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【発明の名称】 使用済み内視鏡の再生処理装置
【発明者】 【氏名】野口 利昭

【氏名】中川 幹彦

【氏名】森山 宏樹

【氏名】石引 康太

【氏名】吉本 羊介

【氏名】二木 泰行

【氏名】樋熊 政一

【氏名】大島 龍

【氏名】天野 正一

【氏名】長谷川 準

【氏名】森下 耕治

【氏名】田代 芳夫

【要約】 【課題】本発明は、装置全体のコストを低減し、装置全体を小型化して診察室内でも容易に洗滌、消毒、滅菌の各作業を行う装置を設置でき、内視鏡診察の症例間に実施される内視鏡等の再生作業に要する時間を短縮し、内視鏡診察の効率を高める使用済み内視鏡の再生処理装置を提供することを最も主要な特徴とする。

【解決手段】処理対象の内視鏡を洗浄もしくは洗浄消毒する第1処理部10Aと、第1処理部10Aで洗浄もしくは洗浄消毒された内視鏡を滅菌する第2処理部10Bと、第1処理部10Aと第2処理部10Bとの間で内視鏡5を搬送するトレイ搬送手段25とを一体化した装置本体2を設けたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 処理対象の内視鏡を洗浄もしくは洗浄消毒する第1の処理手段と、この第1の処理手段で洗浄もしくは洗浄消毒された内視鏡を滅菌する第2の処理手段と、前記第1の処理手段と前記第2の処理手段との間で前記内視鏡を搬送する搬送手段と、前記第1の処理手段と前記第2の処理手段と前記搬送手段とを一体化した装置本体とを具備したことを特徴とする使用済み内視鏡の再生処理装置。
【請求項2】 前記装置本体は、前記処理対象の内視鏡を収納するトレイと、このトレイに接続され、前記内視鏡の洗浄、消毒、滅菌の各処理用の流体を流通させる流体管路と、この流体管路を開閉する管路開閉手段と、前記内視鏡の洗浄、消毒、滅菌の各処理工程以外の状態では前記管路開閉手段を閉じる管路開閉制御手段とを具備することを特徴とする請求項1に記載の使用済み内視鏡の再生処理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内視鏡検査で使用した使用済みの内視鏡を洗滌、消毒、滅菌して再生処理する使用済み内視鏡の再生処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、内視鏡検査で使用した使用済みの内視鏡を再生処理する場合には内視鏡を洗滌する内視鏡洗滌消毒装置が使用されている。ここで、内視鏡の洗滌方法としては洗滌槽内で洗滌液をノズルから噴射する方式と、洗滌槽内に洗滌液を充満し、攪拌、還流させて洗滌する方法がある。
【0003】また、内視鏡洗滌消毒装置には、使用後の内視鏡をセットする洗滌槽と、洗滌槽に洗滌液等を供給する洗滌液供給手段と、チャンネル接続口とが設けられている。このチャンネル接続口には内視鏡の各種管路に接続される接続用アダプターとしての内視鏡用の洗滌・消毒用チューブの一端が連結される。
【0004】そして、内視鏡洗滌消毒装置の使用時には、洗滌槽内に内視鏡がセットされる。このとき、洗滌槽のチャンネル接続口に接続された洗滌・消毒用チューブの他端が内視鏡の各種管路に連結される状態にセットされる。この状態で、洗滌槽内のノズルから噴射される洗滌液が洗滌槽内の内視鏡外表面に吹き付けられ、内視鏡の外表面が洗滌されるとともに、内視鏡管路に接続された洗滌・消毒用チューブを通して、内視鏡の各種管路にも洗滌液が送液され、内視鏡全体が洗滌されるようになっている。
【0005】さらに、内視鏡全体の洗滌後、洗滌槽内に消毒液が供給され、この消毒液中に内視鏡が浸漬されるとともに、内視鏡管路に接続された洗滌・消毒用チューブを通して、内視鏡の各種管路にも消毒液が送液され、内視鏡全体が消毒されるようになっている。この後、洗滌水の噴射、送液により濯ぎを行い、最後に内視鏡管路内への送気を行って管路内の除水を行うことにより、全行程を完了する。
【0006】さらに、内視鏡等の医療器具を滅菌する場合、高圧蒸気による滅菌装置(以下、オートクレーブ装置)が使用されている。例えば、特開平5−337170号公報に示す通り、オートクレーブ装置は高い圧力及び温度に耐える容器で本体が形成されている。この装置本体の容器内のチャンバーに内視鏡等の医療用具が収納される。このチャンバーには水蒸気注入口が設けられている。この水蒸気注入口は口金部材により、外部の制御弁を介して、水蒸気を発生するボイラと接続されている。そして、水蒸気注入口からチャンバーに水蒸気が注入されるようになっている。
【0007】一般的には、高圧蒸気を注入する前に、非滅菌物(内視鏡等の医療用具)の水分を蒸発させる為の予備真空工程を設け、この工程が終了した後に、高圧蒸気を注入する装置が多い。なお、チャンバー内部に蒸気を供給する方法としては、外部ボイラによるものと、チャンバー内部にヒーター等による蒸気発生手段を設けた種類のものがある。
【0008】また、特開平5−337170号公報には高圧蒸気による滅菌を行う前に、非滅菌物(内視鏡等の医療用具)に付着した汚物を洗滌してから滅菌を行う装置が提案されている。そして、洗滌機能を搭載した滅菌装置の開発が進められている。
【0009】さらに、特開平7−143999号公報には洗滌装置と、滅菌装置及び保管機能を一つの装置に一体化し、さらに移動可能とした装置が示されている。この装置には、使用後の非滅菌物(内視鏡等の医療用具)を洗滌する洗滌槽と、オートクレーブユニットと、紫外線滅菌ユニットとが一体的に設けられている。さらに、この装置の下部には移動の為のキャスターが設けられる構成になっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】一般に、高圧蒸気滅菌装置の多くは外科用の器具を滅菌する為に開発されているので、病院内の特殊な場所、すなわち大型ボイラー設備のある中央材料室等にしか設置できない構造になっている。そのため、内視鏡洗滌消毒装置と高圧蒸気滅菌装置とはそれぞれ独立した別体の装置になっている。そして、ユーザーによる実際の使用時には、内視鏡による診察、処置等が終了すると、まず内視鏡洗滌消毒装置により内視鏡に付着した汚物を洗滌し、その後、内視鏡を高圧蒸気滅菌装置に挿入して滅菌を行う。このとき、内視鏡洗滌消毒装置により洗滌した内視鏡をこの内視鏡洗滌消毒装置とは別の場所、例えば大型ボイラー設備のある中央材料室等の高圧蒸気滅菌装置までユーザー自身が運搬しなくてはならないので、その作業が面倒であり、無駄な時間を使うことになる問題がある。
【0011】また、卓上式の高圧蒸気滅菌装置もあるが、これは非滅菌物を収納するチャンバーが小さく、内視鏡をセットできないので、内視鏡を滅菌する為には使用できない構造になっている。
【0012】また、内視鏡による実際の診察は非常に症例数も多く、各症例間に行う内視鏡の洗滌・消毒・滅菌の時間の短縮化が強く望まれているのが実情である。さらに、洗滌した内視鏡を滅菌したのち、次に内視鏡を使用するまでの間、内視鏡の滅菌状態を保つことも要求されている。しかしながら、内視鏡洗滌消毒装置や、高圧蒸気滅菌装置及び、洗滌機能を有する滅菌装置の提案はあるが、上述したような要望に応えることができる装置、すなわちユーザーが実際に内視鏡等を洗滌・消毒・滅菌の各処理を行うために十分な機能、使い易さを備えた実際の装置は開発されていないのが実情である。
【0013】本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、洗滌、消毒、滅菌の各作業を行う装置を一体化することで装置全体のコストを低減し、装置全体を小型化して内視鏡の診察を行う一般的な診察室内でも容易に洗滌、消毒、滅菌の各作業を行う装置を設置することができるとともに、内視鏡診察の症例間に実施される内視鏡等の洗滌、消毒、滅菌の各作業に要する時間を短縮することができ、内視鏡診察の効率を高めることができる使用済み内視鏡の再生処理装置を提供することにある。
【0014】さらに、他の目的は、洗滌、消毒、滅菌の各作業を行った内視鏡の滅菌状態を容易に維持することができる使用済み内視鏡の再生処理装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、処理対象の内視鏡を洗浄もしくは洗浄消毒する第1の処理手段と、前記第1の処理手段で洗浄もしくは洗浄消毒された内視鏡を滅菌する第2の処理手段と、前記第1の処理手段と前記第2の処理手段との間で前記内視鏡を搬送する搬送手段と、前記第1の処理手段と前記第2の処理手段と前記搬送手段とを一体化した装置本体とを具備したことを特徴とする使用済み内視鏡の再生処理装置である。そして、本請求項1の発明では、内視鏡を洗浄もしくは洗浄消毒する第1の処理手段と内視鏡を滅菌する第2の処理手段とを一体化することにより、装置全体のコストを低減し、装置全体を小型化して内視鏡の診察を行う一般的な診察室内でも容易に洗滌、消毒、滅菌の各作業を行う装置を設置する。また、搬送手段によって第1の処理手段と第2の処理手段との間で内視鏡を搬送することにより、内視鏡診察の症例間に実施される内視鏡等の洗滌、消毒、滅菌の各作業に要する時間を短縮することができ、内視鏡診察の効率を高めるようにしたものである。
【0016】請求項2の発明は、前記装置本体は、前記処理対象の内視鏡を収納するトレイと、このトレイに接続され、前記内視鏡の洗浄、消毒、滅菌の各処理用の流体を流通させる流体管路と、この流体管路を開閉する管路開閉手段と、前記内視鏡の洗浄、消毒、滅菌の各処理工程以外の状態では前記管路開閉手段を閉じる管路開閉制御手段とを具備することを特徴とする請求項1に記載の使用済み内視鏡の再生処理装置である。そして、本請求項2の発明では、処理対象の内視鏡を収納するトレイに接続された流体管路を開閉する管路開閉手段を管路開閉制御手段によって制御し、内視鏡の洗浄、消毒、滅菌の各処理工程以外の状態では管路開閉手段を閉じることにより、洗滌、消毒、滅菌の各作業を行った内視鏡の滅菌状態を容易に維持するようにしたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図8(A)〜(C)を参照して説明する。図1は本実施の形態の使用済み内視鏡の再生処理装置である内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1の外観を示すものである。この内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1には、略箱型の装置本体2が設けられている。この装置本体2の上面には開閉可能な蓋体3が配設されている。この蓋体3は装置本体2の背壁部にヒンジ部4を介して回動可能に連結されている。
【0018】また、装置本体2の内部には図3に示すように上部側に略L字状の内視鏡処理室2A、この内視鏡処理室2Aの下側に機械室2Bがそれぞれ配設されている。さらに、内視鏡処理室2A内には処理対象の内視鏡5等の被洗滌・滅菌物を収納するトレイ6が配設されている。このトレイ6には図2(A)に示すように蓋分離タイプのトレイ6Aと、図2(B)に示すように蓋一体構造タイプのトレイ6Bとがある。ここで、蓋分離タイプのトレイ6Aには、上面が開口された略箱型のトレイ本体7aと、このトレイ本体7aの上面開口部を開閉する分離構造のトレイ蓋8aとが組み合わされて構成されている。さらに、蓋一体構造タイプのトレイ6Bには、上面が開口された略箱型のトレイ本体7bの上面開口部の一側部にトレイ蓋8bの一側部が回動可能に連結される構成になっている。そして、本実施形態では蓋分離タイプのトレイ6Aと、蓋一体構造タイプのトレイ6Bのどちらのタイプのトレイ6でも使用できる。
【0019】また、装置本体2の内視鏡処理室2Aの内部にはトレイ6を図3中で横方向(左右方向)に移動可能に保持する横移動路9aと、図3中でこの横移動路9aの右端部側でトレイ6を縦方向(上下方向)に移動可能に保持する縦移動路9bとからなる略L字状に屈曲されたトレイ移動路9が設けられている。ここで、トレイ移動路9の横移動路9aにおける図3中で左側部分(縦移動路9bの側方部分に)にはトレイ6内の内視鏡5を洗浄もしくは洗浄消毒する第1処理部(第1の処理手段)10Aが形成されている。この第1処理部10Aの側壁部にはトレイ6が着脱可能に連結されるトレイ連結部11Aが設けられている。
【0020】さらに、縦移動路9bにおける図3中で横移動路9aよりも下側部分には第1処理部10Aで洗浄もしくは洗浄消毒された内視鏡5を滅菌する滅菌用チャンバーである第2処理部(第2の処理手段)10Bが設けられている。この第2処理部10Bの側壁部にはトレイ6が着脱可能に連結されるトレイ連結部11Bと、トレイ6の排液弁33が着脱可能に連結される第1処理部10Aの排出口19と同様の図示しない排出口とが設けられている。そして、この第2処理部10Bの排出口19には図示しない排出管路が連結されている。
【0021】また、第1処理部10Aにおける横移動路9aの下側部分にはトレイ6内の内視鏡5を洗浄もしくは洗浄消毒する第1処理ユニット12が配設されている。この第1処理ユニット12には洗滌タンク13と薬液タンク14とが配設されている。そして、洗滌タンク13には第1処理部10Aの洗滌工程で使用する洗滌液が保管され、薬液タンク14には第1処理部10Aの消毒工程で使用する消毒液が保管されている。
【0022】さらに、第1処理ユニット12には並列に接続された流体管路15a,15bが配設されている。そして、一方の流体管路15aには洗滌タンク13が介設され、他方の流体管路15bには薬液タンク14が介設されている。ここで、流体管路15aにおける洗滌タンク13の下流側は電磁弁V2を経由してポンプP1の吸込みポート側に連結されている。なお、流体管路15bにおける薬液タンク14の下流側は電磁弁V1を介して流体管路15aと合流され、共通のポンプP1の吸込みポート側に連結されている。
【0023】また、ポンプP1の吐出ポート側には供給管路16の入り口部が連結されている。ここで、装置本体2の第1処理部10Aのトレイ連結部11Aには図5に示すようにトレイ側管路連結部17aと、トレイ6の後述する管路開閉用弁31a,31bの開閉を制御するための第1の本体側送受信ユニット17bとが設けられている。そして、このトレイ連結部11Aのトレイ側管路連結部17aに供給管路16の出口部が連結されている。
【0024】さらに、流体管路15aにおける洗滌タンク13の上流側は電磁弁V4を介してポンプP2の吐出ポート側に連結されている。なお、流体管路15bにおける薬液タンク14の上流側は電磁弁V3を介して流体管路15aと共通のポンプP2の吐出ポート側に連結されている。このポンプP2の吸込みポート側には排出管路18の一端部が連結されている。この排出管路18の他端部は第1処理部10Aの排出口19に連結されている。
【0025】また、第2処理部10Bの下側部分にはトレイ6内の内視鏡5に高圧蒸気滅菌を行うための滅菌ユニットである第2処理ユニット20が配設されている。この第2処理ユニット20にはオートクレーブ用水タンク21と高圧蒸気発生器22とが配設されている。そして、オートクレーブ用水タンク21から高圧蒸気発生器22に供給されたオートクレーブ用水は高圧蒸気発生器22内でオートクレーブ用の高圧蒸気が発生されるようになっている。
【0026】さらに、高圧蒸気発生器22には高圧蒸気供給管路23の一端部が連結されている。ここで、装置本体2の第2処理部10Bのトレイ連結部11Bには第1処理部10Aのトレイ連結部11Aと同様にトレイ側管路連結部24aと、トレイ6に設けられた滅菌用チャンバー側の後述する管路開閉用弁31c,31dの開閉を制御するための第2の本体側送受信ユニット24bとが設けられている。そして、このトレイ連結部11Bのトレイ側管路連結部24aには高圧蒸気供給管路23の他端部が連結されている。
【0027】なお、第2処理部10Bの上部には、チャンバー用蓋10Cが配設されている。このチャンバー用蓋10Cは滅菌時の第2処理部10Bのチャンバー内の高圧に耐えうる構造になっている。そして、このチャンバー用蓋10Cは内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1の装置本体2の制御手段により自動的に開閉できるように構成されている。
【0028】また、装置本体2の内部にはトレイ6を第1処理部10Aと第2処理部10Bとの間で搬送するトレイ搬送手段25が設けられている。この搬送手段25には横移動路9aの床面に配設されたベルトコンベア26と、装置本体2の内壁面にトレイ6の横方向に搬送方向に沿って延設され、トレイ6の搬送位置を制御するためのトレイ搬送用レール27とが設けられている。さらに、トレイ搬送用レール27の終端部にはトレイ6をトレイ搬送用レール27から離脱するレール制御ユニット28が設けられている。
【0029】また、縦移動路9bの天井部分には滅菌用チャンバーである第2処理部10Bの上部でトレイ6を一時的に保持するための吸着部材29と、この吸着部材29により一時的に保持されたトレイ6を第2処理部10Bに降下させるための昇降用モーター30とが設けられている。そして、トレイ6の移動時にはトレイ移動路9における横移動路9aと縦移動路9bとの連結部分で、吸着部材29によりトレイ6を一時的に保持させた状態で、レール制御ユニット28によってトレイ6をトレイ搬送用レール27から離脱するようになっている。さらに、この状態で、吸着部材29により一時的に保持されたトレイ6を昇降用モーター30によって第2処理部10Bに降下させるようになっている。そして、トレイ6は第1処理部10Aで洗滌・消毒工程が完了すると、この搬送手段25によって滅菌用チャンバーである第2処理部10Bの内部に搬送される構造となっている。
【0030】また、図4(A)に示すようにトレイ6のトレイ蓋8の両側面には、複数の管路開閉用弁31a〜31dが設けられている。ここで、トレイ蓋8の一側面には、図4(B)に示すように2つの管路開閉用弁31a,31b、トレイ蓋8の他側面にも同様に、図4(C)に示すように2つの管路開閉用弁31c,31dがそれぞれ設けられている。なお、これらの各管路開閉用弁31a〜31dはトレイ本体7の両側面に設けても良い。
【0031】さらに、トレイ6の底部には水平面に対して適宜の角度傾けた傾斜面32が形成されている。この傾斜面32の最下部にはトレイ6で洗滌・消毒を行った際の排液を排出するための排液弁33が設けられている。なお、トレイ6の排液弁33は、管路開閉用弁31a,31bと同様の構造になっている。そして、トレイ6の内部の排液等が排液弁33から確実に排出できる構造になっている。
【0032】また、図5はトレイ6の各管路開閉用弁31a〜31dの内部構造を示すものである。なお、各管路開閉用弁31a〜31dの基本構造は電磁弁の構造を変形したもので、全て同一構造になっている。そして、ここでは1つの管路開閉用弁31の構成について説明する。
【0033】図5中で、参照符号34はトレイ6の一側部に形成された弁取付け用の開口部である。この開口部34には管路開閉用弁31の管路構成部材35が連結されている。この管路構成部材35の管路の途中にはこの管路を開閉する管路開閉用弁31の弁体36が管路構成部材35の中心線方向と直交する方向(開閉方向)に移動可能に支持されている。さらに、管路構成部材35の管路内には管路開閉用弁31の弁体36によって開閉される連通口部37が設けられている。
【0034】また、管路開閉用弁31の弁体36には開閉を確実にするためのパッキン38が設けられている。さらに、管路開閉用弁31には弁体36を開閉方向に移動操作するプランジャー39が設けられている。このプランジャー39の軸40の周囲にはシール材41が設けられている。さらに、プランジャー39の外周にはコイル42が設けられている。
【0035】また、プランジャー39の上部にはコイルばね43が配設されている。そして、通常(コイル42に通電しない時)は図6に示すようにコイルばね43のばね力によって管路開閉用弁31の弁体36を連通口部37の周縁の弁座部に当接させて連通口部37を閉じる方向に付勢され、これにより、管路構成部材35の管路の途中を閉鎖する構造になっている。
【0036】また、管路開閉用弁31にはコイル42を駆動するための手段を搭載したトレイ側送受信ユニット44が一体化されている。ここで、図3に示すようにトレイ6が装置本体2の第1処理部10Aに配置され、第1処理部10Aのトレイ連結部11Aにおけるトレイ側管路連結部17aの供給管路16にトレイ6の管路構成部材35の管路が連結されている状態では図4(A)中でトレイ6の左側面の2つの管路開閉用弁31a,31bの各トレイ側送受信ユニット44が装置本体2の第1の本体側送受信ユニット17bと対応する位置に配置されるように設定されている。そして、装置本体2の第1の本体側送受信ユニット17bによってトレイ6側のトレイ側送受信ユニット44が制御され、このトレイ側送受信ユニット44によって管路開閉用弁31のコイル42が駆動されて各管路開閉用弁31a,31bの開閉動作が制御されるようになっている。
【0037】ここで、コイル42が駆動された場合にはコイルばね43のばね力に抗してプランジャー39がコイル42側に吸着される方向に移動されるようになっている。この動作にともない図5に示すように管路開閉用弁31の弁体36が連通口部37の周縁の弁座部から引き離され、連通口部37が開口されて管路構成部材35の管路が開放されるようになっている。この状態では第1処理部10Aのトレイ6内に洗滌液や、消毒液が供給され、トレイ6内の内視鏡5の洗滌・消毒が行われるようになっている。
【0038】また、洗滌・消毒用の第1処理部10Aのトレイ連結部11Aに連結されるトレイ6の管路開閉用弁31a,31bの一つには、内視鏡5の各種チャンネルに接続される洗滌・消毒用チューブ59が接続されるようになっている。そして、第1処理部10Aでの内視鏡5の洗滌・消毒時には、内視鏡5の各種チャンネル内部まで確実に洗滌できるようになっている。
【0039】さらに、第1処理部10Aのトレイ連結部11Aにトレイ6が連結されている状態では、トレイ6の排液弁33は第1処理部10Aの排出口19に連結されるとともに、この第1処理部10Aの排出口19には排出管路18が連結される。そして、第1処理部10Aでトレイ6内の内視鏡5の洗滌・消毒を行った際の排液は排液弁33から第1処理部10Aの排出口19を経て排出管路18に排出されるようになっている。
【0040】また、図8(C)に示すようにトレイ6が第2処理部10Bに移動し、第2処理部10Bのトレイ連結部11Bにおけるトレイ側管路連結部24aの高圧蒸気供給管路23にトレイ6の管路構成部材35の管路が連結されている状態では図4(A)中でトレイ6の右側面の2つの管路開閉用弁31c,31dの各トレイ側送受信ユニット44が装置本体2の第2の本体側送受信ユニット24bと対応する位置に配置されるように設定されている。そして、装置本体2の第2の本体側送受信ユニット24bによってトレイ6側のトレイ側送受信ユニット44が制御され、各管路開閉用弁31c,31dの開閉動作が制御されるようになっている。
【0041】また、トレイ6の各トレイ側送受信ユニット44と、装置本体2の第1の本体側送受信ユニット17bおよび第2の本体側送受信ユニット24bとの相互間は電気接点無しの手法により、電力とデータを送受信し、各弁31の駆動状態及び、各弁31の動作状態を検出できる構成になっている。
【0042】この電気接点無しの送受信の手法の基本原理は、電波を利用したRFID(高周波自動認識:Radio Frequency Identification)を応用したものである。ここで、RFIDは、一般的に「電磁結合方式」、「静電結合方式」、「電磁誘導方式」、「マイクロ波方式」、「光通信方式」があり、本発明の適用としては「電磁結合方式」、「電磁誘導方式」、「マイクロ波方式」、がより効果を発揮できるものである。なお、それ以外でも応用は可能である。
【0043】また、本実施の形態では装置本体2における第1処理部10Aのトレイ連結部11Aおよび第2処理部10Bののトレイ連結部11Bには、例えば電磁石や、吸引器などの吸着部材45が設けられている。そして、トレイ6が第1処理部10Aに配置されている状態では図5に示すように吸着部材45によってトレイ6を吸着することにより、第1の本体側送受信ユニット17bとトレイ側送受信ユニット44との間を確実に接続した状態で保持するようになっている。同様に、トレイ6が第2処理部10Bに配置されている状態では吸着部材45によってトレイ6を吸着することにより、第2の本体側送受信ユニット24bとトレイ側送受信ユニット44との間を確実に接続した状態で保持するようになっている。なお、吸着部材45は電磁石や、真空ポンプなどによる吸引方法や、機械的な保持手段を採用しても良い。
【0044】また、図7は本実施の形態の内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1におけるトレイ側送受信ユニット44および第1の本体側送受信ユニット17b(第2の本体側送受信ユニット24b)の電気回路を示すものである。ここで、トレイ側送受信ユニット44には、CPU等の主制御部46と、送受信回路47と、電源回路と、弁制御部48と、管路開閉用弁31に設けられた図示しない検出器などの信号をデジタル信号等に変換する変換回路49などが設けられている。
【0045】また、第1の本体側送受信ユニット17b(第2の本体側送受信ユニット24b)には、トレイ側送受信ユニット44に送信信号を作成、送信するための変調回路50と、送信コイルL1と、発振器51とが設けられているとともに、トレイ側送受信ユニット44より信号を受信するための受信コイルL2と、復調回路52と、前記構成を制御するコントローラ53とが設けられている。このコントローラ53は各種ユニットをコントロールする機能を有する本体制御回路58に接続されている。
【0046】さらに、トレイ側送受信ユニット44側には、信号を送受信するためのコイルL3と、共振用のコンデンサCと、受信信号を復調する復調器54と、変換器55と、この変換器55のデータを記憶するメモリ56と、変換器55とメモリ56を制御し本体との通信を制御するための主制御部46と、送信の為の変調回路57とが設けられている。また、これらの回路を駆動するための電源は、コイルL4で受信した信号を安定化回路58で平滑・整流し、各回路に供給することで達成している。
【0047】次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1は内視鏡5による診察の終了後に使用される。ここで、内視鏡5による診察が終了したのち、使用済みの内視鏡5が内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1にセットされる。このとき、内視鏡5はトレイ6内に装着される。続いて、洗滌・消毒チューブ59が内視鏡5に接続される。
【0048】その後、トレイ6の蓋8が閉じられた状態で、トレイ6が内視鏡5を洗浄もしくは洗浄消毒する第1処理部10Aにセットされる。このとき、第1処理部10Aのトレイ連結部11Aにおけるトレイ側管路連結部17aの供給管路16にトレイ6の左側面の2つの管路開閉用弁31a,31bの管路構成部材35の管路が連結される。
【0049】さらに、トレイ6が第1処理部10Aに配置されている状態では図5に示すように吸着部材45によってトレイ6を吸着することにより、第1の本体側送受信ユニット17bとトレイ側送受信ユニット44との間が確実に接続される。この状態で、装置1の電源をオンすると初期状態にセットされ、自動的に洗滌工程がスタートする。
【0050】また、装置本体2の電源のオン操作時には、装置本体2は本体制御回路58からの制御信号により、自動的にRFID(高周波自動認識システム)システムが作動し、トレイ6のトレイ側送受信ユニット44と第1の本体側送受信ユニット17bとの間でデータ通信が行われる。
【0051】ここで、データの書き込み動作時には、第1の本体側送受信ユニット17bのコントローラ53からシリアル信号として転送される書き込みコマンド及び書き込み情報に従って変調回路50でデジタル変調された無線周波信号が送信コイルL1に印加される。このとき、トレイ側送受信ユニット44のコイルL3に誘起された信号は増幅され、復調器54で元のデジタル信号に復調される。
【0052】続いて、デジタル化されたシリアル信号情報は、変換器55でパラレル信号に変換され、データメモリ56へ情報が格納される。さらに、主制御部46からの信号により弁制御部48へ制御信号が転送される。そして、この弁制御部48から出力される制御信号によって管路開閉用弁31のコイル42が駆動されて管路開閉用弁31a,31bが開放され、洗滌・消毒用の管路が確保される。この状態で、第1処理部10Aのトレイ6内に洗滌液や、消毒液が供給され、トレイ6内の内視鏡5の洗滌・消毒が行われる。このとき、洗滌・消毒用チューブ59から内視鏡5の各種チャンネル内部に洗滌液や、消毒液が供給され、内視鏡5の各種チャンネル内部まで確実に洗滌される。さらに、第1処理部10Aでトレイ6内の内視鏡5の洗滌・消毒を行った際の排液は排液弁33から第1処理部10Aの排出口19を経て排出管路18に排出される。
【0053】また、管路開閉用弁31a,31bの動作情報(データ)の読み出しは、検出器から変換回路49を経由し、主制御部46及びメモリ56に伝達される。ここで、メモリ56から読み出したパラレル情報は送信コイルL1から送られる無変調信号に同期してシリアル信号に変換され、変調回路57でその信号に従って、コイルL3と共振用のコンデンサCによるタンク回路を共振状態にするか否かを制御する。そして、第1の本体側送受信ユニット17bのコントローラ53側で受信コイルL2を介してトレイ側送受信ユニット44のタンク回路が共振するか否かを検出することにより、情報の交信が行われる。
【0054】また、第1処理部10Aにおけるトレイ6内の内視鏡5の洗滌工程の開始時には電磁弁V2、V4が開状態、電磁弁V1、V3が閉状態にそれぞれ切換え操作されるとともに、ポンプP1、P2がそれぞれ駆動される。これらのポンプP1及びポンプP2の駆動時には、洗滌タンク13から送り出される洗滌液が一方の流体管路15aおよび供給管路16から第1処理部10Aのトレイ連結部11Aにおけるトレイ側管路連結部17aなどの各種管路を経てトレイ6内に供給されてトレイ6内の内視鏡5が洗滌される。このとき、洗滌液の一部は洗滌・消毒用チューブ59内を通して内視鏡5の各種チャンネル内に流入され、内視鏡5の各種チャンネル内が洗滌される。
【0055】さらに、内視鏡5の洗滌工程中は第1処理部10Aの排出口19に連結されたトレイ6の排液弁33が開状態で保持される。そのため、トレイ6内からの排液は排出管路18を介して洗滌タンク13内に戻される。したがって、内視鏡5の洗滌工程中は洗滌液が上記経路で循環されて、トレイ6内の内視鏡5および内視鏡5の各種チャンネル内の洗滌が行われる。
【0056】また、洗滌工程の規定の時間が経過するとポンプP1の駆動が停止される。そして、ポンプP2によりトレイ6内の洗滌液が排出管路18を介して洗滌タンク13内に戻される状態で、洗滌液が回収され、洗滌工程が終了する。なお、本実施形態では洗滌液を回収する構成になっているが、洗滌液を施設の排水口に排出する管路を設け、装置外部に排出する構成にしても良い。
【0057】また、洗滌工程が終了すると、図4に示す電磁弁V2、V4が閉じられ、電磁弁V1、V3が開放される。この状態で、ポンプP1、P2がそれぞれ駆動され、消毒工程が開始される。この消毒工程では、薬液タンク14から送り出される消毒液が一方の流体管路15bおよび供給管路16から第1処理部10Aのトレイ連結部11Aにおけるトレイ側管路連結部17aなどの各種管路を経てトレイ6内に供給されてトレイ6内の内視鏡5が消毒される。このとき、消毒液の一部は洗滌・消毒用チューブ59内を通して内視鏡5の各種チャンネル内に流入され、内視鏡5の各種チャンネル内が消毒される。
【0058】さらに、内視鏡5の消毒工程中は第1処理部10Aの排出口19に連結されたトレイ6の排液弁33が開状態で保持される。そのため、トレイ6内からの排液は排出管路18を介して薬液タンク14内に戻される。したがって、内視鏡5の消毒工程中は消毒液が上記経路で循環されてトレイ6内の内視鏡5および内視鏡5の各種チャンネル内の消毒が行われる。なお、薬液の薬効により、消毒液を循環せずに、一時的に浸漬状態を保つ場合もある。
【0059】また、消毒工程の規定の時間が経過するとポンプP1の駆動が停止される。そして、ポンプP2によりトレイ6内の消毒液が排出管路18を介して薬液タンク14内に戻される状態で、消毒液が回収され、消毒工程が終了する。なお、消毒工程後に濯ぎ工程を行う構成にしても良い。
【0060】さらに、消毒工程が終了した時点で、トレイ6のトレイ側送受信ユニット44と第1の本体側送受信ユニット17bとの間で、再度、データ通信が開始される。これにより、トレイ側送受信ユニット44が管路開閉用弁31a,31bを閉じ、同時に洗滌・消毒用チューブ59の管路も閉じる。このとき、トレイ6の排液弁33と第1処理部10Aの排出口19との間の排液管路も閉じる。そのため、トレイ6は内視鏡5を収納した状態で密閉され、トレイ6の外部より内視鏡5が汚染されない状態になる。
【0061】また、消毒工程の終了後、密閉状態に保たれたトレイ6は、トレイ搬送手段25であるベルトコンベア26とトレイ搬送用レール27とにより図3中で、右側に搬送される。そして、図8(A)に示すようにトレイ6が第2処理部10Bの上部位置に搬送される。なお、図8(A)に示すようにトレイ6が第2処理部10Bの上部位置に搬送された時点ではチャンバー用蓋10Cは開いた状態になっている。
【0062】また、トレイ6が第2処理部10Bの上部位置に搬送された時点で吸着部材29によりトレイ6が吸着されるとともに、レール制御ユニット28が作動し、トレイ6がトレイ搬送用レール27から開放される。
【0063】続いて、昇降用モーター30が作動し、図8(B)に示すように吸着部材29により吸着されているトレイ6が縦移動路9b内を下降して第2処理部10Bの内部へ搬送される。そして、トレイ6が第2処理部10Bの内部の所定のセット位置にセットされる。このとき、第2処理部10Bのトレイ連結部11Bにおけるトレイ側管路連結部24aの高圧蒸気供給管路23にトレイ6の右側面の2つの管路開閉用弁31c,31dの管路構成部材35の管路が連結される。
【0064】さらに、トレイ6が第2処理部10Bに配置されている状態では、第2の本体側送受信ユニット24bとトレイ側送受信ユニット44との間が確実に接続される。このとき、トレイ6の排液弁33は第2処理部10Bの排出口に連結されるとともに、この第2処理部10Bの排出口に排出管路が連結される。
【0065】また、トレイ6が第2処理部10Bの内部のセット位置にセットされた時点で、吸着部材29が作動し、トレイ6が吸着部材29から開放される。その後、図8(C)に示すようにチャンバー用蓋10Cが閉じ、第2処理部10Bでの滅菌工程の準備が完了する。ここで、チャンバー用蓋10Cは、チャンバー用蓋固定部材60により確実に高圧に耐えうる状態で固定される。
【0066】この状態で、次の滅菌工程が開始される。このとき、トレイ6のトレイ側送受信ユニット44と第2の本体側送受信ユニット24bとの間で、データ通信が開始され、トレイ側送受信ユニット44によって管路開閉用弁31c,31dが開放される。滅菌工程中は、トレイ6の排液弁33は閉じる状態に制御される。
【0067】次に、オートクレーブ用水タンク21内の水が、高圧蒸気発生器22に供給され、この高圧蒸気発生器22により高圧蒸気に変換される。そして、この高圧蒸気発生器22から供給される高圧蒸気は高圧蒸気供給管路23を介して第2処理部10Bのトレイ6内に供給され、このトレイ6内の内視鏡5およびこの内視鏡5の各種チャンネル内に規定時間の滅菌処理が行われる。滅菌処理が完了すると排液弁33が開放され、滅菌処理で使用された高圧蒸気はトレイ6内から排液弁33を経て排液管路に排出されたのち、外部排出口に排出される。
【0068】また、滅菌処理が完了すると、トレイ6はトレイ搬送手段25により第2処理部10Bから取り出されて初期の第1処理部10Aに搬送され、トレイ6内の内視鏡5は乾燥される。ここで、一連のトレイ6内の内視鏡5の洗滌・消毒・滅菌処理の各工程が全て完了する。なお、本実施形態では図示していないが、真空ポンプや、熱風による乾燥手段を本装置に組み込み、滅菌処理の前や、滅菌処理終了後に乾燥工程として組み込む構成にしても良い。
【0069】そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1では、装置本体2内に内視鏡5を洗浄もしくは洗浄消毒する第1処理ユニット12と、内視鏡5を滅菌する第2処理ユニット20とを一体化して組み込んだので、装置全体のコストを低減することができる。さらに、本実施の形態では内視鏡5の洗滌・消毒・滅菌処理の全工程は、内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1の本体制御回路58により全てコントロールされ、洗滌・消毒・滅菌をすべて自動で行うことが可能である。そのため、内視鏡5を洗浄もしくは洗浄消毒する処理ユニットと、内視鏡5を滅菌する処理ユニットとをそれぞれ独立した別体の装置にした場合に比べて装置全体を小型化することができるので、内視鏡5の診察を行う一般的な診察室内でも容易に洗滌、消毒、滅菌の各作業を行う装置1を設置することができる。
【0070】また、本実施の形態では装置本体2内のトレイ搬送手段25によって第1処理部10Aと第2処理部10Bとの間で内視鏡5を搬送することにより、内視鏡診察の症例間に実施される内視鏡5等の洗滌、消毒、滅菌の各作業工程に要する時間を短縮することができ、内視鏡診察の効率を高めることができる。さらに、従来のように内視鏡5等の洗滌、消毒、滅菌の各作業工程毎に内視鏡5をセットアップしなくて良いので、ユーザーのリプロセス工数を大幅に削減することができる。
【0071】また、本実施の形態では装置本体2内で使用される洗滌・消毒・滅菌用のトレイ6を共有化し、洗滌処理と、消毒処理と、滅菌処理とを全て自動的に行うことができるので、装置全体が小型化でき、製品コストも大幅削減できる。さらに、トレイ6が装置本体2から着脱可能なため、洗滌、消毒、滅菌のそれぞれの工程及び、全工程完了後の内視鏡5の状態を変化させることなく保管することが可能である。
【0072】また、専用トレイ6が装置本体2から着脱可能なため、複数の内視鏡等を同じ装置1で順番に処理することができる。そのため、装置1の稼動率も向上でき、リプロセス全体のランニングコストを大幅に削減することができる。さらに、洗滌・消毒・滅菌用のトレイ6を共有化し、内視鏡5等の洗滌、消毒、滅菌の各作業工程を全て自動的に行うことができるので、リプロセス時間を短縮して各症例間のリプロセスが可能になり、効率よく内視鏡検査を行うことができる。
【0073】なお、内視鏡5を洗浄する際に使用する洗滌液は一般的に水か、水に洗剤を混ぜて使用するが、洗滌タンク13に保管する方法ではなく、水道管路などに接続し、直接給水管路を構成する方法でも良い。
【0074】また、本実施形態では第1処理部10Aで洗滌工程と、消毒工程とを実施しているが、消毒手段及び、消毒工程を省略し、洗滌工程と滅菌工程のみが作動する装置にしても良い。
【0075】また、図9および図10は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図8(A)〜(C)参照)の内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1におけるトレイ6の各管路開閉用弁31の構成を次の通り変更したものである。
【0076】すなわち、第1の実施の形態では管路開閉用弁31の駆動機構として本体側送受信ユニット17b、24bと、トレイ側送受信ユニット44との間で電波を利用したRFID(高周波自動認識:Radio Frequency Identification)を応用した電気回路を設けた構成を示したが、本実施の形態ではこれに代えて機械式の管路開閉用弁31の駆動機構71を設けたものである。
【0077】本実施の形態の管路開閉用弁31の駆動機構71では管路開閉用弁31における弁体36の開閉を行うプランジャー39の軸40にカム部材72が固定されている。このカム部材72には半円形状のカム面73が形成されている。
【0078】また、管路開閉用弁31の管路構成部材35の側面にはピン挿入口74が形成されている。このピン挿入口74は図10に示すようにコイルばね43のばね力によって管路開閉用弁31の弁体36を連通口部37の周縁の弁座部に当接させて連通口部37を閉じる方向に付勢している状態で、カム部材72のカム面73と離間対向する部位に配置されている。
【0079】さらに、内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1の第1処理部10Aのトレイ連結部11Aにおけるトレイ側管路連結部17a(第2処理部10Bのトレイ連結部11Bにおけるトレイ側管路連結部24a)の近傍の壁面には管路開閉用弁31の管路構成部材35のピン挿入口74に挿脱可能に挿入されるカム駆動ピン75が突設されている。そして、カム駆動ピン75がピン挿入口74に挿入されると、このカム駆動ピン75の先端部がカム部材72のカム面73に突き当たる。このとき、カム部材72のカム面73のカム作用によりプランジャー39の軸40が図9中で上方向に移動し、管路開閉用弁31を開放状態に切換えるようになっている。
【0080】次に、上記構成の本実施の形態の作用について説明する。本実施の形態では内視鏡5による診察が終了したのち、内視鏡5がトレイ6に装着され、かつ洗滌・消毒チューブ59が内視鏡5に接続される。その後、トレイ6の蓋8が閉じられた状態で、トレイ6が内視鏡5を洗浄もしくは洗浄消毒する第1処理部10Aにセットされる。
【0081】このとき、第1処理部10Aのトレイ連結部11Aにおけるトレイ側管路連結部17aの供給管路16にトレイ6の左側面の2つの管路開閉用弁31a,31bの管路構成部材35の管路が連結されるとともに、内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1の第1処理部10Aのトレイ連結部11Aにおけるトレイ側管路連結部17aの近傍のカム駆動ピン75がピン挿入口74に挿入される。ここで、ピン挿入口74に挿入されたカム駆動ピン75の先端部がカム部材72のカム面73に突き当たることにより、カム部材72のカム面73のカム作用によりプランジャー39の軸40が図9中で上方向に移動し、管路開閉用弁31を開放状態に切換えられる。これにより、洗滌・消毒用の管路が確保される。同時に、洗滌・消毒用チューブ59の管路も確保される。さらに、排液弁33の部分でも同様に管路開閉用弁31を開放状態に切換えられ、排液管路も確保される。この状態で、第1の実施の形態と同様に洗滌工程と消毒工程が行われる。
【0082】また、洗滌工程と消毒工程が完了したのち、トレイ6はトレイ搬送手段25により第1処理部10Aから取出される。このとき、第1処理部10Aからトレイ6が取出される動作にともないカム駆動ピン75がピン挿入口74から引き抜かれる。そのため、この状態では図10に示すようにコイルばね43のばね力によって管路開閉用弁31の弁体36が連通口部37の周縁の弁座部に当接されて連通口部37が閉じられる。このとき、同時に洗滌・消毒用チューブ59の管路も閉じられる。さらに、排液弁33も閉じられ、トレイ6は内視鏡5を収納した状態で密閉されるので、トレイ6の外部より内視鏡5が汚染されない状態になる。
【0083】その後、トレイ6はトレイ搬送手段25により第2処理部10Bに搬送される。そして、第1の実施の形態と同様に第2処理部10B内にトレイ6が装着されると第2処理部10Bのトレイ連結部11Bにおけるトレイ側管路連結部24aの高圧蒸気供給管路23にトレイ6の右側面の2つの管路開閉用弁31c,31dの管路構成部材35の管路が連結される。このとき、第2処理部10Bのトレイ連結部11Bにおけるトレイ側管路連結部24aの近傍のカム駆動ピン75がピン挿入口74に挿入される。これにより、カム部材72のカム面73のカム作用によりプランジャー39の軸40が図9中で上方向に移動し、管路開閉用弁31を開放状態に切換えられ、高圧蒸気供給用の管路が確保され、滅菌工程の準備が完了する。以降、第1の実施の形態と同様な工程が実施され、全ての処理を完了する。
【0084】そこで、本実施形態によれば、機械式の管路開閉用弁31の駆動機構71を設け、管路開閉用弁31の駆動機構として電気的駆動回路を採用しないため、より耐熱性も向上する。さらに、高温になり易い滅菌チャンバーである第2処理部10B近傍の電気回路を削減できるので、さらに高温(例えば140℃程度)の滅菌処理が可能となり、滅菌温度の高温度化にともない滅菌処理の時間短縮、滅菌能力向上等を図ることができる。
【0085】さらに、管路開閉用弁31の構造を簡単にすることができるので、構成部品削減により、より小型化が可能であるとともに、さらなる装置1のコスト低減が可能である。
【0086】また、図11(A)〜(C)は本発明の第3の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図8(A)〜(C)参照)の内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1におけるトレイ移動路9の縦移動路9bの内部でトレイ6を昇降させる手段の構成を次の通り変更したものである。
【0087】すなわち、本実施の形態では、図11(A)に示すように、第2処理部10B内に液体の浮力を利用してトレイ6を浮上させるフロート81が配設されている。さらに、第2処理部10Bの底部には液体管路82の一端部が連結される連結口83が設けられている。この連通口83には第2処理部10B内への液体の供給、排出を制御するための電磁弁84が設けられている。
【0088】また、液体管路82の他端部は流体ポンプ85を介して液体を保管しておくための流体タンク86に接続されている。そして、流体ポンプ85の駆動によって流体タンク86から第2処理部10B内への液体の供給および第2処理部10B内からの液体の排出が行われるようになっている。さらに、電磁弁84によって第2処理部10B内への液体の供給、排出が制御されることにより、第2処理部10B内に供給される液体の増減が調整され、第2処理部10B内のフロート81の高さを調整するようになっている。
【0089】また、本実施の形態では第1処理部10Aから第2処理部10B側に搬送されるトレイ6は第2処理部10B内のフロート81上に載置されるようになっている。そして、トレイ6をフロート81の浮力によって液体上に浮かばせた状態で、電磁弁84によって第2処理部10B内への液体の供給、排出を制御することにより、トレイ移動路9の縦移動路9bの内部でトレイ6を昇降させる構成になっている。
【0090】次に、上記構成の本実施の形態の作用について説明する。本実施の形態では第1処理部10Aで第1の実施の形態と同様の洗滌・消毒工程が完了した時点で、電磁弁84が開放されるとともに、流体ポンプ85が作動する。これにより、流体タンク86に保管されていた液体が第2処理部10B内に供給され、フロート81が上昇する。このとき、フロート81はベルトコンベア26とほぼ水平の位置まで上昇される。
【0091】その後、トレイ搬送手段25によりトレイ6が第2処理部10Bの上部に搬送される。そして、トレイ搬送用レール27の終端位置で、レール制御ユニット28がトレイ6を開放することにより、図11(A)に示すようにトレイ6がフロート81上に設置される。
【0092】次に、流体ポンプ85が第2処理部10B内の液体を回収する方向に駆動されることにより、図11(B)に示すように第2処理部10B内の液面が下がり、トレイ6が第2処理部10Bの下部に搬送される。
【0093】そして、図11(C)に示すようにトレイ6が第2処理部10Bの内部の所定のセット位置にセットされた状態で、第1の実施の形態と同様の滅菌工程が実行される。
【0094】また、滅菌工程の終了後は流体ポンプ85によって第2処理部10B内に液体を供給することにより、第2処理部10B内の液面を上昇させることにより、フロート81上のトレイ6を上昇させ、トレイ6を初期の位置に戻す操作が行われる。
【0095】そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態によれば、流体制御技術を使用して第2処理部10B内の液面を調整することにより、第2処理部10B内のトレイ6を昇降させるようにしているので、複雑な機械式のトレイ昇降手段を用いる場合に比べて装置1の小型化及び、コスト低減、品質安定を図ることができる。
【0096】また、流体タンク86を洗滌液や、高圧蒸気発生用の水等と共用することができるので、構成部品削減により、装置1の一層の小型化や、コストの低減が実現できる効果がある。
【0097】また、図12は本発明の第4の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図8(A)〜(C)参照)の内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1におけるトレイ6と装置本体2の構成を次の通り変更したものである。
【0098】すなわち、本実施の形態では略箱型の装置本体2の上部に滅菌チャンバーを兼ねるトレイ91が配設されている。さらに、装置本体2の蓋体3にはトレイ91のトレイ蓋92が一体化されている。
【0099】また、トレイ91の近傍には第2の本体側送受信ユニット24bが配設されている。なお、本実施の形態では第1の実施の形態のトレイ搬送手段25はなく、それ以外のトレイ本体の管路開閉弁31や、各種送受信ユニット、洗滌ユニット、滅菌ユニットの構造、構成は第1の実施の形態及び、第2の実施の形態と同様の構成になっている。
【0100】さらに、本実施形態においてはトレイ91のトレイ本体は装置本体2に着脱可能に連結されている。そして、予備のトレイ91を装置本体2に装着し、全工程をさらに効率アップすることが可能である。
【0101】そこで、上記構成の本実施形態によれば、装置本体2の上部に滅菌チャンバーを兼ねるトレイ91を配設し、装置本体2の蓋体3にトレイ91のトレイ蓋92を一体化したので、内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1全体を一層、小型化することができ、コスト低下を図ることができる。
【0102】さらに、滅菌完了後の内視鏡5をトレイ91から容易に取り出すことが出来、ユーザーの消毒・滅菌処理工数をさらに削減することが出来る。
【0103】また、図13および図14(A)〜(C)は本発明の第5の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図8(A)〜(C)参照)の内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1におけるトレイ6の管路開閉弁31の構成を次の通り変更したものである。
【0104】すなわち、本実施の形態のトレイ6には外部から圧力を掛けると開く逆止弁101が設けられている。この逆止弁101にはトレイ6の側壁に形成された液体流入孔102の周囲に外向きに突設された筒状のケーシング103が設けられている。このケーシング103の先端部には先細状の弁受部104が形成されている。
【0105】さらに、ケーシング103の内部には弁受部104の先端開口部104aを開閉するボール状の弁体105と、この弁体105を弁受部104の先端開口部104aを塞ぐ方向に付勢するコイルばね106とが設けられている。
【0106】また、装置本体2の第1処理部10Aおよび第2処理部10Bには図14(A),(B)に示すトレイ連結用のコネクタ107が設けられている。このコネクタ107には逆止弁101のケーシング103に着脱可能に連結されるコネクタ本体108が設けられている。このコネクタ本体108の軸心部には弁受部104の先端開口部104a内に挿入される棒状の操作ロッド109が突設されている。
【0107】そして、トレイ6が装置本体2の第1処理部10A、または第2処理部10Bにセットされる場合には図14(C)に示すように第1処理部10A、または第2処理部10Bのコネクタ107にトレイ6の逆止弁101が挿入される状態で連結されるようになっている。このとき、コネクタ107の操作ロッド109が逆止弁101における弁受部104の先端開口部104a内に挿入されることにより、逆止弁101の弁体105がコイルばね106のばね力に抗して弁受部104の先端開口部104aから離れる方向に押込まれる。そのため、弁受部104の先端開口部104aが開放されるので、逆止弁101が開状態に切換え操作されてトレイ6の流路が確保されるようになっている。
【0108】そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態ではトレイ6に外部から圧力を掛けると開く逆止弁101を設けたので、第1の実施の形態のように第1の本体側送受信ユニット17b、第2の本体側送受信ユニット24bなどの電気制御手段がなくとも、簡単にトレイ6内に洗滌用または消毒用または滅菌用の液体または気体または蒸気を供給することができ、構成を簡素化することができる。さらに、トレイ6が装置本体2の第1処理部10A、または第2処理部10Bにセットされる状態以外の場合では逆止弁101内のコイルばね106のばね力によって弁体105を弁受部104の先端開口部104aを塞ぐ状態で保持することができ、トレイ6内への異物の混入を防ぐことができる。
【0109】なお、トレイ6の逆止弁101は、装置本体2のコネクタ107が差し込まれると弁が開き、抜くと弁が閉じる構造でもよく、また圧送される液体または気体または蒸気からの押圧力により弁が開き、圧力がかからない場合は常に閉じる構造としてもよい。
【0110】また、図15に示す第5の実施の形態の変形例のように菌が通過しない孔径(例えば0.2ミクロン程度)の微細孔が形成されているメンブレンフィルター膜111をトレイ6の液体流入孔102を覆う状態で取り付け、トレイ6が装置本体2の第1処理部10A、または第2処理部10Bにセットされた際に圧送される液体または気体または蒸気のみがこのメンブレンフィルター膜111を通過してトレイ6の液体流入孔102に流入される構成にしてもよい。
【0111】また、図16(A)〜(C)は本発明の第6の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図8(A)〜(C)参照)の内視鏡洗滌・消毒・滅菌装置1の構成を次の通り変更したものである。
【0112】すなわち、本実施の形態では気体または蒸気は通過するが菌または埃等の異物は通過させないフィルム121(市販されている滅菌パックの材質等)によってトレイ6全体を覆う袋122を設け、装置本体2の第1処理部10Aと第2処理部10Bとの間でトレイ6を搬送中、または第2処理部10Bにトレイ6を搬送した後、この袋122でトレイ6全体を覆う構成にしたものである。ここで、袋122の開口部122aの周縁には熱溶着部123が配設されている。
【0113】そして、袋122はベルトコンベア26で第1処理部10Aから搬送されるトレイ6の搬送軌道の終端位置で待機され、ベルトコンベア26で搬送されるトレイ6が袋122内に収容されたのち、袋122の開口部122aを閉じた状態で熱溶着部123を熱溶着することで密封されるようになっている。
【0114】そこで、本実施の形態では、洗滌および消毒工程中はトレイ6全体がフィルム121によって密封されていないので、オープンな環境でトレイ6内の内視鏡5に洗滌液の吹き付け洗滌や、消毒液への浸漬消毒を実施することができる。さらに、装置本体2の第1処理部10Aと第2処理部10Bとの間でトレイ6を搬送中、または第2処理部10Bにトレイ6を搬送した後、トレイ6を袋122内に収容させた状態で、袋122の開口部122aを閉じて熱溶着部123を熱溶着することで密封させるようにしたので、高圧蒸気を注入する前にトレイ6全体を気体または蒸気は通過するが菌または埃等の異物は通過させないフィルム121によって覆って密封することで、滅菌処理後のクリーン度を維持することが可能である。
【0115】また、図17(A)〜(C)に示す第6の実施の形態の変形例のようにトレイ6の上面開口部6aのみをシート状のフィルム131で自動的に覆い、このシート状のフィルム131の周縁部に配設された熱溶着部132をトレイ6の上面開口部6aの周縁部に熱溶着することで密封させる構成にしてもよい。
【0116】さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記(付記項1) 内視鏡を洗滌もしくは洗滌消毒する洗滌ユニットと、前記洗滌ユニットで洗滌もしくは洗滌消毒された内視鏡を滅菌する滅菌ユニットと、前記洗滌ユニットで洗滌もしくは洗滌消毒された内視鏡を前記滅菌ユニットに搬送する搬送手段と、を有することを特徴とする内視鏡洗滌消毒滅菌装置。
【0117】(付記項2) 付記項1に基づいた装置であって、前記搬送手段は装置本体の制御手段により、手動もしくは自動に制御されることを特徴とする内視鏡洗滌消毒滅菌装置。
【0118】(付記項3) 少なくとも洗滌消毒用管路及び、滅菌用管路を開閉するための管路開閉手段を有する内視鏡用トレイと、前記トレイに装着された内視鏡を洗滌もしくは洗滌消毒する洗滌ユニットと、前記洗滌消毒ユニットで洗滌消毒された内視鏡を滅菌する滅菌ユニットとからなり、前記洗滌ユニット及び前記滅菌ユニットに、前記トレイに設けられた管路開閉手段を制御する管路制御手段を設けたことを特徴とする内視鏡洗滌消毒滅菌装置。
【0119】(付記項4) 付記項3に基づいた装置であって、前記管路開閉手段と前記管路制御手段は電波による通信手段によって制御されることを特徴とする内視鏡洗滌消毒滅菌装置。
【0120】(付記項5) 付記項3に基づいた装置であって、前記管路開閉手段と前記管路制御手段はカム構造により作動する弁と、前記カムを作動させるピン部材による構成からなることを特徴とする内視鏡洗滌消毒滅菌装置。
【0121】(付記項6) 少なくとも洗滌消毒用管路及び、滅菌用管路を開閉するための管路開閉手段を有する内視鏡用トレイと、内視鏡を洗滌もしくは洗滌消毒する洗滌ユニットと、前記洗滌ユニットで洗滌もしくは洗滌消毒された内視鏡を滅菌する滅菌ユニットと、前記洗滌ユニットで洗滌もしくは洗滌消毒された内視鏡を前記滅菌ユニットに搬送する搬送手段と、前記滅菌ユニットに設けられた滅菌用チャンバーに、前記搬送された内視鏡用トレイを装着する内視鏡トレイ装着手段を設けたことを特徴とする内視鏡洗滌消毒滅菌装置。
【0122】(付記項7) 付記項6に基づいた装置であって、前記内視鏡トレイ装着手段がトレイ吸着部材と昇降用モーターから構成されることを特徴とする内視鏡洗滌消毒滅菌装置。
【0123】(付記項8) 付記項6に基づいた装置であって、前記内視鏡トレイ装着手段が流体を給液できる滅菌チャンバーと、流体を供給、排液するための流体ポンプと、前記滅菌チャンバーへの流体供給を制御する弁と、前記内視鏡用トレイを流体の上に浮かせるためのフロートからなることを特徴とする内視鏡洗滌消毒滅菌装置。
【0124】(付記項9) 少なくとも洗滌消毒用管路及び、滅菌用管路を開閉するための管路開閉手段を有する内視鏡用トレイと、前記トレイに装着された内視鏡を洗滌もしくは洗滌消毒する洗滌ユニットと、前記洗滌消毒ユニットで洗滌消毒された内視鏡を滅菌する滅菌ユニットとからなり、前記洗滌ユニット及び前記滅菌ユニットに、前記トレイに設けられた管路開閉手段を制御する管路制御手段とが設けられた内視鏡洗滌消毒滅菌装置において、前記内視鏡用トレイを密閉するための蓋が、前記装置本体の蓋部に一体的に設けられたことを特徴とする内視鏡洗滌消毒滅菌装置。
【0125】(付記項10) 内視鏡洗滌消毒装置あるいは滅菌装置に収納することで、装置の洗滌用または消毒用または滅菌用の液体または気体または蒸気を供給する管路と任意に導通させる管路開閉手段を有する内視鏡用トレイ。
【0126】(付記項1〜10の従来技術) 従来、内視鏡を洗滌するためには、内視鏡洗滌消毒装置が使用されており、これらの構成は、使用後の内視鏡をセットする洗滌槽と、洗滌槽に洗滌液等を供給するチャンネル接続口が設けられている。
【0127】このチャンネル接続口には内視鏡の各種管路に接続される接続用アダプターとしての内視鏡用の洗滌・消毒用チューブが連結される。内視鏡洗滌消毒装置の使用時には、洗滌槽内に内視鏡がセットされるとともに、内視鏡の各種管路に洗滌・消毒用チューブが連結された状態にセットされる。この状態で、洗滌槽内のノズルから噴射される洗滌液が洗滌槽内の内視鏡外表面に吹き付けられ、内視鏡の外表面が洗滌されるとともに、内視鏡管路に接続された洗滌・消毒用チューブを通して、内視鏡の各種管路にも洗滌液が送液され、内視鏡全体が洗滌されるようになっている。洗滌方法としては洗滌槽内で洗滌液をノズルから噴射する方式と、洗滌槽内に洗滌液を充満し攪拌、還流させて洗滌する方法がある。
【0128】さらに、内視鏡全体の洗滌後、洗滌槽内に消毒液が供給され、この消毒液中に内視鏡が浸漬されるとともに、内視鏡管路に接続された洗滌・消毒用チューブを通して、内視鏡の各種管路にも消毒液が送液され内視鏡全体が消毒されるようになっている。この後、洗滌水の噴射、送液により濯ぎを行い、最後に内視鏡管路内への送気を行って管路内の除水を行うことにより、全行程を完了する。
【0129】さらに、内視鏡等の医療器具を滅菌する場合、高圧蒸気による滅菌装置(以下オートクレーブ装置)が使用されている。例えば「特開平5−337170」に示す通り、オートクレーブ装置は高い圧力及び温度に耐える容器で本体が形成され、この本体(チャンバー)に内視鏡等の医療用具を収納できる。前記チャンバーには水蒸気が注入される水蒸気注入口が設けられており、さらに口金部材により、外部の制御弁を介して、水蒸気を発生するボイラと接続されている。
【0130】一般的には、高圧蒸気を注入する前に、非滅菌物(内視鏡等の医療用具)の水分を蒸発させる為の予備真空工程があり、この工程が終了した後に、高圧蒸気を注入する装置が多い。蒸気を供給する方法としては、外部ボイラによるものと、前記チャンバー内部にヒーター等による蒸気発生手段を設けた種類のものがある。
【0131】また、前記高圧蒸気による滅菌を行う前に、非滅菌物(内視鏡等の医療用具)に付着した汚物を洗滌してから滅菌を行う装置が、「特開平5−337170」に提案されており、洗滌機能を搭載した滅菌装置の開発が進められてきている。
【0132】また、洗滌装置と、滅菌装置及び保管機能を一つの装置に一体化し、さらに移動可能とした装置が「特開平7−143999」にて提案されている。これらの構成は、使用後の非滅菌物(内視鏡等の医療用具)を洗滌する洗滌槽と、オートクレーブユニットと、紫外線滅菌ユニットを一体的に有し、下部に移動の為のキャスターを有した事を特徴としている。
【0133】(付記項1〜10が解決しようとする課題) 従来例に述べられているように、内視鏡洗滌・消毒装置、高圧蒸気滅菌装置及び、洗滌機能を有する滅菌装置の提案はあるが、実際ユーザーが内視鏡等を洗滌・消毒・滅菌するのに十分な機能、使い易さ、実際の装置の構成は提案されていない。
【0134】実際のユーザーは、内視鏡による診察、処置等が終了すると、まず内視鏡洗滌・消毒装置により内視鏡に付着した汚物を洗滌する。その後、内視鏡を高圧蒸気滅菌装置に挿入し滅菌を行うが、装置が別体であり、別の場所にユーザー自身が運搬しなくてはならない。これは多くの高圧蒸気滅菌装置が外科用の器具を滅菌する為に考案されたものであり、病院内の特殊な場所(大型ボイラー設備のある中央材料室等)にしか設置できない構造になっている為である。また、卓上式の高圧蒸気滅菌装置もあるが、チャンバーが小さく内視鏡をセットできない構造である。
【0135】この為多くのユーザーは内視鏡による診察が終了すると大型ボイラー設備のある中央材料室等まで運搬しなくてはならず、非常に無駄な時間を使うことになる。
【0136】また、実際の内視鏡による診察は非常に症例数も多く、各症例間に行う内視鏡の洗滌・消毒・滅菌の時間の短縮化が強く望まれている。さらに、洗滌した内視鏡を滅菌し、使用するまでに滅菌状態を保つことが要求されており、従来そのような装置の提案はされていない。
【0137】(付記項1〜10の目的) 本願は、内視鏡診察の症例間に実施される、内視鏡等の洗滌〜滅菌時間を短縮し、施設における診察時間の効率をアップすることと、洗滌・滅菌した内視鏡の滅菌状態を容易に維持することの出来る装置を提供することを目的とする。
【0138】さらなる目的としては、洗滌・滅菌装置を一体化することで装置のコストを低減し、装置を小型化できることにより、内視鏡の診察を行う一般的な部屋(特殊な場所でない)にも容易に洗滌・滅菌装置を設置できる装置を提供することである。
【0139】(付記項1〜10の課題を解決するための手段) 1.洗滌・消毒装置と滅菌装置を一体化するとともに、内視鏡等を洗滌、消毒及び滅菌するための専用チャンバーを設け、前記専用チャンバーには、洗滌消毒装置部及び滅菌装置の各種管路と着脱可能な管路開閉手段と管路開閉制御手段を設けた。さらに、前記洗滌・消毒装置部分と滅菌装置部分にも、前記専用チャンバーの各種管路と着脱可能な管路開閉手段を制御する管路開閉制御手段を設けた。また、洗滌・消毒及び滅菌工程の時間を短縮する為に、前記専用チャンバーを自動的に洗滌・消毒装置部分から、滅菌装置部分に搬送する手段を設けた。
【0140】2.洗滌・滅菌対象物の滅菌状態を保持する為に、前記専用チャンバーに設けられている管路開閉手段を、洗滌・消毒及び滅菌工程以外の状態では閉じる構造とした。
【0141】3.前記専用チャンバーを滅菌装置の高圧チャンバーに搬送するための搬送手段を設けた。
【0142】(付記項1〜10の作用) 洗滌・消毒・滅菌(洗滌・滅菌工程のみでも良い)を行う内視鏡を専用チャンバーにセットし装置を動作させると、最初に装置のメイン制御手段より洗滌・消毒装置部分の管路開閉制御手段に信号が送られ、専用チャンバー内と洗滌・消毒装置の各種管路が同通される。次に洗滌・消毒装置の洗滌・消毒工程が自動的に実施され内視鏡の洗滌・消毒が完了する。
【0143】次に専用チャンバーは搬送手段により滅菌装置側に移動し、さらに、滅菌装置の高圧チャンバー内に搬送される。
【0144】洗滌・消毒工程が完了し、専用チャンバーが滅菌装置の高圧チャンバー内に搬送されるまでは、専用チャンバーに設けられた管路開閉手段は閉状態に保たれており、外部空気と触れることは無い。専用チャンバーが滅菌装置の高圧チャンバー内にセットされると、装置のメイン制御手段より滅菌装置部分の管路開閉制御手段に信号が送られ、専用チャンバー内と滅菌装置の各種管路が同通される。次に高圧蒸気による滅菌工程が実施され内視鏡の滅菌処理が完了する。
【0145】全ての工程が完了すると専用チャンバーの管路開閉手段は閉状態に保たれ、ユーザーは専用チャンバーごと取り出し保管することが出来る。
【0146】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、洗滌、消毒、滅菌の各作業を行う装置を一体化することで装置全体のコストを低減し、装置全体を小型化して内視鏡の診察を行う一般的な診察室内でも容易に洗滌、消毒、滅菌の各作業を行う装置を設置することができるとともに、内視鏡診察の症例間に実施される内視鏡等の洗滌、消毒、滅菌の各作業に要する時間を短縮することができ、内視鏡診察の効率を高めることができる。
【0147】請求項2の発明によれば、処理対象の内視鏡を収納するトレイに接続された流体管路を開閉する管路開閉手段を管路開閉制御手段によって制御し、内視鏡の洗浄、消毒、滅菌の各処理工程以外の状態では管路開閉手段を閉じることにより、洗滌、消毒、滅菌の各作業を行った内視鏡の滅菌状態を容易に維持することができる。
【出願人】 【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス光学工業株式会社
【出願日】 平成13年2月28日(2001.2.28)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
【公開番号】 特開2002−253648(P2002−253648A)
【公開日】 平成14年9月10日(2002.9.10)
【出願番号】 特願2001−55612(P2001−55612)