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【発明の名称】 生体内埋込材料とその製造方法
【発明者】 【氏名】淺岡 憲三

【氏名】今 政幸

【要約】 【課題】機械的強度を保持しながら、生体親和性と無毒性を理想的な状態に改善する。

【解決手段】生体内埋込材料は、金属粉末2を、無数の微細な空隙3があり、かつ無数の微細な空隙3を表面に連通させる多孔質状態に焼結してなる金属焼結体1である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属粉末(2)を、無数の微細な空隙(3)があり、かつ無数の微細な空隙(3)を表面に連通させる多孔質状態に焼結してなる金属焼結体(1)である生体内埋込材料。
【請求項2】 金属粉末(2)が、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金のいずれかである請求項1に記載される生体内埋込材料。
【請求項3】 金属焼結体(1)の気孔率が5〜60%である請求項1に記載される生体内埋込材料。
【請求項4】 金属焼結体(1)が、空隙表面にカルシウムを付着している請求項1に記載される生体内埋込材料。
【請求項5】 金属焼結体(1)がチタン又はチタン合金の焼結体で、この金属焼結体(1)が空隙表面にカルシウムとチタンの化合物(又は合金)を付着している請求項1に記載される生体内埋込材料。
【請求項6】 金属焼結体(1)が、空隙表面にリン酸カルシウムを付着している請求項1に記載される生体内埋込材料。
【請求項7】 金属焼結体(1)が、空隙表面にアパタイトを付着している請求項1に記載される生体内埋込材料。
【請求項8】 焼結されたチタン又はチタン合金が、空隙表面にアルカリ金属とアルカリ土類金属元素の少なくともひとつを付着している請求項1に記載される生体内埋込材料。
【請求項9】 金属焼結体(1)が、空隙表面にリン酸カルシウムとタンパク質を付着している請求項1に記載される生体内埋込材料。
【請求項10】 金属焼結体(1)が、空隙表面にリン酸カルシウムとタンパク質と医療用薬剤とを付着している請求項9に記載される生体内埋込材料。
【請求項11】 金属焼結体(1)が人工歯根である請求項1に記載される生体内埋込材料。
【請求項12】 金属焼結体(1)が生体内埋込用薬物徐放材料である請求項1に記載される生体内埋込材料。
【請求項13】 金属焼結体(1)が医薬品実験装置材料である請求項1に記載される生体内埋込材料。
【請求項14】 金属粉末(2)を、無数の微細な空隙(3)があり、かつ無数の微細な空隙(3)を表面に連通させる多孔質状態に焼結して金属焼結体(1)とすることを特徴とする生体内埋込材料の製造方法。
【請求項15】 金属粉末(2)を放電プラズマ焼結法で焼結する請求項14に記載される生体内埋込材料の製造方法。
【請求項16】 金属粉末(2)に、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金のいずれかを使用する請求項14に記載される生体内埋込材料の製造方法。
【請求項17】 表面にカルシウムを付着している金属粉末(2)を焼結する請求項14に記載される生体内埋込材料の製造方法。
【請求項18】 金属粉末(2)とカルシウムを含む粉末とを混合して焼結する請求項14に記載される生体内埋込材料の製造方法。
【請求項19】 焼結した金属焼結体(1)の空隙(3)にカルシウムを含浸させる請求項14に記載される生体内埋込材料の製造方法。
【請求項20】 焼結する金属粉末(2)に平均粒径が0.01〜5mmであるものを使用する請求項14に記載される生体内埋込材料の製造方法。
【請求項21】 焼結した金属焼結体(1)の空隙(3)にリン酸カルシウムを付着させる請求項14に記載される生体内埋込材料の製造方法。
【請求項22】 焼結した金属焼結体(1)の空隙(3)にアパタイトを付着させる請求項14に記載される生体内埋込材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体内に埋め込まれる材料に関する。
【0002】
【従来の技術】生体内埋込材料は、金属やセラミックで製作される。セラミック製の埋込材料は、生体との親和性が充分あるが、脆くて充分な強度とするのに難しい欠点がある。このような欠点を解消するために、金属製の埋込材料が開発されている。金属製の埋込材料としてステンレス、コバルト合金、チタン、チタン合金が使用される。これ等の金属製の埋込材料は、セラミックよりも強靭な物性を有する。また、チタンやチタン合金は、セラミックやステンレスに比較すると生体に対する親和性も優れている。チタン等の金属製埋込材料は、生体とのなじみをさらに改善するために、表面に、物理的あるいは化学的方法で凹凸を設ける技術が開発されている。さらに、凹凸のある表面に物理、あるいは化学的な方法で、アパタイト層を付与するなど表面処理をする技術も開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】金属表面のアパタイト層は、生体内での親和性を改善する。ただ、この構造の生体内埋込材料は、金属とは異なる組成のアパタイト層を金属表面にしっかりと付着するのが難しい。このため、生体内に埋め込みした状態で、アパタイト層が金属表面から剥離しやすい欠点がある。
【0004】生体内埋込材料には、機械的強度と生体親和性と無毒性が特に重要な物性として要求される。これ等の物性をより好ましい状態で満足する埋込材料として、チタン又はチタン合金が使用される。ただ、チタン又はチタン合金製の埋込材料も理想的なものでは決してない。とくに、生体親和性が充分でなく、生体内に埋め込みして生体と一体になるまでに相当に時間がかかる。たとえば、人工歯を固定するための生体内埋込材料として、顎骨に埋め込まれるチタン製の人工歯根インプラントが使用される。このインプラントは、骨に埋め込みされた後、骨と一体に結合するまでに約3〜6カ月かかる。このため、インプラントを生体内に埋め込みして3カ月後に、インプラントに人工歯を固定する必要がある。インプラントは、生体親和性を改善して一体化される期間を短縮できる。したがって、インプラントを埋め込みした後、できる限り短い期間で人工歯を固定するためには、埋込材料の生体親和性を改善することが大切である。歯科材料に限らず、生体に埋め込まれる埋込材料は、生体との親和性をより改善して、速やかに生体と一体化させることが大切である。
【0005】本発明は、このことを実現することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、機械的強度を保持しながら、生体親和性と無毒性を理想的な状態に改善できる生体内埋込材料とその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の生体内埋込材料は、金属粉末2を、無数の微細な空隙3があり、かつ無数の微細な空隙3を表面に連通させる多孔質状態に焼結してなる金属焼結体1である。
【0007】金属粉末2は、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金のいずれかとすることができる。金属焼結体1の気孔率は、5〜60%とすることができる。
【0008】金属焼結体1は、空隙表面にカルシウムを付着することができる。金属焼結体1は、チタン又はチタン合金の焼結体として、空隙表面にカルシウムとチタンの化合物(又は合金)を付着することができる。金属焼結体1は、空隙表面にリン酸カルシウム、あるいはアパタイトを付着することもできる。
【0009】焼結されたチタン又はチタン合金は、空隙表面にアルカリ金属とアルカリ土類金属元素の少なくともひとつを付着することができる。金属焼結体1は、空隙表面にリン酸カルシウムとタンパク質を付着することができる。さらに、金属焼結体1は、空隙表面にリン酸カルシウムとタンパク質と医療用薬剤とを付着することができる。
【0010】金属焼結体1は、人工歯根とすることができる。金属焼結体1は、生体内埋込用薬物徐放材料とすることができる。金属焼結体1は、医薬品実験装置材料とすることができる。
【0011】本発明の生体内埋込材料の製造方法は、金属粉末2を、無数の微細な空隙3があり、かつ無数の微細な空隙3を表面に連通させる多孔質状態に焼結して金属焼結体1とする。
【0012】本発明の製造方法は、金属粉末2を放電プラズマ焼結法で焼結することができる。金属粉末2には、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金のいずれかを使用することができる。
【0013】本発明の製造方法は、表面にカルシウムを付着している金属粉末2を焼結することができる。金属粉末2とカルシウムを含む粉末とを混合して焼結することもできる。さらに、本発明の製造方法は、焼結した金属焼結体1の空隙3に、カルシウムを含浸させることができる。
【0014】焼結する金属粉末2は、平均粒径が0.01〜5mmであるものを使用することができる。さらに、本発明の製造方法は、焼結した金属焼結体1の空隙3に、リン酸カルシウム、あるいはアパタイトを付着させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための生体内埋込材料とその製造方法を例示するものであって、本発明は生体内埋込材料とその製造方法を下記のものに特定しない。
【0016】さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0017】図1の拡大図に示す生体内埋込材料は、金属粉末2を、無数の微細な空隙3があり、かつ無数の微細な空隙3を表面に連通させる多孔質状態に焼結している金属焼結体1である。金属粉末2は、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金のいずれかである。とくに、金属粉末をチタン又はチタン合金とする金属焼結体の生体内埋込材料は、極めて優れた生体親和性を有する。チタンまたはチタン合金は、cp−TiまたはTi−6Al−4V合金である。
【0018】金属粉末2は、放電プラズマ焼結法で焼結される。放電プラズマ焼結法は、低い加熱温度で金属粉末2の接点を速やかに効率よく焼結できる。ただ、金属粉末2の焼結方法は、無数の空隙3があって、この空隙3を表面に連通させる多孔質な状態で焼結できる全ての方法で焼結できる。
【0019】生体内埋込材料は、気孔率を5〜60%、好ましくは10〜50%、さらに好ましくは20〜40%とする金属焼結体である。気孔率の大きい生体内埋込材料は、カルシウムやリン酸カルシウムを効率よく付着させて、生体親和性を向上できる。ただ気孔率を大きくすることは、空隙3を多くして体内埋込材料の強度を低下させる。金属焼結体1の気孔率は、金属粉末2を焼結するときの圧力と温度で制御される。圧力と温度を高くすることは、金属焼結体1の空隙3を少なくして気孔率を小さくする。反対に圧力と温度を低くすると、金属焼結体1の空隙3が多くなって気孔率が大きくなる。生体内埋込材料である金属焼結体1の気孔率は、生体親和性と使用される用途に要求される強度を考慮して最適値に設定される。
【0020】金属焼結体1は、生体との親和性を向上させるために、空隙表面にカルシウムを付着させる。金属焼結体1は、カルシウムイオンを含む溶液に浸漬されると、多孔質な空隙3にカルシウムイオンを含む溶液を吸入する。その後、乾燥させると、金属焼結体1は、空隙表面にカルシウムが付着される。チタン又はチタン合金を焼結している金属焼結体は、空隙表面にカルシウムを付着させて理想的な親和性を実現する。
【0021】チタン又はチタン合金からなる金属焼結体は、カルシウムを付着させる状態で焼成すると、空隙表面にカルシウムとチタンの化合物が付着される。さらに、チタン又はチタン合金とカルシウム化合物の粉末を混合して焼結しても、金属焼結体は空隙表面にカルシウムとチタンの化合物が付着される。さらに金属焼結体は、カルシウムを付着している空隙表面に、リン酸カルシウムを付着して親和性をより向上できる。また、金属焼結体は、空隙表面にアパタイトを付着させても親和性を向上できる。
【0022】さらに、金属焼結体1の空隙表面に付着される材料は、生体内埋込材料の用途によって最適なものを選択できる。たとえば、焼結されたチタン又はチタン合金である金属焼結体は、Li、Na、Rb等のアルカリ金属や、BaやSr等のアルカリ土類金属元素をひとつまたは複数の組合せで付着させることができる。アルカリ金属やアルカリ土類金属元素は、金属焼結体1のpHを調整して、親和性を向上させることができる。さらにまた、金属焼結体1は、空隙表面にリン酸カルシウムとタンパク質、あるいはリン酸カルシウムとタンパク質と医療用薬剤を付着させることもできる。医療用薬剤を付着している金属焼結体は、生体内埋込用の薬物徐放材料として使用される。
【0023】本発明の生体内埋込材料は、人工歯根、薬物徐放材料、医薬品実験装置材料等に使用されるが、これ等の用途に最適な物質を空隙表面に付着する。
【0024】
【実施例】[実施例1]金属焼結体は、図2に示すように、以下の工程で製作される。焼結される金属粉末は、チタン粉末である。金属粉末は、カルシウムイオンを付着して生体親和性をより向上する。
[焼結工程]金属粉末2が放電プラズマ焼結法で焼結される。金属粉末2は、100メッシュの球形のチタン粉末である。放電プラズマ焼結法は、炭素のダイス4にチタン粉末を填入し、加圧状態でプラズマ放電させて焼結する。焼結された金属焼結体1は、図1に示すように、無数の微細な空隙3があり、かつ無数の微細な空隙3を表面に連通させる多孔質状態となる。
【0025】以上の工程で製作された金属焼結体1の気孔率と圧縮強度を測定すると、気孔率が28%、圧縮強度が2.5×10MPaとなる。ただし、気孔率(%)は、チタンの密度を4.53g/cmとして、焼結体の重量と体積から相対密度を算出して計算する。圧縮強度(MPa)は、万能試験機(島津オートグラフ)を使用し、直径5mm、高さ10mmの試料をクロスヘッドの移動速度0.5mm/分で圧縮して測定する。
【0026】[カルシウム付着工程]焼結された金属焼結体1が、酸化カルシウム(CaO)の飽和水溶液が充填された容器5に浸漬される。容器5がオートクレーブ装置6に搬入されて、浸漬された金属焼結体1は、オートクレーブ装置6内において、温度121℃、圧力202kPaで水熱処理される。オートクレーブ装置6による工程は、金属焼結体1の微細な空隙3に酸化カルシウムの水溶液を速やかに含浸させる。ただ、金属焼結体は、オートクレーブによらない大気圧下において、カルシウム水溶液を空隙に浸透させることもできる。カルシウム水溶液を含浸させた金属焼結体1は水溶液から取り出され、カルシウム水溶液を乾燥させる。この工程で、空隙表面までカルシウムを付着する金属焼結体1が得られる。
【0027】[リン酸カルシウムの付着工程]以上の工程で製作された金属焼結体1は、以下の工程でさらにリン酸カルシウムを付着させる。この工程は、カルシウムが付着された金属焼結体1を、有機成分を含まない下記のイオン濃度の疑似体液7に浸漬する。疑似体液7に浸漬された金属焼結体1は、リン酸カルシウムの結晶が析出される。リン酸カルシウムは、金属焼結体1の表面と内部の空隙表面に析出される。
疑似体液のイオン濃度Na 1.42×10−1mol/LK 5.81×10−3mol/LMg2+ 8.11×10−4mol/LCa2+ 1.26×10−3mol/LCl 1.45×10−1mol/LHPO2− 7.78×10−4mol/LSO2− 8.11×10−4mol/LCO2− 4.17×10−3mol/L【0028】疑似体液7に浸漬した金属焼結体1に析出するリン酸カルシウム結晶の量を、7日、28日後に測定して、その析出速度を調べると、カルシウムを付着している金属焼結体は、カルシウムを付着してしない金属焼結体よりもリン酸カルシウムがより多く付与される。リン酸カルシウムが付着された金属焼結体1は、疑似体液7から取り出されて乾燥される。
【0029】[タンパク付着工程]リン酸カルシウムを付着させた金属焼結体1が、タンパク含有液(アルブミン濃度1.4mg/mL)に6時間浸漬する。金属焼結体1をタンパク含有液8から出して乾燥し、RIPA緩衝液に浸漬し、15時間裏返させた後、タンパクの溶出量をBradford法にて測定した。その結果、大量のタンパクが金属焼結体1に含浸されていたことが確認された。
【0030】[実施例2]金属粉末を球形のチタン粉末から削片状粉末とする以外、実施例1と同様にして金属焼結体を製作する。この金属焼結体は、実施例1で製作される金属焼結体と同じように大量のタンパクが含浸され、生体内埋込材料として好ましい物性を示す。ただし、この金属焼結体の焼結後における気孔率は24%、圧縮強度は5×10MPaとなる。
【0031】[実施例3]実施例1と2は、金属粉末を焼結した金属焼結体にカルシウムを付着する。この実施例は、以下の工程で示すように、カルシウムを金属粉末に付着し、カルシウムが付着された金属粉末を焼結する。焼結された金属焼結体に実施例1と同じ処理をすると、多量のタンパクが含浸されるので、この金属焼結体も生体内埋込材料として好ましい物性を示す。この金属焼結体の焼結後における気孔率は30%、圧縮強度は1×10MPaとなる。
【0032】[カルシウム付着工程]金属粉末が酸化カルシウム(CaO)の飽和水溶液に浸漬される。金属粉末は100メッシュの球形のチタン粉末である。金属粉末を浸漬する酸化カルシウムの水溶液を充填している容器が、オートクレーブ装置に搬入される。オートクレーブ装置は、温度121℃、圧力202kPaで金属粉末を水熱処理して、表面にカルシウムを付着させる。
[焼結工程]カルシウムを付着している金属粉末が放電プラズマ焼結法で焼結される。放電プラズマ焼結法は、炭素のダイスにチタン粉末を填入し、加圧状態でプラズマ放電させて焼結する。焼結された金属焼結体は、無数の微細な空隙があり、かつ無数の微細な空隙を表面に連通させる多孔質状態であり、さらに、空隙表面にカルシウムが付着された状態にある。
【0033】[実施例4]金属粉末を球形のチタン粉末から削片状粉末とする以外、実施例3と同様にして金属焼結体を製作する。この金属焼結体も、実施例1で製作される金属焼結体と同じように大量のタンパクが含浸されて、生体内埋込材料として好ましい物性を示す。この金属焼結体の焼結後における気孔率は32%、圧縮強度は3×10MPaとなる。
【0034】[実施例5]実施例1は、金属粉末を焼結した金属焼結体にカルシウムを付着する。この実施例は、以下の工程で示すように、酸化カルシウムと金属粉末を混合して焼結する。焼結された金属焼結体に実施例1と同じ処理をすると、多量のタンパクが含浸されるので、この金属焼結体も生体内埋込材料として好ましい物性を示す。この金属焼結体の焼結後における気孔率は30%、圧縮強度は1.2×10MPaとなる。
【0035】[焼結工程]金属粉末と酸化カルシウム(CaO)の粉末を混合して放電プラズマ焼結法で焼結する。酸化カルシウムの混合量は1〜5重量%とする。金属粉末は、100メッシュの球形のチタン粉末である。放電プラズマ焼結法は、炭素のダイスにチタン粉末と酸化カルシウム粉末の混合物を填入し、加圧状態でプラズマ放電させて焼結する。焼結された金属焼結体は、無数の微細な空隙があり、かつ無数の微細な空隙を表面に連通させる多孔質状態となる。
【0036】[実施例6]金属粉末を球形のチタン粉末から削片状粉末とする以外、実施例5と同様にして金属焼結体を製作する。この金属焼結体も、実施例1で製作される金属焼結体と同じように大量のタンパクが含浸されて、生体内埋込材料として好ましい物性を示す。この金属焼結体の焼結後における気孔率は28%、圧縮強度は3×10MPaとなる。
【0037】
【発明の効果】本発明の生体内埋込材料とその製造方法は、機械的強度を保持しながら、生体親和性と無毒性を理想的な状態に改善できる特長がある。それは、本発明の生体内埋込材料とその製造方法が、金属粉末を、無数の微細な空隙があり、かつ無数の微細な空隙を表面に連通させる多孔質状態に焼結してなる金属焼結体としているからである。この構造の生体内埋込材料は、無数の微細な空隙を有する多孔質状態に焼結されているので、生体親和性を高めることができる。しかも、金属粉末を焼結しているので、生体内埋込材料として充分な機械的強度を実現できる。さらにまた、金属粉末を焼結して金属焼結体とするので、使用する金属粉末の種類や比率を種々に変更して、生体内での親和性や無毒性をより理想的に改善できる。
【0038】さらに、本発明の生体内埋込材料とその製造方法は、金属焼結体が無数の微細な空隙を有するので、この多孔質状態の空隙に生体親和性を高める物質を付着させやすい特長がある。すなわち、本発明の生体内埋込材料とその製造方法は、生体親和性を高める物質を極めて簡単に付着させて、より理想的な生体内埋込材料を実現できる。
【出願人】 【識別番号】501103000
【氏名又は名称】株式会社テクノネットワーク四国
【出願日】 平成13年4月25日(2001.4.25)
【代理人】 【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘 (外1名)
【公開番号】 特開2002−320667(P2002−320667A)
【公開日】 平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願番号】 特願2001−128226(P2001−128226)