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【発明の名称】 歯磨組成物
【発明者】 【氏名】板谷 恭史

【氏名】中島 由賀

【要約】 【課題】口腔内の歯垢や食べ物滓の掻きだし除去効果、及び着色や臭い成分の吸着除去効果に優れた歯磨組成物を提供する。

【解決手段】歯磨組成物中に0.5〜50μmの粒子分布を示すように炭粉末を含有する歯磨組成物であって、該炭粉末は歯磨組成物に荷重600gを加えることによって該組成物中で崩壊して、粒度分布が0.1〜2μmの範囲になるものであることを特徴とする歯磨組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】歯磨組成物中に0.5〜50μmの粒子分布を示すように炭粉末を含有する歯磨組成物であって、該炭粉末は歯磨組成物に荷重600gを加えることによって該組成物中で崩壊して、粒度分布が0.1〜2μmの範囲になるものであることを特徴とする歯磨組成物。
【請求項2】炭粉末が、歯磨組成物中で平均粒子径2〜10μmを備え、該歯磨組成物に荷重600gを加えることによって崩壊して平均粒子径0.3〜0.7μmとなるものであることを特徴とする請求項1記載の歯磨組成物。
【請求項3】歯磨組成物中に含まれる炭粉末の配合割合が0.1〜50重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の歯磨組成物。
【請求項4】炭粉末がヤシガラを原料として調製されるものである請求項1乃至3のいずれかに記載の歯磨組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、研磨剤として炭粉末を配合してなる歯磨組成物に関する。特に口腔内の歯垢や食べ物滓の掻きだし除去効果、及び着色や臭い成分の吸着除去効果に優れた歯磨組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】古くから虫歯予防のために使用されている歯磨剤は、近年では虫歯予防に加えて歯槽膿漏や歯肉炎等のような歯周病予防を目的として、さらには歯を白くする等の審美効果及び口臭除去などを目的として使用されている。そして、このような消費者ニーズの多様化に伴って、現在に至るまで極めて多種の歯磨剤が市販されている。
【0003】最近では、食べ滓の掻きだし効果や歯面の研磨効果を期待して、りん酸水素カルシウム、炭酸水素カルシウム、酸化アルミニウム、または水酸化アルミニウム等の無機質研磨剤を配合してなる歯磨剤も種々開発されている。
【0004】また、無機質研磨剤に代えて、木炭粉末など炭成分を配合しその吸着効果を期待した歯磨剤も提案されている(特開平10-95721号公報、特開2000-128751号公報、特開2000-143467号公報、特開2000-143471号公報)。これらの公報によると、炭粉末の粒子径が大きすぎると、歯のエナメル質を損傷する、ざらつきがあり使用感が悪い、歯の隙間等の細部の汚れの掻きだし除去効果に劣る等といった問題があり、一方、粒子径が小さすぎると汚れの掻きだし効果が劣る等といった問題があるため、歯磨き用途に相応しい炭粉末の粒子径は、およそ50〜500μmであるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、食べ滓や歯垢の掻きだし効果とともに、歯面の着色や口腔内の臭い成分の吸着除去効果に優れた歯磨用の組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題の解決をめざして日夜研究を重ねていたところ、研磨剤として、歯磨組成物中で所定の崩壊挙動を示す炭粉末を配合することにより、上記課題を解決した所望の歯磨組成物が調製できることを見出した。具体的には、研磨剤として荷重600g下で粒子径0.3〜2μmに崩壊する挙動を示す当初粒子径1〜30μmの炭粉末を含有する歯磨組成物によれば、磨き始めにおいて食べ滓や歯垢等の汚れの掻き取り除去効果に優れるだけでなく、ブラッシングによって炭粉末が徐々に崩壊するにつれて粒子径が小さくなり細部の汚れ除去効果が増大し、さらに微細化に伴って炭粉末の比表面積が大きくなることで、汚れ、着色及び臭い等に対する吸着除去効果が増大することを見出し、これによって汚れ除去効果と口臭除去効果に優れた歯磨き剤が提供できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて開発されたものである。
【0007】すなわち、本発明は下記に掲げる歯磨組成物である:(1)歯磨組成物中に0.5〜50μmの粒子分布を示すように炭粉末を含有する歯磨組成物であって、該炭粉末は歯磨組成物に荷重600gを加えることによって該組成物中で崩壊して、粒度分布が0.1〜2μmの範囲になるものであることを特徴とする歯磨組成物。
(2)炭粉末が、歯磨組成物中で平均粒子径2〜10μmを備え、該歯磨組成物に荷重600gを加えることによって崩壊して平均粒子径0.3〜0.7μmとなるものであることを特徴とする(1)記載の歯磨組成物。
(3)歯磨組成物中に含まれる炭粉末の配合割合が0.1〜50重量%であることを特徴とする(1)または(2)に記載の歯磨組成物。
(4)炭粉末がヤシガラを原料として調製されるものである(1)乃至(3)のいずれかに記載の歯磨組成物。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の歯磨組成物は、研磨剤として炭粉末を含有するものである。歯磨組成物中に配合される炭粉末は、該組成物における粒度分布が通常0.5〜50μmの範囲、好ましくは1〜30μmの範囲となるような粒子径を備えているものが採用される。この場合、炭粉末の平均粒子径としては、通常2〜10μm、好ましくは4〜6μmを例示することができる。
【0009】当該炭粉末は、日本薬局方で薬用炭として規定されるもの、若しくはこれに準じるものであり、且つ炭粉末を含有する歯磨組成物に荷重600gを加えることによって、崩壊して通常粒子径0.1〜2μmの範囲の粒度分布を示すような崩壊性を有するものであればよい。上記荷重条件下での崩壊後の粒度分布として、好ましくは0.3〜2μmの範囲である。また、当該崩壊後の炭粉末の平均粒子径としては、通常0.3〜0.7μm、好ましくは0.4〜0.7μmを例示することができる。
【0010】なお、本発明において採用する粒子径(粒度分布)及び平均粒子径は、いずれもレーザー回析およびレーザー散乱法に基づいて測定算出されるものである。
【0011】また、本発明において「歯磨組成物に荷重600gを加える」とは、歯磨組成物を一定量(0.5g)歯ブラシに塗布し、600g荷重下で30mm幅で1分間あたり200ストローグでのブラッシングを3分間行うことを意味する。
【0012】なお、本発明で用いられる炭粉末は、上記性質を有するものであれば、その原料や製造方法に特に制限されるものではない。
【0013】例えば本発明の炭粉末の原料としては、制限はされないが、各種木炭(例えばラワン、スギ、ヒノキ、クヌギ、ナラ、カシ、ウメバヤシ、アオガシなど)、各種果実殻炭(例えばヤシガラ、クルミガラ等)、各種果実種殻(例えば、桃等)、おがくず炭、もみがら炭、竹炭、石炭、骨炭(牛骨など)などを例示することができる。好ましくはヤシガラ、クルミガラ、スギ、ラワン、竹、カシ又はクヌギを原料として調製される炭であり、より好ましくはヤシガラから調製される炭である。なお、これらは1種単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
【0014】炭粉末の製法も特に制限されない。例えば、上記炭素含有原料をガス賦活法(田丸, 日化 54,1088,1129 (1933); 有井, 理研彙報 13,835,1428 (1934); 鶴泉,日化 79,142,266 (1958))、または薬品賦活法(平野, 日化 50,439 (1930);今井,日化 54,1145 (1933)、56, 142, 153 (1935);鶴泉, 工化 59,596 (1953))を利用して、賦活、活性化して活性炭を調製し、次いでこれを上記所望の粒度となるように粉砕して調製する方法を挙げることができる。粉砕手法も特に制限されず、例えばボールミールなどの粉砕機、乳鉢やすり鉢を用いて粉砕する方法を挙げることができる。
【0015】斯くして得られる本発明の炭粉末は、練り歯磨、粉歯磨、液状歯磨など各種形態の歯磨組成物に配合することができるが、練り状態の歯磨組成物に配合して練り歯磨剤として用いられることが好ましい。
【0016】本発明の歯磨組成物には上記炭粉末以外に、従来より歯磨剤に一般的に配合されている各種成分を配合することができる。具体的には、例えば、発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウム,ラウロイルサルコシンナトリウム,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等)、粘結剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、増粘性シリカ、モンモリロナイト、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、グアガム、ペクチン等)、湿潤剤(ソルビット液,プロピレングリコール、グリセリン等)、香味剤(各種香料,サッカリンナトリウム等)などを例示することができる。さらに、この他に必要に応じて様々な薬用成分(例えば、歯質強化剤、歯茎収斂剤、殺菌剤、消炎剤、血行促進剤等)、安定剤、保存料等を適宜配合してもよい。
【0017】上記粒度分布及び崩壊性を有する炭粉末は、歯磨組成物中に通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%の割合で配合して用いられる。なお、炭粉末の調製によって炭粉末組成物中に0.5μm以下の粉末を伴なう場合はそのまま歯磨剤に配合することができるが、歯磨組成物中で50μm以上となる粉末を伴なう場合は、これを篩等にかけて取り除いた上で配合することが好ましい。
【0018】炭粉末を含有する本発明の歯磨組成物は、例えば通常の練り歯磨き同様にチューブに充填して製品化され、歯磨きの際に適量を絞り出して歯ブラシに着けて使用される。このように、本発明の歯磨組成物を用いて歯を磨くことにより、使い始めは比較的大きな粒度を有する炭粉末の研磨効果によって、食べ滓や歯垢などの汚れ落し効果に貢献することができ、またブラッシング操作により、この粉末が徐々に崩壊していく過程で粒子径が小さくなって、歯の隙間等の細かい部分の汚れ落し効果に貢献する。さらに使用に伴う炭粉末の微細化によって炭粉末の比表面積が順次増大し、これによって炭特有の吸着効果が増大し、歯の着色成分の除去や口腔内の臭い成分の除去に多いに貢献することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の内容を以下の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、下記の処方において%とは、特に言及しないかぎり、重量%を意味するものとする。
実施例1(1)練り歯磨組成物の調製日本薬局方(第13改正)で規定の薬用炭の規定に適う活性炭素(梅蜂Y印活性炭;太平洋化学産業(株)製)の粉末を、その粉末組成物の9割が10〜100μmの粒子径範囲に含まれるように分別調製した。次いで、これを市販の研磨剤無配合のチューブ入り練り歯磨剤(小林製薬(株)製の「シコンコート」、配合成分;表1)より取り出した内容物のに対して20重量%の割合になるように添加して均一に混合し、本発明の歯磨組成物を調製した。
【0020】
【表1】

【0021】(2)炭粉末の粒度分布及びその崩壊性上記で調製した本発明の歯磨組成物中に含まれる炭粉末の粒度分布及び平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(SALD-2000J、島津製作所製、半導体レーザー:波長680nm、屈折率1.7-0.2i使用)を用いて測定した。次いで、この歯磨組成物をシャーレに取り出し、これに水を添加して50%水溶液とし、歯ブラシを用いて荷重約600gで3分間ブラッシングを行い、ブラッシング後の歯磨組成物中に含まれる炭粉末の粒度分布及び平均粒子径を上記と同様にして測定した。
【0022】結果を図1に示す。図1中、−●−で示す粒度分布がブラッシング操作前の本発明の歯磨組成物中に含まれる炭粉末のものであり、−△−がブラッシング操作後の組成物中の炭粉末の粒度分布である。この結果から、本発明の歯磨組成物中に含まれる炭粉末の粒子径は1〜30μmの範囲に分布しており、その平均値は約5.1μm(標準偏差0.298)であった(メディアン径:約4.9μm、モード径:約4.5μm)。それに対して、ブラッシング後の炭粉末は、崩壊によって微細化しており、粒子径は0.3〜2μmの範囲に分布し、その平均値は約0.63μm(標準偏差0.150)であった(メディアン径:約0.59μm、モード径:約0.56μm)。なお、炭粉末を配合したシコンコート(小林製薬(株)製)をレーザー回折式粒度分布測定装置にかけた結果を図2に示す。この結果から明らかなように、シコンコートには研磨剤が一切配合されていない。
【0023】(3)使用感、汚れ除去効果上記で調製した本発明の歯磨組成物を使用して歯磨きをしたところ、ブラッシング開始直後はざらつき感を伴いながらも食物滓除去効果に優れており、またブラッシングするにつれて、ざらつき感がなくなるとともに歯表面がツルツルしていく感じを顕著に感じることができ、使用感に優れた歯磨組成物であることが実感できた。
【0024】
【発明の効果】本発明の歯磨組成物は、研磨剤として所定の粒度を有する崩壊性の炭粉末を用いることを特徴とする。これによって、本発明の歯磨組成物は、磨き始めの食べ滓や歯垢などの汚れの掻き取り除去効果に優れるだけでなく、ブラッシング操作で徐々に崩壊するにつれて細粒化した粒子によって細部の汚れを効果的に除去することができる。さらに粒子径が小さくなることによって増した比表面積による吸着効果の向上によって、歯表面に付着した汚れや色素、及び口腔内の臭いを有意に効果的に除去することができる。すなわち、本発明の歯磨組成物は、高い汚れ落ち効果、歯の着色除去効果及び口臭除去効果を兼ね備えた有利なものである。さらに、本発明の歯磨組成物によれば、崩壊性の研磨剤を含有することによって、ブラッシングによる研磨剤の崩壊による口腔内での触感の変化によって磨き終わりの目安を知ることも可能となる。
【出願人】 【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
【出願日】 平成13年5月23日(2001.5.23)
【代理人】 【識別番号】100065215
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二 (外8名)
【公開番号】 特開2002−348222(P2002−348222A)
【公開日】 平成14年12月4日(2002.12.4)
【出願番号】 特願2001−154696(P2001−154696)