| 【発明の名称】 |
殺菌方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】五嶋 伸隆
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| 【要約】 |
【課題】食品加工工場内や冷蔵庫内等の冷気の殺菌を容易かつ簡単に行うことができ、しかも高い殺菌能力が得られる殺菌方法を提供すること。
【解決手段】処理対象である冷蔵庫内の冷気を触媒に接触させて、冷気中の有機物が触媒に吸着される。その後、触媒を加熱する。触媒の担体はステンレスなどの金属製のものであり、担体に通電することで触媒を加熱する。すると、触媒に吸着された有機物が燃焼によって二酸化炭素と水に分解されて殺菌が行われる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 有機成分を含有している冷気の殺菌方法であって、前記有機成分を触媒に吸着させた後、該触媒を150〜350℃に加熱して触媒に吸着された有機成分を燃焼させることにより冷気の殺菌を行うことを特徴とする殺菌方法。 【請求項2】 触媒の加熱は間欠的に行われる請求項1に記載の殺菌方法。 【請求項3】 触媒の担体は導電性を有するものであり、触媒の加熱を担体に通電することによって行う請求項1または請求項2に記載の殺菌方法。 【請求項4】 触媒が収容されている触媒塔内に冷気を流通させることによって触媒に冷気中の有機成分を吸着させており、少なくとも非加熱時の冷気の流量は1000〜100000hr-1である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の殺菌方法。 【請求項5】 触媒が収容されている触媒塔内に冷気を流通させることによって該冷気中の有機成分を触媒に吸着させており、加熱時の冷気の流量は100hr-1以下である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の殺菌方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、有機成分を含有している気体、特に、食品の加工や保管を行う空間内の冷気を殺菌する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】通常、大気中には大腸菌などの微生物やウイルスなどが浮遊している。したがって、食品の加工工場や、冷蔵庫(室)、冷凍庫(室)あるいは冷暗所等の食品を保管、保存する場所など、食品を取扱う場所や空間では、通常、空間内の冷気の殺菌を行っている。殺菌に不備があると、微生物による発酵等の作用によって冷蔵庫内の冷気が異臭を発するなどの不具合が発生しやすくなるからである。従来、冷気の殺菌に用いられている方法としては、例えば、エチレンオキサイドやホルマリンなどの薬剤を用いる方法や、紫外線やオゾンなどを用いて殺菌を行う方法がある。ところが、ホルマリンなどの薬剤を用いる方法では、継続的に殺菌を行う場合、薬剤を定期的に補充する手間がかかる。他方、紫外線やオゾンを用いる方法によれば、このような問題はないが、紫外線を用いると、殺菌対象物が比較的大きい場合に、照射した紫外線が対象物の内部に到達しなくなって殺菌能力が低減するというおそれがある。また、オゾンを用いる方法では、冷気などの気体の殺菌を行う場合に、必要な殺菌効果が得られない場合がある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このような問題点に鑑み、本発明は、食品加工工場内や冷蔵庫内等の冷気の殺菌を容易かつ簡単に行うことができ、しかも高い殺菌能力が得られる殺菌方法を提供することを課題とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】このような課題を解決するために、発明者等は、高い殺菌能力が得られる殺菌方法について検討した。その結果、殺菌対象である微生物等を捕集した状態で殺菌処理できれば、高い殺菌能力が得られると考え、本発明をするに至った。具体的には、殺菌の対象である微生物等が有機物で構成されている点に着目し、有機成分を吸着できる触媒を用いることによって微生物等を捕集する方法を見出したものである。 【0005】すなわち、本発明は、有機成分を含有している冷気の殺菌方法であって、前記有機成分を触媒に吸着させた後、該触媒を150〜350℃に加熱して触媒に吸着された有機成分を燃焼させることにより冷気の殺菌を行うことを特徴とする殺菌方法である。 【0006】本発明に係る殺菌方法を、図1を参照しながら説明する。この殺菌方法では、まず処理対象である冷蔵庫内の冷気を触媒(担持体)に接触させる。すると、冷気中の有機物(有機成分)が触媒に吸着される。その後、冷気は元の冷蔵庫内に戻される。他方、触媒は加熱され、触媒に吸着された有機物が燃焼により二酸化炭素(CO2)と水(H2O)に分解されて殺菌が行われる。また、本殺菌方法は、殺菌効果と共に脱臭効果を併せ持つと考えられる。触媒は、ハニカム構造の担体に、ウォッシュコートとしてアルミナ、ゼオライトあるいはシリカなどのセラミック素材をコーティングすると共に、1種または2種の白金族金属の金属塩を複合状態で担持させた後、還元処理を施して触媒成分を担持させたものである。また、担体はステンレスなどの金属製のものであり、担体に通電することによって触媒を加熱できるようになっている。 【0007】このような殺菌方法によれば、吸着作用によって積極的に有機成分すなわち微生物等を捕集するので、高い効率で有機成分を燃焼させることができ、殺菌能力が高い。また、触媒を用いて有機成分を吸着するので、薬剤を用いる場合に必須の薬剤補充といった手間が必要なく、容易かつ簡単に殺菌を行うことができる。有機成分を燃焼させて殺菌を行う場合、殺菌を確実に行うために触媒を一定以上の温度に加熱する必要があるが、冷蔵庫内の冷気など、温度管理されている気体の殺菌を行う場合、触媒の加熱温度は高くない方が好ましい。このような観点で検討を行った結果、触媒の燃焼温度は150〜350℃が好ましいことが見出された。150℃以上であれば、有機成分を燃焼させることにより確実に殺菌を行うことができ、また350℃以下であれば、処理対象の気体の温度上昇を小さいものに抑えることができるからである。 【0008】触媒の燃焼温度をこのような温度範囲にすれば、処理対象気体の温度上昇を抑えることができるが、例えば食品の加工工場や保管場所の温度は、比較的低い一定の温度(例えば5℃)になるように、または一定の温度になるように管理されている場合が多い。このような場合、加熱された触媒から冷気に与えられる熱はできるだけ少ない方が好ましい。このような観点で殺菌方法について検討を行った結果、触媒の加熱を間欠的に行う方法が見出された。 【0009】本発明に係る殺菌方法では、加熱していない触媒に処理対象の冷気を触れさせることで冷気中に含有される有機成分を触媒に吸着させることができる。したがって、触媒を間欠的に加熱させた場合であっても、加熱していない間に吸着によって捕集された有機成分の殺菌を行うことができるのである。加熱を間欠的に行えば、加熱時間が短縮されるので、冷気の昇温がより確実に抑えられる。したがって、食品の加工工場や冷蔵庫(室)、冷凍庫(室)または冷暗所内など、冷気の殺菌を行う殺菌方法としてより好適である。 【0010】触媒を加熱する方法としては、触媒の担体を導電性を有するものとし、該担体に通電することによって触媒を加熱する方法が好ましい。ここでいう導電性を有する担体とは、例えば、鉄、ステンレス等の導体のことである。本発明に係る殺菌方法では、触媒の加熱温度を所定範囲にすることで処理対象の冷気の昇温を抑えており、また触媒の加熱を間欠的に行う場合が考えられるが、通電加熱であれば、加熱温度の管理や間欠的加熱が容易である。また、冷気を触媒に触れさせる際(触媒が設置された空間内に冷気を通過させる際)の圧力損失や担体強度等を総合的に満足する担体の構造としてはハニカム構造が好ましい。 【0011】ところで、本発明に係る殺菌方法を用いて殺菌を行う場合は、触媒が収容されている触媒塔の内部空間に処理対象である冷気を流通させて冷気中の有機成分を触媒に吸着させる。そこで、冷気を触媒に触れさせる際の、冷気の流量について検討を行った。その結果、有機成分を触媒に確実に吸着させるには、流量はある程度遅い方が好ましいことが見出された。しかし、吸着を確実に行い得るのであれば、流量は多い方が高い殺菌能力が得られるため好ましい。このような観点で検討を重ねた結果、少なくとも非加熱時の冷気の流量は、SV値(SpaceVelocity)が1000〜100000hr-1であることが好ましいことが見出された。なお、SV値とは、触媒体積に対する流通気体の単位時間当たりの流量である。SV値の逆数は、触媒が収容される触媒塔内に気体を流通させた場合の、該気体の触媒塔内滞留時間に対応する。SV値がこの範囲であれば、触媒によって有機成分を確実に吸着することができ、しかも高い殺菌能力で殺菌を行うことができる。 【0012】触媒が収容されている触媒塔を通過した冷気は、その後、もとの空間に戻される。例えば冷蔵庫内の冷気の殺菌を行う場合は、触媒塔を通過した冷気は冷蔵室内に戻される。したがって、冷気の流量を増やすと、該冷気を介して加熱された触媒から冷蔵室内に運ばれる熱量が増加するおそれがある。そこで、冷蔵室内に移動する熱量を最小限に抑える観点で、処理対象ガスの流速について検討を行った。その結果、非加熱時と加熱時とで冷気の流量を変化させることにより、冷蔵室内に移動する熱量を抑えることができることを見出し、さらに検討した結果、加熱時の冷気の流量は、SV値が100hr-1以下であることが好ましいことを見出した。流量をこれより増やすと、冷気によって冷蔵庫内などの元の空間に運ばれる熱量が増加するからである。この点、加熱時の冷気の流量が100hr-1以下であれば、冷蔵庫内などの元の空間に運ばれる熱量を少量に抑えることができ、冷蔵庫内等の温度上昇をより確実に抑えることができる。したがって、冷蔵庫内温度の上昇をより確実に抑える観点に立てば、冷気の流通を停止させることがより好ましい。停止させれば、冷蔵庫内等への熱量の流入を停止させることができるからである。また、冷気の流通を停止させる場合は、冷気の流通再開により触媒塔から放出される所定量の気体(冷気)を冷蔵庫内等のもとの空間に戻さずに、庫外等に放出することが好ましい。加熱時に触媒塔内に滞留していた気体は比較的高温に加熱されるので、このような気体を庫外等に放出すれば、冷蔵庫内の昇温をより効果的に抑えることができる。検討の結果、庫外に放出させる気体の量は、触媒塔内容量以上であって、当該容量の10倍以下が好ましいことが解った。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を図を説明する。 【0014】本実施形態では、触媒(担持体)として、鉄−クロム−アルミニウム合金製のメタルハニカム担体(外径30mm×長さ50mm、セル密度300cpsi(1インチ平方あたりに含まれるセル数))に、ウォッシュコートとしてアルミナをコーティングし、各種白金族金属の金属塩を1種または2種の複合状態で担持させた後、還元処理を施して触媒成分を担持させたものを用いた。なお、担持させた白金族金属は、Pt、Pd、Ir、Rh、Ruの5種類である。この触媒1(図2参照)を、ステンレス製で円筒形(内径30mm×50mm)の触媒塔2の内部に収容し(図2参照)、収容した状態でメタルハニカム担体に電極を接続して通電加熱できるようにした。なお、通電手段は、従来用いられているものと同様であるので、図示および説明を省略する。 【0015】第1実施形態:鶏肉加工工場で使用されている冷蔵庫(図示せず)内の冷気を処理対象として、上述の触媒塔を用い、本発明に係る殺菌方法の試験を行った。第1実施形態では、冷気の流量を変化させ、各流量における殺菌能力を評価した。殺菌能力の評価は、冷気中の有機成分濃度(g/m3)を殺菌の前後で比較し、これらの値に基づいて算出した吸着率によって行った。なお、試験での触媒の加熱温度は200℃であり、冷蔵庫内温度は2℃(相対湿度100%RT)であった。また、有機成分および後述のCO2の濃度はガス検知管(ガスセンサ)を用いる測定法によって測定した。結果を次の表に示す。 【0016】 【表1】
【0017】表から解るように、冷気の流量が60リットル/分の場合に69%あった吸着率が、70リットル/分では25%と著しく低くなった。したがって、冷気の流量は、SV値に換算して、約100000hr-1以下が好ましいことが解った。また、冷気の流量を30リットル/分にすると、吸着率が85%と高い殺菌能力が得られ、しかも流量が20リットル/分の場合と吸着率にあまり差がないことから、冷気の流量は、SV値で約60000hr-1以下にすると、高い殺菌能力が得られ、より好ましいことが解った。なお、試験の前後で、冷蔵庫内温度に1℃以上の温度変化は見られなかった。 【0018】第2実施形態:冷気の流量を一定にした状態で触媒の加熱温度を変えて、各加熱温度における殺菌状態を評価した。殺菌状態の評価は、殺菌されて触媒塔から排出された気体中のCO2の濃度によって行った。なお、冷気の流量は、SV値が100hr-1になる量であった。また、触媒の加熱温度および冷気の流量以外の条件は、第1実施形態と同様であり、その説明を省略する。結果を次の表に示す。 【0019】 【表2】
【0020】表から解るように、触媒の加熱温度が125℃では、CO2の濃度が低いことから有機成分の燃焼が十分に行われなかったが、加熱温度を150℃にすると、高いCO2濃度が得られ、確実に燃焼されることが解った。この結果から、触媒の加熱温度は、150℃以上が好ましいことが解った。 【0021】第3実施形態:触媒を間欠的に加熱する場合の殺菌能力について試験を行った。触媒を加熱しない時間帯(非加熱時間)と、加熱する時間帯(加熱時間)とを交互に設け、非加熱時間に対する加熱時間の割合を変化させて、加熱時間と殺菌能力との関係を評価した。殺菌能力は、触媒塔出口における有機成分濃度によって行った。冷気の流量は、非加熱時40リットル/分(SV値=68000hr-1)、加熱時0.05リットル/分(SV値=85hr-1)とした。また、加熱時の触媒の加熱温度は、300℃にした。冷気の流量および加熱時の触媒の加熱温度以外の条件は、第1実施形態と同様であり、その説明を省略する。結果を次の表に示す。 【0022】 【表3】
【0023】なお、有機成分濃度値は、入口および非加熱時については平均値を、また加熱時については、加熱後の所定時間内(1分)に測定された最も高い濃度値を示した。表から解るように、加熱時間が5秒の場合は、加熱した後であっても有機成分濃度が高い場合がったが、10秒以上加熱した場合、このようなことはなく、連続加熱する場合と同等の殺菌能力が得られた。したがって、触媒を加熱して、触媒上に吸着されている有機物を燃焼させるのに必要な時間は60分につき10秒以上であることが解った。そして、30秒以上加熱した場合、加熱後の有機成分濃度が0.01g/m3以下であった(測定できなかった)ことから、冷蔵庫内温度の上昇を防止する観点からすると、1回の加熱における加熱時間は30秒以下が好ましいことが解った。なお、触媒に吸着される有機物の分子量に違いがあるような場合でも、実験結果は同様であったことから、殺菌対象の有機物の大きさに拘わらず同様の殺菌効果が得られることが併せて解った。また、試験結果から明らかであるが、間欠加熱であっても連続加熱の場合と同等の殺菌能力が得られたことから、エネルギ消費量を著しく削減できることが解った。 【0024】 【発明の効果】以上の説明から解るように、本発明の殺菌方法によれば、食品加工工場内や冷蔵庫内等の冷気の殺菌を、容易かつ簡単に行うことができ、しかも高い殺菌能力が得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000217228 【氏名又は名称】田中貴金属工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月29日(2001.3.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100111774 【弁理士】 【氏名又は名称】田中 大輔
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| 【公開番号】 |
特開2002−291851(P2002−291851A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月8日(2002.10.8) |
| 【出願番号】 |
特願2001−96480(P2001−96480) |
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