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【発明の名称】 留置針組立体
【発明者】 【氏名】村下 尊人

【要約】 【課題】構造の複雑化、大径化を伴わず、簡単な操作で使用後の内針の針先を覆うことができ、廃棄処理等に際し安全性の高い留置針組立体を提供すること。

【解決手段】留置針組立体1は、留置針である外針21と外針ハブ22とで構成されたハブ付き外針2と、外針21内に挿入して使用される内針31と内針ハブ32とで構成されたハブ付き内針3と、内針31の針先311を覆うプロテクタ4と、外針ハブ22とプロテクタ4とを連結する連結部材7とを有する。ハブ付き外針2に対しハブ付き内針3を相対的に基端方向に移動すると、プロテクタ4は、内針31に対し相対的に先端方向に移動し、針先311を覆う第2の姿勢に変位する。第2の姿勢のとき、プロテクタ本体5の第1の部位51は、内針31に対して傾斜角度が小さくなり、ブレーキ機能を発揮して、内針31に対する相対的な移動を禁止(阻止)する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 先端に鋭利な針先を有する内針と、前記内針の基端側に設置された内針ハブと、前記内針が挿入可能な中空の外針と、前記外針の基端側に設置された外針ハブと、前記内針に装着され、かつ前記内針の軸方向に移動可能なプロテクタと、前記外針ハブと前記プロテクタとを連結する連結手段とを備えた留置針組立体において、前記プロテクタは、前記内針が貫通可能な孔が形成された少なくとも一つのブレーキ部を有し、かつ、前記内針の軸方向に移動可能な第1の姿勢から、前記内針の針先を覆った状態で前記内針の軸方向への移動が規制される第2の姿勢へ変形するものであって、前記ブレーキ部は、前記第2の姿勢のとき、該ブレーキ部の長手軸方向と前記内針の軸方向とに形成される角度が第1の姿勢のときより小さくなることによって、前記孔の内周面と前記内針の表面との間の摩擦力を発生または増大させ、前記プロテクタの前記内針の軸方向への移動を規制するものであり、前記連結手段は、前記プロテクタが前記第2の姿勢に変形することによって、前記外針ハブと前記プロテクタとの連結が解除されるものであることを特徴とする留置針組立体。
【請求項2】 前記プロテクタは、前記ブレーキ部の長手軸方向と前記内針の軸方向とに形成される角度が小さくなるように前記ブレーキ部を付勢する付勢手段と、前記第1の姿勢のとき、前記内針に対する前記ブレーキ部の傾斜を規定する傾斜規定手段とを有し、前記内針の先端部まで移動したときに前記傾斜規定手段による規定が解除され、これにより前記第1の姿勢から前記第2の姿勢になるよう構成されている請求項1に記載の留置針組立体。
【請求項3】 前記プロテクタは、弾性を有する板状部材を変形してなり、前記孔と、前記内針が貫通可能な第2の孔と、前記孔および前記第2の孔より針先側に形成された前記内針に対する係合部とを有するプロテクタ本体を備えており、前記プロテクタは、前記第1の姿勢のとき、前記内針が前記孔および前記第2の孔を貫通し、前記係合部が前記内針と係合しており、その状態から前記内針に対し相対的に先端方向に移動して前記係合部と前記内針との係合が解除されることにより、弾性的に変形して前記第1の姿勢から前記第2の姿勢となるよう構成されている請求項1または2に記載の留置針組立体。
【請求項4】 前記プロテクタ本体は、全体形状としてほぼS字状をなし、前記孔は、前記プロテクタ本体のほぼ中央部に形成されており、前記第2の孔は、前記プロテクタ本体の針元側に形成されている請求項3に記載の留置針組立体。
【請求項5】 前記プロテクタは、前記プロテクタ本体の少なくとも一部を覆うカバー部を備え、前記第2の姿勢において前記カバー部に基端方向および/または先端方向の外力を付与したとき、前記第2の孔近傍の板状部材に対し、前記第2の孔近傍の板状部材と前記内針の軸方向とに形成される角度を小さくするような力を作用する手段を有しており、前記カバー部は、前記第2の姿勢において前記プロテクタ本体の先端部を先端方向に移動させる操作を妨げる機能を有する請求項3または4に記載の留置針組立体。
【請求項6】 前記連結手段は、前記プロテクタと前記外針ハブとが分離するときに破断する破断部を有する請求項1ないし5のいずれかに記載の留置針組立体。
【請求項7】 前記連結手段は、前記外針ハブに設けられ、前記プロテクタの一部が係合し得る係止部で構成され、前記プロテクタが前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変形することによりその係合が解除される請求項1ないし5のいずれかに記載の留置針組立体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、留置針組立体に関する。より詳しくは、例えば、輸液や採血の際に血管に穿刺して使用される留置針組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】患者に対し輸液を行う際などには、輸液ラインと接続される留置針を患者の血管に穿刺し、留置してこれを行う。このような留置針は、中空の外針と、外針の基端に固着された外針ハブと、前記外針内に挿入され、先端に鋭利な針先を有する内針と、内針の基端に固着された内針ハブとで構成されている。
【0003】この留置針を患者の血管に穿刺する際には、内針を外針内に挿入し、内針の針先を外針の先端から突出させた状態で穿刺操作を行う。そして、内針の針先が血管内に到達すると、針先の開口より流入した血液は、内針の内腔を通り、透明な内針ハブの内部に流入する(フラッシュバック)。これにより、内針が血管を確保したことが確認できる。
【0004】このフラッシュバックを確認したら、内針および外針をわずかに進め、外針の先端を血管内に挿入する。次いで、外針を手で把持しつつ、内針を外針から抜き取り、外針ハブに輸液ラインのコネクタを接続する。そして、接続された輸液ラインおよび外針を介して輸液の投与を行う。
【0005】ところで、外針から抜き取られた内針は、不要となるため、廃棄に供されるが、これをそのまま廃棄すると、廃棄作業者等が誤って内針の針先で指等を刺すという事故が起きるおそれがある。特に、内針の表面や内部には、血液が付着、残留しているため、このような誤刺により、感染を起こすおそれもある。
【0006】従って、使用済みの内針は、針先が刺さらないような硬質の頑丈な専用容器に収納して廃棄することが好ましいが、そのような専用容器を常に携帯して各患者のもとに持ち運ぶことは、業務の効率化の観点から困難であるため、現状では、使用済みの内針は、留置針キットを収納していた開封済みの包材に入れて廃棄するか、あるいは、針先にキャップを被せて破棄するなどの対策がとられている。
【0007】しかしながら、このような内針を包材で包む作業やキャップを被せる作業に際しても、内針に付着、残留している血液が作業者の手に着いたり、内針の針先で作業者の手を誤刺したりしないようにするために、細心の注意を払わねばならず、使用後の内針の廃棄処理に多大な手間を要するという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、構造の複雑化、大径化を伴わず、簡単な操作で使用後の内針の針先を覆うことができ、廃棄処理等に際し安全性の高い留置針組立体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記(1)〜(10)の本発明により達成される。
【0010】(1) 先端に鋭利な針先を有する内針と、前記内針の基端側に設置された内針ハブと、前記内針が挿入可能な中空の外針と、前記外針の基端側に設置された外針ハブと、前記内針に装着され、かつ前記内針の軸方向に移動可能なプロテクタと、前記外針ハブと前記プロテクタとを連結する連結手段とを備えた留置針組立体において、前記プロテクタは、前記内針が貫通可能な孔が形成された少なくとも一つのブレーキ部を有し、かつ、前記内針の軸方向に移動可能な第1の姿勢から、前記内針の針先を覆った状態で前記内針の軸方向への移動が規制される第2の姿勢へ変形するものであって、前記ブレーキ部は、前記第2の姿勢のとき、該ブレーキ部の長手軸方向と前記内針の軸方向とに形成される角度が第1の姿勢のときより小さくなることによって、前記孔の内周面と前記内針の表面との間の摩擦力を発生または増大させ、前記プロテクタの前記内針の軸方向への移動を規制するものであり、前記連結手段は、前記プロテクタが前記第2の姿勢に変形することによって、前記外針ハブと前記プロテクタとの連結が解除されるものであることを特徴とする留置針組立体。
【0011】(2) 前記プロテクタは、前記ブレーキ部の長手軸方向と前記内針の軸方向とに形成される角度が小さくなるように前記ブレーキ部を付勢する付勢手段と、前記第1の姿勢のとき、前記内針に対する前記ブレーキ部の傾斜を規定する傾斜規定手段とを有し、前記内針の先端部まで移動したときに前記傾斜規定手段による規定が解除され、これにより前記第1の姿勢から前記第2の姿勢になるよう構成されている上記(1)に記載の留置針組立体。
【0012】(3) 前記プロテクタは、弾性を有する板状部材を変形してなり、前記孔と、前記内針が貫通可能な第2の孔と、前記孔および前記第2の孔より針先側に形成された前記内針に対する係合部とを有するプロテクタ本体を備えており、前記プロテクタは、前記第1の姿勢のとき、前記内針が前記孔および前記第2の孔を貫通し、前記係合部が前記内針と係合しており、その状態から前記内針に対し相対的に先端方向に移動して前記係合部と前記内針との係合が解除されることにより、弾性的に変形して前記第1の姿勢から前記第2の姿勢となるよう構成されている上記(1)または(2)に記載の留置針組立体。
【0013】(4) 前記プロテクタ本体は、全体形状としてほぼS字状をなし、前記孔は、前記プロテクタ本体のほぼ中央部に形成されており、前記第2の孔は、前記プロテクタ本体の針元側に形成されている上記(3)に記載の留置針組立体。
【0014】(5) 前記プロテクタは、前記プロテクタ本体の少なくとも一部を覆うカバー部を備え、前記第2の姿勢において前記カバー部に基端方向および/または先端方向の外力を付与したとき、前記第2の孔近傍の板状部材に対し、前記第2の孔近傍の板状部材と前記内針の軸方向とに形成される角度を小さくするような力を作用する手段を有しており、前記カバー部は、前記第2の姿勢において前記プロテクタ本体の先端部を先端方向に移動させる操作を妨げる機能を有する上記(3)または(4)に記載の留置針組立体。
【0015】(6) 前記カバー部は、前記第2の孔近傍の板状部材から連続して設けられている上記(5)に記載の留置針組立体。
【0016】(7) 前記プロテクタが前記第2の姿勢となった状態から、さらに前記内針ハブを前記外針ハブに対し相対的に基端方向に移動することにより、前記外針ハブと前記プロテクタとが分離する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の留置針組立体。
【0017】(8) 前記外針ハブと前記プロテクタとを分離するのに必要な力は、前記第2の姿勢における前記プロテクタの前記内針に対する摺動抵抗力より小さい上記(7)に記載の留置針組立体。
【0018】(9) 前記連結手段は、前記プロテクタと前記外針ハブとが分離するときに破断する破断部を有する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の留置針組立体。
【0019】(10) 前記連結手段は、前記外針ハブに設けられ、前記プロテクタの一部が係合し得る係止部で構成され、前記プロテクタが前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変形することによりその係合が解除される上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の留置針組立体。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の留置針組立体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0021】<第1実施形態>図1および図2は、それぞれ、本発明の留置針組立体の第1実施形態を示す縦断面図、図3は、図1中のX−X線視図、図4および図5は、それぞれ、図1および図2に示す留置針組立体が備えるプロテクタを示す縦断面図である。なお、以下では、図1、図2、図4および図5中の右側を「先端」、左側を「基端」、上側を「一端」、下側を「他端」として説明する。
【0022】これらの図に示す留置針組立体1は、外針と内針とを備えるもので、特に、輸液用の留置針組立体を構成するものであり、留置針である外針21と、外針21の基端側に設けられた外針ハブ22とで構成されたハブ付き外針2と、外針21内に挿入して使用される内針31と、内針31の基端側に設けられた内針ハブ32とで構成されたハブ付き内針3と、内針31の針先311を収納可能な(覆う)プロテクタ4とを備えている。以下、各部の構成について説明する。
【0023】外針21は、中空状をなし、ある程度の可撓性を有するものが好ましく用いられる。外針21の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリウレタン、ポリエーテルナイロン樹脂等の各種軟質樹脂が好ましい。
【0024】このような外針21は、その全部または一部が内部の視認性を有していてもよい。また、外針21の構成材料中に、例えば硫酸バリウム、炭酸バリウムのようなX線造影剤を配合し、造影機能を持たせることもできる。
【0025】外針21の先端部は、生体への穿刺を容易かつ低侵襲で行うために、外径が先端方向に向かって漸減するテーパ状をなしている。
【0026】外針21の基端部には、外針ハブ22が液密に固着され、外針21の内腔と外針ハブ22の内部とが連通している。外針ハブ22は、ほぼ筒状の部材であり、基端方向に向かってその外径および内径が漸増するテーパ状をなしている。
【0027】この外針ハブ22は、好ましくは透明(無色透明)、着色透明または半透明の樹脂で構成され、内部の視認性が確保されている。
【0028】外針21は、外針ハブ22に対し、例えば、カシメ、融着(熱融着、高周波融着等)、接着剤による接着等の方法により、固定されている。
【0029】内針31は、中空針であり、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような金属材料で構成されている。内針31の先端部には、鋭利な針先311が形成されている。この針先311の形状は特に限定されず、本実施形態では、内針31の軸線に対し所定角度傾斜した刃面を有する形状をなしている。
【0030】この内針31は、外針21の内腔に挿入された状態、すなわち図1に示す状態で使用される。以下、この状態を「組み立て状態」と言う。
【0031】内針31の長さは、組み立て状態としたとき、少なくとも針先311が外針21の先端開口211から突出する程度の長さとされる。
【0032】内針31の基端部は、内針ハブ32の先端部と固着され、内針31の内腔は、内針ハブ32の内部空間と連通している。内針ハブ32は、ほぼ円筒状の中空部材で構成されている。
【0033】内針31の内針ハブ32に対する固定方法は、例えば、嵌合、カシメ、融着、接着剤による接着等の方法、あるいはこれらを併用した方法が挙げられる。
【0034】この内針ハブ32は、好ましくは透明(無色透明)、着色透明または半透明の樹脂で構成され、内部の視認性が確保されている。これにより、針先311が血管を確保した際、内針31を介して流入する血液のフラッシュバックを目視で確認することができる。
【0035】また、内針ハブ32の基端部の開口には、該開口を覆うように、通気フィルタ321が設置されている。この通気フィルタ321は、気体は透過するが液体は遮断する性質を有するものである。
【0036】通気フィルタ321の具体例としては、例えば、各種焼結多孔体、疎水性不織布、その他の多孔質体が挙げられる。この場合、焼結多孔体としては、例えばポリエチレン等の高分子材料(粉末)と、親水性(水溶性、水膨潤性)ポリマーとを含む材料を焼結したものが好ましい。この焼結多孔体を用いると、液体(血液)との接触により通気も遮断されるので、外部からの空気の侵入を防止することができる。
【0037】外針ハブ22および内針ハブ32の構成材料は、特に限定されず、それぞれ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、アクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アイオノマー、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の各種樹脂材料が挙げられる。
【0038】プロテクタ4は、弾性(弾力性)を有する板状部材を変形して(曲げ加工して)形成されたプロテクタ本体5を有しており、内針31に装着されている。
【0039】このプロテクタ4は、プロテクタ4に対する内針31の移動を可能とする(内針31に対し軸方向に沿って相対的に移動可能な)第1の姿勢(図1および図4に示す姿勢)と、内針31の針先311を覆い、その針先311の通過を阻止する(内針31の軸方向に沿った相対的な移動が禁止される)第2の姿勢(図2および図5に示す姿勢)とに変形(変位)する。以下、プロテクタ4について説明する。
【0040】プロテクタ4のプロテクタ本体5は、ほぼ中央に位置する第1の部位(ブレーキ部)51と、針元側(基端側)に位置する第2の部位52と、針先側(先端側)に位置する第3の部位53と、第1の部位51と第2の部位52との他端部同士を接続する後方接続部54と、第1の部位51と第3の部位53との一端部同士を接続する前方接続部55とを有している。これにより、プロテクタ本体5は、全体形状としてほぼS字状をなしている。
【0041】プロテクタ本体5の第1の部位51には、ほぼ円形をなす第1の孔41(孔)が設けられており、第2の部位52には、第2の孔42が設けられており、第3の部位53には、第3の孔(係合部)43が設けられている。これら第1の孔41、第2の孔42および第3の孔43は、それぞれ、内針31が貫通可能な孔になっている。
【0042】また、図示の構成では、第3の部位53の他端部には、内側(基端側)に湾曲する湾曲部56が形成されている。
【0043】本実施形態では、プロテクタ4は、このようなプロテクタ本体5を覆うカバー部6を有している。このカバー部6は、対向する一対の側壁部(側板)61、61と、両側壁部61、61を連結する連結壁62とで構成されている。
【0044】カバー部6の側壁部61、61は、それぞれ、プロテクタ本体5を形成する板状部材に対してほぼ垂直に配置されている。すなわち、両側壁部61、61は、ぼほ平行に設置されており、それらの間に、空間63が形成されている。
【0045】この空間63内には、プロテクタ本体5の第1の部位51、第3の部位53、前方接続部55および湾曲部56が挿入、収納されている。すなわち、側壁部61、61は、プロテクタ本体5のうちのこれら部分を側方から覆っている。
【0046】カバー部6の連結壁62は、第2の部位52の一端部から屈曲(または湾曲)してほぼ先端方向に延びるように、第2の部位52の一端部から連続して形成されている。すなわち、連結壁62は、プロテクタ本体5を一端側から覆っている。この連結壁62は、側壁部61、61の一端部同士を連結しており、かつこれらを支持している。すなわち、カバー部6は、正面視で略「コ」字状をなしている。
【0047】このようなカバー部6が設けられていることにより、プロテクタ4が内針31の針先311を覆う状態のときに、針先311の周りに付着した血液(体液)を指などで触れることを防止することができ、血液(体液)による汚染をより効果的に防止することができる。
【0048】なお、本発明では、プロテクタ4は、カバー部6を有さないようなものであってもよい。
【0049】このようなプロテクタ4は、組み立て状態では、図1および図4に示す第1の姿勢をとる。この第1の姿勢では、プロテクタ4の第1の孔41、第2の孔42および第3の孔43を内針31が挿通(貫通)する。
【0050】また、プロテクタ4は、組み立て状態では、内針31の基端側(針元側)に位置しており(プロテクタ4の基端が内針ハブ32の先端に近接しており)、プロテクタ4の先端側の約半分程度の部分が外針ハブ22の内側(内部)に位置する(収納される)。
【0051】また、この組み立て状態では、前述したように、内針31は、プロテクタ4に対して相対的に基端方向に移動することができる。
【0052】本実施形態では、プロテクタ4の第1の姿勢のとき、プロテクタ本体5の第1の部位51、第2の部位52および第3の部位53は、それぞれ内針31に対しほぼ垂直になっており、後方接続部54および前方接続部55は、それぞれ内針31とほぼ平行になっている。これにより、第1の姿勢において第1の部位51と後方接続部54とのなす角度は、ほぼ直角になっている。
【0053】これに対し、プロテクタ4の自然状態(外力を付与しない状態)においては、プロテクタ本体5の第1の部位51と後方接続部54とのなす角度は、図1および図4に示す状態よりも小さく設定されている。すなわち、プロテクタ4は、プロテクタ本体5の第1の部位51と後方接続部54とが開くように変形(弾性変形)した状態で、内針31に装着されている。
【0054】この変形により、プロテクタ4が内針31に装着された状態では、プロテクタ本体5の第1の部位51は、内針31に対する傾斜角度(図4中のθ1および図5中のθ1’で示す角度)が小さくなるような方向に付勢されている。換言すれば、プロテクタ本体5における第1の部位51と後方接続部54との間の部分は、その弾性によって第1の部位51の内針31に対する傾斜角度(ブレーキ部の長手軸方向と内針31の軸方向とに形成される角度)が小さくなるような方向に第1の部位51を付勢する付勢手段となっている。
【0055】ここで、第1の部位51の内針31に対する傾斜角度は、第1の部位51と内針31とがなす角のどちら側を選択するかによって2つの大きさで表すことができるが、本明細書において「第1の部位51(ブレーキ部)の内針31に対する傾斜角度」とは、第2の姿勢のときに90°未満になる角(小さい方の角)の角度を指すものとする。すなわち、本実施形態においては、図4中のθ1および図5中のθ1’で示す角度である。この角度を以下、「第1の部位傾斜角度」と言う。
【0056】図1および図4に示すプロテクタ4の第1の姿勢においては、プロテクタ本体5の第3の部位53に形成された第3の孔43を内針31が貫通し、第3の孔43と内針31とが係合していることにより、前記付勢手段の付勢力によって第1の部位傾斜角度が小さくなるようにプロテクタ4(プロテクタ本体5)が変形することが阻止され、前述したように第1の姿勢における第1の部位傾斜角度θ1は、ほぼ直角に保たれている。換言すれば、第3の孔43は、第1の姿勢において、内針31と係合することにより、第1の部位傾斜角度θ1をほぼ直角に規定する係合部(傾斜規定手段)となっている。
【0057】なお、この係合部は、第3の孔43のような貫通孔に限らず、第1の姿勢において内針31と係合することにより第1の部位傾斜角度を規定し得るものであればいかなるものでもよい。すなわち、この係合部は、貫通孔のほかに、例えば、周方向の一部が欠損したフック状の部位や、内針31の針先311が通過して内針31との係合が解除された後に針先311を先端側から覆うシャッター状の部位で構成されたものなどであってもよい。
【0058】このような組み立て状態(プロテクタ4の第1の姿勢)から、内針31(ハブ付き内針3)をプロテクタ4に対し基端方向に移動させていき、内針31の針先311がプロテクタ本体5の第3の部位53(第3の孔43)を通過すると、内針31と第3の孔43との係合が解除される。これにより、プロテクタ4は、前記付勢手段の付勢力によって、弾性的に変形(変位)し、図2および図5に示す第2の姿勢をとる。
【0059】この第2の姿勢では、プロテクタ4は、第1の姿勢のときと比べ、第1の部位51が後方接続部54(内針31)に対し図4および図5中の反時計方向に回動するように変位(変形)している。これにより、第1の部位傾斜角度は、第1の姿勢のときより小さくなっており、θ1’<θ1なるθ1’となっている。
【0060】これに伴なって、プロテクタ本体5の第3の部位53、前方接続部55および湾曲部56も後方接続部54(内針31)に対し変位(回動)しており、内針31の針先311の先端は、湾曲部56によって先端側から覆われた状態となっている。また、内針31の針先311は、空間63内に挿入されている。
【0061】このようなプロテクタ4の第2の姿勢(針先収納状態)のときには、プロテクタ本体5の第1の部位51が内針31に対してブレーキとして機能することにより、プロテクタ4は、内針31の長手方向に沿った相対的な移動が禁止(阻止)される。このブレーキ機能は、前記付勢手段の付勢力によって第1の部位傾斜角度が第1の姿勢のときより小さくなることにより、第1の孔41の内面が内針31の外周面に圧接され、第1の孔41の内面(内周面)と内針31の外周面(表面)との間の摩擦力が発生または増大することによって発揮されるものである。すなわち、この摩擦力がプロテクタ4に制動力として作用し、プロテクタ4の内針31に対する長手方向(内針31の長手方向)に沿った相対的な移動を禁止(阻止)する。
【0062】このような構成により、プロテクタ4が一旦第2の姿勢になると、内針31の針先311がプロテクタ4を超えて突出したり、プロテクタ4が内針31から離脱したり(外れたり)することがない。これにより、廃棄処理等に際し、誤刺を防止することができ、安全性が高い。
【0063】また、プロテクタ4は、第1の部位51のブレーキ作用によって内針31に対する長手方向の移動が禁止されるので、留置針組立体1では、内針31からのプロテクタ4の離脱を防止するための特別な構造(例えば、局所的に内針31の外径を太くしたり、内針31の外周部に凸部を設けたり、外針ハブ22とプロテクタ4とをヒモで連結したりするような構造)が不要である。これにより、内針31の先端部を特別な加工等を施さない円滑な外周面を有するものとすることが可能であり、内針31の強度の低下や刺通抵抗の増大等を招くことがない。
【0064】プロテクタ4の第1の姿勢における第1の部位傾斜角度θ1は、特に限定されないが、60°以上であるのが好ましく、本実施形態のようにほぼ直角であるのがより好ましい。また、第1の孔41の内径Dは、内針31の外径dによってもその好ましい大きさは異なるが、通常、内針31の外径dより0.01〜1mm程度大きいのが好ましく、0.05〜0.2mm程度大きいのがより好ましい。
【0065】第1の姿勢における第1の部位傾斜角度θ1や第1の孔41の内径Dが前記範囲にあることにより、第2の姿勢において、第1の孔41の内面と内針31の外周面との間の摩擦力(プロテクタ4に作用する制動力)が大きくなり、プロテクタ4の内針31に対する相対的な移動がより確実に禁止(阻止)される。
【0066】なお、本発明においては、プロテクタ4の第1の孔41は、周方向の一部が欠損したもの(C字状のものなど)であってもよい(第2の孔42についても同様)。
【0067】また、第2の孔42や第3の孔43の形状は、内針31に対し摺動可能であれば円形に限らないが、円形である場合には、その内径は、第1の姿勢における摺動抵抗を軽減する観点から、第1の孔41の内径Dより0.05〜1mm程度大きいのが好ましい。
【0068】プロテクタ本体5を形成する板状部材(第1の部位51)の厚さは、その構成材料や内針31の外径等によってもその好ましい値は異なるが、通常、0.05〜2mm程度であるのが好ましく、0.06〜0.2mm程度であるのがより好ましい。前記範囲において、比較的厚いものとした場合には、第2の姿勢においてプロテクタ4に作用する制動力や針先311の保護性が特に優れたものとなり、比較的薄いものとした場合には、加工性や第1の姿勢における内針31に対する摺動のし易さが特に優れたものとなる。
【0069】プロテクタ4の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、銅または銅系合金等の各種金属材料や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、アクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アイオノマー、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の各種樹脂材料が挙げられるが、各種金属材料であるのが好ましい。また、上述したような材料を2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0070】なお、プロテクタ4が複数の部材(部品)で構成されていてもよいことは、言うまでもない。
【0071】本実施形態のプロテクタ4においては、そのカバー部6が、第2の姿勢のときにプロテクタ本体5の先端部(第3の部位53等)を先端方向に移動させる操作を妨げる機能を有する。
【0072】すなわち、プロテクタ本体5の先端部(第3の部位53等)に対し、例えば図5中の矢印Aで示すような引っ張り力を指などで加えようとしたとき、プロテクタ本体5の先端部(第3の部位53等)は、その側方がカバー部6の側壁部61、61で覆われているため、これを指などで触れることはできず、よって、この操作を行うことはできない。
【0073】このような構成と異なり、プロテクタ本体5の先端部(第3の部位53等)に前記引っ張り力Aを加えることが可能である場合には、この引っ張り力Aは、前方接続部55を介して第1の部位31に伝達され、第1の部位傾斜角度θ1’が大きくなるように作用する。これにより、第1の孔41の内面と内針31の外周面との間の摩擦力(プロテクタ4に作用する制動力)が減少し、プロテクタ4が内針31から離脱することが起こり得る。
【0074】これに対し、本実施形態では、プロテクタ4がカバー部6を有していることにより、前記引っ張り力Aのような外力を加える操作が妨げられるため、上述したようなプロテクタ4の離脱をより確実に防止することができるという利点がある。
【0075】一方で、カバー部6は、プロテクタ本体5の先端部(第3の部位53等)を先端側からは覆っていないため、第2の姿勢において、空間63内に先端側から例えば棒状のものを挿入するなどすることにより、プロテクタ本体5の先端部に基端方向の外力を作用することは(故意に行えば)可能である。
【0076】プロテクタ4は、このような場合、すなわち、第2の姿勢においてプロテクタ本体5の先端部(第3の部位53等)を基端方向に押圧したとき、第1の部位51(第1の孔41近傍の板状部材)に対し、第1の部位傾斜角度θ1’がより小さくなるような力を作用する手段を有する。
【0077】すなわち、プロテクタ本体5の先端部(第3の部位53等)に対し図5中の矢印Bで示すような押圧力を加えたとき、この押圧力Bは、前方接続部55を介して第1の部位51に伝達され、第1の部位傾斜角度θ1’が小さくなるように作用する。これにより、第1の孔41の内面と内針31の外周面との間の摩擦力(プロテクタ4に作用する制動力)がさらに増大して前記押圧力Bに対抗し、プロテクタ4の移動をより確実に禁止(阻止)する。
【0078】このため、プロテクタ本体5の先端部に万一前記押圧力Bのような外力が作用した場合にも、針先311がプロテクタ4を超えて突出することがより確実に防止され、特に安全性が高い。よって、第2の姿勢において、プロテクタ本体5の先端部(第3の部位53等)がカバー部6によって先端側からは覆われていなくても、問題とはならない。
【0079】また、このようなプロテクタ4は、第2の姿勢においてカバー部6に基端方向または先端方向の外力が作用したときに、第2の部位52の内針31に対する傾斜角度(第2の孔42近傍の板状部材と内針31の軸方向とに形成される角度)が小さくなるような力を作用する手段を有している。
【0080】すなわち、例えばカバー部6の先端部に図5中の矢印Cで示すような引っ張り力が付加されることによりカバー部6に先端方向の外力が作用すると、この引っ張り力Cは、側壁部61、連結壁62を介して第2の部位52に伝達され、第2の部位52の内針31に対する傾斜角度(図5中のβで示す角度)が小さくなるように作用する。
【0081】これにより、第2の孔42の内面と内針31の外周面との間の摩擦力(プロテクタ4に作用する制動力)が発生または増大して引っ張り力Cに対抗する。すなわち、第1の部位51に加えて第2の部位52もが内針31に対するブレーキ機能を発揮し、プロテクタ4の移動をより確実に禁止(阻止)する。なお、プロテクタ4の基端部に対し例えば図5中の矢印Eで示すような押圧力を加えたときにも、同様に、第2の部位52の内針31に対する傾斜角度βが小さくなるように作用する。
【0082】逆に、例えばカバー部6の先端に図5中の矢印Dで示すような押圧力が付加されることによりカバー部6に基端方向の外力が作用すると、この押圧力Dは、側壁部61、連結壁62を介して第2の部位52に伝達され、第2の部位52の内針31に対する傾斜角度(図5中のαで示す角度)が小さくなるように作用する。
【0083】これにより、第2の孔42の内面と内針31の外周面との間の摩擦力(プロテクタ4に作用する制動力)が発生または増大して前記押圧力Dに対抗する。すなわち、第1の部位51に加えて第2の部位52もが内針31に対するブレーキ機能を発揮し、プロテクタ4の移動をより確実に禁止(阻止)する。
【0084】また、前記押圧力Dは、第2の部位52から後方接続部54を介して第1の部位51に伝達され、第1の部位傾斜角度θ1’がより小さくなるようにも作用する。
【0085】このようなことから、カバー部6に対し基端方向または先端方向の外力が作用した場合にも、針先311がプロテクタ4を超えて突出したり、プロテクタ4が内針31から離脱するようなことがより確実に防止され、特に安全性が高い。
【0086】なお、特に強い押圧力Dが作用して、プロテクタ4が万一基端方向に僅かに移動した場合にも、針先311は、湾曲部56の内面に当接するため、針先311がプロテクタ4を超えて突出することが防止される。
【0087】本実施形態の留置針組立体1は、以上説明したようなプロテクタ4とハブ付き外針2とを組み立て状態において連結状態とする連結手段(以下、単に「連結手段」と言う。)を有している。この連結手段は、連結部材7で構成されている。
【0088】図3および図4に示すように、連結部材7は、シート状の部材であり、帯状をなす接続部71と、接続部71の先端側に設けられたハブ付き外針2に対する接着部72と、接続部71の基端側に設けられたプロテクタ4に対する接着部73とで構成されている。
【0089】連結部材7の接着部72は、外針ハブ22の外周面に接着されており、接着部73は、プロテクタ4の後方接続部54の外面に接着されている。これにより、組み立て状態では、ハブ付き外針2とプロテクタ4とは、連結部材7を介して連結されている。
【0090】また、連結部材7の接続部71には、図3に示すように、プロテクタ4とハブ付き外針2とが分離するときに破断する破断部として、ミシン目74が接続部71を横断するように形成されている。
【0091】このミシン目74を破断させるのに必要な力の大きさ(連結部材7によるハブ付き外針2とプロテクタ4との連結状態を解除するのに必要な力)は、プロテクタ4の第2の姿勢における内針31に対する摺動(移動)抵抗力より小さく設定されている。
【0092】このような連結部材7が設けられていることにより、留置針組立体1の組み立て状態からハブ付き内針3をハブ付き外針2に対し相対的に基端方向に移動すると(ハブ付き内針3の内針31をハブ付き外針2の外針21から引き抜くと)、プロテクタ4は、外針ハブ22と連結されていることから、ハブ付き外針2の方に残存する。すなわち、プロテクタ4は、内針31に対しては、第1の姿勢を維持しつつ相対的に先端方向に移動し、内針31の針先311が第3の孔43を通過すると、該第1の姿勢から、内針31の針先311を覆う第2の姿勢へと変位する。
【0093】プロテクタ4は、前述したように、第2の姿勢になると、内針31に対する相対的な移動が禁止(阻止)される。よって、プロテクタ4が第2に姿勢となった状態から、さらにハブ付き内針3をハブ付き外針2に対し相対的に基端方向に移動すると、その操作力(引き抜き力)が連結部材7に作用し、ミシン目74が破断する。これにより、プロテクタ4は、ハブ付き外針2(外針ハブ22)から分離して、内針31の先端に残存し、その針先311をガードする。
【0094】このように、留置針組立体1では、ハブ付き内針3をハブ付き外針2に対し相対的に基端方向に移動する操作のみによって、プロテクタ4で内針31の針先311を覆うことおよびプロテクタ4をハブ付き外針2から離反することができ、プロテクタ4で内針31の針先311を覆うための別途の操作が不要である。これにより、内針31の針先311をプロテクタ4で極めて容易かつ確実に覆う(収納する)ことができる。
【0095】次に、留置針組立体1の使用方法の一例について、詳細に説明する。
[1] 留置針組立体1を組み立て状態とし、内針ハブ32等を手で把持しつつ、内針31および外針21を患者の血管(静脈または動脈)に穿刺する。
【0096】[2] 内針31の針先311が血管に穿刺されると、血管の内圧(血圧)により血液が内針31内を基端方向へ逆流し、内針ハブ32内に導入され、視認性を有する内針ハブ32を介してこのフラッシュバックを視認することができる。これにより内針31の針先311が血管を確保したことを知ることができる。
【0097】なお、この血液の流入に伴い、内針ハブ32内の空気は、通気フィルタ321を通って排出されるが、血液は、通気フィルタ321を通過できず、外部への漏れ出しは生じない。
【0098】[3] さらに内針31および外針21を微小距離先端方向へ進めると、外針21の先端開口211が血管内に挿入される。これにより、外針21が血管を確保する。
【0099】[4] 血管に留置されている外針21を手で押さえつつ、他方の手で内針ハブ32を把持し、基端方向へ引っ張る。これにより、内針31が外針21から抜き取られる。このとき、プロテクタ4は、外針ハブ22と連結されていることから、ハブ付き外針2の方に残存する。すなわち、プロテクタ4は、内針31に対しては、相対的に先端方向に移動する。
【0100】[5] さらに内針ハブ32を基端方向へ引っ張ると、前述したように、内針31の針先311がプロテクタ本体5の第3の部位53を通過し、内針31と第3の孔43との係合が解除される。これにより、プロテクタ4は、弾性的に(自身の弾性により)変形して、図2および図5に示す第2の姿勢となる。
【0101】プロテクタ4が第2の姿勢となると、第1の部位51のブレーキ作用によって、プロテクタ4は、針先311が第1の孔41を通過する前に内針31に対し停止(静止)する。これにより、プロテクタ4は、内針31の長手方向に沿った移動が禁止(阻止)され、内針31の針先311を覆った(収納した)状態を維持する。
【0102】[6] プロテクタ4が第2の姿勢となった状態から、さらに内針ハブ32を基端方向に引っ張ると、その引っ張り力が連結部材7に作用し、ミシン目74が破断する。これにより、プロテクタ4は、ハブ付き外針2(外針ハブ22)から分離して、内針31の先端に残存する。
【0103】ここで、従来の穿刺操作では、内針31を生体(外針21)から抜き取った後、内針31にキャップを被せていたが、キャップの一端部の開口内に内針31をその針先311から挿入して行うため、針先311が該開口を外れた場合には、キャップを摘んでいる指を内針31の針先311で誤刺するという事故が生じるおそれがあった。また、前述のキャップを被せる操作は、外針21から流出する血液の止血を行いながら行うため、通常の注射針でのキャップを被せる作業に比較して、特に危険が大きかった。しかし、本発明では、内針31を外針21から引き抜くことで、プロテクタ4が自動的に内針31の先端方向に移動して針先311を覆うため、前述したような誤刺を有効に防止することができる。
【0104】[7] 内針31が抜き取られたハブ付き外針2の外針ハブ22には、輸液セットのコネクタ等(図示せず)を素早く接続し、定法に従い、輸液の投与を開始する。
【0105】このようにして外針21から内針31を抜き取った後は、ハブ付き内針3は不要となるため、廃棄処分に供される。
【0106】以上説明したように、この留置針組立体1によれば、ハブ付き外針2から取り外されたハブ付き内針3の針先311がプロテクタ4内に収納され、特に、針先311がプロテクタ4の先端から突出することや、プロテクタ4が内針31から外れてしまうことがないため、廃棄処理を行う者等が針先311で誤って手指等を刺すという事故が防止される。
【0107】<第2実施形態>図6は、本発明の留置針組立体の第2実施形態の組み立て状態における外針ハブの付近を示す縦断面図、図7は、図6に示す留置針組立体においてプロテクタとハブ付き外針との連結状態が解除された状態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図6および図7中の右側を「先端」、左側を「基端」、上側を「一端」、下側を「他端」と言う。
【0108】以下、これらの図を参照して本発明の留置針組立体の第2実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0109】本実施形態は、前記第1実施形態に対し、連結手段の構成が異なる。すなわち、本実施形態では、連結手段として、外針ハブ22に、プロテクタ4の一部が係合し得る突起221(係止部)が設けられている。
【0110】すなわち、外針ハブ22の内側には、図6中下側から内針31に向かって突出する突起221が設けられている。この突起221は、図示の構成では、外針ハブ22の内面に固着されたL字状をなす板状部材の短辺によって形成されている。
【0111】なお、プロテクタ4の一部が係合し得る係止部としては、突起221のような凸部に限らず、例えば外針ハブ22の壁面に形成された凹部(孔)など、プロクテクタ4の一部が係合し得るものであればいかなるものでもよい。また、その形成箇所も図示の構成に限定されない。
【0112】図6に示すように、プロテクタ本体5の第3の部位53の他端部は、プロテクタ4の第1の姿勢(留置針組立体の組み立て状態)においては、突起221の先端側に位置する。
【0113】組み立て状態から、ハブ付き内針3をハブ付き外針2に対し相対的に基端方向に移動すると(ハブ付き内針3の内針31をハブ付き外針2の外針21から引き抜くと)、プロテクタ4は、第3の部位53の他端部が突起221の先端側に当接することにより、外針ハブ22との連結状態が維持され、ハブ付き外針2の方に残存する。これにより、プロテクタ4は、内針31に対しては、第1の姿勢を維持しつつ相対的に先端方向に移動し、内針31の針先311が第3の孔43を通過すると、該第1の姿勢から、内針31の針先311を覆う第2の姿勢へと変位する。
【0114】プロテクタ4が第2の姿勢になると、前述したように、プロテクタ本体5の第3の部位53は、図6中の反時計方向に回動するように変位する。これにより、図7に示すように、第3の部位53の突起221に対する係合が解除される。よって、プロテクタ4が第2の姿勢になるのとほぼ同時に、ハブ付き外針2とプロテクタ4との連結状態が解除され、その状態からさらにハブ付き内針3をハブ付き外針2に対し相対的に基端方向に移動すると、プロテクタ4が外針ハブ22から分離する。
【0115】このように、本実施形態では、ハブ付き外針2とプロテクタ4との連結状態の解除動作がプロテクタ4(プロテクタ本体5)自体の復元力(弾性力)によりなされるので、ハブ付き外針2とプロテクタ4との連結状態を解除するのにほとんど力が必要でない。よって、より操作性が高く、より容易かつ確実に内針31の針先311をプロテクタ4で覆うことができる。
【0116】また、本実施形態では、組み立て状態においてプロテクタ4の全体が外針ハブ22の内側に収納されている。これにより、留置針組立体全体としてのさらなる小型化を図ることができる。
【0117】<第3実施形態>図8は、本発明の留置針組立体の第3実施形態の組み立て状態における外針ハブの付近を示す側面図、図9は、図8に示す留置針組立体においてプロテクタとハブ付き外針との連結状態が解除された状態を示す側面図である。なお、以下の説明では、図8および図9中の右側を「先端」、左側を「基端」と言う。
【0118】以下、これらの図を参照して本発明の留置針組立体の第3実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0119】本実施形態は、前記第1実施形態に対し、連結手段の構成が異なる。すなわち、本実施形態では、連結手段として、外針ハブ22の基端側に装着される連結部材8が設けられている。
【0120】この連結部材8は、弾性(弾力性)を有する板状の部材を変形(加工)して構成されており、中央部に内針31が挿通される孔が形成された、プロテクタ4に対する当接部81と、当接部81の両端部からそれぞれ先端方向に突出するように形成された一対の腕部82、82と、腕部82、82の先端側にそれぞれ設けられた外針ハブに対する接触部83、83とで構成されている。
【0121】組み立て状態では、プロテクタ4は、その全体が外針ハブ22の内側に収納されている。また、連結部材8の当接部81の一部も外針ハブ22の内側に入り込んでおり、プロテクタ4の基端部に当接している。
【0122】当接部81の両端部からは、腕部82、82が、それぞれ、外針ハブ22の基端外周に形成されたフランジ222を超えて先端方向に伸びている。この腕部82、82のフランジ222を超えた部分(先端側)は、外針ハブ22に近づくように、内側に傾斜して形成されている。
【0123】接触部83、83は、外針ハブ22の外周面の形状に合わせて湾曲した形状をなしている。これらの接触部83、83は、それぞれ、腕部82、82の弾性により、外針ハブ22を挟むようにして、外針ハブ22に圧接されている。これにより、接触部83、83と、外針ハブ22の外周面との間には、摩擦力が作用する。
【0124】連結部材8の構成材料としては、特に限定されず、例えばプロテクタ4の構成材料として挙げたものを使用することができる。
【0125】このような構成により、図8に示すように、組み立て状態において、ハブ付き外針2とプロテクタ4とは、連結部材8によって連結状態とされる。
【0126】組み立て状態からハブ付き内針3をハブ付き外針2に対し相対的に基端方向に移動すると(ハブ付き内針3の内針31をハブ付き外針2の外針21から引き抜くと)、プロテクタ4は、外針ハブ22と連結されていることから、ハブ付き外針2の方に残存する。すなわち、プロテクタ4は、内針31に対しては、第1の姿勢を維持しつつ相対的に先端方向に移動し、内針31の針先311が第3の孔43を通過すると、該第1の姿勢から、内針31の針先311を覆う第2の姿勢へと変位する。
【0127】プロテクタ4は、第2に姿勢になると、前述したように、内針31に対する相対的な移動が禁止(阻止)される。この状態から、さらにハブ付き内針3をハブ付き外針2に対し相対的に基端方向に移動すると、その操作力(引き抜き力)は、内針31からプロテクタ4を介して連結部材8に伝達され、連結部材8を外針ハブ22から引き離すように作用する。これにより、外針ハブ22のフランジ222が連結部材8の腕部82、82の傾斜部の内面を押圧してこれらを外側に押し広げ、腕部82、82が開くように変形して、連結部材8が外針ハブ22から離脱する。そして、図9に示すように、プロテクタ4は、ハブ付き外針2(外針ハブ22)から分離する。
【0128】本実施形態では、組み立て状態においてプロテクタ4の全体が外針ハブ22の内側に収納されている。これにより、留置針組立体全体としてのさらなる小型化を図ることができる。
【0129】以上、本発明の留置針組立体を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、留置針組立体を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
【0130】例えば、プロテクタ本体は、全体形状としてほぼS字状のものに限らず、例えばほぼ「の」字状のものなどであってもよい。
【0131】また、プロテクタ本体は、複数の部品で構成されるようなものであってもよい。例えば、板状のブレーキ部と、該ブレーキ部を内針に対する傾斜角度が小さくなる方向に付勢する付勢部材(バネ)とが別部品で構成されるようなものでもよい。
【0132】また、ハブ付き外針とプロテクタとを連結する連結部材は、複数の部品で構成されるものでもよい。例えば、前記第1実施形態の連結部材と前記第3実施形態の連結部材とを組み合わせたようなものなどでもよい。
【0133】また、ハブ付き外針とプロテクタとを連結する連結手段としては、図示の構成に限らず、例えば、プロテクタが外針ハブの内側に単に嵌合、あるいは螺合することにより両者が連結状態とされるような構成であってもよい。
【0134】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、簡単な操作で、迅速かつ安全に、使用後の内針の針先をプロテクタで覆うことができ、廃棄処理等に際し、誤って針先で手指等を刺すという事故がなく、衛生面、安全面で極めて優れた留置針組立体を提供することができる。
【0135】特に、簡単な構造、かつ極めて小型のプロテクタで上記効果を達成することができ、プロテクタは、組み立て状態では内針の針元の僅かなスペースに収まる。このため、プロテクタを有さない従来の留置針組立体と遜色のない操作感が得られ、高い操作性を有する。
【0136】また、連結手段を設けたことにより、より簡単な操作で、より確実に内針の針先をプロテクタで覆うことができ、安全性、操作性のさらなる向上が図れる。また、連結手段を設けたことによる大型化も生じない。
【0137】また、内針に対しプロテクタが離脱するのを防止するのための加工(凹部や凸部を形成するなど)が不要である。これにより、内針の先端部を円滑な外周面を有するものとすることができ、内針の強度の低下や刺通抵抗の増大等を招くことがないとともに、製造が容易である。
【0138】また、プロテクタ本体を覆うカバー部を設けた場合には、内針の針先がプロテクタを超えて突出したり、プロテクタが内針から離脱したりすることをより確実に防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
【出願日】 平成13年2月26日(2001.2.26)
【代理人】 【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
【公開番号】 特開2002−248168(P2002−248168A)
【公開日】 平成14年9月3日(2002.9.3)
【出願番号】 特願2001−50292(P2001−50292)