トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 通気性脱臭フィルター
【発明者】 【氏名】中島 敏充

【要約】 【課題】本発明の課題は、圧力損失が少なく脱臭性能に優れた通気性脱臭フィルターを提供することである。

【解決手段】通気性基材Aと熱可塑性基材と吸着剤及び通気性基材Bがこの順に積層される通気性脱臭フィルターに於いて、熱可塑性基材がネット状で、その開口率が60%以上であり、該熱可塑性基材の融着作用によって一体化することにより通気性脱臭フィルターが得られた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通気性基材Aと熱可塑性基材と吸着剤及び通気性基材Bがこの順に積層される通気性脱臭フィルターに於いて、熱可塑性基材がネット状で、その開口率が60%以上であり、該熱可塑性基材の融着作用によって一体化されていることを特徴とする通気性脱臭フィルター。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体製造工業、医薬品製造工業、食品工業、病院などの分野で使用されるクリーンルーム用エアーフィルター、オフィスの空調、家庭用エアコンなどの空気清浄化フィルター部材、乗り物に使用される自動車用エアーフィルターの空気清浄化フィルター部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、吸着剤を使用した空気清浄化フィルターは、通気性を有するウレタンの多孔質基材上に、粒状或いは粉体状活性炭を接着させたものや、不織布に活性炭を塗りつけたり、活性炭素を含浸させたものに除塵性シートであるエレクトレットを張り合わせたものがあった。また、ハニカムの空孔部分にぺレット状活性炭を詰めたもの、あるいは、波状の不織布と平面状の不織布を組み合わせたコルゲートの三角柱の部分に同じくぺレット状活性炭を詰めたものがあった。また、特開昭61−119269号公報では2枚の基材シート間に活性炭を挟み込んで、活性炭シートとする方法が開示されている。
【0003】不織布に活性炭が塗布されたものや不織布に活性炭を含浸させたものとエレクトレットを組合わせたフィルターでは活性炭を固定化するためにバインダーが必須である。バインダーを使用すると活性炭の脱臭能力が低下するといった問題が生じ、単位面積当たりの活性炭の量を増加させると必然的に圧力損失が増大し、通気性のフィルターとして適さない性能となったり、圧力損失を十分に小さくすると吸着剤の量が少なく脱臭寿命も短かくなるというジレンマを抱えていた。通気性を有するウレタンを使用したものは高価であるばかりでなく、脱臭性能を十分に得ようとすると非常に嵩高くなりフィルターとしての適性にかける。ハニカムやコルゲートの空孔部分にぺレット状活性炭を詰めたフィルターなどもあるが、空気の流れが乱れたり、エレクトレットなどの平面上の除塵フィルターを併用した場合に空気の流れにむらができ、除塵性能が低下する。一方、2枚のシート間に活性炭を挟み込んで、熱可塑性樹脂で接着する方法は活性炭表面に樹脂の膜が出来て、脱臭性能の低下、圧力損失の増大、熱可塑性樹脂の散布状態によっては活性炭が脱落する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、圧力損失が低く、脱臭性能が良く、さらに吸着剤の脱落の少ない通気性脱臭フィルターを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達したものである。
【0006】通気性基材Aと熱可塑性基材と吸着剤及び通気性基材Bがこの順に積層される通気性脱臭フィルターに於いて、熱可塑性基材がネット状で、その開口率が60%以上であり、該熱可塑性基材の融着作用によって一体化されていることを特徴とする通気性脱臭フィルターに関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の通気性脱臭フィルターに係わる構成要素を詳細に説明する。
【0008】本発明に係わる通気性基材A及び通気性基材Bは同一でも異なっていても良く、それらとして織布、不織布、ネット、及びスポンジ等の他、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリエステルフィルムの様な汎用の熱可塑性フィルムや薄板等が挙げられる。これらの内、フィルムや薄板等の通気性に乏しいシートは、微細な穴をあけて通気性を向上させても良い。 その中でも、特に不織布等を用いれば、比較的均一な通気性を確保することができるばかりか、封入加工も容易であるため、優位に使用される。
【0009】不織布は、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリオレフィン系繊維、フェノール系繊維などの合成繊維、ガラス繊維、金属繊維、アルミナ繊維、活性炭素繊維などの無機繊維、木材パルプ、麻パルプ、コットンリンターパルプなどの天然繊維、再生繊維、あるいはこれらの繊維に親水性や難燃性などの機能を付与した繊維などを使用し、各種方法によって製造したものである。
【0010】不織布の製造方法については特に制限はなく、目的・用途に応じて、乾式法、湿式抄造法、メルトブローン法、スパンボンド法などで得られたウェブを水流交絡法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法などの物理的方法、サーマルボンド法などの熱による接着方法、レジンボンドなどの接着剤による接着方法で強度を発現させる方法を適宜組み合わせて製造することができる。
【0011】また、用途に応じて、さらに通気性基材A及び通気性基材Bには、撥水剤や難燃剤、抗菌剤、防黴剤を加えても良い。
【0012】さらに大気中の塵埃等の浮遊粒子を捕捉する除塵性能をもつ帯電シートを使用することにより捕集効率が向上する。また、通気性脱臭フィルターを作製する工程において帯電加工を施してもかまわない。
【0013】本発明に係わる吸着剤の具体的な例としては、活性炭、添着活性炭、活性白土、天然および合成ゼオライト、セピオライト、酸化鉄などの鉄系化合物、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、シリカ、シリカ−酸化亜鉛複合物、シリカ−アルミナ−酸化亜鉛複合物、二酸化マンガン、複合フィロケイ酸塩、シクロデキストリン、アスコルビン酸と二価鉄塩の混合物、ビタミンB群とリン酸塩の混合物、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。これらの吸着剤の形状は特に限定されるものではないが粒子状のものが好ましく、比表面積が50〜2000m2/gのものを適宜選択して用いることが可能であり、例えば活性炭の場合、500〜1500m2/gのものが好ましい。
【0014】本発明に係わる熱可塑性基材の例としては、ホットメルト接着剤であり、具体的には、EVA系、ポリエステル系、ポリアミド系などの熱可塑性樹脂からなり、形状として、通気性のフィルム、ネット、織布、不織布などがあげられる。
【0015】その中でも本発明に使用される熱可塑性基材はネット状であり例えば、縦方向に多数の強度のあるヤーン(例、ガラス繊維、レーヨン)で、横方向に多数のウェブ状ホットメルト接着剤(例、EVA)のフィラメントで構成されたようなネット状複合素材である。このようなネット状の熱可塑性基材は、例えば、加圧下、100℃程度の低温で強固な接着が可能となる。この熱可塑性基材のホットメルト接着剤量は通常5〜40g/m2 である。本発明において熱可塑性基材は、加熱、加圧した部位でのみ溶融して通気性脱臭フィルター間の融着を助けて、より多量の吸着剤などを確実に通気性基材間に封入する事が出来る。従って、熱可塑性基材が吸着剤の有効な表面積を減少させることはほとんどなく良好な脱臭性能を保ったまま吸着剤の固定化が可能となる。
【0016】また、縦及び横の目合いは、容易に作製が可能なもので通気性脱臭フィルターの通気性能を阻害しないもので、かつ通気性基材と吸着剤をよく固定するものが好ましい。目合いの形状及び間隔は三角形、四角形、多角形、クモの巣状等特に限定されず、2mm〜20mmの目合いで開口率が60%以上あるネット状が特に好ましい。
【0017】開口率が60%未満になると圧力損失の上昇などが生じフィルター性能が低下する。
【0018】吸着剤の封入手段は、通気性基材A上に熱可塑性基材を乗せ吸着剤を散布し、さらに通気性基材Bで覆いドライヤー等で熱を加え固定させる方法で吸着剤を封入することが出来る。
【0019】また、通気性基材A上に熱可塑性基材を乗せ吸着剤を散布し、ドライヤー等で熱を加え、熱可塑性基材を溶融後に通気性基材Bを覆う方法で吸着剤を封入することが出来る。
【0020】熱可塑性基材と吸着剤は、加熱により熱可塑性基材が吸着剤と混ざる為、結果的に同じ層に混在され配列されるため3層となる。
【0021】吸着剤の封入量は、JEM 1467−1995などで定める除塵性能の算出、耐久日数の算出で決定するが、50g/m2〜500g/m2が好ましい。
【0022】本発明の通気性脱臭フィルターを空気清浄機などの装置に装着して使用する場合はシートのまま使用してもかまわないが、プリーツ加工などを施してフィルターの面積を増やすとさらに脱臭、除塵に効果的である。
【0023】
【実施例】以下、実施例によりさらに本発明を詳細に説明するが、本発明はその主旨を越えない限りこれらに限定されるものではない。
【0024】実施例1[通気性基材A及びBの作製]通気性基材A及びBとして不織布を、ポリエステル繊維とビスコースレーヨン繊維とを混合し、乾式法により空気中でウエッブを形成し、熱可塑性のバインダーであるアクリルのラテックス中に含浸し、繊維を接着して形成した。
【0025】[実施例1の通気性脱臭フィルターの作製]次に、吸着剤として32〜60メッシュの活性炭200重量部と50メッシュの熱可塑性バインダーであるエチレン酢酸ビニール樹脂粉体10重量部を予め混合し、混合粉体を作製した。この混合粉体を通気性基材Bの不織布、熱可塑性基材として共重合ポリアミドを主体としたクモの巣状ホットメルトネット(開口率:90%、目付20g/m2)上に210g/m2となるよう散布し、加熱により通気性基材Aの不織布と貼り合わせて実施例1の通気性脱臭フィルターを作製した。
【0026】作製した通気性脱臭フィルターの圧力損失をJIS B9908に基づき面風速5.3cm/秒で測定した結果、8Paであった。
【0027】実施例2[実施例2の通気性脱臭フィルターの作製]通気性基材A及びBとして不織布を、実施例1同様の方法にて作製した。次に、熱可塑性基材として共重合ポリアミドを主体とした、開口率:65%、目付20g/m2のクモの巣状ホットメルトネットを用いて実施例1同様の方法にて実施例2の通気性脱臭フィルターを作製した。
【0028】作製した通気性脱臭フィルターの圧力損失をJIS B9908に基づき面風速5.3cm/秒で測定した結果、10Paであった。
【0029】実施例3通気性基材A及びBとして不織布を、実施例1同様の方法にて作製した。
【0030】[実施例3の通気性脱臭フィルターの作製]次に通気性基材Bの不織布、熱可塑性基材として共重合ポリアミドを主体とした、開口率:90%、目付20g/m2のクモの巣状ホットメルトネット上に、吸着剤として32〜60メッシュの活性炭200g/m2となるよう散布し、加熱により通気性基材Aの不織布と貼り合わせて実施例3の通気性脱臭フィルターを作製した。実施例1、2で用いたエチレン酢酸ビニール樹脂粉体は使用しなかった。
【0031】作製した通気性脱臭フィルターの圧力損失をJIS B9908に基づき面風速5.3cm/秒で測定した結果、6Paであった。
【0032】比較例1[比較例1の通気性脱臭フィルターの作製]通気性基材A及びBとして不織布を、実施例1同様の方法にて作製した。次に、熱可塑性基材として共重合ポリアミドを主体とした、開口率:50%、目付22g/m2のクモの巣状ホットメルトネットを用いて実施例1同様の方法にて比較例1の通気性脱臭フィルターを作製した。
【0033】作製した通気性脱臭フィルターの圧力損失をJIS B9908に基づき面風速5.3cm/秒で測定した結果、11Paであった。
【0034】比較例2[比較例2の通気性脱臭フィルターの作製]通気性基材A及びBとして不織布を、実施例1同様の方法にて作製した。次に、熱可塑性基材として共重合ポリアミドを主体とした、開口率:30%、目付30g/m2のクモの巣状ホットメルトネットを用いて実施例1同様の方法にて比較例1の通気性脱臭フィルターを作製した。
【0035】作製した通気性脱臭フィルターの圧力損失をJIS B9908に基づき面風速5.3cm/秒で測定した結果、14Paであった。
【0036】比較例3通気性基材A及びBとして不織布を、実施例1同様の方法にて作製した。
【0037】[比較例3の通気性脱臭フィルターの作製]次に、吸着剤として32〜60メッシュの活性炭200重量部と50メッシュの熱可塑性バインダーであるエチレン酢酸ビニール樹脂粉体100重量部を予め混合し、混合粉体を作製した。この混合粉体を通気性基材Bの不織布に300g/m2となるよう散布し、加熱により通気性基材Aの不織布と貼り合わせて比較例3の通気性脱臭フィルターを作製した。
【0038】作製した通気性脱臭フィルターの圧力損失をJIS B9908に基づき面風速5.3cm/秒で測定した結果、16Paであった。
【0039】比較例4通気性基材A及びBとして不織布を、実施例1同様の方法にて作製した。
【0040】[比較例4の通気性脱臭フィルターの作製]次に、吸着剤として32〜60メッシュの活性炭200重量部と50メッシュの熱可塑性バインダーであるエチレン酢酸ビニール樹脂粉体10重量部を予め混合し、混合粉体を作製した。この混合粉体を通気性基材Bの不織布に210g/m2となるよう散布し、加熱により通気性基材Aの不織布と貼り合わせて比較例4の通気性脱臭フィルターを作製した。
【0041】次に作製した通気性脱臭フィルターの圧力損失を測定しようとしたところ、通気性基材Aと通気性基材Bの接着性が非常に弱く吸着剤及び熱可塑性バインダが脱落し通気性脱臭フィルターとして使用できなくなった。
【0042】以上、実施例および比較例で得られた通気性脱臭フィルターは、以下の方法で試験を行い、その性能を評価した。
【0043】[脱臭性能の測定方法]実施例1〜3及び比較例1〜3で作製した通気性脱臭フィルターを10cm×10cmに裁断し、5.6リットルの密閉容器の底部からの距離が2cmとなるように静置した。容器中にアセトアルデヒドを50ppm注入し、直後、5分後、10分後、30分後の容器中のアセトアルデヒド濃度(ppm)をガステック製ガス検知管にて測定した。
【0044】測定した結果を”表1”に示す。値が低いほど良好であることを示す。尚、NDは検知管での測定が許容範囲値を下回った事を示す。
【0045】
【表1】

【0046】[フィルター性能評価方法]実施例1〜3及び比較例1〜3で作製した通気性脱臭フィルターをプリーツ加工し、筐体として不織布の枠を使用し、200mm×200mm×20mm、20山のプリーツ加工により、実施例1〜3、比較例1〜3のユニットをそれぞれ作製した。JIS B9908に基づいたフィルター性能試験機を用いて風速を50cm/秒、70cm/秒、100cm/秒、150cm/秒、200cm/秒の時の圧力損失(Pa)を測定した。
【0047】測定した結果を”表2”に示す。値が低いほど良好であることを示す。
【0048】
【表2】

【0049】実施例1〜3の通気性脱臭フィルターは、何れの評価項目についても良好な結果を示した。
【0050】
【発明の効果】本発明の通気性脱臭フィルターは、圧力損失を増加させることなしに脱臭および除塵を行うことが可能である。熱可塑性基材に開口率60%以上のネット状ポリアミド系熱可塑性ネットを使用することにより通気性脱臭フィルターの圧力損失を増加させることなく脱臭性能が優れた通気性脱臭フィルターが得られた。また、吸着剤に熱可塑性バインダーであるエチレン酢酸ビニール樹脂粉体を混ぜずに通気性脱臭フィルターを作製することにより、さらに圧力損失及び脱臭性能が優れた通気性脱臭フィルターが得られた。
【出願人】 【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
【出願日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−291860(P2002−291860A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−98823(P2001−98823)