前記リブ状補強部3の高さH3を、チューブ部2の厚みT2の120%以下に形成した[1]から[4]に記載の医療用チューブ1を提供する。
[6]本発明は、前記リブ状補強部3の幅W3を、チューブ部2の厚みT2の80%から200%に形成した[1]から[5]に記載の医療用チューブ1を提供する。
[7]本発明は、医療用チューブ1の断面積Sに対して、前記リブ状補強部3の断面積S3の占有率を、10%から30%に形成した[1]から[6]に記載の医療用チューブ1を提供する。
[8]本発明は、前記リブ状補強部3を前記チューブ部2の外周に8本から16本形成した[1]から[7]に記載の医療用チューブ1を提供する。
[9]本発明は、前記チューブ部2をリブ状補強部3を含まない内層4とリブ状補強部3を含む外層5より形成し、前記内層4と外層5をそれぞれ硬度の異なる材料により形成した[1]から[8]に記載の医療用チューブ1を提供する。
【0004】
【発明実施の形態】図1は本発明の医療用チューブ1の一例を示す概略図で、図2(A)は図1の断面図であり、図2(B)は比較例としての従来の医療用チューブ11の断面図である。図2(A)において、それぞれ、a(ID1)は、医療用チューブ1の内径、b(OD2)は、チューブ部2の外径、c(OD1)は、医療用チューブ1(リブ状補強部3含む)の外径、d(W3)は、リブ状補強部3の幅、e(T2)は、チューブ部2の厚み、f(H3)は、リブ状補強部3の高さ、g(D3)は、リブ状補強部3の間隔、(T4)は、内層4の厚み、(T5)は、外層5(リブ状補強部3含まない)の厚みである。なお本発明で、リブ状補強部3の幅W3とは、該リブ状補強部3断面で一番幅の広い部分を意味する。またリブ状補強部3の高さHとは、該リブ状補強部3の底部から頂部までの距離を意味する。また本発明では、医療用チューブ1の断面積を(S1)、チューブ部2の外周面積を(OS2)、リブ状補強部3の断面積を(S3)、リブ状補強部3の外周面積を(OS3)の符号で表記する。本発明の医療用チューブ1はチューブ部2とその長さ方向の外周に均等な間隔Dで配置した複数本のリブ状の補強部3から構成されている。リブ状の補強部3は、図1のようにチューブ部2の長さ方向に連続して形成しても良いし不連続に間隔をあけて形成しても良い。本発明の医療用チューブ1は、内径ID1とリブ状補強部3を含めた同チューブ1の外径OD1を従来医療現場で使用されている血液回路もしくは輸液セットの標準的なチューブと同じ内径、外径とすることで、リブ状補強部3を含めない実質的なチューブ部2の厚みT2を従来のチューブと比較して例えば50%から30%以下に成形しても外周に配置したリブ状補強部3により、充分な耐キンク性をチューブに持たせることができる。また図2(A)(B)に示すように本発明の医療用チューブ1の断面積Sは従来の標準的なチューブ12と比較すると少なくなり、医療現場で使用されるチューブ材料の使用量を70%から50%に削減できる。
【0005】本発明の医療用チューブ1に使用されるリブ状補強部3の断面方向の形状は例えば図3に示す(a)三角形、(b)四角形(矩形、正方形の双方を含む)、(c)半円状、(d)円形等様々な形に形成することができる。リブ状補強部3の断面方向の形状を図3(d)のように円形等に形成する場合は、医療用チューブ1の断面は図4及び図5のように形成することができる。図4はチューブ部2(外層5)外周に直接、円形のリブ状補強部3を装着したもので、図5はチューブ部2(外層5)外周に細径部を介して、円形のリブ状補強部3を装着したものである。また前記リブ状補強部3をチューブ部2の外周上に均等な間隔D3で配置するのが好ましい。またチューブ部2の外周面積OS2に対して、前記リブ状補強部3の外周面積OS3の占有率を25%以上に形成するのが良い。25%未満ではチューブ部2の厚みT2を薄くしているために充分な強度が得られず、さらに耐キンク性が弱くキンク発生半径が20mmを超えるため実使用に耐えない。また前記リブ状補強部3の配置間隔D3該リブ状補強部3の幅W3の100%から300%に形成するのが良い。配置間隔が300%を超えるとリブ状補強部3の補強効果が低く、耐キンク性が劣る。100%未満ではリブ状補強部が密になることから、医療用チューブ1が剛直になり柔軟性が劣る。また前記リブ状補強部3の高さH3を、チューブ部2の厚みT2の120%以下(またはリブ状補強部3の高さH3とチューブ部2の厚みT2を含めた医療用チューブ1の厚みの60%以下)に形成するのが良い。120%(60%)を超えるとリブ状補強部3に対し、チューブ部2の強度が弱くキンク性、柔軟性に劣る。
【0006】また前記リブ状補強部3の幅W3はリブ状補強部3を含まないチューブ部2の厚みT2の80%以上から200%以下が望ましい。80%未満ではチューブ部2の変形、キンクをリブ状補強部3で保持できずキンク発生半径が20mmを超えるため実使用に耐えない。またチューブのこしも得られない。200%を超えるとチューブが剛直に成り、柔軟性が低下する場合がある。また医療用チューブ1の断面積Sに対して、前記リブ状補強部3の断面積S3の占有率を、10%から30%に形成するのが良い。10%未満ではリブ状補強部3の補強効果が低く、耐キンク性が劣る。30%を超えるとチューブ部2そのものが剛直になり柔軟性が低下する。また前記リブ状補強部3の配置本数は8本以上から16本以下が望ましい。8本未満だと、リブ状補強部3を配置されていない面が広く、16本以上だとリブ状補強部3がチューブ外周に密になり、チューブが剛直となる。
【0007】また本発明の医療用チューブ1は前記チューブ部2をリブ状補強部3を含まない内層4とリブ状補強部3を含む外層5より形成し、前記内層4と外層5をそれぞれ硬度の異なる材料により形成することができる。すなわち接液面となる内層4とリブ状補強部3を含めた外層5にそれぞれ硬さと柔軟性(硬度)の異なる材料を用いることで、リブ状補強部3を含めないチューブ部2の厚みT2を薄くしても強度と柔軟性をチューブに持たせることができる。そしてこの内層4の材料は軟質プラスチック(または可とう性合成樹脂ともいう)で医療用に適するものであればなんでも良い。リブ状補強部3を含めたチューブ外層5の物性を含めた医療用チューブ1の硬度(弾性力)を考慮して決めることができる。またリブ状補強部3を含めたチューブ外層5の材料は硬質、半硬質又は軟質プラスチック(または可とう性合成樹脂ともいう)で医療用に適するものであればなんでも良い。チューブ内層4の物性を含めた医療用チューブ1の硬度(弾性力)を考慮して決めることができる。またリブ状補強部3を含めないチューブ外層5の厚みT5とチューブ内層4の厚みT4の比率もチューブ内外層の物性を含めた医療用チューブ1の硬度を考慮して決めることができる。
【0008】
【実施例】表1(実施例1〜4・比較例1〜5)に示すサイズ、本数のリブ状補強部3に対応する四角形の溝7を彫り込んだ図6に示すアウターダイス6を作製した。リブ状補強部3の形状は四角形にした。(四角形に形成する場合、リブ状補強部3間のスペースに対応する四角形のリブ7Aを突設した図7に示すアウターダイス6Aも使用することができる。)インナーダイスは従来の一般的な物を用いる。2層チューブ用押出し金型にそれぞれを取り付け、(a)内層4材料のポリエチレン樹脂と(b)外層5材料のエチレンメチルアクリレート樹脂をそれぞれ使用して50mm単軸押出し機を用いて定法により押し出し、本発明の医療用チューブ1を作製した。また比較例1の成形には、リブ状補強部3の彫り込みのない一般的なアウターダイスを用いた。本発明で使用した内層4材料(a)と外層5材料(b)は以下の通りである。
(a)内層4材料はポリエチレン樹脂 ZF231(JPO社製)
硬さ:(デューロメーターD)31(b)外層5材料はエチレンメチルアクリレート樹脂 SP2202(イーストマンケミカル社製)
硬さ:(デューロメーターD)40本発明の医療用チューブ1のリブ状補強部3を含めた外径寸法は5.0mmのものを作製した。また内層4とリブ状補強部3を含まない外層5を合わせたチューブ部2の厚みT2と、各層それぞれの厚みT4、T5の比率は以下の物を用いた。
(a)チューブ部2の厚みT2は0.4〜0.5mm(a)チューブ部2の内層4の厚みT4はチューブ部2の厚みT2の50%(b)リブ状補強部3を含まないチューブ部2の外層5の厚みT5はチューブ部2の厚みT2の50%【0009】
【表1】

【0010】
【表2】

【0011】(1)重量削減率の算出本発明の医療用チューブ1のリブ状補強部3を含めた外径(OD1)寸法は6.0mm、チューブ部2内径(ID1)寸法は4.0mmのものを作製した。外径寸法6.0mm、内径寸法4.0mmのリブ状補強部3のない一般的な形状のチューブ(比較例1)1mの重量を基準(100%)とし、同じ長さのリブ状補強部3付きチューブの重量を測定して重量削減率を算出した。表2に測定結果を示す。リブ状補強部3の幅W3が1.0mm以下(幅W3がチューブ部2の厚みT2の80%から200%の範囲内)かつリブの配置数が16本以下の実施例1から5と比較例2、3、4と7は重量削減率が30%以上となり充分効用が認められる。これに対してリブ状補強部3の幅Wが1.0mmを越える比較例6(幅W3がチューブ部2の厚みT2の200%を超える、すなわち220%)とリブ状補強部3の配置数が18本の比較例5は重量削減率が30%以下となり効用は低い。また一般的なチューブ用アウターダイスを用いた比較例1では重量削減は無い。
【0012】(2)キンク発生半径の確認20cm長のチューブの両端を治具に固定し、徐々に治具の間隔を狭めていきチューブの折れ曲がりが発生したところの寸法を取り、曲率半径を算出した。半径20mmを実使用に耐える基準とした。表2に測定結果を示す。リブ状補強部3の幅Wが0.4mm以上(幅W3がチューブ部2の厚みT2の80%から200%の範囲内)かつリブの配置数が8本以上、チューブ部2の厚みT2が0.4mm以上(幅W3がチューブ部2の厚みT2の80%から200%の範囲内)の実施例1から5は曲率半径が20mm以下となり、実使用に耐える充分な耐キンク性を示す。これに対してリブのチューブ部2の外周上にリブ状補強部3の占有率が25%以下で、配置数が7本の比較例2とリブ状補強部3の幅Wが0.3mmの比較例3(幅W3がチューブ部2の厚みT2の80%未満、すなわち60%)は、曲率半径が20mm以上でキンクを示し、実使用に耐えない。またチューブ部12の厚みT12を0.3mmと薄くしすぎた比較例4とリブ状補強部3の配置間隔を不均一とした比較例7も曲率半径が20mm以上でキンクを示し、実使用に耐えない。
【0013】(3)柔軟性の確認図8に示すように20cm長の医療用チューブ1片端を治具8に水平に固定し、標線から10cmの位置に10グラムの鉄球をぶら下げる。同チューブ1先端が重りにより下方に曲がった値を柔軟性の基準とした。このときの値、1cmから4cmを剛直、4cmから7cmを好適な柔軟性、7cmから10cmをこしが無いと判断した。表2に測定結果を示す。医療用チューブ1の断面積S1に対してリブ状補強部3の断面積S3の占有率が10%以上から30%の実施例1から5と比較例2、5、6は好適な柔軟性を示した。これに対して占有率が7%の比較例3はチューブとしてこしが無く、占有率が30%を越える比較例1、4は剛直な性質を示した。またリブ3の配置間隔D3がリブ状補強部3の幅W3の100%以下で、リブ状補強部3の配置数が16本を越える比較例5とリブ状補強部3の幅W3が、チューブ部2の厚みT2の200%を越える比較例6も剛直な性質を示した。
【0014】以上の実施例により、本発明の医療用チューブ1は、例えば内径4mm、チューブ部2の厚みT2を0.4mmから0.5mmに設計した際に、チューブ部2の外周部に幅W3が0.4mmから1.0mmでかつ本数8本から16本のリブ状の補強部3を配置することで、従来の一般的な医療用チューブ11と比較して30%から50%の材料使用量を削減可能でありさらに従来の医療用チューブ11と同等の耐キンク性を示すことにより医療現場で好適に使用できることが確認できた。
【0015】
【発明の作用効果】本発明の医療用チューブ1は、原材料の使用量を大幅に削減でき柔軟性および耐キンク性に優れているため、血液回路、輸血・輸液セット、輸液バッグ、血液バッグ等の医療用具の構成部材として医療現場で好適に使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000200035
【氏名又は名称】川澄化学工業株式会社
【出願日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−291880(P2002−291880A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−98487(P2001−98487)