| 【発明の名称】 |
体液吸引容器 |
| 【発明者】 |
【氏名】浅井 秀昭
【氏名】原 桂
【氏名】原田 新悦
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| 【要約】 |
【課題】外科手術後の創部からの滲出液を創部に高い吸引圧が掛ることや吸引の途中で吸引圧が急激に低下することが無く、効率良く体外へ吸引排出できる極めて有用な体液吸引容器を提供する。
【解決手段】容器を圧縮することで容器内の空気を排出することで容器内に吸引圧を発生させ体液を容器内へ吸引する容器であって、軟質の袋状の部材の内側に硬質で少なくとも4つの屈曲可能な部位を有する閉鎖した管状の部材とこの屈曲可能な部位に設置され管状の部材を押し広げる復元手段を有することで一定の吸引圧で体液を容器内に吸引することができる体液吸引容器。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 容器を圧縮し内部の空気を排出した後に圧縮された形状が復元することで内部に吸引圧を発生させ体液を吸引する容器であって、軟質の袋状の部材の内側に硬質で少なくとも2つの屈曲可能な部位を有する2枚の互いに向かい合う板状の部材と、この2枚の板状の部材を連結するように設置され2枚の板状の部材を押し広げ容器の形状を復元させる復元手段からなる容器において、復元手段の応力の合成成分の方向が容器の圧縮・復元方向と同一方向にないことを特徴とする体液吸引容器。 【請求項2】 復元手段がねじりコイルバネである請求項1記載の体液吸引容器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、外科手術等の後の創部に留置したチューブやカテーテルに接続し、創部に貯留する滲出液を吸引して体外へ排出するための体液吸引容器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】体液吸引容器は、外科手術後の数日間、患者の肩から吊り下げたりして携帯して使用されることもあるため、小型で携帯性に優れていることが求められ、このような容器としては、円形の2枚の板の間に円筒状の押しバネを設置し、2枚の板を軟質の部材で気密に接続したものや、軟質の袋状の部材の中に2枚の板状の部材を2つの関節にて固定し、2枚の板の間に円錐コイル状の押しバネを設置したものが用いられており、これらはいずれも2枚の板を圧縮し、押しバネの復元力によって吸引圧を発生させるものである。 【0003】円筒状の押しバネは復元初期の力が強くその後直線的に復元力が減少するし、円錐コイル状の押しバネでは指数関数的に復元力が減少する為、これらの容器の吸引圧は必然と復元の初期に高く、急激に吸引圧が低下してしまい、容器の内の容積一杯に体液を吸引しようとすると比較的強い復元力を有する押しバネが必要で、初期の吸引圧が必要以上に高くなり吸引初期に創部に大きな吸引圧が掛り、出血や痛みが生じたり、カテーテルやチューブ内へ生体組織を取り込んでしまいチューブやカテーテルが閉塞し易くなるという問題点があった。 【0004】また、初期吸引圧を低く設定すると容器の復元の後半では吸引圧の低下が著しく、充分な滲出液の吸引ができず、体内での血腫の形成やカテーテルやチューブ内で滲出液が凝固し、閉塞し易いという問題を生じ、充分な滲出液の吸引を達成する為には容器の容積を大きくする必要があり携帯性に欠けるという問題があった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は排液吸引容器のこのような問題点を解決するために種々検討した結果なされたもので、その目的とするところは、吸引圧をいかに一定にするかであり、それが達成できれば、手で容器を大きな力を掛けることなく圧縮しても容易に吸引圧を発生させることが可能で、初期の段階で創部に高い吸引圧が掛ることや吸引の途中で吸引圧が急激に低下することが無く、容器の容積を効率良く使用して体内の滲出液を体外へ吸引することが可能な小型で携帯性に優れる体液吸引容器を提供できる。 【0006】 【課題を解決するための手段】そこで本発明者は種々のバネによる吸引圧を検討したところ、コイルバネの圧縮による応力を利用する従来の方法でなく、コイルバネのねじりによる応力を利用することで、吸引圧が従来に比べて一定になることを見出した。そしてさらに検討を加えて本発明に至った。 【0007】即ち本発明は、(1)容器を圧縮し内部の空気を排出した後に圧縮された形状が復元することで内部に吸引圧を発生させ体液を吸引する容器であって、軟質の袋状の部材の内側に硬質で少なくとも2つの屈曲可能な部位を有する2枚の互いに向かい合う板状の部材と、この2枚の板状の部材を連結するように設置され2枚の板状の部材を押し広げ容器の形状を復元させる復元手段からなる容器において、復元手段の応力の合成成分の方向が容器の圧縮・復元方向と同一方向にないことを特徴とする体液吸引容器、(2)復元手段がねじりコイルバネである(1)記載の体液吸引容器である。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、図面をもとに本発明について詳細に説明する。図1は本発明の一実施例となる体液吸引容器の構造を示す正面図、図2は容器拡張時の長手方向の中央断面図、図3は容器収縮時の容器長手方向の中央断面図、図4は硬質の板(4)と復元手段(5)との接続部を示す拡大図、図5は硬質の板(4)に設置された復元手段(5)を示し、さらに図6は復元手段(5)と硬質の板(4)との固定部の拡大図を示すものである。 【0009】本発明による体液吸引容器は体内の滲出液を吸引するための創部に留置されたチューブやカテーテルと接続するための吸引ポート(1)と体液吸引容器内に集液した体液を容器から排出するための排液ポート(2)が接続され気密を維持するようにシールされた軟質の袋状の部材(3)、袋状の部材(3)の内側に設けられた多角形の板で、容器の拡張時に板を略コの字状に屈曲させることが可能で、収縮時にはほぼ平坦にすることを可能にする2つの溝(15)を持ち、お互いに向かい合うように配置された一対の硬質の板(4)、一対の硬質の板(4)の間に設置された復元手段(5)から構成されてる。 【0010】吸引ポート(1)の容器内側の端には容器内から容器に接続されたカテーテルやチューブへの気体や液体の移動を防止する為の一方弁(6)が取り付けられており、排液ポート(2)には着脱可能で気密にシール可能な蓋(7)が設置され、蓋(7)は蓋(7)から延長され軟質の袋状部材(3)に接続された固定ベルト(8)を持ち、さらに蓋(7)をはめ込み固定できる軟質の袋状部材上部に設けられた蓋固定穴(9)を有し、排液ポート(2)の容器内には排液時完全に容器内の体液を排液ポートのチューブに導く為のスリット状の溝(11)を有する。 【0011】硬質の板(4)には復元手段を固定する為の復元手段固定突起(13)と復元手段固定溝(14)及び容器を圧縮した状態で一時的に固定可能でき、硬質の板(4)の両端の部分を上下に相反する方向にねじることで固定が容易に解除できる容器固定突起(12)を向かい合う硬質の板(4)の一枚に有し、容器固定突起(12)と勘合する容器固定穴(16)を向かい合う硬質の板(4)のもう一枚にそれぞれに有する。さらに軟質の部材からなる袋状の部材(3)の上部には糸や包帯を通すことで容器をベッドや患者の肩から吊り下げることが可能な吊り下げ穴(10)を有する。 【0012】吸引ポート(1)のカテーテルまたはチューブとの接続部は竹の子状の構造を有しており材質は熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂からなる硬質の材料で、特に限定はしないがポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂などが利用できる。また吸引ポート(1)のカテーテルまたはチューブとの接続部は接続するカテーテルやチューブの外径より小さい内径を有する弾性体からなるチューブであっても良く、シリコーン樹脂、イソプレーンゴム、天然ゴム、熱可塑性エラストマーなどが利用できる。 【0013】吸引ポート(1)の容器内側に接続される一方弁(6)はダックビル弁や薄いシートを筒状にしたシート状の弁などが利用でき、材質はダックビル弁ではシリコーンゴムや天然ゴム、イソプレーンゴム、ポリウレタンエラストマーなどの熱可塑性エラストマーが利用できる。シート状の弁では熱可塑性樹脂が利用できるが、弁が閉鎖しているとき筒状のシートの内腔でシートが粘着すると弁の開放が困難になるためポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが好ましい。排液ポート(2)は内径5〜20mmであることが好ましい。 【0014】その理由は容器内に集液した排液は容器内で凝固物を形成しやすく内径が小さいとつまりを生じやすいためであり、また必要以上に大きいと気密にシールすることが難しくなるし、容器の大きさを必要以上に大きくしてしまい容器を携帯することが難しくなるためである。排液ポート(2)の材質は熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーが利用でき特にポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリルニトリルブタジエンスチレン共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂などが利用できる。 【0015】排液ポートに設置する蓋(7)は排液ポートと気密にシールされることが重要で比較的柔軟な弾性を有する材料が望ましく、熱可塑性エラストマーや様々なゴムが利用可能で中でもスチレンブタジエン共重合体、スチレンブタジエンエチレン共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、天然ゴム、イソプレーンゴムなどが望ましい。さらに排液ポート(7)には蓋(7)を軟質の袋状部材(3)に固定する固定ベルト(8)を設けることも好ましく、材質は蓋(7)と同質の材質で一体成形されていても良いし、熱可塑性樹脂からなる材質で蓋(7)と袋状部材(3)を連結する構造であっても良い。また袋状部材(3)の上部には排液時に蓋(7)が体液に触れて汚れるのを防止するため、蓋(7)を嵌め込んで固定できる蓋固定穴(9)を設けても良い。 【0016】軟質の袋状の部材(3)は、容器の自由な収縮と拡張を可能とする材質であることが望ましく、熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、イソプレーンゴムなどが利用できるが、特に気密なシールが容易に可能な点でポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエチレン樹脂などが望ましい。硬質の板(4)の厚さは板の材質や容器全体の容量にもよるが復元手段の復元力で発生する吸引圧で曲がりや歪を生じることがない厚みが望ましく、1〜5mmの厚みが好ましい。また材質は体液吸引容器が携帯して用いられることを考慮するとできるだけ軽量の材質が望ましく、加工性と吸引圧に耐える強度を考慮すると熱可塑性樹脂が好ましく、中でもポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリルニトリルブタジエンスチレン共重合体樹脂、ポリプロピレン樹脂などが適している。板に設ける2本の溝は容器の拡張字に略コの字型に板を変形させる折り目となる溝であって、【0017】変形させたい略コの字型の形状と板の厚みによるが、板の厚みの1/5〜2倍の巾で深さが板の厚みの1/5〜1/2であることが望ましい。また、硬質の板(4)は2枚の板から作製することも可能であるが、一枚の板に少なくとも5箇所の屈曲可能な溝を設け一体成形することも可能である。復元手段(5)は容易に容器を手で圧縮できる圧縮応力を有しかつ容器の収縮・拡張の動きと協働して吸引初期から吸引末期までの間に渡り比較的一定の吸引圧を与えるバネであって、このような特性を有するバネとしては、ねじりコイルバネや板バネなどが使用でき、圧縮時には平坦な形状で拡張時には略コの字型に拡張する向かい合う2枚の板と軟質の袋状の部材からなる構造の容器では特にねじりコイルバネが好ましい。 【0018】この理由は明確ではないが、このような構造の容器においては円筒コイルバネや円錐状のコイルバネは容器を拡張するときに、コイルバネの応力の方向と容器が圧縮・復元する方向がコイルバネのコイル中心線と同一方向にある為、容器の吸引圧はコイルバネの復元応力の減衰特性を直接反映し、吸引初期で高く急激に減少する傾向にある。しかしながらこのような構造の容器に例えばねじりコイルバネを用いると、ねじりコイルバネの応力はコイルの円周方向に円を描くように発生するため、容器が圧縮・復元する方向及びコイル中心線の方向と同一でない。そのために一定の復元力が容器の復元方向に発生し、吸引初期から吸引末期まで一定の吸引圧が得られるものと考えられる。 【0019】復元手段(5)にねじりコイルバネを使用する場合、容器の携帯性を考慮するとそのコイル部の巻き外径は小さいことが望ましい。1〜20mmのものが好ましく、バネ線の太さは使用するバネ線の弾性と使用するバネ線の材質及び設定する吸引圧にもよるがバネ用ステンレス鋼線を用いた場合0.3〜3mmのものが利用できる。使用するバネ線の材質は金属及び非金属が利用できるが、小型の形状で体内創部から滲出を充分吸引する吸引力が得られることや複数回の圧縮・拡張に対する耐久性及び体液との接触に対する耐腐食性を考慮すると、バネ用ステンレス鋼線が好ましい。 【0020】設定する吸引圧は創部の大きさや滲出液の量及び容器の吸引容量にもよるが、創部の吸引による出血やカテーテルやチューブ内への過剰な組織の吸引を防止し、効率良く滲出液を吸引するには−40〜−200mmHgの範囲の吸引圧が利用でき、特に−40〜−100mmHgの範囲がより好ましい。体液吸引容器の容量は用いる創部の大きさにもよるが最も多く使用される乳癌や甲状腺、関節及び頭部の手術後では50〜500mLの間のものが使用でき、癌の診断技術の進歩や低侵襲手術の普及で近年特に低容量化が進み、術後の滲出液の量が少なくなってきており、携帯性も考慮すると50〜250mLのものが好ましい。 【0021】 【発明の効果】以上のように、本発明による体液吸引容器は、手で容器を圧縮することにより容易に吸引圧を発生させることが可能で、吸引圧が比較的一定で創部に高い吸引圧が掛ることや吸引の途中で吸引圧が急激に低下することが無く、容器の容積を効率良く使用して体内の滲出液を体外へ吸引することが可能な小型で携帯性に優れる極めて有用な体液吸引容器である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002141 【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月30日(2001.3.30) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−291869(P2002−291869A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月8日(2002.10.8) |
| 【出願番号】 |
特願2001−98599(P2001−98599) |
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