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【発明の名称】 在宅治療管理システム
【発明者】 【氏名】宮田 敏男

【要約】 【課題】

【解決手段】処置機器と、地域診療施設、中央管理施設、それらを結ぶ情報通信網からなる在宅治療管理システムであって、投薬手段、症状を検出する検出手段、一次記憶手段、送受信手段、設定変更手段、評価パラメータ算出手段、治療監視手段を備え、家庭に設置可能な処置機器、中継送受信手段、二次記憶手段、医療機器、入出力端末を備えた地域診療施設、送受信手段、評価パラメータ算出手段と、個人情報データベース、疾病情報データベース、容態判定エクスパートサブシステム、対処プログラム作成サブシステム、対処プログラム承認手段を備えた在宅治療管理システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 処置機器と、地域診療施設と、中央管理施設と、それらを結ぶ情報通信網とからなる在宅治療管理システムであって、指示された条件で患者に薬剤を投与する投薬手段、投薬時の症状を検出する検出手段、検出データを時系列的に指示された処置条件とともに格納する一次記憶手段、格納された検出データを送信するとともに、地域診療施設等からの指示情報等を受信する送受信手段、地域診療施設からの指示情報に基づき投薬手段等の設定を変更する設定変更手段、一次記憶手段に格納された各種検出データに基づき治療状況を評価する評価パラメータを算出する評価パラメータ算出手段、評価パラメータが所定の範囲内にあるか否かを判定し、範囲外となったときに警報等を発する治療監視手段とを少なくとも備えた、家庭に設置可能な処置機器、前記地域診療施設は、前記処置機器と無線乃至一般公衆回線等を介して常時乃至随時に接続される一方、常時高速通信網に接続し、受信した各種検出データ情報を中央管理設備へ受け渡すとともに中央管理施設からの指示情報データ等を各患者の透析機器へと受け渡す中継送受信手段、各処置機器乃至中央管理施設から受信した情報を各個人別に整理格納する二次記憶手段と、患者の診断を行うための医療機器等を少なくとも備えたものであって、該医療機器には、所見を前記二次記憶手段に追格納することができるとともに、前記中継送受信手段を介して、該所見情報を各患者の透析機器乃至中央管理施設へ送信したり、中央管理施設に格納されている各種情報を閲覧したりすることができる入出力端末が設けられたものであり、さらに、前記中央管理施設は、高速通信網を介して前記地域診療施設との間で情報を送受信する送受信手段と、該受信情報に基づき評価パラメータ等を算出する評価パラメータ算出手段と、該算出データを含む個人の検査情報を過去の処置履歴および所見等に関する診療情報とともに整理格納する個人情報データベースと、所定の疾病に関する情報を蓄積した疾病情報データベース、これらデータベースから引き出された所要の個人情報及び疾病情報に基づき患者の容態を判定する容態判定エクスパートサブシステム、判定結果に基づき今後の対処プログラムを作成する対処プログラム作成サブシステム、該対処プログラムを承認権者の端末に対し出力し、該権者から承認入力が得られたときに該対処プログラムを決定し、個人情報データベースの処置履歴に追記するとともに該決定された対処プログラムに従って関係機器等に対する所要の指令を出力する対処プログラム承認手段とを少なくとも備えたものであることを特徴とする在宅治療管理システム。
【請求項2】 腹膜透析機器と、地域診療施設と、中央管理施設と、それらを結ぶ情報通信網とからなる在宅腹膜透析治療管理システムであって、前記腹膜透析機器は、家庭に設置可能なものであって、指示された条件で透析液を注入し、所定時間経過後排出する機能を有する透析液給排手段と、腹腔から排出された排液量を検出する排液量検出手段、排液中の各種成分の濃度を検出する濃度検出手段、患者に関するパーソナルデータを入力したり、必要とする各種情報を閲覧したりすることができる入出力端末、前記各種検出データやパーソナルデータを透析液給排データとともに格納する一次記憶手段、格納されたデータを地域診療施設等に送信するとともに地域診療施設等からの指示情報等を受信する送受信手段、地域診療施設からの指示情報に基づき透析液給排手段等の設定を変更する設定変更手段、前記一次記憶手段に格納された各種検出データに基づき評価パラメータを算出する評価パラメータ算出手段、各評価パラメータが所定の範囲内にあるか否かを判定し、範囲外となったときに警報等を発する透析監視手段とを少なくとも備えたものであり、前記地域診療施設は、前記各透析機器と無線乃至一般公衆回線等を介して常時乃至随時に接続される一方、常時高速通信網に接続し、受信した各種検出データ情報を中央管理設備へ受け渡すとともに中央管理施設からの指示情報データ等を各患者の透析機器へと受け渡す中継送受信手段、各透析機器乃至中央管理施設から受信した情報を各個人別に整理格納する二次記憶手段と、患者の検診を行うことができる医療機器等を備えたものであって、該医療機器には、所見を前記二次記憶手段に追格納することができるとともに、前記中継送受信手段を介して、該所見情報を各患者の透析機器乃至中央管理施設へ送信したり、中央管理施設に格納されている各種情報を閲覧したりすることができる入出力端末が設けられたものであり、さらに、前記中央管理施設は、高速通信網を介して前記地域診療施設との間で情報を送受信する送受信手段と、該受信情報に基づき評価パラメータ等を算出する評価パラメータ算出手段と、該算出データを含む個人の検査情報を過去の処置履歴および所見等に関する診療情報とともに整理格納する個人情報データベースと、腎不全等の所定の疾病に関する情報を蓄積した疾病情報データベース、これらデータベースから引き出された所要の個人情報及び疾病情報に基づき患者の容態を判定する容態判定エクスパートサブシステム、判定結果に基づき今後の対処プログラムを作成する対処プログラム作成サブシステム、該対処プログラムを承認権者の端末に対し出力し、該権者から承認入力が得られたときに該対処プログラムを決定し、個人情報データベースの処置履歴に追記するとともに該決定された対処プログラムに従って関係機器等に対する所要の指令を出力する対処プログラム承認手段とを少なくとも備えたものであることを特徴とする在宅腹膜透析治療管理システム。
【請求項3】 前記排液について検査される項目には、尿素窒素(UN),クレアチニン(Creat),グルコース(Glu)、白血球数(WBC count)のうちの少なくとも1種以上が含まれることを特徴とする請求項2記載の在宅腹膜透析治療管理システム。
【請求項4】 尿検査手段をさらに備え、該尿検査手段は、尿量及び尿中の尿素窒素(UN),クレアチニン(Creat)のうち少なくとも1種以上の項目が検査されるものである請求項2または3記載の在宅腹膜透析治療管理システム。
【請求項5】 血液検査手段をさらに備え、白血球数(WBC count),ヘモグロビン(Hb),血小板(Plt),ヘマトクット(Hct),リン(iP),カルシウム(Ca),ナトリウム(Na),カリウム(K),クロール(Cl),血糖(BS),アルブミン(Alb),血清尿素窒素(BUN),クレアチニン(Creat),尿酸(UA)のうち少なくとも1種以上の項目を検査するものである請求項2〜4何れか1項記載の在宅腹膜透析治療管理システム。
【請求項6】 各透析機器の入出力端末より入力されるパーソナルデータには、血圧、使用透析液グルコース濃度、尿量、体重、身長等のデータのうち少なくとも1つ以上の項目が含まれることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項記載の在宅腹膜透析治療管理システム。
【請求項7】 排液と尿については、クレアチニン(Creat)及び尿素窒素(UN)の項目を必ず検査することを特徴とする請求項3〜6の何れか1項記載の在宅腹膜透析治療管理システム。
【請求項8】 前記評価パラメータ算出手段における評価パラメータは、透析量パラメータ(weekly Ccr,weekly Kt/V)、除水量(D/D0(4hr値),2.5%グルコース液使用における除水量),カルシウムリン積及び排液白血球数(WBC)であって、それぞれ、下記の(1)〜(5)式によって算出されるものであり、各評価パラメータの値が、それぞれ60L以下、2.0以下、0.2以下、400ml以下、55以下、100/μl以上の範囲を逸脱したときに警報を発する透析監視手段であることを特徴とする請求項6、7の何れか1項記載の在宅腹膜透析治療管理システム。
(1)weeklyCcr=7*{((尿のCreat濃度*尿量/血清クレアチニン+尿のUN*尿量/血清UN)/2+Σ排液中Creat濃度*排液量/血清クレアチニン濃度)}*1.73/0.007184*体重(kg)0.425*身長(cm)0.725(2)weekly Kt/V =7*(尿の尿素濃度+Σ排液中UN*排液量/血清UN)/A or BA:男性=2.447+0.3362*体重(kg)+0.1074*身長(cm)-0.09516*年齢(才)
B:女性=-2.097+0.2466*体重(kg)+0.1069*身長(cm)(3)除水量D/D0(4hr)=4hr後排液中グルコース濃度/使用透析液グルコース濃度(4)4%グルコース液4時間使用による除水量=排液バッグ重量−透析液貯留バッグ重量(5)カルシウムリン積={(4-Alb)+2Ca(mg/dl)}*iP(if Alb≦4.0),or{Alb+2Ca(mg/dl)}*iP (if Alb>4.0)【請求項9】 指示された条件で透析液を注入し、所定時間経過後排出する機能を有する透析液給排手段と、腹腔から排出された排液量を検出する排液量検出手段、排液中の各種成分の濃度を検出する濃度検出手段、各種成分濃度データを透析液給排データとともに一時的に格納する一次記憶手段、格納されたデータを送信する送信手段、地域診療施設からの指示情報の表示乃至指示情報に基づき透析液給排手段等の設定を変更する設定変更手段、前記データに基づき評価パラメータを算出する評価パラメータ算出手段、各評価パラメータが所定の範囲内にあるか否かを判定し、範囲外となったときに警報を発する透析監視手段とを少なくとも備えた、家庭に設置可能な腹膜透析機器。
【請求項10】 前記排液について検査される項目には、尿素窒素(UN),クレアチニン(Creat),グルコース濃度(Glu)、白血球数(WBC count)のうちの少なくとも1種以上が含まれることを特徴とする請求項9記載の腹膜透析機器。
【請求項11】 尿検査手段をさらに備え、該尿検査手段は、尿量及び尿中の尿素窒素(UN),クレアチニン(Creat)のうち少なくとも1種以上の項目が検査されるものである請求項9または10記載の腹膜透析機器。
【請求項12】 血液検査手段をさらに備え、白血球数(WBC count),ヘモグロビン(Hb),血小板(Plt),ヘマトクット(Hct),リン(iP),カルシウム(Ca),ナトリウム(Na),カリウム(K),クロール(Cl),血糖(BS),アルブミン(Alb),血清尿素窒素(BUN),クレアチニン(Creat),尿酸(UA)のうち少なくとも1種以上の項目を検査するものである請求項9〜11何れか1項記載の腹膜透析機器。
【請求項13】 各透析機器の入出力端末より入力されるパーソナルデータには、血圧、使用透析液グルコース濃度、尿量、体重、身長等のデータのうち少なくとも1つ以上の項目が含まれることを特徴とする請求項9〜12の何れか1項記載の腹膜透析機器。
【請求項14】 中央管理設備には、各患者の定期検診乃至臨時検診スケジュール及び担当医の要移動時間に応じて、各担当医の当番地域診療施設を決定する担当医割り当てサブシステムをさらに備えることを特徴とする請求項2〜8の何れか1項記載の在宅腹膜透析治療管理システム。
【請求項15】 前記容態判定エクスパートサブシステム及び処置方針策定エクスパートサブシステムにより、要精密検査、要血液透析乃至要入院治療等の処置方針が出力され、承認権者により承認決定の入力がなされたときには、地域検診施設乃至専門研究施設又は近隣の地域透析病院に対し、精密検査又は血液透析乃至入院等の所要の予約を行う予約管理サブシステムをさらに備えることを特徴とする請求項2〜8及び14の何れか1項記載の在宅腹膜透析治療管理システム。
【請求項16】 地域検診施設には、対処プログラムにより指定された透析液を各患者宅に配送するとともに精密分析の必要が生じた際に排液、尿等の検体を各患者宅に収集に向かい、該収集した検体を、高速度交通機関を含む輸送手段により大学等の専門研究機関に配送する等の物流スケジュールを管理する物流管理サブシステムをさらに備えることを特徴とする請求項2〜8、14及び15の何れか1項記載の在宅腹膜透析治療管理システム。
【請求項17】 中央管理施設には、各透析機器、各地域診療施設及びその他関係機器の記憶手段に定期的乃至不定期にアクセスを行い、中央管理施設の個人情報データベースの記憶情報に対応する情報を呼び出し、記憶内容の照合を行い、全てが一致しない場合には、最新の情報を基準として一致していない情報を更新させる機能を有する記憶内容同調サブシステムをさらに備えるものであることを特徴とする請求項2〜8、14〜16の何れか1項記載の在宅腹膜透析治療管理システム。
【請求項18】 前記腹膜透析は連続的腹膜透析(CAPD)であることを特徴とする請求項2〜8、および14〜17の何れか1項記載の在宅腹膜透析治療管理システム。
【請求項19】 前記腹膜透析は連続的腹膜透析(CAPD)であることを特徴とする請求項9〜13の何れか1項記載の腹膜透析機器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本件発明は、在宅による治療管理システムに関し、特に、在宅による腹膜透析(PD:peritoneal dialysis)管理システムに関する。
【0002】ここで、現在行われている腹膜透析は、手動で行われる連続的腹膜透析(CAPD)法と、機械を併用する持続サイクル腹膜透析(CCPD)法及び夜間間歇的腹膜透析(NIPD)法とに大別されるが、本件発明は、その何れの透析法にも適用可能な腹膜透析管理システムである。さらに、在宅による腹膜透析と通院による定期診断、容態急変時の救急体制の一元的管理システムに関する。
【0003】
【従来技術】慢性腎不全患者は、通常週3回、1回4時間程度の血液透析を受けることを要する。この血液透析においては、体外循環した患者血液と透析液とをダイアライザ(dialyzer)と呼ばれる透析器において、膜を介して物質交換させることにより不要溶質の除去・必要溶質の補給、不要水分の除水が行われる。ところが、血液透析を施行するためには、透析液供給システム、患者監視モニターシステム等の大規模設備を要することから、血液透析治療を受けるためには、通院が不可避であり、しかも、その頻度と透析に要する時間から、患者にとって、相当の負担となっている。
【0004】一方、透析治療法には、前述の血液透析法のほか、腹膜透析法も知られている。この腹膜透析法は、生体膜である患者自身の腹膜を透析膜として利用し、腹腔内に透析液を一定時間滞留させて、一定時間貯留後排液する過程を通じ、浸透圧によって、尿素、クレアチニン、尿酸などの低分子代謝物等の血液中老廃物を透析液中に浸出させるなど、不要溶質の除去・必要溶質の補給、不要水分の除水を行う治療法である。
【0005】この腹膜透析法は、血液透析のような大規模設備を要しないことから、在宅による透析治療を可能にする。特に、連続的腹膜透析(CAPD)は、1回4〜8時間の貯液を1日3〜4回行い、これを連続的に施行する緩徐な治療法であることから、患者に対する負担や危険が少なく、しかも、シャントを必要としないことから、透析困難症やブラッドアクセスに問題のある患者にも有効であり、一層の普及が待たれるところである。
【0006】このように、腹膜透析(PD)は血液透析に比し時間的・肉体的負担が少なく、更なる長所として腎不全患者の残存腎機能保持に優れていることが挙げられる。このため、腹膜透析療法は、保存期腎不全療法として理想的と思われる。また、近年の透析患者の高齢化(過半数が60歳以上)を考えると、通院よりも安心できる在宅療法の確立が望まれており、在宅の腹膜透析(PD)の普及が期待されている。
【0007】しかしながら、我が国における末期腎不全透析患者は現在20万人に上り、年間1万人以上のペースで増加の一途をたどっているにもかかわらず、腹膜透析(PD)を受けている患者は、全体の5%に過ぎず(しかも、このうち70%は大学、大手市中病院等であり、一般病院への普及率は極めて低い)、血液透析のそれに比較するとその割合はまだまだ低いのが現状である。これは、専門知識のない患者自身による在宅透析治療を行うに足る、簡便・安全な腹膜透析(PD)機器が提供されていないことに加えて、それをサポートする社会資本が整備されていないことに起因するように思われる。
【0008】例えば、特開平6−154314号公報には、在宅治療を行うことに好適で、安全確実に透析治療を行うことができる自動腹膜透析装置が開示されているものの、透析液の注入、排出といった1回1回の透析過程を自動で行う装置に過ぎず、長期に亙って透析治療を続けるに足る十分な装置であるとはいいがたい。
【0009】一方、特開2000−194789号公報には、在宅患者等にとって最適で迅速なアドバイスが得られえるように、在宅患者等から医師等への情報伝達システムと在宅患者等の情報を共有するシステムを連携させた24時間在宅医療介護支援システムが開示されているものの、在宅治療を想定したものではない単なる在宅介護システムに過ぎず、かかるシステムの応用によって、在宅による透析治療が可能になるものではない。
【0010】以上のとおり、安全、簡便、かつ長期に在宅による透析治療を希望する患者にとって、前記既存の透析装置及び支援システムは、到底満足できるものではないように、適切な危機管理に優れた専門的な腹膜透析(PD)療法を行うため、患者の状態をリアルタイムで把握・管理し、適切な指針を提示する有用なシステムは、現状では存在しておらず、新システムの構築が望まれている。
【0011】上述のようなスタンドアローンの個々の治療技術や汎用的な在宅介護システムではなく、在宅治療機器、地域診療所、地域透析病院、大学等の専門研究機関を統合して、充実した在宅治療を支援する社会システムが不可欠である。このような在宅にて透析治療が受けられる腹膜透析療法を安全に受けることができる体制が整えば、腎不全患者を始めとして糖尿病患者など、在宅による治療を必要とする慢性疾患患者にとって治療に伴う負担が軽減され、福音となることは間違いない。
【0012】加えて、腹膜透析の長期継続による腹膜の形態学的及び機能的変化の進行(例えば、血管増殖、血管透過性の亢進)は、除水機能不全等を招き、血液透析への移行を余儀なくされることから、腹膜透析は一時的な治療法と考えられてきたが、本件発明者らによる研究により、その原因が解明されつつあり、しかも、腹膜の形態学的及び機能的変化の進行を有効に阻害する方法も確立しつつある。
【0013】したがって、これら技術が確立された暁には、腹膜透析(PD)は、一時的な治療法の域を脱し、長期・永続的な治療法として地位を得る公算が高いことから、腹膜透析法の利用者の急速な拡大が見込まれ、かかる腹膜透析法利用者の拡大に対処する社会資本の整備は、焦眉の急を要する喫緊の課題となりつつあるものと確信する。
【0014】
【解決すべき技術的課題】前述のとおり、腹膜透析(PD)療法は、血液透析の前記ダイアライザ等とは異なり、透析機材のコンパクト化が可能であって、その操作も簡便であることから、多少の訓練により患者自身が在宅にて透析を行うことも十分可能である。
【0015】しかしその一方で、在宅による透析治療の場合、感染症やカテーテル中の目詰まり等の不慮の事態が発生することや、経時的な腹膜状態の変動によって、使用する透析液濃度を初めとして種々の透析条件を変更する必要が生じるなど、患者本人だけでは対処しきれない事態に直面することが少なくない。
【0016】このような腹膜透析を巡る現状を踏まえ、本件発明は、担当医、地域透析病院等とも連携しつつ、かかる異常事態にも対処でき、簡便、安全に在宅による透析治療を長期に亙って可能とするための腹膜透析治療の一元的管理体制に代表される、汎用在宅管理システムを提供することにある。
【0017】
【課題を解決すべき手段】本件発明に係るシステムの概要は、処置機器と、地域診療施設と、中央管理施設と、それらを結ぶ情報通信網とからなる在宅治療管理システムであって、指示された条件で患者に薬剤を投与する投薬手段、投薬時の症状を検出する検出手段、検出データを時系列的に指示された処置条件とともに格納する一次記憶手段、格納された検出データを送信するとともに、地域診療施設等からの指示情報等を受信する送受信手段、地域診療施設からの指示情報に基づき投薬手段等の設定を変更する設定変更手段、一次記憶手段に格納された各種検出データに基づき治療状況を評価する評価パラメータを算出する評価パラメータ算出手段、評価パラメータが所定の範囲内にあるか否かを判定し、範囲外となったときに警報等を発する治療監視手段とを少なくとも備えた、家庭に設置可能な処置機器、前記地域診療施設は、前記処置機器と無線乃至一般公衆回線等を介して常時乃至随時に接続される一方、常時高速通信網に接続し、受信した各種検出データ情報を中央管理設備へ受け渡すとともに中央管理施設からの指示情報データ等を各患者の透析機器へと受け渡す中継送受信手段、各処置機器乃至中央管理施設から受信した情報を各個人別に整理格納する二次記憶手段と、患者の診断を行うための医療機器等を少なくとも備えたものであって、該医療機器には、所見を前記二次記憶手段に追格納することができるとともに、前記中継送受信手段を介して、該所見情報を各患者の透析機器乃至中央管理施設へ送信したり、中央管理施設に格納されている各種情報を閲覧したりすることができる入出力端末が設けられたものであり、さらに、前記中央管理施設は、高速通信網を介して前記地域診療施設との間で情報を送受信する送受信手段と、該受信情報に基づき評価パラメータ等を算出する評価パラメータ算出手段と、該算出データを含む個人の検査情報を過去の処置履歴および所見等に関する診療情報とともに整理格納する個人情報データベースと、所定の疾病に関する情報を蓄積した疾病情報データベース、これらデータベースから引き出された所要の個人情報及び疾病情報に基づき患者の容態を判定する容態判定エクスパートサブシステム、判定結果に基づき今後の対処プログラムを作成する対処プログラム作成サブシステム、該対処プログラムを承認権者の端末に対し出力し、該権者から承認入力が得られたときに該対処プログラムを決定し、個人情報データベースの処置履歴に追記するとともに該決定された対処プログラムに従って関係機器等に対する所要の指令を出力する対処プログラム承認手段とを少なくとも備えたものであることを特徴とする在宅治療管理システムである。
【0018】また、本件発明の在宅治療管理システムの最適適用分野は、在宅による腹膜透析治療であって、その概要は、腹膜透析機器と、地域診療施設と、中央管理施設と、それらを結ぶ情報通信網とからなる在宅腹膜透析治療管理システムであって、前記透析機器は、家庭に設置可能なものであって、指示された条件で透析液を注入し、所定時間経過後排出する機能を有する透析液給排手段と、腹腔から排出された排液量を検出する排液量検出手段、排液中の各種成分の濃度を検出する濃度検出手段、患者に関するパーソナルデータを入力したり、必要とする各種情報を閲覧したりすることができる入出力端末、前記各種検出データやパーソナルデータを透析液給排データとともに格納する一次記憶手段、格納されたデータを地域診療施設等に送信するとともに地域診療施設等からの指示情報等を受信する送受信手段、地域診療施設からの指示情報に基づき透析液給排手段等の設定を変更する設定変更手段、前記一次記憶手段に格納された各種検出データに基づき評価パラメータを算出する評価パラメータ算出手段、各評価パラメータが所定の範囲内にあるか否かを判定し、範囲外となったときに警報等を発する透析監視手段とを少なくとも備えたものであり、前記地域診療施設は、前記各透析機器と無線乃至一般公衆回線等を介して常時乃至随時に接続される一方、常時高速通信網に接続し、受信した各種検出データ情報を中央管理設備へ受け渡すとともに中央管理施設からの指示情報データ等を各患者の透析機器へと受け渡す中継送受信手段、各透析機器乃至中央管理施設から受信した情報を各個人別に整理格納する二次記憶手段と、患者の検診を行うことができる医療機器等を備えたものであって、該医療機器には、所見を前記二次記憶手段に追格納することができるとともに、前記中継送受信手段を介して、該所見情報を各患者の透析機器乃至中央管理施設へ送信したり、中央管理施設に格納されている各種情報を閲覧したりすることができる入出力端末が設けられたものであり、さらに、前記中央管理施設は、高速通信網を介して前記地域診療施設との間で情報を送受信する送受信手段と、該受信情報に基づき評価パラメータ等を算出する評価パラメータ算出手段と、該算出データを含む個人の検査情報を過去の処置履歴および所見等に関する診療情報とともに整理格納する個人情報データベースと、腎不全等の所定の疾病に関する情報を蓄積した疾病情報データベース、これらデータベースから引き出された所要の個人情報及び疾病情報に基づき患者の容態を判定する容態判定エクスパートサブシステム、判定結果に基づき今後の対処プログラムを作成する対処プログラム作成サブシステム、該対処プログラムを承認権者の端末に対し出力し、該権者から承認入力が得られたときに該対処プログラムを決定し、個人情報データベースの処置履歴に追記するとともに該決定された対処プログラムに従って関係機器等に対する所要の指令を出力する対処プログラム承認手段とを少なくとも備えたものであることを特徴とする在宅腹膜透析治療管理システムものである、【0019】一方、本在宅治療管理システムには、その他、担当医割り当てサブシステム、予約管理サブシステム、関係機関等で情報の共有化を計る記憶内容同調サブシステム等をさらに備えることが可能であって、これらのサブシステム等を付加することにより、さらに患者の利便性を向上させることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】本件発明に係る在宅治療管理システムでは、体重、身長等の一部パーソナルデータの入力さえすれば、ほぼ全自動的に治療に係る評価パラメータが算出され、しかも、それら各種検査データは、逐次通信技術を介して、地域検診施設、中央管理設備に伝えられ、個人検査履歴が管理され、定期・不定期の検診による医師の所見情報等を加えた、個人情報に基づき、疾病に関するデータベースを参照しつつ、透析液濃度の選択や血液透析の必要性の判定等、その時々の種々の最適な治療条件を出力し、該出力に対し医師の承認が得られた場合には、該治療を実施すべく、適正透析液の患者宅への配送や近隣の病院等に対し血液透析の予約や緊急入院の手配を出力することができる。
【0021】これにより、各患者は、自身の在宅透析治療が適正に進行していることを確認できるばかりでなく、容態推移に適合した治療の指示が中央管理施設より与えられるから、長期間に亙って、安心して在宅治療を続けることが可能になる。
【0022】一方、蓄積された検出データや治療履歴等の情報は、通信技術を介して、プライバシー管理の下、中央管理施設のほか、必要とされる地域検診施設、近隣の血液透析病院、専門研究機関等の間でシェアされ、担当医や専門医の協議の上、さらに高度かつ専門的な診断を下すことが可能になる。
【0023】しかも、該診断に基づくきめ細かな治療プログラムが自動的に出力され、医師等の承認が得られ次第、関係機関等に必要とされる手順が指示され、即時的に在宅治療条件を始めとするシステム末端の具体的諸条件をも最適化する。
【0024】したがって、患者は、安心、簡便に最適な在宅治療を受けることができるばかりでなく、治療条件の変更に伴う種々の煩雑な手続をもシステムが面倒を看てくれるようになるとともに、かかるシステムのサポートは、医師にとっても、診断以外の種々の手配業務等仔細な手続から解放されることとなり、純粋に診断業務に全精力を傾注することが可能となる。
【0025】さらには、本件発明のシステムは、高速通信網との接続ポイントと旅客及び物流の拠点とを兼ね備える場所に地域診療施設を設置したことにより、高度の情報通信を可能にするとともに、人的資源及び物流移動の最適化を実現したものである。
【0026】以下、本件発明のシステムを在宅の腹膜透析治療に適用した実施例に則して、さらに詳細に本件発明に係るシステムを説明する。
【0027】なお、ここでは、本件在宅治療管理システムを腹膜透析治療に適用した場合について説明するが、在宅治療が可能な糖尿病等の他の慢性疾患にも適用可能であることはいうまでもない。
【0028】
【実施例】A.システム全体構成まず、図1は、本件在宅治療管理システムの全体像を概略を示す。同図のとおり、中央管理施設により全システムを統括、管理される。
【0029】そして、主要都市A〜Eに基づき複数の地域に分割し、個々の地域を受け持つ地域診療施設が各地域ごとに設置される。各地域診療施設は、各地域に在住する患者a1〜an,・・・e1〜en’’’’を担当する。そして、この地域診療施設は、患者の定期検診等を行う場所となる。
【0030】該地域診療施設のロケーションは、後述のとおり、各患者と中央管理施設との間の情報の受渡しが容易で、薬剤や検体等の物流の拠点であって、さらには患者の通院や担当医の配置に対し交通の便が良好な場所が選定される。具体的には、鉄道駅等が望ましく、新幹線駅が最適である。
【0031】その理由は、鉄道には、既に超高速、大容量の光ファイバー情報通信網が整備されていることから、該情報通信網への物理的アクセスポイントとして利用できる。駅構内に地域診療施設を設けることが望ましいが、難しい場合には、駅近傍の建物も利用可能である。
【0032】また、超高速通信網に接続する地域診療所を各地域毎に設けたことにより、各患者宅からの情報通信が、無線乃至市内乃至近隣区間での公衆回線等を通じて低廉に常時乃至随時に行うことが可能になり、システム利用費用負担の低減をも図ることが可能になる。
【0033】さらに、駅構内乃至駅近傍に地域診療施設を開所できれば、患者の定期検診等の通院はもちろんのこと、担当医の派遣、排液検体等の専門機関への搬送、透析液等の必要資材の患者宅への配達にも便利である。
【0034】そのほか、大学等専門機関α〜ωや地域血液透析病院I〜X等の関連機関についても、前記超高速通信網に接続することで情報の連携を図り、検体の分析や専門医との協議を可能にし、血液透析治療を要する場合にも、そのケアを依頼することができる。
【0035】B.在宅連続透析機器図2には、本件発明に係る腹膜透析機器の機能図を示す。該腹膜透析機器1は、在宅設置可能な大きさであり、望ましくは、ベッド脇等に設置可能なものである。また、連続的腹膜透析(CAPD)療法に最適であるが、前述の他の腹膜透析療法にも同様に適用可能である。
【0036】該腹膜透析機器は、複数の透析液バッグb1〜bnを有し、指示された条件の透析液バッグのバルブv1〜vnを開くことで所望の透析液を供給する。
【0037】透析液はカテーテル3を通じて人体腹腔4内に注入され、所定時間経過後排出されるものであって、この一連の操作は、透析液給排手段によって行われる。詳細には、透析液流通管2、カテーテル3、給排ポンプP、排液バッグb’とを備え、制御ユニットCPUにより一連の操作が制御されるものである。
【0038】さらに、該透析液流通管2には、前述のとおり透析液バッグの選択バルブv1〜vnのほか液圧検出手段5が設けられ、指示された該透析液流通管2に目詰まり等の異常が発生した場合には、該液圧検出手段5が透析液流通管2内の圧力変動を検出し、該圧力変動が許容値内であるか否かを後述の透析監視手段10が判定し、許容値範囲を逸脱する場合には透析異常と判断し、前記バルブに透析液流通を遮断及び給排ポンプpの停止等を指示する信号を出力するとともに、同時に後述のディスプレイd等の警報手段により、該透析異常を患者本人等に知らせるものである。
【0039】これら本来の腹膜透析機能のほか、本件連続腹膜透析機器1には、各種検査手段が設けられており、具体的には、腹腔から排出された排液量を検出する排液量検出手段11、排液中の各種成分の濃度を検出する排液成分濃度検出手段12、血液検査手段13、尿検査手段14等の各種検査手段を有する。
【0040】ここで、検出される排液成分としては、尿素窒素(UN),クレアチニン(Creat),グルコース(Glu)、白血球数(WBC count)のうちの少なくとも1種以上であり、尿検査項目としては、尿量及び尿中の尿素窒素(UN),クレアチニン(Creat)のうち少なくとも1種以上の項目であり、さらに、血液検査項目としては、白血球数(WBC count),ヘモグロビン(Hb),血小板(Plt),ヘマトクット(Hct),リン(iP),カルシウム(Ca),ナトリウム(Na),カリウム(K),クロール(Cl),血糖(BS),アルブミン(Alb),血清尿素窒素(BUN),クレアチニン(Creat),尿酸(UA)のうち少なくとも1種以上の項目である。
【0041】また、患者に関するパーソナルデータを入力したり、必要とする治療に関する各種情報を閲覧したりすることができる入出力手段kを備えており、該入出力手段より入力されるパーソナルデータとしては、血圧、使用透析液グルコース濃度、尿量、体重、身長等のデータのうち少なくとも1つ以上の項目が含まれる。好ましくは、ディスプレイd上に表示される案内に従って、単に数字等をキー入力するものである。また、他の検査機器からの検査データの入力が必要である場合には、可搬式のメモリカード等により一括してデータを移送できるように、カードリーダやカードインターフェイス等のデータ入力端子iを備える。
【0042】さらに、本件連続腹膜透析機器1には、前記検出データ等を保存、加工、分析、通信等の情報処理に関する機能を有する。具体的には、前記各種検出データやパーソナルデータを透析液給排データとともに一時的に格納する一次記憶手段6、格納されたデータを送信し、地域診療施設等からの指示データ等を受信する送受信手段7、地域診療施設からの指示情報に基づき透析液給排手段等の設定を変更する設定変更手段8、前記一次記憶手段6に格納された各種検出データに基づき評価パラメータを算出する評価パラメータ算出手段9、各評価パラメータが所定の範囲内にあるか否かを判定し、範囲外となったときに警報を発する透析監視手段10とを少なくとも備えたものである。
【0043】前記一次記憶手段は、各透析回別に、検査データや透析条件等が後述の評価パラメータとともに整理格納され、各種検索が可能になっている。
【0044】前記送受信手段7は、検出された各種検査データや入力されたパーソナルデータ、さらには、警報等についての情報等を、地域診療施設や中央管理施設に送信したり、逆に、地域診療施設や中央管理施設からの指示等のデータを受診したりするための通信手段である。具体的には、地域診療施設が患者宅の近隣である場合には、無線によるパケット通信も可能であるし、無線による通信が困難である場合には、電話回線等の一般公衆回線を用いたパケット通信も可能である。インターネット経由によることももちろん可能である。
【0045】なお、通信経路は、回線のトラブルやトラフィック状況を考慮して、2種以上の通信経路を自動乃至手動により選択可能であることが望ましい。
【0046】前記設定変更手段8は、個人の生活スケジュールに応じて、給排スケジュールを作成し、それに応じた給排量を給排バルブv1〜vnや給排ポンプpに指示を与えるとともに、設定変更の指示が中央管理施設から送られてきた際に、例えば、他の濃度の透析液バッグb1〜bnを選択するように給排バルブv1〜vnに指示したり、給排スケジュールを変更したりするものである。
【0047】前記評価パラメータ算出手段9は、前記一次記憶手段6に格納された各種検出データに基づき透析にかかる各種評価用の評価パラメータを算出するものであって、具体的には、前記各項目に基づいて、透析量パラメータ(weekly Ccr,weekly Kt/V)、除水量(D/D0(4hr値),2.5%グルコース液使用における除水量)及びカルシウムリン積を算出するものである。なお、上記各評価パラメータは、それぞれ、下記の(1)〜(5)式によって算出されるものである。
(1)weeklyCcr=7*{((尿のCreat濃度*尿量/血清クレアチニン+尿のUN*尿量/血清UN)/2+Σ排液中Creat濃度*排液量/血清クレアチニン濃度)}*1.73/0.007184*体重(kg)0.425*身長(cm)0.725なお、上式中、Σは1日中に得られた排液すべてについて合計することを表す。
(2)weekly Kt/V =7*(尿の尿素濃度+Σ排液中UN*排液量/血清UN)/A or BA:男性=2.447+0.3362*体重(kg)+0.1074*身長(cm)-0.09516*年齢(才)
B:女性=-2.097+0.2466*体重(kg)+0.1069*身長(cm)(3)除水量D/D0(4hr)=4hr後排液中グルコース濃度/使用透析液グルコース濃度(4)4%グルコース液4時間使用による除水量=排液バッグ重量−透析液貯留バッグ重量(5)カルシウムリン積={(4-Alb)+2Ca(mg/dl)}*iP (if Alb≦4.0),or {Alb+2Ca(mg/dl)}*iP (if Alb>4.0)【0048】前記透析監視手段は、前記評価パラメータ算出手段が算出した各評価パラメータの値(透析量パラメータ(weekly Ccr,weekly Kt/V)、除水量(D/D0(4hr値),2.5%使用における除水量),カルシウムリン積及び排液白血球数が、それぞれ60L以下、2.0以下、0.2以下、400ml以下、55以下、100/μl以上の範囲にある場合に、透析が適正に進行していると判定し、1種以上の評価パラメータがその適正範囲を逸脱したときに、透析が適正でないと判定し、警報を発するものである。その他、前述の透析液流通管の目詰まりによる圧力変動についても同様に異常と判断し、警報を発することができる。
【0049】C.地域診療施設地域診療施設は、担当区域内の患者の定期乃至不定期の検診を実施する機関であって、前述のとおり、各患者が通院に便利で、常時高速通信網に接続可能な駅等の場所に設置される。そして、担当区域内に在住する患者個々の透析機器と無線乃至電話等の有線回線等を介して常時乃至随時に接続され、その一方で、常時超高速、大容量の情報転送が可能な光ケーブル等の通信網に接続しており、患者側から受信した各種検出データを中央管理設備へ受け渡すとともに中央管理施設からの指示情報等のデータを各患者の透析機器へと受け渡す中継送受信手段、各透析機器乃至中央管理施設から受信した情報を各個人別に整理格納する二次記憶手段、及び患者の検診を行うことができる各種医療機器を備えたものであって、該医療機器には、所見を前記二次記憶手段に追格納することができるとともに、前記中継送受信手段を介して、該所見情報を各患者の透析機器乃至中央管理施設へ送信したり、中央管理施設に格納されている各種情報を閲覧したりすることができる入出力端末が設けられており、定期乃至不定期検診の所見の入力が可能であり、また、前記超高速、大容量通信網を用いて、胸部レントゲン、心電図、超音波、CT等の大容量の画像データを、中央管理施設や大学等の専門研究機関等から読み出しが可能となる。
【0050】加えて、地域診療施設は、駅構内等に設置されることから、検体等を高等専門機関へ高速にて搬送することも可能となる上、旅客の高速輸送により担当医も常駐の必要がなくなり、患者の受診スケジュールに応じて、担当医を派遣することが可能にもなる。
【0051】このように、高速通信と高速輸送を可能とするロケーションをとることにより、大規模施設を要する検査や治療を他の機関に委ね、設備の軽減を図るとともに、人材の有効配置を可能とするものである。
【0052】D.中央管理施設中央管理施設は、例えば、図3に示すシステム構成を有する。前記地域診療施設との間で、前記高速通信網介して各種データを送受信する送受信手段102を有し、地域診療施設から送られてきた情報を受信情報に基づき、評価パラメータ等を算出する評価パラメータ算出手段を有し、該算出データを含む個人の検査情報を過去の処置履歴および所見等の情報とともに整理格納する個人情報データベース104を有し、一方で、腎不全に関する情報を蓄積した疾病情報データベース105を有する。
【0053】これらデータベース104,105から引き出された所要の個人情報及び疾病情報に基づき患者の容態を判定する容態判定エクスパートサブシステム103を備える。前述の透析機器における評価パラメータに基づく評価と同様の評価パラメータを用いる。
【0054】一般的には、血液検査項目のうち、リン濃度(iP)、カルシウム濃度(Ca)は、動脈硬化進展の重要なパラメータであるので、その推移について特にモニターが必要であり、また、血清尿素窒素(BUN)、クレアチニン(Creat)、尿酸(UA)は、排液検査項目の尿素窒素(UN)、クレアチニン(Creat)並びに尿検査項目の尿素窒素(UN)、クレアチニン(Creat)と同様に尿毒症状態の判定に重要となる。さらに、排液検査項目のうち、グルコース(Glu)は、除水能の評価になり、一方、白血球数(WBC Count)は、腹膜炎発症の最良の指標となることが知られている。
【0055】したがって、本件発明の容態判定エクスパートサブシステム104では、前述の評価パラメータの過去から最新の透析結果に亙って算出し、各評価パラメータの推移履歴と、評価パラメータの標準的な推移傾向との比較により、今後の評価パラメータの推移を推論するルーチン103−1と、それまでの血圧に関するデータを読み出し、過去の血圧推移と、血圧履歴に関する標準的な推移傾向データと、さらに、下腿の浮腫、頚静脈怒張、抹消静脈圧等についての所見の入力有無等から今後の血圧上昇を評価推論するルーチン103−2とを有し、これら両ルーチンの出力に基づき、今後の動脈硬化進展の予測、尿毒症の発症の予測、除水能低下の予測等を行う患者の容態を判定するものである。
【0056】さらに、容態判定エクスパートサブシステム104より、各種兆候が出力された場合に、最適な対処プログラムを自動的に求めるための対処プログラム作成エクスパートサブシステム106である。
【0057】例えば、評価パラメータのうちKt/Vureaの低下や白血球数の上昇が予測された場合には、尿毒症や腹膜炎の発症が懸念されるので、臨時の検診を患者に指示したり、地域病院への緊急入院を患者に指示する一方、地域診療施設や地域病院に対しては、臨時の検診の予約や緊急入院の手配を行う等の対処プログラムを作成する。
【0058】また、前述のとおり、除水不足の兆候が出力された場合には、該除水不足の程度と今後の除水不足の進行予測とに基づき、臨時検査の必要性の有無を判定し、かつ除水能強化のための透析液グルコース濃度、貯留時間乃至サイクラーの併用方法の採否を推論し、患者に指示、当該患者の腹膜透析機器における設定変更手段の設定値を変更、算出された設定濃度の透析液を当該患者宅に配送する等、所要の対処プログラムを作成する。
【0059】作成された対処プログラムは、承認権者等の端末に対し出力され、該権者から承認入力が得られたときには、該対処プログラムは即座に、個人情報データベース104の処置履歴に追記されるとともに該対処プログラムに従って関係機器等に対し指令等が出力され、システムの通信機能である送受信手段102により直ちに伝えられる。
【0060】なお、該中央管理施設101及び大学等専門研究機関α〜ωは、前記高速通信網に常時接続されているものであって、地域診療施設A〜Nの担当医や専門研究機関α〜ωの専門医からの正規の要求に応じて、前記データベースに格納された個人情報等を、前記地域診療施設A〜Nを介して各機器乃至患者本人及び関係者端末に送受信する機能を有し、関係者間で大容量画像等のデータを共有することができる。
【0061】E.その他のサブシステムこれらのほか、前記容態判定エクスパートサブシステム103及び対処プログラム作成エクスパートサブシステム106により、要精密検査、要血液透析乃至要入院治療等の対処プログラムが出力され、承認権者により承認決定の入力がなされたときには、地域検診施設A〜N乃至専門研究施設α〜ω又は近隣の地域透析病院I〜Xに対し、精密検査又は血液透析乃至入院等の所要の予約を行う予約管理サブシステムをさらに備えることが望ましい。
【0062】また、地域診療施設A〜Nには、対処プログラムにより指定された透析液を各患者宅に配送するとともに排液、尿等の検体を精密分析の必要が生じた際に各患者宅に収集に向かい、また収集した検体を大学等の専門研究機関α〜ωに配送する等の物流スケジュールを管理する物流管理サブシステムをさらに備えることが望ましい。
【0063】さらに、中央管理施設には、各透析機器、各地域診療施設及びその他関係機器の記憶手段に定期的乃至不定期にアクセスを行い、中央管理施設の個人情報データベースの記憶情報に対応する情報を呼び出し、記憶内容の照合を行い、全てが一致しない場合には、最新の情報を基準として一致していない情報を更新させる機能を有する記憶内容同調サブシステム107をさらに備えることが望ましい。
【0064】
【発明の効果】以上のとおり、本件発明は、患者のアクセスや必要資材の物流が容易でかつ高速通信網に接続可能な場所に地域診療施設を設置し、在宅治療機器からの日常の在宅治療情報等の受け渡し施設として利用するとともに、定期診療等を施す場所として利用し、さらには、必要薬剤や検体の集配にも利用し、さらに、在宅患者と大学等の専門医療機関ひいては地域透析病院等を一元管理することにより、安全・簡便な在宅治療を可能とする在宅管理システムである。
【0065】この点で、従来の腹膜透析装置や在宅介護システム等とは格段の差異がある。即ち、従来の腹膜透析装置では、透析液の流通状態のみを監視する治療機器では、個別回の透析異常は検出できても経時的容態変動を捉えることができないことから、患者は不適切な条件での治療を次回の精密検査まで余儀なくされていたのと比べると、本件発明に係る在宅腹膜透析治療管理システムでは、断然きめ細やかな治療が可能となる。一方、汎用の在宅介護システムにおける介護に留まらず、適正且つ長期的な在宅治療を実施可能とした点で、顕著な効果を発揮するものである。
【0066】さらに、本件発明は、前記実施例に記載した腹膜透析治療に限定されず、糖尿病治療を始めとして投薬と検査を在宅で行う必要のある各種在宅治療にも適用可能である汎用的な在宅治療管理システムである。
【出願人】 【識別番号】597142387
【氏名又は名称】黒川 清
【識別番号】597142376
【氏名又は名称】宮田 敏男
【出願日】 平成13年4月2日(2001.4.2)
【代理人】 【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志 (外1名)
【公開番号】 特開2002−291879(P2002−291879A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−103918(P2001−103918)