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【発明の名称】 血漿中の薬物レベルの初期上昇速度が急速な24時間経口オピオイド製剤の投与による、疼痛の治療方法
【発明者】 【氏名】サッカラー,リチャード

【氏名】ゴールデンハイム、ポール

【氏名】カイコ、ロバート

【要約】 【課題】経口持続放出性オピオイド製剤の提供。

【解決手段】患者を治療するにあたって、オピオイド鎮痛薬の最低有効濃度がより速やかに得られるように、投与したとき、早期に急速なオピオイド吸収をもたらす24時間経口持続放出性オピオイド製剤が用いられる。こうした持続放出性オピオイド製剤は、ヒト患者への経口投与後に少なくとも約24時間にわたり鎮痛効果を発現するのに効果的な速度でオピオイド鎮痛薬を放出させる、有効量の少なくとも1種の遅延物質を含有し、1時間〜約8時間の吸収半減期を示す点に特徴がある。これらの持続放出性オピオイド製剤を利用してヒト患者をタイトレーションする方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鎮痛有効量のオピオイド鎮痛薬が塗布されている複数の不活性医薬ビーズを含有する経口持続放出性オピオイド医薬製剤であって、前記不活性医薬ビーズは、有効量の医薬的に許容可能な、アクリル系ポリマー、疎水性セルロース物質、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1種の疎水性ポリマーが上塗り(オーバーコート)されており、前記製剤は1日1回の経口投与で鎮痛効果をもたらし、前記医薬製剤の1服をヒトの患者に投与したとき、約1時間〜約8時間の吸収半減期(吸収可能なオピオイドの用量の1/2が血漿に移動するのに必要な時間量)、約2時間〜約10時間以内に最高血漿濃度到達時間(Tmax)、および患者への製剤投与から6時間後の血漿濃度が、患者への製剤投与から約24時間後の前記オピオイド血漿水準に対し、少なくとも約2.26倍の血漿濃度を与え、前記投薬製剤が、患者に投与した後、約24時間またはそれ以上にわたり効果的な鎮痛治療を提供する、経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項2】 経口持続放出性オピオイド医薬製剤は、前記投薬製剤を経口投与した後、約2時間〜約8時間以内に最高血漿濃度到達時間(Tmax)を与える、請求項1に記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項3】 経口持続放出製剤が約1時間〜約6時間の吸収半減期をもたらす、請求項2に記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項4】 オピオイド鎮痛薬が、ヒドロモルホン、オキシコドン、ジヒドロコデイン、コデイン、ジヒドロモルヒネ、モルヒネ、ブプレノルフィン、それらの塩、および前記のものの任意の混合物より成る群から選ばれる、請求項1〜3のいずれかに記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項5】 オピオイド鎮痛薬が、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼンフェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、これらの塩、およびこれらの混合物より成る群から選ばれる、請求項1〜3のいずれかに記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項6】 前記オピオイドがモルヒネであり、前記オピオイドの最大血漿濃度が、30mg用量の硫酸モルヒネに基づいて、約2〜14ng/mlである、請求項1〜3のいずれか1つに記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項7】 前記オピオイドがモルヒネであり、前記オピオイドの最大血漿濃度が、30mg用量の硫酸モルヒネに基づいて、約3〜8ng/mlである、請求項6に記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項8】 オピオイド鎮痛薬が約2〜64mgのヒドロモルホンからなる、請求項1〜3のいずれかに記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項9】 オピオイド鎮痛薬が約5〜800mgのモルヒネからなる、請求項1〜3のいずれかに記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項10】 オピオイド鎮痛薬が約5〜400mgのオキシコドンからなる、請求項1〜3のいずれかに記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項11】 前記オピオイドの容量の一部が即時放出形態で前記製剤中に含まれている、請求項1〜10のいずれかに記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項12】 前記患者への製剤投与から6時間後の血漿濃度が、前記患者への製剤投与から約24時間後の前記オピオイド血漿水準の、約2.26倍から約2.47倍である、請求項1〜11のいずれかに記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項13】 経口持続放出性製剤が、約1.5時間〜約8時間の吸収半減期をもたらす、請求項1〜11のいずれかに記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項14】 疎水性ポリマーが医薬的に許容可能なアクリル系ポリマーである、請求項1〜13のいずれかに記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項15】 アクリル系ポリマーが、アクリル酸とメタクリル酸の共重合体、メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸シアノエチル、メタクリル酸アミノアルキル共重合体、メタクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル共重合体、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミド共重合体、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(無水メタクリル酸)、メタクリル酸メチル、ポリメタクリレート、ポリ(メタクリル酸メチル)共重合体、ポリアクリルアミド、グリシジルメタクリル酸共重合体およびそれらの混合物から成る群から選ばれる、請求項14に記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項16】 (a)トラマドールまたはその塩であるオピオイド鎮痛薬を含む経口持続放出性マトリックス、および(b)前記オピオイド鎮痛薬をヒト患者に経口投与後24時間にわたり鎮痛効果をもたらすに有効な速度で放出する、少なくとも1種の有効量の遅延物質を含有する経口持続放出性オピオイド製剤であって、前記遅延物質は、親水性ポリマー、疎水性ポリマー、8〜50炭素原子を有する置換または非置換の消化性炭化水素、およびポリアルキレングリコールから選ばれ、前記医薬製剤はヒトに投与したとき、速やかにオピオイド血漿濃度の初期上昇をもたらし、空腹状態で1〜8時間の吸収半減期を与える、経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項17】 有効量のオピオイド鎮痛薬または医薬的に許容可能なその塩、および前記オピオイド鎮痛薬を取り囲む持続放出性コーティングを含有する経口持続放出性医薬製剤であって、前記持続放出性コーティングは、製剤をヒトの患者に1日1回投与とするために有効な量の疎水性ポリマーを含み、前記持続放出性コーティングには通路が設けられ、前記製剤はヒトの患者に1製剤を投与したとき、約1時間〜約8時間の吸収半減期(吸収可能なオピオイドの用量の1/2が血漿に移動するのに必要な時間量)をもたらし、前記患者への製剤投与後約2時間〜約10時間以内に最高血漿濃度到達時間(Tmax)をもたらし、前記製剤がヒトの患者に対し1日1回の投与に適した、経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項18】 前記オピオイド鎮痛薬が、約2mg〜約64mgのヒドロモルホンである、請求項17に記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【請求項19】 鎮痛有効量のオピオイド鎮痛薬が塗布されている複数の不活性医薬ビーズを含有する、1日1回投与用の経口持続放出性オピオイド医薬製剤の調整方法であって、前記オピオイドをヒトに投与したときに、約2時間〜約10時間以内の最高血漿濃度到達時間(Tmax)を与え、および患者への製剤投与から6時間後の血漿濃度が、患者への製剤投与から約24時間後の前記オピオイド血漿水準に対し、少なくとも約2.26倍の血漿濃度を有する有効速度で放出されるために有効な速度で前期オピオイドが放出されるように前記不活性医薬ビーズには、医薬的に許容可能なアクリル系ポリマー、疎水性セルロース物質、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1種の疎水性ポリマーの有効量が上塗り(オーバーコート)されていて、前記製剤は、投与後約24時間またはそれ以上にわたり効果的な治療を提供する、方法。
【請求項20】 経口持続放出性製剤が1時間〜約6時間の吸収半減期を示す、請求項19に記載の方法。
【請求項21】 経口持続放出性製剤が、1.5時間〜約8時間の吸収半減期を示す、請求項19に記載の方法。
【請求項22】 経口持続放出性製剤が、約2時間〜約8時間の最高血漿濃度到達時間(Tmax)を与える請求項19に記載の方法。
【請求項23】 患者への製剤投与から6時間後の血漿濃度が患者への製剤投与から約24時間後の前記オピオイド血漿水準に対し少なくとも約2.26倍から約2.47倍の血漿濃度である請求項19に記載の方法。
【請求項24】 経口持続放出性製剤が、約2時間〜約8時間の最高血漿濃度到達時間(Tmax)を与える請求項17に記載の経口持続放出性オピオイド医薬製剤。
【発明の詳細な説明】【0001】発明の背景本発明は、鎮痛剤、特にオピオイド鎮痛剤の生体利用が可能な持続放出性医薬であって、経口投与したときの効果が長期化された製剤に関するものである。
【0002】すべての持続放出性製剤は、その薬剤の投与後の薬理学的応答の期間を、急速放出投与剤の投与後に通常経験される期間より長くすることを目的としている。この応答期間の長期化は、対応する短期作用性の即時放出製剤では達成できない多くの固有の治療上の利益をもたらす。これは、激痛を緩和する治療が必要なガン患者またはその他の患者の治療において、特にあてはまることである。なぜならば、この場合、疼痛を除去するために、オピオイド鎮痛薬の血中レベルを治療上効果のある値に維持しなければならないからである。薬剤の効果的で安定した血中レベルを維持するためには、従来の急速作用性の薬物治療を頻繁に注意深く実施しないと、その化合物の急速な吸収と体排泄および代謝による不活性化に起因して、活性薬物の血中レベルに高低差が生じ、このため鎮痛効果の維持において重大な問題が生起する。
【0003】担体から活性化合物を持続放出させる組成物の製造および使用に関する従来の技術報告は、基本的に、消化管の生理液体への活性物質の放出に関するものである。しかし、活性物質が単に胃腸液中に存在するだけでは、生物学的利用能の確証にはならないことが一般に認識されている。
【0004】吸収されるためには、活性薬効物質が溶液状態になければならない。投与剤1単位からある活性物質が与えられた比率で溶解するのに必要な時間は、標準化された条件下で実施された試験方法によって、特定の基準時間内に投与剤1単位から放出される活性薬効物質の量の比率によって決定される。胃腸管内の生理液体が、溶解時間を決定する際の媒体である。当分野の現状において、医薬組成物に関する溶解時間を測定するための多くの良好な試験操作法が認められており、これらの試験操作法は世界中の薬局方の解説に記載されている。
【0005】慢性疼痛の治療におけるオピオイド鎮痛薬の使用を手引きする際の基本原則は、個々の患者の間で異なる、および同一患者内で変化する、オピオイドの必要量に合わせた、投与量の個別化である。疼痛治療の専門家は、タイトレーション(titration)の重要性を強調する。オピオイドのある投与量に対する各患者の応答における、この患者別の大きな差異により、特定の患者に対して適当な投与量を決定することが必要となる。オピオイド鎮痛薬に対する応答における患者別の差異には、多くの要因が関わっているが、1つの重要な要因は、代謝および薬物速度論における患者別の大きな変動に基づくものである。
【0006】最も効果的に適量決定されるオピオイド類は、長い(12〜72時間)、およびより変動しやすい半減期を有する鎮痛薬(例えばメサドン(methadone) 、レボルファノール(levorphanol) )に比較して、3〜5時間の比較的短い消失半減期を有するもの(例えば、モルヒネ(morphine)、ヒドロモルフォン(hydromorphone) 、オキシコドン(oxycodone) )である。半減期が短い方の薬物は、数日から一週間またはそれ以上ということではなく、約1日で定常状態濃度に到達する。定常状態においてのみ、一定の投与スケジュールにおける効能と副作用間のバランスが持続することを予測し得る。患者が投与開始後1日程度で大体定常状態になることが確実ならば、その投与量がこの場合適当であるかどうかをずっと迅速に評価することができる。
【0007】当業界で、1日1回用経口投与剤が開発され、市販されている。しかし、現在のところ、24時間持続放出性オピオイド鎮痛製剤は市販されていない。けれども、12時間持続放出性製剤での経験から、オピオイド鎮痛薬治療を受けようとする患者に適量決定するためには、非経口製剤、即時放出溶液または錠剤その他などの、即時放出性オピオイド鎮痛投与剤を使用する必要があるという、医療界における一般認識が導かれている。即時放出性オピオイド製剤を使用することによって、患者を好適な定常状態値に到達させた後にのみ、患者を持続放出性経口オピオイド製剤に移行させることができる。
【0008】したがって、一般医にとっては、同一の投与剤でオピオイド鎮痛治療を受ける患者の適量決定と、この患者の適量決定後の長期維持治療の両方に使用するために、好適な薬物速度論指標(例えば吸収特性)およびそれに伴う患者の薬力学上の応答(例えば疼痛の除去)を与える持続放出性オピオイド鎮痛製剤を利用できることが非常に望まれると思われる。これによって、上記のように、患者に対し、長期治療のための持続放出性投与剤に移行する前に、最初に即時放出性オピオイド投与剤を適量決定する必要がなくなる。好ましくは、患者に投与する薬剤が1日に1回だけになるように、持続放出性製剤の効力存続期間が約12時間よりも長いものがよい。好ましくは、持続放出性投与剤が約12時間以上の期間疼痛の除去効果を与えるだけでなく、これに加えて、オピオイド鎮痛治療を受ける患者に、同一の持続放出性投与剤を適量決定にも長期治療にも使用し得るような、薬物速度論的および薬力学的特性を与えるものがよい。
【0009】現在入手できる経口オピオイド鎮痛製剤の多くは、毎日4〜6時間毎に投与しなければならない。限られた2、3種のみがより頻度の少ない12時間投与用に製剤されている。
【0010】また、オピオイド鎮痛治療を受けようとする患者の適量決定に好適な吸収特性を与え、しかも少なくとも12時間の間鎮痛作用を与えるのに十分なオピオイド鎮痛薬を持続して放出するような薬物製剤を開発する必要がある。これによって、患者に最初、オピオイド鎮痛薬の即時放出性投与剤(例えば、非経口、経口、直腸内)で適量決定し、その後患者をオピオイド鎮痛薬の持続放出性製剤に移行させる必要がなくなる。
【0011】オピオイド鎮痛薬の始原型とされるモルヒネは、1日2回用の制御放出剤に製剤化されている(すなわち、Purdue Frederic Company から市販されている、MS Contin (登録商標)錠剤;および F.H.Faulding and Company から市販されている、Kapanol (登録商標);および Roxane から市販されている、以前にはRoxanol (登録商標)SR と称された Oramorph (登録商標)SR)。
【0012】悪影響率が高まることなく鎮痛作用が長期化された経口投与用オピオイド製剤は非常に望まれる。このようなオピオイド鎮痛薬の経口持続放出性製剤とは、生物学的利用能があり、経口投与したときに、約24時間またはそれ以上の鎮痛作用期間が得られるほどの、薬物の効果的な血中レベル(例えば血漿レベル)の定常状態が得られるものである。
【0013】発明の目的および要約したがって、本発明の目的は、1日1回投与に好適な、オピオイド鎮痛薬の経口投与薬剤によって、患者に激痛の緩和治療をするための方法を提供することである。
【0014】さらに別の本発明の目的は、好適なQ12H(12時間毎)鎮痛治療で得られる以上の鎮痛効果を与える1日1回用オピオイド鎮痛製剤によって、患者を治療するための方法を提供することである。
【0015】またさらに別の本発明の目的は、オピオイドを持続して放出させ、同時にオピオイド鎮痛治療を受ける患者に適量決定するのにも使用することができる、オピオイド鎮痛投与剤を提供することである。
【0016】上記およびその他の目的にともなって、本発明は、オピオイド鎮痛薬の24時間投与剤を提供するためには、投与時に強くはなくとも測定し得る痛みを有する患者の多くにおいて最少の鎮痛作用濃度にすみやかに到達させるための、初期に急速にオピオイドを放出する鎮痛剤を使用して、疼痛用の持続放出性製剤を作製することが重要であるという、驚くべき発見に、一部関連している。本発明の投与剤の独特な放出特性によって、オピオイド鎮痛治療を受ける患者に適量決定するための、本発明の一種類の投与剤を使用して、1日1回持続放出性経口投与用オピオイド製剤にオピオイド鎮痛薬の持続性放出をさせることが可能である。この製剤は、オピオイド鎮痛薬と、ヒト患者への経口投与後に少なくとも約24時間にわたり鎮痛効果を与えるのに効果的な速度でオピオイド鎮痛薬を放出させる有効量の少なくとも1種の遅延物質を含む。
【0017】本発明の製剤は、ヒトに投与したとき、1.5 〜約8時間の吸収半減期を示すことにより特徴づけられるオピオイドの血漿濃度を早期に急速に上昇させる。好適な実施態様において、本発明の1日1回用経口持続放出性製剤は2〜約4時間の吸収半減期を示す。
【0018】本発明はまた、持続放出性経口オピオイド製剤を使用して、ヒト患者に適量決定するための方法をも目指している。この方法の第一段階は、上記および以下の節に記載した、本発明の1日1回用経口持続放出性オピオイド製剤の単位用量を1日1回の基準でヒト患者に投与することからなっている。その後、この方法は、このヒト患者におけるその製剤により引き出された薬物速度論的および薬力学的パラメーターをモニターし、その薬物速度論的および/または薬力学的パラメーターが、その患者の反復治療に適しているか否かを判定するという、次の段階を含む。もしその薬物速度論的および/または薬力学的パラメーターが満足のゆくものでないと判定された場合には、異なる量のオピオイド鎮痛薬を含有する単位用量の持続放出性オピオイド鎮痛製剤を投与することによって、患者に投与するオピオイド鎮痛薬の用量を調節するか、または、この薬物速度論的および/または薬力学的パラメーターが適当であると考えられる場合には、単位用量中のオピオイド鎮痛薬の用量を先に投与した量に維持することによって、患者の適量決定を行なう。患者において適当な定常状態の薬物速度論的/薬力学的パラメーターが達成されるまで、オピオイド鎮痛薬の用量をさらに調節することによって、タイトレーションを続ける。その後、治療が終了するまで、経口持続放出性製剤中のオピオイド鎮痛薬のこの用量の投与を、1日1回の基準で続ける。
【0019】用語”生物学的利用能”は、本発明の意味としては、薬物(例えばオピオイド鎮痛薬)が単位投与剤から吸収される程度として定義される。
【0020】用語”持続放出”は、本発明の意味としては、約24時間またはそれ以上の期間にわたって、血液(例えば、血漿)中レベルが治療範囲にあって、しかも毒性レベルよりも低い範囲に維持されるような速度での薬物(例えば、オピオイド鎮痛薬)の放出として定義される。
【0021】オピオイド血漿濃度に関する用語”速やかな上昇速度”は、本発明の意味としては、製剤が約1.5 〜約8時間のT1/2 (abs)、すなわち吸収半減期を示すことを意味するものとして定義される。
【0022】用語T1/2 (abs)は、本発明の意味としては、吸収可能なオピオイドの用量の1/2が血漿に移動するのに必要な時間量として定義される。この値は、”見かけの”吸収半減期ではなく、”真の”値(消失過程の影響を考慮に入れる)として計算される。
【0023】用語”定常状態”は、ある薬物の血漿レベルが、その薬物について、治療効果のある最小またはそれ以上のレベルで最小血漿毒性レベルより低いレベルに達成し、そして続く薬物の投与に際してこのレベルが維持されることを意味する。オピオイド鎮痛薬に関しては、最少治療効果レベルは、当該患者において疼痛の除去が達成される量によって、部分的には決定される。疼痛の測定は極めて主観的なものであり、患者間で大きな個人差が生じ得ることは、医療分野での専門家にとって、よく理解できるはずである。
【0024】用語”維持治療”および”長期治療”は、本発明の意味としては、患者がオピオイド鎮痛薬について上記定義の定常状態となるように適量決定を受けた後、患者に施される薬物治療として定義される。
【0025】詳細な説明オピオイド鎮痛薬の定常状態投与時においても、大部分の患者は測定し得るかまたは有意の疼痛を有し続ける。制御放出オピオイド治療への当業界の現状での試みは、繰り返し投与に際して、ゼロオーダーの薬物速度論量を示し、そしてオピオイドレベルにおける極大から極小への変動が最小であるような製剤を提供することである。このゼロオーダー放出は、極めて遅いオピオイドの吸収と、時間に対し、大体において水平な血清濃度曲線を与えるものである。水平な血清濃度曲線は、効果は得られるが、オピオイド鎮痛薬に通常伴う副作用が最小となるような、効果において見掛け上定常状態レベルになったことになるので、一般的に都合がよいと考えられる。しかし、この方式によって持続放出性オピオイドを製剤すると、次のオピオイド経口投与を受ける時間に近ずいたとき、患者がしばしば相当程度の不快感を体験することがわかっている。
【0026】ここで、驚くべきことに、実質的に水平な血清濃度曲線は示さないが、その代わりにオピオイドのより速やかな早期放出を与え、そのため、投与時に強くはなくとも測定可能な疼痛を有する患者の多くにおいて、より速やかに最少鎮痛効果濃度に到達し得る、24時間経口オピオイド製剤によって、より急速でより大きな鎮痛効果が得られることが発見された。オピオイド経口鎮痛薬の定常状態投与においても、大部分の患者は測定可能なまたは強い疼痛を有し続けてきたことがわかっているので、ここで開示される経口オピオイド治療の新規な手段での治療は極めて効果的であると思われる。本発明の方法はより急速で大きな鎮痛効果が得られるのに、より高い血漿濃度ピークが見られる場合に普通は予測される副作用の影響があまり大きくはないという事実もまた、驚くべきことで、予測しなかったことである。
【0027】オピオイド(例えばモルヒネ)鎮痛薬の効果的な血漿レベルを定義することは、極めて難しい。しかし、一般的には、ある特定のオピオイドについて、それ以下では鎮痛作用を与えない、血漿中の”最少の鎮痛効果濃度”(MEAC)がある。例えば血漿モルヒネレベルと鎮痛作用は間接的な関係であるけれども、血漿レベルがより高ければ、一般的により強い疼痛除去に結びつく。血漿オピオイドレベルのピーク時間と薬物効果のピーク時間との間にはラグタイムまたはヒステリシスがある。これはオピオイド鎮痛薬による疼痛治療に関して一般的にあてはまることである。
【0028】本発明の持続放出性1日1回用製剤は、この経口持続放出性製剤を絶食状態で(すなわち食物抜きで)投与した場合に、約1〜約8時間の吸収半減期を示すことにより特徴づけられるオピオイドの血漿濃度が、早期に速やかな上昇速度を示すように、設定されるという事実によって特徴づけられる。ある実施態様においては、吸収半減期は好ましくは約1〜約6時間であり、より好ましくは約1〜約3時間である。
【0029】本発明の製剤は、驚くほど速い薬物の血漿濃度のピークまでの時間(すなわちtmax)を有することによってもさらに特徴づけられるといえる。本発明の持続放出性製剤のtmaxは約2〜約10時間程度となりうる。ある好適な実施態様においては、これらの製剤によって与えられるtmaxは約4〜約9時間程度でありうる。
【0030】本発明の24時間オピオイド経口持続放出性製剤の投与により、鎮静化、呼吸速度、瞳孔径、および/または各処置(すなわち経口投与剤の投与)後、継続して被験者によって回答されるオピオイド効果の質問からの総合得点などの、ある種の薬効の到達点が、血漿濃度曲線の早期の間(例えば経口投与後4〜8時間)ずっと強いことが示される。疼痛強度の差異(SPID)と総合疼痛除去(TOTPAR)の合計などの鎮痛効果の他の尺度は、本発明の請求範囲の方法によると、すべてにおいてより高い得点を与え、また一方において、多くの場合、それに伴った悪影響(一般に、主として軽度または中度の傾眠、吐気および/またはめまい)もまたより少ない。
【0031】本発明において使用することができるオピオイド鎮痛薬化合物には以下の物質が含まれる;アルフェンタニル(alfentanil)、アリルプロジン(allylprosine)、アルファプロジン(alphaprodine)、アニレリジン(anileridine) 、ベンジルモルフィン(benzyl-morphine) 、ベジトラミド(bezitramide) 、ブプレノルフィン(buprenorphine)、ブトルファノール(butorphanol) 、クロニタゼン(clonitazene) 、コデイン(codeine) 、シクラゾシン(cyclazocine) 、デソモルヒネ(desomorphine)、デキストロモラミド(dextromoramide)、デゾシン(dezocine)、ジアンプロミド(di-ampromide)、ジヒドロコデイン(dihydrocodeine)、ジヒドロモルヒネ(dihydromorphine) 、ジメノキサドール(dimenoxadol) 、ジメフェプタノール(dimepheptanol) 、ジメチルチアンブテン(di-methylthiambutene)、ジオキサフェチルブチレート(dioxaohetylbutyrate)ジピパノン(dipipanone)、エプタゾシン(eptazocine)、エトヘプタジン(ethoheptazine) 、エチルメチルチアンブテン(ethylmethylthiambutene)、エチルモルヒネ(ethylmorphine) 、エトニタゼンフェンタニル(etonitazene fentanyl)、ヘロイン(heroin) 、ヒドロコドン(hydrocodone) 、ヒドロモルホン( hydromorphone)、ヒドロキシペチジン(hydroxypethidine)、イソメタドン(isomethadone)、ケトベミドン(ketobemidone)、レバロルファン(levallorphane)、レボルファノール(levorphanol)、レボフェナシルモルファン(levophenacylmorphane)、ロフェンタニル(lofentanil)、メペリジン(meperidine)、メプタジノール(meptazinol) 、メタゾシン(metazocine)、メタドン(methadone) 、メトポン(metopon) 、モルヒネ(morphine)、ミロフィン(myrophine)、ナルブフィン(nalbuphine)、ナルセイン(narceine)、ニコモルヒネ(nicomorphine)、ノルレボルファノール(nor-levorphanol) 、ノルメタドン(normethadone)、ナロルフィン(nalorphine)、ノルモルヒネ(normorphine) 、ノルピパノン(norpipanone) 、オピウム(opium) 、オキシコドン(oxycodone) 、オキシモルフォン(oxymorphone)、パパベレタム(papaveretum)、ペンタゾシン(pentazocine)、フェナドキソン(phenadoxone)、フェノモルファン(phenomorphan)、フェナゾシン(phenazocine)、フェノペリジン(phenoperidine)、ピミノジン(piminodine)、ピリトラミド(piritramide)、プロフェプタジン(propheptazine)、プロメドール(promedol)、プロペリジン(properidine)、プロピラム(propiram)、プロポキシフェン(propoxyphene)、スフェンタニル(sufentanil)、トラマドール(tramadol)、チリジン(tilidine) 、これらの塩類、前記のいずれかの混合物、ミューアゴニスト/アンタゴニストの混合物、ミューアゴニストの組合せ、およびこれらに類するもの。オピオイド鎮痛薬は遊離塩基、塩、複合体その他の形態でよい。いくつかの好ましい実施態様において、オピオイド鎮痛薬は、ヒドロモルホン、オキシコドン、ジヒドロコデイン、コデイン、ジヒドロモルヒネ、モルヒネ、ブプレノルヒネ、前記のいずれかの塩、および前記のいずれかの混合物からなる群から選択される。
【0032】ある好ましい実施態様において、本発明の持続放出性オピオイド経口投与剤は、治療薬効成分として、ヒドロモルホン塩酸塩約4〜約64 mg の量のヒドロモルホンを含有する。別の好ましい実施態様において、オピオイド鎮痛薬はモルヒネを含み、本発明の持続放出性経口投与剤は重量約 5 mg 〜約800 mgのモルヒネを含有する。あるいはまた、投与剤が他のヒドロモルホンまたはモルヒネの塩または塩基の同モル量を含有してもよい。オピオイドがモルヒネであるいくつかの好ましい実施態様において、モルヒネ硫酸塩用量 30 mgとした場合、最大血漿濃度は約 2 ng/ml〜約 14 ng/ml であり、好ましくは約 3 ng/ml〜約 8 ng/mlである。別の好ましい実施態様において、オピオイド鎮痛薬はオキシコドンを含み、本発明の持続放出性経口投与剤はオキシコドン約 5 mg〜約400 mgを含有する。その他の好ましい実施態様において、投与剤は実質的に同等の治療効果を与えるのに適当な量のその他のオピオイド鎮痛薬を含有する。
【0033】本発明の持続放出性投与剤は、一般的に、オピオイド鎮痛薬の血中レベルが高い時によく伴われる吐気、嘔吐または眠気などの併発副作用の限度および/または程度が実質的に有意に増大することなく、治療レベルに到達し、それを維持する。また、本投与剤を使用することによって、薬物嗜癖の危険が減少することを示唆する証拠もある。さらに、好都合なことに、本発明の持続放出性投与剤はpH、例えば pH 1.6〜7.2、に無関係に、ある速度でオピオイド鎮痛薬を放出する。言い換えると、本発明の投与剤は、経口投与に際する”投与量のダンピング(dumping) ”を回避する。
【0034】本発明において、経口オピオイド鎮痛薬は、1日1回用法を可能にするため、鎮痛作用期間が長期化するように製剤された。驚くべきことに、これらの製剤は、従来の即時放出性薬剤と比較し得る一日の投与量において、薬剤の悪影響の程度が低くなり、また、疼痛の制御を維持しながら、従来の経口薬物よりも少ない1日当たりの量で投与できる。
【0035】本発明の持続放出性製剤に使用する遅延物質は当業界で既知の物質の1つでよく、アクリルポリマー、アルキルセルロース、セラック、ゼイン、水素化植物油、水素化ヒマシ油、および前記のいずれかの混合物が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0036】本発明のいくつかの好ましい実施態様において、持続放出性オピオイド投与剤は、活性成分を含む複数の支持体を含んでおり、これらの支持体が遅延物質を含む持続放出性コーティング剤でコーティングされる。本発明のコーティング剤は、強くてなめらかできれいな連続フィルムを形成し得るもので、着色料およびその他のコーティング添加剤を担持することができ、非毒性、不活性、そして非粘着性でなければならない。
【0037】本発明の持続放出性製剤は、目的とする治療薬効剤の持続性放出を獲得するために、ヒーズ、長球、微小球、シード、ペレット、イオン交換樹脂ビーズ、およびその他の多粒子系などの多粒子系とともに使用されてもよい。本発明にしたがって調製したビーズ、顆粒、長球またはペレットその他をカプセルに入れるかその他のいずれかの好適な単位投与剤にすることができる。
【0038】本発明中の支持体が不活性な薬理学的ビーズである場合は、この不活性な薬理学的ビーズは約 8メッシュ〜50メッシュである。いくつかの好ましい実施態様において、このビーズは、例えば nu pariel 18/20 ビーズである。
【0039】本発明のいくつかの好ましい実施態様において、持続放出性オピオイド投与製剤は、活性成分を含む複数の支持体を含み、これらの支持体が遅延物質を含む持続放出性コーティング剤でコーティングされる。本発明のコーティング剤は、強くてなめらかできれいな連続フィルムを形成し得るもので、着色料およびその他のコーティング添加剤を担持することができ、非毒性、不活性、そして非粘着性でなければならない。
【0040】本発明で述べるような長期間にわたって鎮痛効果を与えるのに十分なオピオイドの持続放出を得るためには、治療薬効剤を含む支持体を、重量が約2〜約30%増加するのに十分な量の疎水性物質でコーティングしてもよい。ただし、被覆は、使用する特定のオピオイド鎮痛薬化合物の物理的特性と目的とする放出速度によってとりわけ大きく左右されるものである。
【0041】本発明で述べるような長期間にわたって鎮痛効果を与えるのに十分なオピオイドの持続放出を得るためには、治療薬効剤を含む支持体を、重量が約2〜約30%増加するのに十分な量の遅延物質でコーティングしてもよい。ただし、被覆は、使用する特定のオピオイド鎮痛薬化合物の物理的特性と目的とする放出速度によってとりわけ大きく左右されるものである。
【0042】この遅延物質(典型的には疎水性である)のために使用される溶媒は、水、メタノール、エタノール、メチレンクロライドおよびこれらの混合物を含む、薬理学的に許容されるどんな溶媒でもよい。しかし、コーティングは疎水性物質の水性分散物を基礎とするものが好ましい。
【0043】本発明のいくつかの好ましい実施態様において、持続放出性コーティング剤を含む疎水性ポリマーは、薬理学的に許容されるアクリルポリマーで、以下の物質を含むがこれらに限定されるものではない;アクリル酸とメタクリル酸の共重合体、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミド共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸無水物)、メチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)共重合体、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレート共重合体およびグリシジルメタクリレート共重合体。
【0044】いくつかの好ましい実施態様において、このアクリルポリマーはアンモニオメタクリレート共重合体の1つまたはそれ以上からなっている。アンモニオメタクリレート共重合体は当業界でよく知られており、低割合の第4級アンモニウム基を含むアクリルおよびメタクリル酸エステルの完全に重合した共重合体として、NF XVIIに記載されている。
【0045】ある好ましい実施態様において、アクリルコーティング剤は、水性分散物の形態で使用するアクリル樹脂ラッカーで、例えばRohm Pharma から商品名 Eudragit (登録商標)で市販されているものがある。さらに好ましい実施態様において、アクリルコーティング剤は、Rohm Pharma からそれぞれ商品名 Eudragit (登録商標)RL 30 D および Eudragit (登録商標)RS 30 D で市販されている2種類のアクリル樹脂ラッカーの混合物を含む。
【0046】Eudragit(登録商標) RL 30 Dおよび Eudragit (登録商標)RS 30 D は低割合の第4級アンモニウム基を含むアクリルおよびメタクリル酸エステルの共重合体であり、中性のままの(メタ)アクリルエステルに対するアンモニウム基のモル比は、Eudragit(登録商標) RL 30 D においては1:20、および Eudragit(登録商標)RS 30 D においては1:40である。平均分子量はおよそ150,000 である。略号の区別 RL (高透過性)および RS (低透過性)はこれらの樹脂剤の透過性に関連するものである。
【0047】Eudragit(登録商標)RL/RS混合物は水および消化液に不溶性である。しかし、同一のもので形成されたコーティングは水性溶液および消化液中で膨張性があり、透過性がある。
【0048】本発明の Eudragit (登録商標)RL/RS分散物は、望ましい溶解特性を有する持続放出性製剤を最終的に得るために必要とされる、どんな割合でも混合することができる。例えば、100% Eudragit (登録商標)RL、50% Eudragit (登録商標)RLと50%Eudragit(登録商標)RS、および10% Eudragit (登録商標)RL:90% Eudragit(登録商標)RSから製造した遅延化コーティングによって、目的とする持続放出性製剤が得られる。もちろん、当業者であれば、例えば Eudragit (登録商標)L などの、他のアクリルポリマーを使用してもよいことを認識するであろう。
【0049】他の好ましい実施態様において、本発明の支持体をコーティングするのに使用し得る疎水性ポリマーは、エチルセルロースなどの疎水性アルキルセルロース物質である。当業者であれば、本発明の疎水性ポリマーコーティングに含まれるエチルセルロースの一部または全部を、他のアルキルセルロースポリマーを含む他のセルロースポリマーで置換してもよいことを察知するであろう。
【0050】市販のエチルセルロース水性分散物として、Aquacoat(登録商標)(FMC Corp.,Philadelphia,Pennsylvania,U.S.A.)がある。Aquacoat(登録商標)は、エチルセルロースを水に不混和性の有機溶媒中に溶解し、これを界面活性剤および安定剤の存在下で水中エマルジョン化することによって調製する。ホモジナイズによってサブミクロンの(submicron) 小滴を生成させた後、有機溶媒を真空蒸発させ、擬似ラテックスを形成させる。製造段階では擬似ラテックス中に可塑剤は加えられていない。したがって、これをコーティング剤として使用する前に、Aquacoat(登録商標)に好適な可塑剤をあらかじめ十分混合することが必要である。
【0051】別のエチルセルロース水性分散物が Surelease(登録商標)(Colorcon,Inc.,West Point,Pennsylvania,U.S.A.)として市販されている。この製品は、製造過程において、分散物中に可塑剤を加え入れることによって調製される。ポリマーの高温溶融物、可塑剤(ジブチルセバケート)および安定剤(オレイン酸)の均一混合物を調製し、その後アルカリ溶液で希釈して、直接支持体上に適用することができる、水性分散物を得る。
【0052】コーティング剤が疎水性ポリマーの水性分散物を含んでいる、本発明の実施態様において、疎水性ポリマーの水性分散物中に可塑剤の有効量を含有させると、フィルムの物理的性質がさらに改善されることになる。例えば、エチルセルロースは比較的高いガラス転移温度を有し、通常のコーティング条件下では、可とう性フィルムを形成しないので、エチルセルロースをコーティング物質として使用する前に可塑化する必要がある。一般に、コーティング溶液中に含まれる可塑剤の量は、フィルム形成剤の濃度に基づくもので、例えば、最も普通には、フィルム形成剤の約1〜約50重量%である。しかし、可塑剤の濃度は、特定のコーティング溶液および適用方法について、注意深く実験した後にのみ、正確に決めることができるものである。
【0053】エチルセルロース用の好適な可塑剤の例として、ジブチルセバケート、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、およびトリアセチンなどの水不溶性可塑剤が含まれる。ただし、他の水不溶性可塑剤(アセチル化モノグリセリド、フタル酸エステル、ヒマシ油その他など)を使用することも可能である。トリエチルシトレートが特に好ましい。
【0054】本発明のアクリルポリマー用の好適な可塑剤の例として、トリエチルシトレート NF XVI 、トリブチルシトレートなどのクエン酸エステルやジブチルフタレートが含まれるが、1,2−プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチルフタレート、ヒマシ油、およびトリアセチンも可能である。ただし、他の水不溶性可塑剤(アセチル化モノグリセリド、フタル酸エステル、ヒマシ油その他など)を使用することも可能である。トリエチルシトレートが特に好ましい。
【0055】本発明の製剤の持続放出特性を、例えば以下のような方法によって変更することができる;疎水性コーティングの厚さを変える;使用する特定の疎水性材料を変えるか、または例えば異種のアクリル樹脂ラッカーの割合を変える;可塑剤の添加方法を変える(例えば、持続放出性コーティングを疎水性ポリマーの水性分散物から形成させる場合);疎水性ポリマーに対する可塑剤の割合を変える;さらに別の成分または賦形剤を含有させる;製造方法を変える;その他。
【0056】オピオイドで被覆した、持続放出性長球またはビーズは、例えば水にオピオイド鎮痛薬を溶解し、それからこの溶液を Wurster挿入を使用して、支持体、例えば nu pariel 18/20ビーズ上に噴霧することによって、調製することができる。オピオイドが支持体に結合するのを助けるため、および/または溶液を着色するため、その他のため、ビーズをコーティングする前に、任意に別の成分も添加される。例えば、着色料を含むかまたは含まない、ヒドロキシプロピルメチルセルロースその他を含む製造物を溶液に添加し、ビーズに適用する前にこの溶液を混合する(例えば、約1時間)。形成された被覆支持体、この例ではビーズは、その後、治療薬効剤と疎水性持続放出性コーティングを分断するため、任意に障壁剤でオーバーコートされてもよい。好適な障壁剤の例はヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むものである。しかし、当分野で知られているどんなフィルム形成剤を使用してもよい。障壁剤は最終生成物の溶解率に影響しないものが望ましい。
【0057】その後、このHPMC保護された(任意)オピオイドのビーズを、好ましくは効果的な量の可塑剤を含む疎水性ポリマーでオーバーコートすることができる。
【0058】本発明のコーティング溶液は、好ましくは、フィルム形成剤、可塑剤、および溶媒系(すなわち水)に加えて、美化のためと生成物を識別するための着色剤を含有する。色素は、疎水性ポリマーの水性分散物にではなく、またはこれに添加すると共に、治療薬効剤の溶液に、添加してもよい。
【0059】可塑化された疎水性ポリマーの水性分散物を、当分野で知られた任意の好適な噴霧装置を使用して、噴霧によって、治療薬効剤を含む支持体上に適用することができる。好ましい方法として、Wurster 流動床系が使用される。この方法において、アクリルポリマーのコーティング剤が噴霧される間、下部から注入される空気の噴出によって、核物質が流動化され、乾燥作用を受ける。治療薬効剤の物理的性質、可塑剤の組み入れ方法、その他を考慮して、コーティングされた支持体が水性溶液、例えば胃液にさらされたときに、治療薬効剤のあらかじめ定めた持続放出を得るのに十分な量の疎水性ポリマーの水性分散物を、好適に適用する。疎水性ポリマーでコーティングした後、ビーズにOpadry(登録商標)などのフィルム形成剤によるさらなるオーバーコートを任意に適用する。このオーバーコートは、一部において、ビーズの凝集を実質的に減少させるためになされる。
【0060】次に、治療薬効剤の安定した放出速度を得るため、このコーティングされたビーズを硬化させる。
【0061】コーティング剤がエチルセルロースの水性分散物を含む場合、コーティングされた支持体は、好ましくは、ここに参考として引用する、米国特許第5,273,760号の記載にしたがって、コーティング溶液(すなわちエチルセルロース)のガラス転移温度よりも高い温度において、また硬化終点、例えば約60℃に達するまでは約60%〜約100%の相対湿度において、そして約48〜約72時間、約60%〜約100%の相対湿度において、硬化を行う。
【0062】アクリルコーティングを目指す、本発明の好ましい実施態様において、可塑化したアクリルポリマーのTgより高い温度で、必要な時間、コーティングされた支持体を加熱(oven)硬化させることによって、安定化した生成物を得る。このとき、特定の製剤に関する最適温度および時間は、実験で定められる。本発明のいくつかの実施態様において、ここに参考として引用する、米国特許第5,286,493 号の記載にしたがって、約45℃の温度で約24〜約48時間またはそれ以上の時間、加熱硬化することによって、安定化した生成物が得られる。
【0063】本発明の持続放出性製剤からの治療的に活性な薬剤の放出は、1種若しくはそれ以上の放出改変剤により、またはコーティングを介して1個若しくはそれ以上の経路を提供することにより、さらに影響し得る。すなわち所望の速さに調節できる。水溶性物質に対する疎水性ポリマーの割合は、他の因子のなかでも、必要な放出速度と選んだ材料の溶解性特性により決定される。
【0064】細孔の形成剤として機能する、放出改変剤は、有機または無機であってもよく、そして使用する環境においてコーティング剤から溶解され、抽出され、または濾過され得る物質を含む。細孔の形成剤は、1種またはそれ以上の、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような親水性ポリマーを含有できる。本発明の持続放出性被覆剤は、澱粉およびゴムのような侵食を促進する試薬もまた含むことができる。本発明の持続放出性被覆剤は、ポリマー鎖中に炭酸塩群が再出現する炭酸の線状ポリエステルを含むポリカーボネートのような、使用する環境で微小孔のある薄片を作りだすのに有用な物質もまた含むことができる。放出改変剤は半透性ポリマーもまた含有できる。ある好ましい実施態様では、放出改変剤は、ヒドロキプロピルメチルセルロース、ラクトース、金属ステアリン酸塩および前記の混合物から選ばれる。本発明の持続放出性コーティング剤は、少なくとも1つの経路、オリフィスまたは同様のものを含む出口の手段もまた含むことができる。経路は、米国特許第3,845,770 号; 第3,916,889 号; 第4,063,064 号; および第4,088,864 号( 全てを参照によりここに引用する) に開示されている方法により形成できる。経路は円形、三角形、四角形、楕円、不規則などのいずれの形もとることができる。
【0065】本発明の他の実施態様では、本発明は多微粒子持続放出性マトリックスを利用できる。持続放出性マトリックスに含まれる適切な材料は、(a) ゴム、セルロースエーテル、アクリル樹脂およびタンパク質由来物質の如き親水性ポリマー。これらのポリマーの中で、セルロースエーテル、特にヒドロキシアルキルセルロースおよびカルボキシアルキルセルロースが好ましい。経口剤形では1〜80重量% の少なくとも1種の親水性または疎水性のポリマーを含むことができる。
【0066】(b) 脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、鉱油および植物油並びにワックスの如き、消化可能な、長鎖(C8〜C50特にC12〜C40)、置換または非置換の炭化水素。25〜90℃の融点を有する炭化水素が好ましい。これらの長鎖の炭化水素物質の中で、脂肪(脂肪族) アルコールが好ましい。経口剤形では少なくとも1種の消化可能な長鎖の炭化水素を(重量で)60%まで含有できる。
【0067】(c) ポリアルキレングリコール。経口剤形では少なくとも1種のポリアクキレングリコールを60重量%まで含有できる。
【0068】例えば、適切なマトリックスは少なくとも1種の水溶性のヒドロキシアルキルセルロース、少なくとも1種のC12〜C36、好ましくはC14〜C22の脂肪族アルコール、および、場合により少なくとも1種のポリアルキレングリコールを含むものにできる。少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロースは、好ましくはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび特にヒドロキシエチルセルロースの如きヒドロキシ(C1〜C6) アルキルセルロースである。本経口剤形の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロースの量は、とりわけ、必要なオピオイド放出の正確な速度により決定されるであろう。少なくとも1種の脂肪族アルコールは、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコールまたはステアリルアルコールにできる。ある好ましい実施態様では、少なくとも1種の脂肪族アルコールはセチルアルコールまたはセトステアリルアルコールである。本経口剤形の少なくとも1種の脂肪族アルコールの量は、上記のように、必要なオピオイド放出の正確な速度により決定されるであろう。それはまた少なくとも1種のポリアルキレングリコールが経口剤形に存在するか存在しないかにも依存するであろう。少なくとも1種のポリアルキレングリコールが存在しない場合は、経口剤形は好ましくは20〜50重量%の少なくとも1種の脂肪族アルコールを含む。少なくとも1種のポリアルキレングリコールが経口剤形に存在している場合は、少なくとも1種の脂肪族アルコールおよび少なくとも1種のポリアルキレングリコールを合わせた量は好ましくは総用量の20〜50重量% を構成する。
【0069】1つの実施態様では、例えば、少なくとも1 種のヒドロキシアルキルセルロースまたはアクリル樹脂の、少なくとも1種の脂肪族アルコール/ポリアルキレングリコールに対する比により、かなりの程度、製剤からのオピオイドの放出速度が決定される。少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロースの、少なくとも1種の脂肪族アルコール/ポリアルキレングリコールに対する比は1:2 と1:4 との間が好ましく、1:3 と1:4 との間が特に好ましい。
【0070】少なくとも1種のポリアルキレングリコールは、例えばポリプロピレングリコールまたは好ましくはポリエチレングリコールにできる。少なくとも1種のポリアルキレングリコールの平均分子量は、好ましくは1000〜15000、特に1500〜12000である。
【0071】もう1つの適切な持続放出性マトリックスはアルキルセルロース( 特にエチルセルロース) 、C12〜C36脂肪族アルコールおよび場合によりポリアルキレングリコールを含有するであろう。
【0072】上記の成分に加えて、持続放出性マトリックスは適切な量の他の材料、例えば、製剤学の分野では慣用されている希釈剤、滑沢剤、結合剤、造粒補助剤、着色剤、香味剤およびグライダント(glidant) も含むことができる。
【0073】これらの持続放出性のマトリックスは、例えば、以下により製造できる:(a) 少なくとも1種の水溶性のヒドロキシアルキルセルロースおよびオピオイドまたはオピオイド塩を含有する顆粒を形成する、(b) 顆粒を含むヒドロキシアルキルセルロースを少なくとも1種のC12-C36 脂肪族アルコールと混合し、そして(c) 場合により、圧縮し、そして顆粒を成形する。好ましくは、水を用いるヒドロキシアルキルセルロース/オピオイドを湿潤造粒により顆粒を形成する。湿潤造粒工程中に添加する水の量は、例えば、オピオイドの乾燥重量の1.5〜5 倍、特に1.75〜3.5倍にできる。
【0074】さらに他の別の実施態様では、球状化剤は活性成分と共に球状化して回転楕円体を形成できる。微細含水ラクトースが、粉末層化技術により製造される硫酸モルヒネ持続放出性製剤に好ましく利用されるが、微結晶質セルロースが好ましい。適切な微結晶質セルロースは、例えば、Avicel PH 101 (登録商標、FMC 株式会社) として販売されている物質である。このような実施態様では、活性な成分および球状化試薬に加えて、回転楕円体は結合剤もまた含むことができる。粘性が低く水溶性ポリマーのような適切な結合剤は製剤学の当業者には公知であろう。しかしながら、ヒドロキシプロピルセルロースのような水溶性のヒドロキシ低級アルキルセルロースが好ましい。さらに(またはこれとは別に) 、回転楕円体は水不溶性ポリマー、メタクリル酸エチルアクリレートコポリマーまたはエチルセルロースの如き、特にアクリルポリマー、アクリルコポリマーを含むことができる。このような実施態様では、持続放出性コーティング剤は一般に、(a) ワックス、単独で、または脂肪アルコールと混合してのいずれかで; または(b) セラックまたはゼイン、のような水不溶性物質を含むであろう。
【0075】本発明の基質は溶融造粒技術により製造することもできる。このような状況では、微細に分割した形態のオピオイドを(これも微粒子形態である) 結合剤そして他の任意の不活性成分と組み合わせ、その後、例えば、高剪断混合機で混合物を機械によりペレット(顆粒、球体) を形成させることにより、混合物を球状にする。その後、ペレット(顆粒、球体) を、必要な大きさのペレットを得るために篩にかけることができる。結合物質は好ましくは微粒子形態で、そして約40℃以上の融点を有する。適切な結合物質は、例えば、水素化ひまし油、水素化植物油、他の水素化脂肪、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリドなどを含む。
【0076】本発明のある好ましい実施態様では、即時放出形態での有効量のオピオイドが、投与する24時間持続放出性一回量オピオイド製剤に含まれる。即時放出形態のオピオイドは、血液(例えば、血漿) 中のオピオイドの最大濃度に達する時間を短縮するのに有効な量が含まれている。このような実施態様では、即時放出形態の有効量のオピオイドにより本発明の基質をコーティングできる。例えば、製剤からの持続的なオピオイドの放出が制御放出コーティングによるものである場合は、即時放出層により制御放出コーティングの表面がオーバーコートされるであろう。一方、オピオイドが制御放出マトリックスに組み込まれている基質の表面上に、即時放出層をコーティングできる。オピオイドの有効一回量を含む多数の持続放出性基質(例えば、ペレット、球体、ビーズなどを含む多微粒子系) が硬質ゼラチンカプセルに組み込まれている場合は、オピオイド用量の即時放出部分を、カプセル内の粉末または顆粒として十分量の即時放出オピオイドを含有させることにより、ゼラチンカプセルに組み込むことができる。これとは別に、ゼラチンカプセル自体をオピオイドの即時放出層でコーティングできる。当業者はさらにオピオイドの即時放出部分を一回量に組み込む他の別法に気がつくであろう。このような別法は、添付された請求の範囲により包括されるものとみなす。このような有効量の即時放出オピオイドを一回量に含むことにより、患者の比較的高度の苦痛体験が有意に減少されることが見いだされた。
【0077】剤形は上記の方法のいずれかと一致する剤形を調製するか、または製剤学の分野の当業者に既知の他の方法により提供できる。 上記に加えて、持続放出性オピオイド製剤は錠剤としても製造できる。このような例では、錠剤はオピオイドおよび遅延物質に加えて、製剤学の分野で慣用されている適切な量の他の物質、例えば、希釈剤、潤滑剤、結合剤、造粒補助剤、着色剤、香味剤およびグライダントを所望により微粒子の約50重量% までの量を含むことができる。経口剤形を製剤するために使用できる製剤学的に許容しうる担体および賦形剤の特定の例は、製剤学的賦形剤の便覧(Handbook of Pharmaceutical Excipients) 、AmericanPharmaceutical Association (1986)に記載されており、参照によりここに引用する。固体経口剤形を製造するための技術および組成物は、製剤学的剤形: 錠剤(Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets)(Lieberman, Lachman and Schwartz,editors) Second Edition, published by Marcel Delker, Inc. に記載されており、参照によりここに引用する。錠剤(圧縮および成形) 、カプセル(硬質および軟質ゼラチン) および丸剤の製造のための技術および組成物もまたレミングトンの製剤学科学(Remington's Pharmaceutical Science)(Arthur Osol, editor), 1553-1593(1980)に記載されており、参照によりここに引用する。
【0078】本発明の持続放出性オピオイド製剤を用いてヒト患者をタイトレーションするために、投薬間隔の過程にわたって多数の血液試料を患者から採取する。その後、このようにして得られた試料を試験し、オピオイド鎮痛剤の血漿レベル、およびそれらの活性な代謝物を測定する。その後、このようにして得られた値を利用して別の薬物速度論的パラメーターを測定できる。患者が十分な薬効反応を前記の剤形で得ているかどうかの決定は、例えば、予備測定した血液値との参照、患者に与えた主観的痛感試験の結果、患者の薬物の副作用のプロフィールなどによりなされるであろう。その後、用量をより高く、またはより低く調節することが必要であるかどうかを決定できる。
【0079】持続放出性単位製剤の投与を、持続放出性製剤での十分な薬効反応を維持するために、一回量の投薬間隔で続ける。好ましくは、十分な薬効反応が約12〜約24時間、最も好ましくは約24時間またはそれ以上持続するであろう。
【0080】持続放出性単位製剤の投与を、前記の持続放出性製剤での前記の十分な薬効反応を維持するために、一回量の投与間隔で続ける。
【0081】必要であれば、上記の工程を、持続放出性単位製剤により十分な薬効反応が測定されるまで繰り返す。
【0082】上記の方法に従って、持続放出性オピオイド鎮痛製剤を用いて患者のタイトレーションを測定できる。その後の維持治療を、同様の持続放出性製剤を用いて提供できる。
【0083】好ましい実施態様の詳細な説明以下の実施例は本発明の種々の態様を説明するものである。特許請求の範囲をいかようにも制限するものではない。
【0084】実施例 1〜2実施例1において、Eudragit(登録商標) RSを含む5% W/W持続放出性コーティングの硫酸モルヒネ持続放出性ビーズを、10% 即時放出硫酸モルヒネオーバーコートを含めて製造した。実施例2では、Eudragit(登録商標) RSを含む8%W/W 持続放出性コーティングの硫酸モルヒネ持続放出性ビーズを、10% 即時放出硫酸モルヒネオーバーコートを含めて製造した。
【0085】硫酸モルヒネビーズをまず、ロータープロセシング(rotor processing)技術を使用して製造した。持続放出性コーティングを施す硫酸モルヒネビーズの製剤を以下の表1に示す。
【0086】
【表1】

【0087】その後、持続放出性コーティングを硫酸モルヒネビーズに施した。実施例1および2の持続放出性コーティングの製剤を以下の表2に示す。
【0088】
【表2】

【0089】持続放出性コーティングを以下の通りに製造した。Eudragit RS30Dをクエン酸トリエチルおよびタルクを用いて約30分間可塑化した。多量の硫酸モルヒネビーズを、1.2 mmの噴霧ノズルを装備したGlattaのWurster Insertに装入し、そしてビーズを実施例 1および2 でそれぞれ5%および8%の重量増加までコーティングした。その後、最終保護Opadry分散オーバーコートをWurster Insert中で施した。完了後、ビーズを45℃の乾燥炉中で2 日間硬化した。その後、硬化ビーズを30 mg の強度でゼラチンカプセルに充填した。
【0090】溶解試験を、ゼラチンカプセルについてU.S.P.装置(Apparatus) II (パドル(Paddle)法) により実施した。カプセルを最初の1時間100 rpm 37℃で類似胃液(酵素不含) 700 ml中に入れ、そして最初の1時間の後に、類似胃液( 酵素不含)900ml 中に入れた。実施例1および2における時間に関しての溶解した硫酸モルヒネの割合の結果を以下の表3に示す:【0091】
【表3】

【0092】実施例1〜2の臨床評価10人の正常で健康な男子被験者を、四様式の無作為の、単回投与、クロスオーバー薬物速度論的/薬力学的研究に登録し、同一の製品およびモルヒネ CR 30 mgの錠剤(MS Contin(登録商標))と比較して、それぞれ絶食状態で、血漿モルヒネ濃度と薬力学的のパラメーターを使用して、実施例1の薬物速度論的/薬力学的プロフィールに対する食物の影響を特徴づけした。実施例2とモルヒネ制御放出30 mg錠剤 (MS Contin(登録商標))との比較も実施した。血漿モルヒネ濃度を、以下を含む薬物速度論的パラメーターの計算に使用した: (a) 吸収および消失速度; (b) 曲線下面積(AUC); (C) 最大血漿濃度 (Cmax); (d)最大血漿濃度までの時間 (Tmax); (e) T1/2 (消失) 。モルヒネの血漿濃度と比較した薬力学的効果を以下の薬力学的パラメーターから得られたデータから記載する: 生理的気分、鎮静作用、呼吸速度、瞳孔測定および間接質問票。
臨床実験評価血液試料を、血液学( ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球計算、鑑別白血球計算、血小板計算) および血液化学分析( カルシウム、無機リン酸塩、尿酸、総タンパク質、アルブミン、コレステロール、アルカリホスファターゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH) 、総ビリルビン、血清グルタミン酸- オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)、血清グルタミン酸- ピルビン酸トランスアミナーゼ (SGPT) 、絶食血中グルコース、血中尿素窒素(BUN) 、血清クレアチン事前および事後(72 時間) 実験(すなわち、第4相投薬の72時間後) のために採血した。尿検体を、尿検査(比重、グルコース、アルブミン、胆汁、pH, アセトン、鏡検試験、事前および事後(72 時間) 研究(すなわち、第4相投薬の72時間後)のために採取した。禁制の薬物のための予備試験尿検査をスクリーニング過程中および該薬物の各投与の投与直前( 第1相から第4相までの一日目) に実施した。
【0093】血漿モルヒネ濃度を、投薬の直前(0時間) およびその後、各投薬後0.5 、1 、2 、2.5 、3 、3.5 、4 、5 、6 、8 、10、12、18、24、36、48および72時間後に採血した血液試料から測定した。それぞれ約10 ml の血液試料を抗凝固剤であるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)溶液を含有している管に入れた。遠心分離後、血漿を2 本の5mlのラベルを付けたポリプロピレンの管に分注し、−20℃で凍結した。試料の片方を2 日間凍結しておくのに十分なドライアイス中で指名の分析研究所に輸送し、そしてもう一方を予備として実験場所で凍結して保有した。
薬力学的測定以下の薬力学的パラメーターの測定を基準として採血の直前(投薬前30分以内)およびその後、各投薬の0.5 、1 、2 、2.5 、3 、3.5 、4 、5 、6 、8 、10、12、18、24、36、48および72時間後に実施した。
【0094】生理的気分(被験者日誌票の可視的アナログスケール(VAS) により測定) −採血の10分前。VAS は一端を最悪の気分(Worst Mood)に、そして他端を最良の気分(Best Mood) に設定した。
【0095】鎮静作用(被験者日誌票のVAS により測定) −採血の10分前。VAS は一端を睡眠(Asleep)に、そして他端を覚醒(Awake) に設定した。
【0096】呼吸速度(1分間当たりの呼吸) −採血の5分以内。(データを被験者日誌票に記録した)瞳孔の径−瞳孔計により測定−採血の5分以内。全期間において左眼のみ測定した。(データを被験者日誌票に記録した)図1は実施例1(絶食) の時間に対する平均鎮静曲線をグラフに表したものである。図2は実施例2(絶食) の時間に対する平均鎮静曲線をグラフに表したものである。図3は実施例1(絶食) の時間に対する平均呼吸速度曲線をグラフに表したものである。図4は実施例2(絶食) の時間に対する平均呼吸速度曲線をグラフに表したものである。
【0097】血漿モルヒネ濃度を高性能液体クロマトグラフィーにより測定した。個々の時間に対する血漿モルヒネ濃度から計算した算術平均 Cmax 、Tmax 、AUC 、半減期および経口生物学的利用能を以下の表4および表5に示した:【0098】
【表4】

【0099】
【表5】

【0100】* MS Contin(登録商標) と比較して、統計的に有意( p <.0500)(未変換データに基づく)F0 (%)=経口生物学的利用能( 試験薬の最小自乗平均/ 対照の最小自乗平均)表6は MS Contin(登録商標) 並びに実施例1および2の投薬後の平均(±S.D.) 血漿モルヒネ濃度(ng/ml) を提供する。
【0101】
【表6】

【0102】表7は MS Contin(登録商標) および実施例1〜2の投薬後の平均(±S.D.) 薬物速度論的パラメーターを提供する。
【0103】
【表7】

【0104】実施例1(絶食) と MS Contin(登録商標)(絶食) とを比較すると、Cmaxに統計的な有意差が見られた。Tmax、AUC(0,72)、AUC(0,00) およびT1/2 (elim) またはT1/2 (abs) では2つの処置の間で統計的な有意差はなかった。すべての薬物速度論的パラメーターの90% 信頼区間は80〜120%信頼限界からはみ出していた。
【0105】実施例1(摂食) と MS Contin(登録商標)(絶食) とを比較すると、Cmax に統計的に有意な差が見られた。Tmax、AUC (0,72)、AUC (0,00)およびT1/2(elim)またはT1/2 (abs) では2つの処置の間で統計的に有意な差はなかった。すべての薬物速度論的パラメーターの90% 信頼区間は80〜120%信頼限界からはみ出していた。
【0106】実施例1の摂食状態と絶食状態とを比較すると、Cmax、Tmax、AUC (0,72)、AUC (0,00)およびT1/2 (elim) またはT1/2 (abs) において統計的に有意な差はなかった。すべての薬物速度論的パラメーターの90% 信頼区間は80〜120%信頼限界からはみ出していた。
【0107】実施例1の吸収に対する摂食の影響はより大きな Cmaxおよび延長したTmaxおよびT1/2 (abs) の値により特徴付けられる。しかしながら、吸収の程度 (AUCを基にして) は絶食および摂食状態では3%以下の差であった。
【0108】実施例2(絶食) を MS Contin(登録商標)(絶食) と比較すると、Cmax、Tmax、AUC (0,72)、AUC (0,00)およびT1/2 (elim) に統計的に有意な差が見られた。2つの処置の間でT1/2 (abs)には統計的に有意な差がなかった。すべての薬物速度論的パラメーターの90% 信頼区間は80〜120%信頼限界からはみ出していた。
【0109】90%信頼区間分析に基づくと、絶食または摂食状態での実施例1も実施例2のビーズも MS Contin(登録商標) 錠剤と同等ではなかった。しかしながら、いずれの試験的な制御放出モルヒネ製剤も MS Contin(登録商標) 錠剤と生物学的同等製剤ではなかったが、両者とも、比較的低いCmax及び延長した Tmaxおよび明白なT1/2 (elim)値を提供した。
【0110】各被験者および処置のlog変換濃度に対する各薬物力学的パラメーターの線形回帰は、R2値が20% またはそれ以上を有する240のうち48回帰(48/240; 20%) となり、そのうちの8(8/240; 3%)が50% またはそれ以上の値を有していた。処置のみで分析すると、すべてのR2値が10% 以下となった。これらの値により、薬物力学的測定とlog濃度との間の有意な線形関係は示されなかった。
【0111】平均ヒステリシス曲線を検討することにより、瞳孔の径とモルヒネの濃度との間に関係がある可能性が示唆された。 MS Contin(登録商標) および実施例1では、瞳孔の径はモルヒネの濃度が増加するにつれて減少し、その後、モルヒネの濃度が減少するにつれて増加する傾向があった。図 5は実施例 1(絶食) の時間に対する平均瞳孔径の曲線をグラフに表したものである。図 6は実施例2(絶食)の時間に対する平均瞳孔径の曲線をグラフに表したものである。モルヒネ濃度と他のいずれのパラメーターとの間にも関係は見いだされなかった。
【0112】2人の被験者(20%) により、 MS Contin(登録商標) の投与中に6種の副作用が報告された。3 人の被験者(30%) により、制御放出モルヒネビーズ(実施例1;絶食) の投与中に6種の副作用が報告された。以下の各処置群の1人の被験者により、1種の副作用が報告された: 実施例1(摂食) および実施例2(絶食) 。試験中に、理学的検査またはEKG 結果、臨床実験値またはバイタル・サイン(Vital sign)の測定での臨床的に重大な変化は生じなかった。
【0113】修正した特定薬物作用のアンケートアンケートはDrug Addiction I(Martin, W.R. 編集) pp. 197-258, Springer-Verlag, New York中の Jasinski, D.R. (1977) Assessment of the Abuse Potential of Morphine-Like Drugs (Methods Used in Man) 〔モルヒネ様薬物の濫用性の評価(ヒトに用いる方法)〕並びにDrug and Alcohol Dependence 27:7-17中の Preston, K.L., Jasinski, D.R.および Testa, M. (1991) Abuse Potential and Pharmacological Comparison of Tramadol and Morphine 〔トラマドールとモルヒネの濫用性および薬理学的比較〕において採用されたアンケートを修正したものであった。このアンケートは被験者と観察者によって評価される10の項目から成るものであった。これらの項目はアヘン剤−アゴニスト薬物の徴候に関係したもので、以下のとおりであった。
被験者への質問1.薬物のなんらかの作用を感じますか?
2.肌がかゆいですか?
3.リラックスしていますか?
4.眠いですか?
5.酔っていますか?
6.神経質になっていますか?
7.精力に満ちていますか?
8.話したいですか?
9.吐き気がありますか?
10. めまいがしますか?
被験者は、一端が「全然なし」、他端が「非常にある」により固定された100-mmVASに沿って縦印をつけることにより各質問に答えた。
観察者への質問1.被験者はなんらかの薬物作用を示していますか?
2.被験者は肌をかいていますか?
3.被験者はリラックスしていますか?
4.被験者は酔っていますか?
5.被験者は神経質になっていますか?
6.被験者は話をしていますか?
7.被験者は吐いていますか?
8.被験者は混乱していますか?
9.被験者は落ち着きがないですか?
10. 被験者は汗をかいていますか?
観察者は、一端が「全然なし」、他端が「非常にある」により固定された100-mmVASに沿って縦印をつけることにより各質問に答えた。図7は、実施例1(絶食)についての平均被験者アンケート対時間曲線をグラフにより表したものである。図8は、実施例2(絶食)についての平均被験者アンケート対時間曲線をグラフにより表したものである。
副作用体験直接質問した際に自発的に報告されたり誘導された副作用の体験を記録し、容認される場合は、すぐに主だった研究者が検討して、重症度、持続期間および中和措置の開始を決定した。被験者は基線状態に戻るまで監視されることになっていた。
分析血漿モルヒネの分析は高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を使って実施した。測定限界は0.5ng/mLであった。付録Vは血漿モルヒネの分析記録を含んでいる。
【0114】統計的および薬物測定的方法パラメーター各被験者および処置から集めた連続血漿モルヒネ値は、その系列のすべての数値からゼロ時間値を差し引くことによりゼロ時間値に関して補正した。
【0115】ゼロ時間値が最低アッセイ感度を越えた連続データセットは、上記のように、データ解析に受け入れがたいと考えた。基線補正を行った血漿濃度を用いて、それぞれの被験者および処置について次のパラメーターを概算した。
【0116】Cmax(ng/ml)−最大観察血漿モルヒネ値;
max (hours )−投薬時間に対するCmax の発生時間;
1/2 (elim; hours )−T1/2 elim)−0.693/Ke〔ここでKe は SAS Release 6.07 (SAS Institute, Cary, NC)中のPROC NLIN により計算した最終一次見掛け排出速度定数である〕に従って計算した血漿モルヒネ排出の見掛け半減期;
1/2 (abs; hours)−T1/2(abs)−0.693/Kaに従って計算した吸収の見掛け半減期。
【0117】図9は、実施例1(摂食、絶食)および実施例2(絶食)のカプセルと比べたときの、比較例(MS Contin 30mg)(絶食)により得られた平均血漿モルヒネ濃度−時間プロフィールをグラフにより表したものである。
【0118】上記の結果から、実施例1の製剤は、実施例2の製剤と比べて、より早期により高いCmax に達するが、モルヒネの吸収度はやや低いことがわかる。鎮静、呼吸速度、瞳孔の大きさに関する時間−作用データの視覚的検討、並びにそれぞれの処置後に連続して被験者により記録されたアンケートのスコアの合計からは、時間−作用曲線の早期(例えば4〜8時間)における各薬力学的終点の強度がより大きいことが明らかである。
【0119】実施例3硫酸モルヒネの比較的高い負荷を有するビーズは Glatt Rotor Processorで粉末重層法を用いて製造した。高負荷ビーズの処方を下記の表8に示す。
【0120】
【表8】

【0121】持続放出性コーティングはアクリルポリマー(すなわち、Eudragit(登録商標) RL)を含むものであった。安定性をさらに高めるために、Eudragit層とモルヒネ即時放出層の間にHPMC保護コートも加えた。実施例3の持続放出性コーティングの処方を下記の表9に示す。
【0122】
【表9】

【0123】持続放出性コーティングと即時放出性コーティングは次のようにして被覆した。Eudragit RL 30D をクエン酸トリエチルおよびタルクで約30分間可塑化した。1.2mmのスプレーノズルを備えた Glattの Wurster Insert に1回量の硫酸モルヒネビーズを入れ、5%の重量増加となるまでビーズをコーティングした。次に、Wurster Insertで最終保護Opadry分散体オーバーコートを施した。完了時に、45℃の乾燥オーブン内で2日間ビーズを硬化させた。その後、硬化ビーズを30mgの含量でゼラチンカプセルに充填した。
【0124】次に、これらのカプセルを溶解試験に付した。溶解試験は USP Apparatus II(Paddle法)を用いて完成品に対して実施した。カプセルを最初の1時間は100rpm、37℃で700mlの擬似胃液(酵素不含)の中に入れ、その後900mlの擬似腸液(酵素不含)に入れた。溶解試験の結果を下記の表10に示す。
【0125】
【表10】

【0126】実施例3の臨床評価13人の正常で健康な男性被験者が、実施例3の1回30mg量(カプセル)の薬物速度論並びに薬力学に及ぼす食物の影響を調べる5通りのクロスオーバー、ランダム化、オープンラベル実験に登録した。これらの摂食および絶食被験者における持続放出性製剤の薬物速度論的並びに薬力学的結果はまた、絶食被験者におけるMS Contin(登録商標)30mg 錠剤の結果と比較された。血漿モルヒネ濃度を用いて次の薬物速度論的パラメーターを計算した:(a)見掛けの吸収および排出速度、(b)曲線下面積(area-under-the-curve: AUC)、(c)最大血漿濃度(Cmax )、(d)最大血漿濃度に対する時間(Tmax )、(e)T1/2 (abs) および(f)T1/2 (elim)。薬力学的作用は気分、鎮静、呼吸速度、瞳孔測定および被験者の付随的アンケートの評価により判定した。
【0127】血漿モルヒネ濃度は高性能液体クロマトグラフィー法により測定した。すべての被験者がこの実験を終えて、生体薬物学的分析に加わった。個々の血漿モルヒネ濃度−時間から算出した算術平均Cmax 、Tmax 、AUC、半減期、並びに経口生物学的利用能のデータを下記の表11および12に示す。
【0128】
【表11】

【0129】
【表12】

【0130】表13は、MS Contin(登録商標)および実施例3を投与した後の平均(±SD)血漿モルヒネ濃度(ng/ml)を示す。
【0131】
【表13】

【0132】表14は、MS Contin(登録商標)および実施例3を投与した後の平均(±SD)薬物速度論的パラメーターを示す。
【0133】
【表14】

【0134】摂食および絶食条件下で投与した実施例3の30mgカプセルの最小自乗法による平均AUCの比は、摂食条件下のAUC値が絶食条件下のAUC値の±20%以内であることを示す。Cmaxの値は摂食条件下において64%大きかった。摂食条件下のTmax の値は絶食条件下で投与した時のほぼ50%であった。見掛け吸収速度は摂食条件下で約35%大きく、そして摂食条件下の見掛け排出速度は絶食条件下のそれの約35%であり、このことはモルヒネの吸収が食物の存在によって遅くなり、排出速度が高まることを示している。
【0135】実施例3の30mgカプセルとMS Contin(登録商標)30mg錠剤の最小自乗法による平均AUCの比は、実施例3のAUC(0,72)値が MS Contin(登録商標)のそれの±20%以内であり、AUC(0,00)値が実施例3の場合に44%大きいことを示す。実施例3のCmax の値は MS Contin(登録商標)のそれの29.5%であった。摂食条件下のTmax の値は実施例3のそれの5倍以上であった。実施例3の見掛け吸収速度は約91%大きく、そして実施例3の見掛け排出速度は MS Contin(登録商標)のそれの16倍以上であり、このことはモルヒネの吸収および排出が実施例3の場合により遅いことを示している。
【0136】それぞれの被験者および処置についてのlog変換濃度に対する各薬力学的パラメーターの直線回帰の結果から、315の回帰のうち74(24%)が20%以上のR2値を有し、315のうち12(4%)が50%以上の値を有していた。処置のみで分析した場合、10%より高いR2値はゼロであった。20%以上の各R2値に関しては、log濃度に対する被験者のMSDEQ〔Modified Specific Drug Effect Questionnaire (修正特定薬物作用アンケート)〕スコアの63の回帰のうち21(33%)に見いだされ、そして63のうち7(11%)が50%以上であった。これらの値は、log濃度と被験者のMSDEQスコアの間の可能な直線関係を示している。また、平均ヒステリシス曲線の検討からも、モルヒネ濃度と被験者のMSDEQスコアの間に存在しうる関係が明らかである。それぞれの製剤について、被験者のMSDEQスコアはモルヒネ濃度の上昇とともに増加し、その後モルヒネ濃度が低下するにつれて減少する傾向があった。モルヒネ濃度とその他の薬力学的パラメーターの間には何の関係も観察されなかった。
【0137】図10は、実施例3(摂食、絶食)のカプセルと比較したときの、比較例(MSContin 30 mg)(絶食)により得られた平均モルヒネ濃度−時間のプロフィールをグラフで表してある。図11は、実施例3(絶食)についての平均鎮静対時間曲線をグラフにより表してある。図12は、実施例3(絶食)についての平均呼吸速度対時間曲線を示すグラフである。図13は、実施例3(絶食)についての平均瞳孔寸法対時間曲線を示すグラフである。図14は、実施例2(絶食)についての平均被験者MSDEQ対時間曲線を示すグラフである。
【0138】実施例4硫酸モルヒネの比較的高い負荷を有するビーズは Glatt Rotor Processorで粉末重層法を用いて製造した。高負荷ビーズの処方を下記の表15に示す。
【0139】
【表15】

【0140】これらの即時放出性基体ビーズは Glatt Rotor Processorで粉末重層法を用いて製造した。
【0141】持続放出性コーティングはエチルセルロースアクリルポリマー(すなわち、Aquacoat ECD 30 )を含むものであった。安定性をさらに高めるために、Aquacoat層の後にHPMC保護コートも含めた。実施例4の持続放出性コーティングの処方を下記の表16に示す。
【0142】
【表16】

【0143】持続放出性コーティングと最終オーバーコートは次のようにして被覆した。Aquacoat ECD 30 とMethocel E5 Premium の混合物をクエン酸トリエチルで約30分間可塑化した。1.2mmのスプレーノズルを備えた Glattの Wurster Insert に1回量の硫酸モルヒネビーズを入れ、25%の重量増加となるまでビーズをコーティングした。遅延コーティングの完了時に、60℃/80%RHの温度/湿度チャンバーに入れてビーズを3日間硬化させた。その後、硬化ビーズを60℃の乾燥オーブン内で1日乾燥させた。乾燥した硬化ビーズを1.2mmのスプレーノズルを備えた Glattの Wurster Insert に入れ、最終保護Opadry分散体オーバーコートを施した。完成した持続放出性ビーズは低負荷即時放出性硫酸モルヒネビーズとともに60mgの合計含量で同一のゼラチンカプセルに個々に充填した。持続放出性ビーズは90%つまり54mgのカプセル含量を占め、そして即時放出性ビーズが10%つまり6mgのカプセル含量を占めていた。
【0144】次に、これらのカプセルを溶解試験に付した。溶解試験は USP Apparatus II(Paddle法)を用いて完成品に対して実施した。カプセルを最初の1時間は100rpm、37℃で700mlの擬似胃液(酵素不含)の中に入れ、その後900mlの擬似腸液(酵素不含)に入れた。溶解試験の結果を下記の表17に示す。
【0145】
【表17】

【0146】実施例5硫酸モルヒネの比較的高い負荷を有するビーズは Glatt Rotor Processorで粉末重層法を用いて製造した。高負荷ビーズの処方を下記の表18に示す。
【0147】持続放出性コーティングはアクリルポリマー(すなわち、Eudragit(登録商標) RS/RL)を含むものであった。安定性をさらに高めるために、Eudragit層の後にHPMC保護コーティングも含めた。実施例5の持続放出性コーティングの処方を下記の表18に示す。
【0148】
【表18】

【0149】持続放出性コーティングと最終コーティングは次のようにして被覆した。Eudragit RS/RL 30Dをクエン酸トリエチルおよびタルクで約30分間可塑化した。1.2mmのスプレーノズルを備えた Glattの Wurster Insert に1回量の硫酸モルヒネビーズを入れ、5%の重量増加となるまでビーズをコーティングした。次に、Wurster Insertで最終保護 Opadry 分散体オーバーコートを施した。完了時に、45℃の乾燥オーブン内で2日間ビーズを硬化させた。その後、硬化ビーズを60mgの含量でゼラチンカプセルに充填した。
【0150】次に、これらのカプセルを溶解試験に付した。溶解試験は USP Apparatus II(Paddle法)を用いて完成品に対して実施した。カプセルを最初の1時間は100rpm、37℃で700mlの擬似胃液(酵素不含)の中に入れ、その後900mlの擬似腸液(酵素不含)に入れた。溶解試験の結果を下記の表19に示す。
【0151】
【表19】

【0152】実施例6マトリックスビーズ硫酸モルヒネの比較的高い負荷を有するマトリックスビーズはGlatt Rotor Processor で粉末重層法を用いて製造した。高負荷マトリックスビーズの処方を下記の表20に示す。
【0153】
【表20】

【0154】マトリックス成分はエチルセルロースポリマー(すなわち、Aquacoat ECD 30)を含むものであった。安定性をさらに高めるために、Aquacoat層の後にHPMC保護コートも含めた。
【0155】マトリックスビーズは次のごとく製造した。Aquacoat ECD 30をクエン酸トリブチルで約30分間可塑化した。硫酸モルヒネ粉末とラクトースをホバートミキサーで約5分間ブレンドした。1回量の糖ビーズを1.2mmスプレーノズル/粉末供給アセンブリーを備えた Glattのローターインサートに入れた。スプレーノズル/粉末供給アセンブリーの上に精密粉末供給装置を配置し、硫酸モルヒネ/ラクトースブレンドを入れた。その後、結合剤として可塑化疎水性ポリマー分散体(すなわち、Aquacoat ECD 30とクエン酸トリブチル)を用いて糖ビーズに硫酸モルヒネ/ラクトースブレンドを重層した。重層法の完了後、最終保護Opadry分散体オーバーコートを施した。次に、60℃の乾燥オーブン内でビーズを1日硬化させた。最後に、硬化ビーズを60mgの含量でゼラチンカプセルに充填した。
【0156】次に、これらのカプセルを溶解試験に付した。溶解試験は USP Apparatus II(Paddle法)を用いて完成品に対して実施した。カプセルを最初の1時間は100rpm、37℃で700mlの擬似胃液(酵素不含)の中に入れ、その後900mlの擬似腸液(酵素不含)に入れた。溶解試験の結果を下記の表21に示す。
【0157】
【表21】

【0158】実施例4、5および6の臨床評価14人の正常で健康なヒト被験者が、食物の存在下または不在下で実施例1、2または3の1回量の薬物速度論および薬力学に及ぼす食物の影響を調べる6通りのクロスオーバー、ランダム化、オープンラベル実験に登録した。血漿サンプルのモルヒネ濃度を分析し、次の薬物速度論的結果を算出した。その結果を下記の表22に示す。
【0159】
【表22】

【0160】実施例7塩酸ヒドロモルホンの8mg1日1回カプセル薬物負荷ヒドロモルホンビーズを調製するにあたって、塩酸ヒドロモルホンを水に溶かし、Opadry Y-5-1442 を加え、約1時間混合して20w/w%懸濁液を得た。その後、この懸濁液を Wursterインサートを使って Nu-Pareil 18/20メッシュビーズにスプレーした。
【0161】第一のオーバーコートヒドロモルホン負荷ビーズを Wursterインサートを使って Opadry Light Pinkの5w/w%増量で被覆した。このオーバーコートは保護コーティングとして施した。
【0162】遅延コート第一のオーバーコートの被覆後、Eudragit RS 30D と Eudragit RL 30Dの遅延コーティング混合物(RS対RL、90:10)の5重量%増量でヒドロモルホンビーズを被覆した。Eudragit懸濁液にはクエン酸トリエチル(可塑剤)とタルク(粘着防止剤)も添加した。Wurster インサートを使ってこのコーティング懸濁液を施した。
【0163】第二のオーバーコート遅延コーティングの被覆が完了したら、ヒドロモルホンビーズを5重量%の増量となるまでWurster インサートを使って Opadry Light Pinkの最終オーバーコートで被覆した。このオーバーコートも保護コーティングとして施した。
【0164】硬化最終オーバーコートの被覆後、ヒドロモルホンビーズを45℃のオーブン内で2日間硬化させた。
【0165】カプセル封入ビーズは塩酸ヒドロモルホンの8mg含量でサイズ#2透明ゼラチンカプセルに手で充填した。
【0166】実施例7の処方を下記の表23に示す。
【0167】
【表23】

【0168】溶解試験上記のカプセルをUSPの方法論を用いて試験し、次の結果を有することがわかった。
【0169】
時間 開始1時間 17.22時間 48.44時間 77.48時間 93.312時間 97.218時間 98.824時間 98.81回量のランダム化、クロスオーバー生物学的利用能実験は、上記の8mg制御放出性塩酸ヒドロモルホンカプセルと対照としての2つの即時放出性4mg錠剤(Dilaudid(登録商標))を用いて摂食および絶食条件下で実施した。血液サンプルのヒドロモルホン濃度を検査し、次の薬物速度論的パラメーターを算出した。結果を下記の表24に示す。
【0170】
【表24】

【0171】上述した実施例は排他的であることを意味するものではない。当業者には本発明の多くの他の変更が自明であり、これらも特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0172】以下の図面は本発明の実施態様を図示するものであり、請求の範囲に包含される本発明の範囲を限定するものではない。
【出願人】 【識別番号】599108792
【氏名又は名称】ユーロ−セルティーク,エス.エイ.
【出願日】 平成6年11月22日(1994.11.22)
【代理人】 【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子 (外3名)
【公開番号】 特開2002−371015(P2002−371015A)
【公開日】 平成14年12月26日(2002.12.26)
【出願番号】 特願2002−169943(P2002−169943)