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【発明の名称】 血液成分採取装置
【発明者】 【氏名】高木 愛己

【要約】 【課題】血液成分の採取に要する時間を短縮することができる血液成分採取装置を提供する。

【解決手段】本発明の血液成分採取装置は、血液成分(血漿)の採取の際に、供血者から採取した血液を遠心分離し、血液成分(血漿)を採取する血液成分採取工程と、遠心分離器内の血液を供血者へ返還する血液成分返還工程とを行う。血液成分採取工程において、第1の採取量X1を常時検出し、この第1の採取量X1と、供血者の血液のヘマトクリット値Hct2と、遠心ボウル内の血液の容積V1とに基づいて、遠心ボウル内の血液のヘマトクリット値Hct1を求め(S105)、この遠心ボウル内の血液のヘマトクリット値Hct1が予め設定された目標ヘマトクリット値に到達したときは(S106)、血液成分採取工程を終了し、血液成分返還工程に行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 供血者から血液を採取する採血手段と、内部に貯血空間を有するローターを備え、該ローターの回転により前記採血手段により採取された血液を前記貯血空間内で遠心分離する遠心分離器と、前記遠心分離器により分離された所定の血液成分を採取する血液成分採取バッグとを備える血液成分採取回路を有し、供血者から採取した血液を遠心分離し、前記所定の血液成分を採取した後、前記遠心分離器内の血液を前記供血者へ返還する血液成分採取装置であって、前記所定の血液成分を採取する際、前記遠心分離器内の血液のヘマトクリット値を検出する検出手段を有し、前記遠心分離器内の血液のヘマトクリット値が所定値または所定範囲に到達した場合には、前記所定の血液成分の採取を終了し、前記遠心分離器内の血液を前記供血者へ返還するよう構成されていることを特徴とする血液成分採取装置。
【請求項2】 前記所定値は、65〜75%である請求項1に記載の血液成分採取装置。
【請求項3】 前記検出手段は、前記所定の血液成分を採取する際、前記血液成分採取回路内に採取した血液の第1の採取量を検出し、前記第1の採取量と、前記供血者の血液のヘマトクリット値と、前記遠心分離器内の血液の容量とに基づいて、前記遠心分離器内の血液のヘマトクリット値を求めるよう構成されている請求項1または2に記載の血液成分採取装置。
【請求項4】 前記遠心分離器内の血液のヘマトクリット値Hct1は、前記供血者の血液のヘマトクリット値をHct2、前記遠心分離器内の血液の容量をV1、前記第1の採取量をX1としたとき、下記式より求めるよう構成されている請求項3に記載の血液成分採取装置。
Hct1=Hct2・X1/V1【請求項5】 前記供血者の血液のヘマトクリット値は、前記検出手段により、前記所定の血液成分を採取しているときに求められるよう構成されている請求項3または4に記載の血液成分採取装置。
【請求項6】 前記検出手段は、前記遠心分離機器内の前記所定の血液成分の界面を検出する界面検出手段を有し、前記所定の血液成分を採取する際、前記界面検出手段により前記所定の血液成分の界面を検出したときに、前記供血者の血液のヘマトクリット値を求めるよう構成されている請求項3または4に記載の血液成分採取装置。
【請求項7】 前記検出手段は、前記所定の血液成分を採取する際、前記界面検出時における前記血液成分採取回路内に採取した血液の第2の採取量を検出し、前記第2の採取量と、前記界面検出時における前記遠心分離器内の赤血球層のヘマトクリット値と、前記界面検出時における前記遠心分離器内の赤血球層の容量とに基づいて、前記供血者の血液のヘマトクリット値を求めるよう構成されている請求項6に記載の血液成分採取装置。
【請求項8】 前記供血者の血液のヘマトクリット値Hct2は、前記界面検出時における前記遠心分離器内の赤血球層のヘマトクリット値をHct3、前記界面検出時における前記遠心分離器内の赤血球層の容量をV2、前記第2の採取量をX2としたとき、下記式より求めるよう構成されている請求項7に記載の血液成分採取装置。
Hct2=Hct3・V2/X2【請求項9】 前記所定の血液成分は、主に血漿である請求項1ないし8のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液中から所定の血液成分を採取する血液成分採取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】採血を行う場合、現在では、血液の有効利用および供血者の負担軽減などの理由から、採血血液を遠心分離などにより各血液成分に分離し、輸血者に必要な成分だけを採取し、その他の成分は供血者に返還する成分採血が行われている。
【0003】このような成分採血では、例えば、血漿製剤を得る場合、供血者から採取した血液を血液成分採取回路に導入し、該血液成分採取回路に設置された遠心ボウルと呼ばれる遠心分離器により、血漿、バフィーコートおよび赤血球に分離し、その内の血漿は容器に回収されて血漿製剤とし、残りの白血球、血小板および赤血球は、供血者に返血(返還)することが行われる。
【0004】ところで、このような成分採血を行う血液成分採取装置では、例えば、血漿を採取する場合、血漿を採取する血液成分採取工程と、遠心分離器内の血液を供血者へ返還する血液成分返還工程とが交互に行われる。
【0005】また、血液成分採取工程および血液成分返還工程とを交互に行うサイクルは、複数回繰り返し行われる。これにより、各サイクルで採取された血漿の合計量が、供血者(ドナー)から採取すべき血漿の量、すなわち、目標とする血漿採取量(目標血漿採取量)に到達する。
【0006】ここで、血液成分採取工程では、遠心分離器(遠心ボウル)内が赤血球層でほぼ一杯になるまで血漿を採取し、血液成分返還工程では、遠心ボウル内の血液(主に赤血球、白血球および血小板)が空になるまで、供血者へ血液を返還する。
【0007】しかしながら、遠心分離器内が赤血球層でほぼ一杯になるまで血漿を採取すると、遠心分離器内の血液の赤血球濃度(ヘマトクリット値)が高くなり、血液の返還速度を速くすることができない。このため、血液成分返還工程が終了するまでに要する時間が長くなり、これにより、血漿の採取に要する全体の時間が長くなる。
【0008】このため、供血者を長時間拘束し、ベットの占有時間が延長されるという問題がある。また、供血者を長時間拘束することにより、供血者への負担の増大する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、血液成分の採取に要する時間を短縮することができる血液成分採取装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記(1)〜(17)の本発明により達成される。
【0011】(1) 供血者から血液を採取する採血手段と、内部に貯血空間を有するローターを備え、該ローターの回転により前記採血手段により採取された血液を前記貯血空間内で遠心分離する遠心分離器と、前記遠心分離器により分離された所定の血液成分を採取する血液成分採取バッグとを備える血液成分採取回路を有し、供血者から採取した血液を遠心分離し、前記所定の血液成分を採取した後、前記遠心分離器内の血液を前記供血者へ返還する血液成分採取装置であって、前記所定の血液成分を採取する際、前記遠心分離器内の血液のヘマトクリット値を検出する検出手段を有し、前記遠心分離器内の血液のヘマトクリット値が所定値または所定範囲に到達した場合には、前記所定の血液成分の採取を終了し、前記遠心分離器内の血液を前記供血者へ返還するよう構成されていることを特徴とする血液成分採取装置。
【0012】(2) 供血者から血液を採取する採血手段と、内部に貯血空間を有するローターを備え、該ローターの回転により前記採血手段により採取された血液を前記貯血空間内で遠心分離する遠心分離器と、前記遠心分離器により分離された所定の血液成分を採取する血液成分採取バッグとを備える血液成分採取回路を有し、供血者から採取した血液を遠心分離し、前記所定の血液成分を採取する血液成分採取工程と、前記遠心分離器内の血液を前記供血者へ返還する血液成分返還工程とを交互に繰り返し行う血液成分採取装置であって、前記所定の血液成分を採取する際、前記遠心分離器内の血液のヘマトクリット値を検出する検出手段を有し、前記遠心分離器内の血液のヘマトクリット値が所定値または所定範囲に到達した場合には、前記血液成分採取工程を終了し、前記血液成分返還工程を開始するよう構成されていることを特徴とする血液成分採取装置。
【0013】(3) 前記所定値は、65〜75%である上記(1)または(2)に記載の血液成分採取装置。
【0014】(4) 前記検出手段は、前記所定の血液成分を採取する際、前記血液成分採取回路内に採取した血液の第1の採取量を検出し、前記第1の採取量と、前記供血者の血液のヘマトクリット値と、前記遠心分離器内の血液の容量とに基づいて、前記遠心分離器内の血液のヘマトクリット値を求めるよう構成されている上記(1)ないし(3)のいずかに記載の血液成分採取装置。
【0015】(5) 前記採血手段と前記遠心分離器との接続ラインにおける血液の送液を行う送液手段を有し、前記検出手段は、前記送液手段の送液量に基づいて、前記第1の採取量を検出するよう構成されている上記(4)に記載の血液成分採取装置。
【0016】(6) 前記遠心分離器内の血液のヘマトクリット値Hct1は、前記供血者の血液のヘマトクリット値をHct2、前記遠心分離器内の血液の容量をV1、前記第1の採取量をX1としたとき、下記式より求めるよう構成されている上記(4)または(5)に記載の血液成分採取装置。
【0017】Hct1=Hct2・X1/V1(7) 前記供血者の血液のヘマトクリット値は、前記供血者から血液の採取を始める前に予め測定された値である上記(4)ないし(6)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0018】(8) 前記供血者の血液のヘマトクリット値は、前記検出手段により、前記所定の血液成分を採取しているときに求められるよう構成されている上記(4)ないし(6)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0019】(9) 前記検出手段は、前記遠心分離機器内の前記所定の血液成分の界面を検出する界面検出手段を有し、前記所定の血液成分を採取する際、前記界面検出手段により前記所定の血液成分の界面を検出したときに、前記供血者の血液のヘマトクリット値を求めるよう構成されている上記(4)ないし(6)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0020】(10) 前記界面検出手段は、前記貯血空間に向って投光するとともにその反射光を受光し、その受光光量の変化に基づき、前記所定の血液成分の界面の位置を検出する光学式センサである上記(9)に記載の血液成分採取装置。
【0021】(11) 前記検出手段は、前記所定の血液成分を採取する際、前記界面検出時における前記血液成分採取回路内に採取した血液の第2の採取量を検出し、前記第2の採取量と、前記界面検出時における前記遠心分離器内の赤血球層のヘマトクリット値と、前記界面検出時における前記遠心分離器内の赤血球層の容量とに基づいて、前記供血者の血液のヘマトクリット値を求めるよう構成されている上記(9)または(10)に記載の血液成分採取装置。
【0022】(12) 前記採血手段と前記遠心分離器との接続ラインにおける血液の送液を行う送液手段を有し、前記検出手段は、前記送液手段の送液量に基づいて、前記第2の採取量を検出するよう構成されている上記(11)に記載の血液成分採取装置。
【0023】(13) 前記供血者の血液のヘマトクリット値Hct2は、前記界面検出時における前記遠心分離器内の赤血球層のヘマトクリット値をHct3、前記界面検出時における前記遠心分離器内の赤血球層の容量をV2、前記第2の採取量をX2としたとき、下記式より求めるよう構成されている上記(11)または(12)に記載の血液成分採取装置。
Hct2=Hct3・V2/X2【0024】(14) 前記供血者の血液のヘマトクリット値は、前記所定の血液成分の採取の際に、少なくとも1回求められるよう構成されている上記(8)ないし(13)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0025】(15) 前記送液手段は、送液ポンプである上記(5)または(12)に記載の血液成分採取装置。
【0026】(16) 前記送液ポンプは、正回転と逆回転が可能なローラーポンプである上記(15)に記載の血液成分採取装置。
【0027】(17) 前記所定の血液成分は、主に血漿である上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の血液成分採取装置。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の血液成分採取装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0029】図1は、本発明の血液成分採取装置の構成例を示す平面図、図2は、本発明の血液成分採取装置に使用される遠心分離器駆動装置の断面を示す図である。
【0030】これらの図に示すように、血液成分採取装置1は、供血者から血液を採取する採血針(採血手段)29と、内部に貯血空間を有するローター142を備え、ローター142の回転により採血針29により採取された血液を貯血空間内にて遠心分離する遠心分離器(遠心ボウル)20と、遠心分離器20により分離された血漿(所定の血液成分)を採取する血漿採取バッグ(血液成分採取バッグ)25とを備える血漿採取回路(血液成分採取回路)2を有し、供血者から採取した血液を遠心分離し、血漿(所定の血液成分)を採取した後、遠心分離器20内の血液(主に白血球、血小板および赤血球)を供血者へ返還する血漿採取装置(血液成分採取装置)である。
【0031】血液成分採取装置1は、血漿を採取する際、遠心分離器20内の血液のヘマトクリット値を検出する制御部(検出手段)55を有し、遠心分離器20内の血液のヘマトクリット値が所定値に到達した場合には、血漿の採取を終了し、遠心分離器20内の血液を供血者へ返還するよう構成されている。
【0032】血液成分採取装置1は、血漿採取回路2を有し、血漿採取回路2は、内部に貯血空間を有するローター142と、貯血空間に連通する流入口143および流出口144とを有し、ローター142の回転により流入口143より導入された血液を貯血空間内で遠心分離する遠心分離器20と、採血針29と遠心分離器20の流入口143とを接続するための第1のライン21と、遠心分離器20の流出口144に接続された第2のライン22と、第1のライン21に接続され、抗凝固剤注入のための第3のライン23と、第2のライン22と接続された血漿採取バッグ25と、血漿採取バッグ25とチューブ32aにより接続されたサブバッグ32とを備える。
【0033】また、血漿採取装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、第1のライン21のための第1の送液ポンプ11と、第3のライン23のための第2の送液ポンプ12と、血漿採取回路2の流路の開閉を行うための第1の流路開閉手段51および第2の流路開閉手段52と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12および第1の流路開閉手段51および第2の流路開閉手段52を制御するための制御部55を備える。
【0034】採血針29としては、例えば、金属針が使用される。第1のライン21は、採血針29が接続された採血針側第1ライン21aと遠心分離器20の流入口143とを接続された遠心分離器側第1ライン21bと両者間に配置された第1のポンプチューブ21gからなる。
【0035】採血針側第1ライン21aは、気泡およびマイクロアグリゲート除去のためのチャンバー21dを備える。チャンバー21dには、通気性かつ菌不透過性のフィルター21iが接続されている。
【0036】第2のライン22は、一端が遠心分離器20の流出口144に接続され、他端が血漿採取バッグ25に接続されている。
【0037】第3のライン23は、一端が第1のライン21に設けられた接続用分岐コネクター21cに接続されている。第3のライン23は、接続用分岐コネクター21c側より、第2のポンプチューブ23a、気泡除去用チャンバー23c、抗凝固剤容器接続用針23dを備えている。
【0038】上述した第1のライン21、第2のライン22および第3のライン23の形成に使用されるチューブ、ポンプチューブ、さらに、バッグに接続されているチューブの構成材料としては、ポリ塩化ビニルが好ましい。
【0039】各チューブがポリ塩化ビニル製であれば、十分な可撓性、柔軟性が得られるので取り扱いがし易く、また、クレンメ等による閉塞にも適するからである。
【0040】また、上述した分岐コネクターの構成材料についても、前記チューブの構成材料と同様のものを用いることができる。なお、ポンプチューブとしては、ローラーポンプにより押圧されても損傷を受けない程度の強度を備えるものが使用されている。
【0041】血漿採取バッグ25、サブバッグ32は、それぞれ、樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁部を融着(熱融着、高周波融着等)または接着して袋状にしたものが使用される。
【0042】血漿採取バッグ25,サブバッグ32に使用される材料としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニルが好適に使用される。この軟質ポリ塩化ビニルにおける可塑剤としては、例えば、ジ(エチルヘキシル)フタレート(DEHP)、ジ−(n−デシル)フタレート(DnDP)等が使用される。なお、このような可塑剤の含有量は、ポリ塩化ビニル100重量部に対し、30〜70重量部程度とするのが好ましい。
【0043】そして、血漿採取回路2の主要部分は、図1に示すように、カセット式となっている。血漿採取回路2は、すべてのライン(第1のライン21、第2のライン22、第3のライン23)を部分的に収納しかつ部分的にそれらを保持し、言い換えれば、部分的にそれらが固定されたカセットハウジング33を備える。
【0044】カセットハウジング33には、第1のポンプチューブ21gの両端部および第2のポンプチューブ23aの両端部が固定され、これらポンプチューブ21g,23aは、カセットハウジング33より、ローラーポンプの形状に対応したループ状に突出している。このため、第1のポンプチューブ21gおよび第2のポンプチューブ23aは、ローラポンプへの装着が容易である。
【0045】さらに、カセットハウジング33は、カセットハウジング33内に位置する複数の開口部を備えている。具体的には、第1のポンプチューブ21gより採血針29側である第1のライン21を露出させかつ、血液成分採取装置1の第1の流路開閉手段51の侵入が可能な第1の開口部、第2のライン22を露出させかつ血液成分採取装置1の第2の流路開閉手段52の侵入が可能な第2の開口部を備えている。
【0046】血液成分採取装置1は、このカセットハウジング装着部(図示せず)を備えている。このため、カセットハウジング33を血液成分採取装置1のカセットハウジング装着部に装着することにより、カセットハウジング33の開口部より露出する部分の各ラインおよび各チューブが、自動的に対応する流路開閉手段に装着される。これにより回路の装着が容易であるとともに、血液成分採取準備も迅速に行える。
【0047】また、血液成分採取装置1には、カセットハウジング装着部に近接して2つのポンプが設けられている。このため、カセットハウジング33より露出するポンプチューブのポンプへの装着も容易である。血漿採取回路2に設けられている遠心分離器20は、通常、遠心ボウルと呼ばれており、遠心力により血液成分を分離する。遠心分離器20としては、図2に示すものが使用される。なお、遠心分離器20の容積V0は、特に限定されないが、100〜300ml程度であることが好ましい。
【0048】さらに、血液成分採取装置1は、第2のライン22に装着される濁度センサ14、遠心分離器20の上方に取り付けられた光学式センサ15と、血漿採取バッグ25の重量を測定するため重量センサ16と、チャンバー21dより第1の送液ポンプ11側となる第1のライン21上に設けられた第1の気泡センサ17と、チャンバー21dより採血針29側となる第1のライン21上に設けられた第2の気泡センサ18とを備える。
【0049】第1の流路開閉手段51は、ポンプチューブ21gより採血針29側において第1のライン21を開閉するために設けられており、第2の流路開閉手段52は、第2のライン22を開閉するために設けられている。
【0050】第1の流路開閉手段51および第2の流路開閉手段52は、ラインもしくはチューブの挿入部を備え、挿入部には、例えば、ソレノイド、電動モーター、シリンダ(油圧または空気圧)等の駆動源で作動するクランプを有する。具体的には、ソレノイドで作動する電磁クランプが好適である。第1の流路開閉手段51および第2の流路開閉手段52のクランプは、制御部55からの信号に基づいて作動する。
【0051】遠心分離器駆動装置10は、図2に示すように、遠心分離器20を収納する遠心分離器回転駆動装置ハウジング151と、脚部152と、駆動源であるモータ153と、遠心分離器20を保持する円盤状の固定台155とで構成されている。遠心分離器回転駆動装置ハウジング151は、脚部152の上部に載置、固定されている。
【0052】また、遠心分離器回転駆動装置ハウジング151の下面には、ボルト156によりスペーサー157を介してモータ153が固定されている。モータ153の回転軸154の先端部には、固定台155が回転軸154と同軸でかつ一体的に回転するように嵌入されており、固定台155の上部には、ローター142の底部が嵌合する凹部が形成されている。
【0053】また、遠心分離器20の上部145は、図示しない固定部材により遠心分離器回転駆動装置ハウジング151に固定されている。遠心分離器回転駆動装置10では、モータ153を駆動すると、固定台155およびそれに固定されたローター142が、あらかじめ設定された所定の遠心条件(例えば、回転数1000〜6000rpm)で回転する。この遠心条件により、ローター142内の血液の分離パターン(例えば、分離する血液成分数)を設定することができる。
【0054】また、遠心分離器回転駆動装置ハウジング151の内壁には、遠心分離器内の分離された血液成分の界面(例えば、血漿層131とバフィーコート層132との界面B、バフィーコート層132と赤血球層133との界面、血漿層131と赤血球層133の界面)の位置を光学的に検出する光学式センサ(界面検出手段)15が、取付部材158により設置、固定されている。
【0055】このセンサは、遠心分離器20の貯血空間に向って投光する(光を照射する)光源と、遠心分離器20から反射して戻ってくる反射光を受光する受光部で構成されている。つまり、LEDまたはレーザーのような発光素子と受光素子とが列状に配置され、発光素子から発せられた光の血液成分での反射光を受光素子により受光し、その受光光量を光電変換するように構成されている。分離された血液成分(例えば、血漿層131とバフィーコート層132)により反射光の強度が異なるため、その受光光量の変化に基づき、界面Bの位置が検出される。すなわち、受光光量が変化した受光素子に対応する位置が、界面Bの位置として検出される。
【0056】より具体的には、遠心分離器20の光が通過する位置が透明な液体(血漿や水)で充填されている時と、バフィーコート層132で充填されている時の、受光部での受光量の差から、バフィーコート層132が光通過部に到達したことが検知される。
【0057】バフィーコート層132を検出する位置は、光が遠心ボウル20内を通過する位置を変えることで調節され、通常は、光線通過位置を決めたら、そこで固定する。
【0058】濁度センサ14は、第2のライン22中を流れる流体の濁度を検知するためのものであり、濁度に応じた電圧値を出力する。具体的には、濁度が高い時には低電圧値、濁度が低い時には高電圧値を出力する。
【0059】第1の気泡センサ17、第2の気泡センサ18は、第1のライン21内に空気が流れたことを検知するためのものである。濁度センサおよび気泡センサとしては、超音波センサ、光学式センサ、赤外線センサなどが使用できる。
【0060】第1のライン21の第1のポンプチューブ21gが装着される第1の送液ポンプ11ならびに第3のライン23の第2のポンプチューブ23aが装着される第2の送液ポンプ12としては、ローラーポンプなどの非血液接触型ポンプが好適である。また、第1の送液ポンプ11(血液ポンプ)としては、いずれの方向にも血液を送ることができるものが使用される。具体的には、正回転と逆回転が可能なローラーポンプが用いられている。さらに、血液成分採取装置1では、第1の送液ポンプ(ローラーポンプ)11の回転数により、血漿採取回路2に採取した血液の量(送液された血液の量)、すなわち、血液の送液量が求まるよう構成されている。
【0061】制御部55は、供血者(ドナー)から血液を採取し、その血液の成分(血液成分)のうち、血漿を採取するように制御を行う。具体的には、採血針29により採取され抗凝固剤が添加された血液を遠心分離器20内に流入させ、遠心分離器20により分離された血漿を血漿採取バッグ25内に採取する血液成分採取工程と、遠心分離器20内に残った血液(主に白血球、血小板および赤血球)を供血者へ返還する血液成分返還工程とを交互に繰り返し行う。
【0062】なお、血液成分採取工程および血液成分返還工程とを交互に繰り返し行うことで、各血液成分採取工程で採取された血漿の全採取量が、供血者から採取すべき目標の血漿の量、すなわち、目標血漿採取量に到達する。なお、この目標血漿採取量は、供血者の体重に応じて、通常、300〜600ml(抗凝固剤込みの量では、360〜720ml)程度とされる。
【0063】また、この血液成分採取装置1では、遠心分離器(遠心ボウル)20内が赤血球層でほぼ一杯になる前に、供血者へ遠心ボウル20内の血液を返還する。
【0064】具体的には、遠心ボウル20内の血液のヘマトクリット値(赤血球濃度)を常時検出し、遠心ボウル20内の血液のヘマトクリット値が予め設定された所定値(目標ヘマトクリット値)または所定範囲に到達したときに、血液成分採取工程を終了させ、血液成分返還工程を開始する。
【0065】この目標ヘマトクリット値は、血液成分採取工程と、その血液成分採取工程後の血液成分返還工程との2工程を1サイクルとしたとき、血漿の採取量が目標血漿採取量に到達するまでに要するサイクル数と1サイクル当りに要する平均時間との積算値が小さくなるように設定される。すなわち、血漿の採取量が目標血漿採取量に到達するまでに要する全体の時間が短くなるように設定される。
【0066】この目標ヘマトクリット値は、遠心ボウル20内が赤血球層でほぼ一杯になったときの血液のヘマトクリット値より小さい値であり、特に、65〜75%程度であるのが好ましい。
【0067】前記目標ヘマトクリット値を前記上限より大きく設定すると、遠心ボウル20内の血液のヘマトクリット値が高くなり、血液成分返還工程の際の血液の返還速度が遅くなる。すなわち、1サイクル当りに要する平均時間が長くなり、血漿の採取量が目標血漿採取量に到達するまでに要する全体の時間が長くなる。
【0068】前記目標ヘマトクリット値を前記下限より小さく設定すると、1サイクルで採取する血漿の量が少なくなる。このため、血漿の採取量が目標血漿採取量に到達するまでに要するサイクル数が多くなり、これにより、血漿の採取量が目標血漿採取量に到達するまでに要する全体の時間が長くなる。
【0069】以下、血漿の採取における血液成分採取工程および血液成分返還工程の動作原理を簡単に説明する。
【0070】血漿の採取を始める前に、まず、供血者に対し予備採血を行い、その採血された血液のヘマトクリット値を測定する。このヘマトクリット値の測定は、例えば、自動血球計数装置等で行うことができる。そして、この測定されたヘマトクリット値を血液成分採取装置1の図示しない記憶部に記憶させる。なお、この供血者の血液のヘマトクリット値は、遠心ボウル20内の血液のヘマトクリット値を検出するときに用いられる。
【0071】また、血漿の採取を開始する前提として、第3のライン23と採血針29を抗凝固剤でプライミングし、その後、供血者に採血針(穿刺針)29を穿刺する。
【0072】■[血液成分採取工程]供血者から血漿を採取する際は、まず、第1の送液ポンプ11が所定速度(例えば、60.0ml/min)で血液の採取を開始する。このとき、抗凝固剤ポンプである第2の送液ポンプ12も同時に所定速度(例えば、第1の送液ポンプ11の速度の1/10)で抗凝固剤(例えば、ACD−A液)を供給する。
【0073】供血者から採取された血液はACD−A液と混合され、その血液とACD−A液との混合液(ACD加血液)が第1のライン21を流れ、チャンバー21d、第1の流路開閉手段51、第1のポンプチューブ21gを通過し、遠心分離器20に流入する。このとき、第1の流路開閉手段51および第2の流路開閉手段52は開いている。
【0074】遠心分離器20にACD加血液が供給されると、遠心分離器20に入っていた滅菌空気は第2のライン22を流れ、第2の流路開閉手段52を通過し、血漿採取バッグ25内に流入する。
【0075】また、血液成分採取工程の開始と同時に、遠心分離器20のローター142が所定速度(例えば、4800rpm)で回転を開始し、遠心分離器20は回転しながらACD加血液を供給され、遠心分離器20内では血液の遠心分離が行われる。これにより、血液は、内側から血漿層131、バフィーコート層(BC層)132、赤血球層133の3層に分離される。
【0076】そして、遠心分離器20の容量V0を越えるACD加血液が供給されると、遠心分離器20内は完全に血液により満たされ、遠心分離器20の流出口144から血漿が流出する。
【0077】流出した血漿は血漿採取バッグ25に採取される。ここで、重量センサ16により、血漿採取バッグ25に採取された血漿を血漿採取バッグ25ごと重量測定する。そして、重量センサ16は、この重量を示す重量信号を、制御部55へ送信し、制御部55では、この重量信号を受信することで、血漿が収容された血漿採取バッグ25の重量の情報を取得し、取得した前記情報と、予め入力された血漿採取バッグ25自体の重量とから、血漿の重量、すなわち、血漿の採取量を常時計測している。
【0078】ここで、制御部55では、常時、血漿採取回路2内に採取した血液の第1の採取量を検出し、この第1の採取量と、供血者の血液のヘマトクリット値と、遠心ボウル20内の血液の容量とに基づいて、前記遠心ボウル20内の血液のヘマトクリット値を求めている。
【0079】具体的には、遠心ボウル20内の血液のヘマトクリット値Hct1は、供血者の血液のヘマトクリット値をHct2、遠心ボウル20内の血液の容量をV1、前記第1の採取量をX1としたとき、下記式(1)より求められる。
【0080】Hct1=Hct2・X1/V1・・・(1)
【0081】なお、血液成分採取装置1では、上記式(1)の遠心ボウル20内の血液の容量V1を常時計測してもよいが、既知である遠心ボウル20の容積V0を前記遠心ボウル20内の血液の容量V1としてもよい。
【0082】また、制御部55では、第1の送液ポンプ11の送液量に基づいて、上記式(1)の第1の採取量X1を常時検出している。
【0083】具体的には、第1の送液ポンプ11の回転の開始から、前記第1の採取量X1を検出までに回転した第1の送液ポンプ11の回転数により、第1の送液ポンプ11の送液量が求まる。そして、この第1の送液ポンプ11の送液量が第1の採取量X1となる。
【0084】ここで、第1の採取量X1が増加することにより、遠心ボウル20内の血液のヘマトクリット値Hct1が増加する。そして、遠心ボウル20内の血液のヘマトクリット値が目標ヘマトクリット値に到達すると、ローター142の回転および第1の送液ポンプ11の回転を停止し、第2の流路開閉手段52を閉じ、この血液成分採取工程を終了する。なお、血液成分採取工程が終了すると、血液成分返還工程が行われる。
【0085】このようにして、遠心ボウル20内が赤血球層でほぼ一杯になる前に、血液成分採取工程を終了する。
【0086】このとき、遠心ボウル20内の血液の赤血球濃度は、遠心ボウル20内が赤血球層でほぼ一杯になったときよりも低いため、血液成分返還工程において、血液の返還速度を速くすることができる。これにより、血液成分採取工程の開始から血液成分返還工程が終了するまでに要する時間、すなわち、1サイクルに要する時間を短くすることができ、血漿の採取に要する全体の時間を短縮することができる。
【0087】また、血液成分採取装置1では、上記のような方法で供血者の血液のヘマトクリット値Hct1を検出するので、別途、供血者の血液のヘマトクリット値Hct1を検出する装置を設けることなく、既存の装置を用いて供血者の血液のヘマトクリット値Hct1を検出することができる。すなわち、血液成分採取装置1の構造を複雑にすることなく、供血者の血液のヘマトクリット値Hct1をモニタリングすることができる。
【0088】ここで、前記供血者の血液のヘマトクリット値Hct2は、前述したように、供血者から血液の採取を始める前に予め設定してもよいが、この血液成分採取工程で、供血者の血液のヘマトクリット値Hct2を検出(測定)して設定してもよい。
【0089】この場合、供血者の血液のヘマトクリット値Hct2は、光学センサ15により、界面B(例えば、血漿層131とバフィーコート層132)を検出したときに求められる。
【0090】制御部55では、界面検出時における血漿採取回路2内に採取した血液の第2の採取量を検出し、この第2の採取量と、界面検出時における遠心ボウル20内の赤血球層のヘマトクリット値と、界面検出時における遠心ボウル20内の赤血球層の容量とに基づいて、前記供血者の血液のヘマトクリット値を求めることができる。
【0091】具体的には、供血者の血液のヘマトクリット値Hct2は、界面検出時における遠心ボウル20内の赤血球層のヘマトクリット値をHct3、界面検出時における遠心ボウル20内の赤血球層の容量をV2、前記第2の採取量をX2としたとき、下記式(2)より求められる。
【0092】Hct2=Hct3・V2/X2・・・(2)
【0093】なお、上記式(2)の界面検出時における遠心分離器内の赤血球層のヘマトクリット値Hct3、および界面検出時における遠心ボウル20内の赤血球層の容量をV2は、経験則により設定された固定値(例えば、Hct3=85%、V2=212ml)である。
【0094】また、上記式(2)の第2の採取量X2は、第1の送液ポンプ11の送液量、すなわち、第1の送液ポンプ11の回転の開始から、界面検出時までに回転した第1の送液ポンプ11の回転数により求められる。
【0095】また、供血者の血液のヘマトクリット値Hct2は、各血液成分採取工程での界面検出時に毎回求めてもよいが、少なくとも1回最初の血液成分採取工程で求めればよい。最初の血液成分採取工程で求めれば、それ以降の血液成分採取工程で、最初の血液成分採取工程で求めた供血者の血液のヘマトクリット値Hct2を用いることができる。
【0096】このように、血液成分採取工程で供血者の血液のヘマトクリット値Hct2を検出すれば、血漿の採取を始める前に予め供血者の血液のヘマトクリット値Hct2を設定することなく、供血者の血液のヘマトクリット値Hct2を設定することができる。これにより、供血者の血液のヘマトクリット値Hct2を測定するための予備採血に要する時間や自動血球計数装置等の操作に要する時間を削減することができ、血漿の採取に要する全体の時間をさらに短縮することができる。
【0097】また、供血者の血液のヘマトクリット値Hct2を血漿の採取を始める前に予め設定する作業も削減することができる。
【0098】また、血漿の採取を始める前に予め供血者の血液のヘマトクリット値Hct2を設定できない場合、例えば、自動血球計装置等を使用できない場合でも、供血者の血液のヘマトクリット値Hct2を確実に設定することができる。
【0099】なお、血液成分採取工程中に、供血者の体外血液循環量が許容体外循環量に達したとき、または、濁度センサ14が血球成分の流出を検出したときは、ローター142の回転および第1の送液ポンプ11の回転を停止し、第2の流路開閉手段52を閉じ、この血液成分採取工程を終了する。そして、血液成分返還工程が行われる。
【0100】また、血液成分採取工程で、血漿の採取量が目標血漿採取量に到達したときは、ローター142の回転および第1の送液ポンプ11の回転を停止し、第2の流路開閉手段52を閉じ、この血液成分採取工程を終了させる。そして、血液成分返還工程が行われ、その血液成分返還工程が終了することで、供血者からの血漿の採取が終了する。
【0101】■[血液成分返還工程]遠心ボウル20内の血液を供血者へ返還する際は、遠心分離器20は回転を停止し、第1の流路開閉手段51、第2の流路開閉手段52は開放状態となり、この状態で第1の送液ポンプ11が逆回転(例えば、40.0〜100ml/min)する。これにより、遠心ボウル20内の血液は、遠心分離器側第1ライン21b、採血針側第1ライン21aを通り、採血針29より供血者へ返還される。
【0102】そして、採血針側第1ライン21aに取り付けられている第1の気泡センサ17により、チューブ内の空気の存在が確認されると、第1の気泡センサ17からチャンバー21d内にある血液を供血者へ返還するため、第1の送液ポンプ11の速度を一段階下げ(例えば、30.0ml/min)、第1の送液ポンプ11を所定回(例えば、10回)回転させる。
【0103】これにより、血漿採取回路2内の血液が、ほぼ全て供血者へ返還され、血液成分返還工程が終了し、次の血液成分採取工程が開始される。
【0104】また、血漿採取バッグ25に採取された血漿の採取量が、目標血漿採取量に到達していれば、この血液成分返還工程が終了することにより、供血者からの血漿の採取が終了する。
【0105】次に、血液成分採取工程の際の制御部55の制御動作について説明する。図3は、血液成分採取工程の際の制御部55の制御動作を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに基づいて説明する。
【0106】血液成分採取工程では、前述したように、まず、第1の送液ポンプ11を回転させ、供血者から血液を採取する。そして、採取された血液は、ACD−A液で混合され、遠心ボウル20に流入される。
【0107】次に、ローター142を回転させ、このローター142が回転している間、遠心ボウル20内に、ACD加血液が流入されつつ、遠心分離器20の流出口144から血漿が流出する。
【0108】流出された血漿は、血漿採取バッグ25に採取され、重量センサ16で計測される。制御部55では、前述したように、重量センサ16から取得した重量信号より、血漿の採取量を計測している。
【0109】また、この血漿の採取が開始されると同時に、血液成分採取工程では、図3に示すように、まず、供血者の血液のヘマトクリット値Hct2が設定されているか否かを判断し(ステップS101)、供血者の血液のヘマトクリット値Hct2が設定されていないときには、血漿を採取しつつ、光学センサ15により、界面Bを検出する(ステップS102)。
【0110】次に、界面検出時において第2の採取量X2を検出し、供血者の血液のヘマトクリット値Hct2を設定する(ステップS103)。なお、この供血者の血液のヘマトクリット値Hct2は、前述したように、第2の採取量X2と、既知である前記界面検出時における遠心ボウル20内の赤血球層のヘマトクリット値Hct3と、既知である前記界面検出時における遠心ボウル20内の赤血球層の容量V2とに基づいて、上記式(2)より求められる。
【0111】また、ステップS101において、供血者の血液のヘマトクリット値Hct2が設定されているとき、または、ステップS103において、供血者の血液のヘマトクリット値Hct2が設定されたときは、次に、血漿採取バッグ25に採取した血漿の採取量が、目標血漿採取量に到達したか否かを判断する(ステップS104)。
【0112】目標血漿採取量に到達していなければ、次に、遠心ボウル20内の血液のヘマトクリット値Hct1を検出する(ステップS105)。なお、この遠心ボウル20内の血液のヘマトクリット値Hct1は、前述したように、第1の採取量X1を検出し、この第1の採取量X1と、ステップS103において設定された供血者の血液のヘマトクリット値Hct2と、遠心ボウル20内の血液の容量をV1とに基づいて、上記(1)式より求められる。
【0113】次に、ステップS105で検出された遠心ボウル20内の血液のヘマトクリット値Hct1が目標ヘマトクリット値に到達したか否かを判断し(ステップS106)、目標ヘマトクリット値に到達していなければ、次に、供血者の体外血液循環量が許容体外循環量に到達したか否かを判断する(ステップS107)。
【0114】供血者の体外血液循環量が許容体外循環量に到達していなければ、次に、濁度センサ14が血球成分の流出を検出したか否かを判断し(ステップS108)、血球成分の流出を検出していなければ、ステップS104以降に戻り、再度ステップS104以降を実行する。
【0115】また、ステップS106において、遠心ボウル20内の血液のヘマトクリット値Hct1が目標ヘマトクリット値に到達しているときは、ローター142の回転および第1の送液ポンプ11の回転を停止させ、第2の流路開閉手段52を閉じ、血液成分採取工程を終了する。そして、次に、血液成分返還工程を行い、前述したように、この血液成分返還工程では、血液の返還速度を速くすることができる。
【0116】また、ステップS107において、供血者の体外血液循環量が許容体外循環量に到達しているとき、または、ステップS108において、濁度センサ14が血球成分の流出を検出したときは、ローター142の回転および第1の送液ポンプ11の回転が停止させ、第2の流路開閉手段52を閉じ、血液成分採取工程を終了する。そして、次の血液成分返還工程を行う。
【0117】また、血漿の採取量が目標血漿採取量に到達していれば、ローター142の回転および第1の送液ポンプ11の回転が停止させ、第2の流路開閉手段52を閉じ、この血液成分採取工程を終了する。そして、血液成分返還工程を行い、この血液成分返還工程が終了することで、供血者からの血漿の採取が終了する。
【0118】以上説明したように、この血液成分採取装置1によれば、遠心ボウル20内の血液が赤血球層でほぼ一杯になる前に血液の返還を開始するので、血液の返還速度を速くすることができる。このため、血漿の採取に要する全体の時間を短縮することができる。
【0119】また、血液成分採取工程で供血者の血液のヘマトクリット値Hct2を検出することができるので、血漿の採取を始める前に予め供血者の血液のヘマトクリット値Hct2を設定する必要がなく、血漿の採取に要する全体の時間をさらに短縮することができる。
【0120】これにより、供血者の拘束時間やベットの占有時間を短縮することができ、また、供血者への負担を軽減することができる。
【0121】また、遠心ボウル20内の血液が赤血球層でほぼ一杯になる前に血液の返還を開始すると、1サイクル当りに採取する血漿の採取量が少なくなり、これによりサイクル数が増加することもあり得るが、サイクル数が増加しても、1サイクル当りに要する時間が短縮されることで、血漿の採取に要する全体の時間を短縮することができる。
【0122】以上、本発明の血液成分採取装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
【0123】また、本実施形態では、血液成分採取装置は、遠心分離器内の血液のヘマトクリット値が所定値に到達した場合に、血漿の採取を終了し、遠心分離器内の血液を供血者へ返還するよう構成されているが、本発明では、これに限らず、遠心分離器内の血液のヘマトクリット値が所定範囲に到達した場合に、血漿の採取を終了し、遠心分離器内の血液を供血者へ返還するよう構成されていてもよい。
【0124】前記所定範囲は、特に限定されないが、例えば、前記所定値を基準に±5%程度の範囲とするのが好ましい。すなわち、前記所定値をNとしたとき、前記所定範囲は、N−5〜N+5%程度とするのが好ましい。
【0125】また、本実施形態では、血液成分採取装置を血漿採取装置に適応した場合について説明したが、本発明では、これに限らず、例えば、血小板や、血小板および血漿を採取する血液成分採取装置にも適応することができる。
【0126】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0127】<実施例>図1に示す実施形態の血液成分採取装置1を用いて、供血者から血漿を採取し、その血漿の採取に要する全体の所要時間を測定した。
【0128】この測定において、目標ヘマトクリット値を60%、65%、70%および75%とした。
【0129】また、血液成分採取工程と、その血液成分採取工程後の血液成分返還工程との2工程で1サイクルとし、血漿の採取が終了するまでに要するサイクルの数をサイクル数とした。
【0130】また、この測定において、供血者の血液のヘマトクリット値は45%であり、目標血漿採取量は500mlとした。
【0131】また、遠心ボウル20の容量は230mlとした。また、最後のサイクルを除いて、各サイクルにおける血液の返還速度の平均値を求めた。
【0132】また、各サイクルで設定し得る血液の返還速度の最大値は、90.0ml/minとした。
【0133】前記血漿の採取に要する全体の所要時間、サイクル数および血液の返還速度の平均値について下記表1に示す。
【0134】<比較例>血液成分採取工程において、遠心ボウル内が赤血球層で一杯になるまで血漿を採取するよう構成されている血液成分採取装置を用いて、供血者から血漿を採取し、その血漿の採取に要する全体の所要時間を測定した。
【0135】この測定においては、遠心ボウル内が赤血球層で一杯になるまで血漿を採取した後、血液の返還を開始した。その他の条件は、前記実施例と同様とした。なお、遠心ボウル内が赤血球層で一杯になったときの遠心ボウル内の血液のヘマトクリット値は78%であった。
【0136】前記血漿の採取に要する全体の所要時間、サイクル数および血液の返還速度の平均値について下記表1に示す。
【0137】
【表1】

【0138】<評価>実施例では、表1に示すように、平均の返還速度が速く、全体の所要時間が短い。
【0139】これに対し、血液成分採取工程において遠心ボウル内が血漿層で一杯になるまで血漿を採取する比較例では、表1に示すように、平均の返還速度が遅く、全体の所要時間が長い。
【0140】特に、実施例では、比較例と比べて、サイクル数が多くなる場合があっても、全体の所要時間は短い。
【0141】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、血液の返還速度を速くすることができ、より短時間で所定の血液成分(例えば、血漿)を採取することができる。
【0142】これにより、供血者の拘束時間やベットの占有時間を短縮することができ、また、供血者への負担を軽減することができる。
【0143】また、所定の血液成分を採取する際、供血者の血液のヘマトクリット値を求める場合には、血漿の採取に要する時間をさらに短縮することができる。
【出願人】 【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
【出願日】 平成13年3月28日(2001.3.28)
【代理人】 【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
【公開番号】 特開2002−291876(P2002−291876A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−94252(P2001−94252)