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【発明の名称】 脱臭方法
【発明者】 【氏名】天野 成一

【氏名】相部 紀夫

【要約】 【課題】悪臭成分を長期間、効率よく脱臭する方法の提供。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】活性炭に過酸化水素水溶液を間欠的または連続的に散布しながら該活性炭に悪臭ガスを接触させることを特徴とする脱臭方法。
【請求項2】過酸化水素水溶液がアルカリ化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の脱臭方法。
【請求項3】活性炭が、ハニカム状活性炭であることを特徴とする請求項1または2記載の脱臭方法。
【請求項4】悪臭成分が、硫化水素、メルカプタン類、スルフィド類、ジスルフィド類、アルデヒド類、脂肪酸類、アンモニアおよびアミン類のうち少なくとも1成分であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脱臭方法。
【請求項5】活性炭に過酸化水素水溶液を間欠的または連続的に散布しながら該活性炭に悪臭ガスを接触させた後、さらに活性炭および/または薬品添着活性炭に接触させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の脱臭方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、悪臭ガスを長期に亘り効率的に除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】悪臭ガスの脱臭方法として粒状活性炭または薬品を添着した活性炭を用いる方法などが知られているが、悪臭ガスの吸着容量が小さかったり、悪臭成分によって添着すべき薬品を変える必要があったり、また多種類の薬品添着活性炭を組み合わせる必要があったりして、それぞれ実用上問題があった。また、活性炭は比較的寿命が短いので、頻繁に交換しなければならなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は悪臭ガスを長期に亘り効率よく脱臭する方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の問題点を鑑み、鋭意検討の結果、悪臭ガスを脱臭するに際し活性炭層に過酸化水素水溶液を散布しながら該活性炭層に接触させることによって効率よく脱臭でき、かつ、脱臭寿命が著しく長くなることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は(1)活性炭に過酸化水素水溶液を間欠的または連続的に散布しながら該活性炭に悪臭ガスを接触させることを特徴とする脱臭方法、(2)過酸化水素水溶液がアルカリ化合物を含むことを特徴とする(1)記載の脱臭方法、(3)活性炭が、ハニカム状活性炭であることを特徴とする(1)または(2)記載の脱臭方法、(4)悪臭成分が、硫化水素、メルカプタン類、スルフィド類、ジスルフィド類、アルデヒド類、脂肪酸類、アンモニアおよびアミン類のうち少なくとも1成分であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の脱臭方法、および(5)活性炭に過酸化水素水溶液を間欠的または連続的に散布しながら該活性炭に悪臭ガスを接触させた後、さらに活性炭および/または薬品添着活性炭に接触させることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の脱臭方法、である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる過酸化水素の必要量は、除去すべき悪臭成分と等モル以上あればよい。過酸化水素水溶液における過酸化水素の濃度は、0.001〜1.0重量%程度、好ましくは、0.005〜0.5重量%程度のものでよい。本発明で用いられるアルカリ化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリが挙げられる。アルカリ化合物の量は、除去すべき悪臭成分と等モル以上であればよい。本発明の除去の対象となる悪臭ガスは、特に限定されないが、例えば、硫黄含有化合物(硫化水素、メチルメルカプタンなどのメルカプタン類、硫化メチルなどのスルフィド類、二硫化メチルなどのジスルフィド類など)、窒素含有化合物(アンモニア、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン類)、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなど)、有機酸(蟻酸、酢酸、プロピオン酸、絡酸、イソ吉草酸など)などがあげられる。処理対象悪臭ガスは、通常これらの一種以上を含んでいる。悪臭成分の濃度は、特に限定されないが、それぞれ、例えば、0.1〜1000ppm(容量基準)程度である。本発明に用いられる活性炭の原料は、特に限定されないが、例えば木粉、椰子殻などの植物原料、無煙炭、石油ピッチ、コークスなどの化石系原料、フェノール樹脂、酢酸ビニール樹脂等の各種合成樹脂原料があげられる。これらの活性炭原料は、例えば、固定床、移動床で炭化・賦活される。賦活には、例えば、水蒸気、塩化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素などを用いるガス賦活、アルカリ、酸又は塩化亜鉛などを用いる薬品賦活等があげられるが、そのいずれによって賦活されたものでもよい。本発明に用いられる、活性炭の比表面積は、特に限定されないが、液体窒素温度条件下の窒素吸着によるBET比表面積として、通常100〜3,500m/g、好ましくは、500〜3,000m/g程度のものである。本発明に用いられる活性炭の形状は、特に限定されないが、例えば、粒状、球状、ハニカム状などが挙げられるが、これらの内、ハニカム状活性炭は、経時的に吸着能をあまり低下させずに通気抵抗を大幅に小さくすることができるので、特に好ましいものである。ハニカム状活性炭の比表面積は、例えば、100〜2500m/g、好ましくは、200〜2000m/gである。ハニカム状活性炭のセル数は、例えば、20〜1000個/in2、好ましくは、50〜1000個/in2である。ハニカム状活性炭の横断面の開口率は脱臭効率を損なわず、圧力損失の増加を抑制できる範囲、例えば、50〜80%、好ましくは、55〜75%程度である。ハニカム状活性炭は、種々の方法、たとえば、(a)活性炭原料の粉末とバインダーとを必要により添加剤とを水と共に練合し、ハニカム状に成型した後、炭化・賦活し、必要により酸や水などで脱灰処理する方法、(b)粉末状活性炭とバインダーと、必要により、添加剤とを水とともに練合し、ハニカム状に成型し、必要に応じて、乾燥および/または焼成する方法などで得ることができる。
【0006】前記バインダーとしては、ハニカム状活性炭の製造方法に応じて、有機系バインダーおよび無機系バインダーから選択できる。有機系バインダーとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、タール、ピッチなどが例示できる。無機系バインダーには、例えば、木節粘土、活性白土などの粘土鉱物、シリカ、アルミナなどが含まれる。これらのバインダーは、単独または二種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、成型助剤として、例えば、多糖類、セルロース誘導体、天然樹脂、界面活性剤などが使用できる。ハニカム状活性炭の炭素含有量は、特に制限されないが、例えば、30%以上が好ましい。過酸化水素水溶液のハニカム状活性炭への散布は、連続的または間欠的におこなわれるが、連続的に行われる場合は、脱臭装置における活性炭層の体積1リットル当たり少なくとも1ml/分である。間欠的に散布さる場合の間隔は、特に制限されないが、例えば、1分間〜168時間内で適当に決めることができる。脱臭すべきガスの線流速は、通常1〜500cm/秒で、空間速度は通常100〜500,000/時であり、特に活性炭がハニカム状活性炭である場合、ガスの線流速は15〜500cm、空間速度は500〜500,000/時程度である。過酸化水素水溶液とガスとの流れは、向流、並流いずれであってもよい。脱臭するときの処理ガスの温度は、通常0〜90℃、好ましくは10〜60℃である。過酸化水素水溶液を散布しながら行う湿式脱臭(第1工程)で、脱臭は、ほとんど完結できるが、悪臭成分の種類および濃度によっては、湿式脱臭の後に、さらに、活性炭層または薬品添着活性炭層による乾式脱臭(第2工程)を行うことにより完璧を期することができる。乾式脱臭工程に用いる活性炭も、ハニカム状活性炭であることが好ましい。
【0007】乾式脱臭工程で用いられる活性炭に担持される薬品は臭気成分の種類などに応じて選択でき、特に制限されない。例えば、薬品担持炭としては、ハロゲン、ハロゲン化合物、酸性化合物、アルカリ性化合物、中性化合物などの種々の薬品を担持した活性炭が使用できる。好ましい薬品としては、ヨウ素、臭素、無機ヨウ化合物、無機臭化物、酸などが挙げられる。これらの薬品は、単独で又は二種類以上組み合わせて同時に担持してもよい。
【0008】活性炭へのヨウ素及び/又は無機ヨウ化物の担持は慣用の方法で行うことができる。例えば、ヨウ素及び/又は無機ヨウ化物を、水、アルコール類などの有機溶媒に溶解または分散し、前記活性炭に散布、含浸又は浸漬することにより担持してもよい。
【0009】活性炭に対するヨウ素及び/又は無機ヨウ化物の担持量は、臭気成分に対する消臭・吸着能が損なわれない範囲で選択でき、ヨウ素換算で、例えば、通常、約0.1〜40重量%、好ましくは約0.2〜20重量%、さらに好ましくは約0.4〜10重量%程度である。臭素や無機臭化物も、前記ヨウ素や無機ヨウ化物の場合と同様にして活性炭に担持できる。活性炭に対する臭素の担持量は、通常、約1〜30重量%、好ましくは約2〜20重量%、特に好ましくは約5〜15重量%である。活性炭に対する無機臭化物の担持量は、臭素換算で、前記無機ヨウ化物と同様の範囲から選択できる。
【0010】担持される酸として好ましいものは、リン酸、硫酸、シュウ酸、リンゴ酸などである。活性炭への酸の担持も慣用の方法により行うことができる。例えば、酸を水溶液または分散液の形態で前記活性炭に散布、含浸又は浸漬して担持させてもよく、活性炭を製造する際に、酸単独でまたは酸水溶液、分散液を原料と集合して形成し、担持させてもよい。また、必要に応じて、活性炭に酸を担持させた後、乾燥してもよい。活性炭に対する酸の担持量は、通常、約1〜40重量%、好ましくは約2〜30重量%、さらに好ましくは約5〜20重量%程度である。乾式脱臭工程においても活性炭は、湿式脱臭工程と同様に、通常、脱臭塔などの通気可能な脱臭装置内に積層(充填)して使用できる。湿潤状態と乾燥状態の活性炭は、同じ脱臭装置内に設けて単一の脱臭装置を構成してもよく、必要により気液分離ユニットを介在させて第1の脱臭工程の活性炭を積層または充填した上流側の脱臭ユニットと第2の脱臭工程の活性炭を積層又は充填した下流側の脱臭ユニットを通気可能に接続して脱臭装置を構成してもよい。
【0011】乾式の脱臭工程に用いる活性炭に対する被処理ガスの線流速は、活性炭がハニカム状である場合、通常、約0.15〜5m/秒、好ましくは約0.3〜4m/秒程度である。また、被処理ガスの空間速度は、通常、約500〜500,000/時、好ましくは約1000〜200.000/時程度である。このような乾式脱臭処理を湿式脱臭処理と組み合わせることにより、臭気成分をより完全に脱臭できる。
【0012】
【実施例】以下に、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。
【0013】実施例1硫化水素1530ppb、メチルメルカプタン540ppb、硫化メチル150ppb、二硫化メチル90ppb、アンモニア500ppb、トリメチルアミン150ppb、アセトアルデヒド100ppb、イソ吉草酸50ppbを含有する大気(湿度25℃、相対湿度80%)を2分割して、下記に示す二つのカラムの上部からガス線流速50cm/秒で流通し、脱臭テストを行った。
(1)内径40mmのカラムに外径40mm、厚さ30mmのハニカム状活性炭A(BET比表面積850m/g、セル数300個/inch、開口率65%)を300mm積層し、カラム上部から水を2ml/分で流下しながら上記の悪臭ガスを流津した。(対照)
(2)内径40m、のカラムにハニカム状活性炭Aを300mm積層し、カラム上部から0.10wt%過酸化水素水溶液2ml/分で流下しながら上記の悪臭ガスを流通した。(本発明)
これらの脱臭テスト結果は、以下の通りであった。(1)では、ガス流通10時間後には、硫化メチルが、19時間後には、アセトアルデヒドが、また、35時間後には、トリメチルアミンおよび二硫化メチルが、それぞれカラムからリークして脱臭効果はガス流通の初期だけしか認められなかった。一方、本発明の(2)では、ガス流通後15日(360時間)以上も上記の悪臭ガスのリークがなく(検出限界25ppb以下)またカラム出口で悪臭が感じられず、長時間脱臭効果が続いた。
【0014】実施例2実施例1のハニカム状活性炭Aに臭素を7.5重量%担持させて、ハニカム状活性炭Bを調製した。ハニカム状活性炭Aを内径40mmのカラムに層長が180mmに成るように積層し、このカラムを垂直にセットした(第1カラム)。また、ハニカム状活性炭Bを内径40mmのカラムに層長180mmになるよに積層し、このカラムを垂直にセットした(第2カラム)。2つのカラムを内径1.5cmのガラス管で連結し、このガラス管にバンドヒータを巻き、流通ガスの温度を5〜7℃上昇させるようにした。なお、第1カラムの下部にドレンポットを設けた。第1カラムの上部から、硫化水素1000ppb、メチルメルカプタン200ppb、硫化メチル120ppb、二硫化メチル50ppb及びトリメチルアミン50ppb含有大気(25℃、相対湿度80%)を線流速100cm/秒で流通しつつ、下向流で15ml/分の過酸化水素(0.10wt%)水を4分間散水する操作を15分間の間隔で繰り返してハニカム状活性炭中の水分含有率を70重量%以上に保った。第1このカラムから出てきたガスを第2カラム上向流で流通し、脱臭効果をガスクロマトグラフィーで追跡分析した。その結果、第1カラムの出口ガスはガス流通後5日後に、硫化メチル及び二硫化メチルがリークし始め、それらの臭気が感じられた。しかし、第2カラムの出口ガスは、50日間経過後も無臭で、ガスクロマトグラフィーで分析を行っても、臭気成分は検出限界以下であった。
【0015】
【発明の効果】本発明においては、脱臭用活性炭に過酸化水素水溶液を連続的または間欠的に散水することにより硫化水素、メルカプタン、硫化アルキル、二硫化アルキルなど、除去の困難な悪臭成分を長期に亘り、効率的に除去することができる。また、この湿式工程に乾燥脱臭工程を結合することにより、より完璧に悪臭を除去することができる。
【出願人】 【識別番号】396024808
【氏名又は名称】株式会社ニッコープラント
【出願日】 平成13年3月2日(2001.3.2)
【代理人】 【識別番号】100071973
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 良隆
【公開番号】 特開2002−253650(P2002−253650A)
【公開日】 平成14年9月10日(2002.9.10)
【出願番号】 特願2001−57844(P2001−57844)