| 【発明の名称】 |
医療用貼付材 |
| 【発明者】 |
【氏名】谷川 隆洋
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| 【要約】 |
【課題】使用後速やかに吸収され自己組織による治癒を実現させ、使用時から接着層と生体組織との密着性及び接着性を持った医療用貼付材を提供すること。
【解決手段】ゲル状で粘性を有する組織接着層と、該組織接着層に比べて粘性の弱い多孔質体もしくはシート状の支持体層の少なくとも2層からなり、該組織接着層及び該支持体層の主構成成分が生体内吸収性材料である医療用貼付材。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ゲル状で粘性を有する組織接着層と、該組織接着層に比べて粘性の弱い多孔質体もしくはシート状の支持体層の少なくとも2層からなり、該組織接着層及び該支持体層の主構成成分が生体内吸収性材料である医療用貼付材。 【請求項2】前記組織接着層と、前記支持体層からなる医療用貼付材において、該組織接着層が積層されている面とは反対側で、該組織接着層が積層されていない面に、剥離可能な状態で組織接着層に比して粘性の弱い層が形成されている請求項1記載の医療用貼付材。 【請求項3】前記組織接着層の主構成成分である生体内吸収性材料が、生体由来蛋白質、多糖類及びアミノ酸類からなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載の医療用貼付材。 【請求項4】前記生体由来蛋白質がゼラチン、フィブリンまたはアルブミンであり、前記多糖類がカルボキシメチルセルロース、アルギン酸またはヒアルロン酸であり、アミノ酸類がポリγグルタミン酸またはポリε-リジンである請求項3記載の医療用貼付材。 【請求項5】前記組織接着層が、さらに多価フェノール、多価アルコール及び光反応性架橋剤もしくは重合剤を含有してなる請求項1〜3のいずれかに記載の医療用貼付材。 【請求項6】前記支持体層の主構成成分である生体内吸収性材料が、生体由来蛋白質、多糖類及び合成高分子樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載の医療用貼付材。 【請求項7】前記生体由来蛋白質がゼラチンまたはコラーゲンであり、前記多糖類がキトサン、カルボキシメチルセルロースまたはヒアルロン酸であり、合成高分子樹脂がポリグリコール酸またはポリ乳酸である請求項6記載の医療用貼付材。 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の医療用貼付材が、水蒸気難透過性の包材で密封包装され、且つアルデヒド含有水溶液を充填した容器とともに2次包装容器に封入されている医療用貼付材包装体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は医療用の医療用貼付材に関する。更に詳しくは、手術時の生体組織損傷部に貼付し、組織の修復・補修に利用でき、容易にかつ安全、確実に組織損傷部を治療するために使用される組織貼付材に関する。 【0002】 【従来の技術】外科用の接着剤として使用されているものとして、(1)シアノアクリレート系接着剤、(2)ゼラチン、レゾルシンの混合ゲルとホルムアルデヒド溶液からなるGRFグルー、(3)フィブリノゲンの凝固力を利用したフィブリン糊がある。シアノアクリレート系接着剤は生体とは全く異質の合成高分子であるため、接着塗布面の組織が死滅することもあり、また、塗布された接着剤が長く残存し、消失するまで長期間を要するため損傷部の治癒は大きく遅延する。GRFグルーやフィブリン糊は生体由来材料を用いているので、吸収は早く治癒も早いが、しかし、これらはそれ自体が粘性及び接着性を持ったゲルであるため、患部と同時に使用する用具や手袋にも付着しやすく患部に滴下する方法で使用されている。また、滴下後、さらに患部に密着させるための圧迫等の処置が行いにくく、更にゲルであるため強度が弱く組織が損傷して弱くなった部分を補強する上では十分でない場合もある。さらに、フィブリン糊やフィブリンゲルは接着力の大部分が、フィブリン糊の凝集力であり、接着力は非常に低く、強い接着強度が必要な部位に用いることができなかった。 【0003】GRFグルーはアルデヒドの強力な架橋力により強い接着力が得られるが、実際の使用時には患部に塗布した後、アルデヒド溶液を添加して架橋させている。しかし、アルデヒド溶液は滴下したゲルの外表面から接触し、実際接着が必要な患部に直接添加させることができず、ゲルの外側にかけられたアルデヒド溶液の一部が浸透して患部に到達し接着力を与えることがあっても、浸透しなかった分は周囲へ流れ出ることになり、アルデヒドの毒性の面から見ると使用しないか使用は最小限に抑えることが望ましい。シート形状の組織接着剤としてフィブリンとコラーゲンからなる製品も販売されているが、乾燥状態であるため、柔軟性に乏しく組織と密着するまでに時間を要し、吸水して接着強度を有するようになるまで時間を要するだけでなくフィブリン単体での接着強度は十分ではなかった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記の点を鑑みて、使用後速やかに吸収され自己組織による治癒を実現させ、使用時から接着層と生体組織との密着性及び接着性を持った医療用貼付材を提供することを目的とする。また、適用時に使用する用具や手袋に付着しにくく、容易に適用することができ、かつ、直接圧迫操作ができ、確実に患部を閉鎖できる医療用貼付材を提供することを目的とする。さらに、接着と同時に、弱体化した患部を補強することもでき、また、接着力を増強させるため架橋剤を使用する場合も、最小限に抑えることができる医療用組織貼付材を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決し目的を達成するため本発明は、ゲルル状で粘性を有する組織接着層と、比較的粘性の弱い多孔質体またはシート状の支持体層から形成され、組織接着層及び支持体層が生体内吸収性材料を主構成成分としている医療用貼付材を提供するものであり、更に、本発明は、組織接着層と支持体層で構成されている組織貼付材において、組織接着層が積層されている面とは反対側に位置し、組織接着層が積層されていない面に剥離可能な状態で、比較的粘性の弱い第3の層を形成した医療用貼付材を提供するものである。 【0006】具体的には次ぎの構成の本発明によって、上記の課題を解決し目的を達成した。 1)ゲル状で粘性を有する組織接着層と、該組織接着層に比べて粘性の弱い多孔質体もしくはシート状の支持体層の少なくとも2層からなり、該組織接着層及び該支持体層の主構成成分が生体内吸収性材料である医療用貼付材。 2)前記組織接着層と、前記支持体層からなる医療用貼付材において、該組織接着層が積層されている面とは反対側で、該組織接着層が積層されていない面に、剥離可能な状態で組織接着層に比して粘性の弱い層が形成されている1)の医療用貼付材。 3)前記組織接着層の主構成成分である生体内吸収性材料が、生体由来蛋白質、多糖類及びアミノ酸類からなる群から選ばれた少なくとも1種である1)または2)に記載の医療用貼付材。 【0007】4)前記生体由来蛋白質がゼラチン、フィブリンまたはアルブミンであり、前記多糖類がカルボキシメチルセルロース、アルギン酸またはヒアルロン酸であり、アミノ酸類がポリγグルタミン酸またはポリε-リジンである3)記載の医療用貼付材。 5)前記組織接着層が、さらに多価フェノール、多価アルコール及び光反応性架橋剤もしくは重合剤を含有してなる1)〜3)のいずれかに記載の医療用貼付材。 6)前記支持体層の主構成成分である生体内吸収性材料が、生体由来蛋白質、多糖類及び合成高分子樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種である1)または2)記載の医療用貼付材。 7)前記生体由来蛋白質がゼラチンまたはコラーゲンであり、前記多糖類がキトサン、カルボキシメチルセルロースまたはヒアルロン酸であり、合成高分子樹脂がポリグリコール酸またはポリ乳酸である6)記載の医療用貼付材。 8)1)〜7)のいずれかに記載の医療用貼付材が、水蒸気難透過性の包材で密封包装され、且つアルデヒド含有水溶液を充填した容器とともに2次包装容器に封入されている医療用貼付材包装体。 【0008】 【発明の実施の形態】以下に本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。本発明は、ゲル状で粘性を有する組織接着層と、組織接着層に比べて粘性の弱い多孔質体またはシート状の支持体層の少なくとも2層で構成されており、組織接着層と支持体層が生体内吸収性材料を主構成成分とする材料で形成されていることを特徴とす医療用貼付材である。本発明の医療用貼付材では、損傷部位に直接接触するゲル状で粘性を有する組織接着層は、損傷部位と粘着・接着して結合させるために生体吸収性材料を主とする成分でゲル状とする必要があり、ゼラチン、アルブミン、フィブリン等の生体由来蛋白質、ポリγ−グルタミン酸、ポリε−リジンなどのアミノ酸、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ヒアルロン酸等の多糖類と、水で形成されるゲルが好適に使用できる。このゲル状の組織接着層は、粘着・接着機能を持たせるために水分含量は、用いる生体吸収性材料により異なるが15〜65重量%が好ましく、更に好ましくは、30〜50重量%である。粘度は、2500〜750000cp(E形粘度計 VISCONIC ED形;(株)東京計器による25℃測定値)とし接着性を持たせることが望ましい。この粘度より高いと生体との粘着・接着性が低下し、これより低いと粘着・接着力が低下するだけでなく使用時に液タ゛レが生じ操作性も低下する。 【0009】この粘度を達成するために上記生体吸収性材料を複数混合するか、または、ポリエチレングリコール、レゾルシノール等の多価アルコール、多価フェノール類を含有させることが好ましい。特にレゾルシノールを添加することで粘着力が向上でき、主成分の生体吸収性材料に対して5〜75重量%の割合で添加することが最も効果的である。また、損傷部との粘着・接着力及び結合後の強度を十分に維持するため、生体吸収性材料の総量がゲル全体の20重量%以上とすることが望ましい。 【0010】本発明の支持体層は、貼付操作及び圧迫による密着を容易にし、弱体化した組織を補強するための機能を果たすもので、生体吸収性材料を主構成成分とし、組織接着層に比べて粘着性の弱いシートやスポンジ状とすることが好適である。このため支持体層は乾燥状態とすることが望ましく、さらにある程度の吸水性を持ち使用時には水分を含ませるか、使用部位の体液を吸収することで柔軟性を獲得する性質を有するものが望ましい。これにより本発明の貼付材は、粘着・接着力が向上するだけでなく、複雑な構造となった損傷部位にも適用することができるようになる。支持体層は、生体由来蛋白質であるゼラチンやコラーゲン、多糖類であるキトサン、アルギン酸、ヒアルロン酸等をシート形状もしくは多孔質構造にして用いることができる。特に熱もしくは化学的に架橋したコラーゲンスポンジを用いると効果的で、0.5〜10mmの厚みとすることが望ましく、これより薄いと損傷部の補強機能が低下し、厚いと複雑な構造をした損傷部への対応が難しくなる。また、架橋を加えたゼラチンシートやスポンジ、キトサンシートが使用できる。使用時に水分を吸収し、粘性を獲得する可能性があるため、最外層に撥水性物質を被覆して粘着力を低減させるか、組織接着層が積層されている面とは反対側で組織接着層が積層されていない支持体層の最外層にシリコン等の非粘着性高分子を一時的に使用し、接着後最外層の高分子シートを取り外せるようにすることも可能である。 【0011】本発明の貼付材は、アルデヒド溶液に浸漬させて使用することにより、組織接着層と生体損傷部間に架橋構造が生じ、より接着性を増すことができる。このような浸漬操作により貼付材は使用時、柔らかくなる効果もあり、アルデヒド溶液と併用することが望ましい。アルデヒド溶液としては、ホルムアルデヒドやグルタルアルデヒドが使用でき、それぞれ5〜30重量%の濃度で使用でき、使用部位等で選択することができる。アルデヒド溶液は、密封容器に入れ、本発明の医療用貼付材を収納した水蒸気難透過性の包装容器とともに2次包装容器に収納することが好ましく、また、アルデヒド溶液の密封容器と、医療用貼付材を収納した水蒸気難透過性の包装容器を使用時まで一体的に連結した状態にしておいてもよい。このように貼付材とアルデヒド溶液を一体的にしておくことにより、前記のアルデヒドによる操作が必要に応じて簡便かつ容易に行なえ好都合である。また、ゲル状の組織接着層にビニルモノマー等の光反応性架橋剤もしくは重合剤を含有させておくことにより、使用時に組織接着層に光照射をして、損傷部と組織接着層の強い接着力を得ることも好適である。以下に実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明する。 【0012】 【実施例】(実施例1)牛アテロコラーゲンを3mM塩酸水溶液に3%で溶解後、凍結乾燥し、蒸留水存在下で60℃、30分の熱変性処理を行った(a)。また、3%牛アテロコラーゲン含有3mM塩酸水溶液をリン酸緩衝液で中和し、遠心操作により濃縮した溶液(b)を得た。さらに、(a)と(b)を10:1の割合で混合し、蒸留水にて2.5%牛アテロコラーゲン含有溶液を作製した。この液を凍結乾燥し、さらに110℃、2時間の熱架橋を加えて、コラーゲンスポンジを作製した。このコラーゲンスポンジ片面に、50%ゼラチン、12.5%レゾルシノール、37.5%水を含むゼラチンゲルを作製して、コラーゲンスポンジ上に積層し、貼付材を作製した。 (実施例2)シリコン膜上に上記の方法でコラーゲンスポンジを作製し、コラーゲンスポンジのシリコン膜と接している面とは反対のコラーゲンスポンジ上に50%ゼラチン、12.5%レゾルシノール、37.5%水を含むゼラチンゲルを積層し貼付材を作製した。このシリコン膜はコラーゲンスポンジと弱く結合し、貼付材接着後、シリコン膜を容易に引き剥がせ、目的部位に生体吸収性材料のみを残すことを可能とした貼付材であることを確認した。 (実施例3)キトサンを1%酢酸水溶液に1%で溶解後、風乾し、得られたフィルムを3%NaOHを含む50%エタノール溶液に浸漬して蒸留水で洗浄して、キトサンフィルムを作製した。50%ゼラチン、12.5%レゾルシノール、37.5%水を含むゼラチンゲルをキトサンフィルム片面に積層させ貼付材を作製した。 【0013】(試験例)実施例1で作製した1.0×0.8cmの医療用貼付材とゼラチンレゾルシンゲル単体を豚(60kg、雌)の肝臓表面に置き、1分間手で圧迫した。ゼラチンレゾルシンゲルゲル単体では肝臓への付着よりも使用した手袋への付着が多く圧迫接着が行えなかったのに対して、本発明の貼付材は使用した手袋には全く付着せず、圧迫接着が容易に行えた。その後、接着した貼付材の末端の0.2cmを取っ手付クリップで挟み、その取っ手をpush-pull-scale(PSSO.5K IMADA)と接続して接着強度を測定した。その結果、実施例1で作製したコラーゲンスポンジ単体を圧迫接着した場合には、15分後1gf以下で、市販品(タココンブ)を圧迫接着した場合には、10分後12.5gf、30分後17.5gfに対して、本発明の貼付材は10分後17.5gf、30分後17.5gf/cmを示し、早期に強い接着強度が得られた。更に、本医療用貼付材を25重量%ホルマリン水溶液に浸漬して使用することにより、コラーゲンスポンジが柔軟になり、患部組織の形状に追従すると同時に、接着強度は10分後40gf/cm、30分後135gf/cmと向上し、強い接着力が得られた。 【0014】 【発明の効果】以上に詳述したように、本発明は、ゲル状で粘性を有する組織接着層と、比較的粘性の弱い支持体層から形成され、組織接着層及び支持体層が生体内吸収性材料を主構成成分とする医療用貼付材であるので、適用直後から接着層と生体組織との密着性及び接着性をち、速やかに吸収され自己組織による治癒を実現させることができる。また、適用時に使用する用具や手袋等に付着しにくく、容易に組織へ適用することができ、かつ、直接圧迫し患部を閉鎖することができる。さらに、接着と同時に、弱体化した患部を補強することもでき、接着力を増強させるため架橋剤を使用する場合も、最小限に抑えることができる。したがって、本発明の貼付剤は、体内臓器の損傷部を閉鎖し、治癒させる場合に有効で、例えば、血管の損傷部や縫合による針穴周囲に貼付することにより、術中術後の出血を防ぐとともに、術後、損傷部を補強し治癒させることができる。また、肝臓、肺等の臓器切除部分や損傷部分の閉創にも用いることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000109543 【氏名又は名称】テルモ株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月30日(2001.3.30) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−291862(P2002−291862A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月8日(2002.10.8) |
| 【出願番号】 |
特願2001−101262(P2001−101262) |
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