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【発明の名称】 ホワイトスポット検出用歯垢染色剤
【発明者】 【氏名】佐野 浩史

【氏名】平野 正徳

【氏名】西永 英司

【要約】 【課題】

【解決手段】色調変曲点がpH4〜7にある色素を配合することを特徴とするホワイトスポット検出用歯垢染色剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 色調変曲点がpH4〜7にある色素を配合することを特徴とするホワイトスポット検出用歯垢染色剤。
【請求項2】 色調変曲点がpH4〜7にある色素がコチニール色素、ベニバナ黄色素、ブラックカーラント色素、及びエノシアニン色素から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載のホワイトスポット検出用歯垢染色剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、う蝕の初期段階であり、適切な歯科処置、歯磨き行動により健全な歯面へ回復できるホワイトスポット部位(初期う蝕部位)を検出する歯垢染色剤に関する。本発明の歯垢染色剤により、通常、歯垢の下に潜在し自覚できない、ホワイトスポット部位を検出し、的確な口腔清掃処置、歯磨き行動を実践することが可能となる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、ホワイトスポット部位は、う蝕の初発段階であり、通常厚い歯垢の直下に発生し、目視で白斑状に観察される。このホワイトスポットの段階は、適切な口腔衛生処置、例えばフッ素処理等の再石灰促進により健全な歯面に回復し、本格的なう蝕への進行を阻止することが知られている。
【0003】しかしながら、ホワイトスポットは、歯垢の直下に潜在することが多いと共に、不定形の白斑として存在するため、当人はおろか、歯科専門医でも容易に検出することは困難であった。また、これまでの歯垢染色剤は、ホワイトスポットの存在する歯垢と、存在しない歯垢を色調の違いで染め分けることができず、全ての歯垢を染色するだけであり、歯垢清掃の動機付けにはその目的を充分達していたものの、ホワイトスポット部位を特定することは困難であり、適切な口腔処置(フッ素歯磨きの使用、フッ化物の塗布等)をホワイトスポット部位に促せば、回復するであろう、初期う蝕部位を見逃し、適切な治療機会を失う原因となっていた。
【0004】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、従来の歯垢染色剤では検出困難なホワイトスポットの存在を、ホワイトスポット上のプラーク染色の色調により検出することができる歯垢染色剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、色調変曲点がpH4〜7にある色素、特にコチニール色素、ベニバナ黄色素、ブラックカーラント色素、エノシアニン色素を用いることにより、ホワイトスポットの存在する歯垢を、存在しない歯垢と色調の違いで区別し、検出し得ることを知見した。
【0006】この場合、この色調変曲点がpH4〜7の色素を含む本歯垢染色剤の使用によりホワイトスポット存在部と不存在部とが異なる色調に歯垢が染色されるのは、ホワイトスポットの存在する歯垢は酸性の程度が比較的高く、pHが低いのに対し、ホワイトスポットの存在しない歯垢は、酸性の程度が低く、歯垢pHが高いことにより、色調変曲点がpH4〜7に存在する色素により、異なる色調に染め分けるものと推定される。
【0007】なお、本発明に用いられるpH4〜7に色調変曲点を有する色素を歯垢染色剤、う蝕活性診断用組成物等に用いる技術は、これまでにも開示されている(特開昭55−76821号、特開昭56−96700号、特開昭61−291516号、特開平7−69852号、特開平10−236915号公報)。しかしながら、これら技術は、pH4〜7に色調変曲点を有する色素を、■歯垢を均一に染め分ける、■歯牙から採取した歯垢を染色し、う蝕状態を診断する、■歯牙にできたう蝕部位を特定し、う蝕部位の治療の補助とする、ことを目的としたものであり、本発明における異なる色調に歯垢が染色されることで、歯垢直下に潜在するホワイトスポット(初期う蝕部位)を検出する技術とは異なる。
【0008】以下、本発明につき更に詳しく説明する。本発明のホワイトスポット検出用歯垢染色剤は、色調変曲点がpH4〜7にある色素を配合してなるもので、この色素により、直下にホワイトスポットが存在する歯垢と、ホワイトスポットが存在しない歯垢とが、pHの相違によって互いに異なる色調に染色されるものである。
【0009】この場合、色調変曲点がpH4〜7にある色素としては、合成、天然の別を問わず使用することができるが、特にコチニール色素、ベニバナ黄色素、ブラックカーラント色素、エノシアニン色素が好ましく、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0010】本発明において、上記色素の配合量は、歯垢染色剤全体の0.01〜5.0%(質量百分率、以下同じ)の範囲、特に0.1〜2.0%の範囲が好ましい。本発明において色素の配合量が0.01%未満であると、肉眼で認知できる充分な量の色素で歯垢部位を染色できず、また5.0%を超える色素を配合すると、異味を感じる場合があるだけでなく、口腔粘膜等の歯垢部位以外への色素が過剰に着色してしまい、洗浄に手間取るなど使用性が著しく劣化する。
【0011】本発明の歯垢染色剤は、液体、製剤、錠剤等の形態に調製、適用することができる。
【0012】この場合、歯垢染色剤を溶液で用いる場合は、綿球塗布法、直下滴下法及び希釈洗口法(約30秒間口腔に含んでから吐き出し、水で1回洗口)などの方法を採用し得る。
【0013】また、錠剤を使用する場合は、錠剤をかみ砕きながら流れ出る唾液とよく混合させ、全歯面に行き渡らせてから軽く水で洗口する。
【0014】本発明の歯垢染色剤は、その剤型に応じ、上記色素成分に加えて、甘味剤、香料等、任意成分としてその他の添加剤を配合でき、液体製剤の場合は、例えばエタノール、プロピレングリコール、グリセリン、精製水等の分散剤を混合して調製することができる。また、錠剤の場合は、結合剤、崩壊剤などの公知の錠剤用成分を用いて調製することができる。
【0015】
【発明の効果】本発明の歯垢染色剤は、ホワイトスポットの存在する歯垢を存在しない歯垢と異なる色調で染め上げることにより、ホワイトスポットの存在を特定し、検出することができ、ホワイトスポットの存在状況が明確に顕示され、初期う蝕部位の適切な処置(フッ素歯磨きの使用、フッ化物の塗布等)を促すと共に、歯垢清掃の動機付けや歯垢清掃効果の評価及び歯垢清掃技術向上のための指導に役立つ。
【0016】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。各例中の%はいずれも質量百分率である。
【0017】[実施例1]下記に示す組成の歯垢染色剤を調製し、3名の被験者に適量(10g)を口中にとり約30秒間洗口させた。その後、精製水10gで30秒間軽く濯ぎ、歯面に付着している歯垢の染色状態を観察した。
組成1:コチニール色素 2.0%プロピレングリコール 0.5%精製水 残部計 100.0%結果:歯面は、赤燈色の色調に染まった歯垢部位と赤紫色の色調に染まった歯垢部位が観察された。赤橙色の色調に染まった歯垢部位の歯垢を除去すると、その下には、白斑状のホワイトスポットが存在した。一方、赤紫色に染まった部位の下の歯垢には、ホワイトスポットは存在せず、健全な歯面のままであった。
【0018】[実施例2]下記に示す組成の歯垢染色剤を調製し、3名の被験者に適量(10g)を口中にとり約30秒間洗口させた。その後、精製水10gで30秒間軽く濯ぎ、歯面に付着している歯垢の染色状態を観察した。
組成2:ベニバナ黄色素 0.5%エタノール 5%精製水 残部計 100.0%結果:歯面は、黄色の色調に染まった歯垢部位と赤黄色の色調に染まった歯垢部位が観察された。黄色の色調に染まった歯垢部位の歯垢を除去すると、その下には、白斑状のホワイトスポットが存在した。一方、赤黄色に染まった部位の下の歯垢には、ホワイトスポットは存在せず、健全な歯面のままであった。
【0019】[実施例3]下記に示す組成の歯垢染色剤を調製し、3名の被験者に適量(10g)を口中にとり約30秒間洗口させた。その後、精製水10gで30秒間軽く濯ぎ、歯面に付着している歯垢の染色状態を観察した。
組成3:ブラックカーラント色素 3%エタノール 3%精製水 残部計 100.0%結果:歯面は、赤紫色の色調に染まった歯垢部位と赤緑色の色調に染まった歯垢部位が観察された。赤紫色の色調に染まった歯垢部位の歯垢を除去すると、その下には、白斑状のホワイトスポットが存在した。一方、赤緑色に染まった部位の下の歯垢には、ホワイトスポットは存在せず、健全な歯面のままであった。
【0020】[実施例4]下記に示す組成の歯垢染色剤を調製し、3名の被験者に適量(10g)を口中にとり約30秒間洗口させた。その後、精製水10gで30秒間軽く濯ぎ、歯面に付着している歯垢の染色状態を観察した。
組成4:エノシアニン色素 2.0%プロピレングリコール 2.0%精製水 残部計 100.0%結果:歯面は、赤色の色調に染まった歯垢部位と赤紫色の色調に染まった歯垢部位が観察された。赤色の色調に染まった歯垢部位の歯垢を除去すると、その下には、白斑状のホワイトスポットが存在した。一方、赤紫色に染まった部位の下の歯垢には、ホワイトスポットは存在せず、健全な歯面のままであった。
【出願人】 【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
【出願日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【代理人】 【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司 (外1名)
【公開番号】 特開2002−348224(P2002−348224A)
【公開日】 平成14年12月4日(2002.12.4)
【出願番号】 特願2001−157088(P2001−157088)